JP2019210167A - 急結混和材 - Google Patents
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Description
より詳しくは、強度発現性を低下させることなく、水と接しても極短時間は殆ど凝結を進ませないが、前記時間終了時から実質瞬結的な凝結を起こさせ、よって高い混合性と付着性をコンクリート等に容易に具備させることのできる粉体状の急結混和材の提供と、硬化性を阻害することなく混練時間を長くすることができるため、高い混合性を得るのに適した、高い付着性を具備する吹付コンクリートの提供を課題とする。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔2〕の急結混和材、及び〔3〕〜〔4〕の吹付コンクリートである。
〔2〕さらにアルカリ金属の炭酸塩を残部に含む〔1〕記載の急結混和材。
〔3〕セメントと骨材と無水物換算でセメント含有量の5〜15質量%に相当する量の前記〔1〕又は〔2〕の急結混和材とを含む吹付コンクリート。
〔4〕さらに、減水剤類及び/又は増粘剤を含む前記〔3〕の吹付コンクリート。
(1)通常の吹付施工で、混合性をより高めた吹付コンクリートを吹付施工することができる。
(2)急結性を減退させることなく、寧ろ高い急結性を具備した吹付コンクリートを得ることができるため、付着性に優れる。
(3)初期から中長期に亘り、低迷することなく安定した強度発現性を具備する吹付コンクリートが得られる。
(4)均一な性状・品質の吹付コンクリートを得ることができる。
(5)アルカリ分が少ないため人体及び周辺環境へのダメージリスクが軽減される。
市販の工業用薬品のCaCO3とAl2O3を用い、CaO及びAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3)の値が以下に表すカルシウムアルミネートが得られるように秤量配合し、ヘンシェル型混合機で原料調合物を作製した。この原料調合物を電気炉中で、約1600℃±50℃にて60分間加熱した。一部のものを除き、前記加熱時間経過後は加熱物を直ちに炉外に取り出した。取り出した加熱物の表面に冷却用の窒素ガスを最大流速約30mL/秒で吹付けて急冷し、冷却物を得た。尚、冷却物のガラス化率については、窒素ガスの流速を前記最大値よりも落として吹付ることで調整した。最大流速の冷却用ガス吹付で得られたガラス化率が概ね99%を超える実質的に非晶質のカルシウムアルミネート冷却物の他に、ガラス化率約95%及びガラス化率約60%のカルシウムアルミネートの冷却物も作製した。各冷却物は、全鋼製のボールミルで粉砕し、分級装置にかけてブレーン比表面積約5400cm2/gに整粒した。整粒粉末として、ガラス化率(表1ではガラス化率を、Gと略記する。)が99%を超え、CaO及びAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3)が、1.8、2.0、2.3、2.5および3.0のカルシウムアルミネート粉末(表1では前記CaO及びAl2O3の含有モル比を、C/A比と略記する。)と、ガラス化率が約95%でCaO及びAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3)が2.0のカルシウムアルミネート粉末及びガラス化率が約60%でCaO及びAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3)が2.3のカルシウムアルミネート粉末を得た。得られたカルシウムアルミネート粉末は吸湿が進んでいない無含水の粉末であるため、配合使用時まで密封容器で保管した。尚、カルシウムアルミネートのガラス化率は、粉末エックス線回折装置を用い、質量がM1のカルシウムアルミネートクリンカに含まれる各鉱物の質量を内部標準法等で定量し、定量できた含有鉱物相の総和質量;M2を算出し、残部が純ガラス相と見なし、次式でガラス化率を算出した。
ガラス化率(%)=(1−M2/M1)×100
前記作製の7種のカルシウムアルミネートを使用し、表1に示す配合量にせしめた急結混和材を作製した。尚、配合に使用した無水硫酸ナトリウム、無水硫酸リチウム、無水石膏、硫酸アルミニウム16水和物、炭酸ナトリウム及びアルミン酸ナトリウムは全て市販試薬であり、表1記載の配合量は、無水物換算値による質量部である。前記急結混和材の作製に際しては表1の配合材料をヘンシェルミキサで約1分間乾式混合した。
セメントとして普通ポルトランドセメント(市販品。ブレーン比表面積3200cm2/g、密度3.15g/cm3)、細骨材として石灰石細骨材(表乾密度;2.65g/cm3、中心粒径;0.6mm)、粗骨材として、茨城県桜川富谷産砕石(表乾密度;2.74g/cm3、粒径5〜15mm)、高性能減水剤としてポリカルボン酸系高性能減水剤(濃度23%液状、市販品、表2及び4記載の配合量は固形分換算量)及び増粘剤(プロピルメチルセルロースを有効成分とする水溶性の市販品)から選択した材料と混練水を、表2に示す配合量となるようコンクリートミキサに一括投入した。このミキサで約2分間湿式混合し、ベースコンクリート各1.5m3を作製した。
前記急結混和材を、無水物換算で表3に示す添加量になるよう前記作製のベースコンクリートに加え、以下の手順で吹付コンクリートを作製した。
表2のベースコンクリートの配合において、それぞれ含有する粗骨材と細骨材の合計含有量に相当する量を全て細骨材の含有量にし、粗骨材を含まず、また他の成分とその含有量は変更せずに表2のままとし、モルタル配合に変更したベースモルタルも、前記ベースコンクリートと同様の手順で作製した。前記ベースモルタルの配合は表4に示す。
前記の吹付装置を使用し、得られた吹付コンクリートを直ちに吹付施工に供した。吹付施工は次のような対象物に向かって吹き付けた。即ち、前記吹付装置のノズル孔端から約100cm離れた地点に垂直に設置した厚さ9mmで3m四方のコンクリート製平板面に向かって、10m3/時間の流量で、前記吹付コンクリートを吹き付けた。吹き付けたコンクリートの付着性の評価を、目視観察により次のように行った。即ち、前記平板面に吹き付けたコンクリートに垂れや剥落が起こることなく、付着し続けたものを付着性が「良好」と判断し、それ以外の状態になったものや吹き付けそのものが実質できなかったものは、全て付着性が「不良」と判断した。結果を表7に示す。
混合距離を1.5mにし、前記の如く作製した吹付コンクリートを、作製後直ちに、内寸30×40×20cmの成形用型枠内に吹き付け、型枠内を満たすようにした。これを20℃(±1℃)恒温庫に入れ所定時間経過後、型枠内の硬化コンクリートからコアドリルによって直径5cm、高さ10cmの円柱状供試体を採取し、材齢28日にした供試体を得た。この材齢28日供試体の一軸圧縮強度をアムスラー式圧縮強度試験機で測定した。また、土木学会規準JSCE−G561に規定するプルアウト試験用型枠と埋込具を使用し、前記と同様に作製した吹付コンクリートを、JSCE−G561に準拠したプルアウト試験に供した。当該試験により材齢4時間及び1日の吹付コンクリートの圧縮強度を測定した。各供試体の強度測定の結果を表7に示す。尚、所定材齢で未硬化のものは、強度測定試験不能なため、表7の測定値の欄は「×」と表記した。また、混合距離を5mにして前記と同様の手順で作製した吹付コンクリートの一部についても、混合距離を1.5mにして作製したときと同様の方法で材齢4時間、1日及び28日の吹付コンクリートの圧縮強度を測定した。この結果は表8に示す。
Claims (4)
- 化学成分としてのCaOとAl2O3の含有モル比(CaO/Al2O3)が1.8〜2.5のカルシウムアルミネートを62〜86.2質量%と、残部にアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアルミニウムの各硫酸塩を含有する粉体状の急結混和材であって、前記カルシウムアルミネート含有量100質量部に対する無水物換算での前記アルカリ金属の硫酸塩(S1)の含有量が5〜16質量部、前記アルミニウムの硫酸塩(S3)の含有量が1〜10質量部、かつ前記アルカリ土類金属の硫酸塩(S2)と前記アルミニウムの硫酸塩(S3)の含有質量比が無水物換算で1≦(S2/S3)≦35であることを特徴とする急結混和材。
- さらにアルカリ金属の炭酸塩を残部に含む請求項1記載の急結混和材。
- セメントと骨材と無水物換算でセメント含有量の5〜15質量%に相当する量の請求項1又は2記載の急結混和材とを含む吹付コンクリート。
- さらに、減水剤類及び/又は増粘剤を含む請求項3記載の吹付コンクリート。
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