JP2019209477A - 積層フィルム及び角底袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物由来の樹脂を使用しつつも、目的とする好適な特性を有し、角底袋に製袋した場合でも、サイド部における高い溶断シール強度を維持しつつ、Vシール部におけるVシール強度が高くなり過ぎることを防止し得る積層フィルム、及びかかる積層フィルムを使用(製袋)した角底袋を提供する。【解決手段】本発明の積層フィルムは、角底袋を製袋するために使用される。この積層フィルムは、積層された表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、表面層(A)が、植物由来の低密度ポリエチレンを含有し、中間層(B)及びシール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、植物由来の樹脂を使用した積層フィルム及び角底袋に関する。
近年、環境負荷低減を目的に、包装材に使用する樹脂フィルムを構成する材料の一部を、石油等の化石燃料由来の樹脂から、植物由来の樹脂に置き換える検討がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
植物由来の樹脂は、環境対応性は高いものの、化石燃料由来の樹脂とは異なる性質を示すことが多い。このため、樹脂フィルムを構成する材料の一部を、単に植物由来の樹脂と置き換えると、樹脂フィルムの目的とする特性が得られない場合がある。
特開2012−167172号公報 特開2013−151623号公報
特に、角底袋の製袋に使用する樹脂フィルム(積層フィルム)においては、サイド部において高い溶断シール強度を維持しつつ、Vシール部におけるVシール強度が高くなり過ぎること(すなわち、Vシール部の剥離性が低くなり過ぎること)を回避しなければならない。
本発明が解決しようとする課題は、植物由来の樹脂を使用しつつも、目的とする好適な特性を有し、角底袋に製袋した場合でも、サイド部における高い溶断シール強度を維持しつつ、Vシール部におけるVシール強度が高くなり過ぎることを防止し得る積層フィルム、及びかかる積層フィルムを使用(製袋)した角底袋を提供することにある。
本発明は、角底袋を製袋するために使用される積層フィルムであって、積層された表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、前記表面層(A)が、植物由来の低密度ポリエチレンを含有し、前記中間層(B)及び前記シール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有する積層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
本発明の積層フィルムは、植物由来の樹脂を使用しつつも、目的とする好適な特性を有するため、環境対応型のフィルムとすることができる。特に、本発明の積層フィルムは、角底袋に製袋した場合でも、サイド部における高い溶断シール強度を維持しつつ、Vシール部におけるVシール強度が高くなり過ぎることを防止することができるため、パン等の食品の包装に好適に使用することができる。
以下、本発明の積層フィルム及び角底袋について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、角底袋を製袋するために使用されるフィルムである。この積層フィルムは、少なくとも表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、一方の表層が表面層(A)、他方の表層がシール層(C)となっている。
本発明においては、表面層(A)が、植物由来の低密度ポリエチレン(以下、「バイオ低密度ポリエチレン」と言う。)を含有し、中間層(B)及びシール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有する。
ここで、角底袋とは、次のようにして製袋される袋(Vカット袋)である。まず、シール層(C)を内側として積層フィルムを半折後、折り込みの内側に折り返しをつけて二重折り底部を形成する。次に、この二重折り底部の内部折り目を頂点とし、外部折り目を底辺とする直角二等辺三角形の両二等辺部を溶断及び接着する。その後、直角二等辺三角形の頂点を通り流れ方向と直角に溶断及び接着する。以下では、両二等辺部に沿って形成される溶断接着部を「Vシール部」とも言い、流れ方向と直角となるように形成される溶断接着部を「サイド部」とも言う。
角底袋を製袋する際、二重折り底部の外側折り目から内側折り目に向かう部分では表面層(A)同士が対向配置され、それ以外の部分ではシール層(C)同士が対向配置され、この状態で、Vシール部及びサイド部が形成されることになる。このとき、シール層(C)同士の接着強度(以下、「溶断シール強度」と言う。)は十分に高くなる必要がある一方で、角底袋を折り畳んだ形態から袋の形態とし得るように、Vシール部においては表面層(A)同士又は表面層(A)と中間層(B)との接着強度(以下、「Vシール強度」と言う。)は十分に低く保持される必要がある。
本発明では、表面層(A)がバイオ低密度ポリエチレンを含有し、中間層(B)及びシール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有することにより、溶断シール強度を高く、かつVシール強度を低く保持することができる。これは、エチレン系樹脂(バイオ低密度ポリエチレン)とプロピレン系樹脂との親和性(相溶性)が低く、かつプロピレン系樹脂同士の親和性(相溶性)が高いことによるものである。このため、表面層(A)に対して高い使用比率でバイオ低密度ポリエチレンを使用することができる。その結果、二酸化炭素排出量の低減に寄与し、環境対応型の積層フィルムとすることができる。
本発明の積層フィルムでは、上記特性を満足するように、各層(A)〜(C)が設計されている。
以下、各層(A)〜(C)の構成について、順に説明する。
[表面層(A)]
表面層(A)は、積層フィルムを角底袋(包装袋)に製袋した際に表層を構成する層であり、印刷が施される印刷層等として機能する。
この表面層(A)は、植物由来の低密度ポリエチレン(バイオ低密度ポリエチレン)を含有する。
バイオ低密度ポリエチレンは、サトウキビ、トウモロコシ、ビート等の植物を原料としてモノマー(エチレン)生成し、石油等の化石燃料由来のモノマーを使用する低密度ポリエチレンの製造方法と同様にして製造することができる。製造方法としては、特に限定されないが、公知の方法(例えば、ラジカル重合反応)を使用することができる。
なお、バイオ低密度ポリエチレンの市販品としては、例えば、ブラスケム社製のSPB681、SBC818、STN7006等が挙げられる。
表面層(A)がバイオ低密度ポリエチレンを含有することにより、プロピレン系樹脂を含有する中間層(B)との接着強度が高くなり過ぎることを防止又は抑制することができる。その結果、積層フィルムを角底袋に製袋した際に、Vシール部の剥離性を十分に確保することができる。
特に、表面層(A)にバイオ低密度ポリエチレンを使用するため、二酸化炭素排出量の低減に寄与し、環境対応型の積層フィルムとすることができる。
バイオ低密度ポリエチレンの密度は、0.93g/cm以下であることが好ましく、0.925g/cm以下であることがより好ましい。かかる密度のバイオ低密度ポリエチレンを使用することにより、好適なVシール性を発揮する積層フィルムとすることができる。
バイオ低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.1〜20g/10分程度であることが好ましく、0.3〜15g/10分程度であることがより好ましく、0.5〜10g/10分程度であることがさらに好ましい。かかるMFRのバイオ低密度ポリエチレンを使用することにより、溶融状態における表面層(A)及び中間層(B)の形成材料の流動性を互いに近づけることができ、積層フィルムの製膜性や成型性の低下を抑制することができる。そのため、得られる積層フィルムの透明性も低下し難い。また、当該MFRを3g/10分以上とすることで、特に高い透明性を得やすくなるため好ましく、当該MFRを5g/10分以下とすることで、特に好適なVシール強度を得やすくなるため好ましい。
なお、本明細書中において、MFRは、温度230℃、荷重21.18Nの測定条件で、JIS K 7210:1999の規定に準拠して測定される。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のバイオ低密度ポリエチレンの含有量は、環境対応性を向上させる観点からは、できる限り多い方が好ましい。具体的には、バイオ低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
バイオ低密度ポリエチレンは、化石燃料由来の他のエチレン系樹脂と併用してもよい。前述したような特性を積層フィルムに付与する観点からは、他のエチレン系樹脂も低密度ポリエチレンであることが好ましい。この化石燃料由来の低密度ポリエチレンの密度及びMFRも、前記と同程度であることが好ましい。
表面層(A)は、バイオ低密度ポリエチレンを含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
表面層(A)の表面のASTM D 1894−95に規定される摩擦係数は、0.05〜0.7程度であることが好ましく、0.07〜0.6程度であることがより好ましく、0.1〜0.5程度であることがさらに好ましい。摩擦係数を前記範囲とすることにより、包装時のフィルム送り性や、製袋後の付き揃え性、梱包作業性等を向上させ易くなる。また、クロージャーによる結束時のフィルム破れを好適に抑制し易くもなる。なお、摩擦係数は、表面層(A)に使用する樹脂成分に応じて、滑材、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加することにより調整することができる。
[中間層(B)]
中間層(B)は、積層フィルムに対して、角底袋を製袋する際に要求される特性や、角底袋として要求される特性を付与する機能を有する層である。
この中間層(B)は、プロピレン系樹脂を含有する。プロピレン系樹脂を含有することにより、積層フィルムに対して、良好なヒートシール性、広範な温度域での好適な溶断シール性と共に、好適な耐衝撃性や耐破袋性を付与することができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性や製袋適性を付与し易いことから、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、他の樹脂を併用する場合には92質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
なお、他の樹脂を併用しない場合には、プロピレン系樹脂の含有量は、実質的に100質量%であってもよい。
積層フィルムを透明フィルムとする場合には、プロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
プロピレン単独重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、3g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るためには、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン単独重合体の密度は、0.88〜0.92g/cm程度であることが好ましく、0.885〜0.915g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン単独重合体の融点は、製袋等の積層フィルムの加工適性を十分に保持する観点から、145℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量は、積層フィルムに対して、好適な剛性や透明性を付与し易いことから、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムに対して、好適な耐衝撃性を付与し易いことから、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、3g/10分以上であることがより好ましく、5g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るため、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の密度は、0.88〜0.905g/cm程度であることが好ましく、0.89〜0.9g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防止する観点から、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シールの際に、積層フィルムに好適な溶断シール性を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要であるため、融点は、150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量は、特に限定されないが、1〜20質量%程度であることが好ましく、1.5〜15質量%程度であることがより好ましい。
かかるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。中でも、積層フィルムに対して、好適な透明性を付与し易いことから、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体を使用することが好ましい。
中間層(B)中に含まれる樹脂成分中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の含有量は、積層フィルムに対して、好適な製袋適性や耐破袋性を付与し易いことから、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、その含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
一方、積層フィルムをマット性のフィルムとする場合には、プロピレン系樹脂は、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を含むことが好ましい。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体のMFRは、積層フィルムの成型性が良好であり、また好適な耐衝撃性やマット感を付与し易いことから、0.5g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましい。また、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の融点は、積層フィルムに対して、好適な製袋性を付与し易いことから、155℃以上であることが好ましく、165℃以下であることがより好ましい。
なお、積層フィルムに対して、マット感、溶断シール性及び製袋適性を優れたバランスで付与し易いことから、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の市販品として、例えば、BC8、BC7(いずれも日本ポリプロ社製)、E150GK、F704V(いずれもプライムポリマー社製)、PC480A、PC684S、PC380A、VB370A(いずれもサンアロマー社製)等を好適に使用することができる。
このような中間層(B)は、さらに植物由来のポリエチレン(b1)を含有してもよい。中間層(B)がポリエチレン(b1)を含有することにより、積層フィルムにおける植物由来の樹脂の使用比率(以下、「バイオ度」とも言う。)を高めることができる。その結果、積層フィルムの環境対応性をより向上させることができる。
ポリエチレン(b1)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。中でも、ポリエチレン(b1)としては、低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン(b1)としての低密度ポリエチレンには、表面層(A)で使用するバイオ低密度ポリエチレンを好適に使用することができる。なお、MFR、密度、融点等の好ましい範囲も、バイオ低密度ポリエチレンと同様である。
ポリエチレン(b1)としてバイオ低密度ポリエチレンを用いれば、表面層(A)もバイオ低密度ポリエチレンを含有するため、表面層(A)と中間層(B)との適度な親和性(密着性)を得ることができる。その結果、表面層(A)が不本意に中間層(B)から剥離することを防止することができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のポリエチレン(b1)の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。このような範囲でポリエチレン(b1)を含有することにより、積層フィルムのバイオ度の向上に寄与しやすくなる。また、上限は特に制限されないが、積層フィルムの溶断シール性、耐衝撃性、耐破袋性等の特性が極端に低下することを防止又は抑制しやすいことから、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
特に、溶融状態における表面層(A)及び中間層(B)の形成材料の流動性が大きく乖離することを抑制することができ、得られる積層フィルムの透明性の低下を阻止することもできる。
中間層(B)は、さらに化石燃料由来のポリエチレン(b2)を含有してもよい。中間層(B)に使用するプロピレン系樹脂も化石燃料由来の樹脂であるため、ポリエチレン(b2)は、プロピレン系樹脂との親和性(相溶性)が高い。したがって、ポリエチレン(b1)を併用する場合には、ポリエチレン(b2)の存在により、ポリエチレン(b1)をプロピレン系樹脂と均一に混合し易くなる。その結果、中間層(B)の特性を均一にすることができる。
ポリエチレン(b2)としては、例えば、エチレン系単重合体、エチレン系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
エチレン系単重合体としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−ブテン−ゴム共重合体(EBR)、エチレン−プロピレン−ゴム共重合体(EPR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。
中でも、ポリエチレン(b2)としては、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。ポリエチレン(b2)として直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、積層フィルムの耐衝撃性をより向上させることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、10g/10分以下であることが好ましく、1〜5g/10分程度であることがより好ましい。かかるMFRの直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、積層フィルムの成膜性を向上させ易く、ポリエチレン(b2)の中間層(B)中での分散性も良好であるため、積層フィルムに対して、均一な特性を付与し易くなる。
直鎖状低密度ポリエレンの密度は、0.915g/cm以下であることが好ましく、0.91g/cm以下であることがより好ましく、0.906g/cm以下であることがさらに好ましい。かかる密度の直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性と、高い耐衝撃性及び耐破袋性とを付与し易くなる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のポリエチレン(b2)の含有量は、5〜20質量%程度であることが好ましく、5〜15質量%程度であることがより好ましい。かかる範囲でポリエチレン(b2)を含有することにより、積層フィルムに対して、好適な製袋適性や溶断シール性と、優れた耐破袋性とを付与することができる。
中間層(B)は、プロピレン系樹脂を含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
[シール層(C)]
シール層(C)は、積層フィルムを製袋して角底袋を得る際に接着される層である。
このシール層(C)は、プロピレン系樹脂を含有する。プロピレン系樹脂を含有することにより、シール層(C)と中間層(B)との高い密着性が得られる。
シール層(C)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性や製袋適性を付与し易いことから、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
積層フィルムは、シール層(C)同士をシール(接着)することにより角底袋に製袋される。このため、積層フィルムに対して、適度な溶断シール性を付与する観点から、プロピレン系樹脂は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むことが好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体は、中間層(B)で説明したプロピレン−エチレンランダム共重合体と同様である。
プロピレン−1−ブテンランダム共重合体中の1−ブテン含量は、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性や耐ブロッキング性を付与し易いことから、60〜95モル%程度であることが好ましく、65〜95モル%程度であることがより好ましく、70〜90モル%程度であることがさらに好ましい。また、シール層(C)に対して、好適な低温シール性を付与し易いことから、共重合体中のプロピレン含量は、2〜10モル%程度であることが好ましく、3〜9モル%程度であることがより好ましく、4〜8モル%程度であることがさらに好ましい。
シール層(C)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、その含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。プロピレン−1−ブテンランダム共重合体の含有量を前記範囲に設定すれば、積層フィルムに対して、好適な低温シール性、溶断シール性や耐裂け性を付与し易く、また低コスト化にも有利である。
なお、シール層(C)も植物由来のポリオレフィン(例えば、前述したような植物由来の低密度ポリエチレン)を含有してもよい。バイオ度を向上させる観点からは、シール層(C)に含まれる樹脂成分中の植物由来のポリオレフィンの含有量を10質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%程度とすることがより好ましい。
一方、積層フィルムの溶断シール性、耐衝撃性等の特性を重視する場合には、植物由来のポリオレフィンの含有量を10質量%未満とすることが好ましく、5質量%未満とすることがより好ましく、実質的に0質量%とすることがさらに好ましい。
シール層(C)は、プロピレン系樹脂を含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
シール層(C)の表面のASTM D 1894−95に規定される摩擦係数は、0.01〜0.4程度であることが好ましく、0.02〜0.35程度であることがより好ましく、0.05〜0.3程度であることがさらに好ましい。摩擦係数を前記範囲とすることにより、包装時のフィルム送り性、製袋後のしわや盛上り抑制による梱包作業の作業性を向上させ易くなる。
また、パン等の内容物を充填する際に、内容物が積層フィルムの内面(シール層(C)の表面)と擦れても、傷の発生を抑制することができる。さらに、積層フィルムに対して、耐摩耗性、耐裂け性を付与し易く、フィルム破れを好適に抑制することもできる。なお、摩擦係数は、シール層(C)に使用する樹脂成分に応じて、滑材、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加することにより調整することができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、角底袋を製袋するために使用される積層フィルムであり、バイオ低密度ポリエチレンを含有する表面層(A)、プロピレン系樹脂を含有する中間層(B)及びプロピレン系樹脂を含有する。当該構成の積層フィルムは、植物由来の樹脂を使用しながらも、角底袋を製袋した際のサイド部における高い溶断シール強度を維持しつつ、Vシール部の良好な開封性を実現できる。また、当該構成の積層フィルムによれば、バイオ低密度ポリエチレンの使用比率を高くした際にも良好な溶断シール強度や開封性等を実現しやすい。
積層フィルムの平均厚さは、製袋される角底袋の用途や態様に応じて、適宜調整すればよいが、減容化と流通時の耐破袋性とを両立させ易いことから、25〜50μm程度であることが好ましく、30〜45μm程度であることがより好ましい。
積層フィルムの厚さにおいて各層が占める割合や、各層の具体的な厚さは、特に限定されないが、次のように設定することができる。
表面層(A)の占める割合は、1〜10%程度であることが好ましく、3〜7%程度であることがより好ましい。
中間層(B)の占める割合は、70〜94%程度であることが好ましく、73〜87%程度であることがより好ましい。
シール層(C)の占める割合は、5〜20%程度であることが好ましく、10〜20%程度であることがより好ましい。
表面層(A)の具体的な平均厚さは、0.5〜5μm程度であることが好ましく、1〜4μm程度であることがより好ましい。
中間層(B)の具体的な平均厚さは、5〜35μm程度であることが好ましく、10〜25μm程度であることがより好ましい。
シール層(C)の具体的な平均厚さは、1〜20μm程度であることが好ましく、5〜10μm程度であることがより好ましい。
また、積層フィルム全体に含まれる樹脂成分中のバイオ低密度ポリエチレンの含有量は、環境対応性を向上させる観点から、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。
積層フィルムの曇り度(ヘイズ)は、包装する内容物を視認し易いことから、10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましい。このような高い透明性を有する場合にも、積層フィルムは、好適な包装適性を有しつつも、内容物とフィルムとの摩擦や擦れによる裂け等の破袋が生じ難くなる。
なお、積層フィルムの透明性を向上させるためには、各層において、ブロック共重合体のような曇り度を高くする原因となる樹脂を使用しないか、あるいはその使用量を極力少なくすることが好ましい。この場合、積層フィルム全体に含まれる樹脂成分中のブロック共重合体の含有量を10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
本発明の積層フィルムは、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)以外の任意の他の樹脂層を有していてもよい。ただし、他の樹脂層の厚さは、積層フィルム全体の厚さ(総厚)の20%以下であることが好ましい。特に、積層フィルムは、前述したような表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)のみからなる構成が好ましい。さらに、このような構成において、中間層(B)が複数の層が積層された積層体で構成されてもよい。
具体的な層構成の例としては、表面層(A)とシール層(C)との間に中間層(B)を設けた表面層(A)/中間層(B)/シール層(C)の三層構成、あるいは中間層(B)を積層体で構成した表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/シール層(C)の四層構成等が挙げられる。中でも、積層フィルムの特性の調整や、積層フィルムの製造が容易であることから、表面層(A)/中間層(B)/シール層(C)からなる三層構成が好ましい。
積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、共押出法を使用することができる。共押出法では、各層に使用する樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層し、その後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形して、積層フィルムを得る。
共押出法によれば、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能であり、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた積層フィルムを得ることができる。
なお、以上の製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
表面層(A)の表面には、印刷インキの密着性(接着性)等を向上させるため、表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理のような表面酸化処理、サンドブラスト処理のような表面凹凸処理等を挙げることができる。これらの処理は、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。中でも、表面処理としては、コロナ放電処理が好適である。
表面処理後の表面層(A)の表面の表面エネルギーは、35mN/m以上であることが好ましく、40mN/m以上であることがより好ましく、42〜44mN/m程度としてもよい。かかる表面エネルギーを有する表面層(A)の表面には、樹脂表面に対する密着性に劣る植物由来の成分を含有するインク(いわゆる、ボタニカルインク)であっても、高い密着性で付着させる(印刷する)ことができる。
一方で、このように表面エネルギーの高い表面を有する表面層(A)同士を接着する場合には、その接着強度が低下しやすい。このため、かかる積層フィルムは、表面層(A)同士の間に高い接着強度(溶断シール強度)が求められるガゼット袋の製袋には適さないが、表面層(A)同士の界面での剥離を許容する角底袋の製袋には好ましい。
なお、表面エネルギーは、JIS K 6768に規定される濡れ張力試験方法により測定することができる。
本発明の積層フィルムからなる角底袋は、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等を包装(収納)する用途に使用することができる。
なお、食パン用の包装袋とする場合には、印刷面を折り込んでシールすることでVシール部を有する角底袋とすることができる。具体的には、本発明の積層フィルムのシール層(C)が袋の内側になるようにして、製袋機(例えば、トタニ技研工業株式会社製、「HK−40V」等)により角底袋に加工する。
本発明の積層フィルムは、好適な溶断シール性や製袋適性を発揮することから、角底袋を製袋するのに特に好適に使用することができる。
サイド部の溶断シール強度は、13N/15mm以上であることが好ましく、14N/15mm以上であることがより好ましく、14.5N/15mm以上であることがさらに好ましく、16N/15mm以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、30N/15mm以下であることが好ましい。一方、Vシール部のVシール強度は、3N/15mm以下であることが好ましく、2.5N/15mm以下であることがより好ましく、2N/15mm以下であることがさらに好ましい。製袋時の溶断シール温度や製袋速度を調整することにより、溶断シール強度及びVシール強度を設定することができる。
本発明の積層フィルムは、好適な耐擦傷性や耐破袋性を得やすいことから、その剛性(MD)が450MPa以上であることが好ましく、550MPa以上であることがより好ましく、600MPa以上であることがさらに好ましい。なお、当該剛性は、得られた積層フィルムの23℃における1%接線モジュラスを、ASTM D 882−12に基づき、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)を用いて測定される。
本発明の積層フィルムは、包装材として使用した際の破袋や内容物の漏洩等を抑制しやすいことから、その衝撃強度が0.10J以上であることが好ましく、0.15J以上であることがより好ましく、0.20J以上であることがさらに好ましい。なお、当該衝撃強度は、積層フィルムを0℃に設定した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法により測定される。
得られた角底袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性となるようにヒートシールする。この際のヒートシール強度は、0.1〜5N/15mm程度であることが好ましく、0.2〜4N/15mm程度であることがより好ましい。
その後、必要に応じて、袋の上部を、プラスチック板、テープ、ひも等の結束具を使用して結束してもよい。
本発明の積層フィルムは、鋭利な先端部や鉤部を有する結束具(クロージャー)が使用される食パンや菓子パン等のパン包装に適用した際に、結束時の破袋が生じ難く、また、移送時に結束具や搬送容器との接触が生じた場合にもピンホールや裂けが生じ難い。また、内容物である食品とフィルム内面(シール面)との擦れや混入されたプラスチックトレーとの摩擦、突き刺し等によるピンホールや裂けも生じ難い。さらに、本発明の積層フィルムは、Vシール部及びサイド部を形成した場合にも、好適な溶断シール強度を確保できることから、パン包装に使用する角底袋用途への適用することが好ましい。
以上、本発明の積層フィルム及び角底袋について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の積層フィルム及び角底袋は、その一部の構成を同様の機能を発揮する他の構成と置換してもよく、任意の構成を追加してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
1.積層フィルムの作製
(実施例1)
まず、表面層、中間層及びシール層それぞれの形成材料を、下記の樹脂を使用して調製した。
次に、これらの樹脂混合物を3台の押出機のそれぞれに供給し、共押出して、表面層/中間層/シール層の三層構成を有する積層フィルムを形成した。なお、表面層の平均厚さを1.5μm、中間層の平均厚さを23.5μm、シール層の平均厚さを5μmとした。したがって、積層フィルム全体での平均厚さは、30μmである。
その後、得られた積層フィルム(表面層)の表面に、表面エネルギーが36mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
[表面層の形成材料]
・サトウキビ由来の低密度ポリエチレン(バイオLDPE(1)):100部
商品名:ブラスケム社製、「SPB681」
密度 :0.922g/cm
MFR:3.8g/10分
[中間層の形成材料]
・プロピレン単重合体(HOPP):70部
密度 :0.90g/cm
MFR:7.5g/10分
・プロピレン−エチレンランダム共重合体(COPP(1)):20部
エチレン含量:5.2%
密度 :0.90g/cm
MFR:5.4g/10分
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):10部
密度 :0.905g/cm
MFR:4.0g/10分
[シール層の形成材料]
・COPP(1):70部
・プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(COPP(2)):30部
密度 :0.995g/cm
MFR:4g/10分
(実施例2)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:67部、COPP(1):20部、LLDPE:10部、バイオLDPE(1):3部
(実施例3)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:65部、COPP(1):20部、LLDPE:10部、バイオLDPE(1):5部
(実施例4)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:65部、COPP(1):17部、LLDPE:10部、バイオLDPE(1):8部
(実施例5)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:65部、COPP(1):15部、LLDPE:8部、バイオLDPE(1):12部
(実施例6)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:62部、COPP(1):12部、LLDPE:6部、バイオLDPE(1):20部
(実施例7)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:55部、COPP(1):10部、LLDPE:10部、バイオLDPE(1):25部
(実施例8)
表面層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
・サトウキビ由来の低密度ポリエチレン(バイオLDPE(2)):100部
商品名:ブラスケム社製、「STN7006」
密度 :0.924g/cm
MFR:0.6g/10分
(実施例9)
表面層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
・サトウキビ由来の低密度ポリエチレン(バイオLDPE(3)):100部
商品名:ブラスケム社製、「SBC818」
密度 :0.922g/cm
MFR:8.1g/10分
(参考例1)
表面層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
・化石燃料由来の低密度ポリエチレン(LDPE):100部
密度 :0.920g/cm
MFR:5.0g/10分
2.測定及び評価
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムを用いて、下記の測定及び評価を行った。
[剛性の測定]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムの23℃における1%接線モジュラスを、ASTM D 882−12に基づき、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)を用いて測定した。
なお、測定は、フィルム製造時の押出方向(以下、「MD方向」と言う。)にて実施した。
[透明性の測定]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムの曇り度を、JIS K 7105:1981に基づき、ヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した。
[製袋適性の評価]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムのシール層を内側にして、積層フィルムを半折後、底部にガセットを入れて、Vシール温度320℃、シール部温度(製袋温度)298℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場株式会社製「HK−40V」、製袋速度:120枚/分)した。これにより、角底袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
<評価基準>
○:120ショットの製袋速度でも、積層フィルムが追随し、付き揃え性も問題ない。
△:120ショットの製袋速度でも、積層フィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる。
×:120ショットの製袋速度に追随できない積層フィルムがあり、付き揃え性が悪い。
[Vシール強度及び溶断シール強度の測定]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムのシール層を内側にして、積層フィルムを半折後、底部にガセットを入れて、Vシール温度320℃、溶断シール温度(製袋温度)298℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場株式会社製「HK−40V」、製袋速度:120枚/分)した。これにより、角底袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製した。
得られた角底袋(Vカット袋)5枚のVシール部の中央と、Vシール部の上側のサイド部の中央とから、それぞれ15mm幅の試験片を1枚ずつ(1つの袋につき2枚)、シール部が長さ方向の中央部となるように、合計10枚を切り出した。そして、各試験片を23℃、引張速度300mm/分の条件で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)で引き剥がした。このとき測定された最大荷重を、Vシール強度及び溶断シール強度とした。
<溶断シール強度の評価基準>
◎ :サイド部の溶断シール強度が、いずれも16N/15mm以上である。
○ :サイド部の溶断シール強度が、いずれも14.5N/15mm以上、16N/15mm未満である。
△ :サイド部の溶断シール強度が、いずれも13N/15mm以上、14.5N/15mm未満である。
× :サイド部の溶断シール強度が、いずれも13N/15mm未満である。
<Vシール強度の評価基準>
◎:Vシール部の剥離強度が、いずれも2.0N/15mm以下である。
○:Vシール部の剥離強度が、いずれも2.0N/15mm超、2.5N/15mm以下である。
△:Vシール部の剥離強度が、いずれも2.5N/15mm超、3.0N/15mm以下である。
×:Vシール部の剥離強度が、いずれも3.0N/15mm超である。
[ヒートシール強度の測定]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムを用いて、上記製袋適性の評価と同様にして角底袋を作製した。得られた角底袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行に、ヒートシーラー(テスター産業株式会社製、圧力:0.2MPa、時間:1秒間、シール温度:上部シールバー95℃、下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。
得られた角底袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を2枚ずつ(1つの袋につき2枚)、ヒートシール部が幅方向の中央部となるように、合計10枚切り出した。そして、各試験片を23℃、引張速度300mm/分の条件で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)で引き剥がした。このとき測定された最大荷重を、ヒートシール強度とした。
<評価基準>
○:ヒートシール強度が、いずれも5N/15mm未満であり、引き剥がした際にフィルム破れが生じなかった。
×:ヒートシール強度が、いずれも5N/15mm以上であるか、引き剥がした際にフィルム破れが生じた。
[衝撃強度の測定]
実施例及び参考例にて得られた積層フィルムを、0℃に設定した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
これらの測定結果及び評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 2019209477
表1から明らかなように、実施例にて得られた本発明の積層フィルムは、角底袋に製袋した場合でも、サイド部における高い溶断シール強度を維持しつつ、好適なVシール強度を有するものであった。

Claims (15)

  1. 角底袋を製袋するために使用される積層フィルムであって、
    積層された表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、
    前記表面層(A)が、植物由来の低密度ポリエチレンを含有し、
    前記中間層(B)及び前記シール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記表面層(A)に含まれる樹脂成分中の前記低密度ポリエチレンの含有量が、50質量%以上である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層(B)が、さらに植物由来のポリエチレン(b1)を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の3〜20質量%含有する請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記ポリエチレン(b1)が、低密度ポリエチレンである請求項3に記載の積層フィルム。
  5. 前記低密度ポリエチレンのメルトフローレートが、1〜7g/10分である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記中間層(B)が、さらに化石燃料由来のポリエチレン(b2)を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の5〜20質量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記ポリエチレン(b2)が、直鎖状低密度ポリエチレンである請求項6に記載の積層フィルム。
  8. 前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の前記プロピレン系樹脂の含有量が、60〜92質量%である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 前記中間層(B)の前記プロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のうちの少なくとも一方を含む請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 前記シール層(C)に含まれる樹脂成分中の前記プロピレン系樹脂の含有量が、50質量%以上である請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 前記シール層(C)の前記プロピレン系樹脂が、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を含む請求項1〜10のいずれかに記載の積層フィルム。
  12. 当該積層フィルムの厚さにおいて、前記表面層(A)の占める割合が1〜20%、前記中間層(B)の占める割合が60〜94%、前記シール層(C)の占める割合が5〜20%である請求項1〜11のいずれかに記載の積層フィルム。
  13. 当該積層フィルムの平均厚さが、25〜50μmである請求項1〜12のいずれかに記載の積層フィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の積層フィルムを使用したことを特徴とする角底袋。
  15. パン包装に使用する請求項14に記載の角底袋。
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