JP2014200968A - 植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる積層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)及びポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)、並びに、所望により、ガスバリア層(D)及び/または接着層(E)を備え、i)表面層(A)及び/または表面層(C))は、ASTM D6866-12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、好ましくは更にii)表面層(A)及び/または表面層(C)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a) 0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、iii)ヘーズが25%以下である、植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム;並びにその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルム及びその製造方法に関する。
従来、加工肉製品、水産物練製品、畜肉、魚、チーズ等の食品の包装材料として熱収縮性フィルムが使用されている。熱収縮性フィルムは内容物とのタイトフィットを目的として使用され、例えば、熱収縮性フィルムから形成される袋・パウチの中に、内容物を充填し真空包装を行い、次いで真空包装された製品を熱水シャワー中に通したり、熱水中に浸漬し、袋を熱収縮させる方法がよく用いられる。熱収縮性フィルムを収縮させた場合に、フィルムの透明性や光沢等の光学特性が、特に収縮後に悪化しないことが望まれる。
包装材料である熱収縮性フィルムは、製袋機によって袋・パウチに形成されたり、包装機械により包装が行われたりするようになっていることから、優れた滑り性等の機械適性も望まれている。滑り性を改良するために、フィルムの表面に澱粉等の粉粒体を散布する方法や、フィルムに有機滑剤や無機滑剤を練込む方法が行われているが、フィルムの透明性や光沢等の光学特性が損なわれたり、収縮性能が低下したりせず、また、フィルムの製造効率の低下を招かないことが望まれる。
一方、真空包装より更に充填速度の向上を図りやすい方法として、真空包装を利用したいわゆる深絞り包装がある。この方法は、熱収縮性フィルムを深絞り成形することにより形成した底材に、内容物(被包装物)を充填した後、別途調製した熱収縮性フィルム等の蓋材をシールするとともに真空脱気する真空包装であり、スライスハムなどの包装に広く用いられている。そこで、深絞り成形に対する成形加工性に優れ、底材に適する強度を有する熱収縮性フィルムが求められる。
真空包装や深絞り包装においては、密着性を向上させるために、ヒートシールが行われることから、シール適性が求められることもある。
包装材料である熱収縮性フィルムには、これら諸特性が併せて求められることから、表面層(外表面層と内表面層との2つの層を備えることもある。)と中間層とを備える積層構造の熱収縮性フィルム、すなわち熱収縮性多層フィルムが知られている。
包装材料である熱収縮性多層フィルムは、食品等の被包装物を保護・保存するために、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のガスバリア性が求められることがあり、塩化ビニリデン共重合体(PVDC);エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH);ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)やポリヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド(ナイロン6I/6T)等の芳香族ポリアミド;アクリロニトリル共重合体(PAN)などから形成するガスバリア層を備えることが知られている。
また、表面層と中間層との間や、ガスバリア層と表面層または中間層との間に、層間の接着強度を高めるために接着層を備えることも行われている。
熱収縮性多層フィルムは、例えば、各層を形成する樹脂に、所望する性質を損なわない範囲で各種添加剤、安定剤などを含有させ、各樹脂をそれぞれ別の押出機で溶融混練し、Tダイまたは環状ダイにより共押出して溶融成形することにより、未延伸の多層フィルム(または多層シート)を得た後に、テンター法やインフレーション法などのそれ自体周知の延伸方法により二軸延伸することによって製造することができる。
包装材料等に使用される熱収縮性多層フィルムとしては、透明性や光沢に優れ、フィルムの製造時や、包装時の加工性や滑り性に優れるなど、諸特性の良好なバランスを有することが望まれている。
特許文献1〜特許文献3には、外表面層としてポリエステルまたはポリオレフィン、中間層としてポリアミド、内表面層としてシール可能なポリオレフィンを、それぞれ含有する層を備える熱収縮性多層フィルムが開示されている。これらの特許文献には、更に、ガスバリア層及び/または接着層を備える熱収縮性多層フィルムが開示され、また、滑り性改善のために滑剤を含有する層を備えることが開示されている。
〔カーボンオフセット〕
ところで、有機物である合成樹脂や、該合成樹脂から形成される成形品を燃焼させると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球環境を温暖化するガス、すなわち温室効果ガス(「グリーンハウスガス」ともいう。)の一つであり、人による産業活動とともに増え続け、特に産業革命以後、急増し続けている。人の生存が持続可能な地球環境を維持するために、二酸化炭素については、地球の海や大気に循環する二酸化炭素の総量を現在以上に増やさない理念が共有されている。
現在、合成樹脂材料のほとんどは、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料由来の化合物を出発原料として使用して製造されたものが使用されている。化石燃料は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を含有する。化石燃料、または化石燃料由来の化合物を出発原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素を大気中に放出することは、地中深くに固定され、大気中には存在しなかった炭素を、二酸化炭素として急激に大気中に放出することになるので、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、地球温暖化の原因となる。
一方、地球環境内において循環する二酸化炭素を吸収しながら育つ生物(植物、動物)を、地球の大気で燃やして二酸化炭素を発生させても、地球環境内に存在する二酸化炭素の循環であるので、その二酸化炭素を構成する炭素の総量には変化がない。この炭素の出入りは、炭素の相殺〔カーボンオフセット(carbon offset) 〕または出入りのない〔カーボンニュートラル(carbon neutral) 〕の状態といわれ、地球環境内に存在する二酸化炭素を増大させるカーボンネガティブ(carbon negative)と区別される。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成し、現存する炭素は、再生可能な炭素(renewable carbon)、モダン炭素(modern carbon、contemporary carbon)、バイオ起源炭素(bio-resourced carbon、biobased carbon、biogenic carbon)、バイオマス由来炭素(biomass derived carbon)、グリーン炭素(green carbon)、地球環境炭素(atmospheric carbon、environmentally friendly carbon) またはライフサイクル炭素(life-cycle carbon)等といわれ、その対極である化石燃料由来の炭素(fossil carbon、fossil fuel based carbon、petrochemical based carbon、carbon of fossil origin)と区別される。
特に、植物は、地球環境内で循環する二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素と水とを原料とする光合成反応を行い、有機体として同化・固定化することにより生育する生物であることから、炭素源として注目されている。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物からアルコール成分、特にエチルアルコール(バイオエタノール)を蒸留分離し、その脱水反応によりアルケンであるエチレンを得て、通常の樹脂合成手段を介してエチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂を得ることができる(特許文献4)。この履歴を有する合成樹脂は、カーボンオフセットポリオレフィン(carbon offset polyolefin)、バイオ起源ポリオレフィン(biogenic polyolefin)または植物由来の合成樹脂(plant based resin)などといわれる。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する炭素は、同位体(アイソトープ)である放射性の炭素14(「14C」ということもある。)、安定な炭素12(「12C」ということもある。)及び準安定な炭素13(「13C」ということもある。)の混合物であり、その質量比率が、12C(98.892質量%)、13C(1.108質量%)及び14C(痕跡量である1.2×10-12質量%〜1.2×10-10質量%)であることは周知である。12Cと13Cとの比率は安定している。また、放射性の14Cは、大気上層で一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、大気中の窒素原子(14N)に衝突することによって生成されるので、太陽の黒点活動の強弱等により若干変動するものの、常に供給され続けており、一方、半減期5730年で減少する。
地球環境内で循環する二酸化炭素を絶えず吸収しながら育つ生物(植物、動物)は、その生存中、地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する3種類の炭素同位体の質量比率を引き継ぎ続ける。生物が死滅すれば、生物内部における3種類の炭素同位体の質量比率は、死滅時点の比率で固定化される。14Cの半減期は、5730年であり、これを利用して種々の試料の年代を推定する考古学的年代測定法が周知である。一方、14Cの半減期5730年よりはるか昔の太古に生息した生物の死滅から長期間が経過して形成された化石燃料中の14Cは、地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、ほぼ0(測定機器の検出限界未満)とみなすことができるので、化石燃料由来の合成樹脂中の14Cは、ほぼ0とみなすことができる。
したがって、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂とは、含有される14Cの比率によって区別することが可能である。なお、生育している植物を収穫して、それを糖化してアルコール(バイオエタノール)とし、その脱水反応によるアルケンであるエチレンを原料として、通常の樹脂合成手段を介して植物由来の合成樹脂とするまでの時間は、数か月間程度であり、14Cの半減期5730年からみれば無視できるから、植物由来の合成樹脂を製造するまでのタイムラグは、植物由来の合成樹脂か、化石燃料由来の合成樹脂かの判別に、実質的な影響がない。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する放射性の14Cの比率は、産業革命以来、人類が大量の化石燃料を燃焼させることで、希釈され、低減していたが、西暦1950年以降の大気圏内核実験によって増加に転じた。すなわち、大気圏内核実験により放射性の14Cの生成量は、宇宙線の作用でできた中性子との衝突で生じる14Nの原子核反応による放射性の14Cの生成量を超えていた。その後、1964年の核実験停止条約により、放射性の14Cの比率は、1963年をピークとして減少に転じ、その後の原発事故等による変動があるものの、1950年における放射性の14Cの比率には至っていない。
そこで、植物由来の有機物質と化石燃料由来の有機物質との区別については、1950年時点の放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、ASTM D6866−12(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。ASTM D6866は、放射性炭素年代測定法を利用した固体・液体・気体試料中の生物起源炭素濃度を決定するASTM(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)の標準規格であり、2004年に承認されて以来、改訂が重ねられ、現在の最新規格ASTM D6866−12は、2012年4月改訂のものである。
ASTM D6866−12が規定する原理は、概略以下のとおりである。すなわち、化石燃料由来の有機物質は、1950年よりはるか昔の時代に、生物(動物・植物)の死滅または刈取りがあり、そのときの炭素同位体の比率組成が固定されているので、植物由来の有機物質を構成する炭素の存在比率は0(zero)である。そこで、炭素同位体の比率組成において、安定比率である13C/12Cと、放射性の14Cとの関数で規定するモダン炭素比率(percent modern carbon:pMC)単位を用いて、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率を、0pMCとする(測定機器の検出限界未満を意味する。)。また、1950年時点の炭素同位体の比率組成を有する標準物質〔NISTが供給するシュウ酸(SRM4990)、または同等有機物質〕のモダン炭素比率を100pMCと定める。この0〜100pMCを基準として、試料のモダン炭素比率を求めることにより、化石燃料由来の有機物質と植物由来の有機物質との割合を決定するものである。現在製造される植物由来の有機物質のASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率(以下、単に「モダン炭素比率」ということがある。)は、1950年以降に行われた大気圏内核実験などによって人為的に増加した14Cの影響により、少なくとも102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度である。14Cの比率がピークである核実験停止条約前の1963年におけるモダン炭素比率は、118pMCであった。したがって、有機物質のモダン炭素比率が、102〜118pMCであれば、確実に植物由来の有機物質のみからなるものであるということができる。
また、既知の植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率の値から、該植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、0pMCである。)との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)における植物由来の合成樹脂の含有比率を算出することができ、植物由来の合成樹脂の質量比率を、「%Corg.renew」と記載することがある。例えば、樹脂組成物におけるバイオ化率90%の植物由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、107pMC×0.9=96.3pMCと算出される。)と化石燃料由来の合成樹脂との質量比率が50:50であるときは、この樹脂組成物は、モダン炭素比率が48.2pMC(107pMC×0.9×0.50=48.15pMCとして計算される。)であり、45%Corg.renew(90%×0.5として算出される。)である。また、その樹脂組成物における前記の質量比率が60:40である場合は、モダン炭素比率は57.8pMC(107pMC×0.9×0.6=57.78pMCとして計算される。)であり、54%Corg.renew(90%×0.6として算出される。)である。なお、「バイオ化率」(%)とは、合成樹脂中の植物由来の合成樹脂の質量比率であり、「バイオマスプラスチック度」、「バイオマス度」ということもある。バイオ化率が25%であれば、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示制度(2006年7月発足)に基づき、バイオマスプラスチック度が25(質量)%以上のプラスチック製品を、「バイオマスプラ」と称することが許容される。
一方、植物由来の合成樹脂を含有せず、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物は、先に述べたとおり地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、本来モダン炭素比率が0pMCである。しかし、実際には、1950年以後に行われた核実験や原発事故に由来する放射性の14Cが混入したり、現代の地球環境内で循環する二酸化炭素が表面に吸着または透過して炭素アイソトープ交換が生じたりすることにより、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがある。しかし、多くの場合、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、0.01〜0.03pMCの範囲であり、実質的に0pMCであるということができる。少なくとも、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が0〜8pMCであれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、化石燃料由来の合成樹脂または化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物であるということができる。
なお、石灰石の成分であり、種々の目的で化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物に配合されることがある炭酸カルシウム等の、無機炭素に由来する放射性の14Cの影響がみられるときがあるが、モダン炭素比率の測定においては、その影響を除く方法が標準化されている。
また、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物においては、有機炭素を含有する添加剤や配合剤に由来する放射性の14Cが影響したりして、希釈されるために、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがあるが、通常の配合量であれば、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。
化石燃料由来の合成樹脂と植物由来の合成樹脂とは、原理的には、モダン炭素比率において相違するのみであるので、地球環境に与える影響(カーボンオフセット性またはカーボンニュートラルであるか、反対にカーボンネガティブであるか。)を除くほかは、該合成樹脂からの樹脂製品の製造工程や形成された樹脂製品については、取扱いにおける変化や差異はないと考えられていた。しかし、現実には、例えば、相溶性や機械的特性において差異がある場合があることも知られている(特許文献5)。
特に、熱収縮性多層フィルムについては、複数の樹脂材料を共押出成形して未延伸の積層フィルムを形成し、次いで、二軸延伸を行って、所定の組成と厚みを有する樹脂層の積層体を得るという製造工程の複雑さに加えて、例えば包装材料用である熱収縮性フィルムにおいては、自動包装機械に対する機械適性、収縮後のフィルムの美麗さ、及び被包装材との良好なフィット性やガスバリア性の確保等の高い包装性能の要求などから、求められる性能は厳しいものがある。そこで、包装材料等に使用される熱収縮性多層フィルムとしては、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる積層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムが望まれていた。
国際公開第2001/098081号 特開平11−300914号 特開2002−172746号 特表2010−511634号 特開2011−132525号
本発明の課題は、カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、熱収縮性多層フィルムの表面層及び/またはシール可能な表面層を、モダン炭素比率が所定範囲内であるものとすることにより、また好ましくは更に、特定の脂肪酸アミド滑剤と無機滑剤を含有するものとし、かつ、熱収縮性多層フィルムのヘーズを所定の範囲内とすることにより課題を解決することができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
ことを特徴とする植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムが提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(8)の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムが提供される。
(1)さらに、ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、
iii)ヘーズが25%以下である前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(2)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、以下の(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−) n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(3)ガスバリア層(D)を更に備える前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(4)接着層(E)を更に備える前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(5)表面層(A)に含有されるポリエステルが芳香族ポリエステルである前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(6)表面層(A)に含有されるポリオレフィンがエチレン・α−オレフィン共重合体である前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(7)ガスバリア層(D)がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有する前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
(8)包装材料用である前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
さらに、本発明によれば、共押出成形により多層シートを製造し、次いで、該多層シートを2軸方向に延伸する前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法が提供される。
本発明によれば、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
ことを特徴とする植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム、
好ましくは更に、ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、iii)ヘーズが25%以下である
植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムであることによって、
カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムが提供されるという効果が奏される。
さらに、本発明によれば、共押出成形により多層シートを製造し、次いで、該多層シートを2軸方向に延伸する前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法であることによって、前記の熱収縮性多層フィルムを容易に製造することができるという効果が奏される。
I.熱収縮性多層フィルム
本発明の熱収縮性多層フィルムは、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
ことを特徴とする植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム(以下、「植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム」ということがある。)であり、
好ましくは更に、
ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、iii)ヘーズが25%以下である
植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムである。なお、本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、前記の表面層(A)、中間層(B)及び表面層(C)を、「少なくともこの順に備える」とは、表面層(A)、中間層(B)及び表面層(C)の3つの層を、熱収縮性多層フィルムの層構成として、この順に備える限り、例えば、後述するガスバリア層(D)や接着層(E)等の1以上の層を、前記の3つの層の間(1つの層間でも、複数の層間でもよい。)に備える熱収縮性多層フィルム、更には前記の3つの層のいずれかを複数備える熱収縮性多層フィルムでもよいことを意味する。
1.ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)
本発明の熱収縮性多層フィルムは、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)〔以下、単に「表面層(A)」ということがある。〕を備えることにより、ポリアミドを含有する中間層(B)との積層状態において、適当な延伸性を有し、かつ中間層(B)への水の浸透を防ぐことができる。表面層(A)は、熱収縮性多層フィルムの表面を形成する最も外側の樹脂層であり、また、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよい。
〔ポリエステル〕
表面層(A)に含有されるポリエステルとしては、従来、樹脂製の熱収縮性多層フィルムの表面層を形成するために使用されているポリエステルを使用することができ、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルのいずれも用いることができる。ポリエステルを形成するジカルボン酸成分としては、通常の製造方法でポリエステルを得ることができるものを使用することができ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸;不飽和脂肪酸の二量体からなるダイマー酸;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、ポリエステルを形成するジオール成分としては、通常の製造方法でポリエステルが得られるものであればよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(トリメチレングリコール)、テトラメチレングリコール(ブチレングリコール)、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−アルキル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
耐熱性等の観点から、表面層(A)に含有されるポリエステルは、好ましくは芳香族ポリエステルであり、より好ましくは芳香族ジカルボン酸成分としてのテレフタル酸と炭素数10以下のジオールから形成されるポリエステルであり、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等である。また、テレフタル酸の一部、好ましくは30モル%以下、より好ましくは15モル%以下を他のジカルボン酸、例えばイソフタル酸で置き換えた共重合ポリエステルや、例えばエチレングリコール等のジオール成分の一部を他のジオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールで置き換えた共重合ポリエステルを使用することもでき、好ましくはエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体である。さらに、異種のポリエステルを2種以上混合して使用してもよい。ポリエステルとしては、極限粘度(フェノール/テトラクロロエタン(1/1)混合溶媒中、温度25℃で測定)が0.6〜1.2程度であるものが好ましく用いられる。表面層(A)に含有されるポリエステルは、例えば、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製のエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体であるベルペット(登録商標)や三井・デュポン ポリケミカル株式会社製のPTTであるバイオマックス(登録商標)等を使用してもよいし、合成品を使用してもよい。
なお、ポリエステルを含有する表面層(A)が、モダン炭素比率が10〜118pMCである場合、植物由来のエチレン等を出発原料として化学合成して得たモノマー(ジカルボン酸成分及び/またはジオール成分)や、酵素等を利用する発酵反応によって得たモノマーを、必要に応じて他のモノマー(化石燃料由来または植物由来)とともに、重合させることによりポリエステルを調製し、そのモダン炭素比率について認証を得てもよいが、あらかじめバイオ化率が確認されている市販の植物由来のポリエステルを使用してもよい。例えば、先に述べたPTTであるバイオマックス(登録商標)は、市販の植物由来のPTTである。
〔ポリオレフィン〕
表面層(A)に含有されるポリオレフィンとしては、従来、樹脂製の熱収縮性多層フィルムの表面層を形成するために使用されているポリオレフィンを使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン等の狭義のポリオレフィン;直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン・α−オレフィン共重合体;変性オレフィン系樹脂(例えば、オレフィン類の単独または共重合体とマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸や酸無水物やエステル若しくは金属塩等との反応物など);アイオノマー(IO);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA);エチレン・メタクリル酸・不飽和脂肪族カルボン酸共重合体;エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のアクリル系樹脂;などのポリオレフィンが挙げられる。好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体である。これらの樹脂は、単独で、または他の樹脂とのブレンド物として使用することができる。
なお、ポリオレフィンを含有する表面層(A)は、モダン炭素比率が10〜118pMCである場合、植物由来のエチレン等を出発原料として化学合成して得たオレフィンモノマーや、酵素等を利用する発酵反応によって得たオレフィンモノマーを、必要に応じて他のオレフィンモノマー(化石燃料由来または植物由来)とともに、重合させることによりポリオレフィンを調製し、そのモダン炭素比率について認証を得てもよいが、あらかじめバイオ化率が確認されている市販の植物由来のポリオレフィンを使用してもよい。例えば、ブラスケム社製の植物由来LLDPE(エチレン・α−エチレン共重合体)〔「BRASKEM SLH118」、バイオマス度;84%(89.9pMC)〕等が市販されている。
熱収縮性多層フィルムを、例えば包装材料として使用する場合、表面層(A)は、被包装物を包被した包装製品の最外表面に現れるので、透明性や光沢に優れ、また、他の物品や装置を接触しても破損しない耐久性や耐熱性、更には、製袋機や包装機械等の機械表面との低摩擦性などが求められることがある。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)を備えることにより、これらの特性に優れる熱収縮性多層フィルムとすることができる。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの表面層(A)を形成する樹脂には、成形加工性を改善したり、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの諸特性を改良するために、必要に応じて一般に使用される各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができ、滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。これらの添加剤を含有する場合の含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよい。
〔滑剤〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、例えば包装材料として使用する、すなわち、包装材料用である熱収縮性多層フィルムとすることができるものであるので、その場合、外表面に現れる表面層(A)には、低摩擦性や耐久性等が望まれる。したがって、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが備える表面層(A)は、滑剤を含有するものである。滑剤としては、一般に使用される滑剤を選択することができ、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機滑剤や有機滑剤を使用することができる。表面層(A)は、製袋機による製袋や自動充填包装機械を使用する包装に適する機械適性の観点から、無機滑剤を含有することが好ましく、更に本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、特有の有機滑剤と無機滑剤とを併せて含有することに特徴を有する。
〔有機滑剤〕
包装材料等に用いられる熱収縮性多層フィルムにおいては、従来、有機滑剤が含有されることがあった。例えば、脂肪酸アミド、すなわち飽和脂肪酸アミドまたは不飽和脂肪酸アミドやそれらの置換アミドなどが好ましく使用されていた。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)が、これら脂肪酸アミド等の有機滑剤を含有することが好ましく、特に、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)の所定量を含有することが好ましい。
〔不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの表面層(A)に無機滑剤と併せて含有させる不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)とは、脂肪酸アミドの分子構造中に少なくとも1結合の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドである。該脂肪酸アミドの分子構造中に複数の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドである場合は、該炭素二重結合のすべてが、不飽和cis構造の炭素二重結合である不飽和脂肪酸アミドである。
特に好ましくは、前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、以下の(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミド化合物である。
不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)〔以下、「cis不飽和脂肪酸アミド(a)」ということがある。〕としては、具体的には、例えば、式(a1)で表されるcis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)、式(a2)で表されるcis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6に相当)やcis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8に相当)、式(a3)で表されるcis−13,14−docosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(k=7に相当)などが挙げられる。
表面層(A)がcis不飽和脂肪酸アミド(a)を含有する場合のその含有量は、通常0.01〜0.5質量%である。また、表面層(A)に0.01〜0.5質量%と併せて含有される無機滑剤の含有量は、通常0.01〜1.5質量%である。
すなわち、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)が、cis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有することが好ましい。cis不飽和脂肪酸アミド(a)の含有量は、好ましくは0.02〜0.46質量%、より好ましくは0.04〜0.42質量%、更に好ましくは0.06〜0.38質量%である。また、無機滑剤の含有量は、好ましくは0.05〜1.3質量%、より好ましくは0.1〜1.2質量%、更に好ましくは0.15〜1.1質量%である。
有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)及び/または無機滑剤の含有量が少なすぎると、熱収縮性多層フィルムの外表面の滑り性が不足して、機械適性が損なわれることがある。例えば、自動充填包装において、熱収縮性多層フィルム自体や自動充填包装後の包装製品の走行や搬送が円滑でなかったりして、自動包装や製袋機による製袋がスムーズに行えないおそれがある。他方、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)及び/または無機滑剤の含有量が多すぎると、搬送や包装作業中のベタ付きが多くなったりすることがあり、また、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを製造するために押出成形を行う際、ダイリップ部が汚染され、生産効率が低下したり、得られるフィルムの透明性や光沢が低下するおそれがある。cis不飽和脂肪酸アミド(a)及び/または無機滑剤は、あらかじめポリエステルやポリオレフィン等のベース樹脂中に含有させたマスターバッチとして、添加することがより好ましく、無機滑剤は、マスターバッチとして添加することが特に好ましい。
なお、不飽和脂肪酸アミドが、trans構造の炭素二重結合を有するもの、すなわち、不飽和trans構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドは、樹脂材料との均一配合が不十分であったり、該trans構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドが、ブリードしたりすることがあり、滑り性が悪化することから、有機滑剤としての機能があるとはいえず、また、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを製造するために押出成形を行う際、ダイリップ部が汚染したりすることがある。
ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)の厚みは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全層の厚みの通常2〜15%、好ましくは2.4〜12%、より好ましくは2.8〜10%であり、また、好ましくは0.5〜8μm、更には0.8〜6μmである。
2.ポリアミドを含有する中間層(B)
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ポリアミドを含有する中間層(B)を、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)と積層して備えることにより、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムに優れた延伸性や機械特性を有することができる。
中間層(B)に含有されるポリアミドとしては、従来、樹脂製の熱収縮性多層フィルムの中間層を形成するために使用されているポリアミドを使用することができ、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、または、共重合ポリアミドであるナイロン610、ナイロン612、ナイロン6−66、ナイロン66−610、ナイロン6−66−610等の脂肪族ポリアミドを使用することができる。また、ガスバリア性や耐熱性の向上が所望される場合は、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)やポリヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド(ナイロン6I−6T)等の芳香族ポリアミドを使用することもできる。これらの好ましく使用できるポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6I−6Tなどが挙げられ、が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。ポリアミドは、市販品として、宇部興産株式会社製の「UBEナイロン」、東レ株式会社製の「アミラン(登録商標)」、エムスケミー・ジャパン株式会社製の「グリボリー(登録商標)」などとして入手することが可能である。
ポリアミドを含有する中間層(B)の厚みは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全層の厚みの通常10〜40%、好ましくは12〜35%、より好ましくは15〜30%であり、好ましくは3〜50μm、更には4〜45μmである。ポリアミドを含有する中間層(B)は、所望により、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよく、これにより植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムのカーボンオフセット性の向上に寄与できることがある。
3.ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)(以下、単に「シール可能な表面層(C)」または「表面層(C)」ということがある。)を備えることにより、所望に応じて、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの端部同士〔シール可能な表面層(C)同士、または、表面層(A)とシール可能な表面層(C)〕、あるいは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムから形成した底材及び/または蓋材を、ヒートシールして接合することができ、これにより袋状の包装材料などを得ることができる。
シール可能な表面層(C)に含有されるポリオレフィンとしては、前記した表面層(A)の含有されるのと同様のポリオレフィンを使用することができ、その1種または2種以上を使用することができる。ヒートシール性の観点から、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン・α−オレフィン共重合体、または変性オレフィン系樹脂などが挙げられ、これらを単独でまたは混合して使用することができる。また、シール可能な表面層(C)は、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよい。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、モダン炭素比率が10〜118pMCであることによって、カーボンオフセット性に優れる熱収縮性多層フィルムである。
さらに、シール可能な表面層(C)には、必要に応じて外表面層(A)と同様に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができ、滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。これらの添加剤を含有する場合の含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよい。
〔滑剤〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、例えば包装材料として使用することができるものであるので、その場合、内表面に現れるシール可能な表面層(C)には、低摩擦性や耐久性等を有することが望まれる。したがって、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが備えるシール可能な表面層(C)は、滑剤を含有することが好ましい。滑剤としては、先に表面層(A)について述べたと同様に、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)と無機滑剤とを併せて含有することが好ましい。
cis不飽和脂肪酸アミド(a)の含有量は、シール可能な表面層(C)において、通常0.01〜0.5質量%である。また、シール可能な表面層(C)にcis不飽和脂肪酸アミド(a)と併せて含有される無機滑剤の含有量は、通常0.01〜1.5質量%である。
すなわち、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、シール可能な表面層(C)が、cis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有することが好ましい。cis不飽和脂肪酸アミド(a)の含有量は、好ましくは0.02〜0.46質量%、より好ましくは0.03〜0.42質量%、更に好ましくは0.04〜0.38質量%である。また、無機滑剤の含有量は、好ましくは0.05〜1.3質量%、より好ましくは0.1〜1.2質量%、更に好ましくは0.15〜1.1質量%である。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、cis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有する。
シール可能な表面層(C)の融点は、好ましくは75〜125℃、より好ましくは80〜124℃の範囲である。また、シール可能な表面層(C)の厚みは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全層の厚みの通常40〜80%、好ましくは45〜75%、より好ましくは50〜70%であり、また、好ましくは10〜100μm、更には11〜90μmである。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが備えるシール可能な表面層(C)は、ヒートシール性を有する単一の層であってもよいが、複数の層からなる層であってもよい。シール可能な表面層(C)が、複数の層からなる層である場合は、該シール可能な表面層(C)は、表層側に配置されるヒートシール層(C1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(C2)とを備えるものであることが望ましい。表層側に配置されるヒートシール層(C1)〔以下、単に「シール層(C1)」ということがある。〕は、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの表面、具体的には包装材料として使用する場合、内表面を形成する表層側に配置される層であって、ヒートシール性を有する層である。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを、例えば包装材料として使用する場合、内表面層(C)のシール層(C1)同士、または、外表面層(A)と内表面層(C)のシール層(C1)とを、ヒートシールして接合させて袋状の包装材料とすることができる。
シール層(C1)を形成する樹脂としては、先にシール可能な表面層(C)について述べたポリオレフィンが使用される。また、シール層(C1)は、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよい。さらに、シール層(C1)には、先に内表面層(C)について述べた各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができ、滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。これらの添加剤を含有する場合の含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよい。
例えば、シール層(C1)は、表面、具体的には内表面を形成する層であるので、先に述べたcis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有することが好ましい。シール層(C1)の融点は、好ましくは75〜125℃、より好ましくは80〜124℃の範囲である。
(2)ヒートシール層に隣接する層(C2)
ヒートシール層に隣接する層(C2)〔以下、「シール層隣接層(C2)」ということがある。〕は、主に、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの強度等の機械特性や延伸等の成形加工性を発現するために設けられる樹脂層である。シール層隣接層(C2)を形成する樹脂としては、前記した外表面層(A)を形成するために使用される樹脂と同様の樹脂を使用することができ、ポリオレフィンが好ましく、機械特性や成形加工性を発現する観点から、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が特に好ましく使用され、また先に述べた添加剤を含有させてもよい。シール層隣接層(C2)は、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよい。
4.ガスバリア層(D)
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ガスバリア層(D)を更に備える植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムであることが好ましい。すなわち、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ガスバリア層(D)を更に備えることにより、ガスバリア性を向上させることができ、被包装体の保存性を高めることができる。なお、ガスバリア層(D)は、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの表層(最外層または最内層)として備えられるよりも、ポリアミドを含有する中間層(B)と隣接して備えられることが好ましい。
ガスバリア層(D)としては、酸素バリア性、炭酸ガスバリア性等のガスバリア性を有するものであり、好ましくは更に水または水蒸気に対するバリア性を有するものを使用することができる。ガスバリア層(D)の材料は、特に限定されず、金属または無機酸化物を蒸着した樹脂フィルムの層、金属箔やガスバリア性樹脂などを使用することもできるが、好ましくはガスバリア性樹脂である。
ガスバリア層(D)を形成するバリア性樹脂の好ましい例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、芳香族ポリアミド(MXD6)等の樹脂が挙げられる。好ましくは、エチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ということがある。)であり、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物が挙げられる。EVOHとしては、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは25〜55モル%、より好ましくは30〜50モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、特に好ましくは99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
ガスバリア層(D)を形成するバリア性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を含有させることができる。
ガスバリア層(D)の厚みは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全層の厚みの通常2.5〜20%、好ましくは3〜18%、より好ましくは3.5〜15%であり、好ましくは2〜20μm、更には3〜18μmである。
5.接着層(E)
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、該多層フィルムが備える各層の間に、必要に応じて接着層(E)を備えることができる。すなわち、接着層(E)を更に備える植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが好ましい。接着層(E)は、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)とポリアミドを含有する中間層(B)との間、及び/または、ポリアミドを含有する中間層(B)とポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)との間に備えることが好ましい。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムがガスバリア層(D)を備える場合は、ガスバリア層(D)とポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)との間に備えられることが好ましい。なお、接着層(E)は、厚みを厚くして、中間層(B)が備える層の一つとして使用してもよい。
接着層(E)を形成する樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)またはエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)などの酸変性物が挙げられる。酸変性とは、マレイン酸、イタコン酸等の二塩基性不飽和脂肪酸またはこれらの無水物や、アクリル酸、メタクリル酸等の一塩基性不飽和脂肪酸をグラフト重合反応したものをいう。接着層(E)は、モダン炭素比率が10〜118pMCであるものとしてもよい。
接着層(E)の厚みは、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全層の厚みの通常0.5〜7%、好ましくは1〜6.5%、より好ましくは1.5〜6.3%であり、また、好ましくは0.3〜3μm、更には0.5〜2.5μmである。
6.ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)及び/またはポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)のモダン炭素比率
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであることを特徴とする。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムにおける表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方のモダン炭素比率が10〜118pMCであることは、先に述べたように、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率が8pMCを超えることがないことから、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)が、植物由来のポリオレフィンを含有するものであることを意味し、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムがカーボンオフセット性に優れたものであることを意味する。
表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)のモダン炭素比率は、カーボンオフセット性の観点から、好ましくは15〜118pMC、より好ましくは17〜118pMCである。さらに、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)のモダン炭素比率が26.8pMC以上であれば、該表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)は、バイオマスプラ識別表示制度による「バイオマスプラ」と称することが許容される(107pMC×0.25=26.75pMCを超えている。)。
モダン炭素比率が10〜118pMCである表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)に含有することができるポリオレフィンとしては、植物由来のエチレン等を使用してポリオレフィンを合成し、そのモダン炭素比率について認証を得てもよいが、あらかじめバイオ化率が確認されている市販の植物由来のポリオレフィンを使用してもよい。市販の植物由来のポリオレフィンとしては、ブラスケム社製のグリーンポリエチレンに属するバイオマスLLDPE等が知られている。
なお、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)以外の層の1つ以上の層、例えば、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(D)または接着層(E)のいずれかの層(1層または複数の層)が、モダン炭素比率が10〜118pMCであってもよく、このことにより、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム全体としてのバイオプラスック度が向上し、カーボンオフセット性が更に向上する。
II.植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム及びその製造方法
1.植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
ことを特徴とする植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムであり、好ましくは更に、ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、
iii)ヘーズが25%以下である植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムである。
すなわち、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)が、植物由来のポリエステルまたはポリオレフィンを含有することを特徴とし、このことによって、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる熱収縮性多層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる熱収縮性多層フィルムが提供される。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの全層の厚みは、特に限定されないが、通常10〜250μm、好ましくは15〜200μm、より好ましくは20〜200μmの範囲である。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムのより具体的な層構成を例示すると、層の構造としては、
例えば、表面層(A)/中間層(B)/表面層(C)、表面層(A)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/表面層(C)、表面層(A)/ガスバリア層(D)/中間層(B)/表面層(C)、表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/表面層(C)、表面層(A)/中間層(B)/接着層(E)/表面層(C)、表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/接着層(E)/表面層(C)、表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/表面層(C)、表面層(A)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/表面層(C)、表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/表面層(C)、表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/接着層(E)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/表面層(C)などの構造が挙げられる。特に好ましい層の構造としては、ポリエステルを含有する表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/LLDPEを含有する表面層(C)、ポリエステルを含有する表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/VLDPEを含有する表面層(C)、LLDPEを含有する表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/LLDPEを含有する表面層(C)、LLDPEを含有する表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/ガスバリア層(D)/接着層(E)/VLDPEを含有する表面層(C)などが挙げられる。
2.植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの特性
本発明の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムは、カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムである。具体的には、熱収縮性(熱水収縮率)、光沢度、透明性、滑り性、及び強度(突き刺し強度)などにおいて、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない優れた特性を有する。さらに、包装材料用の用途に求められるピロー包装適性、製袋加工性(製袋の機械適性)及び袋の開口性において、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない特性を有する。また、本発明の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムは、包装容器の蓋材としての適性(リッド成形性)を有するものとすることができ、更にまた、包装容器の底材としての適性(深絞り適性等)を有するものとすることもできることから、適用可能性が高い熱収縮性多層フィルムであるといえる。
〔透明性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、透明性に優れ、具体的には、その透明性は、JIS K7136に準拠して測定する曇り度(ヘーズ。単位:%)が、25%以下であることに特徴を有する。本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの曇り度(ヘーズ、単位:%)は、好ましくは23%以下、より好ましくは20%以下とすることができ、場合によって15%以下とすることができる。曇り度(ヘーズ)は、値が大きくなるほど透明性が悪く、曇り度(ヘーズ)が25%を超える植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、包装材料用などの用途に適するものとはいえない。曇り度(ヘーズ)の下限値は0%であるが、通常1%程度である。
〔光沢〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、光沢に優れ、JIS Z8741に準拠する光沢度(グロス、単位:%)が、ロール表面部において、MD及びTDのいずれについても、100%以上、好ましくは103%以上、より好ましくは105%以上である実用性のある光沢を有することができる。光沢度(グロス)は、値が大きくなるほど、光沢が優れているといえる。光沢度(グロス)の上限値は特にないが、光沢度(グロス)は通常140%程度以下である。
〔熱水収縮率〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、収縮性に優れ、その温度90℃における熱水収縮率(単位:%。以下、単に「熱水収縮率」ということがある。)が、多層フィルムフィルムを形成する機械方向(以下、「縦方向」または「MD」ということがある。)及び前記機械方向と直交する方向(以下、「横方向」または「TD」ということがある。)のいずれについても、通常5%以上であり、好ましくは10%以上である実用性のある熱水収縮率を有することができる。熱水収縮率の上限値は特にないが、熱水収縮率は通常60%程度以下である。
〔滑り性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、滑り性に優れ、表面層(A)の動摩擦係数が、0.3以下、好ましくは0.26以下、より好ましくは0.23以下である実用性のある滑り性を有することができる。表面層(A)の動摩擦係数が大きすぎると、滑り性が優れているといえず、熱収縮性多層フィルムの自動包装適性が不足することがある。表面層(A)の動摩擦係数の下限値は、0であるが、通常0.05程度である。
〔強度〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、包装材料用の用途等において求められる強度に優れ、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下における突き刺し強度(単位:N)が、7N以上、好ましくは8N以上、より好ましくは9N以上である実用性のある強度を有することができる。突き刺し強度が小さすぎると、包装体の輸送中にピンホールが発生することがある。突き刺し強度の上限値は特にないが、通常50N程度である。
3.包装材料用である植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの性能
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、包装材料用である植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムとすることができ、該熱収縮性多層フィルムは、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない優れた包装適性を有するものとすることができる。具体的には、以下の諸性能を有する。
〔ピロー包装適性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、該熱収縮性多層フィルムを用いて、ピロー包装機を使用してピロー包装を行うとき、シールバーの位置ずれが生ずることなく所定速度で安定した包装を行えるものとすることができる。
〔製袋加工性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、包装材への成形加工性(以下、「製袋加工性」ということがある。)に優れる。製袋加工性は、具体的には、該熱収縮性多層フィルムから自動製袋機によって袋を形成するとき、連続運転が遂行できるという機械適性であり、より好ましくは、製袋時の袋に皺の発生がない優れた機械適性である。
〔袋の開口性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムから形成される包装体として、袋の開口性に優れる袋を形成することができる。袋の開口性は、具体的には、チューブ状の該多層フィルムから、一端がシールされ他端が開口した袋を形成するとき、該袋を水平な面に置いて、袋の開口部の上側を持ち上げるときに、袋の内面側全体が開いているような袋を得られるかどうかにより評価されるものである。
〔リッド成形性〕
本発明の包装材料用である植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが厚み50μm未満の相対的に薄手の熱収縮性多層フィルムである場合は、この熱収縮性多層フィルムを蓋材として用いて、トレイに対するリッド成形を行うとき、蓋材フィルムの緩みやトレイの変形がなく、優れたリッド成形性(トレイ蓋材適性)を有するものとすることができる。
他方、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムが厚み50μm以上の相対的に厚手の熱収縮性多層フィルムである場合は、底材適性を有するものとすることができる。具体的には、熱収縮性多層フィルムを使用して包装体を形成するとき、厚みが大きいにもかかわらず深絞り成形に使用する金型形状に忠実な成形が可能で外観にも優れるという効果を奏し、また、使用に十分な強度を有するという効果を奏するものとすることができる。
〔深絞り成形性〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、深さ50mmの深絞り成形を行っても、フィルムの破れが生じることなく、金型に設けた深絞り形状である成形面の形状に忠実な所定深さの深絞り成形品を得られるという優れた深絞り成形性を有するものとすることができる。
〔虐待強度〕
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、該熱収縮性多層フィルムにより包装した包装体を、六角管状箱中に置いて実施する六角回転テスト(虐待テスト)によってもピンホールの発生が極めて少ないという優れた虐待強度を有するものとすることができる。
4.植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、共押出成形により多層シート(フィルムより厚みが大きく、通常100μm程度以上の厚みを有するものをいう場合がある。)を製造し、次いで、該多層シートを2軸方向に延伸する植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法によって得ることができる。すなわち、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを形成する各層、具体的には、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)、並びに、所望により、ガスバリア層(D)及び/または接着層(E)のそれぞれに含有される樹脂成分等からなる原料を、複数の押出機にそれぞれ供給し、共押出成形することによって、未延伸の多層シートの管状体(パリソン)を作成し、次いで、インフレーション延伸法により、未延伸の管状体(パリソン)を2軸延伸し、所望により弛緩下で熱処理することによって、延伸された熱収縮性を有する多層フィルム、すなわち熱収縮性多層フィルムを得ることができる。延伸倍率は、縦方向及び横方向のいずれについても、通常2〜4倍、好ましくは2.2〜3.8倍、より好ましくは2.5〜3.5倍程度である。各層を形成する樹脂成分等からなる原料の環状ダイへの供給割合を調整することにより、熱収縮性多層フィルムの各層の厚み及び全層の厚みを調整することができる。延伸後、熱処理をする場合、熱処理温度は、通常60〜95℃、好ましくは65〜90℃であり、弛緩率は、縦方向及び横方向のいずれについても、通常2〜30%、好ましくは3〜25%である。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、モダン炭素比率が10〜118pMCであることに特徴を有するが、上記の方法によれば、化石燃料由来の樹脂層のみを備える熱収縮性多層フィルムと遜色なく、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
また、本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、好ましくは更に、表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、cis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有することにより、容易に植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
延伸性や得られる熱収縮性多層フィルムの耐熱性、機械的強度などを改善するために、2軸延伸の前または後で、公知の方法により、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムに放射線照射を施してもよい。放射線照射は、α線、β線、電子線、γ線、X線など公知のエネルギー線を使用することができるが、照射前後での架橋効果の観点から、電子線またはγ線が好ましく、中でも電子線が、作業性や生産能力の高さなどの点でより好ましい。放射線の照射条件は、目的とする用途に応じて、適宜設定すればよく、例えば、電子線の場合は、加速電圧が150〜500kV、照射線量が10〜200kGyの範囲が好ましい。
また、上述した本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの内表面または外表面の一方または両方にコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理を行ってもよい。例えば、被包装体である肉材料との密着性を改善するために、内表面にコロナ放電処理を行うことにより、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム表面のぬれ張力を、好ましくは32dyn/cm以上、より好ましくは34dyn/cm以上となるように調整することができる。
本発明の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムは、用途に応じて、巻き取りロールから巻き戻されて、所定幅にスリットして、再度巻き取りロールに巻き取って使用することができる。その際、スリット後に再度巻き取りロールに巻き取られた多層フィルムのロールに皺が発生しないよう留意する必要があり、例えば、スリット時の多層フィルムの走行速度や張力を調整する。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂原料及び熱収縮性多層フィルムの特性または物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔密度、融点及びガラス転移温度〕
樹脂材料の密度はASTM D1505に準拠して、融点及びガラス転移温度はJIS K7121に準拠して、それぞれ測定した。
〔MFR〕
樹脂材料のMFRは、ASTM D1238に準拠し、株式会社東洋精機製作所製のメルトインデクサーを使用して、温度190℃の条件で測定した。
〔曇り度(ヘーズ)〕
熱収縮性多層フィルムの透明性は、JIS K7105に準拠し、日本電色工業株式会社製の曇り度計NDH−2000を使用して、曇り度(ヘーズ、単位:%)を測定した(n=5の平均値)。
〔光沢度(グロス)〕
熱収縮性多層フィルムの光沢度は、JIS Z8741に準拠し、日本電色工業株式会社製の光沢計VG−2000を使用して、ロール表面部における光沢度(グロス、単位:%)を、TD及びMDについて測定した(n=5の平均値)。
〔熱水収縮率〕
熱収縮性多層フィルムの熱水収縮率は、ASTM D2732に準拠し、以下の方法で測定した。すなわち、熱収縮性多層フィルムのMD(縦方向)及びTD(横方向)に各々10cmの距離に印を付けた試料を、温度90℃の熱水に10秒間浸漬した後に取り出して、直ちに常温の水で冷却し、次いで、印の間の距離を測定して、10cmからこの測定値を差し引いた値を求め、この値の10cmに対する割合を、TD及びMDについて百分率で表示して熱水収縮率(単位:%)とした(n=5の平均値)。
〔表面層(A)の動摩擦係数〕
熱収縮性多層フィルムの表面層(A)の動摩擦係数は、JIS K7125に準拠し、株式会社東洋製機製作所製の摩擦試験器(TR型)を使用して、相手材料を金属として、熱収縮性多層フィルムの表面層(A)について測定した(n=5の平均値)。
〔突き刺し強度〕
熱収縮性多層フィルムの突き刺し強度は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下において、曲率半径0.5mmの半球状先端部を有する突き刺し用ピンを取り付けた引張試験機(オリエンテック社製「テンシロンRTM−100」)を使用して、該突き刺し用ピンを50mm/分の速度で熱収縮性多層フィルムの表面層(A)側から突き刺し、破断にいたるまでの最大点の強度の値を突き刺し強度(単位:N)とした(n=5の平均値)。
〔ピロー包装適性〕
熱収縮性多層フィルムのピロー包装適性は、以下の方法で測定と評価を行った。すなわち、該熱収縮性多層フィルム(チューブ状)の両方の耳部をスリットして、幅380mmの熱収縮性多層フィルムとし、大森機械工業株式会社製の横型ピロー包装機NW406を使用して、シール温度180℃でピロー包装を行い、幅170mm、長さ300mmのピロー製袋品を得た。得られたピロー製袋品中に周径300mm、長さ200mmの円筒型ハムを充填、真空包装し、温度90℃の熱水中で10秒間浸漬した。以下の評価基準に従って、熱収縮性多層フィルムのピロー包装適性の評価を行った。
<ピロー包装適性の評価基準>
A:フィルムを重ねたシールしたい部分にシールバーが一致し、シール部分の縮みも小さく、フィルム速度30m/分で安定した包装ができた。
C:フィルムを重ねたシールしたい部分とシールバーの位置にズレが生じ、フィルム速度30m/分では安定した包装ができなかった。
〔製袋加工性〕
熱収縮性多層フィルムの製袋加工性は、株式会社クレハ製の製袋機BM37型を用いて熱収縮性多層フィルムの製袋を行い、以下の評価基準により、製袋加工性の評価とした。
<製袋加工性の評価基準>
○: 2時間の連続運転中、製袋された袋が滑らかに次の工程へ送られ、製袋時に袋に皺の発生がなかった。
△: 製袋時の袋に皺の発生がみられるが、製袋された袋が次の工程へ送られた。
×: 製袋された袋が製袋機のシール部付近に引っかかり、連続運転が困難であった。
〔袋の開口性〕
熱収縮性多層フィルムの袋の開口性は、株式会社クレハ製の製袋機BM37型を用いて熱収縮性多層フィルムから、一端がシールされ他端が開口した袋の製袋を行い、以下の評価基準により、袋の開口性の評価とした。
<袋の開口性の評価基準>
○: 袋を水平な面に置き、袋の開口部の上側を持ち上げたときに、袋の内面側全体が開いている。
△: 袋を水平な面に置き、袋の開口部の上側を持ち上げたときに、袋の内面側で一部が密着している。
×: 袋を水平な面に置き、袋の開口部の上側を持ち上げたときに、袋の内面側でほぼ全面が密着している。
〔リッド成形性〕
熱収縮性多層フィルムのリッド成形性は、以下の方法により測定と評価を行った。すなわち、該熱収縮性多層フィルム(チューブ状)の片方の耳部(ピンチライン)を切り開いて幅840mmのフラット状フィルムを得た。該フラット状フィルムを蓋材として用い、トレイとして、ポリエチレン/接着剤/エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物/接着剤/発泡ポリスチレン(接着剤以外の各層の厚みがそれぞれ20μm/7μm/300μmであった。)の層構成を有する縦225mm×横155mm×厚み40mmのシートを用いて、トレイのポリエチレン側とフラット状フィルムの内側樹脂層〔シール可能な表面層(C)〕とが向かいあうようにして、ROSS社製のPERFORMED TRAY MACHINEINPACK NEMA4を使用して、リッド成形を行って包装体を形成した。成形時のシール温度160℃、ショット数20パック/分とした。形成された包装体について、以下の評価基準に従って、形成された包装体の評価を行った。
<リッド成形性の評価基準>
A:良好なリッド成形ができ、包装1日後にも蓋材フィルムの弛み及びトレイの変形がみられず、美麗な外観を有していた。
C:リッド成形時にしわが入った。
〔深絞り成形性〕
熱収縮性多層フィルムの底材適性である深絞り成形性は、以下の方法により測定し評価した。すなわち、該熱収縮性多層フィルムを底材とし、蓋材として厚み41μmである熱収縮性フィルム(後述の実施例4の植物由来層を備える熱収縮性フィルム)を用いて、大森機械工業株式会社製の深絞り成型機FV−603を使用して、深絞り包装を行った。成形温度は100℃で、絞り成型用型は、直径98mmの円形で深さ50mmとした。形成された深絞り包装体について、以下の評価基準に従って、深絞り成形性の評価を行った。
<深絞り成形性の評価基準>
○:底材に破れがなく、成形することができた。
×:底材の成形時に破れが生じ、深絞り包装ができなかった。
〔虐待強度〕
熱収縮性多層フィルムの底材適性である虐待強度は、以下の方法により測定した。すなわち、熱収縮性多層フィルムにより、厚み5mm、直径98mmの円形の板ゴム(重量約60g/枚)5枚を包装して包装体を形成した。形成された包装体を、六角管状箱(その互いに平行な2つの六角側面の中心を突き刺して水平に延長する軸により回転可能に支持される。)中に置き、温度5℃の雰囲気中で10分間の六角回転テスト(虐待テスト)をn=10にて実施した後、虐待テスト後の包装体について、ピンホールの発生率(単位:%)を求めた。
[実施例1]
〔熱収縮性多層フィルムの調製〕
以下(1)〜(5)の4種類の樹脂材料を用いて、5層構成の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。使用する樹脂材料の概略の説明を表1に、使用する有機滑剤(cis不飽和脂肪酸アミド)及び無機滑剤の概略の説明を表2に示した。
(1)ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A): 以下の材料及び含有量(相対比率を理解できるように「質量%」で記述した。)の組成とした。
1)ベルポリエステルプロダクツ社製のベルペットIFG−8L〔エチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体(テレフタル酸:12モル%、イソフタル酸:88モル%)。極限粘度;0.80、融点;228℃。以下、「co−PET」ということがある。)及び
2)シリカ(SiO2、無機滑剤)のマスターバッチ〔co−PETベース、SiO2 2.5質量%を含有。以下、「MB−1」ということがある。〕の混合物。MB−1の含有量は、12質量%とした。
(2)ポリアミドを含有する中間層(B): 東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM6241F」〔共重合比(質量比);6Ny:66Ny=80:20であるナイロン6−66共重合体。密度;1.13g/cm3、融点;190℃。以下、「Ny−A」ということがある。〕
(3)ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C): 以下の材料及び含有量の組成とした。
1)ブラスケム社製の「BRASKEM SLH118」〔植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン。バイオマス度84%(89.9pMC)、密度0.916g/cm3。以下、「LLDPE−1」ということがある。〕、
2)シリカ(SiO2、無機滑剤)のマスターバッチ〔ポリエチレンベース、SiO2 10質量%(ポリエチレン 90質量%)。以下、「MB−2」ということがある。〕、及び
3)cis-9,10-octadecenoamide(有機滑剤である式(a1)のcis不飽和脂肪酸アミド、n=7。以下、「cis-Amide-1」ということがある。)の混合物。MB−2の含有量は10.0質量%、cis-Amide-1の含有量は0.2質量%となるように配合を行った。
(4)ガスバリア層(D): 株式会社クラレ製「エバール(登録商標)EPG156B」〔エチレン含量48モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物。融点;160℃、MFR;6.5g/10分(190℃、荷重2.12N)。以下、「EVOH」ということがある。〕
(5)接着層(E): 三井化学株式会社製「アドマー(登録商標) SF730」〔不飽和カルボン酸で変性した超低密度ポリエチレン。融点;119℃、密度;0.900g/cm3、MFR;2.7g/10分(190℃、21.18N)。以下、「M−PO」ということがある。〕
Figure 2014200968
Figure 2014200968
前記の(1)〜(5)の5種類の樹脂材料を使用して、(A)/(E)/(B)/(D)/(E)/(C)の層構成を有する6層構成の熱収縮性多層フィルムを、以下の共押出方法によって製造した。すなわち、前記の(1)〜(5)の5種類の樹脂材料を、それぞれ別々の5台の押出機に供給して、それぞれ溶融混練した後、溶融した樹脂材料を、共押出環状ダイに、外側から上記の6層の順序となるようにして、所定割合で同時に供給し、ダイ内で6層として、多層シートの管状体を共押出した。該管状体を、温度10〜18℃の水浴中で急冷し、扁平幅119mm、厚み407μmの扁平管状体を得た。次いで、該扁平管状体を温度92℃の温水浴中を通過させた後、チューブ形状の管状体にエアーを注入し、温度15〜20℃のエアリングで冷却しながらインフレーション法により縦方向(MD)に3.1倍、横方向(TD)に3.2倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。続いて、該二軸延伸フィルムを、筒長2mの熱処理筒に導いて、チューブ状として、吹き出し口から吹き出したスチームで温度70℃に加熱し、縦方向に5%、横方向に5%弛緩させながら2秒間熱処理することによって、折り幅362mm、厚み41μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを得た。得られた植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの層構成(組成及び層厚み)の概略を表3−1に示す。
Figure 2014200968
Figure 2014200968
植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの曇り度、光沢度、熱水収縮率、表面層(A)の動摩擦係数、突き刺し強度、ピロー包装適性、製袋加工性、及び袋の開口性を測定評価した結果を、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムにおけるモダン炭素比率が10〜118pMCである層(記号で表記する。)、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)における有機滑剤の含有量(質量%)とともに、表4に示す。以下、表4に示した各項目を総称して、「諸特性等」ということがある。
[実施例2]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成、中間層(B)を形成する前記(2)の組成、表面層(C)を形成する前記(3)の組成、及び、(A)〜(E)の各層の厚みを、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、全層の厚み24μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。なお、この熱収縮性多層フィルムは、表面層(C)を形成する前記(3)の組成として、防曇剤(ポリエチレンベース、ソルビタンラウレート/高級アルコールエチレンオキサイドエーテル混合物10質量%含有。以下、「AF−1」ということがある。)を含有するものとした。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについて、諸特性を測定評価した結果を表4に示す。なお、実施例2の植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについては、製袋機を使用する袋の形成を行わず、ピロー包装適性及びリッド成形性を評価した。
[実施例3]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例2と同様にして、全層の厚み24μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。この熱収縮性多層フィルムは、植物由来樹脂層として、表面層(A)として、植物由来のポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」ということがある。)を含有する層を備える。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについて、諸特性を測定評価した結果を表4に示す。
[実施例4〜7]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成、中間層(B)を形成する前記(2)の組成、及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、全層の厚み41μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについて、諸特性を測定評価した結果を表4に示す。
[実施例8]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成、中間層(B)を形成する前記(2)の組成、及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、全層の厚み41μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製し、更に表面層(A)に対してコロナ放電処理を行った。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについて、諸特性を測定評価した結果を表4に示す。
[実施例9]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例8と同様にして、全層の厚み41μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルム(コロナ放電処理を行っている。)を調製した。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムについて、諸特性を測定評価した結果を表4に示す。
[実施例10]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成、中間層(B)を形成する前記(2)の組成、表面層(C)を形成する前記(3)の組成、及び、(A)〜(E)の各層の厚みを、表3−1に示すとおりに変更したこと、延伸倍率を縦方向(MD)2.6倍及び横方向(TD)2.9倍に変更したこと、並びに、熱処理について、熱処理温度を85℃とし、縦方向に22%、横方向に24%の弛緩に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、全層の厚み90μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムの曇り度、光沢度、熱水収縮率、表面層(A)の動摩擦係数、突き刺し強度、及び底材適性としての深絞り成形性と虐待強度を測定評価した結果を、植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムにおけるモダン炭素比率が10〜118pMCである層、表面層(A)及び/またはシール可能な表面層(C)における有機滑剤の含有量(質量%)とともに、表4に示す。
[実施例11]
表面層(C)を形成する前記(3)の組成、及び、(A)〜(E)の各層の厚みを、表3−1に示すとおりに変更したことを除いて、実施例10と同様にして、厚み128μmの植物由来樹脂層を備える熱収縮性多層フィルムを調製した。得られた熱収縮性多層フィルムについて、諸特性等を測定評価した結果を表4に示す。
[比較例1〜4]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成、中間層(B)を形成する前記(2)の組成、及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−2に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、全層の厚み41μmの熱収縮性多層フィルムを調製した。なお、比較例3の熱収縮性フィルムについては、表面層(A)に対して、コロナ放電処理を行った。熱収縮性多層フィルムについて測定評価した諸特性を、表4に示す。
[比較例5]
表面層(A)を形成する前記(1)の組成及び表面層(C)を形成する前記(3)の組成を、表3−2に示すとおりに変更したことを除いて、比較例1と同様にして、全層の厚み41μmの熱収縮性多層フィルムを調製した。熱収縮性多層フィルムについて測定評価した諸特性を、表4に示す。なお、比較例5の熱収縮性多層フィルムは、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、cis-Amide-1 のtrans体化合物に相当する不飽和trans構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドである trans-Amide-1を含有するものとした(cis不飽和脂肪酸アミド(a)は含有しない。)。
Figure 2014200968
表4から、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、
ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、cis不飽和脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、
iii)ヘーズが25%以下である
実施例1〜11の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムは、カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムであることが分かった。また、袋状体、蓋材または底材等のいずれをも調製することが可能である、包装材料用である熱収縮性多層フィルムであることが分かった。
これに対して、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、モダン炭素比率が10〜118pMCのものではなく、また、cis不飽和脂肪酸アミド(a)及び無機滑剤を含有しないものである比較例1〜3の熱収縮性多層フィルムは、動摩擦係数が0.3以上であることから滑り性が悪く、ピロー包装適性や、袋状体を形成するときの製袋加工性及び袋の開口性が良好ではなく、リッド成形性が悪い熱収縮性多層フィルムであるとともに、カーボンオフセット性がない熱収縮性多層フィルムであることが分かった。
さらに、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、モダン炭素比率が10〜118pMCのものではなく、また、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、cis不飽和脂肪酸アミド(a)を1.5質量%と多量に含有し、ヘーズが27%である比較例4の熱収縮性多層フィルムは、光沢度が100%未満であることから光沢が悪く、ピロー包装適性が悪い熱収縮性多層フィルムであるとともに、カーボンオフセット性がない熱収縮性多層フィルムであることが分かった。
さらにまた、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、モダン炭素比率が10〜118pMCのものではなく、また、表面層(A)及びシール可能な表面層(C)がいずれも、cis不飽和脂肪酸アミド(a)に代えて、不飽和trans構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを含有し、ヘーズが26%である比較例5の熱収縮性多層フィルムは、光沢度が100%未満であることから光沢が悪く、動摩擦係数が0.3以上であることから滑り性が悪く、ピロー包装適性や、袋状体を形成するときの製袋加工性及び袋の開口性が悪く、リッド成形性が悪い熱収縮性多層フィルムであるとともに、カーボンオフセット性がない熱収縮性多層フィルムであることが分かった。
本発明は、ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
ことを特徴とする植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムであり、
好ましくは更に、
ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、
iii)ヘーズが25%以下である
植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムであることによって、
カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与するとともに、化石燃料由来の樹脂の層のみからなる多層フィルムと遜色がない成形性を有し、透明性及び包装性能に優れる熱収縮性多層フィルムが提供されるので、産業上の利用可能性が高い。
さらに、本発明は、共押出成形により多層シートを製造し、次いで、該多層シートを2軸方向に延伸する前記の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法であることによって、前記の熱収縮性多層フィルムを容易に製造することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (10)

  1. ポリエステルまたはポリオレフィンを含有する表面層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、及び、ポリオレフィンを含有するシール可能な表面層(C)を、少なくともこの順に備える熱収縮性多層フィルムであって、
    i)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである
    ことを特徴とする植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  2. ii)表面層(A)またはシール可能な表面層(C)の一方または両方が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)0.01〜0.5質量%及び無機滑剤0.01〜1.5質量%を含有し、かつ、
    iii)ヘーズが25%以下である
    請求項1記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  3. 不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、以下の(a1)、(a2)及び(a3):
    (a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
    (a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
    (a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
    からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する請求項2記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  4. ガスバリア層(D)を更に備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  5. 接着層(E)を更に備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  6. 表面層(A)に含有されるポリエステルが芳香族ポリエステルである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  7. 表面層(A)に含有されるポリオレフィンがエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  8. ガスバリア層(D)がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有する請求項4乃至7のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  9. 包装材料用である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルム。
  10. 共押出成形により多層シートを製造し、次いで、該多層シートを2軸方向に延伸する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の植物由来の樹脂を含有する層を備える熱収縮性多層フィルムの製造方法。
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