JP2014104729A - 植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム及び包装体 - Google Patents

植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現できる深絞り成形用積層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、ポリオレフィンを含有するヒートシール性の内層(D)、及び所望により接着樹脂層(E)を備え、内層(D)は、i)ASTM D6866-12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCで、ii)有機滑剤、好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する、植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム;並びに、該深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と、ポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材とから形成される包装体;(a)は、より好ましくは(a1)H2N-CO-(-CH2-)n-CH=CH-(-CH2-)n-CH3;(a2)H2N-CO-(-CH2-)m-2-CH=CH-(-CH2-)m-CH3;または(a3)H2N-CO-(-CH2-)k+4-CH=CH-(-CH2-)k-CH3(n、m、k:6〜10)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア層を備える深絞り成形用積層フィルムに関し、特に、表面が美麗で、包装品の透明性、光沢が保たれ、外観に優れた包装体を与えることができ、かつ、カーボンオフセット性で温室効果ガスの排出削減に寄与する深絞り成形用積層フィルム、及び、包装体に関する。
従来、加工肉製品、水産物練製品、畜肉、魚、チーズといった食品の包装方法として、延伸・収縮性または未延伸・非収縮性の積層フィルムからなるバッグまたはパウチに内容物(被包装物)を充填包装する方法や、縦ピロー・横ピロー包装機械にて製袋直後の積層フィルムからなる袋に内容物(被包装物)を充填包装する方法が一般的に行われている。しかしながら、このような袋物を用いた包装方法においては、袋物の中に内容物(被包装物)を充填し、真空チャンバー内にて減圧(真空)脱気した後に開口部をシールして包装体を得るという方法が行われるため、包装速度、すなわち充填速度の向上に限界があり、経済的観点等から、より充填速度の向上が可能な方法が求められていた。
一方、袋物真空包装に比べて充填速度の向上を図り易い方法として、真空包装を利用したいわゆる深絞り包装がある。この方法は、未延伸・非収縮性の積層フィルムを深絞り成形することにより形成した底材に、内容物(被包装物)を収納(充填)した後、別途調製した蓋材をシールするとともに真空脱気する真空包装であり、スライスハムなどの包装に広く用いられている。これらの包装に用いられる包装材料としては酸素ガスバリア層をそなえる積層フィルムが用いられている。
特許文献1及び特許文献2として、非晶ポリエステルからなる外層、接着樹脂層、ポリアミド層、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物からなるバリア性樹脂層、接着樹脂層及び、ポリオレフィン等のヒートシール性樹脂層を備える深絞り成形用積層フィルムが開示されている。
深絞り成形用積層フィルムは、例えば、各層を形成する樹脂に、所望する性質を損なわない範囲で各種添加剤、安定剤などを含有させ、各樹脂をそれぞれ別の押出機で溶融混練し、Tダイ共押出、または円形ダイにより溶融成形することにより、未延伸の積層フィルムを得ることができる。また、次いで、この未延伸の積層フィルムを所定の厚みになるようにドラフト比を設定し、所定温度のチルロール上で急冷し、ドラフトして未延伸積層フィルムを得ることもできる。
深絞り成形用積層フィルムを使用して、包装体を得るには、該深絞り成形用積層フィルムを所定温度に予熱して、深絞り用金型に対向させて、加圧気体を吹き付け、または、真空引きすることにより、積層フィルムを金型形状に賦形して、底材を成形する。成形された底材に、内容物を収納(充填)後、蓋材(別途調製した積層フィルムである。)で被包して、真空脱気を行うとともに、通常は加熱を行ってシールすることにより包装体を得る。
深絞り成形用積層フィルムを使用する包装体の製造時、または、包装体を保管時に包装体のフランジ部分が内容物の側へカールすることがあり、カール発生のない包装材料が求められている。また、被包装物が充填され、蓋材と一体化成形後の前記包装体は、自動整列機に送られ、包装体三個又は四個を一連として粘着テープで固定されて最終製品となる場合もある。その際、包装体のフランジ部が、柔らかいか、またはカールしていると、包装体は自動整列機内で、きれいに整列せず、そのため粘着テープで固定されにくくなる。
さらに、深絞り成形用積層フィルムを使用する包装体の製造時には、畜肉、ハム、焼豚、ベーコンといった異形な内容物を充填包装する場合、包装体に皺が入りやすく、内容物とのフィット性に欠け、内容物の液汁が溜りやすくなり、さらに内容物の保存性が悪くなるという欠点があった。
また、深絞り成形用積層フィルムの製造工程においては、製膜時またはスリット時などにおいて、成形された積層フィルムをロール状に巻取るときに、縦じわや巻ずれが発生するということがあった。積層フィルムに皺が生じると、該積層フィルム自体の外観が悪くなるのみならず、印刷後のフィルムの巻き姿が平坦でないため、製袋加工が困難となったり、包装体の外観が悪くなったりし、また、自動包装工程におけるトラブルの原因となったりすることもあった。
深絞り成形用積層フィルムの製造工程及び包装工程におけるトラブルを防止するためにヒートシール性樹脂層を形成する樹脂に滑剤を含有させることがある。好ましい滑剤としては、例えば、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド等の有機滑剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機滑剤が用いられてきた。
〔カーボンオフセット〕
有機物である合成樹脂や、該合成樹脂から形成される成形品を燃焼させると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は、地球環境を温暖化するガス、すなわち温室効果ガス(「グリーンハウスガス」ともいう。)の一つであり、人による産業活動とともに増え続け、特に産業革命以後、急増し続けている。人の生存が持続可能な地球環境を維持するために、二酸化炭素については、地球の海や大気に循環する二酸化炭素の総量を現在以上に増やさない理念が共有されている。
現在、合成樹脂材料のほとんどは、石油、石炭、天然ガス等の化石燃料由来の化合物を出発原料として使用して製造されたものが使用されている。化石燃料は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を含有する。化石燃料、または化石燃料由来の化合物を出発原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素を大気中に放出することは、地中深くに固定され、大気中には存在しなかった炭素を、二酸化炭素として急激に大気中に放出することになるので、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、地球温暖化の原因となる。
一方、地球環境内において循環する二酸化炭素を吸収して、これを有機物に変化させた栄養源により育つ生物(植物、動物)を、地球の大気で燃やして二酸化炭素を発生させても、地球環境内に存在する二酸化炭素の循環であるので、その二酸化炭素を構成する炭素の総量には変化がない。この炭素の出入りは、炭素の相殺〔カーボンオフセット(carbon offset) 〕または出入りのない〔カーボンニュートラル(carbon neutral) 〕の状態といわれ、地球環境内に存在する二酸化炭素を増大させるカーボンネガティブ(carbon negative)と区別される。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成し、現存する炭素は、再生可能な炭素(renewable carbon)、モダン炭素(modern carbon、contemporary carbon)、バイオ起源炭素(bio-resourced carbon、biobased carbon、biogenic carbon)、バイオマス由来炭素(biomass derived carbon)、グリーン炭素(green carbon)、地球環境炭素(atmospheric carbon、environmentally friendly carbon) またはライフサイクル炭素(life-cycle carbon)等といわれ、その対極である化石燃料由来の炭素(fossil carbon、fossil fuel based carbon、petrochemical based carbon、carbon of fossil origin)と区別される。
特に、植物は、地球環境内で循環する二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素と水とを原料とする光合成反応を行い、有機体として同化・固定化することにより生育する生物であることから、炭素源として注目されている。例えば、サトウキビやトウモロコシ等の植物原料から抽出する糖の発酵物またはセルロース発酵物からアルコール成分、特にエチルアルコールを蒸留分離し、その脱水反応によりアルケンであるエチレンを得て、通常の樹脂合成手段を介してエチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂を得ることができる(特許文献3)。この履歴を有する合成樹脂は、カーボンオフセットポリオレフィン(carbon offset polyolefin)、バイオ起源ポリオレフィン(biogenic polyolefin)または植物由来の合成樹脂(plant based resin)などといわれる。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する炭素は、同位体(アイソトープ)である放射性の炭素14(「14C」ということもある。)、安定な炭素12(「12C」ということもある。)及び準安定な炭素13(「13C」ということもある。)の混合物であり、その質量比率が、12C(98.892質量%)、13C(1.108質量%)及び14C(痕跡量である1.2×10-12質量%〜1.2×10-10質量%)であることは周知である。12Cと13Cとの比率は安定している。また、放射性の14Cは、大気上層で一次宇宙線によって生成された二次宇宙線に含まれる中性子が、大気中の窒素原子(14N)に衝突することによって生成されるので、太陽の黒点活動の強弱等により若干変動するものの、常に供給され続けており、一方、半減期5730年で減少する。
地球環境内で循環する二酸化炭素を絶えず吸収して、これを有機物に変化させた栄養源により育つ生物(植物、動物)は、その生存中、地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する3種類の炭素同位体の質量比率を引き継ぎ続ける。生物が死滅すれば、生物内部における3種類の炭素同位体の質量比率は、死滅時点の比率で固定化される。14Cの半減期は、5730年であり、これを利用して種々の試料の年代を推定する考古学的年代測定法が周知である。一方、14Cの半減期5730年よりはるか昔の太古に生息した生物の死滅から長期間が経過して形成された化石燃料中の14Cは、地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、ほぼ0(測定機器の検出限界未満)とみなすことができるので、化石燃料由来の合成樹脂中の14Cは、ほぼ0とみなすことができる。
したがって、植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂とは、含有される14Cの比率によって区別することが可能である。なお、生育している植物を収穫して、それを糖化してアルコールとし、その脱水反応によるアルケンであるエチレンを原料として、通常の樹脂合成手段を介して植物由来の合成樹脂とするまでの時間は、数か月間程度であり、14Cの半減期5730年からみれば無視できるから、植物由来の合成樹脂を製造するまでのタイムラグは、植物由来の合成樹脂か、化石燃料由来の合成樹脂かの判別に、実質的な影響がない。
地球環境内で循環する二酸化炭素を構成する放射性の14Cの比率は、産業革命以来、人類が大量の化石燃料を燃焼させることで、希釈され、低減していたが、西暦1950年以降の大気圏内核実験によって増加に転じた。すなわち、大気圏内核実験により放射性の14Cの生成量は、宇宙線の作用でできた中性子との衝突で生じる14Nの原子核反応による放射性の14Cの生成量を超えていた。その後、1964年の核実験停止条約により、放射性の14Cの比率は、1963年をピークとして減少に転じ、その後の原発事故等による変動があるものの、1950年における放射性の14Cの比率には至っていない。
そこで、植物由来の有機物質と化石燃料由来の有機物質との区別については、1950年時点の放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、ASTM D6866−12(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。ASTM D6866は、放射性炭素年代測定法を利用した固体・液体・気体試料中の生物起源炭素濃度を決定するASTM(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)の標準規格であり、2004年に承認されて以来、改訂が重ねられ、現在の最新規格ASTM D6866−12は、2012年4月改訂のものである。
ASTM D6866−12が規定する原理は、概略以下のとおりである。すなわち、化石燃料由来の有機物質は、1950年よりはるか昔の時代に、生物(動物・植物)の死滅または刈取りがあり、そのときの炭素同位体の比率組成が固定されているので、植物由来の有機物質を構成する炭素の存在比率は0(zero)である。そこで、炭素同位体の比率組成において、安定比率である13C/12Cと、放射性の14Cとの関数で規定するモダン炭素比率(percent modern carbon:pMC)単位を用いて、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率を、0pMCとする(測定機器の検出限界未満を意味する。)。また、1950年時点の炭素同位体の比率組成を有する標準物質〔NISTが供給するシュウ酸(SRM4990)、または同等有機物質〕のモダン炭素比率を100pMCと定める。この0〜100pMCを基準として、試料のモダン炭素比率を求めることにより、化石燃料由来の有機物質と植物由来の有機物質との割合を決定するものである。現在製造される植物由来の有機物質のモダン炭素比率は、1950年以降に行われた大気圏内核実験などによって人為的に増加した14Cの影響により、少なくとも102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度である。14Cの比率がピークである核実験停止条約前の1963年におけるモダン炭素比率は、118pMCであった。したがって、有機物質のモダン炭素比率が、102〜118pMCであれば、確実に植物由来の有機物質のみからなるものであるということができる。
また、既知の植物由来の合成樹脂のモダン炭素比率の値から、該植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、0pMCである。)との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)における植物由来の合成樹脂の含有比率を算出することができ、植物由来の合成樹脂の質量比率を、「%Corg.renew」と記載することがある。例えば、樹脂組成物におけるバイオ化率96%の植物由来の合成樹脂(モダン炭素比率は、107pMC×0.96=102.7pMCと算出される。)と化石燃料由来の合成樹脂との質量比率が50:50であるときは、この樹脂組成物は、モダン炭素比率が51.4pMC(107pMC×0.96×0.50=51.36pMCとして計算される。)であり、48%Corg.renew(96%×0.5として算出される。)である。また、その樹脂組成物の前記の質量比率が55:45であるときは、モダン炭素比率は56.5pMC(107pMC×0.96×0.55=56.50pMCとして計算される。)であり、52.8%Corg.renew(96%×0.55として算出される。)である。なお、「バイオ化率」(%)とは、合成樹脂中の植物由来の合成樹脂の質量比率であり、「バイオマスプラスチック度」、「バイオマス度」ということもある。バイオ化率が25%であれば、日本バイオプラスチック協会が定めるバイオマスプラ識別表示制度(2006年7月発足)に基づき、バイオマスプラスチック度が25(質量)%以上のプラスチック製品を、「バイオマスプラ」と称することが許容される。
先に述べたように、植物由来の有機物質のモダン炭素比率は、102pMCを下回ることはなく、平均107pMC程度であるので、例えば、ある植物由来の合成樹脂と化石燃料由来の合成樹脂との混合物である合成樹脂材料(樹脂組成物)のモダン炭素比率が、54pMC以上であれば、植物由来の合成樹脂の質量比率が50質量%以上(107pMC×0.50=53.5pMCとして計算される。)であるといえる。
一方、植物由来の合成樹脂を含有せず、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物は、先に述べたとおり地球環境内で循環する現代の二酸化炭素と隔絶して測定すると、本来モダン炭素比率が0pMCであるが、実際には、1950年以後に行われた核実験や原発事故に由来する放射性の14Cが混入したり、現代の地球環境内で循環する二酸化炭素が表面に吸着または透過して炭素アイソトープ交換が生じたりすることにより、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがある。しかし、多くの場合、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率は、0.01〜0.03pMCの範囲であり、実質的に0pMCであるということができる。少なくとも、化石燃料由来の合成樹脂のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が0〜8pMCであれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、化石燃料由来の合成樹脂または化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物であるということができる。
なお、石灰石の成分であり、種々の目的で化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物に配合されることがある炭酸カルシウム等の、無機炭素に由来する放射性の14Cの影響がみられるときがあるが、モダン炭素比率の測定においては、その影響を除く方法が標準化されている。
また、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物においては、有機炭素を含有する添加剤や配合剤に由来する放射性の14Cが影響したりして、希釈されるために、0pMCより大きなモダン炭素比率を示すことがあるが、通常の配合量であれば、化石燃料由来の合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が8pMCを超えることはない。
したがって、ある合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物のモダン炭素比率が10pMC以上であれば、その合成樹脂または合成樹脂を含有する樹脂組成物は、植物由来の合成樹脂を含有しているということができる。
化石燃料由来の合成樹脂と植物由来の合成樹脂とは、原理的には、モダン炭素比率において相違するのみであるので、地球環境に与える影響を除くほかは、該合成樹脂からの樹脂製品の製造工程や形成された樹脂製品については、取扱いにおける変化や差異はないと考えられていた。しかし、現実には、例えば、相溶性や機械的特性において差異がある場合があることも知られている(特許文献4)。
特に、深絞り成形用積層フィルムについては、複数の樹脂材料を共押出成形して所定厚みの積層体を得るという製造工程の複雑さ、深絞り成形により底材を得た後、蓋材とのシールと真空脱気による包装体を得るという使用工程の複雑さ、さらに、包装体の内容物へのフィット性及び酸素や水蒸気の遮断性、またはボイル適性や耐ピンホール性など、求められる性能は厳しいものがある。そこで、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる、植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム、並びに、該深絞り成形用積層フィルムを使用して形成される美麗な包装体が求められていた。
特開平7−96582号公報 特開2005−28863号公報 特表2010−511634号公報 特開2011−132525号公報
本発明の課題は、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる深絞り成形用積層フィルムを提供することにある。また、本発明の課題は、該深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と、蓋材とから形成される美麗な包装体を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムにおいて、ポリオレフィンを含有する内層(D)を、植物由来樹脂を含有するものとし、更に、有機滑剤、特に好ましくは特定の脂肪酸アミドを含有するものとすることによって、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、
ii)有機滑剤を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する
ことを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが提供される。
特に好ましくは、本発明によれば、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、
ii)不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する
ことを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(17)の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが提供される。
(1)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、以下の(a1)、(a2)及び(a3):
(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(2)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、前記の(a1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(a2)または(a3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(3)前記の(a2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(4)前記の(a3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(5)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、前記の(a1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(a11):
(a11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠n);
の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(6)前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、分子構造中に不飽和cis構造炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(7)前記の内層(D)が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(8)前記の内層(D)が、更に無機滑剤を含有する前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(9)前記の外層(A)と中間層(B)との間、または、前記のガスバリア層(C)と内層(D)との間の一方または両方に、接着樹脂層(E)を備える前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(10)前記の内層(D)が、表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)とを備える前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(11)前記の表層側に配置されるヒートシール層(D1)における有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)の含有量が、該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)における有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)の含有量より小さい前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(12)前記のヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)がイージーピール性である前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(13)前記の外層(A)、中間層(B)及びガスバリア層(C)からなる群より選ばれる1以上の層、特に前記の外層(A)は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(14)前記の外層(A)、中間層(B)、ガスバリア層(C)及び接着樹脂層(E)からなる群より選ばれる1以上の層、特に前記の外層(A)は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(15)前記の外層(A)に含有されるポリエステルが、芳香族ポリエステルである前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(16)前記の外層(A)に含有される芳香族ポリエステルが、エチレンテレフタレート(共)重合体、トリメチレンテレフタレート(共)重合体及びブチレンテレフタレート(共)重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
(17)前記のガスバリア層(C)が、塩化ビニリデン共重合体、芳香族ポリアミド及びエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成されたものである前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
さらにまた、本発明によれば、前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、ポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体が提供され、具体的態様として、前記の蓋材(II)が備えるポリオレフィンを含有するシール層は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである前記の包装体が提供される。
本発明によれば、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、
ii)有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する
ことを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムであることによって、
カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる深絞り成形用積層フィルムが提供され、さらに、該深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と、蓋材とから形成された美麗な包装体が提供されるという効果が奏される。
I.深絞り成形用積層フィルム
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率(以下、単に「モダン炭素比率」ということがある。)が10〜118pMCであり、かつ、
ii)有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する
ことを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムである。
1.ポリエステルを含有する外層(A)
本発明の深絞り成形用積層フィルムが備えるポリエステルを含有する外層(A)としては、深絞り成形が可能な耐熱性を有し、また深絞り成形の金型形状に追従することが可能なポリエステルを使用することができ、DSC(示差走査型熱量計)などの熱分析により融点が観測されない非晶性ポリエステルも使用することも可能である。耐熱性の観点から芳香族ポリエステルが好ましく、中でも、金型形状追従性の観点からエチレンテレフタレート(共)重合体、トリメチレンテレフタレート(共)重合体及びブチレンテレフタレート(共)重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する芳香族ポリエステルがより好ましく、エチレンテレフタレート共重合体、トリメチレンテレフタレート共重合体またはブチレンテレフタレート共重合体のいずれかが特に好ましい。これらは市販品として入手することができ、例えば、商品名、イーストマンケミカル社製「PETG−GN−001」、三井・デュポン ポリケミカル株式会社製「バイオマックス(登録商標)」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ノバデュラン(登録商標)」などを使用することができる。本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリエステルを含有する外層(A)を備えることにより、深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、別に調製されたポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体を得るときに、該包装体のフランジ部分にカールの発生による問題が起こらない効果を奏することができる。
ポリエステルを含有する外層(A)の厚みは、深絞り成形用積層フィルム全層の厚みの通常10〜65%、好ましくは11〜63%、より好ましくは12〜61%であり、また、好ましくは20〜85μm、更には22〜80μmである。ポリエステルを含有する外層(A)の厚みが、これらの範囲にあることにより、包装体としたときにカールが発生し難く、内容物に対するフィルムのフィット性が維持でき、ガスバリア性、強度等の積層フィルムとしての性能も保つことができる。
2.ポリアミドを含有する中間層(B)
本発明の深絞り成形用積層フィルムが備えるポリアミドを含有する中間層(B)は、ポリエステルを含有する外層(A)と積層することにより、深絞り成形用積層フィルムに優れた耐ピンホール性、深絞り性を付与することができる。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、または、共重合ポリアミドであるナイロン610、ナイロン612、ナイロン6−66、ナイロン66−610、ナイロン6−66−610等を使用することができる。これらのポリアミドの中でもDSCで求めた融点が240℃以下、特に230℃以下のものが好適に用いられる。特に好ましく使用できるポリアミドは、ナイロン6−66であり、市販品として東レ株式会社製「アミラン(登録商標)」として入手することが可能である。
ポリアミドを含有する中間層(B)の厚みは、深絞り成形用積層フィルム全層の厚みの通常4〜25%、好ましくは5〜23%、より好ましくは6〜21%であり、好ましくは3〜50μm、更には4〜45μmである。
3.ガスバリア層(C)
本発明の深絞り成形用積層フィルムが備えるガスバリア層(C)は、該深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、別に調製されたポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体に被包される内容物の保存性を高めるために使用される。ガスバリア層(C)は、酸素バリア性、炭酸ガスバリア性等のガスバリア性を有するものであり、好ましくは更に水または水蒸気に対するバリア性を有するものを使用することができる。ガスバリア層(C)の材料は、特に限定されず、金属または無機酸化物を蒸着した樹脂フィルムの層、金属箔やガスバリア性樹脂などを使用することもできるが、好ましくはガスバリア性樹脂である。
ガスバリア層(C)を形成するバリア性樹脂の好ましい例としては、塩化ビニリデン共重合体、芳香族ポリアミド(MXD6)及びエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂が挙げられる。好ましくは、エチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ということがある。)であり、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物が挙げられる。EVOHとしては、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは25〜55モル%、より好ましくは30〜50モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、特に好ましくは99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
ガスバリア層(C)の厚みは、深絞り成形用積層フィルム全層の厚みの通常5〜25%、好ましくは6〜22%、より好ましくは7〜20%であり、好ましくは5〜20μm、更には6〜18μmである。
4.ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)
本発明の深絞り成形用積層フィルムが備えるポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)(以下、「ヒートシール性を有する内層(D)」、「ポリオレフィンを含有する内層(D)」、または、単に「内層(D)」ということがある。)は、深絞り成形用積層フィルムの端部同士、または、深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と蓋材その他とをヒートシールして接合するために設けられる。本発明の深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と蓋材とによって包装体を形成して、被包装物を包装する場合、内層(D)は、被包装物に接する層となる。内層(D)に含有されるポリオレフィンとしては、シングルサイト触媒(以下、「SSC」と略記することがある。)を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレン(SSC−LLDPE)や、SSCを用いて重合された直鎖状超低密度ポリエチレン(SSC−VLDPE)、従来の低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)またはエチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン系共重合体;アイオノマー樹脂;ポリプロピレン(PP)、プロピレン・エチレン共重合体またはプロピレン・ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体;などを挙げることができる。
ヒートシール性を有する内層(D)の厚みは、深絞り成形用積層フィルム全層の厚みの通常8〜50%、好ましくは9〜48%、より好ましくは10〜46%であり、好ましくは5〜120μm、更には7〜100μmである。
ヒートシール性を有する内層(D)は、ヒートシール性を有する単一の層であってもよいが、複数の層からなる層であってもよい。内層(D)が、複数の層からなる層である場合は、該内層(D)は、表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)とを備えるものであることが望ましい。表層側に配置されるヒートシール層(D1)〔以下、単に「ヒートシール層(D1)」ということがある。〕は、前記のように底材と蓋材とにより包装体を形成して、被包装物を包装する場合、被包装物に接するヒートシール層となる。該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)〔以下、「隣接する内層(D2)」ということがある。〕は、ヒートシール層(D1)及び内層(D)全体を補強するための層となる。ヒートシール層(D1)を形成するポリオレフィン、及び、隣接する内層(D2)を形成するポリオレフィンとしては、先に内層(D)に含有されるポリオレフィンとして挙げた樹脂をいずれも使用することができるが、ヒートシール層(D1)の融点が、隣接する内層(D2)の融点より低くなるように設定することが望ましい。ヒートシール層(D1)の融点は、好ましくは85〜125℃、より好ましくは95〜120℃の範囲であり、隣接する内層(D2)の融点は、好ましくは120〜140℃、より好ましくは120〜135℃の範囲である。
内層(D)が、ヒートシール層(D1)と隣接する内層(D2)とを備えるものである場合は、隣接する内層(D2)の厚みを、ヒートシール層(D1)の厚みより大きくすることが好ましい。ヒートシール層(D1)の厚みは、好ましくは2〜30μm、より好ましくは3〜25μmである。ヒートシール層(D1)の厚みが小さすぎると、製膜時の外観やシール安定性を損なうことがある。隣接する内層(D2)の厚みは、好ましくは4〜90μm、より好ましくは6〜80μmである。隣接する内層(D2)の厚みが小さすぎると、ボイル後の皺発生抑制効果が発現し難く、厚みが大きすぎると、深絞り用積層フィルム全体における隣接する内層(D2)の厚みの比率が大きくなり、積層フィルムとしての強度不足を生じることがある。ヒートシール層(D1)の厚み/隣接する内層(D2)の厚みの比は、1/10〜1/2、更には1/6〜1/3の範囲にあることが望ましい。後に詳述するように、内層(D)を形成するヒートシール層(D1)または隣接する内層(D2)には前記した滑剤が含有されている。
また、前記の隣接する内層(D2)は、イージーピール性(易剥離性)であることが好ましい場合がある。この場合には、前記のように底材と蓋材とにより形成した包装体を開封するとき、イージーピール性である前記の隣接する内層(D2)が凝集破壊することにより、蓋材と底材とが容易に分離し、被包装物を取り出すことができる。隣接する内層(D2)をイージーピール性とする場合には、前記したポリオレフィンの混合物、または、前記したポリオレフィンと他の樹脂との混合物を使用することなどによりイージーピール性を調整することができる。
5.ポリオレフィンを含有する内層(D)のモダン炭素比率
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであることを特徴とする。本発明の深絞り成形用積層フィルムにおけるポリオレフィンを含有する内層(D)のモダン炭素比率が10〜118pMCであることは、先に述べたように、化石燃料由来の有機物質のモダン炭素比率が8pMCを超えることがないことから、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、植物由来のポリオレフィンを含有するものであることを意味し、本発明の深絞り成形用積層フィルムがカーボンオフセット性に優れたものであることを意味する。
ポリオレフィンを含有する内層(D)のモダン炭素比率は、カーボンオフセット性の観点から、好ましくは15〜118pMC、より好ましくは17〜118pMCである。さらに、ポリオレフィンを含有する内層(D)のモダン炭素比率が26.8pMC以上であれば、該内層(D)は、バイオマスプラ識別表示制度による「バイオマスプラ」と称することが許容される(107pMC×0.25=26.75pMCを超えている。)。
モダン炭素比率が10〜118pMCであるポリオレフィンを含有する内層(D)に含有することができるポリオレフィンとしては、植物由来のエチレン等を使用してポリオレフィンを合成し、そのモダン炭素比率について認証を得てもよいが、あらかじめバイオ化率が確認されている市販の植物由来のポリオレフィンを使用してもよい。市販の植物由来のポリオレフィンとしては、ブラスケム社製のグリーンポリエチレンに属するバイオマスLLDPE等が知られている。
なお、本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)以外の層の1以上の層、好ましくは外層(A)が、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであってもよく、このことにより、深絞り成形用積層フィルム全体としてのバイオプラスック度が向上し、カーボンオフセット性が向上する。
6.有機滑剤
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、有機滑剤を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することを特徴とする。本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、有機滑剤を、ポリオレフィンを含有する内層(D)に含有される樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することにより、製膜巻き取り時に積層フィルムの表面に皺が入ったり、スリット時に積層フィルムの表面に皺が入ったりすることがないという効果を奏するものである。
前記の有機滑剤としては、従来有機滑剤として使用されている飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミドなどを好ましく使用することができる。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、ブチルアミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘニン酸アミド等を使用することができる。不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等を使用することができる。また、N−オレイルパルチミン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミドやN−ステアリルエルカ酸アミド等の置換アミド、メチロールステアリン酸アミド等のメチロールアミド、メチレンビスステアリン酸アミドやエチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミドなどを使用することができる。
〔不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、前記の有機滑剤が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)であることにより、すなわち、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することを特徴とする。本発明の深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、ポリオレフィンを含有する内層(D)に含有される樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することにより、製膜巻き取り時に積層フィルムの表面に皺が入ったり、スリット時に積層フィルムの表面に皺が入ったりすることがないという効果を特に顕著に奏するものである。
本発明において、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)〔以下、「cis不飽和脂肪酸アミド(a)」ということがある。〕とは、脂肪酸アミドの分子構造中に少なくとも1結合の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドである。該脂肪酸アミドの分子構造中に複数の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドである場合は、該炭素二重結合のすべてが、不飽和cis構造の炭素二重結合である不飽和脂肪酸アミドである。不飽和脂肪酸アミドが、trans構造の炭素二重結合を有するものであると、樹脂材料の均一配合が不十分となったり、該trans構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドが、深絞り成形用積層フィルムの表面に析出したりすることがあり、滑り性が悪化することから有機滑剤としての機能があるとはいえず、また、製膜巻き取り時に積層フィルムの表面に皺が入ったり、スリット時に積層フィルムの表面に皺が入ったりすることがあり、また、積層フィルムを押出成形により製造する際、ダイリップが汚染したりすることがある。
有機滑剤、特に好ましくはcis不飽和脂肪酸アミド(a)の含有量は、樹脂成分に対して、好ましくは150〜5800ppm、より好ましくは200〜5600ppm、更に好ましくは250〜5500ppm、特に好ましくは280〜5400ppmである。有機滑剤の含有量が少なすぎると、積層フィルムの滑り性が不足して、製膜巻き取り時に積層フィルムの表面に皺が入ったり、スリット時に積層フィルムの表面に皺が入ったりするおそれがある。また、深絞り成形用積層フィルムの滑り性が不足すると、包装体の底材を形成するために深絞り成形を行ったり、蓋材とヒートシールして包装体を形成したりする際に、走行や搬送が円滑でなかったり、自動包装がスムーズに行えなかったりするおそれがある。有機滑剤の含有量が多すぎると、得られた深絞り成形用積層フィルムの表面光沢が悪化したり、搬送や包装作業中のベタ付きが多くなったりすることがあり、また、積層フィルムを押出成形により製造する際、ダイリップが汚染したりするおそれがある。前記cis不飽和脂肪酸アミド(a)が、後述するように2種類以上のcis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物である場合は、混合物の合計量が上記の範囲に含まれる必要がある。
ポリオレフィンを含有する内層(D)が、ヒートシール層(D1)と隣接する内層(D2)とを備えるものである場合は、有機滑剤、特に好ましくはcis不飽和脂肪酸アミド(a)の含有量は、ヒートシール層(D1)の樹脂成分に対しても、隣接する内層(D2)の樹脂成分に対しても、いずれも100〜6000ppmの範囲であり、また、内層(D)、すなわちヒートシール層(D1)及び隣接する内層(D2)の樹脂成分全体に対しても100〜6000ppmの範囲である。ヒートシール層(D1)における有機滑剤の含有量と隣接する内層(D2)における有機滑剤の含有量とが異なってもよい。表層側に配置されるヒートシール層(D1)のみに、有機滑剤を含有させてもよい。特に、ヒートシール層(D1)における有機滑剤の含有量が、隣接する内層(D2)における有機滑剤の含有量より小さいと、積層フィルムを押出成形により製造する際、ヒートシール層(D1)に接触するダイリップが汚染されることがないので好ましく、また、隣接する内層(D2)に相対的に多量に含有される有機滑剤が、表層側に配置されるヒートシール層(D1)に徐々に移行してくるために、積層フィルムの良好な滑り性が長期間持続する効果がある。
有機滑剤として特に好ましいcis不飽和脂肪酸アミド(a)は、更に好ましくは、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドである。
また、cis不飽和脂肪酸アミド(a)は、分子構造中に複数の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸アミドでもよく、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を、好ましくは6結合以下、より好ましくは5結合以下、更に好ましくは4結合以下有する化合物である。したがって、本発明において最も好ましく使用される不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)は、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合〜4結合有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドである。
不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有するcis不飽和脂肪酸アミド(a)としては、例えば、以下の式(a1)〜(a3):
(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
(a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミド化合物が挙げられる。〔以下、(a1)の式で表される脂肪酸アミドを、「式(a1)の脂肪酸アミド」ということがあり、更に単に「式(a1)」ということがある。(a2)または(a3)の式で表される脂肪酸アミドについても同様である。〕
好ましい不飽和cis構造の炭素二重結合を1結合有するcis不飽和脂肪酸アミド(a)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
式(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数):
cis−8,9−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(n=6に相当)
cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)
cis−10, 11−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(n=8に相当)
cis−11, 12− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)9−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(n=9に相当)
cis−12, 13− tetraeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(n=10に相当)
式(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数):
cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6に相当)
cis−7,8−hexadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)5−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(m=7に相当)
cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8に相当)
cis−9,10−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(m=9に相当)
cis−10, 11− ethaeicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(m=10に相当)
式(a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数):
cis−12,13− eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)10−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(k=6に相当)
cis−13,14−docosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(k=7に相当)
cis−14,15− tetracosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)12−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(k=8に相当)
cis−15,16−hexacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)13−CH=CH−(−CH2−)9−CH3〕(k=9に相当)
cis−16,17− octacosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)14−CH=CH−(−CH2−)10−CH3〕(k=10に相当)
また、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物である不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)としては、例えば、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を4結合有する以下の化合物が挙げられる。
cis−5,6−8,9−11,12−14,15−arachidonic acid amide〔H2N−CO−(−CH2−)3−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−(−CH2−)4−CH3
前記cis不飽和脂肪酸アミド(a)としては、前記式(a1)〜式(a3)の脂肪酸アミド、または、前記の分子構造中に複数の不飽和cis構造の炭素二重結合を有する脂肪酸アミド等から選ばれる1種類の脂肪酸アミドを使用すれば、十分所期の効果を奏することができるが、2種以上のcis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物を使用してもよい。該脂肪酸アミドの混合物としては、前記の式(a1)の脂肪酸アミドを含有するものであることが好ましい。
したがって、好ましいcis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物は、前記の式(a1)の脂肪酸アミドと、前記の(a2)または(a3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である。該混合物中の式(a1)の脂肪酸アミドの割合は、通常0.05〜99.95質量%、好ましくは0.1〜99.9質量%、より好ましくは0.5〜99.5質量%、更に好ましくは1〜99質量%の範囲である。したがって、前記の式(a2)または式(a3)、或いは式(a2)と式(a3)の混合物である脂肪酸アミドの割合は、通常99.95〜0.05質量%、好ましくは99.9〜0.1質量%、より好ましくは99.5〜0.5質量%、更に好ましくは99〜1質量%の範囲である。
特に、cis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物が、前記の式(a1)の脂肪酸アミド、すなわち、H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と、前記の式(a2)の脂肪酸アミド、すなわち、H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)であって、m=n+1またはm=n−1である該脂肪酸アミドとの混合物であることが好ましい。
具体的には、式(a1)が、cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)であり、式(a2)が、cis−6,7−tetradecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)4−CH=CH−(−CH2−)6−CH3〕(m=6=n−1に相当)、または、cis−8,9−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)6−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(m=8=n+1に相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用できる。
また、cis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物が、前記の式(a1)の脂肪酸アミド、すなわち、H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と、前記の式(a3)の脂肪酸アミド、すなわち、H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数)であって、k=nである該脂肪酸アミドとの混合物であることが好ましい。
具体的には、式(a1)が、cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)であり、式(a3)が、cis−13,14−docosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)11−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(k=7=nに相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用できる。
さらに、cis不飽和脂肪酸アミド(a)の混合物としては、前記の式(a1)の脂肪酸アミドに属し、nの値が異なる2種以上の化合物の混合物を使用することができる。すなわち、(a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数)と(a11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠n)との混合物を使用することができる。
具体的には、例えば、式(a1)が、cis−9,10−octadecenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕(n=7に相当)であり、式(a11)が、cis−10, 11−eicosenoamide〔H2N−CO−(−CH2−)8−CH=CH−(−CH2−)8−CH3〕(j=8に相当)である組み合わせの混合物などが好ましく使用できる。
さらにまた、分子構造中に不飽和cis構造の炭素二重結合を2結合〜4結合有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、単独で、または、他のcis不飽和脂肪酸アミド(a)との混合物として使用することもできる。該他のcis不飽和脂肪酸アミド(a)としては、前記の式(a1)〜(a3)の脂肪酸アミドが好ましく用いられる。具体的には、cis−5,6−8,9−11,12−14,15−arachidonic acid amide〔H2N−CO−(−CH2−)3−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−(−CH2−)4−CH3〕と、式(a1)の脂肪酸アミドであるcis−9,10−octadecenoamideとの混合物などが好ましく使用できる。
〔不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)の製造方法〕
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが備えるポリオレフィンを含有する内層(D)に含有されるcis不飽和脂肪酸アミド(a)は、市販品を使用してもよいし、市販品が混合物であったり、不純物を含有する場合は、所望の不飽和脂肪酸アミドを、抽出等により分離して得てもよい。しかし、例えば、前記の式(a2)の脂肪酸アミド、すなわち、(a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)は、以下の方法により製造することができる。
α,ω位にCH3O−CO−末端基と水酸基末端またはカルボン酸末端とを有し、(m−1)連鎖のメチレン基(−CH2−)m-1を有する以下の(式1):
(式1)CH3O−CO−(−CH2−)m-1−OH
で表される化合物を出発原料とする。((式1)では、水酸基末端を有する化合物を例示している。)
(式1)で表される化合物の水酸基末端を、四臭化炭素(CBr)を用いて臭素置換し、次いで、トリフェニルフォスフィン(PPh3,triphenylphosphine)を用いてシアン化メチル(CH3CN)溶媒中で、臭素をPPh3と反応させ、以下の(式2):
(式2)[CH3O−CO−(−CH2−)m-1−PPh3]+Br
で表されるイオン性中間体を得る。
イオン性中間体(式2)に、デシルアルデヒド(decyl aldehyde)を反応させて、PPh基を不飽和cis構造の炭素二重結合を有するアルキル基末端とした以下の(式3):
(式3)CH3O−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
で表されるα,ω構造化合物とする。
次いで、(式3)のα,ω構造化合物のCH3O−CO−末端基に水酸化リチウムを反応させて水酸基末端とし、これを塩化オキサリル(oxalyl chrolide)と塩化メチレンの溶媒中で飽和アンモニウムと反応させることでアミド基末端に変更し、以下の(式4):
(式4)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3
で表される不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを合成する。
炭素数m(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数)を変更することにより、この合成経路を用いて所望の炭素数を有する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを得ることができる。
なお、不飽和炭素二重結合を有する脂肪酸アミドの合成においては、周知のように、不飽和cis構造の炭素二重結合を有する化合物と不飽和trans構造の炭素二重結合を有する化合物とが同時に得られるので、酢酸エチルとヘキサンとを100%(初展開)〜40%の濃度勾配を付けた混合溶媒を用いて、クロマトグラフィー展開を行い、不飽和cis構造と不飽和trans構造の異性体を分離する。その際、あらかじめ、クロマトグラフィー展開時間毎の分画液に対して、プロトンH−NMR核磁気共鳴装置を用いて、化学シフト値に応じた同定をAldorich製標準物質を基に行い、分画液を特定する。その分画液を減圧乾燥して、所望する不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを回収する。
〔滑剤の併用〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムにおけるポリオレフィンを含有する内層(D)は、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)に加えて、一般に滑剤として使用されている他の化合物を併せて含有させることができる。該一般に滑剤として使用されている他の化合物としては、好ましくは他の有機滑剤や無機滑剤を含有させて使用することができる。具体的には、有機滑剤として知られている飽和脂肪酸アミドを特に好ましく使用することができる。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、ブチルアミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミドなどが挙げられる。無機滑剤としては、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
ポリオレフィンを含有する内層(D)が、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)に加えて、一般に滑剤として使用されている他の化合物を含有する場合のその含有量は、cis不飽和脂肪酸アミド(a)と該滑剤として使用されている他の化合物との合計含有量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下であり、その含有量の下限値は、0.5質量%程度である。1質量%であれば十分な効果が実現できる。また、cis不飽和脂肪酸アミド(a)と該滑剤として使用されている他の化合物との合計含有量は、ポリオレフィンを含有する内層(D)に含有される樹脂成分の合計質量に対して、100〜6000ppmの範囲内であることが好ましい。
7.接着樹脂層(E)
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、前記のポリエステルを含有する外層(A)とポリアミドを含有する中間層(B)との間、または、前記のガスバリア層(C)とポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)との間の一方または両方に、接着樹脂層(E)を備える深絞り成形用積層フィルムであることが好ましい。接着樹脂層(E)に用いられる樹脂は、特に制限されないが、各種ポリオレフィンやエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン系共重合体を、アクリル酸、メタクリル酸等の一塩基性不飽和脂肪酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の二塩基性不飽和脂肪酸;またはこれらの無水物;等により変性させたものを挙げることができる。例えば、マレイン酸変性EVA、マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどが好ましく用いられる。接着樹脂層(E)の厚みはそれぞれ、1〜20μmが好ましく、より好ましくは2〜18μm、更に好ましくは3〜16μmの範囲である。
8.その他の配合剤など
本発明の深絞り成形用積層フィルムが備えるポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)及び/または接着樹脂層(E)には、既に説明したもののほか、必要に応じて、その他の配合剤として、更に無機フィラー、着色剤、熱安定剤、光安定剤、撥水剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、離型剤、カップリング剤、酸素吸収剤などの各種配合剤を含有させることができる。これら各種の配合剤の含有量は、それぞれの層を形成する樹脂組成物中に、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。特に、カーボンオフセット性の観点から、化石燃料由来の有機物質の含有量はできるだけ少量とすることが好ましく、その他の有機配合剤の含有量は、5000ppm以下、望ましくは2000ppm以下とすることが望まれることがある。
先にポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)について説明したように、各種配合剤としては、従来、滑剤として使用されている化合物を使用することができ、飽和脂肪酸アミドが好ましい。
II.植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム及びその製造方法
1.植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、ii)有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムである。
すなわち、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、植物由来のポリオレフィンを含有し、かつ、特有の不飽和脂肪酸アミドを含有することを特徴とし、このことによって、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる深絞り成形用積層フィルムが提供される。より具体的には、例えば、深絞り成形用積層フィルムを共押出成形によって製造する際には、通常、製造された積層フィルムをロールに巻き取り、次いで、必要に応じてロールから巻き出して、所定幅にスリットしたり、その他の処理を施し、再度ロールに巻き取ることがある。それらの場合にロールに巻き取られた積層フィルムに皺入りが生じることがないので、生産効率が向上し、また、製品歩留まりが上昇する効果が奏される。
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムの全層の厚みは、特に限定されないが、通常35〜310μm、好ましくは40〜280μm、より好ましくは50〜250μmの範囲である。
また、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが厚み150μm未満の相対的に薄手の深絞り成形用積層フィルムである場合は、後に詳述するように、この深絞り成形用積層フィルムを使用して包装体を形成すると、カール性やフィット性に優れるという効果を奏し、かつ、厚みが小さいにもかかわらず十分なバリア性(ガスバリア性に加えて水蒸気バリア性等)が発揮されるという効果を奏することができる。
他方、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが厚み150μm以上の相対的に厚手の深絞り成形用積層フィルムである場合は、後に詳述するように、この深絞り成形用積層フィルムを使用して包装体を形成するとき、厚みが大きいにもかかわらず深絞り成形に使用する金型形状に忠実な成形が可能で外観にも優れるという効果を奏し、また、殺菌等のために行う加熱処理によっても変質がなく、衝撃に対する強度が保持されるという効果を奏することができる。
さらに、先に述べたように、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)以外の層、すなわち、前記の外層(A)、中間層(B)及びガスバリア層(C)からなる群、または、前記の外層(A)、中間層(B)、ガスバリア層(C)及び接着樹脂層(E)からなる群より選ばれる1以上の層、特に前記の外層(A)は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである深絞り成形用積層フィルムであってもよい。既に述べたとおり、モダン炭素比率が10〜118pMCである層は、植物由来の合成樹脂を含有する層であることを意味する。該植物由来の合成樹脂を含有する層のモダン炭素比率は、カーボンオフセット性の観点から、好ましくは15〜118pMC、より好ましくは17〜118pMCである。さらに、モダン炭素比率が26.8pMC以上であれば、該植物由来の合成樹脂を含有する層は、バイオマスプラ識別表示制度による「バイオマスプラ」と称することが許容される(107pMC×0.25=26.75pMCを超えている。)。
モダン炭素比率が10〜118pMCである層に含有することができる合成樹脂としては、植物由来のエチレン等を出発原料として化学合成して得たモノマーや、酵素等を利用する発酵反応によって得たモノマーを、必要に応じて他のモノマー(化石燃料由来または植物由来)とともに、重合させることにより合成樹脂を調製し、そのモダン炭素比率について認証を得てもよいが、あらかじめバイオ化率が確認されている市販の植物由来の合成樹脂を使用してもよい。例えば、市販の植物由来のトリメチレンテレフタレート共重合体としては、三井・デュポン ポリケミカル株式会社製のバイオマスPTT等が知られている。
2.植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムの製造方法
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、公知の方法で製造することができる。例えば、T−ダイ共押出法による未延伸積層フィルムの製造方法を採用することができる。具体的には、外層(A)、中間層(B)、ガスバリア層(C)、内層(D)及び必要により接着樹脂層(E)を形成する樹脂(組成物)を、各々別の押出機で溶融混練し、所定幅のT−ダイを備えるT−ダイ共押出によって、例えば樹脂温度200〜260℃で、所定厚み比率の積層構成となるように押し出し、所定の厚みになるようにドラフト比を設定して、例えば温度20〜60℃に調整したチルロールで急冷しながらドラフトし、巻き取りロールに巻き取って、未延伸積層フィルムである深絞り成形用積層フィルムを得る。
巻き取り速度や巻き取り長さは、深絞り成形用積層フィルムの層構成やT−ダイの幅(巻き取り幅)に応じて、また、特に、通常巻き取りロールに直接接触し、巻き取り面となる外層(A)の材料によって、最適条件を選定して、巻き取られた積層フィルムのロールに皺が発生しないようにする。例えば、巻き取り幅が1500mmである場合、外層(A)が、非晶性エチレンテレフタレート共重合体樹脂(以下、「PET」ということがある。)であれば、巻き取り速度15〜20m/分で巻き取り長さ2000m、ブチレンテレフタレート共重合体樹脂やトリメチレンテレフタレート樹脂であれば、巻き取り速度5〜10m/分で巻き取り長さ1500mというような条件を設定することができる。
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、用途に応じて、巻き取りロールから巻き戻されて、所定幅にスリットして、再度巻き取りロールに巻き取って使用することができる。その際、スリット後に再度巻き取りロールに巻き取られた積層フィルムのロールに皺が発生しないよう留意する必要があり、例えば、スリット時の積層フィルムの走行速度や張力を調整する。
III.包装体及び包装体の製造方法
本発明によれば、前記の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、ポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体を得ることができる。深絞り成形用積層フィルムを深絞り成形することにより底材(I)(通常、被包装物を充填・収納するための凹部を有している。)を形成する方法、蓋材(II)を形成する方法、底材(I)と蓋材(II)との間の空間に内容物を配置する方法、底材(I)と蓋材(II)とを対向配置させる方法、底材(I)と蓋材(II)とをシール(好ましくはヒートシール)する方法、及び、底材(I)と蓋材(II)とを所定の位置で切断する方法等の一連の深絞り包装体を得る過程、及びそのための手段は、いずれも特に限定されず、深絞り成形に関連して公知の方法を適宜採用することができる。また、底材(I)と蓋材(II)とをシールする前に、真空チャンバー内にて底材(I)と蓋材(II)との間の空間を減圧(真空)脱気することが好ましいが、所定のガスによって空間内をガス置換してもよい。以下に、具体例の一例を述べる。
1.底材(I)
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから、包装体の底材(I)を形成する。該積層フィルムを所定温度(通常は、該積層フィルムが備える各層のうち、ガラス転移温度が最も高い層の当該ガラス転移温度以上、かつ、融点が最も低い層の当該融点未満の温度とする。)に加熱する(予熱)。予熱した積層フィルムを、深絞り形状である所定形状の成形面を有する金型〔通常、断面形状が円形または矩形等であり、深さ2〜200mm(被包装物の種類や商品デザインによって決定され、多くの場合3〜120mm、ほとんどの場合4〜100mmである。)の範囲である成形凹部を1個〜複数個有する。〕を備える深絞り成形機に、ポリエステルを含有する外層(A)が成形面に対向するようにして、供給する。真空または圧空を利用して、所望により更に前記成形凹部に対応する凸部を有する金型を併用して、積層フィルムに対して深絞り成形を行い、所定形状を有する深絞り成形品である底材(I)を調製する。深絞り成形品である底材(I)は、通常、前記したように断面形状が円形または矩形等の凹部(通常、円筒状または直方体等の形状を1個〜複数個有する。)と該凹部を囲むフランジ部とを有する形状のものである。
2.蓋材(II)
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)とともに包装体を形成するために使用する蓋材(II)は、ポリオレフィンを含有するシール層を備え、前記底材(I)とシール可能で、被包装物を包装することが可能である限り、その層構成、厚み、及び各層の組成等は特に制限されず、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムと同様に、外層、中間層、ガスバリア層、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(シール層に相当する。)を備える積層フィルムを使用することができる。蓋材(II)の外層、中間層、ガスバリア層及び内層の組成は、底材(I)を形成するための植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムと同一でもよく、異なるものでもよい。また、例えば、蓋材(II)が備えるポリオレフィンを含有するシール層を、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであるものとして、植物由来樹脂を含有するものとすると、形成される包装体全体としてのカーボンオフセット性が向上するので好ましい。被包装物と密着して包装可能であることが求められることから、蓋材(II)の厚みは、底材(I)を形成するための深絞り成形用積層フィルムの厚みと同程度でもよく、また、より薄いものでもよいが、鋭くカットされた骨を有する骨付き肉の包装用途のように強度が求められる場合もある。蓋材(II)は、本発明の成形用積層フィルムと同様の公知の方法で製造することができる。例えば、複数の押出機を使用する共押出成形によって積層フィルムを調製することができる。また、押出成形により得られたフィルムをドライラミネートして積層フィルムを調製してもよい。蓋材(II)の幅は、底材(I)及び被包装物を完全に覆うことができる限り、特に制限はない。
3.包装体の形成
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、ポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体は、前記したように深絞り成形によって調製された底材(I)を、被包装物を載置、収納または充填(以下、総称して、「充填」ということがある。)することができるように配置〔通常は、底材(I)に形成された凹部を上面に開放するように配置する。〕する。次いで、被包装物を充填し、底材(I)を形成する深絞り成形用積層フィルムのポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)と蓋材(II)のポリオレフィンを含有するシール層とが対向するように配置された蓋材(II)によって被包装物が覆われるようにする。続いて、底材(I)と蓋材(II)との間の空間を真空引きし、その後底材(I)を形成する深絞り成形用積層フィルムのポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)と蓋材(II)のポリオレフィンを含有するシール層とを当接させて〔通常は、深絞り成形品のフランジ部において当接する。〕、加熱することによって当接部位を接合させた後、所定の包装体の大きさとなるように縦方向(機械方向)及び横方向(幅方向)に切断して、内部には被包装物が収納されている包装体を得る。
IV.植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムの特性
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、植物由来のポリオレフィンを含有し、かつ、特有の不飽和脂肪酸アミドを含有することを特徴とすることによって、以下の特性を有する。
1.本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムに共通する特性
本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、ポリオレフィンを含有する内層(D)が、植物由来のポリオレフィンを含有し、かつ、特定量の有機滑剤、特に好ましくは特有の不飽和脂肪酸アミドを含有することを特徴とし、このことによって、カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる深絞り成形用積層フィルムが提供される。より具体的には、例えば、深絞り成形用積層フィルムを共押出成形によって製造する際には、通常、製造された積層フィルムをロールに巻き取り、次いで、必要に応じてロールから巻き出して、所定幅にスリットしたり、その他の処理を施し、再度ロールに巻き取ることがあるが、それらの場合にロールに巻き取られた積層フィルムに皺入りが生じることがないので、生産効率が向上し、また、製品歩留まりが上昇する効果が奏される。
〔製膜巻取り時の皺入り〕
巻取り幅1500mmに巻き取られた深絞り成形用積層フィルムの皺入りの有無を、目視による観察により、以下の評価基準で判定する。「○」評価であることが好ましく、「×」評価であると、製品として出荷することができない。
○:巻取りロールに皺入りがない。
×:巻取りロールに皺入りがある。
〔スリット時の皺入り〕
前記の巻取り幅1500mmに巻き取られた深絞り成形用積層フィルムを、速度約50m/分で巻き出しながら、フィルムスリッターを用いて、420mm幅にスリットを行い、再度巻き取りロールに巻き取った後、深絞り成形用積層フィルムの皺入りの有無を、目視による観察により、以下の評価基準で判定する。「○」評価であることが好ましく、「×」評価であると、製品として出荷することができない。
○:スリット後の巻取りロールに皺入りがない。
×:スリット後の巻取りロールに皺入りがある。
2.特に、厚みが150μm未満である深絞り成形用積層フィルムが有する特性
また、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが厚み150μm未満の相対的に薄手の深絞り成形用積層フィルムである場合は、以下に詳述するように、この深絞り成形用積層フィルムを使用して包装体を形成すると、カール性やフィット性に優れるという効果を奏し、かつ、厚みが小さいにもかかわらず優れたバリア性が発揮されるという効果を奏することができる。
〔カール性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、該積層フィルムから形成された底材(I)と蓋材(II)とから包装体を形成し、これを保管するときに、底材(I)と蓋材(II)との当接部であるフランジ部がカールすることがない優れたカール性を有する。
カール性の測定方法は、次のとおりである。すなわち、深絞り成形用積層フィルムを、深絞り成形機(Multivac社製のムルチA422型)を使用して、温度85℃で、直径95mm×深さ8mmの円筒状の形状に深絞り成形して底材(I)を調製した後、該成形部に、直径90mmで重量43〜47gのポークスライスハムを充填し、次いで、別途調製した蓋材(II)〔厚み30μmの延伸ポリプロピレンフィルムと合計厚み50μmのEVOH層(バリア層)/接着樹脂層/ナイロン6−66樹脂層/VLDPE層(厚み20/5/5/20μm)の共押出フィルムとをドライラミネートして形成された積層フィルム〕であるフィルムで覆って、真空脱気後、シール温度127℃でヒートシールを行い、ハムを充填した包装体(ハム充填包装体)を得る。得られた包装体を、温度5℃の冷蔵庫中に3日間静置した後、フランジ部のカールの状態を、フラット(平らな)状態からの変位の大きさで観察する。評価基準は、以下のとおりとする。
○: 最大の変位が、5mm以内である。
×: 最大の変位が、5mmを超える。
〔フィット性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、被包装物とのフィット性に優れるので、複雑な形状の被包装物でも、変形や損傷を生じさせることなく、包装することができる。フィット性の評価は、前記のハム充填包装体の目視による観察に基づき、以下のとおりの方法で行う。
○: ハム充填包装体の被包装物(ハム)が、底材(I)との接触面において、充填前の形に比べて変形が認められない。
×: ハム充填包装体の被包装物(ハム)が、底材(I)との接触面において、充填前の形に比べて変形が認められる。
〔ハム保存性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、バリア性に優れるので、被包装物の保存性に優れる。保存性の評価は、以下のハム保存性によって行う。すなわち、前記のハム充填包装体を、温度5℃の冷蔵庫中に1か月間保管した後に、被包装物であるハムを取り出して観察する。
○: ハムの変色やネト発生(粘り気の発生)がなく、異臭もない。
×: ハムの変色やネト発生(粘り気の発生)がある、または、異臭がある。
〔酸素透過度〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、酸素バリア性に優れており、酸素透過度が、40cm3/m2・day・atm以下であり、好ましくは35cm3/m2・day・atm以下、より好ましくは32cm3/m2・day・atm以下である。酸素透過度は、ASTM D3985−81に準じて、モダンコントロール社製のOX−TRAN(登録商標)2/20型を使用して、温度30℃、相対湿度(RH)80%の条件にて測定する。
〔透湿度〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、水蒸気バリア性に優れており、透湿度が、20g/m2・day以下であり、好ましくは15g/m2・day以下である。透湿度は、ASTM F372−73に準じて、モダンコントロール社製のPERMATRAN−W(登録商標)3/31型を使用して、温度40℃、相対湿度(RH)90%RHの条件で測定する。
3.特に、厚みが150μm以上である深絞り成形用積層フィルムが有する特性
他方、本発明の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムが厚み150μm以上の相対的に厚手の深絞り成形用積層フィルムである場合は、以下に詳述するように、この深絞り成形用積層フィルムを使用して包装体を形成するとき、厚みが大きいにもかかわらず深絞り成形に使用する金型形状に忠実な成形が可能で外観にも優れるという効果を奏する。また、本発明の深絞り成形用積層フィルムは、耐熱性に優れ、殺菌等のために行う加熱処理によっても変質がなく、更に衝撃に対する強度が保持されるという効果を奏することができる。
〔深絞り成形性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、深絞り成形を行うときに、金型に設けた深絞り形状である所定形状の成形面の形状に忠実な形状の深絞り成形品〔底材(I)〕を得ることができるという優れた深絞り成形性を有する。
深絞り成形性の測定方法は、次のとおりである。すなわち、深絞り成形用積層フィルムを、ポリエステルを含有する外層(A)が下面となるようにして、深絞り成形用の成形面として、直方体容器(機械方向150mm×横方向100mm×深さ80mm)状の凹部形状を刻設した金型を備える深絞り包装機械(大森機械株式会社製のFV6300)に供給し、成形温度85℃、成形時間2秒間の条件で深絞り成形して、底材(I)となる深絞り成形品を得る。次いで、底材(I)の凹部に、被包装物として、長さ100mm×直径80mmのブロック状焼豚を充填した後に、別途調製した蓋材(II)〔厚み30μmの延伸ポリプロピレンフィルムと合計厚み50μmのEVOH層(バリア層)/接着樹脂層/ナイロン6−66樹脂層/VLDPE層(厚み20/5/5/20μm)の共押出フィルムとをドライラミネートして形成された積層フィルム〕を被せて、真空BOX内にて真空脱気後、温度130℃、シール時間1.5秒間の条件でヒートシールし、焼豚を充填した包装体(焼豚充填包装体)を作製する。
深絞り成形性の評価は、得られた深絞り成形品の深絞り成形金型の形状に対する忠実性及びコーナー部の白化の有無に加え、包装体のフランジ部分のシール状況を、いずれも目視によって観察した結果に基づいて行う。評価基準は、以下のとおりとする。
◎: 深絞り成形品は、深絞り金型に忠実に成形がされており、外観に優れる。
○: 深絞り成形品は、金型のコーナー部が直角形状とはなっていないが、白化は生じておらず、被包装物の包装はできている。
△: 深絞り成形品は、深絞り金型どおりの成形がされていない、または、フィルムの白化が生じている(外観に劣る)、または、フランジ部の全面における完全なシールができていない。
×: 深絞り成形時にフィルムが切れる。
〔ボイル適性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、耐熱性に優れるので、殺菌のために行う加熱(及び続いて実施する冷却)によっても、変形や白化が生じることがなく、実用性が高い。深絞り成形用積層フィルムの耐熱性は、以下の方法によって、ボイル適性を目視により観察して評価する。すなわち、前記の焼豚充填包装体を、温度95℃の熱水浴に20分間浸漬し、ボイル処理を行った後、流水(水道水)により5分間冷却する。冷却終了時点において、底材(I)の白化及び包装体のフランジ部の皺発生の有無を目視で観察する。
◎: 底材(I)は、ボイル処理前の透明性、光沢と変わりがない。
○: 底材(I)の白化がみられるが、外観不良のレベルが小さく実用上問題ない、または、24時間以内に白化が消失する(元の透明性、光沢に戻る)。
△: 底材(I)の白化がある、または、包装体のフランジ部に皺の発生がある。
×: ボイル処理前から透明性または光沢が劣る、あるいは、著しく白化があるまたは皺の発生がある。
〔耐ピンホール性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムは、強度が優れているので、取扱い上の実用性が高い。深絞り成形用積層フィルムの強度は、前記の焼豚充填包装体を使用して、六角回転テストを行って測定する耐ピンホール性によって評価する。耐ピンホール性の測定方法は、次のとおりである。すなわち、前記の焼豚充填包装体20個を温度5℃の冷蔵庫に8時間以上静置した後、温度5℃に調整した硬質塩化ビニル樹脂製の正六角柱の筒状の箱体にランダムに入れ、温度を保持したまま、正六角柱の中心線を軸として30回転/分の条件で5分間回転させる。次いで、焼豚充填包装体20個を取り出して、ピンホールまたは破袋が発生している包装体の数を数える。箱体は、正六角形の一辺の長さ20cm、筒の長さ61.5cmであり、箱体を構成する樹脂板の厚み0.5cmである。箱体の中には、正六角形6頂点の内の一つ置きに指定した3頂点から箱体の回転軸に向かい、3枚の長方形状の硬質塩化ビニル樹脂製の邪魔板が設けられている。邪魔板は、回転軸に向かって延びる辺の長さ7.8cmで、他方の辺の長さは箱体の長さと同じであり、厚みは0.5cmである。耐ピンホール性の評価基準は、以下のとおりであり、ピンホールの発生または破袋の発生が、6個以上であると、実用に耐えない。
◎: ピンホールの発生または破袋の発生が、1つもない。
○: ピンホールの発生または破袋の発生が、1個〜2個ある。
△: ピンホールの発生または破袋の発生が、3個〜5個ある。
×: ピンホールの発生または破袋の発生が、6個以上である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂原料及び深絞り用積層フィルム並びに包装体の特性または物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔密度、MI若しくはMFR、及び融点〕
密度、MI若しくはMFR、及び融点は、それぞれの樹脂に適合する所定のJISに従って測定した。
〔製膜巻取り時の皺入り〕
巻取り幅1500mmに巻き取られた深絞り成形用積層フィルムの皺入りの有無を、目視による観察により、以下の評価基準で評価した。
○:巻取りロールに皺入りがない。
×:巻取りロールに皺入りがある。
〔スリット時の皺入り〕
前記の巻取り幅1500mmに巻き取られた深絞り成形用積層フィルムを、速度約50m/分で巻き出しながら、フィルムスリッターを用いて、420mm幅にスリットを行い、再度巻き取りロールに巻き取った後、深絞り成形用積層フィルムの皺入りの有無を、目視による観察により、以下の評価基準で評価した。
○:スリット後の巻取りロールに皺入りがない。
×:スリット後の巻取りロールに皺入りがある。
〔酸素透過度〕
深絞り成形用積層フィルムの酸素透過度は、ASTM D3985−81に準じて、モダンコントロール社製のOX−TRAN(登録商標)2/20型を使用して、温度30℃、相対湿度(RH)80%の条件にて測定した。
〔透湿度〕
深絞り成形用積層フィルムの透湿度は、ASTM F372−73に準じて、モダンコントロール社製のPERMATRAN−W(登録商標)3/31型を使用して、温度40℃、相対湿度(RH)90%RHの条件で測定した。
〔カール性〕
深絞り成形用積層フィルムのカール性の測定方法は、以下のとおりである。すなわち、深絞り成形用積層フィルムを、深絞り成形機(Multivac社製のムルチA422型)を使用して、温度85℃で、直径95mm×深さ8mmの円筒状の形状に深絞り成形した後、該成形部に、直径90mmで重量43〜47gのポークスライスハムを充填し、次いで、別途調製した蓋材となるフィルムで覆って、真空脱気後、シール温度127℃でヒートシールを行い、ハムを充填した包装体(ハム充填包装体)を得た。得られた包装体を、温度5℃の冷蔵庫中に3日間静置した後、フランジ部のカールの状態を、フラット(平らな)状態からの変位の大きさで観察した。評価基準は、以下のとおりとした。
○: 最大の変位が、5mm以内である。
×: 最大の変位が、5mmを超える。
〔フィット性〕
深絞り成形用積層フィルムのフィット性の評価は、前記のハム充填包装体の目視による観察に基づき、以下のとおりの方法で行った。
○: ハム充填包装体の被包装物(ハム)が、底材(I)との接触面において、充填前の形に比べて変形が認められない。
×: ハム充填包装体の被包装物(ハム)が、底材(I)との接触面において、充填前の形に比べて変形が認められる。
〔ハム保存性〕
本発明の深絞り成形用積層フィルムのハム保存性は、前記のハム充填包装体を、温度5℃の冷蔵庫中に1か月間静置した後に、被包装物であるハムを取り出して観察することによって評価した。
○: ハムの変色やネト発生(粘り気の発生)がなく、異臭もない。
×: ハムの変色やネト発生(粘り気の発生)がある、または、異臭がある。
〔深絞り成形性〕
深絞り成形用積層フィルムの深絞り成形性の測定方法は、次のとおりである。すなわち、深絞り成形用積層フィルムを、ポリエステルを含有する外層(A)が下面となるようにして、深絞り成形用の成形面として、直方体容器(機械方向150mm×横方向100mm×深さ80mm)状の凹部形状を刻設した金型を備える深絞り包装機械(大森機械株式会社製のFV6300)に供給し、成形温度85℃、成形時間2秒間の条件で深絞り成形して、底材(I)となる深絞り成形品を得た。次いで、底材(I)の凹部に、被包装物として、長さ100mm×直径80mmのブロック状焼豚を充填した後に、別途調製した蓋材(II)〔厚み30μmの延伸ポリプロピレンフィルムと合計厚み50μmのEVOH層(バリア層)/接着樹脂層/ナイロン6−66樹脂層/VLDPE層(厚み20/5/5/20μm)の共押出フィルムとをドライラミネートして形成された積層フィルム〕を被せて、真空BOX内にて真空脱気後、温度130℃、シール時間1.5秒間の条件でヒートシールし、焼豚を充填した包装体(焼豚充填包装体)を作製した。
深絞り成形性の評価は、得られた深絞り成形品の深絞り成形金型の形状に対する忠実性及びコーナー部の白化の有無に加え、包装体のフランジ部分のシール状況を、いずれも目視によって観察した結果に基づいて行った。評価基準は、以下のとおりとした。
◎: 深絞り成形品は、深絞り金型に忠実に成形がされており、外観に優れる。
○: 深絞り成形品は、金型のコーナー部が直角形状とはなっていないが、白化は生じておらず、被包装物の包装はできている。
△: 深絞り成形品は、深絞り金型どおりの成形がされていない、または、フィルムの白化が生じている(外観に劣る)、または、フランジ部の全面における完全なシールができていない。
×: 深絞り成形時にフィルムが切れる。
〔ボイル適性〕
深絞り成形用積層フィルムのボイル適性は、以下の方法により、目視により観察して評価した。すなわち、前記の焼豚充填包装体を、温度95℃の熱水浴に20分間浸漬し、ボイル処理を行った後、流水(水道水)により5分間冷却した。冷却終了時点において、底材(I)の白化及び包装体のフランジ部の皺発生の有無を目視で観察した。
◎: 底材(I)は、ボイル処理前の透明性、光沢と変わりがない。
○: 底材(I)の白化がみられるが、外観不良のレベルが小さく実用上問題ない、または、24時間以内に白化が消失する(元の透明性、光沢に戻る)。
△: 底材(I)の白化がある、または、包装体のフランジ部に皺の発生がある。
×: ボイル処理前から透明性または光沢が劣る、あるいは、著しく白化があるまたは皺の発生がある。
〔耐ピンホール性〕
深絞り成形用積層フィルムの耐ピンホール性は、前記の焼豚充填包装体を使用して、六角回転テストを行って評価した。耐ピンホール性の測定方法は、次のとおりである。すなわち、前記の焼豚充填包装体20個を温度5℃の冷蔵庫に8時間以上静置した後、温度5℃に調整した硬質塩化ビニル樹脂製の正六角柱の筒状の箱体にランダムに入れ、温度を保持したまま、正六角柱の中心線を軸として30回転/分の条件で5分間回転させた。次いで、焼豚充填包装体20個を取り出して、ピンホールまたは破袋が発生している包装体の数を数えた。箱体は、正六角形の一辺の長さ20cm、筒の長さ61.5cmであり、箱体を構成する樹脂板の厚み0.5cmとした。箱体の中には、正六角形6頂点の内の一つ置きに指定した3頂点から箱体の回転軸に向かい、3枚の長方形状の硬質塩化ビニル樹脂製の邪魔板が設けた。邪魔板は、回転軸に向かって延びる辺の長さ7.8cmで、他方の辺の長さは箱体の長さと同じであり、厚みは0.5cmとした。耐ピンホール性の評価基準は、以下のとおりとした。
◎: ピンホールの発生または破袋の発生が、1つもない。
○: ピンホールの発生または破袋の発生が、1個〜2個ある。
△: ピンホールの発生または破袋の発生が、3個〜5個ある。
×: ピンホールの発生または破袋の発生が、6個以上である。
[実施例1]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
以下(1)〜(5)の5種類の樹脂材料を用いて、6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。
(1)ポリエステルを含有する外層(A): イーストマンケミカル社製「PETG−GN−001」(固有粘度;0.78、密度;1270kg/m3である非晶性エチレンテレフタレート共重合体。以下、「PET」と記述することがある。)
(2)ポリアミドを含有する中間層(B): 東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM6001XF」〔共重合比(質量比);6Ny:66Ny=85:15、密度;1130kg/m3、融点;195℃であるナイロン6−66共重合体。以下、「Ny」と記述することがある。〕
(3)ガスバリア層(C): 株式会社クラレ製「エバール(登録商標) E105B」〔エチレン含量;44モル%、密度;1140kg/m3、MI;12g/10分(210℃、21.18N)、融点;164℃であるエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物。以下、「EVOH」と記述することがある。〕
(4)ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D): 以下の材料及び含有量(相対比率を理解できるように「質量部」で記述した。)の組成とした。
ブラスケム社製「BRASKEM SLH118」〔植物由来のLLDPEであるエチレン・α−オレフィン共重合体。バイオマス度:84%(モダン炭素比率89.9pMC(107pMC×0.84=89.88pMCとして算出した結果に基づく。))、密度;920kg/m3、MFR;0.80g/10分(190℃、2.12N)。以下、「LLDPE−2」と記述することがある。〕 100質量部
シリカ(SiO2、無機滑剤)のマスターバッチ〔ポリエチレンベース、SiO2 10質量%(ポリエチレン 90質量%)。以下、「MB−1」と記述することがある。〕10質量部
cis-9,10-octadecenoamide(a1のcis不飽和脂肪酸アミド、n=7。以下、「cis-Amide-1」と記述することがある。) 0.2質量部〔樹脂成分(LLDPE−2及びMB−1中のポリエチレンの合計量)100質量部に対して1835ppmに相当する。〕
内層(D)のモダン炭素比率は、82.5pMCである〔内層(D)中の樹脂成分比率から、89.9pMC×100/(100+10×0.9)=82.48pMCとして算出した結果に基づく。〕。
(5)接着樹脂層(E): 三菱化学株式会社製「モディック(登録商標) S545」〔密度;900kg/m3、MI;9g/10分(190℃、21.18N)。以下、「M−PO」と記述することがある。〕
使用する樹脂材料やcis不飽和脂肪酸アミド等の概略の説明を表1に示した。また、深絞り成形用積層フィルムの層構成の概略を表2に示す。
前記の(1)〜(5)の5種類の樹脂材料を使用して、(A)/(E)/(B)/(C)/(E)/(D)の層構成を有する6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを、以下のT−ダイ共押出方法によって製造した。すなわち、前記の(1)〜(5)の5種類の樹脂材料を、それぞれ別々の6台の押出機に供給して、樹脂温度200〜260℃でそれぞれ溶融混練した後、共押出T−ダイに所定割合で同時に供給し、樹脂温度230℃の溶融体を、温度40℃のチルドロール上に押し出して急冷して、幅1500mmの全層厚み81μmの積層フィルムを得た。共押出T−ダイに供給する前記の所定割合は、得られた6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムの各層の厚みが、(A)/(E)/(B)/(C)/(E)/(D)として、35μm/5μm/7μm/11μm/5μm/18μmであるのに対応する割合とした。
〔蓋材(II)用の積層フィルムの調製〕
前記の(2)〜(5)の4種類の樹脂材料を使用して、(C)/(E)/(B)/(D)の層構成を有する4層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える積層フィルム〔全層厚み50μm。各層の厚みは、(C)/(E)/(B)/(D)が、20μm/5μm/5μm/20μm〕を、T−ダイ共押出方法によって製造した。次いで、積層フィルムを、厚み30μmの延伸ポリプロピレンフィルムとドライラミネートして、蓋材(II)用の積層フィルムを得た。
〔包装体の製造〕
先のT−ダイ共押出方法によって製造した深絞り成形用積層フィルムを、深絞り成形機(Multivac社製のムルチA422型)を使用して、温度85℃で、直径95mm×深さ8mmの円筒状の形状に深絞り成形して、底材(I)を調製した。底材(I)の該成形部に、被包装物として直径90mmで重量45gのポークスライスハムを充填し、次いで、ハムを充填した底材(I)の上面を、先に調製した蓋材(II)で覆って、真空脱気後、シール温度127℃で底材(I)のフランジ部のヒートシールを行い、被包装物であるハムを充填した包装体(ハム充填包装体)を得た。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
先のT−ダイ共押出方法によって製造した深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、ハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 2014104729
[実施例2]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
(A)〜(E)の組成及び厚みを、表2に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み130μmの6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。なお、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)に含有されるポリオレフィンとしては、植物由来のLLDPEであるLLDPE−2と、化石燃料由来のLLDPE(エチレン・α−オレフィン共重合体)であるLLDPE−1との50:50(質量比)の混合物を使用した。内層(D)のモダン炭素比率は、41.2pMCである〔内層(D)中の樹脂成分比率から、89.9pMC×50/(100+10×0.9)=41.24pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、実施例1と同様にして製造したハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。
[実施例3]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
(A)〜(E)の組成及び厚みを、表2に示すとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み61μmの6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。なお、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)に含有されるポリオレフィンとしては、化石燃料由来のLLDPEであるLLDPE−1と、植物由来のLLDPEであるLLDPE−2との60:40(質量比)の混合物を使用した。内層(D)のモダン炭素比率は、33.0pMCである〔内層(D)中の樹脂成分比率から、89.9pMC×40/(100+10×0.9)=32.99pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、実施例1と同様にして製造したハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。
[実施例4]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
(A)、(B)、(C)及び(E)の組成及び厚みを、表2に示すとおりに変更したこと、並びに、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)として、それぞれ以下に示す組成の表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)〔隣接する内層(D2)〕とを備えるものとしたことを除いて、実施例1と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み81μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。
〔表層側に配置されるヒートシール層(D1)〕
LLDPE−2 100質量部
MB−1 10質量部
cis-Amide-1 0.2質量部
〔ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)〕(イージーピール層)
EMAA 70質量部
PP 30質量部
M−PO 6質量部
ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)〔(D1)と(D2)とから構成される。〕のモダン炭素比率は、18.3pMCである〔(D1)及び(D2)中の樹脂成分比率並び(D1)と(D2)の厚み比率から、89.9pMC×100/(100+10×0.9)×4/(4+14)=18.33pMCとして算出した結果に基づく。〕。なお、(D1)のモダン炭素比率は、82.5pMCである。また、cis-Amide-1の含有量は、(D1)について、樹脂成分(LLDPE−2及びMB−1中のポリエチレンの合計量)100質量部に対して1835ppmに相当し、内層(D)について、樹脂成分(D1及びD2の全樹脂成分)100質量部に対して454ppmに相当する。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、実施例1と同様にして製造したハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。また、前記のハム充填包装体の蓋材(II)の端部を指でつかんで、底材(I)のフランジ部から剥離したところ、隣接する内層(D2)が凝集破壊して容易に剥離することができ、イージーピール性であることが分かった。
[比較例1]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)の組成を、MB−1及びcis-Amide-5を含有しないものに変更したことを除いて、実施例2と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み130μmの6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。内層(D)のモダン炭素比率は、45.0pMCである〔内層(D)中の樹脂成分比率から、89.9pMC×50/100=44.95pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、実施例1と同様にして製造したハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例2]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)の組成を、cis-Amide-1に代えて、cis-Amide-1のtrans体化合物に相当する不飽和trans構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを含有するものに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み81μmの6層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。内層(D)のモダン炭素比率は、82.5pMCである〔内層(D)中の樹脂成分比率から、89.9pMC×100/(100+10×0.9)=82.48pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り、スリット時の皺入り、酸素透過度、及び透湿度を測定し、また、実施例1と同様にして製造したハム充填包装体について、カール性、フィット性及びハム保存性を測定し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 2014104729
Figure 2014104729
表3から、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、ii)有機滑剤である不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有するものである実施例1〜3の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム、及び、前記の内層(D)が、表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)(イージーピール性である。)とを備える構成である実施例4の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、いずれも、カーボンオフセット性に優れているともに、製膜巻き取り時やスリット時にフィルム表面に皺が入ることがなく、成形性に優れているとともに、酸素透過度、透湿度及びハム保存性に優れ良好なバリア性を有しており、更に、カール性及びフィット性に優れた包装体を提供することができるものであることが分かった。
これに対して、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)が、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)を含有しない比較例1の深絞り成形用積層フィルム、及び、cis不飽和脂肪酸アミド(a)に代えて、不飽和trans構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミドを含有するものとした比較例2の深絞り成形用積層フィルムは、製膜巻き取り時やスリット時にフィルム表面に皺が入り、製品として出荷することができないものであることが分かった。
[実施例5]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
(A)〜(E)の組成及び厚みを、表4に示すとおりに変更したことを除いて、実施例4と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。深絞り成形用積層フィルムの層構成の概略を表4に示す。T−ダイ共押出を48時間継続したところ、成形機のダイリップに汚れは全くみられなかった。ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)〔(D1)と(D2)とから構成される。〕のモダン炭素比率は、73.8pMCである〔(D1)及び(D2)中の樹脂成分比率並び(D1)と(D2)の厚み比率から、89.9pMC×100×75/(100×75+(100+10×0.9)×15)=73.81pMCとして算出した結果に基づく。〕。なお、(D1)のモダン炭素比率は、0pMCであり、(D2)のモダン炭素比率は、82.5pMCである。また、cis-Amide-1の含有量は、(D1)において、樹脂成分(VLDPE及びMB−1中のポリエチレンの合計量)100質量部に対して275ppmであり、(D2)において、樹脂成分(LLDPE−2)100質量部に対して5000ppmであって、内層(D)について、樹脂成分(D1及びD2の全樹脂成分)100質量部に対して4213ppmに相当する。
〔包装体の製造〕
T−ダイ共押出方法によって製造した深絞り成形用積層フィルムを、ポリエステルを含有する外層(A)が下面となるようにして、深絞り成形用の成形面として、直方体容器(機械方向150mm×横方向100mm×深さ80mm)状の凹部形状を刻設した金型を備える深絞り包装機械(大森機械株式会社製のFV6300)に供給し、成形温度85℃、成形時間2秒間の条件で深絞り成形して、底材(I)となる深絞り成形品を得た。次いで、底材(I)の凹部に、被包装物として、長さ100mm×直径80mmのブロック状焼豚を充填し、次いで、焼豚を充填した底材(I)の上面を、先に調製した蓋材(II)で覆って、真空BOX内で真空脱気後、温度130℃、シール時間1.5秒間の条件でヒートシールし、被包装物である焼豚を充填した包装体(焼豚充填包装体)を得た。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例1と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
[比較例3]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)の(D1)及び(D2)の組成について、MB−1及びcis-Amide-1を含有しないものに変更したこと、及び、ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)の組成を、cis-Amide-1を含有しないものに変更したことを除いて、実施例5と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。内層(D)のモダン炭素比率は、74.9pMCである〔(D1)及び(D2)中の樹脂成分比率並び(D1)と(D2)の厚み比率から、89.9pMC×100×75/(100×75+100×15)=74.92pMCとして算出した結果に基づく。〕。なお、(D1)のモダン炭素比率は、0pMCであり、(D2)のモダン炭素比率は、82.5pMCである。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例5と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、実施例5と同様にして製造した焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
[比較例4]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)におけるヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)に含有される植物由来のLLDPEであるLLDPE−2に代えて、化石燃料由来のLLDPE−1に変更したことを除いて、比較例3と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の深絞り成形用積層フィルムを調製した。内層(D)のモダン炭素比率は、0pMCである。なお、(D1)及び(D2)のモダン炭素比率も、0pMCである。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例5と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、実施例5と同様にして製造した焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例6]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
ポリエステルを含有する外層(A)に含有されるポリエステルを植物由来のポリエステルであるPTTに変更したこと、及び、内層(D)におけるヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)の組成を表4に示すとおりに変更したことを除いて、実施例5と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。T−ダイ共押出を48時間継続したところ、成形機のダイリップに汚れは全くみられなかった。外層(A)のモダン炭素比率は、39.6pMCである(107pMC×0.37=39.59として算出される。)。また、内層(D)のモダン炭素比率は、22.1pMCである〔(D1)及び(D2)中の樹脂成分比率並び(D1)と(D2)の厚み比率から、89.9pMC×0.3×100×75/(100×75+(100+10×0.9)×15)=22.14pMCとして算出した結果に基づく。〕。なお、(D1)のモダン炭素比率は、0pMCであり、(D2)のモダン炭素比率は、27.0pMCである〔89.9pMC×0.3=26.97pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例5と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、実施例5と同様にして製造した焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例7]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)の(D1)及び(D2)の組成について、含有するcis不飽和脂肪酸アミドを表4に示すとおりに変更したことを除いて、実施例6と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。T−ダイ共押出を48時間継続したところ、成形機のダイリップに汚れは全くみられなかった。外層(A)のモダン炭素比率は、39.6pMCであり、内層(D)のモダン炭素比率は、22.1pMCである。なお、(D1)のモダン炭素比率は、0pMCであり、(D2)のモダン炭素比率は、27.0pMCである〔89.9pMC×0.3=26.97pMCとして算出した結果に基づく。〕。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例5と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、実施例5と同様にして製造した焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
[比較例5]
〔深絞り成形用積層フィルムの調製〕
内層(D)の(D1)及び(D2)の組成について、表4に示すとおりに、いずれの層もcis不飽和脂肪酸アミド及びMB−1を含有しないものに変更したことを除いて、実施例6と同様にして、T−ダイ共押出方法により、全層の厚み200μmの7層構成の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムを調製した。外層(A)のモダン炭素比率は、39.6pMCであり、内層(D)のモダン炭素比率は、22.5pMCである〔(D1)及び(D2)中の樹脂成分比率並び(D1)と(D2)の厚み比率から、89.9pMC×0.3×75/(75+15)=22.48pMCとして算出した結果に基づく。〕。なお、(D1)のモダン炭素比率は、0pMCであり、(D2)のモダン炭素比率は、27.0pMCである。
〔深絞り成形用積層フィルムの特性〕
実施例5と同様にして、深絞り成形用積層フィルムについて、製膜巻取り時の皺入り及びスリット時の皺入りを測定し、また、実施例5と同様にして製造した焼豚充填包装体について、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性を測定し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2014104729
Figure 2014104729
表5から、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、ii)有機滑剤である不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有するものである実施例5〜7の厚み200μmの植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、カーボンオフセット性に優れているともに、製膜巻き取り時やスリット時にフィルム表面に皺が入ることがなく、成形性に優れているとともに、深絞り成形性、ボイル適性及び耐ピンホール性に優れていることから、容積や重量が大きな被包装物の包装にも適した包装体を提供することができることが分かった。さらに、前記の内層(D)が、表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)とを備え、かつ、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)の含有量が、(D1)において、(D2)におけるより小さい構成である実施例5〜7の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、いずれも、深絞り成形用積層フィルムを製造する際に、長時間成形を継続してもダイリップの汚れが生じないので、生産効率が向上するものであることが分かった。また、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)に加えて、ポリエステルを含有する外層(A)が、モダン炭素比率が10〜118pMCである実施例6及び7の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムは、更に優れたカーボンオフセット性を有するものであった。
これに対して、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)が、有機滑剤であるcis不飽和脂肪酸アミド(a)を含有しない比較例3〜5の深絞り成形用積層フィルムは、製膜巻き取り時やスリット時にフィルム表面に皺が入り、製品として出荷することができないものであることが分かった。また、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)が、モダン炭素比率が0pMCである比較例4の深絞り成形用積層フィルムは、地球環境内に存在する二酸化炭素を増大させるカーボンネガティブなものである。
本発明は、ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、ii)有機滑剤、特に好ましくは不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有することを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムであることによって、
カーボンオフセット性を有するとともに、化石燃料由来の樹脂からなる深絞り成形用積層フィルムと遜色がない成形性及び優れた包装性能を実現することができる深絞り成形用積層フィルムが提供され、さらに、該深絞り成形用積層フィルムから形成した底材と、蓋材とから形成された美麗な包装体が提供されるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (21)

  1. ポリエステルを含有する外層(A)、ポリアミドを含有する中間層(B)、ガスバリア層(C)、及び、ポリオレフィンを含有するヒートシール性を有する内層(D)を、少なくともこの順に備える深絞り成形用積層フィルムであって、
    ポリオレフィンを含有する前記の内層(D)は、
    i)ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCであり、かつ、
    ii)有機滑剤を、樹脂成分に対して100〜6000ppm含有する
    ことを特徴とする植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  2. 前記の有機滑剤が、不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)である請求項1記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  3. 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、以下の(a1)、(a2)及び(a3):
    (a1)H2N−CO−(−CH2−)n−CH=CH−(−CH2−)n−CH3(ただし、nは、6≦n≦10の範囲の整数);
    (a2)H2N−CO−(−CH2−)m-2−CH=CH−(−CH2−)m−CH3(ただし、mは、6≦m≦10の範囲の整数);及び
    (a3)H2N−CO−(−CH2−)k+4−CH=CH−(−CH2−)k−CH3(ただし、kは、6≦k≦10の範囲の整数);
    からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドを含有する請求項2記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  4. 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、前記の(a1)の式で表される脂肪酸アミドと、前記の(a2)または(a3)の式で表される少なくとも1種の脂肪酸アミドとの混合物である請求項3記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  5. 前記の(a2)の式で表される脂肪酸アミドにおけるmが、m=n+1またはm=n−1である請求項4記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  6. 前記の(a3)の式で表される脂肪酸アミドにおけるkが、k=nである請求項4記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  7. 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、前記の(a1)の式で表される脂肪酸アミドと、以下の(a11):
    (a11)H2N−CO−(−CH2−)j−CH=CH−(−CH2−)j−CH3(ただし、jは、6≦j≦10の範囲の整数であり、j≠n);
    の式で表される脂肪酸アミドとの混合物である請求項3記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  8. 前記の不飽和cis構造炭素二重結合を有する脂肪酸アミド(a)が、分子構造中に不飽和cis構造炭素二重結合を2結合〜4結合有する化合物を含有する請求項2乃至7のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  9. 前記の内層(D)が、更に飽和脂肪酸アミドを含有する請求項2乃至8のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  10. 前記の内層(D)が、更に無機滑剤を含有する請求項2乃至9のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  11. 前記の外層(A)と中間層(B)との間、または、前記のガスバリア層(C)と内層(D)との間の一方または両方に、接着樹脂層(E)を備える請求項1乃至10のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  12. 前記の内層(D)が、表層側に配置されるヒートシール層(D1)と該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)とを備える請求項1乃至11のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  13. 前記の表層側に配置されるヒートシール層(D1)における有機滑剤の含有量が、該ヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)における有機滑剤の含有量より小さい請求項12記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  14. 前記のヒートシール層に隣接し表層と反対側に配置される層(D2)がイージーピール性である請求項12または13記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  15. 前記の外層(A)、中間層(B)及びガスバリア層(C)からなる群、または、前記の外層(A)、中間層(B)、ガスバリア層(C)及び接着樹脂層(E)からなる群より選ばれる1以上の層は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである請求項1乃至13のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  16. 前記の外層(A)は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである請求項15記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  17. 前記の外層(A)に含有されるポリエステルが、芳香族ポリエステルである請求項1乃至16のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  18. 前記の外層(A)に含有される芳香族ポリエステルが、エチレンテレフタレート(共)重合体、トリメチレンテレフタレート(共)重合体及びブチレンテレフタレート(共)重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項17記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  19. 前記のガスバリア層(C)が、塩化ビニリデン共重合体、芳香族ポリアミド及びエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂から形成されたものである請求項1乃至18のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルム。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の植物由来樹脂を含有する層を備える深絞り成形用積層フィルムから形成した底材(I)と、ポリオレフィンを含有するシール層を備える蓋材(II)とから形成される包装体。
  21. 前記の蓋材(II)が備えるポリオレフィンを含有するシール層は、ASTM D6866−12に規定されるモダン炭素比率が10〜118pMCである請求項20記載の包装体。
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