JP2019206668A - 樹脂組成物および成形体、ならびに樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミドおよびポリビスアミドトリアゾールからなる群より選ばれる1種以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜340℃のポリアミドである、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記ポリアミドは、前記融点(Tm)が150〜290℃の脂肪族ポリアミドである、[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記脂肪族ポリアミドは、(i)ジカルボン酸に由来する構造単位と、ジアミンに由来する構造単位とを含み、かつ前記ジカルボン酸に由来する構造単位は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位の合計100モル%に対して80モル%以上の炭素原子数6〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を含み、前記ジアミンに由来する構造単位は、前記ジアミンに由来する構造単位の合計100モル%に対して80モル%以上の炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む脂肪族ポリアミドであるか、または(ii)炭素原子数6〜12のラクタムまたはアミノカルボン酸に由来する構造単位を含む脂肪族ポリアミドである、[6]に記載の樹脂組成物。
[8] 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部とを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
[10] エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜95質量部とを混合する工程と(ただし、(A)と(B)の合計は100質量部とする)を含む、樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とを含む。
エンジニアリングプラスチック(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃のエンジニアリングプラスチックである。
ポリアミドは、アミド結合(−NH−C(=O)−)を有する構造単位を含む重合体であり、ジカルボン酸とジアミンとを共縮重合させるか、またはラクタムを開環重合(またはアミノカルボン酸を重縮合)させるか、それらを組み合わせることによって得られる。すなわち、ポリアミドは、(i)ジカルボン酸に由来する構造単位とジアミンに由来する構造単位とを含むか;(ii)ラクタムの開環物またはアミノカルボン酸に由来する構造単位を含むか;(i)と(ii)の両方を含みうる。
ジカルボン酸に由来する構造単位を得るためのジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルでありうる。
ラクタムの開環物に由来する構造単位を得るためのラクタムは、炭素原子数6〜12、好ましくは6〜10のラクタムでありうる。そのようなラクタムの例には、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタムなどが含まれ、好ましくはε−カプロラクタムである。ラクタムは、一種類だけ用いてもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
アミノカルボン酸に由来する構造単位を得るためのアミノカルボン酸は、炭素原子数6〜12、好ましくは6〜10のアミノカルボン酸である。アミノカルボン酸は、前述のラクタムの開環物であってよい。そのようなアミノカルボン酸の例には、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが含まれる。アミノカルボン酸は、一種類だけ用いてもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
ポリアセタールは、オキシメチレン構造単位(−OCH2−)を含む重合体である。ポリアセタールは、ポリオキシメチレン(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン」、旭化成工業(株)製、商品名「テナック4010」)などのポリアセタール単独重合体であってもよいし;オキシメチレン構造単位と、コモノマー構造単位とを含むポリアセタール共重合体(例えば、ポリプラスチックス(株)製、商品名「ジュラコン」)であってもよい。
ポリカーボネートは、二価フェノールとホスゲンとを界面重縮合して得られる重合体、または二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とをエステル交換により重合させて得られる重合体でありうる。二価フェノールの例には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が含まれる。
ポリエステルは、二価以上の芳香族カルボン酸と、二価以上のアルコールおよび/またはフェノールとを重縮合させて得られる重合体でありうる。なかでも、結晶性ポリエステル、特に融点200℃以上の結晶性ポリエステルが好ましい。ポリエステルの例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートが含まれる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。ポリエステルの市販品としてはノバデュラン(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)などがあり、市場から容易に入手することができる。
ポリフェニレンエーテルの例には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが含まれる。
ポリエーテルサルホンは、例えばビスフェノ−ルAと4,4’−ジクロロジフェニルサルホンとを重縮合して得られる重合体でありうる。
(−Ar1−SO2−Ar2−O−) (1)
(−Ar3−X−Ar4−O−Ar5−SO2−Ar6−O−) (2)
(−Ar7−SO2−Ar8−O−Ar9−O−) (3)
ポリフェニレンサルファイドは、下記式で表される構造単位を含む重合体である。
−(Ph−S)−
ポリアリレートとしては、二価のフェノール化合物(例えばビスフェノールA)と、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸やイソフタル酸)とを重縮合させて得られる重合体でありうる。
ポリアミドイミドは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体、または芳香族二酸無水物と芳香族ジイソシアネートとを重縮合させて得られる重合体でありうる。
フッ素樹脂の例には、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル、ポリフッ化アルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ四フッ化エチレンなどが含まれる。
ポリアミノビスマレイミドは、ジアミン化合物とビスマレイミド化合物とを重合反応させて得られる重合体であり、下記式で表される構造単位を含みうる。下記式において、PおよびQは、それぞれ二価の有機基である。
熱可塑性エラストマーは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)とを含む組成物の架橋物(動的架橋物)である。架橋物とは、部分架橋物または完全架橋物である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)は、エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、非共役ポリエンに由来する構造単位とを含む共重合体である。
エチレンに由来する構造単位の含有割合は、共重合体ゴム(B−I)を構成する全構造単位に対して50〜89質量%であることが好ましく、55〜83質量%であることがより好ましい。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが含まれる。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましい。α−オレフィンは、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。これらのα−オレフィンは、原料コストが比較的安価で共重合性に優れると共に、共重合体ゴム(B−I)に優れた機械的性質と良好な柔軟性を付与するので好ましい。
非共役ポリエンは、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンであり、その例には、脂肪族ポリエンや脂環族ポリエンが含まれる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含む共重合体である。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)のカルボキシル基は、例えばエンジニアリングプラスチック(A)が有しうる極性基(例えばポリアミドの場合、カルボキシル基やアミノ基など)と相互作用しやすいため、エンジニアリングプラスチック(A)と熱可塑性エラストマー(B)との相溶性を高め、耐衝撃性をさらに高めうる。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)は、代表的には、アルキル置換または非置換のフェノール類を、アルカリ触媒存在下でアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)と縮合して得られるレゾ−ル樹脂である。アルキル置換フェノールのアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましい。すなわち、アルキル置換または非置換のフェノール類は、炭素原子数1〜10のアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類またはフェノール類であることが好ましい。
熱可塑性エラストマー(B)を得るための組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(B−I)成分、(B−II)成分および(B−III)成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)以外の他の架橋剤や架橋助剤、補助安定剤(酸化防止剤)などが含まれる。
熱可塑性エラストマー(B)は、(B−I)成分、(B−II)成分、および(B−III)成分を含む組成物の少なくとも一部を動的架橋させること、具体的には、溶融流動状態(動的状態)で架橋させることによって得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック(A)および熱可塑性エラストマー(B)以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、相溶化剤(C)が含まれる。
相容化剤(C)は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチック(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とをより良好に相容化させるため、極性基含有化合物、例えば水酸基、カルボニル基、エポキシ基、酸ハイドライド、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、チオール基などを極性基として有する極性基含有化合物の重合体または共重合体でありうる。
本発明の樹脂組成物は、任意の方法で製造することができ、たとえば前述の方法で熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、得られた熱可塑性エラストマー(B)とエンジニアリングプラスチック(A)とを公知の方法で混合する工程とを経て製造することができる。上記混合した後、押出機を用いて混合物をさらに溶融混練してもよい。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、種々の用途に用いることができ、例えば自動車部品、建材部品、スポーツ用品、医療器具部品、工業部品など、各種用途の成形体として有用である。
産業用チューブは、前述の樹脂組成物を含む層を少なくとも含む。産業用チューブとは、特に産業機器に使用されるチューブを意味する。産業用チューブの例には、車両(例えば自動車)、空圧・油圧機器、塗装機器、医療機器などの産業機器に必要な流体(燃料、溶剤、薬品、ガスなど)を通すチューブが挙げられる。特に、車両配管用チューブ(例えば燃料系チューブ、吸気系チューブ、冷却系チューブ)、空圧チューブ、油圧チューブ、ペイントスプレーチューブ、医療用チューブ(例えばカテーテル)などの用途において非常に有用である。
射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体は、そのような物性が要求される各種用途(例えば自動車、電気製品)に広く利用可能である。射出成形、ブロー成形または二色成形により得られる成形体の例には、等速ジョイントブーツ、ダストカバーなどのブーツ部品、オイルシール、ガスケット、パッキン、ダストカバー、バルブ、ストッパ、精密シールゴム、ウェザストリップなどが挙げられる。中でも、自動車用等速ジョイントブーツが好ましい。自動車用等速ジョイントブーツの製造方法としては、例えば射出成形法、ブロー成形法(インジェクションブロー成形法、プレスブロー成形法)など、公知の方法を採用できる。
<エンジニアリングプラスチック(A)>
A−1:脂肪族ポリアミド(ナイロン6、東レ社製、アラミン CM1017、融点:225℃、MFR:127g/10分)
熱可塑性エラストマー(B)として、下記の熱可塑性エラストマー(B−1)〜(B−3)を調製した。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)としてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含量65質量%、ジエン含量4.6質量%、[η]=2.4dl/g)を55質量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)としてエチレン・メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレルN035C(商標)、三井・デュポンポリケミカル社製、密度(JIS K 7112:1999):940kg/m3、融点:86℃、酸含有量:10質量%、MFR(JIS K 7210:1999(190℃、2.16kg荷重)35g/10分)を40質量%、フェノール樹脂系架橋剤(B−III)としてフレーク状の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(田岡化学工業社製、商品名タッキロール250−III)を、ヘンシェルミキサーにて10秒間攪拌して粉状にしたものを5質量%、および架橋助剤として少量の酸化亜鉛二種(ハクスイテック社製)を予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、熱可塑性エラストマー(B−1)のペレットを得た。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の質量比を表1に示されるように変更した以外は熱可塑性エラストマー(B−1)と同様にして熱可塑性エラストマー(B−2)および(B−3)を得た。
比較樹脂(b)として、下記の比較樹脂(b−1)〜(b−3)を調製した。
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、ヘキサン912ml、および1−ブテン320mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温させた。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記で調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで系内に圧入し、重合反応を開始させた。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm2−Gに保ち、80℃で30分間重合させた。
重合物を少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入して白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥させて、白色固体(エチレン・1−ブテン共重合体)を得た。得られたエチレン・1−ブテン共重合体の密度は0.865g/cm3、MFR(ASTMD1238規格、190℃:2160g荷重)は0.5g/10分、1−ブテン構造単位含有率は4モル%だった。
得られたエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部と過酸化物(パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、商標)0.04質量部とを混合した。得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって変性エチレン・1−ブテン共重合体(b−1)を得た。
得られた変性エチレン・1−ブテン共重合体(b−1)の無水マレイン酸グラフト変性量は0.98質量%であった。また135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は1.90dl/gであった。
無水マレイン酸1.0質量部を0.5質量部に変更した以外は変性エチレン・1−ブテン共重合体(b−1)と同様の方法で変性エチレン・1−ブテン共重合体(b−2)を得た。
得られた変性エチレン・1−ブテン共重合体(b−2)の無水マレイン酸グラフト変性量は0.47質量%であり、135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]は1.80dl/gであった。
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)および架橋助剤を添加せず、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)の質量比が(B−I):(B−II)=11:9となるように混合した以外は熱可塑性エラストマー(B−1)と同様の方法で混合物(b−3)を得た。
<実施例1〜3>
エンジニアリングプラスチック(A)として上記脂肪族ポリアミド(A−1)と、熱可塑性エラストマー(B)として表2に示される熱可塑性エラストマーとを、表2に示される組成比で予備混合し、これを二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX−30)に供給し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmで、溶融混練した。この二軸押出機から押出されたストランドを切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
熱可塑性エラストマー(B)に代えて表2に示される比較樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの試験片を作製した。
成形機:住友重機械工業(株)製、SG50M3
成形機シリンダー温度:脂肪族ポリアミド(A−1)の融点(Tm)+15℃
金型温度:50℃
得られた試験片を、温度23℃、窒素雰囲気下で24時間放置した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で曲げ試験機NTESCO社製 AB5、スパン51mm、曲げ速度12.7mm/分で曲げ試験を行い、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)を測定した。
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、厚さ3.2mmの試験片を作製した。
成形機:(株)ソディック プラスティック、ツパールTR40S3A
成形機シリンダー温度:脂肪族ポリアミド(A−1)の融点(Tm)+15℃
金型温度:脂肪族ポリアミド(A−1)のガラス転移温度(Tg)+20℃
得られた試験片を、スパンを100mmに固定して、35℃から昇温速度120℃/hrで0.45MPaの圧力をかけた。そして、たわみ量が0.254mmになった際の温度を荷重たわみ温度とした。
得られた樹脂組成物を、下記の成形条件で射出成形し、厚さ3.2mmのノッチ付きの試験片を作製した。
成形機:住友重機械工業(株)製、SG50M3
成形機シリンダー温度:脂肪族ポリアミド(A−1)の融点(Tm)+15℃
金型温度:50℃
得られた試験片のIZOD衝撃強度を、ASTMD256に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。
実施例および比較例の樹脂組成物を、幅10mm、厚み0.5mmのバーフロー金型を使用して以下の条件で射出し、金型内の樹脂組成物の流動長(mm)を測定した。なお、流動長が長いほど射出流動性が良好であることを示す。
成形機:ソディック社製 プラスティック、ツパールTR40S3A
射出設定圧力:2000kg/cm2
成形機シリンダー温度:脂肪族ポリアミド(A−1)の融点(Tm)+15℃
金型温度:50℃
Claims (10)
- 示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜95質量部と、
熱可塑性エラストマー(B)5〜40質量部と
を含み(ただし、(A)と(B)の合計は100質量部とする)、
前記熱可塑性エラストマー(B)は、
エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
を含む組成物の架橋物である、
樹脂組成物。 - 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)は、エチレン・メタクリル酸共重合体である、
請求項1に記載の樹脂組成物。 - 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)における、前記不飽和カルボン酸に由来する構造単位の含有率は、5〜20質量%である、
請求項1または2に記載の樹脂組成物。 - 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアミノビスマレイミドおよびポリビスアミドトリアゾールからなる群より選ばれる1種以上である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記エンジニアリングプラスチック(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜340℃のポリアミドである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 前記ポリアミドは、前記融点(Tm)が150〜290℃の脂肪族ポリアミドである、
請求項5に記載の樹脂組成物。 - 前記脂肪族ポリアミドは、
(i)ジカルボン酸に由来する構造単位と、ジアミンに由来する構造単位とを含み、かつ
前記ジカルボン酸に由来する構造単位は、前記ジカルボン酸に由来する構造単位の合計100モル%に対して80モル%以上の炭素原子数6〜12の脂肪族ジカルボン酸に由来する構造単位を含み、
前記ジアミンに由来する構造単位は、前記ジアミンに由来する構造単位の合計100モル%に対して80モル%以上の炭素原子数4〜12の脂肪族ジアミンに由来する構造単位を含む脂肪族ポリアミドであるか、または
(ii)炭素原子数6〜12のラクタムまたはアミノカルボン酸に由来する構造単位を含む脂肪族ポリアミドである、
請求項6に記載の樹脂組成物。 - 前記熱可塑性エラストマー(B)は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)、および前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)の合計を100質量部としたとき、
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)を30〜80質量部と、
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)を15〜60質量部と、
前記フェノール樹脂系架橋剤(B−III)を1〜10質量部と
を含む、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
- エチレンに由来する構造単位と、炭素原子数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、炭素−炭素二重結合を1分子内に1個以上有する非共役ポリエンに由来する構造単位とを含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(B−I)と、
エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含むエチレン・不飽和カルボン酸共重合体(B−II)と、
フェノール樹脂系架橋剤(B−III)と
を含む組成物を動的架橋させて、熱可塑性エラストマー(B)を得る工程と、
前記熱可塑性エラストマー(B)と、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が150〜350℃であるエンジニアリングプラスチック(A)60〜95質量部とを混合する工程と(ただし、(A)と(B)の合計は100質量部とする)
を含む、
樹脂組成物の製造方法。
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