JP2003096245A - 熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法および該組成物からなる成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法および該組成物からなる成形体

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JP2003096245A
JP2003096245A JP2001294631A JP2001294631A JP2003096245A JP 2003096245 A JP2003096245 A JP 2003096245A JP 2001294631 A JP2001294631 A JP 2001294631A JP 2001294631 A JP2001294631 A JP 2001294631A JP 2003096245 A JP2003096245 A JP 2003096245A
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thermoplastic elastomer
elastomer composition
polyamide
crystalline polyolefin
acid
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Kyoko Kobayashi
林 恭 子 小
Hiroshi Kanda
田 拓 神
Akira Todo
堂 昭 藤
Hideo Matsuoka
岡 英 夫 松
Mitsushige Hamaguchi
口 美都繁 濱
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Mitsui Chemicals Inc
Toray Industries Inc
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Mitsui Chemicals Inc
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟でゴム弾性に優れ、しかも耐傷付き性が
良好な熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法およ
び該組成物から得られる成形体の提供。 【解決手段】 結晶性ポリオレフィン(A)、ポリアミ
ド(B)およびオレフィン系共重合体ゴム(C)を必須
成分とし、前記結晶性ポリオレフィン(A)が連続相を
形成し、ポリアミド(B)とオレフィン系重合体ゴム
(C)とがそれぞれ独立して分散相を形成することを特
徴とする熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性エラストマー組
成物、その製造方法および該組成物からなる成形体に関
する。さらに詳しくは、結晶性ポリオレフィンとポリア
ミドとオレフィン系共重合体ゴムとからなる熱可塑性エ
ラストマー組成物、その製造方法、および該組成物から
なる成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】自動車部品、工業機械部品、電気
・電子部品、建材などに用いられるゴム弾性を必要とす
る部品または部位として、従来から、たとえば塩化ビニ
ル樹脂のような、種々の材料が用いられている。しか
し、塩化ビニル樹脂は、焼却時に有毒なガスを発生する
ため、廃棄後の処理が大きな問題となっている。さら
に、ゴム弾性もあまり良好ではなく、その用途は限られ
ている。
【0003】このような塩化ビニル樹脂の代替品とし
て、熱可塑性エラストマーが挙げられる。なかでも、オ
レフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクル
が容易であり、さらに柔軟でゴム弾性が良好であること
から、その需要を大きく伸ばしてきている。しかしなが
ら、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、塩化
ビニル樹脂と比較して耐傷付き性、耐磨耗性に劣るとい
う欠点がありその改良が強く求められていた。またオレ
フィン系熱可塑性エラストマーは極性基を持たないため
に、塗装性や他の基材との接着性が劣るという欠点もあ
った。
【0004】本発明者らは、このような問題を解決する
ために、鋭意検討した結果、結晶性ポリオレフィンとポ
リアミドとオレフィン系共重合体ゴムとを含み、結晶性
ポリオレフィンが連続相を形成し、ポリアミドおよびオ
レフィン系重合体ゴムが分散相を形成する熱可塑性エラ
ストマー組成物が、柔軟でゴム弾性に富み、さらに耐傷
付き性等の性状にも優れることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような問題を解決する
ものであり、柔軟でゴム弾性に優れ、さらに耐傷付き性
が良好な熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法お
よび該組成物から得られる成形体を提供することを目的
とする。
【0006】
【発明の概要】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、結晶性ポリオレフィン(A)、ポリアミド(B)お
よびオレフィン系共重合体ゴム(C)を必須成分とし、
前記結晶性ポリオレフィン(A)が連続相を形成し、ポ
リアミド(B)とオレフィン系重合体ゴム(C)とが分
散相を形成することを特徴としている。
【0007】上記結晶性ポリオレフィン(A)は、プロ
ピレン系重合体であることが好ましく、特に、アイソタ
クチックプロピレン系重合体および/またはシンジオタ
クチックプロピレン系重合体を主成分とすることが好ま
しい。上記オレフィン系共重合体ゴム(C)は、エチレ
ン・α−オレフィン系共重合体ゴムであることが好まし
い。
【0008】上記結晶性ポリオレフィン(A)の少なく
とも一部が、酸無水基、エポキシ基、カルボキシル基、
カルボン酸エステルなどの極性基から選ばれる少なくと
も1種の官能基を含有することが好ましい。上記オレフ
ィン系共重合体ゴム(C)の少なくとも一部が架橋して
いてもよい。
【0009】上記オレフィン系共重合体ゴム(C)が架
橋剤を用いて動的に架橋されていてもよい。本発明の熱
可塑性エラストマー組成物結晶性は、ポリオレフィン
(A)とポリアミド(B)の重量比率が90/10〜2
0/80であり、かつ結晶性ポリオレフィン(A)およ
びポリアミド(B)の合計重量とオレフィン系共重合体
ゴム(C)の重量との比率が20/80〜70/30で
あることが好ましい。
【0010】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製
造方法は、結晶性ポリオレフィン(A)とポリアミド
(B)とオレフィン系共重合体ゴム(C)とを動的に熱
処理して上記熱可塑性エラストマー組成物を得ることを
特徴としている。また、上記熱可塑性エラストマー組成
物の製造方法において、結晶性ポリオレフィン(A)と
ポリアミド(B)とを動的に熱処理した後、得られる混
合物とオレフィン系共重合体ゴム(C)とを動的に熱処
理してもよい。
【0011】上記熱可塑性エラストマー組成物の製造方
法においては、架橋剤の存在下で動的に熱処理するのが
好ましく、特に、結晶性ポリオレフィン(A)とポリア
ミド(B)とを動的に熱処理した後、得られる混合物と
オレフィン系共重合体ゴム(C)とを架橋剤の存在下で
動的に熱処理するのが好ましい。上記架橋剤は、有機過
酸化物であることが好ましい。
【0012】本発明の成形体は、上記熱可塑性エラスト
マー組成物を成形してなることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】本発明の熱可塑性エラストマー組
成物は、結晶性ポリオレフィン(A)、ポリアミド
(B)およびオレフィン系共重合体ゴム(C)を必須成
分として含む。以下、順次各成分について説明する。 <結晶性ポリオレフィン(A)>本発明で用いられる結
晶性ポリオレフィン(A)としては、炭素原子数2〜2
0、好ましくは炭素数2〜12のα−オレフィンの単独
重合体または共重合体が挙げられる。
【0014】上記のα−オレフィンとしては、たとえ
ば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられ
る。上記結晶性ポリオレフィンの例としては、より具体
的には、以下のような重合体が挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い。) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1−ブテン単独重合体 (7)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体 (9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他の
α−オレフィンとのランダム共重合体(α−オレフィン
としては、上記と同様のものが挙げられる。) 本発明においては、プロピレン系重合体が好ましく、な
かでもアイソタクチックプロピレン系重合体および/ま
たはシンジオタクチックプロピレン系重合体がさらに好
ましく用いられる。
【0015】このような結晶性ポリオレフィンは、公知
の方法で製造でき、また、商業的にも入手可能である。
また、本発明においては、少なくとも一部が官能基を含
有した結晶性ポリオレフィン(A)を用いることが好ま
しい。このような官能基を含有した結晶性ポリオレフィ
ンは、結晶性ポリオレフィンと官能基を含有したオレフ
ィン系化合物とを有機過酸化物等のラジカル開始剤存在
下で溶融混合するか、または結晶性ポリオレフィンと官
能基を含有したオレフィン系化合物とを溶媒に溶解させ
有機過酸化物等のラジカル開始剤存在下で混合させるこ
よによって得られる。
【0016】反応温度は、溶融混合する場合、100〜
300℃、好ましくは150〜280℃で行うことが望
ましく、また溶媒に溶解する場合には、40〜230
℃、好ましくは60〜200℃で行うことが望ましい。
溶媒で溶解する場合に用いられる溶媒としては、たとえ
ばトルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0017】上記の官能基を含有したオレフィン系化合
物としては、具体的には、酸無水基、エポキシ基、カル
ボキシル基、カルボン酸エステルなどの極性基から選ば
れる少なくとも1種類の官能基を有するビニル単量体が
挙げられる。具体的には、不飽和カルボン酸またはその
誘導体が挙げられ、より具体的には、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ(2,2,
1)ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不
飽和カルボン酸またはこれらの無水物;アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、マレイ
ン酸モノメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチ
ル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメ
チル、ビシクロ(2,2,1)ヘプト−2−エン−5,
6−ジカルボン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸のエ
ステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート、p−スチリルカルボン酸グリシジルなどの不飽
和モノカルボン酸のグリシジルエステル;マレイン酸、
イタコン酸、シトラコン酸、ブテントリカルボン酸、エ
ンド−シス−ビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン
−2,3−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ
(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3
−ジカルボン酸などの不飽和ポリカルボン酸とグリシド
ールとのモノグリシジルエステルあるいはポリグリシジ
ルエステル;アリルグリシジルエーテル、2−メチルア
リルグリシジルエーテル、o−アリルフェノールのグリ
シジルエーテル、m−アリルフェノールのグリシジルエ
ーテル、p−アリルフェノールのグリシジルエーテル、
イソプロペニルフェノールのグリシジルエーテル、o−
ビニルフェノールのグリシジルエーテル、m−ビニルフ
ェノールのグリシジルエーテル、p−ビニルフェノール
のグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテ
ル;などが挙げられる。
【0018】これらの中では、マレイン酸、ビシクロ
(2,2,1)ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン
酸またはこれらの無水物またはグリシジルメタクリレー
トが好ましい。また、使用される有機過酸化物として
は、有機ペルオキシド、有機ペリエステルが挙げられ、
具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾ
イルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−ter
t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4
−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベ
ンゼン、ラウロイルペルオキシド、1,3−ビス(te
rt−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
ert−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどの有機ペルオ
キシド;tert−ブチルペルアセテート、tert−
ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニ
ルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、
tert−ブチルペル−sec−オクトエート、ter
t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t
ert−ブチルペルジエチルアセテートなどの有機ペル
エステルが挙げられる。
【0019】このうち本発明では、有機ペルオキシドが
好ましく、特に、ジクミルペルオキシド、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)
ヘキサン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(tert−ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく使用
される。
【0020】官能基の含有量(変性量)は結晶性ポリオ
レフィン中に0.01〜20重量%、好ましくは0.0
5〜10重量%であることが好ましい。官能基の含有量
が上記の範囲内であると、結晶性ポリオレフィン(A)
とポリアミド(B)との相溶性が向上し、結晶性ポリオ
レフィン(A)中にポリアミド(B)が微分散すること
により機械的特性が良好になる。また得られる熱可塑性
エラストマーの熱安定性が向上する。
【0021】本発明において、結晶性ポリオレフィン
(A)は、1種単独で用いてもよく、また2種以上を組
合わせて用いてもよい。本発明で用いられる結晶性ポリ
オレフィン(A)は、メルトフローレート(MFR;ASTM
D 1238-65T、230℃、荷重2.16kg)が通常0.05〜
500g/10分、特に0.1〜100g/10分の範
囲にあることが好ましい。
【0022】<ポリアミド(B)>本発明で用いられる
ポリアミド(B)は、重合可能なアミノカルボン酸類、
ラクタム類、ジカルボン酸類またはジアミン類などを原
料として、これらを開環重合または重縮合することによ
り得られるものである。上記アミノカルボン酸類として
は、たとえば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプ
タン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。なお、こ
れらのアミノカルボン酸類は2種以上の混合物として使
用することもできる。
【0023】ラクタム類としては、たとえば、バレロラ
クタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリル
ラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることができ、こ
れらのなかでも、カプロラクタム、ラウロラクタムが好
ましく、特に、ε-カプロラクタムが好ましい。なお、
これらのラクタム類は2種以上の混合物として使用する
こともできる。
【0024】ジカルボン酸類としては、たとえば、シュ
ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テト
ラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸な
どの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジ
カルボン酸などが挙げられる。なお、これらのジカルボ
ン酸は2種以上の混合物として使用することもできる。
【0025】ジアミン類としては、たとえば、1,4−ジ
アミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノ
ヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MD
P)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタ
ン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,1
1−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,1
3−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカ
ン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキ
サデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミ
ノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジ
アミノエイコサンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサ
ンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタ
ンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳
香族ジアミンなどが挙げられる。これらのジアミンは2
種以上の混合物として使用することもできる。
【0026】このような原料を用いて重合されるポリア
ミドの中でも、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン1
2、ナイロン66、ナイロン6/66系共重合体、ナイ
ロン66/6T系共重合体(T:テレフタル酸)、ナイ
ロン6T/6I系共重合体(T:テレフタル酸、I:イ
ソフタル酸)、ナイロン6T/M5T系共重合体(M
5:2−メチルペンタメチレンジアミン、T:テレフタ
ル酸)、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ナイ
ロン6単独、またはナイロン6を主成分とするポリアミ
ド混合物が好ましい。
【0027】本発明で使用されるポリアミドは、1種単
独で使用してもよく、また2種以上を組合わせて使用し
てもよい。本発明で使用されるポリアミドの分子量は特
に制限されないが、23℃、98%硫酸中1g/100
ml濃度で測定した相対粘度が、2.0〜4.0のもの
が好ましく、より好ましくは2.1〜3.8、特に好ま
しくは2.2〜3.6であることが望ましい。相対粘度
が2.0未満であると機械物性が低下することがあり、
一方、4.0を越えると成形時の流動性が低下する傾向
がある。
【0028】本発明で使用されるポリアミドは、必要に
応じてカルボン酸化合物またはアミン化合物で末端を封
鎖されたものを使用することができる。モノカルボン酸
および/またはモノアミンにより末端封鎖される場合に
は、得られるポリアミドの末端アミノ基および末端カル
ボキシル基の濃度(以下、単に「末端基濃度」と記
す。)が、末端封鎖前に比べて低下する。一方、ジカル
ボン酸またはジアミンにより末端封鎖される場合には、
末端基濃度は変化しないが、末端アミノ基濃度と末端カ
ルボキシル基濃度との比率が変わる。
【0029】ポリアミドの末端封鎖に用いられるカルボ
ン酸化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペ
ラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン
酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸な
どの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン
酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノ
カルボン酸;安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、
フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデ
カン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカ
ン二酸、ペンダデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂
肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの
脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボ
ン酸などが挙げられる。
【0030】ポリアミドの末端封鎖に用いられるアミン
化合物の具体例としては、ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、ペプチルアミン、オクチルアミ
ン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルア
ミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシル
アミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘ
キサデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルア
ミン、イコシルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロ
ヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミンなどの脂
環式モノアミン;ベンジルアミン、β−フェニルエチル
アミンなどの芳香族モノアミン;1,4−ジアミノブタ
ン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、
1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9
−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジア
ミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジア
ミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−
ジアミノペンタテカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、
1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデ
カン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイ
コサンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミ
ン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンなどの脂環式
ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンな
どが挙げられる。
【0031】これらのポリアミドは、公知の方法で製造
でき、また、商業的にも入手可能である。本発明で用い
られるポリアミド(B)には、可塑剤、酸化防止剤、耐
熱安定剤、結晶核剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤など
の配合剤を本発明の目的を損なわない範囲内で配合する
ことができる。
【0032】<オレフィン系共重合ゴム(C)>本発明
で用いられるオレフィン系共重合体ゴム(C)は、炭素
原子数2〜20、好ましくは炭素原子数2〜12のα−
オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性共重合
体であって、たとえば、2種以上のα−オレフィンから
なる非晶性α−オレフィン共重合体、または2種以上の
α−オレフィンと非共役ジエンとからなるα−オレフィ
ン・非共役ジエン共重合体などが挙げられる。
【0033】このようなオレフィン系共重合体ゴム
(C)の具体的な例としては、以下のような共重合体ゴ
ムが挙げられる。 (1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム[エチレ
ン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/
50] (2)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90
/10〜50/50] (3)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム[プロ
ピレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜5
0/50] (4)ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム[ブテン/
α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/5
0] α−オレフィンとしては、具体的には、結晶性ポリオレ
フィン(A)を構成するα−オレフィンの具体例として
上記したのと同様のα−オレフィンが挙げられる。
【0034】上記非共役ジエンとしては、具体的には、
ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボ
ルネンなどが挙げられる。上記のような中でも、本発明
においてオレフィン系共重合体ゴム(C)は、エチレン
・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフ
ィン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましく用いられ
る。
【0035】このようなオレフィン系重合体ゴム(C)
は、公知の方法で製造でき、また、商業的にも入手可能
である。これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4
(100℃)は、10〜250、特に40〜200が好
ましい。また、上記非共役ジエンが共重合している場合
のヨウ素価は、30以下、特に1〜25が好ましい。上
記の範囲内であると耐熱性とゴム弾性のバランスが優れ
る。
【0036】上記のオレフィン系共重合体ゴム(C)
は、熱可塑性エラストマー中において、非架橋、部分架
橋、全体架橋など、すべての架橋状態で存在することが
できる。さらに具体的には、オレフィン系共重合体ゴム
(C)は、架橋剤を用いて動的に架橋されていてもよ
い。架橋剤にとしては、後述の熱可塑性エラストマーの
製造方法において、記載したのと同様のものが用いられ
る。
【0037】本発明の熱可塑性エラストマーには、必要
に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、
耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの
添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合するこ
とができる。本発明の熱可塑性エラストマーは、結晶性
ポリオレフィン(A)とポリアミド(B)の重量比(結
晶性ポリオレフィン/ポリアミド)が90/10〜20
/80、好ましくは85/15〜30/70であり、か
つ結晶性ポリオレフィン(A)とポリアミド(B)の合
計重量とオレフィン系共重合体ゴム(C)の重量比(結
晶性ポリオレフィン+ポリアミド/オレフィン系共重合
体ゴム)が20/80〜70/30、好ましくは25/
75〜60/40である。
【0038】<熱可塑性エラストマーの製造方法>本発
明の熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリオレフィン
(A)、ポリアミド(B)およびオレフィン系共重合体
ゴム(C)を架橋剤の非存在下、あるいは存在下で動的
に熱処理することにより製造される。また、本発明の熱
可塑性エラストマーは、結晶性ポリオレフィン(A)と
ポリアミド(B)とを架橋剤の非存在下で動的に熱処理
した後、得られる混合物とオレフィン系共重合体ゴム
(C)とを架橋剤の非存在下もしくは存在下で動的に熱
処理することによっても製造できる。本発明において
は、架橋剤の存在下で動的に熱処理するのが好ましい。
【0039】本発明で用いられる架橋剤としては、有機
過酸化物、イオウ、イオウ化合物、またはフェノール樹
脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられる。これらの
中では、有機過酸化物が好ましい。上記有機過酸化物と
しては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(te
rt−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−
ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert
−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキ
シド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロ
ロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベ
ンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブ
チルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル
ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル
クミルペルオキシドなどが挙げられる。
【0040】これらのなかでも、臭気性、スコーチ安定
性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert
−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス
(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペル
オキシ)バレレートが好ましく、なかでも、1,3−ビス
(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが特
に好ましい。
【0041】本発明においては、有機過酸化物は、結晶
性ポリオレフィン(A)とポリアミド(B)とオレフィ
ン系共重合体ゴム(C)との合計量100重量%に対し
て、0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%
の割合で用いられる。本発明においては、上記有機過酸
化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシ
ム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル
−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフ
ェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m
−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助
剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタ
クリレートモノマー、またはビニルブチラート、ビニル
ステアレートのようなその他の多官能性ビニルモノマー
などの架橋助剤を配合することができる。
【0042】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。このような架橋
助剤のなかでも、本発明においては、ジビニルベンゼン
が特に好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上
記の被架橋処理物の主成分である結晶性ポリオレフィン
(A)およびオレフィン系共重合体ゴム(C)との相溶
性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用
を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理
による架橋効果が均質で、流動性やゴム弾性等の他の物
性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られ
る。
【0043】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して、0.1〜2重量%、特に0.3〜1重
量%の割合で用いるのが好ましい。上記の「動的に熱処
理する」とは、上記のような各成分が融解している状態
で混練することをいう。
【0044】動的な熱処理は、従来公知の混練装置、た
とえば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリ
ーミキサー、一軸または二軸押出機、ニーダー、連続ミ
キサーなどが用いられる。これらの内では、非開放型の
混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガスなど
の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。また、
混練は、使用する有機過酸化物の半減期が1分未満とな
る温度で行うことが望ましい。混練温度は、通常150
〜300℃、好ましくは、170〜280℃であり、混
練時間は、1〜20分間、好ましくは3〜10分間であ
る。また、加えられる剪断力は、通常、10〜105
ec-1、好ましくは102 〜10 4 sec-1の範囲内で
決定される。
【0045】本発明の熱可塑性エラストマーでは、上記
結晶性ポリオレフィン(A)、ポリアミド(B)および
オレフィン系共重合体ゴム(C)を用いて、上記の方法
で製造することにより、結晶性ポリオレフィン(A)が
連続相を形成し、ポリアミド(B)とオレフィン系共重
合体ゴム(C)がそれぞれ独立して分散相を形成する。
【0046】このような構造は、透過型電子顕微鏡で観
察することで確認することができる。観察前の前処理と
しては、オスミウム酸、ルテニウム酸、リンタングステ
ン酸、酢酸ウラニル、ヨウ素等の染色剤を用いて、各成
分を染色する処理を行う。また、このような構造の熱可
塑性エラストマーは柔軟性を有し、ゴム弾性に優れる。
さらに、連続相の結晶性ポリオレフィン(A)があるた
め、成形性、成形外観が優れるとともに、分散されたポ
リアミド(B)によって、耐傷付き性にも優れる。
【0047】<熱可塑性エラストマー成形体>本発明の
熱可塑性エラストマーは、例えば射出成形、押出成形、
カレンダー成形およびブロー成形などの従来公知の成形
方法によって成形することができる。さらにオレフィン
系樹脂もしくはエラストマーとの2色射出成形または多
層押出成形などの複合成形も可能である。
【0048】このようにして得られる成形体は、自動車
部品、電気・電子部品、工業機械部品等の部品の材料と
して好適に用いられる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟でゴム弾性に優
れ、さらに耐熱性、耐傷付き性、耐磨耗性にも優れた熱
可塑性エラストマー組成物を提供することができる。ま
た、本発明の熱可塑性エラストマーは、他の基材との接
着性にも優れる。また、本発明の製造方法によれば、架
橋効果が均質で流動性、ゴム弾性等の物性にバランスよ
く優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの実施例により限定される
ものではない。尚、下記の実施例中、物性等について
は、次のようにして評価した。 (1)硬度 JIS A 硬度、JIS K6253に準拠して測定
した。 (2)永久伸び JIS K6262に準拠して測定した。 (3)傷付き性評価(テーバースクラッチ法により測
定) テーバースクラッチテスター(東洋精機(株)製)を用
い、回転中心から3.5cmの所に刃先が来るようにカ
ッターの刃(タングステンカーバイト製)を逆に取り付
けて、ターンテーブルを0.5rpmの速度で回転させ
た状態でカッター刃に200gの荷重を掛け成形体に傷
を付け、この傷の幅を測定した。 (4)相構造観察 熱可塑性エラストマーを切り出し、ルテニウム酸と、リ
ンタングステン酸でそれぞれ染色を行った。その後、透
過型電子顕微鏡を用いて1万倍で相構造を観察した。 (5)メルトフローレート(MFR) ASTM D 1238−65Tに準拠して測定した。
【0051】
【実施例1】無水マレイン酸変性プロピレン共重合体
(A−1)の調製 耐圧ガラス容器中で、MFR(230℃、2.16kg
荷重)が15g/10分、密度が0.91g/cm3
あるアイソタクチックホモポリプロピレン100gおよ
び無水マレイン酸4.0gをトルエン500mlに溶解
させた後、135℃でジクミルペルオキシド1.0gを
滴下した。滴下終了後、さらに4時間撹拌した。その後
溶液を取り出し、アセトンを添加してポリマーを析出さ
せ、得られたポリマーを洗浄、乾燥したところ、無水マ
レイン酸含有量が0.5重量%の無水マレイン酸変性プ
ロピレン重合体(A−1)を得た。熱可塑性エラストマーの調製 上記無水マレイン酸変性プロピレン共重合体(A−1)
5重量部、アイソタクチックプロピレン重合体;PP
(A−2)[MFR(230℃、2.16kg荷重):
27g/10分、密度:0.91g/cm3 ]10重量
部、ポリアミド(B−1)[ナイロン6、MFR(25
0℃、2.16kg荷重):55g/10分、融点:2
24℃]15重量部、およびエチレン・プロピレン・5
−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム;EPD
M(C−1)[エチレン含有量:78モル%、ヨウ素
価:7、ムーニー粘度ML1+4 (100℃):92、油
展なし]70重量部に、架橋剤として2,5−ジメチル
−2,5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3(日本油脂(株)製、商品名「パーヘキシン25
B」)0.4重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン
0.4重量部を混合し、L/D=47、スクリュー径3
0mmの二軸押出機を用いて窒素雰囲気下に230℃の
温度で押出して、熱可塑性エラストマーのペレットを得
た。
【0052】次いで、この熱可塑性エラストマーのペレ
ットから射出成形機を用いて角板を230℃で成形し
た。この角板を用いて、硬度、永久伸びを測定し、傷付
き性評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
【実施例2】実施例1において、ポリアミド(B−1)
の量を25重量部に増量し、EPDM(C−1)の量を
60重量部に減量した以外は実施例1と同様にして、熱
可塑性エラストマーのペレットを得た。次に実施例1と
同様にして、角板を成形し、硬度、永久伸びの測定を行
い、傷付き性評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
【実施例3】PP−ポリアミドブレンド物の調製 実施例1で用いた無水マレイン酸変性ポリプロピレン
(A−1)50重量部とポリアミド(B−1)50重量
部を、実施例1の二軸押出機を用いて230℃で混練
し、PP−ポリアミドブレンド物を調製した。熱可塑性エラストマーの調製 実施例1において、エラストマーの必須成分を、PP
(A−2)10重量部、ポリアミド(B−1)10重量
部、EPDM(C−1)60重量部、および上記PP−
ポリアミドブレンド物20重量部とした以外は実施例1
と同様にして、熱可塑性エラストマーのペレットを得
た。
【0055】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。またルテニウム酸でEPDM
を、リンタングステン酸でポリアミドを染色し、透過型
電子顕微鏡で観察した結果を図1および図2に示す。
【0056】
【実施例4】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1)1
0重量部、PP(A−2)10重量部、ポリアミド(B
−1)20重量部、EPDM(C−2)[エチレン含有
量:78モル%、ヨウ素価:12、ムーニー粘度ML1+
4 (100℃):74、油展量:40重量部]60重量
部とした以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラス
トマーのペレットを得た。
【0057】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。また実施例3と同様にルテニウ
ム酸でEPDMを、リンタングステン酸でポリアミドを
染色し、透過型電子顕微鏡で観察した結果を図3および
図4に示す。
【0058】
【実施例5】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1)5
重量部、PP(A−2)15重量部、EPDM(C−
2)60重量部、ポリアミド(B−2)[ナイロン1
2、MFR(250℃、2.16kg荷重):13g/
10分、融点:200℃]20重量部とした以外は実施
例1と同様にして、熱可塑性エラストマーのペレットを
得た。
【0059】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0060】
【実施例6】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、実施例3で用いたPP−ポリアミドブレンド物4
0重量部、エチレン・1−オクテン共重合体ゴム(C−
3)[エチレン含有量:85モル%、MFR(190
℃、2.16kg荷重):4g/10分、密度:0.8
7g/cm3]60重量部とした以外は実施例1と同様
にして熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
【0061】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0062】
【実施例7】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、PP(A−2)10重量部、実施例3で用いたP
P−ポリアミドブレンド物20重量部、EPDM(C−
2)70重量部とし、架橋剤、架橋助剤の量をそれぞ
れ、パーヘキシン25B0.2重量部、ジビニルベンゼ
ン0.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして熱
可塑性エラストマーのペレットを得た。
【0063】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0064】
【比較例1】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、PP(A−2)40重量部およびEPDM(C−
1)60重量部とした以外は、実施例1と同様にして熱
可塑性エラストマーのペレットを得た。次に実施例1と
同様にして、角板を成形し、硬度、永久伸びの測定を行
い、傷付き性評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】またルテニウム酸でEPDMを染色し、透
過型電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。
【0066】
【比較例2】実施例1において、エラストマーの必須成
分を、実施例3で得られたPP−ポリアミドブレンド物
10重量部およびEPDM(C−1)90重量部とした
以外は、実施例1と同様にして押し出したが、ストラン
ドが得られなかった。
【0067】
【比較例3】無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン
・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(C−4)
の調製 EPDM(C−1)、無水マレイン酸およびパーヘキシ
ン25Bを100/2.0/0.1重量部の割合で混合
し、実施例1で用いた押出機を用いて230℃で変性
し、無水マレイン酸含有量が1.3wt%の無水マレイ
ン酸変性エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン共重合体(C−4)を得た。熱可塑性エラストマーの調製 上記のようにして得られた無水マレイン酸変性EPDM
(C−4)60重量部と、ポリアミド(B−1)40重
量部とを実施例1で用いた押出機を用いて、架橋剤と架
橋助剤を添加せずに、230℃で押し出して熱可塑性エ
ラストマーのペレットを得た。
【0068】次に実施例1と同様にして、角板を成形
し、硬度、永久伸びの測定を行い、傷付き性評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例3の成形体内部の相構造を示す
電子顕微鏡写真であり、図中、黒く染まっているところ
がEPDM(オレフィン系共重合体ゴム)相である。
【図2】図2は、実施例3の成形体内部の相構造を示す
電子顕微鏡写真であり、図中、黒く染まっているところ
がポリアミド相である。
【図3】図3は、実施例4の成形体内部の相構造を示す
電子顕微鏡写真であり、図中、黒く染まっているところ
がEPDM(オレフィン系共重合体ゴム)相である。
【図4】図4は、実施例4の成形体内部の相構造を示す
電子顕微鏡写真であり、図中、黒く染まっているところ
がポリアミド相である。
【図5】図5は、比較例1の成形体内部の相構造を示す
電子顕微鏡写真であり、図中、黒く染まっているところ
がEPDM(オレフィン系共重合体ゴム)相である。
フロントページの続き (72)発明者 神 田 拓 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 藤 堂 昭 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 松 岡 英 夫 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 (72)発明者 濱 口 美都繁 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 Fターム(参考) 4F070 AA12 AA15 AA16 AA54 AC56 AE08 GA05 GB04 4F071 AA13 AA14 AA20 AA54 AF22 BA01 BB04 BB05 BB06 BB09 4J002 BB01W BB15Y CL00X CL05X

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリオレフィン(A)、ポリアミ
    ド(B)およびオレフィン系共重合体ゴム(C)を必須
    成分とし、 前記結晶性ポリオレフィン(A)が連続相を形成し、ポ
    リアミド(B)とオレフィン系重合体ゴム(C)とが分
    散相を形成することを特徴とする熱可塑性エラストマー
    組成物。
  2. 【請求項2】 上記結晶性ポリオレフィン(A)がプロ
    ピレン系重合体であることを特徴とする請求項1に記載
    の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 上記結晶性ポリオレフィン(A)がアイ
    ソタクチックプロピレン系重合体および/またはシンジ
    オタクチックプロピレン系重合体を主成分とすることを
    特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  4. 【請求項4】 上記オレフィン系共重合体ゴム(C)が
    エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムであることを特
    徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
  5. 【請求項5】 上記結晶性ポリオレフィン(A)の少な
    くとも一部が、酸無水基、エポキシ基、カルボキシル基
    またはカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種
    の官能基を含有することを特徴とする請求項1から4の
    いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 【請求項6】 上記オレフィン系共重合体ゴム(C)の
    少なくとも一部が架橋していることを特徴とする請求項
    1から5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
  7. 【請求項7】 上記オレフィン系共重合体ゴム(C)が
    架橋剤を用いて動的に架橋されていることを特徴とする
    請求項1から6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマ
    ー組成物。
  8. 【請求項8】 結晶性ポリオレフィン(A)とポリアミ
    ド(B)の重量比率が90/10〜20/80であり、
    かつ結晶性ポリオレフィン(A)およびポリアミド
    (B)の合計重量とオレフィン系共重合体ゴム(C)と
    の重量の比率が20/80〜70/30であることを特
    徴とする請求項1から7のいずれかに記載の熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
  9. 【請求項9】 結晶性ポリオレフィン(A)とポリアミ
    ド(B)とオレフィン系共重合体ゴム(C)とを動的に
    熱処理して請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性
    エラストマー組成物を得ることを特徴とする熱可塑性エ
    ラストマー組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 結晶性ポリオレフィン(A)とポリア
    ミド(B)とを動的に熱処理した後、得られる混合物と
    オレフィン系共重合体ゴム(C)とを動的に熱処理して
    請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマ
    ー組成物を得ることを特徴とする熱可塑性エラストマー
    組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 結晶性ポリオレフィン(A)とポリア
    ミド(B)とオレフィン系共重合体ゴム(C)とを架橋
    剤の存在下、動的に熱処理して請求項1から8のいずれ
    かに記載の熱可塑性エラストマー組成物を得ることを特
    徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 結晶性ポリオレフィン(A)とポリア
    ミド(B)とを動的に熱処理した後、得られる混合物と
    オレフィン系共重合体ゴム(C)とを架橋剤の存在下、
    動的に熱処理して請求項1から8のいずれかに記載の熱
    可塑性エラストマー組成物を得ることを特徴とする熱可
    塑性エラストマー組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記架橋剤が有機過酸化物であること
    を特徴とする請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1から8のいずれかに記載の熱
    可塑性エラストマー組成物を成形してなることを特徴と
    する成形体。
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