JP2019203853A - X線ラインセンサ及びそれを用いたx線異物検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用できるX線ラインセンサ及びそれを用いたX線異物検出装置を提供する。【解決手段】入射したX線を吸収しシンチレーション光を発すると共に発せられたシンチレーション光が放射状に伝わるシンチレータ31と、シンチレータ31を放射状に伝わったシンチレーション光を受光し電気信号に変換する複数のフォトダイオード321,・・・,32Nが、直線状に配列されたフォトダイオードアレイ33と、を備え、フォトダイオード32の素子ピッチdに対するシンチレータ31の高さ方向の厚みHの比αが1より大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、X線ラインセンサ及びそれを用いたX線異物検出装置に関する。
従来、例えば食品などの被検査物中の異物を検出するために、デュアルエネルギー方式のX線異物検出装置が用いられている。デュアルエネルギー方式のX線異物検出装置は、低エネルギーX線と高エネルギーX線を含むX線を被検査物に照射し、被検査物を透過した低エネルギーX線と高エネルギーX線をそれぞれ弁別して低エネルギーX線画像及び高エネルギーX線画像(この一対の画像を「デュアルエネルギーX線画像」という)を取得し、デュアルエネルギーX線画像を差分処理して異物の有無を検出するものである(例えば、特許文献1参照)。
図17(a)は、デュアルエネルギーX線画像を得るために用いられる従来のX線ラインセンサの構成例を示す斜視図であり、図17(b)はその側面図である。図17に示すように、従来のX線ラインセンサ100は、直線状に延びたシンチレータ131aとフォトダイオードアレイ133aとからなる上段の組(上段センサ)と、シンチレータ131bとフォトダイオードアレイ133bとからなる下段の組(下段センサ)とが、支持部材135により上下に整列して支持された構成である。上段センサのシンチレータ131a側から入射したX線を上段及び下段センサにより検出するようになっている。
具体的には、上段センサは、相対的に低いエネルギーのX線を検出し、下段センサは、相対的に高いエネルギーのX線を検出するようになっている。これにより、上段センサにより得られる相対的に低エネルギーのX線画像と、下段センサにより得られる相対的に高エネルギーのX線画像とが、デュアルエネルギーX線画像として得られる。
デュアルエネルギーX線画像は、例えば、等価厚画像ペアに対数変換してから重み付き差分処理をすることにより、被検査物中の異成分である異物を高コントラストに表す異成分画像を分離することができる。そして、異物の有無は、この異成分画像に対して例えば閾値処理を行うことにより判定することができる。
特開2010−91483号公報
しかしながら、従来のデュアルエネルギー方式のX線ラインセンサにあっては、シンチレータとフォトダイオードアレイの組を上下2段に設けているので、フォトダイオードアレイに接続する回路構成の規模が2倍になり、センサ構成が複雑になるという問題があった。また、上段センサと下段センサの位置合わせを高精度に行う必要もあった。また、上段センサを透過したX線を下段センサで検出する構成であることから、上下センサ間の支持部材等によりX線が減衰することにより下段センサの感度が悪くなり、上下段センサの感度差が大きくなるという問題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用できるX線ラインセンサ及びそれを用いたX線異物検出装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るX線ラインセンサは、上記目的達成のため、入射したX線を吸収し光を発すると共に発せられた前記光が放射状に伝わるシンチレータ(31)と、前記シンチレータを放射状に伝わった前記光を受光し電気信号に変換する複数の光電変換素子が、直線状に配列された光電変換素子アレイ(33)と、を備え、前記光電変換素子の素子ピッチ(d)に対する前記シンチレータの高さ方向の厚み(H)の比(α)が1より大きいことを特徴とする。
この構成により、各光電変換素子により変換された電気信号のX線ラインセンサ長手方向の強度分布における平均成分を含めた低空間周波成分及び高空間周波成分の強度分布をそれぞれ取得し、両強度分布の差分から異物を検出することが可能となる。すなわち、これら低空間周波成分と高空間周波成分の強度分布を、デュアルエネルギーX線画像として使用できる。これは、シンチレータにおける発光点の高さ(すなわち、X線のエネルギー)の違いを、光電変換素子アレイにより取得した強度分布(受光分布)の空間周波成分の違いに有意に反映可能なことによる。このため、従来技術のように2つのX線ラインセンサを上下2段に配置する必要が無く、簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用することができる。
本発明の請求項2に係るX線ラインセンサは、前記各光電変換素子により変換された前記電気信号のX線ラインセンサ長手方向の強度分布における低空間周波成分又は平均成分を第1エネルギーのX線画像として算出し、高空間周波成分を第2エネルギーのX線画像として算出する信号処理部(35)をさらに備えることを特徴とする。
この構成により、本発明の請求項2に係るX線ラインセンサは、第1エネルギーのX線画像として算出した低空間周波成分又は平均成分の強度分布と、第2エネルギーのX線画像として算出した高空間周波成分の強度分布との差分をとることにより、異物を容易に検出することができる。このため、従来技術のように2つのX線ラインセンサを上下2段に配置する必要が無く、簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用することができる。
本発明の請求項3に係るX線異物検出装置は、被検査物(W)にX線を照射するX線照射部(9)と、前記被検査物を透過したX線を検出する、請求項1又は2に記載のX線ラインセンサ(30)と、前記各光電変換素子により変換された前記電気信号のX線ラインセンサ長手方向の強度分布における低空間周波成分又は平均成分を第1エネルギーのX線画像として取得し、高空間周波成分を第2エネルギーのX線画像として取得する画像取得部(41)と、前記第1エネルギーのX線画像と前記第2エネルギーのX線画像とに基づいて異物の有無を判定する判定部(43)と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、本発明の請求項3に係るX線異物検出装置は、請求項1に記載のX線ラインセンサを用いているので、従来技術のように2つのX線ラインセンサを上下2段に配置する必要が無く、簡単な構成でデュアルエネルギー方式のX線異物検出装置を実現することができる。
本発明によれば、簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用できるX線ラインセンサ及びそれを用いたX線異物検出装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るX線異物検出装置の斜視図である。 図1のX線異物検出装置の検出原理を示す説明図である。 図1のX線異物検出装置の側面構成及び機能構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線ラインセンサの構成図である。 図4のX線ラインセンサを用いたX線異物検出装置の機能構成図である。 図4のX線ラインセンサによる高低エネルギーX線の検出原理を示す説明図である。 図4のX線ラインセンサによるX線検出データの信号処理を示す説明図である。 シミュレーション条件の説明図である。 シミュレーション結果(その1)を示す図である。 シミュレーション結果(その2:比較例)を示す図である。 シミュレーション結果(その2:実施例)を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るX線ラインセンサの構成図である。 図12のX線ラインセンサのカラーフィルタ等の構成図である。 本発明の第3の実施形態に係るX線ラインセンサの構成図である。 図14のX線ラインセンサにおけるX線検出原理を示す説明図である。 本発明の第4の実施形態に係るX線ラインセンサの構成図である。 従来のX線ラインセンサの構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るX線異物検出装置1の構成図である。
図1に示すように、X線異物検出装置1は、搬送部2と検出部3とを筐体4の内部に備え、表示部5を筐体4の前面上部に備えている。
搬送部2は、被検査物Wを所定間隔をおいて順次搬送するものである。この搬送部2は、例えば筐体4の内部で水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。搬送部2は、駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを搬出口8側(図中Y方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させるようになっている。筐体4の内部においてベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は搬送路21を形成している。
検出部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過したX線を検出するものであり、搬送路21の途中の検査空間22の上方に所定高さ離隔して配置されたX線発生器9と、搬送部2内にX線発生器9と対向して配置されたX線検出器としてのX線ラインセンサ30とを備えている。
X線発生器9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12を図示しない絶縁油に浸漬した構成を有している。具体的には、図2に示すように、X線管12の陰極に設けられたフィラメント13からの電子ビームを陽極15のターゲット14に照射させてX線を生成している。X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(Y方向)となるよう配置されている。X線管12により生成されたX線は、搬送部2の下方のX線ラインセンサ30に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(Y方向)を横切るように照射されるようになっている。なお、本実施形態のX線発生器9が本発明のX線照射部に対応する。
図3は、X線異物検出装置1の側面構成及び機能構成を示す図である。図3に示すように、搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(Y方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏えいすることを防止するものである。遮蔽カーテン16は、本実施形態では、搬入口7と検査空間22との間、及び検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので漏えい基準量を超えることなくX線の漏えいを防止できるようになっている。搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
X線異物検出装置1は、X線ラインセンサ30からのデュアルエネルギーX線画像が入力されるとともに被検査物W中の異物の有無を検査する制御部40と、制御部40による検査結果等を表示出力する表示部5と、制御部40への各種パラメータ等の設定入力を行う設定操作部45とをさらに備えている。
表示部5は、平面ディスプレイ等から構成されており、ユーザに対する表示出力を行うようになっている。この表示部5は、被検査物Wの良否判定結果を「OK」や「NG」等の文字又は記号で表示するとともに、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を、既定設定として、又は、設定操作部45からの所定のキー操作による要求に基づいて表示するようになっている。
設定操作部45は、ユーザが操作する複数のキーやスイッチ等で構成され、制御部40への各種パラメータ等の設定入力や動作モードの選択等を行うものである。なお、表示部5と設定操作部45とを、タッチパネル式表示器として一体構成してもよい。
制御部40は、X線ラインセンサ30からデュアルエネルギーX線画像を取得・記憶するX線画像取得・記憶部41と、X線画像取得・記憶部41から読み出したデータに対して重み付き差分処理、各種フィルタ処理、特徴抽出処理などの画像処理を施す画像処理部42と、画像処理されたデータに対して被検査物Wと異物との判別を行って異物の有無を判定する判定部43と、を備えている。なお、本実施形態のX線画像取得・記憶部41が、本発明の画像取得部に対応する。
また、制御部40は、X線異物検出装置1の動作モードに応じて、X線管12の制御や搬送部2の駆動制御などを行う駆動制御部47を備えている。
次に、本実施形態のX線ラインセンサ30について説明する。
図4(a)は、本実施形態に係るX線ラインセンサ30の要部斜視図であり、図4(b)は、要部側面図である。図4に示すように、X線ラインセンサ30は、シンチレータ31とフォトダイオードアレイ33とを備えている。シンチレータ31は、入射したX線のエネルギーを吸収し光を発すると共に発せられた光が放射状に伝わるようになっている。シンチレータ31は、X線を吸収したとき可視光(蛍光)を発生する物質であればよく、例えば、酸硫化ガドリニウム(GOS)、ヨウ化セシウム(CSI)などの物質から構成されている。
フォトダイオードアレイ33は、シンチレータ31を放射状に伝わった光を受光し電気信号に変換する複数のフォトダイオード32,32,・・・,32が直線状に配列されたものである。ここで、Nはフォトダイオード32の総数である。具体的には、X線ラインセンサ30は、被検査物Wが搬送されるベルト面2aの下方において、被検査物Wの搬送方向(Y方向)と直交するX方向に沿って配置されている(図2参照)。なお、本実施形態のフォトダイオード32及びフォトダイオードアレイ33が、本発明の光電変換素子及び光電変換素子アレイにそれぞれ対応する。
図5は、X線ラインセンサ30を用いたX線異物検出装置1の機能構成図である。
図5に示すように、X線ラインセンサ30は信号処理部35をさらに備えている。この信号処理部35は、フォトダイオードアレイ33の各フォトダイオード32により変換された電気信号を処理し、低空間周波成分及び高空間周波成分からなるデュアルエネルギーX線画像に相当する画像を生成するようになっている。具体的には、信号処理部35は、A/D変換器36と、データ記憶部37と、低空間周波成分算出部38と、高空間周波成分算出部39とを備えている。
A/D変換器36は、各フォトダイオード32で変換された電気信号を順次デジタルデータに変換する。このデジタルデータは、各フォトダイオード32が受光したシンチレーション光の強度(輝度)を表しており、よって、X線ラインセンサ30の長手方向(以下、センサ長手方向という)における強度分布を得ることができる。以下では、強度分布を受光分布ともいう。A/D変換器36により変換されたデジタルデータ(すなわち強度分布を示すデータ)はデータ記憶部37に記憶される。
低空間周波成分算出部38は、データ記憶部37に記憶された、各フォトダイオード32により変換された電気信号のセンサ長手方向の強度分布のデータに基づいて、該強度分布における低空間周波成分又は平均成分を第1エネルギーのX線画像として算出する。高空間周波成分算出部39は、データ記憶部37に記憶された、各フォトダイオード32により変換された電気信号のセンサ長手方向の強度分布のデータに基づいて、該強度分布における高空間周波成分を第2エネルギーのX線画像として算出する。第1エネルギーのX線画像と第2エネルギーのX線画像とが、「デュアルエネルギーX線画像」を構成する。このように、各フォトダイオード32から得られた強度分布の情報からエネルギー情報を取り出している。
信号処理部35の低空間周波成分算出部38により算出された低空間周波成分と、高空間周波成分算出部39により算出された高空間周波成分のデータは、制御部40に送られる。制御部40は、X線画像取得・記憶部41と、差分処理部42aと、閾値処理部43aとを備えている。X線画像取得・記憶部41は、信号処理部35から低空間周波成分及び高空間周波成分のデータを第1及び第2エネルギーのX線画像として取得し、記憶する。差分処理部42aは、画像処理部42に含まれ、X線画像取得・記憶部41に記憶された低空間周波成分と高空間周波成分のデータを用いて、重み付き差分処理を行う。閾値処理部43aは、判定部43に含まれ、重み付き差分処理により得られた差分データに対して閾値処理を行って、異物の有無を判定する。なお、判定部43は、差分処理部42aや閾値処理部43aに代わる他の処理方法によって異物の有無を判定しても良い。例えば、人工知能にあらかじめ第1及び第2エネルギーのX線画像を学習させておき、その学習結果に基づいて異物の有無を判定させるようにしても良い。
上記では、信号処理部35がX線ラインセンサ30に含まれている構成を説明したが、構成はこれに限定されるものではなく、信号処理部35を制御部40に含ませてもよい。また、信号処理部35のうち、低空間周波成分算出部38と高空間周波成分算出部39を制御部40(例えばX線画像取得・記憶部41)に含ませるようにしてもよい。X線画像取得・記憶部41は、信号処理部35が低空間周波成分算出部38と高空間周波成分算出部39を備えているときは、それらが算出したデータを取得し、信号処理部35が低空間周波成分算出部38と高空間周波成分算出部39を備えていないときは、低空間周波成分と高空間周波成分を算出するように構成してもよい。
なお、制御部40及び/又は信号処理部35は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース、外部記憶装置等を有するコンピュータを用いる構成であってもよく、その機能の一部または全部(A/D変換を除く)は、ROM等に記憶された各種プログラムをCPUで実行することにより実現することができる。
次に、デュアルエネルギーX線画像の生成原理を説明する。
図6(a)の左側に示すように、シンチレータ31の上端部から入射した低エネルギーX線が、シンチレータ31の下端部から高さh1の位置(発光点)で吸収されてシンチレーション光が生成される場合、該シンチレーション光は発光点から放射状に広がっていく。発光点がシンチレータ31内の比較的上方にある場合、シンチレーション光をフォトダイオードアレイ33が受光したときの強度分布(受光分布)は、発光点に対応するセンサ長手方向における位置X1を中心になだらかな分布形状になる。
一方、図6(a)の右側に示すように、高エネルギーX線が入射され発光点がシンチレータ31内の下方(高さh2の位置)にある場合、シンチレーション光をフォトダイオードアレイ33が受光したときの強度分布は、この発光点に対応するセンサ長手方向における位置X2を中心に狭い範囲で急峻な分布形状になる。
図6(b)は、シンチレータ31に低エネルギーX線が入射した場合の強度分布(受光分布)を示し、図6(c)は、高エネルギーX線が入射した場合の強度分布(受光分布)を示す。図6(b)に示すように、低エネルギーのX線がシンチレータ31に入射すると、低エネルギーX線はシンチレータ31の上方領域で吸収されやすく、発光点はシンチレータ31の上方領域に集中する。このため、フォトダイオードアレイ33により検出される強度分布には、平均成分を含めて低空間周波成分が多く混入することになる。以下では、低空間周波成分というときは、平均成分を含めていうものとする。
一方、図6(c)に示すように、高エネルギーのX線がシンチレータ31に入射すると、高エネルギーX線はシンチレータ31の比較的、下方領域まで到達するため、発光点はシンチレータ31の全体に分布する。このため、フォトダイオードアレイ33により検出される強度分布には、低空間周波成分から高空間周波成分まで広く混入することになる。
一般に、受光分布は、発光点の高さhに応じて主要な空間周波数が異なると考えられ、発光点の高さがhのとき、受光分布は空間周波数領域で近似的にexp(−|f|×h)に比例する。
このように、低エネルギーX線はシンチレータ上方領域で吸収されやすく、高エネルギーX線は比較的シンチレータ下方領域まで到達し、発生したシンチレーション光は放射状に広がることから、フォトダイオードアレイ33における強度分布には、エネルギー依存性(発光位置依存性)が現れる。したがって、フォトダイオードアレイ33により得られたセンサ長手方向における強度分布に対し、信号処理(空間周波数分析、統計処理など)を行うことにより、X線のエネルギーを弁別することが可能となる。
次に、X線ラインセンサ30の信号処理の方法を説明する。
図7に示すように、フォトダイオードアレイ33はN個のフォトダイオード32,・・・,32を含む。以下では、簡単のため、フォトダイオード32を素子1,・・・,素子i,・・・,素子Nと記す。このフォトダイオードアレイ33について、M個の素子(フォトダイオード32)を1素子セットとして、素子セット1,・・・,素子セットk,・・・,素子セットN/Mを設定する。ここで、NはMの倍数とする。そして、各素子セットkを処理単位として信号処理を行う。Nは例えば30000であり、Mは例えば20であり、このとき素子セット数は1500である。素子セットは隣の素子セットとオーバーラップしてもよい。
具体的には、まず、各素子iにより、シンチレーション光の強度を示す信号値x(i)を取得する。ここで、i=1,2,・・・,Nである。
次いで、素子セットk毎に、信号値x(i)の低空間周波成分y(k)を算出する。ここで、k=1,2,・・・,N/Mである。低空間周波成分としては、例えば、素子セット毎の平均値、中央値、最頻値などが挙げられる。
低空間周波成分y(k)として平均値を採用する場合には、次式[数1]によりy(k)を求めることができる。
Figure 2019203853
ここで、k=1,2,・・・,N/Mであり、Mは1素子セットに含まれる素子数である。
低空間周波成分y(k),(k=1,2,・・・,N/M)は、デュアルエネルギーX線画像のうち、低エネルギーX線画像の1ライン分の画像データに相当する。搬送部2により被検査物Wを移動させつつ、X線ラインセンサ30による測定を行うことにより、2次元の低エネルギーX線画像を得ることができる。
次いで、フォトダイオード32の素子セットk毎に、信号値x(i)の高空間周波成分z(k)を算出する。ここで、k=1,2,・・・,N/Mである。高空間周波成分としては、例えば、素子セット毎の標準偏差、分散、高次モーメント、離散コサイン変換や離散ウェーブレット変換による高空間周波成分、順序統計量の合成(例えば75%点−25%点)などが挙げられる。
高空間周波成分z(k)として標準偏差を採用する場合には、次式[数2]によりz(k)を求めることができる。
Figure 2019203853
ここで、k=1,2,・・・,N/Mであり、Mは1素子セットに含まれる素子数である。
高空間周波成分z(k),(k=1,2,・・・,N/M)が、デュアルエネルギーX線画像のうち、高エネルギーX線画像の1ライン分の画像データに相当する。搬送部2により被検査物Wを移動させつつ、X線ラインセンサ30による測定を行うことにより、2次元の高エネルギーX線画像を得ることができる。
<シミュレーション(その1)>
次に、本実施形態に係るX線ラインセンサ30を用いてデュアルエネルギー方式で異物を検出可能か否かについて、シミュレーションを行った結果を説明する。
図8は、シミュレーションの諸条件を示す説明図である。被検査物として、厚さにむらのある魚を想定した。肉の厚みを、同図左から順に(A部)4.0cm、(B部)3.0cm、(C部)2.7cm、(D部)3.0cm、肉の幅を、同図左から順に(A部)50cm、(B部)25cm、(C部)25cm、(D部)25cmとし、骨の厚みを0.3cm、骨の幅を25cmとした。また、(E部)肉の無い部分の幅を25cmとした。
フォトダイオードアレイ33の幅を150cmとし、素子数Nを30000とし、フォトダイオード32の素子ピッチdを50μmとした。また、シンチレータ31の高さ方向の厚さHを、素子ピッチdの10倍とした。H=αdとおくと、αは素子ピッチdに対するシンチレータ31の厚さHの比を示し、α=10である。すなわち、シンチレータ31の厚さHを500μmとした。シンチレータ31を構成する物質はGOSとした。
被検査物Wに照射するX線は、20keVと100keVの2色のX線を含む平行X線とした。20keVの低エネルギーX線は、肉の厚い部分(厚み4.0cmの部分(A部))と、骨と肉がある部分(C部)とで、同程度、吸収されることが予想される。100keVの高エネルギーX線は、肉の厚い部分(厚み4.0cmの部分(A部))で最も強く吸収され、その他の部分では同程度の吸収となることが予想される。このため、低エネルギーX線画像と高エネルギーX線画像とを重み付き差分処理することにより、骨だけを抽出できることが予想され、本シミュレーションにより、本実施形態に係るX線ラインセンサ30によるデュアルエネルギー方式での測定可能性を確かめることができる。
X線はランダム事象(ポアソン分布)で発生し、被検査物Wを透過したX線がシンチレータ31に到達し、シンチレータ31内でX線が吸収されると、放射状に発光し、その光をフォトダイオード32で受光すると仮定した。
X線が被検査物Wを透過する確率Pは、次式(減弱の式)で求めた。
P=exp(−μt)
=exp(−μ/ρ*ρ*t)
ここで、μは被検査物Wの線減弱係数、ρは密度、tは厚みである。なお、質量減弱係数μ/ρはX線のエネルギーに依存する量であり、高エネルギーになるほど質量減弱係数は小さくなる(すなわち、よく透過するようになる)。また、高エネルギー(例えば100keV)のX線では、肉と骨の質量減弱係数が近くなる。
シミュレーションでは、肉の部分について、密度ρを1.127(g/cm)、20keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを0.707(cm/g)、100keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを0.168(cm/g)とした。また、骨の部分について、密度ρを1.45(g/cm)、20keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを2.80(cm/g)、100keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを0.179(cm/g)とした。また、後の計算で考慮するシンチレータ(GOS)については、密度ρを7.440(g/cm)、20keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを36.89(cm/g)、100keVのX線に対する質量減弱係数μ/ρを2.613(cm/g)とした。
被検査物Wを透過したX線、あるいは被検査物Wの無いところを進んできたX線については、シンチレータ31の厚さH、分割数m(=50)とし、シンチレータ31中をX線がH/m進むたびに、以下の2パターンに平均的に分岐するとした。
(i)確率p=exp(−μH/m)の確率で通過
(ii)1−pの確率で発光
ここで、μはシンチレータ31の線減弱係数である。
各フォトダイオード32が出力する電気信号の値は、到達フォトン数に比例する量(強度)であるとした。具体的には、センサ長手方向の位置xにあるフォトダイオード32において、発光点の高さhに依存した、次式で表される強度分布f(x,h)を加算した。
f(x,h)={(x−x+h−1
ここで、xは発光点でのセンサ長手方向の位置を表す。
フォトダイオード32から取得された強度分布のデータから、20フォトダイオード(素子)から構成される信号処理単位である素子セットごとに、低空間周波成分と高空間周波成分を算出した。具体的には、低空間周波成分は素子セットにおける強度分布の平均とし、高空間周波成分は素子セットにおける強度分布の標準偏差とした。素子セットの数は、1500(=30000/20)であり、素子セットのピッチは、1.0mm(=50μm×20)である。
また、被検査物Wを搬送方向(Y方向)に1mm搬送する間に、X線ラインセンサ30で20回(20ライン)測定するものとし、20ライン分の測定を50回行うものとした。すなわち、被検査物Wの搬送方向(Y方向)の検査長さは、50mm(=1.0mm×50回)となり、この検査長さ50mmの範囲で測定値を平均化した。
図9は、シミュレーション(その1)の結果を示すグラフである。
図9(a)は、比較例として理想的なデュアルエネルギー式X線ラインセンサを用いた場合のシュミレーション結果を示す。図中、実線は、20keVと100keVのX線をシンチレータに入射させたときに、フォトダイオードアレイにより得られる透過率(強度)分布を示し(低+高エネルギーX線画像)、破線は、100keVのX線をシンチレータに入射させたときに、フォトダイオードアレイにより得られる透過率(強度)分布を示す(高エネルギーX線画像)。
図9(b)は、本実施形態のX線ラインセンサ30を用いた場合のシュミレーション結果を示す。図中、実線は、20keVと100keVのX線をシンチレータ31に入射させたときに、フォトダイオードアレイ33により得られる透過率(強度)分布に対して、素子セットごとに信号処理(平均の算出)して得た強度分布を示し(低空間周波成分)、破線は、20keVと100keVのX線をシンチレータ31に入射させたときに、フォトダイオードアレイ33により得られる透過率(強度)分布に対して、素子セットごとに信号処理(標準偏差の算出)して得た強度分布を示す(高空間周波成分)。
理想的なデュアルエネルギー式ラインセンサは、図9(a)に示すように、20keVと100keVが混在したX線と、100keVだけのX線とを同時に測定することができる。縦軸の透過率は、何も写っていない部分(被検査物WのE部に対応)の透過率を1としている。20keVと100keVのX線が混在した場合(実線)、位置0〜50cmでは、肉が厚いA部に対応するのでX線の透過率は低くなっている。また、位置75〜100cmでは、骨があるC部に対応するので周りの肉の部分より透過率が下がっている。一方、100keVだけのX線の場合(破線)は、骨と肉のX線透過率が近いので、位置75cm〜100cmでの透過率の、周囲の肉の部分に比べた落ち込み度合が比較的小さくなっている。
図9(c)は、図9(a)の100keVと20keVのX線入射の場合の透過率分布(実線)、及び100keVだけのX線入射の場合の透過率分布(破線)について、透過率分布の係数を調整して差分処理を行ったものである。図9(c)中の一点鎖線で示すところに閾値を設定することにより、骨部分だけを検出できることが確認できる。
本実施形態に係るX線ラインセンサ30では、図9(b)に示すように、素子セットごとに平均をとる信号処理を行って得た透過率分布(実線)においても、理想的なデュアルエネルギー式ラインセンサと同様に、骨のある部分(C部)に対応する位置75〜100cmの範囲において、周りの肉の部分より透過率が下がっている。一方、素子セットごとに標準偏差をとる信号処理を行って得た透過率分布(破線)においても、理想的なデュアルエネルギー式ラインセンサと同様に、位置75cm〜100cmの範囲において、透過率の、周囲の肉の部分に比べた落ち込み度合が比較的小さくなっている。
図9(a)の理想的な透過率分布と、図9(b)の本実施形態の透過率分布とは、本実施形態の標準偏差をとる信号処理をした場合(破線)のエッジ以外で、それぞれ透過率分布の傾向が一致している。本実施形態の標準偏差をとる信号処理をした場合には、被検査物Wのエッジで透過率のとびが起こり、エッジ位置で標準偏差が大きくなっている(数百など)。エッジでは異常な透過率の値になるが、その値を判別することによりエッジを特定できるので、異物有無の判定を行う場合は例えばエッジを除外して判定するなどして対処可能である。
図9(d)は、図9(b)の平均をとる信号処理を行って得た透過率分布(実線)と標準偏差をとる信号処理を行って得た透過率分布(破線)の分布係数を調整し差分処理を行ったものである。骨のある部分(C部)に対応する位置75cm〜100cmの範囲が、その周囲に比べて有意に落ち込んでいることが分かり、適切に閾値を設定することにより骨部分だけを検出可能であることが確認できる。したがって、本実施形態に係るX線ラインセンサ30は、狙い通りのデュアルエネルギー効果を発揮し得ることが分かった。
<シミュレーション(その2)>
次に、上記シミュレーション(その1)と諸条件は同じで、シンチレータ31の厚さHを変えて透過率分布をシミュレーションで求めた結果を説明する。シンチレータ31の厚さHは、H=αdで表される。ここで、dはフォトダイオード32の素子ピッチであり、αは、素子ピッチdに対するシンチレータ31の厚さHの比を示すパラメータである。
図10は、比較例として理想的なデュアルエネルギー式X線ラインセンサを用いた場合のシュミレーション結果を示し、図9(a)はα=1、図9(b)はα=2、図9(c)はα=3、図9(d)はα=10の場合を示す。いずれのグラフも、20keVと100keVのX線が混在して入射される場合と、100keVのX線だけが入射される場合とで、骨と肉がある部分(C部)に対応する位置75cm〜100cmの範囲において、透過率の落ち込みの度合いが有意に相違しており、差分処理を行い適切に閾値を設定すれば骨部分だけを検出可能なことが分かる。
図11は、本実施形態に係るX線ラインセンサ30を用いた場合のシュミレーション結果を示し、図11(a)はα=1、図11(b)はα=2、図11(c)はα=3、図11(d)はα=10の場合を示す。図中、実線はフォトダイオードアレイ33が取得した透過率分布における低空間周波成分(平均)を示し、破線は高空間周波成分(標準偏差)を示す。
図11(a)のα=1の場合は、低空間周波成分の分布グラフ(実線)と高空間周波成分の分布グラフ(破線)がほぼ重なり、デュアルエネルギー効果を発揮するのは難しいことが分かる。図11(b)、図11(c)、図11(d)では、低空間周波成分の分布グラフ(実線)と高空間周波成分の分布グラフ(破線)が分離していくと共に、骨と肉がある部分(C部)に対応する位置75cm〜100cmの範囲において、透過率の落ち込みの度合いが有意に相違していることが確かめられた。
以上のことから、本実施形態のX線ラインセンサ30は、フォトダイオード32の素子ピッチdに対するシンチレータ31の厚みHの比であるαが1より大きいときに、デュアルエネルギー効果を発揮することがわかり、α≧2に設定するのがより好ましく、α≧3がさらに好ましい。なお、αを大きくしすぎると、素子数が増大するため、測定結果の処理に時間がかかることや、製造上のコストや難易度が上がるなどのデメリットが生じる。そのため、実際の実施形態においては、上記のようなシミュレーション結果と、αの増大によるデメリットとを勘案しながら、αの最適値を決定することが好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るX線ラインセンサ30Aについて、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るX線ラインセンサ30Aは、シンチレータ31が第1のシンチレータ31aと第2のシンチレータ31bとを含む点、シンチレータ31とフォトダイオードアレイ33の間にカラーフィルタ34が設けられている点で、第1の実施形態と異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図12に示すように、本実施形態に係るX線ラインセンサ30Aは、第1のシンチレータ31aと、第2のシンチレータ31bと、カラーフィルタ34と、フォトダイオードアレイ33とが、この順で上下に隣接して配置されている。
第1のシンチレータ31aは、入射するX線を吸収して波長λ1で発光する物質から構成されている。第2のシンチレータ31bは、入射するX線を吸収して波長λ2で発光する物質から構成されている。ここで、λ1≠λ2である。本実施形態では、第1及び第2のシンチレータ31a、31bの厚さは同一であるが、高低両エネルギーX線の検出感度を調整するために異なる厚さにしてもよい。
デュアルエネルギー効果を発揮させるためには、フォトダイオード32の素子ピッチdに対する第1及び第2のシンチレータ31a、31bの全厚みHの比αを、1より大きくなるように設定するのが好ましく、α≧2がより好ましく、α≧3がさらに好ましい。
図13は、X線ラインセンサ30Aにおけるカラーフィルタ34等の構成図である。図13に示すように、カラーフィルタ34は、波長λ1の光を透過する第1カラーフィルタ34aと、波長λ2の光を透過する第2カラーフィルタ34bとが交互に配置され、それぞれが各フォトダイオード32の上部に配置される構成となっている。具体的には、端から奇数番目のフォトダイオード32,32,32,・・・の上に第1カラーフィルタ34aを配置し、端から偶数番目のフォトダイオード32,32,32,・・・の上に第2カラーフィルタ34bを配置している。
フォトダイオードアレイ33は、高解像のものを使用するのが好ましい。例えば、従来のX線ラインセンサに用いられている素子数がNである場合、その16倍(16×N)の素子数を有する構成とする。そして、16素子を1素子セットとし、素子セットごとに、低空間周波成分と高空間周波成分を算出するようにする。
具体的には、次のとおりである。
(i)16素子からなる各素子セットの端から奇数番目の素子(8素子)は、第1カラーフィルタ34aと共に用いることで、第1のシンチレータ31aで吸収される低+高エネルギーX線のセンシングに使用する。このように、第1カラーフィルタ34aによりエネルギー弁別した上で、奇数番目の8素子を用いて低空間周波成分(例えば平均成分)を算出し、より精密に低+高エネルギーX線のセンシングを行う。
(ii)16素子からなる各素子セットの端から偶数番目の素子(8素子)は、第2カラーフィルタ34bと共に用いることで、第2のシンチレータ31bで吸収される高エネルギーX線のセンシングに使用する。このように、第2カラーフィルタ34bによりエネルギー弁別した上で、偶数番目の8素子を用いて高空間周波成分(例えば標準偏差)を算出し、より精密に高エネルギーX線のセンシングを行う。
本実施形態では、前述のようにフォトダイオードアレイ33で受光する前に、第1のシンチレータ31aで発生したシンチレーション光(波長λ1)と第2のシンチレータ31bで発生したシンチレーション光(波長λ2)をカラーフィルタ34により分離することができる。別言すれば、カラーフィルタ34により、発光点の高いシンチレーション光と発光点の低いシンチレーション光を分離することができる。これにより、発光点の高いシンチレーション光の強度分布に対して低空間周波成分を算出し、発光点の低いシンチレーション光の強度分布に対して高空間周波成分を算出することができ、発光点の高さがより正確に反映されるので、異なるエネルギーのX線をより正確にセンシングできるようになる。
上記説明では、各素子セットのうち端から偶数番目か奇数番目かに依って、低空間周波成分の算出に用いるか、高空間周波成分の算出に用いるかが決められているが、素子の使用法はこれに限定されない。各素子セットの素子を低空間周波成分及び高空間周波成分のどちらの算出に用いるかは、任意に決めることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るX線ラインセンサ30Bについて、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るX線ラインセンサ30Bは、第2のシンチレータ31bが柱状結晶シンチレータ31cに代わっている点で、第2の実施形態と異なっている。その他の構成は第2の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態に係るX線ラインセンサ30Bは、シンチレータ31aと、柱状結晶シンチレータ31cと、カラーフィルタ34と、フォトダイオードアレイ33とが、この順で上下に隣接して配置されている。
シンチレータ31aは、入射するX線を吸収して波長λ1で発光する物質から構成されている。柱状結晶シンチレータ31cは、入射するX線を吸収して波長λ2で発光する柱状結晶の物質から構成され、シンチレーション光は柱状結晶に沿って真下に進んでいくようになっている。ここで、λ1≠λ2である。本実施形態では、これらシンチレータ31a、31cの厚さは同一であるが、高低両エネルギーX線の検出感度を調整するために異なる厚さにしてもよい。
デュアルエネルギー効果を発揮させるためには、フォトダイオード32の素子ピッチdに対するシンチレータ31aの厚みHの比αを、1より大きくなるように設定するのが好ましく、α≧2に設定するのがより好ましく、α≧3がさらに好ましい。
図15は、シンチレータ31a、31cにおいてX線が吸収されてシンチレーション光が発生したとき、発光点からどのようにシンチレーション光が伝播するかを示す説明図である。シンチレータ31aで発生したシンチレーション光は、シンチレータ31a内では放射状に広がり、その光が柱状結晶シンチレータ31cに入ると、柱状結晶に沿って真下に進んでいく。すなわち、シンチレータ31a内においては受光分布の発光高さ依存性(すなわち、発光高さ(X線エネルギー)に依存して受光分布が変わること)を示すが、柱状結晶シンチレータ31cは発光分布の発光高さ依存性に寄与しない。一方、柱状結晶シンチレータ31cにおいてX線が吸収されて波長λ2のシンチレーション光が発生したときは、シンチレーション光は柱状結晶に沿って真下に進んでいく。
カラーフィルタ34は、第2の実施形態と同様に、波長λ1の光を透過する第1カラーフィルタ34aと、波長λ2の光を透過する第2カラーフィルタ34bとが交互に配置され、それぞれが各フォトダイオード32の上部に配置される構成となっている。
上記構成により、フォトダイオードアレイ33で受光する前に、柱状結晶シンチレータ31cにおいて不要な非高空間周波成分が除去されると共に、カラーフィルタ34においてもX線のエネルギーが弁別される。これにより、発光点の高いシンチレーション光の強度分布に対して低空間周波成分を算出し、発光点の低いシンチレーション光の強度分布に対して高空間周波成分を算出することができ、発光点の高さがより正確に反映されるので、高低エネルギーのX線をより正確にセンシングできるようになる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るX線ラインセンサ30Cについて、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るX線ラインセンサ30Cは、カラーフィルタ34が設けられていない点で、第3の実施形態と異なっている。その他の構成は第3の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態に係るX線ラインセンサ30Cは、シンチレータ31aと、柱状結晶シンチレータ31cと、フォトダイオードアレイ33とが、この順で上下に隣接して配置されている。
シンチレータ31aは、入射するX線を吸収して波長λ1で発光する物質から構成されている。柱状結晶シンチレータ31cは、入射するX線を吸収して波長λ2で発光する柱状結晶の物質から構成され、シンチレーション光は柱状結晶に沿って真下に進んでいくようになっている。ここで、λ1≠λ2である。本実施形態では、これらシンチレータ31a、31cの厚さは同一であるが、高低両エネルギーX線の検出感度を調整するために異なる厚さにしてもよい。
デュアルエネルギー効果を発揮させるためには、フォトダイオード32の素子ピッチdに対するシンチレータ31aの厚みHの比αを、1より大きくなるように設定するのが好ましく、α≧2がより好ましく、α≧3がさらに好ましい。
フォトダイオードアレイ33は、高解像のものを使用するのが好ましい。例えば、従来のX線ラインセンサに用いられている素子数がNである場合、その16倍(16×N)の素子数を有する構成とする。そして、16素子を1素子セットとし、素子セットごとに、低空間周波成分と高空間周波成分を算出するようにする。
本実施形態では、カラーフィルタがないので、第3の実施形態よりも上下方向の発光色(波長λ1とλ2)違いによるX線のエネルギー分離効果はやや劣るが、柱状結晶シンチレータ31cによる事前のエネルギー分離効果は得られる。
以上述べたように、本発明は、簡単な構成でデュアルエネルギーセンサとして使用できるという効果を有し、X線ラインセンサ及びそれを用いたX線異物検出装置の全般に有用である。
1 X線異物検出装置
2 搬送部
2a ベルト面
3 検出部
4 筐体
5 表示部
6 駆動モータ
7 搬入口
8 搬出口
9 X線発生器(X線照射部)
11 箱体
12 X線管
13 フィラメント
14 ターゲット
15 陽極
16 遮蔽カーテン
21 搬送路
21a 天井部
22 検査空間
30 X線ラインセンサ
31 シンチレータ
32 フォトダイオード(光電変換素子)
33 フォトダイオードアレイ(光電変換素子アレイ)
35 信号処理部
36 A/D変換器
37 データ記憶部
38 低空間周波成分算出部
39 高空間周波成分算出部
40 制御部
41 X線画像取得・記憶部(画像取得部)
42 画像処理部
42a 差分処理部
43 判定部
43a 閾値処理部
45 設定操作部
47 駆動制御部
d 素子ピッチ(フォトダイオード幅)
H シンチレータ厚さ
W 被検査物

Claims (3)

  1. 入射したX線を吸収し光を発すると共に発せられた前記光が放射状に伝わるシンチレータ(31)と、
    前記シンチレータを放射状に伝わった前記光を受光し電気信号に変換する複数の光電変換素子が、直線状に配列された光電変換素子アレイ(33)と、
    を備え、前記光電変換素子の素子ピッチ(d)に対する前記シンチレータの高さ方向の厚み(H)の比(α)が1より大きいことを特徴とするX線ラインセンサ(30)。
  2. 前記各光電変換素子により変換された前記電気信号のX線ラインセンサ長手方向の強度分布における低空間周波成分又は平均成分を第1エネルギーのX線画像として算出し、高空間周波成分を第2エネルギーのX線画像として算出する信号処理部(35)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のX線ラインセンサ。
  3. 被検査物(W)にX線を照射するX線照射部(9)と、
    前記被検査物を透過したX線を検出する、請求項1又は2に記載のX線ラインセンサ(30)と、
    前記各光電変換素子により変換された前記電気信号のX線ラインセンサ長手方向の強度分布における低空間周波成分又は平均成分を第1エネルギーのX線画像として取得し、高空間周波成分を第2エネルギーのX線画像として取得する画像取得部(41)と、
    前記第1エネルギーのX線画像と前記第2エネルギーのX線画像とに基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する判定部(43)と、
    を備えたことを特徴とするX線異物検出装置(1)。
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