JP2011021920A - X線検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線減弱率が被検査物の正常部位と大差のない物質からなる異物でも、その混入を確実に検出することができ、しかも、検査に先立つ装置の設定作業が容易で、更にはこれらの機能を持つが故のコストの上昇を極力抑制したX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線エネルギが互いに異なる透過X線を検出するX線検出手段2と、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品を撮像して得られる複数のX線エネルギそれぞれの出力の相互の関係を記録しておく記録手段7を備えるとともに、被検査物の検査時にX線検出手段2による複数のX線エネルギの検出出力から、記録手段により記録した相互の関係からの乖離度より画像を形成する画像形成手段6を備え、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定する。画像形成手段6により形成された画像は、異物以外の被検査物の像はほぼ一様となるのに対し、異物の像は強調された状態となり、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定することで、課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】X線エネルギが互いに異なる透過X線を検出するX線検出手段2と、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品を撮像して得られる複数のX線エネルギそれぞれの出力の相互の関係を記録しておく記録手段7を備えるとともに、被検査物の検査時にX線検出手段2による複数のX線エネルギの検出出力から、記録手段により記録した相互の関係からの乖離度より画像を形成する画像形成手段6を備え、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定する。画像形成手段6により形成された画像は、異物以外の被検査物の像はほぼ一様となるのに対し、異物の像は強調された状態となり、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定することで、課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、被検査物にX線を照射して得られるX線透過像を用いて、被検査物に異物の混入等の有無を検査するX線検査装置に関し、特に、食品の検査に適したX線検査装置に関する。
食品をはじめとする各種製品に異物が混入していないか否か等を検査する装置として、被検査物にX線を照射し、その透過X線をX線検出器で検出して得られる被検査物のX線透過データを用いる、いわゆるX線検査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
この種のX線検査装置においては、通常、所定のX線エネルギ特性を持つ1種類のX線検出器を用いてX線透過データを得ている。すなわち、1つのX線エネルギ特性を持つ蛍光板をイメージセンサ上に配置した構造のX線検出器を用い、X線の透過強度にほぼ比例する蛍光をイメージセンサで受光し、受光光量分布を画像化して異物検査を行っている。
しかしながら、X線検出器に入射するX線強度、つまり被検査物のX線透過強度は、異物の存在によって小さくなるほか、被検査物の厚みが大きくなっても小さくなるため、X線透過強度の大小のみでは異物が存在するのか、被検査物の厚みが大であるのかを判別することはできない。
ここで、例えば肉類などの食品の検査にあっては、金属やガラス、石などの異物の場合、被検査物である食品に対してX線の減弱率が大きいので、被検査物が厚くなっても異物は十分に暗く映るので、このような異物は上記した1つのX線エネルギ特性を持つ蛍光板を有するX線検出器を用いた装置でも十分に検査することができる。しかし、近年の食品のクレームでは、骨や貝殻、樹脂など、X線の減弱率が被検査物の正常部位と大差のない物質が異物として混入しているというものも問題となっており、このような異物を検査する装置が望まれている。
このような要望に対処するため、従来、2種の互いに異なるX線エネルギで被検査物の透過X線データを採取して、被検査物の厚さの影響を受けることなく、異物の有無を判別できるようにした装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
すなわち、この提案技術においては、被検査物の透過X線データを採取するとともに、各X線エネルギの透過X線強度と基準物質(被検査物)の厚さとの関係をあらかじめ測定して記憶しておき、その記憶内容を用いて、実際の検査時における各X線エネルギの透過X線データをそれぞれ基準物質の厚さに変換し、両者を比較する。被検査物が基準物質のみからなる場合には、各X線エネルギの透過X線データの厚さへの変換結果は同じとなるのに対し、異物が存在する場合には、各X線エネルギの厚さへの変換結果は両者で異なる値となる。このことを利用し、各X線エネルギの厚さへの変換結果の比較により、異物の有無を検査することを可能としている。
また、この提案技術においては、2種の互いに異なるX線エネルギの透過X線データを取得する方法として、単一のX線源と、2つのエネルギ特性の異なるX線検出器(ラインセンサ)を用いる方法と、X線エネルギが異なる2つのX線源を設けて、1つのX線検出器で検出する方法とが挙げられている。
ところで、前記した特許文献2に記載されている提案技術においては、2種の互いに異なるX線エネルギの透過X線データのそれぞれについて、被検査物を構成する物質である基準物質の厚さとの関係をあらかじめ求めておく必要があり、その設定作業が煩雑であるばかりでなく、それぞれのX線エネルギの透過X線データと厚さとの関係をそれぞれに正確に求めることは容易ではない。
また、2種の互いに異なるX線エネルギの透過X線データを採取するために、2つのエネルギ特性の異なるX線検出器(ラインセンサ)を設けるか、あるいはX線エネルギが異なる2つのX線源を設ける必要があり、装置のコストアップに繋がるという問題もある。
本発明はこのような実情に鑑みてなさたもので、X線減弱率が被検査物の正常部位と大差のない物質、例えば各種肉類中の骨や貝殻、あるいは樹脂等、の混入を確実に検出することができ、しかも検査に先立つ装置の設定作業が容易なX線検査装置の提供をその第1の課題としている。
また、本発明の第2の課題は、X線エネルギの異なる複数の透過X線データを用いた検査でありながら、装置のコストを殆ど上昇させることのないX線検査装置を提供することにある。
上記の第1の課題を解決するため、請求項1に係る発明のX線検査装置は、被検査物にX線を照射して得られる透過X線データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するX線検査装置において、X線エネルギが互いに異なる複数の透過X線データを検出するX線検出手段を備えるとともに、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品を当該X線検査装置で撮像し、上記X線検出手段による複数のX線エネルギそれぞれの出力の相互の関係を記録しておく記録手段と、被検査物の検査時に上記複数のX線エネルギの検出出力から、上記記録手段により記録した相互の関係からの乖離度より画像を形成する画像形成手段を備え、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定することによって特徴づけられる。
ここで、請求項1に係る発明においては、上記記録手段による複数のX線エネルギの検出出力の相互の関係が、関数で記録される構成(請求項2)を好適に採用することができる。
一方、前記した第2の課題を解決するため、請求項3に係る発明のX線検査装置は、被検査物にX線を照射して得られる透過X線データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するX線検査装置において、X線エネルギが互いに異なる複数の透過X線データを検出するX線検出手段を備え、そのX線検出手段は、互いに異なる複数のX線エネルギ特性を有する画素を順に配置したX線ラインセンサであることによって特徴づけられる。
そして、この請求項3に係る発明における具体的構成として、上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された蛍光板からなり、その蛍光板は、1画素ごとに厚さが異なる複数厚さからなるパターンが画素の配列方向に繰り返し設けられている構成(請求項4)を採用することができる。
また、請求項3に係る発明の他の具体的構成として、上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された単一のX線エネルギ特性を有する蛍光板と、その蛍光板の表面に配置され、1画素ごとにX線入射方向に貫通する孔が形成されたX線フィルタとからなる構成(請求項5)を採用することもできる。
請求項3に係る発明の更に他の具体的構成として、上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された単一のX線エネルギ特性を有する蛍光板と、その蛍光板の表面に配置され、1画素ごとに厚さが異なるX線フィルタからなる構成(請求項6)を採用することができる。
請求項1に係る発明は、例えば肉など、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品に対しては、互いに異なるX線エネルギの透過X線強度はほぼ比例関係にあるのに対し(例えば図5参照)、異物である骨や貝殻、樹脂等の、基準物質とは異なる材質では、上記の比例関係とは異なる関係、つまり各X線エネルギの透過X線強度は上記の比例関係から逸脱した関係となる(例えば図6参照)ことを利用したものである。
すなわち、実際の検査に先立ち、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品をX線検査装置で撮影して、互いに異なるX線エネルギの透過X線データ相互の関係をあらかじめ記録しておき、実際の検査時において、複数のX線エネルギの検出出力から、記録手段に記録した相互の関係からの乖離度より画像を形成する。このようにして形成された画像は、異物があればその像は強調化された画像となる。
そして、複数の異なるX線エネルギの基準物質の透過X線データの相互の関係は、被検査物(異物のない良品)もしくはそれと同材質の物品を撮影してその透過X線データを採取し、各X線エネルギの透過X線データについて、同じ部位のデータどうしを比較し、例えば関係式やテーブルを作成することによって簡単に行うことができる。
請求項3に係る発明は、複数のX線エネルギの透過X線データを得るためのX線検出手段として、X線エネルギごとにX線検出器(ラインセンサ)を設けるのではなく、1つのラインセンサを設け、その各画素の配列を、互いに異なる複数のX線エネルギ特性を有するものを順に配置した構成、すなわち、例えば2種のX線エネルギの透過X線データを採取する場合には、高X線エネルギ特性を持つ画素と、低X線エネルギ特性を持つ画素とを交互に配置した構成とする。
このようなX線エネルギ特性が異なる画素を順に配置する具体的構成としては、請求項4に係る発明のように、1画素ごとに厚さが異なる複数厚さからなるパターンを画素の配列方向に繰り返し設ける構成(請求項4)、あるいは請求項5に係る発明のように、1次元のイメージセンサアレイの光入射面に単一のX線エネルギ特性を持つ蛍光板を配置し、その蛍光板の表面に1画素ごとにX線入射方向に貫通するフィルタを配置したものを用いる構成、更には請求項6に係る発明のように、同じく1次元のイメージセンサアレイの光入射面に単一のX線エネルギ特性を持つ蛍光板を配置し、その表面に1画素ごとに厚さが異なるX線フィルタを配置した構成を採用することができ、X線エネルギごとにラインセンサを設ける場合に比してコストアップを抑制することができる。
ここで、以上のような例えば1画素ごとに高X線エネルギ特性と低X線エネルギ特性の画素を交互に配置すると、得られる高X線エネルギの透視像と低X線エネルギの透視像とは1画素分だけずれた状態となるが、異物検査としての用途としては実用上全く問題はない。
請求項1に係る発明によると、被検査物を構成する基準物質を透過する各X線エネルギの強度の関係をあらかじめ記憶しておくだけで、X線減弱率が基準物質と殆ど変わらない異物、例えば肉類中の骨や貝殻、樹脂等についても、強調された画像として浮かび上がらせることができ、このような異物の有無を確実に判定することができる。
しかも、各X線エネルギの透過X線データの相互の関係は、例えば正常な1個もしくは数個の被検査物の透過X線データを採取するだけで簡単に得ることができ、特に請求項2に係る発明のようにその関係を演算する機能を持たせると、検査に先立つ設定作業が極めて容易となり、実現性の高い装置が得られる。
更に、X線エネルギの相違する各透過X線データを用いて1つの画像として判定に供するので、その判定には単一エネルギ特性の透過X線データを用いる従来のX線透視画像を用いた判定と全く同じ画像処理機能をそのまま使うことができる。
請求項3に係る発明によると、X線エネルギの互いに異なる透過X線データを用いた検査でありながら、1つのX線ラインセンサを用いるだけでよく、複数のX線エネルギの透過X線データを採取するが故のコストアップを抑制することができる。
1 X線発生装置
2 X線ラインセンサ
21 1次元イメージセンサアレイ
22 蛍光板
22a 蛍光板の厚い部分
22b 蛍光板の薄い部分
3 コンベア
4 光電センサ
5a,5b データメモリ
6 異物度画像形成部
7 関係記録部
8 画像メモリ
9 モニタ兼操作部
10 判定部
11 関係演算部
12 制御部
13 搬送駆動回路
2 X線ラインセンサ
21 1次元イメージセンサアレイ
22 蛍光板
22a 蛍光板の厚い部分
22b 蛍光板の薄い部分
3 コンベア
4 光電センサ
5a,5b データメモリ
6 異物度画像形成部
7 関係記録部
8 画像メモリ
9 モニタ兼操作部
10 判定部
11 関係演算部
12 制御部
13 搬送駆動回路
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1に構成図を示すように、X線発生装置1とX線ラインセンサ2とが対向配置され、これらの間に、被検査物Wを搬送するためのコンベア3が配置されている。X線発生装置1は、スリット等を介することによりファンビーム状のX線を出力し、X線ラインセンサ2はそのファンビーム状のX線の広がり方向に複数の素子が並ぶように配置されている。図1ではX線ラインセンサ2の各素子は紙面に垂直な方向に並んでいる。被検査物Wはコンベア3によってファンビーム状のX線の広がり方向に対して直交する方向に一定の速度で搬送される。
図1に構成図を示すように、X線発生装置1とX線ラインセンサ2とが対向配置され、これらの間に、被検査物Wを搬送するためのコンベア3が配置されている。X線発生装置1は、スリット等を介することによりファンビーム状のX線を出力し、X線ラインセンサ2はそのファンビーム状のX線の広がり方向に複数の素子が並ぶように配置されている。図1ではX線ラインセンサ2の各素子は紙面に垂直な方向に並んでいる。被検査物Wはコンベア3によってファンビーム状のX線の広がり方向に対して直交する方向に一定の速度で搬送される。
X線発生装置1とX線ラインセンサ2の対に対し、コンベア3の被検査物Wの搬送方向上流側には光電センサ4が配置されており、この光電センサ4の出力によって被検査物Wの到来を検知する。
ここで、一般的な単一のX線エネルギを用いたX線検査装置においては、光電センサ4の出力を起点としてX線ラインセンサ2から出力されている1次元の透過X線データ(線量分布)を時間順に並べることによって被検査物Wを含むX線透過像を構築して異物の有無の判定に供するのであるが、この実施の形態においては、以下に示すように高低2種のX線エネルギの透過X線データを採取し、その高低2種の透過X線データを用いて1つのX線透過像を構築し、異物の有無の判定に供する。
すなわち、X線発生装置1は、単一のX線エネルギを用いた装置と同様に、図2のエネルギ分布を表すグラフに示すように、広いエネルギ帯域のいわゆる白色のX線を発生している。
一方、X線ラインセンサ2は、図3に模式的に示すように、1次元のイメージセンサアレイ21の光入射面に、蛍光部22を配置した構造を持ち、蛍光部22は、蛍光材質が厚い部分22aと薄い部分22bとが1画素置きに位置した構造となっている。なお、図3では1次元のイメージセンサアレイ21と蛍光部22とを分離させて示しているが、実際にはイメージセンサアレイ21の光入射面に蛍光部22が貼り付けられた構造となっている。
この構造のX線ラインセンサ2において、蛍光部22の厚い部分22aが高エネルギX線の感度が高い部分、薄い部分22bが低エネルギX線の感度が高い部分となる。すなわち、高エネルギのX線は蛍光物質の深い部分で蛍光発光する。また、低エネルギのX線は蛍光物質の浅い部分で蛍光発光する。そして、蛍光物質は一般に光透過率があまりよくないので、イメージセンサアレイ21の受光面から遠い箇所で発生した蛍光はイメージセンサアレイ21の各画素の受光面に届くまでに減衰する。よって蛍光部22の厚い部分22aでは高エネルギX線の感度が高く、蛍光部22の薄い部分22bでは低エネルギX線の感度が高くなる。
従って、本発明の実施の形態におけるX線ラインセンサ2は、イメージセンサアレイ21の0〜N−1チャンネルの出力のうち、0,2,4・・チャンネル(以下、偶数チャンネルと称する)が高エネルギX線に対して高感度となり、1,3,5・・チャンネル(以下、奇数チャンネルと称する)が低エネルギX線に対して高感度となる。X線ラインセンサ2の各画素のうち、高エネルギX線に対して高感度の偶数チャンネルの集合を便宜上ディテクタ2a、低エネルギX線に対して高感度の奇数チャンネルの集合をディテクタ2bと称すると、ディテクタ2aおよびディテクタ2bの感度特性は図4に示す通りとなる。
さて、X線ラインセンサ2の出力は、前記した光電センサ4による被検査物Wの検知を起点として、偶数チャンネルのディテクタ2aと、奇数チャンネルのディテクタ2bの各データが、それぞれに個別に対応するデータメモリ5aおよび5bに記憶される。従って、データメモリ5aには高エネルギX線による検査対象物WのX線透視像データが、データメモリ5bには低エネルギX線による検査対象物WのX線透視像データが記憶されることになる。
データメモリ5aおよび5bに記憶された各透過X線データは、異物度画像形成部6による後述する演算のもとに1つの画像(これを異物度画像と称する)の形成に供される。この異物度画像形成部6による演算には、ディテクタ2aとディテクタ2bの透過X線の検出データの相互の関係を記録する関係記録部7の内容が用いられる。
異物度画像形成部6により形成された異物度画像は、画像メモリ8に取り込まれ、モニタ兼操作部9に表示されるとともに、判定部10による判定に供される。この判定部10による判定は特に限定されないが、一般的な単一X線エネルギを用いた従来のX線検査装置と同等の公知の手法、例えばしきい値を用いた判定を採用することができる。この判定部10による判定結果は判定信号として出力され、例えばコンベア3の下流側に設けられる振り分け機構(図示略)等に送られ、異物有りと判定されたものが排除される。
前記した関係記録部7に記録されるディテクタ2aとディテクタ2bの透過X線の検出データの相互の関係は、後述するように実際の検査に先立って関係演算部11により算出される。
上記したデータメモリ5a,5b、異物度画像形成部6、関係記録部7、画像メモリ8、判定部10、関係演算部11は制御部12の制御下に置かれており、判定部10による判定のためのしきい値の設定や、あるいは関係演算部11による演算の実行指令等は、モニタ兼操作部9の操作により行うことができる。また、コンベア3を駆動する搬送駆動回路13についても、制御部12の制御下に置かれている。ここで、データメモリ5aおよび5b、異物度画像形成部6、関係記録部7、画像メモリ8、判定部10、関係演算部11、および制御部12は、実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、インストールされたプログラムに基づく機能を実現するのであるが、図1では説明の便宜上、機能ごとのブロックで表している。
次に、関係記録部7に記録されるディテクタ2aとディテクタ2bの透過X線の検出データの相互の関係と、その求め方について詳述する。
実際の検査に先立ち、異物の混入のない適当な被検査物をコンベア3に流し、その透過X線データを採取する。このデータ採取により、X線ラインセンサ2の高エネルギX線に高い感度を有するディテクタ2aと、低エネルギX線に高い感度を有するディテクタ2bの双方によるX線透視像を構築することのできる透過X線データが、それぞれデータメモリ5aと5bに格納される。そして、この各X線透視像の同じ位置の画素の出力レベルを比較し、その関係を求める。具体的には、X線ラインセンサ2の互いに隣接する偶数と奇数のチャンネルの出力、つまりチャンネル0と1、チャンネル2と3、チャンネル4と5・・の同時刻の出力を比較する。例えば横軸にディテクタ2aの出力レベルを、縦軸にディテクタ2bの出力レベルをプロットすると、図5に例示するようなグラフが得られる。異物の混入していない被検査物の透過X線データは、被検査物のX線透過方向への厚みが厚い箇所ではディテクタ2a,2bとも出力レベルが低く、同方向への厚みが薄い箇所ではディテクタ2a、2bとも出力レベルが高くなる。被検査物が均質であれば、図5のグラフはほぼ直線に沿ったものとなる。
関係演算部11は、以上のようにして得られるディテクタ2aと2bの出力レベルの関係から、その関係を表す関数Gを求める。ここで、このディテクタ2aと2bの出力レベルの関係は、被検査物の種類によってはプロットが直線に乗らない場合もある。このような場合には、ディテクタ2aの出力レベルが同一となる複数の箇所において、対応する各位置でのディテクタ2bの出力レベルの平均値を用いて、関数Gを算出する等の対応を採ることができる。
ここで、以上のようにして得られる関係は、厳密にはX線ラインセンサ2の画素の配列方向に1画素分だけずれた位置での透過X線データどうしの関係であるが、このずれは画素ピッチと被検査物の大きさとの関係に照らして無視し得る程度である。
更に、ディテクタ2aと2bの出力レベルの関係を広い範囲で求めるために、標準的な厚さの被検査物のほかに、比較的厚いものや比較的薄いものを併せて、数個ほど流して得た透過X線データを用いて関数Gを求めてもよく、また、被検査物そのもののほかに、被検査物と同じ材質の物品を流してもよい。
ちなみに、被検査物に異物が混入している場合、上記と同様にディテクタ2aと2bでその透過X線データを採取し、これら両者の出力レベルの関係を求めると、図6に例示する通りとなる。すなわち、異物と正常な被検査物は、低エネルギでの減弱率に大きな差があり、ディテクタ2aの出力レベルに対してディテクタ2bの出力レベルが大きく低減し、図5に示した線上からずれた位置にプロットされる。
さて、異物の混入のない被検査物の透過X線データを用いて、以上の手法によって得られたディテクタ2aと2bの出力レベル相互の関係は関係記録部7に記録される。そして、その記録を完了した後、実際の検査作業が行われる。実際の検査作業においては、被検査物Wをコンベア3に順次供給してX線発生装置1とX線ラインセンサ2の間を通過させることにより、ディテクタ2aと2bで検出されてデータメモリ5aと5bにそれぞれ取り込まれた各透過X線データから、関係記録部7に記録されている前記した関数Gを用いて、以下の式により1つの異物度画像を形成する。
すなわち、ディテクタ2aの透過X線データを用いた画像をimg1、ディテクタ2bの透過X線データを用いた画像をimg2とすると、異物度画像IMGは、
IMG=α{G(img1)−img2}+β ・・(1)
IMG=α{G(img1)−img2}+β ・・(1)
この(1)式においてαおよびβは適宜に設定される定数であり、結局、(1)式で得られる異物度画像は、良品の、つまり異物の混入のない被検査物に関するディテクタ2aと2bの出力レベル相互の関係でこれら両者の透過X線データに基づく透視画像に重みを付して、相互に減算した画素値で構築された画像である。より具体的には、異物度画像IMGを構成する各画素の輝度値は、X線ラインセンサ2のチャンネル0と1、2と4・・の同時刻における輝度値を、関数Gと定数α、βを用いた重み付け減算して得られる輝度値となる。
img1およびimg2およびIMGの画像の例を図7に示す。高エネルギX線に感度の高いディテクタ2aにより検出された透過X線データを用いた透視像img1と、低エネルギX線に感度の高いディテクタ2bにより検出された透過X線データを用いた透視像img2とから、上記した(1)式の演算のもとに1つの異物度画像を形成すると、被検査物の異物のない部位(基準物質の部位)の像Mは、その厚さに関わらずほぼ一様な輝度値となるのに対し、異物の存在する部位の像Sは、像Mにおける輝度値とは異なる輝度値となり、異物の存在する部位の像Sは強調された状態となる。
すなわち、異物の存在しない被検査物を透過したX線のディテクタ2aと2bによる検出結果の相互の関係から、異物を透過したX線のディテクタ2aと2bによる検出結果は乖離したものとなり、結局、IMGの画像は、その乖離の度合いに応じて、像Sの輝度値が輝度値が像Mの輝度値と相違する画像となる。そして、このような乖離度に基づく画像においては異物の存在が明確となることから、異物度画像と称することができる。
このような異物度画像を、従来と同様のしきい値等を用いた判定部10で判定することにより、骨や貝殻、樹脂といった異物でも確実にその存在の有無を判定することが可能となる。
ここで、以上の実施の形態においては、高低2種類のエネルギの透過X線データを用いた例を示したが、3種類以上のエネルギのX線を用いても同等の効果を奏することができる。すなわち、例えば高、中、低の3種類のエネルギ特性を持つディテクタでそれぞれ被検査物の透過X線を検出し、例えば低エネルギX線に高い感度を有するディテクタの出力レベルを基準とし、基準物質を透過したX線の中エネルギX線に高い感度を有するディテクタ並びに高エネルギX線に高い感度を有するディテクタの出力レベルの関係をそれぞれ記憶しておき、その各関係を用いた重みを付して、低エネルギX線による透視画像に対する中エネルギX線による透視画像、および高エネルギX線による透視画像の差をそれぞれ求めた画像を形成し、その2つの画像を加算する等によって1つの異物度画像を形成することによっても、異物の像を強調した画像を形成することができる。
次に、高エネルギX線と低エネルギX線を1本のX線ラインセンサで検出する他の例について説明する。図8に模式的に示す例は、先の例と同様の1次元のイメージセンサアレイ21の光入射面に、一様な蛍光部23を配置するとともに、その蛍光部23の表面にX線フィルタ24を配置し、そのX線フィルタ24には、1画素おきに孔24aを開けている。X線フィルタ24の材質としてはアルミ、樹脂などを用いる。X線フィルタ24のある画素はX線フィルタによって低エネルギX線がカットされるので、相対的に高エネルギX線感度が高くなり、孔の空いた部分ではそのカットが行われないため、低エネルギX線感度が高くなって、先の例と同様に1本のX線ラインセンサで高エネルギX線と低エネルギX線の検出を可能とする。
図9に模式的に示す例は、同じく1次元のイメージセンサアレイ21の光入射面に、一様な蛍光部23を配置するとともに、その蛍光部23の表面にX線フィルタ25を配置し、そのX線フィルタ25は、フィルタ材質が厚い部分25aと薄い部分25bとが1画素おきに形成された構造となっている。このような構造でも、フィルタ材質が厚い部分25aは薄い部分25bに比して高エネルギX線の感度が高くなり、上記と同様の作用を奏することができる。
前記した図3に示したX線ラインセンサおよび図9に示したX線ラインセンサにおいて、蛍光体の厚さを3種類としたり、フィルタの厚さを3種類とすることにより、3種類のエネルギ特性を有するX線ラインセンサが得られ、同様に4種類以上のエネルギ特性を持つX線ラインセンサを構築することもできる。
Claims (6)
- 被検査物にX線を照射して得られる透過X線データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するX線検査装置において、
X線エネルギが互いに異なる複数の透過X線データを検出するX線検出手段を備えるとともに、良品の被検査物もしくはそれと同等の物品を当該X線検査装置で撮像し、上記X線検出手段による複数のX線エネルギそれぞれの出力の相互の関係を記録しておく記録手段と、被検査物の検査時に上記複数のX線エネルギの検出出力から、上記記録手段により記録した相互の関係からの乖離度より画像を形成する画像形成手段を備え、その画像形成手段により形成された画像に基づいて異物の有無を判定することを特徴とするX線検査装置。 - 上記記録手段による複数のX線エネルギの検出出力の相互の関係が、関数で記録されることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
- 被検査物にX線を照射して得られる透過X線データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査するX線検査装置において、
X線エネルギが互いに異なる複数の透過X線データを検出するX線検出手段を備え、そのX線検出手段は、互いに異なる複数のX線エネルギ特性を有する画素を順に配置したX線ラインセンサであることを特徴とするX線検査装置。 - 上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された蛍光板からなり、その蛍光板は、1画素ごとに厚さが異なる複数厚さからなるパターンが画素の配列方向に繰り返し設けられていることを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
- 上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された単一のX線エネルギ特性を有する蛍光板と、その蛍光板の表面に配置され、1画素ごとにX線入射方向に貫通する孔が形成されたX線フィルタとからなることを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
- 上記X線ラインセンサは、複数の画素が1次元状に配列されたイメージセンサアレイと、そのイメージセンサアレイの光入射面に配置された単一のX線エネルギ特性を有する蛍光板と、その蛍光板の表面に配置され、1画素ごとに厚さが異なる複数厚さからなるパターンが画素の配列方向に繰り返し設けられたX線フィルタからなることを特徴とする請求項3に記載のX線検査装置。
Priority Applications (1)
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JP2009165293A JP2011021920A (ja) | 2009-07-14 | 2009-07-14 | X線検査装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009165293A JP2011021920A (ja) | 2009-07-14 | 2009-07-14 | X線検査装置 |
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JP2011021920A true JP2011021920A (ja) | 2011-02-03 |
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ID=43632144
Family Applications (1)
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JP2009165293A Pending JP2011021920A (ja) | 2009-07-14 | 2009-07-14 | X線検査装置 |
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JP (1) | JP2011021920A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017161396A (ja) * | 2016-03-10 | 2017-09-14 | アンリツインフィビス株式会社 | 異物検出装置および異物検出方法 |
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2009
- 2009-07-14 JP JP2009165293A patent/JP2011021920A/ja active Pending
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