JP7079966B2 - X線検出装置 - Google Patents
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Description
被検査物にX線を照射するX線源と、
被検査物の透過X線に含まれる複数のエネルギー帯のX線を検出して画素ごとのエネルギースペクトルを出力するマルチエナジーセンサと、
前記複数のエネルギー帯の中から異物検出に適する二種類のエネルギー帯を選び出し、選び出した二種類のエネルギー帯に対応する画像から、エネルギーサブトラクションによって異物を検出する画像処理部と、を備えたものである。
以下、本発明の第1実施形態に係るX線検査装置100について図面を参照しながら説明する。
搬送部500は、被検査物600を検査室内に搬送するために設けられている。この搬送部500は、ベルトコンベア、トップチェーンコンベア、回転テーブルなど様々な搬送機構を使用することが可能である。最も一般的なものは、ベルトコンベヤ方式のもので、搬送部500の前後のプーリー間に樹脂製の搬送ベルト510が取り付けられている。図1の検査室の出入口には、X線が漏洩するのを防ぐために、重金属を配合した樹脂製の短冊状のカーテン550が取り付けられている。
X線源200は、搬送部500により検査位置まで搬送される被検査物600にX線を照射する。このX線源200から照射されるX線には、低エネルギー(長波長)から高エネルギー(短波長)までの様々なエネルギー帯のX線が含まれている。なお、低エネルギーおよび高エネルギーと記載したが、この「高」および「低」は、X線源200から照射される複数のエネルギー帯の中で相対的に「高い」および「低い」のであって、特定の範囲を示すものではない。以下、同様である。
図2のX線源200から照射されるX線には、高エネルギー帯のX線から低エネルギー帯のX線まで幅広く含まれている。マルチエナジーセンサユニット300は、エネルギー分解能の高いセンサである。また、このセンサユニット300は、画素が1列に並んだラインセンサタイプで、図4に示すように搬送部500で搬送される被検査物600をライン毎に撮像し、これらは後述の制御装置に入力されて2次元画像に合成される。さらにこのセンサユニット300は、図6に示すように、受光部350と制御部360を備え、外部から制御することが可能な外部入力インターフェース370と、データの出力等に使用される外部出力インターフェース380を備えている。受光部350で検出した複数のエネルギー帯のX線を制御部360が分析することによって、画素ごとのエネルギースペクトルを出力するようになっている。
制御装置は、X線源200、搬送部500、センサユニット300やその他の機器を含む、X線検査装置100全体を制御するとともに、センサユニット300から得られたデータも演算処理する画像処理部400を備えている。この画像処理部400は、コンピュータで構成され、内蔵のプログラムを実行することにより、センサユニット300から送られてきたデータを処理して、画素ごとにエネルギースペクトルを持ったマルチエナジー画像を生成する。また、このマルチエナジー画像を演算処理することによって、被検査物の中に入っている異物を検出し、ディスプレイ910に表示したり、ブザー920による警告を発したりして、操作者に異物の検出を伝える。
次に画像処理部400による処理を具体的に示す。
X線を照射し被検査物600を搬送部500にて搬送し、ラインセンサユニット300(図6)で撮像する際には、被検査物600の1画素の移動に要する時間ごとにシャッターを切り、図3のように被検査物600を短冊状に撮像していく。そしてライン上の画像をデータとして制御装置に転送する。例えば、搬送方向の長さが1mmの画素であり、搬送速度が30m/分であればシャッター時間は、下記数式1となる。
次にマルチエナジーセンサ300で撮像するための事前準備として、被検査物600が何もない場合に均一なデータが正しく得られるようキャリブレーションを行う。例えば、ベルトコンベヤの搬送ベルト510や、ラインセンサユニット300のカバー370等、被検査物が無かったとしても何らかのX線吸収体が存在するので、これらの影響を調べておくためである。また、ラインセンサ自体にも画素によって感度のばらつきがあるので、これらも同時に測定しておく意味もある。
通常のラインセンサにおける、上記のバックグラウンド補正では、画素ごとに明るさを調整するのみであるが、マルチエナジーセンサ300では、画素ごとにスペクトルを収集するため、スペクトルの補正も必要となる。この方法について、以下で具体的に述べる。
ラインセンサユニット300から転送されたデータは、制御装置内部のメモリによって逐次格納されていき、被検査物600が通り過ぎた後、すなわち、この撮像はあらかじめ設定された撮像長さLに達するまで継続する。長さLは、被検査物600のバラツキや、撮像処理上のバッファの大きさなどに応じて、余裕をもって被検査物600より長めに設定される。このようにしてメモリに蓄えられたデータをつなぎ合わせて被検査物600の画像が生成される。
マルチエナジーセンサ300のデータは、画素ごとにスペクトルを持っているので、上記の撮像結果は、例えば、画素ごとに全スペクトルを足し合わせたものを表示し、操作者に被検査物の画像を認識しやすくしてから、ディスプレイ910に表示する。これは操作者が分かりやすいように表示するためのものであって、実際には各画素がエネルギースペクトルを保持しており、スペクトルデータはメモリに格納されている。
次にエネルギーサブトラクションに適した2枚の画像を選ぶ方法を、具体的な例を用いて示す。
上記の方法による異物検出は、X線源の管電圧を最適に設定することによって、更に異物検出の効果を高めることができる。逆に適切でない管電圧設定では、十分な効果が得られないこともある。
以下、本発明の第2実施形態に係るX線検査装置101について図面を参照しながら説明する。
X線検査装置101は、筐体M内かつ搬送面510の上方に、図15に示すように、サンプル610(サンプル610aおよびサンプル610b)を備えている。サンプル610(サンプル610aおよびサンプル610b)は、図示しない駆動機構(アクチュエーター)により、少なくともX線源200から照射され受光部350に到達するX線の全てが通過しない(上記受光部350に到達するX線の全てに干渉しない)位置である退避位置と、少なくともX線源200から照射され受光部350に到達するX線の全てが通過する位置である進出位置との間を移動するように構成されている。具体的には、図15に示すサンプル610aにおいて、退避位置は点線で示された位置であり、進出位置は実線で示された位置である。サンプル610bについても、同様の移動が可能である。なお、サンプル610(サンプル610aおよびサンプル610b)は、少なくとも退避位置において搬送される被検査物600に干渉しない位置に配置される。また、サンプル610(サンプル610aおよびサンプル610b)は、各画素に入射するX線の条件を揃えるために、少なくともX線の通過を受ける部分において、厚さ(搬送面に垂直な方向における長さ、又は、各部分とX線源の中心とをそれぞれ結ぶ方向における長さ)および組成が均一となるように構成されている。
第2実施形態では、X線が照射されていない状態における画素zのエネルギー帯ε~ε+ΔεのラインセンサユニットからのデータであるID(V, z, ε)と、(被検査物が無く、)サンプル610が進出位置に有り、X線が照射された状態(すなわち、受光部350に入射するX線の全てがサンプル610を通過している状態)における、画素zのエネルギー帯ε~ε+Δεのラインセンサユニット300からのデータであるIB(V, z, ε)とに基づいてキャリブレーションが行われる。キャリブレーション(および、ダイナミックレンジの設定等)のその後の処理手順については、第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様に、サンプル600(および被検査物)が無い場合のキャリブレーションについても別途実施し、X線のサンプル600の通過がある(サンプル600が通過位置に有る)場合および通過が無い(サンプル600が退避位置に有る)場合のキャリブレーションの設定値を各々記憶し、必要に応じて使い分けられるように構成してもよい。
なお、上記第1実施形態では説明の簡単化のために(xA, yA),(xB, yB)という点(画素)を対象とする例を示したが、領域を持った範囲(複数画素の占める領域)に拡張し、平均化された濃淡値や、領域内の濃淡値の最大値あるいは最小値、もしくは中央値などを用いてもよい。
200 X線源
300 ラインセンサユニット
350 ラインセンサユニットの受光部
400 X線検査装置の制御装置の画像処理部
500 X線検査装置の搬送部
600 被検査物
Claims (5)
- 被検査物にX線を照射するX線源と、
被検査物の透過X線に含まれる少なくとも三種類以上のエネルギー帯のX線を検出して画素ごとのエネルギースペクトルを出力するマルチエナジーセンサと、
前記少なくとも三種類以上のエネルギー帯の中から異物検出に適する二種類のエネルギー帯を選び出し、
選び出した二種類のエネルギー帯に対応する画像から、エネルギーサブトラクションによって異物を検出する画像処理部と、を備えたX線検査装置。 - 前記画像処理部は、複数のエネルギー帯の中から異物検出に適する二種類のエネルギー帯の画像を選び出す処理を、事前セットアップにおいて実行することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
- 前記画像処理部は、さらに、画像のコントラストの差が最大となる二種類のエネルギー帯を選び出すことを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
- 前記画像処理部は、キャリブレーションによって、すべてのエネルギー帯について均一な値が得られるように事前処理することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
- 請求項1から4の何れかのX線検査装置において、前記被検査物をX線の照射領域に搬入搬出する搬送部を備えたX線検査装置。
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