JP2019203105A - 表示素子用封止剤、有機el素子用封止剤およびその硬化物 - Google Patents

表示素子用封止剤、有機el素子用封止剤およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面に凸凹やピンホールなどの欠陥を生じることなく、平坦性が高く、薄膜の封止層を形成できる表示素子用封止剤を提供すること。【解決手段】(A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと、(B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルと、(C)カチオン重合開始剤と、(D)SiNに対する接触角が1°以下である有機溶剤と、(E)シリコーン系レベリング剤とを含む、表示素子用封止剤。【選択図】なし

Description

本発明は、表示素子用封止剤、有機EL素子用封止剤およびその硬化物に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)などの表示素子を用いた表示デバイスの開発が進められている。有機EL素子などの表示素子は、大気中の水分や酸素によって劣化しやすいため、使用時には、大気中の水分や酸素から保護する必要がある。
有機EL素子を水分や酸素から保護する方法の一つとして、有機EL素子を透明な樹脂層で面封止する方法がある。例えば、有機EL素子上に、封止剤(硬化性樹脂)を塗布した後、硬化させて封止層を形成することで、有機EL素子を面封止する。その際に、封止剤の塗膜に凸凹やピンホールがあると、得られる封止層にも凹凸やピンホールが発生しやすく、有機EL素子を水分や酸素から保護するのに不十分である。
また、有機EL素子を水分や酸素から保護するために、封止層上に無機薄膜などのバリア層をさらに形成する場合、封止層の表面に凹凸やピンホールがあると、形成されるバリア膜にもピンホールなどの欠陥を生じやすく、十分なバリア性が得られにくい。これらのことから、有機EL素子の面封止剤は、表面に凹凸やピンホールなどの欠陥が少ない封止層を形成できることが求められている。
有機EL素子の面封止剤として、例えば特定のオキセタニル化合物または特定の脂肪族エポキシ化合物と、水添ビスフェノール骨格を有する化合物と、光カチオン重合開始剤と、シリコーン系レベリング剤とを含む有機EL素子用封止剤が提案されている(例えば特許文献1参照)。
国際公開第2015/068454号公報
ところで、近年、有機EL素子の発光ムラの低減、非発光時の光散乱の抑制、有機ELデバイスの薄型化やフレキシブル化などの観点から、封止層の厚みを薄くすることが求められている。しかしながら、特許文献1に示されるような従来の封止剤を薄く塗布すると、基板や有機EL素子の表面で弾かれやすく、得られる封止層に凸凹やピンホールなどの欠陥が生じやすいという問題があった。
また、平坦性が高く、かつ薄膜の封止層を形成する観点では、封止剤をインクジェット法で塗布できることも望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面に凸凹やピンホールなどの欠陥を生じることなく、平坦性が高く、薄膜の封止層を形成できる表示素子用封止剤、有機EL素子用封止剤およびその硬化物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の表示素子用封止剤、有機EL素子用封止剤およびその硬化物に関する。
[1] (A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと、(B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルと、(C)カチオン重合開始剤と、(D)SiNに対する接触角が1°以下である有機溶剤と、(E)シリコーン系レベリング剤とを含む、表示素子用封止剤。
[2] 前記(D)有機溶剤は、極性溶媒である、[1]に記載の表示素子用封止剤。
[3] 前記(D)有機溶剤は、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選ばれる一以上である、[2]に記載の表示素子用封止剤。
[4] 前記(D)有機溶剤の含有量は、前記表示素子用封止剤の全質量に対して1〜10質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の表示素子用封止剤。
[5] (F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の表示素子用封止剤。
[6] E型粘度計で測定される25℃、20rpmにおける粘度は、5〜25mPa・sである、[1]〜[5]のいずれかに記載の表示素子用封止剤。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の表示素子用封止剤からなり、有機EL素子を面状に封止する、有機EL素子用封止剤。
[8] [7]に記載の有機EL素子用封止剤の硬化物。
本発明によれば、インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面に凸凹やピンホールなどの欠陥を生じることなく、平坦性が高く、薄膜の封止層を形成できる表示素子用封止剤、有機EL素子用封止剤およびその硬化物を提供することができる。
インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面にピンホールなどの欠陥が少なく、平坦性が高く、薄い封止層を形成するためには、封止剤は、1)低粘度であること、2)被塗布物に対する接触角が低く、濡れ広がりやすいこと、3)被塗布物上で弾かれる前に速やかに硬化できること(高い硬化性を有すること)、が望まれる。
本発明者らは、これに基づいて鋭意検討した結果、(A)特定のオキセタン化合物、(B)特定のエポキシ化合物、(C)カチオン重合開始剤、(D)SiNに対する接触角が一定以下の有機溶剤、および(E)シリコーン系レベリング剤を含む封止剤は、インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面にピンホールなどの欠陥が少なく、平坦かつ薄い封止層を形成することができることを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。本発明の表示素子用封止剤は、特に(D)SiNに対する接触角が一定以下の有機溶剤と(E)シリコーン系レベリング剤とを含むことにより、封止剤の、ガラス基板や有機EL素子などの被塗布物に対する接触角を低くすることができるため、濡れ広がりやすく、平坦な塗膜を形成することができる(上記2)の要件)。また、本発明の表示素子用封止剤は、特に(A)特定のオキセタン化合物と(B)特定のエポキシ化合物とを含むことで、被塗布物に対する接触角を低く保ちつつ、低い粘度と、高い硬化性とを有しうる(上記1)〜3)の要件)。これらの作用により、本発明の表示素子用封止剤は、インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面にピンホールなどの欠陥が少なく、平坦性が高く、薄い封止層を形成することができると考えられる。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
1.表示素子用封止剤
本発明の表示素子用封止剤は、(A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと、(B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルと、(C)カチオン重合開始剤と、(D)SiNに対する接触角が1°以下である有機溶剤と、(E)シリコーン系レベリング剤とを含む。
<(A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン>
(A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンは、例えばSiNに対する接触角が4.3°と低いため、それを含む封止剤は、被塗布物(例えばガラス基板や表示素子など)上で濡れ広がりやすく、平坦な塗膜を形成することができる。また、上記オキセタンと(B)のグリシジルエーテルとを組み合わせることで、封止剤の硬化性を高めるとともに、粘度を低くしうる。上記オキセタンの市販品の例には、アロンオキセタンOXT−221(東亜合成社製)が含まれる。
上記オキセタンの含有量は、封止剤の全質量に対して30〜60質量%であることが好ましい。上記オキセタンの含有量が30質量%以上であると、封止剤の硬化性を十分に高めることができ、かつ低粘度化しやすく、60質量%以下であると、接着性が損なわれにくい。上記オキセタンの含有量は、上記観点から、35〜50質量%であることがより好ましい。
<(B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル>
(B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルは、例えばSiNに対する接触角が4.4°と低いため、それを含む封止剤は、被塗布物(例えばガラス基板や表示素子など)上で濡れ広がりやすく、平坦な塗膜を形成することができる。また、上記グリシジルエーテルと(A)のオキセタンとを組み合わせることで、封止剤の硬化性を高めるとともに、被塗布物との接着性を高めうる。上記グリシジルエーテルの市販品の例には、NPG−DEP(D)(四日市合成社製)が含まれる。
上記グリシジルエーテルの含有量は、封止剤の全質量に対して15〜55質量%であることが好ましい。上記グリシジルエーテルの含有量が15質量%以上であると、封止剤の被塗布物との接着性を十分に高めやすく、55質量%以下であると、硬化性が損なわれにくく、粘度も増大しにくい。上記グリシジルエーテルの含有量は、上記観点から、15〜50質量%であることがより好ましい。
(A)成分と(B)成分とを組み合わせることで、硬化性、低粘度および接着性を両立しうる。(A)成分と(B)成分の含有比率は、良好な硬化性、低粘度および接着性を両立できる範囲であればよく、特に制限されないが、例えば(A)/(B)=20/80〜80/20(質量比)であることが好ましく、50/50〜70/30(質量比)であることがより好ましい。(A)の含有比率が高いと、封止剤の硬化性を十分に高め、粘度を十分に低くしやすく、(B)の含有比率が高いと、接着性を十分に高めやすい。
<(C)カチオン重合開始剤>
(C)カチオン重合開始剤は、紫外線などの光照射によりカチオン重合を開始可能な酸を発生する光カチオン重合開始剤であってもよいし、加熱によって酸を発生する熱カチオン重合開始剤であってもよい。なかでも、加熱による表示素子へのダメージを低減する観点では封止剤を光硬化させることが好ましく、(C)カチオン重合開始剤は、光カチオン重合開始剤であることが好ましい。
光カチオン重合開始剤の例には、下記式(1)で表される構造を有するオニウム塩であることが好ましい。
Figure 2019203105
式(1)におけるカチオンは、オニウムイオンである。Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、またはN≡Nである。R12、R13、R14、およびR15は、互いに同一または異なる有機基である。a、b、cおよびdは、それぞれ0〜3の整数であり、(a+b+c+d)は、Wの価数に等しい。
式(1)におけるオニウムイオンの例には、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィド、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムなどが含まれる。
式(1)におけるMは、ハロゲン化錯体[MXn+m]の中心原子を構成する金属原子またはメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、MnまたはCoである。Xは、ハロゲン原子であり、例えばF、ClまたはBrである。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、Mの原子価である。
式(1)におけるアニオンの例には、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネートなどが含まれる。
光カチオン重合開始剤の市販品の例には、Irgacure250、Irgacure270、Irgacure290(BASF社製)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S、CPI−310B、CPI−400PG(サンアプロ社製)、SP−150、SP−170、SP−171、SP−056、SP−066、SP−130、SP−140、SP−601、SP−606、SP−701(ADEKA社製)が含まれる。中でも、Irgacure270、Irgacure290、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S、CPI−310B、CPI−400PG、SP−150、SP−170、SP−171、SP−056、SP−066、SP−601、SP−606、SP−701などのスルホニウム塩が好ましい。光カチオン重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)カチオン重合開始剤の含有量は、封止剤の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましい。(C)カチオン重合開始剤の含有量が1質量%以上であると、封止剤の硬化性を高めやすく、10質量%以下であると、封止層の着色を抑制しやすい。(C)カチオン重合開始剤の含有量は、上記観点から、封止剤の全質量に対して1〜5質量%であることがより好ましい。
<(D)有機溶剤>
(D)有機溶剤は、SiNに対する接触角が1°以下の有機溶剤である。そのような(D)有機溶剤を含む封止剤は、例えば表示デバイスにおける基板(例えばガラス基板)や表示素子(例えば有機EL素子)に対して濡れ広がりやすく、平坦な塗膜を形成することができる。それにより、表面にピンホールなどの欠陥のない封止層を形成することができる。
(D)有機溶剤のSiNに対する接触角は、有機溶剤を、SiN基板上に滴下したときの液滴の接触角を、FAMAS搭載接触角計(協和界面科学社製)を用いて測定して求めることができる。測定は、室温(25℃)、40%RHの環境下で行うことができる。
SiNに対する接触角が1°以下の有機溶剤は、極性溶媒であることが好ましい。そのような極性溶媒の例には、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれる。なかでも、封止剤の塗膜の平坦性を高めやすく、得られる封止層の表面にピンホールなどの欠陥をさらに生じにくい観点から、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましく、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)がより好ましい。
(D)有機溶剤の含有量は、封止剤の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましい。(D)有機溶剤の含有量が1質量%以上であると、封止剤の塗膜の平坦性を十分に高めやすく、10質量%以下であると、封止剤の硬化性(硬化速度)が損なわれにくいだけでなく、アウトガスを低減しやすく、表示素子へのダメージを少なくしうる。このように、本発明における(D)有機溶剤の含有量は、有機溶剤が溶媒として用いられる場合の含有量(通常、封止剤の全質量に対して約20質量%以上)よりも少ない。(D)有機溶剤の含有量は、上記観点から、封止剤の全質量に対して2〜10質量%であることがより好ましい。
(D)有機溶剤の含有量は、カチオン重合性化合物の合計質量((A)、(B)、後述の(F)および後述の(G)成分の合計量)に対して1〜15質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
<(E)シリコーン系レベリング剤>
(E)シリコーン系レベリング剤は、塗膜の表面張力を調整することで、被塗布物への封止剤の濡れ性を改善し、塗膜の流動性や消泡性を改善して表面を平滑にしうる。(B)シリコーン系レベリング剤は、フッ素系レベリング剤やアクリル系レベリング剤よりも表面張力を適度な範囲(例えば24〜28mN/m)に調整しやすいため、好ましい。
シリコーン系レベリング剤は、下記式(2)で表されるポリジメチルシロキサン由来の構造を有するポリマーであることが好ましい。下記式(2)におけるnは、2以上であることが好ましく、2〜140であることがより好ましい。
Figure 2019203105
そのようなポリマーの例には、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサンが含まれる。
(E)シリコーン系レベリング剤の含有量は、封止剤の全質量に対して0.05〜0.5質量%であることが好ましい。(E)シリコーン系レベリング剤の含有量が0.05質量%以上であると、塗膜の表面に十分な量のレベリング剤が配向しやすく、塗膜の表面を十分に平坦にしやすい。一方、(E)シリコーン系レベリング剤の含有量が0.5質量%以下であると、(E)シリコーン系レベリング剤と(A)成分または(B)成分との相溶性や硬化物の透明性が損なわれにくい。(E)シリコーン系レベリング剤の含有量は、上記観点から、封止剤の全質量に対して0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明の表示素子用封止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(E)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物や(G)単官能オキセタン化合物、増感剤、シランカップリング剤などが含まれる。
((F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物)
(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物は、シクロアルケンオキサイド構造を有する化合物である。このような(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物は、封止の硬化性をさらに高める機能を有しうる。
シクロアルケンオキサイド構造とは、脂肪族環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基である。シクロアルケンオキサイドは、シクロヘキセンオキサイドであることが好ましい。
(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の1分子中のシクロアルケンオキサイド構造の数は、1つ(単官能)であってもよいし、2つ以上(多官能)であってもよい。なかでも、硬化性が良好である点などから、(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の1分子中のシクロアルケンオキサイド構造の数は、2つ以上(多官能)であることが好ましい。
つまり、(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する化合物は、例えば下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019203105
式(3)のXは、単結合または連結基である。連結基は、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、またはこれらが複数連結した基でありうる。
2価の炭化水素基は、炭素原子数が1〜18のアルキレン基、または2価の脂環式炭化水素基でありうる。炭素原子数が1〜18のアルキレン基の例には、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基が含まれる。2価の脂環式炭化水素基の例には、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基などの2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が含まれる。
なかでも、Xは、単結合、または酸素原子を有する連結基であることが好ましい。酸素原子を有する連結基は、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数連結した基、またはこれらの基の1以上と2価の炭化水素基の1以上とが連結した基であることがより好ましい。
式(3)で表される化合物の例には、以下の化合物が含まれる。なお、下記式において、lは、1〜30の整数であり、Rは、炭素原子数1〜8のアルキレン基、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基などの炭素原子数1〜3のアルキレン基である。
Figure 2019203105
(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の市販品の例には、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド8000(ダイセル社製)などが含まれる。
封止剤が(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物を含む場合、(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の含有量は、封止剤の全質量に対して5〜20質量%であることが好ましい。(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の含有量が5質量%以上であると、硬化性を高めやすく、20質量%以下であると、高粘度化しにくく、低い粘度を維持しやすい。(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物の含有量は、上記観点から、封止剤の全質量に対して、10〜20質量%であることがより好ましい。
((G)単官能オキセタン化合物)
(G)単官能オキセタン化合物は、1分子中に1つのオキセタニル基を有する化合物である。(G)単官能オキセタン化合物は、低粘度かつSiNに対して低接触角(例えば5°以下)であることが好ましい。
(G)単官能オキセタン化合物は、下記式(4)で表される化合物でありうる。
Figure 2019203105
式(4)のZは、酸素原子または硫黄原子である。Rは、水素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基、炭素原子数6〜18のアリール基、フリル基またはチエニル基である。Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数7〜18のアラルキル基、炭素原子数2〜6のアルキルカルボニル基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜6のN−アルキルカルバモイル基または(メタ)アクリロイル基である。なかでも、SiNに対する接触角を低くする観点では、Rは、炭素原子数2〜6のアルキルカルボニル基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜6のN−アルキルカルバモイル基または(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
式(4)で表される化合物の例には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−メタクリロキシメチル−3−エチロキセタンなどが含まれる。
封止剤が(G)単官能オキセタン化合物を含む場合、(G)単官能オキセタン化合物の含有量は、封止剤の全質量に対して8〜25質量%であることが好ましい。(G)単官能オキセタン化合物の含有量が8質量%以上であると、封止剤を低粘度化しやすく、25質量%以下であると、ガラス転移温度が低下しにくい。単官能オキセタンの含有量は、上記観点から、封止剤の全質量に対して15〜25質量%であることがより好ましい。
封止剤におけるカチオン重合性成分((A)、(B)、(F)および(G)成分)の合計量は、封止剤の全質量に対して85〜98質量%であることが好ましく、90〜95質量%であることがより好ましい。
((H)シランカップリング剤)
(H)シランカップリング剤は、封止剤と基板等との接着性をさらに高める機能を有する。シランカップリング剤は、エポキシ基、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基などの反応性基を有するシラン化合物でありうる。そのようなシラン化合物の例には、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが含まれる。これらのシラン化合物は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
((I)増感剤)
(I)増感剤は、重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、封止剤の硬化反応をより促進させる機能を有しうる。(I)増感剤の例には、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物や、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドなどが含まれる。
<封止剤の物性>
(粘度)
表示素子用封止剤の、E型粘度計により25℃、20rpmで測定される粘度は、5〜25mPa・sであることが好ましく、8〜20mPa・sであることがより好ましい。封止剤の粘度が上記範囲であると、封止剤をインクジェット法により塗布する際の、吐出性が良好となりやすい。
(平均光線透過率)
表示素子用封止剤の硬化物の、厚みが10μmであるときの、波長380〜800nmにおける平均光線透過率は、85%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。表示素子用封止剤の硬化物の平均光線透過率が上記範囲であると、良好な光透過性を有するため、例えば有機EL素子の面封止剤として好適である。平均光線透過率は、例えば紫外可視分光光度計(SHIMADZU社製)を用いて、波長380〜800nmにおいて波長1nm毎に測定した光線透過率の平均値として測定することができる。
<封止剤の調製方法>
表示素子用封止剤は、少なくとも(A)〜(E)成分を、例えばホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロールなどの混合機を用いて混合して得ることができる。
本発明の表示素子用封止剤は、表示素子を面状に封止する面封止剤、好ましくは有機EL素子用の面封止剤として用いられうる。
2.表示デバイス
本発明の表示デバイスは、基板上に配置された表示素子と、それを面状に封止する本発明の表示素子用封止剤の硬化物層(封止層)と、当該硬化物層を介して基板と対向するように配置された封止基板とを含む。
基板および封止基板は、ガラス基板であってもよいし、樹脂フィルムであってもよい。フレキシブルな表示デバイスを得る観点では、樹脂フィルムであることが好ましい。基板および封止基板の少なくとも一方は、透明なガラス基板または透明な樹脂フィルムである。
表示素子は、電気を光に変換するか、または光を電気に変換する素子である。表示素子は、有機EL素子であることが好ましい。
表示素子用封止剤の硬化物層は、表示素子と接触し、かつそれを覆うように配置されている。表示素子用封止剤の硬化物層の厚みは、表示素子を十分に封止でき、かつ平坦性や薄膜性を実現しうる程度であればよく、特に制限されないが、例えば5〜10μmであることが好ましい。
表示デバイスは、バリア性をさらに高める観点などから、必要に応じて表示素子用封止剤の硬化物層上に配置されたパッシベーション層(透明無機薄膜層)をさらに有してもよい。パッシベーション層は、例えば酸化ケイ素(SiOx)や窒化ケイ素(SiNx)で構成されうる。
そのような表示デバイスは、任意の方法で製造することができる。例えば、表示デバイスは、1)基板上に配置された表示素子を得る工程、2)表示素子を覆うように、本発明の表示素子用封止剤を面状に塗布する工程、3)塗布した表示素子用封止剤を硬化させる工程、および4)封止基板で封止する工程を経て製造することができる。
1)の工程では、表示素子が配置された基板を準備する。例えば表示素子が有機EL素子である場合、通常、基板上に、反射画素電極層、有機EL層、および透明対向電極をこの順に形成して、有機EL素子が配置された基板を準備することができる。これらの層は、例えば真空蒸着法やスパッタ法などで形成することができる。
2)の工程では、基板に配置された表示素子を覆うように、本発明の表示素子用封止剤を塗布する。表示素子用封止剤の塗布は、任意の方法、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法などで行うことができる。なかでも、平坦性が高く、薄膜で均一な塗布層を高速で形成しうる観点では、インクジェット法が好ましい。すなわち、表示素子上に、本発明の表示素子用封止剤をインクジェット法により付与して、面状に塗布することが好ましい。
3)の工程では、表示素子上に塗布した封止剤を硬化させて、硬化物層(封止層)を得る。封止剤の硬化は、光硬化であってもよいし、熱硬化であってもよい。
光硬化の場合、光照射に用いる光源としては、例えばキセノンランプ、カーボンアークランプなどの公知の光源を用いることができる。光照射は、封止剤を十分に硬化させうる程度に行えばよく、特に制限されないが、例えば300〜400nmの波長の光を、300〜3000mJ/cmの積算光量の光を照射することによって好適に硬化させることができる。
加熱硬化の場合、表示素子へのダメージを低減させつつ十分に硬化させる観点から、加熱温度は、例えば50〜120℃であることが好ましい。
封止剤の硬化は、表示素子が配置された基板と封止基板とを(表示素子を介して)貼り合わせる前に行ってもよいし、貼り合わせた後に行ってもよい。
また、1)の工程と2)の工程の間、および3)の工程と4)の工程の間に、5)パッシベーション層を形成する工程をさらに行ってもよい。パッシベーション層(透明無機薄膜層)は、任意の方法、例えばプラズマCVD法、スパッタ法、蒸着法などで形成することができる。
前述の通り、本発明の表示素子用封止剤は、低粘度であり、かつ被塗布物に対する接触角が低いため、濡れ広がりやすい。それにより、表面にピンホールなどの欠陥がなく、平坦性が高く、かつ薄膜の硬化物層(封止層)を形成することができる。それにより、当該硬化物層上にパッシベーション層をさらに形成する場合でも、形成されるパッシベーション層にピンホールなどの欠陥を生じにくくすることができる。
得られる表示デバイスは、例えば有機ELデバイスなどであり、各種表示装置や照明装置として好ましく用いることができる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.封止剤の材料
<(A)特定のオキセタン化合物>
・アロンオキセタン OXT−221(東亜合成社製、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、SiNに対する接触角4.3°)
Figure 2019203105
<他のオキセタン化合物>
・ETERNACOLL(登録商標) OXBP(宇部興産社製、下記式で表される化合物、SiNに対する接触角24°)
Figure 2019203105
<(B)特定のエポキシ化合物>
・NPG−DEP(D)(四日市合成社製、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、SiNに対する接触角4.4°)
Figure 2019203105
<他のエポキシ化合物>
・SR−14BJ(阪本薬品工業社製、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、SiNに対する接触角4.4°)
Figure 2019203105
・EXA−830CRP(DIC社製、EPICLONビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量155〜163g/eq、SiNに対する接触角3.6°)
<(C)カチオン重合開始剤>
・CPI−210S(サンアプロ社製、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、下記式参照)
Figure 2019203105
<(D)有機溶剤>
・THFA(テトラヒドロフルフリルアルコール、SiNに対する接触角0°)
・THF(テトラヒドロフラン、SiNに対する接触角0°)
・NMP(N−メチル−2−ピロリドン、SiNに対する接触角0°)
・DMSO(ジメチルスルホキシド、SiNに対する接触角0°)
<他の有機溶剤>
・トルエン(SiNに対する接触角10°)
なお、化合物のSiNに対する接触角は、以下の方法で測定した。
(SiNに対する接触角)
各化合物のSiN基板に対する接触角の測定は、室温(25℃)、40%RHの環境下で、FAMAS搭載接触角計(協和界面科学社製)を用いて行った。
<(E)シリコーン系レベリング剤>
BYK−302(ビックケミー社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
<他のレベリング剤>
・S−243(AGCセイミケミカル社製、フッ素系レベリング剤)
・BYK−361N(BYK社製、アクリル系レベリング剤)
<(F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物>
・セロキサイド8000(CEL8000)(ダイセル社製、下記式で表される化合物、SiNに対する接触角6.5°)
Figure 2019203105
・セロキサイド2021P(CEL2021P)(ダイセル社製、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、SiNに対する接触角12°)
Figure 2019203105
・LDO(Symrise社製、リモネンジオキサイド、下記式で表される化合物、SiNに対する接触角3.3°)
Figure 2019203105
・Z−6043(東京化成工業社製、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
Figure 2019203105
<(G)単官能オキセタン化合物>
・ETERNACOLL(登録商標) OXMA(宇部興産社製、下記式で表される化合物、SiNに対する接触角3.2°)
Figure 2019203105
<(H)シランカップリング剤>
KBM−403(信越シリコーン社製)
<(I)増感剤>
UVS−1331(川崎化成工業社製)
2.封止剤の調製と評価
(実施例1)
(A)のオキセタン化合物として3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成社製、アロンオキセタンOXT−221)50質量部、(B)のエポキシ化合物としてネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(四日市合成社製、NPG−DEP(D))50質量部、(C)カチオン重合開始剤としてCPI−210S(サンアプロ社製、光カチオン重合開始剤)2質量部、(D)有機溶剤としてテトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)3質量部、(E)シリコーン系レベリング剤としてBYK−302(ビックケミー社製)0.3質量部、(H)シランカップリング剤としてKBM−403(信越シリコーン社製)2質量部、および(I)増感剤としてUVS−1331(川崎化成工業社製)1質量部を、マグネチックスターラーで混合し、全固体成分が溶解した。このようにして、封止剤を得た。
(実施例2〜11および比較例1〜8)
表1または2に示される組成に変更した以外は実施例1と同様にして封止剤を得た。
得られた封止剤の薄膜印刷性、粘度および硬化物の平均光線透過率を、以下の方法で評価した。
(薄膜印刷性)
得られた封止剤を、インクジェットカートリッジDMC−11610(富士フイルムDimatix社製)に導入した。そのインクジェットカートリッジをインクジェット装置DMP−2831(富士フイルムDimatix社製)にセットし、吐出状態の調整を行った後、SiN基板上に、塗布厚み5μmまたは10μmで、8mm×22mmのサイズで塗布した。得られた塗膜を1分間、室温(25℃)で放置した後、UV光を照射し(照射強度1000mJ/cm)、硬化させた。硬化後の塗膜を顕微鏡観察で観察し、ピンホールの発生状況を確認した。
〇:8mm×22mm中に、ピンホールが0個
×:8mm×22mm中に、ピンホールが1個以上
(粘度測定)
得られた封止剤の粘度を、E型粘度計(Brookfield社製 LV−DV−II+)にて25℃、20rpmで測定した。
(硬化物の平均光線透過率)
得られた封止剤を、インクジェットカートリッジDMC−11610(富士フイルムDimatix社製)に導入した。そのインクジェットカートリッジをインクジェット装置DMP−2831(富士フイルムDimatix社製)にセットし、吐出状態の調整を行った後、SiN基板上に、硬化後の厚みが10μmとなるように、5cm×5cmのサイズで塗布した。得られた塗膜を1分間、室温(25℃)で放置した後、UV光を照射し(照射強度1000mJ/cm)、硬化させた。
得られた封止剤の硬化物の、波長380〜800nmにおける光線透過率を、波長1nm毎に紫外可視分光光度計(SHIMADZU社製)を用いて測定し、それらの平均値を「平均光線透過率」とした。
実施例1〜11の組成および評価結果を表1に示し、比較例1〜8の封止剤の組成および評価結果を表2に示す。なお、実施例および比較例の数値の単位は、質量部である。
Figure 2019203105
Figure 2019203105
表1に示されるように、(A)特定のオキセタン化合物、(B)特定のエポキシ化合物、(D)特定の有機溶剤、および(E)シリコーン系レベリング剤を含む実施例1〜11の封止剤は、いずれも薄い厚みの封止層を形成しても、ピンホールなどの欠陥が少なく、薄膜印刷性に優れることがわかる。また、実施例1〜11の封止剤は、いずれも低粘度であり、かつ面封止に適した高い平均光線透過率を有することもわかる。
これに対して、(D)以外の他の有機溶剤を含む比較例1および2、ならびに有機溶剤を含まない比較例3の封止剤は、いずれも封止層の表面にピンホールなどの欠陥が多く生じ、薄膜印刷性が劣ることがわかる。また、(A)以外の他のオキセタン化合物を含む比較例4や、(B)以外の他のエポキシ化合物を含む比較例5および8の封止剤も、封止層の表面にピンホールなどの欠陥が多く生じ、薄膜印刷性が劣ることがわかる。さらに、(E)以外の他のレベリング剤を含む比較例6および7の封止剤も、封止層の表面にピンホールなどの欠陥が多く生じ、薄膜印刷性が劣ることがわかる。
本発明によれば、インクジェット法により塗布可能であり、かつ表面に凸凹やピンホールなどの欠陥を生じることなく、平坦性が高く、薄膜の封止層を形成できる表示素子用封止剤、有機EL素子用封止剤およびその硬化物を提供することができる。

Claims (8)

  1. (A)3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと、
    (B)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルと、
    (C)カチオン重合開始剤と、
    (D)SiNに対する接触角が1°以下である有機溶剤と、
    (E)シリコーン系レベリング剤と
    を含む、
    表示素子用封止剤。
  2. 前記(D)有機溶剤は、極性溶媒である、
    請求項1に記載の表示素子用封止剤。
  3. 前記(D)有機溶剤は、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選ばれる一以上である、
    請求項2に記載の表示素子用封止剤。
  4. 前記(D)有機溶剤の含有量は、前記表示素子用封止剤の全質量に対して1〜10質量%である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示素子用封止剤。
  5. (F)シクロアルケンオキサイド構造を有する脂環式エポキシ化合物をさらに含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示素子用封止剤。
  6. E型粘度計で測定される25℃、20rpmにおける粘度は、5〜25mPa・sである、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示素子用封止剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示素子用封止剤からなり、かつ有機EL素子を面状に封止する、
    有機EL素子用封止剤。
  8. 請求項7に記載の有機EL素子用封止剤の硬化物。
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