以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。本実施形態では、車両に搭載されるシート空調装置に対して、本開示の蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置1を適用した例について説明する。シート空調装置は、シートの内側に配置されてシート付近を空調する空調機器である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、放熱器3と、減圧機器4と、蒸発器5と、送風機6と、を備える。冷凍サイクル装置1は、圧縮機2、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5の順序で冷媒が流れるように構成されている。冷凍サイクル装置1に用いられる冷媒には、圧縮機2内部の摺動部位等を保護するための冷凍機油が含まれている。
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機2、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、および送風機6がz方向に直交する水平方向に並んで配置される横置型の構造になっている。なお、図中に示すx、y、zは、互いに直交する3つの方向を示すものである。本実施形態では、x方向が車載時における水平方向に平行な一方向、y方向が水平方向に平行であってx方向に直交する方向、z方向が水平方向に直交する垂直方向(すなわち、鉛直方向)を示している。
圧縮機2は、冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して吐出する流体ポンプで構成されている。圧縮機2は、後述する圧縮機構24および電動機25を収容する圧縮機ハウジング20を有している。
圧縮機ハウジング20は、x方向における略中央部分がy方向に突き出る凸状の立体形状を有している。圧縮機ハウジング20の内部には、x方向における略中央部分に後述する圧縮機構24および電動機25を収容する収容空間200が形成されている。
また、圧縮機ハウジング20には、収容空間200に対して冷媒を導入するための吸入流路202、収容空間200から冷媒を導出するための吐出流路204が形成されている。吸入流路202および吐出流路204は、圧縮機ハウジング20における収容空間200を挟んで互いに対向する部位に形成されている。
吸入流路202は、圧縮機ハウジング20の内部において収容空間200に連通する流路である。具体的には、吸入流路202は、x方向に延びる貫通穴202aとy方向に延びる有底穴202bとで形成されるL字状に曲がった流路で構成されている。吸入流路202を形成するx方向に延びる貫通穴202aは、外部に開口する開口部202cが柱状の閉塞部材202dによって閉塞されている。
また、吸入流路202の冷媒流れ上流側の端部には、後述する蒸発器5の低圧導出部52が外部に露出しないように直結される冷媒吸入部203が設けられている。冷媒吸入部203は、吸入流路202に冷媒を導入するために設けられている。冷媒吸入部203は、吸入流路202を形成する有底穴202bの端部に開口する開口部であり、後述する蒸発器5の低圧導出部52を嵌め込むことが可能な大きさを有している。なお、「直結」とは、あいだを隔てないで直接に結びついた状態を意味するものであり、冷媒配管を介することなく部材同士が連結された状態と解することができる。
吐出流路204は、圧縮機ハウジング20の内部において収容空間200に連通する流路である。具体的には、吐出流路204は、x方向に延びる貫通穴204aとy方向に延びる有底穴204bとで形成されるL字状に曲がった流路である。吐出流路204を形成するx方向に延びる貫通穴204aは、外部に開口する開口部204cが柱状の閉塞部材204dによって閉塞されている。
また、吐出流路204の冷媒流れ下流側の端部には、後述する放熱器3の高圧導入部31が外部に露出しないように直結される冷媒吐出部205が設けられている。冷媒吐出部205は、吐出流路204を流れる冷媒を圧縮機ハウジング20の外部に導出するために設けられている。冷媒吐出部205は、吐出流路204を形成する有底穴204bの端部に開口する開口部であり、後述する放熱器3の高圧導入部31を嵌め込むことが可能な大きさを有している。
以下、本実施形態の圧縮機2の詳細について図2を参照して説明する。図2に示すように、圧縮機ハウジング20は、複数の金属製の部材が気密に組み合わされることによって構成される密閉容器である。具体的には、圧縮機ハウジング20は、吸入流路202および吐出流路204が形成されたメインハウジング部21、メインハウジング部21に形成された開口を閉塞する板状のサブハウジング部22、および内部ハウジング部23を含んで構成されている。
メインハウジング部21は、x方向における略中央部分に前述の収容空間200を形成するための有底円柱状の穴が形成されている。メインハウジング部21は、収容空間200の底面を形成する底壁部211、収容空間200の側面を形成する側壁部212、側壁部212においてy方向に突き出る膨出部213を含んで構成されている。底壁部211、側壁部212、および膨出部213は、一体の構造物として構成されている。
側壁部212には、吸入流路202および吐出流路204が形成されている。側壁部212の内側には、底壁部211から開口側に向かって段階的に断面積が大きくなるよう段部212aが形成されている。この段部212aは、側壁部212の内側の全周にわたって形成されている。
膨出部213は、図1に示すように、側壁部212における収容空間200を形成する部位からy方向に突き出ている。膨出部213は、圧縮機ハウジング20のうちx方向において放熱器3の一部および蒸発器5の一部に重なり合う部位である。
膨出部213には、x方向に沿って貫通する貫通穴213aが形成されている。この貫通穴213aには、冷媒の減圧作用が発揮されるようにx方向における略中央部位に断面積が小さくなっている。本実施形態では、膨出部213に設けられた貫通穴213aの一部で減圧機器4が構成されている。なお、減圧機器4の詳細については後述する。
膨出部213には、放熱器3に対向する部位に後述する放熱器3の高圧導出部32が外部に露出しないように直結される中間導入部206が形成されている。中間導入部206は、放熱器3を通過した冷媒を減圧機器4に導くために設けられている。中間導入部206は、貫通穴213aの一端側に開口する開口部であり、後述する放熱器3の高圧導出部32を嵌め込むことが可能な大きさを有している。
また、膨出部213には、蒸発器5に対向する部位に後述する蒸発器5の低圧導入部51が外部に露出しないように直結される中間導出部207が形成されている。中間導出部207は、減圧機器4を通過した冷媒を蒸発器5に導くために設けられている。中間導出部207は、貫通穴213aの他端側に開口する開口部であり、後述する蒸発器5の低圧導入部51を嵌め込むことが可能な大きさを有している。
ここで、本実施形態では、収容空間200、吸入流路202、および吐出流路204が、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路を構成する。また、本実施形態では、貫通穴213aが、減圧機器4を介して中間導入部206から中間導出部207に至る冷媒流路を構成する。
サブハウジング部22は、図2に示すように、メインハウジング部21の開口を気密に閉塞可能な大きさを有する板状の部材で構成されている。圧縮機ハウジング20には、メインハウジング部21およびサブハウジング部22が気密に組み合わされることによって圧縮機構24および電動機25を収容する収容空間200が形成される。図示しないが、メインハウジング部21とサブハウジング部22との間には、ガスケットやOリング等からなるシール部材が配設されている。本実施形態では、メインハウジング部21およびサブハウジング部22が外殻形成部を構成している。
内部ハウジング部23は、メインハウジング部21およびサブハウジング部22によって形成される収容空間200に収容されている。収容空間200は、内部ハウジング部23によって吸入空間200Aと吐出空間200Bとに分割されている。すなわち、内部ハウジング部23は、収容空間200を吸入空間200Aおよび吐出空間200Bに仕切る仕切部として機能する。
また、内部ハウジング部23は、圧縮機ハウジング20において圧縮機構24および電動機25を支持する支持部材として機能する。具体的には、内部ハウジング部23は、主軸26が挿通される円筒状の筒状部231、筒状部231に連なるとともに主軸26の径方向外側に延びる円環状のフランジ部232を備えている。筒状部231およびフランジ部232は、一体の構造物として構成されている。なお、本実施形態では、主軸26の軸心CLmに沿って延びる方向を軸方向DRaとし、当該軸方向DRaに直交する方向を径方向DRrとしている。
筒状部231は、主軸26が挿通される挿通穴231aが形成されている。この挿通穴231aは、軸方向DRaに貫通する貫通穴で構成されている。この挿通穴231aには、主軸26を支持する第1軸受部263および第2軸受部264の軸方向DRaの位置を規制するための内側突起部231bが設けられている。
具体的には、筒状部231は、圧縮機構24側からメインハウジング部21の底壁部211に向かって突き出る第1筒部233、電動機25側からサブハウジング部22に向かって突き出る第2筒部234を含んでいる。第1筒部233は、電動機25を支持する支持部である。また、第2筒部234は、圧縮機構24を支持する支持部である。
フランジ部232は、メインハウジング部21の段部212aの端面に対向するように、筒状部231から径方向DRrの外側に突き出ている。フランジ部232には、その外側部位に対して締結ボルト27が挿通される貫通穴232aが複数形成されている。また、フランジ部232には、旋回スクロール242に対向する部位に自転防止ピンPが嵌め込まれる溝232bが形成されている。
このように構成される内部ハウジング部23は、緩衝部材28を介してメインハウジング部21に連結されている。具体的には、内部ハウジング部23は、フランジ部232とメインハウジング部21の段部212aの端面との間に緩衝部材28が介在された状態で、締結ボルト27によってメインハウジング部21に連結されている。
ここで、緩衝部材28は、吸入空間200Aと吐出空間200Bとの連通を遮断し、且つ、圧縮機構24および電動機25の振動を減衰させることが可能な弾性体で構成されている。弾性体は、段部212aの端面を覆うことが可能な大きさを有する円環状の形状を有している。弾性体は、例えば、ガスバリア性および耐熱性に優れるゴム材料で構成されている。
電動機25は、いわゆるアウタロータモータで構成されている。すなわち、電動機25は、回転磁界を生成するステータ251、ステータ251で生成された回転磁界によってステータ251の外側で回転するロータ252を含んで構成されている。
ステータ251は、金属製の磁性材料で形成された円筒状のステータコア251a、およびステータコア251aに巻き付けられたステータコイル251bで構成されている。ステータ251は、圧入等の固定手法によって内部ハウジング部23の第1筒部233の外側に固定されている。
ロータ252は、円筒状のロータ本体部252a、ロータ本体部252aの一方の開口を閉塞する端板部252b、ロータ本体部252aの内側に埋設された複数の磁石252cを含んで構成されている。
ロータ本体部252aには、複数の磁石252cがその周方向に所定の間隔をあけて埋設されている。端板部252bには、略中央部分に主軸26の電動機側端部261を受け入れるための貫通穴が形成されている。なお、電動機側端部261は、主軸26における圧縮機構24よりも電動機25側に近い端部である。
ロータ252は、磁石252cとステータコア251aとの間に微小な隙間が形成された状態で、連結機構29によって主軸26に連結されている。ロータ252と主軸26との連結機構29は、電動機側端部261に形成されたネジ溝291、ネジ溝291に螺合する連結ボルト292等で構成されている。
主軸26は、電動機25の回転動力を圧縮機構24に伝達する伝達部材である。主軸26は、上述の連結機構29が設けられた電動機側端部261、軸方向DRaにおける電動機側端部261の反対側の端部である圧縮側端部262を有している。
主軸26の電動機側端部261は、主軸26を筒状部231の挿通穴231aに挿通させた際に挿通穴231aから外部に露出するように構成されている。すなわち、主軸26は、筒状部231の挿通穴231aに挿通させた際に電動機側端部261が挿通穴231aの外部に露出するように軸方向DRaの寸法が設定されている。
主軸26は、第1軸受部263および第2軸受部264によって回転自在に支持されている。第1軸受部263は、主軸26のうち軸方向DRaにおいて電動機25側に近い部位を回転可能に支持するものである。第2軸受部264は、主軸26のうち軸方向DRaにおいて電動機25よりも圧縮機構24に近い部位を回転可能に支持するものである。
第1軸受部263および第2軸受部264それぞれは、内部ハウジング部23の筒状部231の内側に設置されている。第1軸受部263および第2軸受部264のうち、第1軸受部263は、径方向DRrにおいて、ステータ251と重なり合うように配置されている。すなわち、第1軸受部263は、筒状部231のうち、ステータ251が固定された部位の内側に設置されている。これにより、圧縮機2は、その軸方向DRaにおける体格が小さくなっている。
主軸26の圧縮側端部262には、主軸26の軸心CLmに対して偏心する偏心軸部265が接続されている。この偏心軸部265は、その軸心CLsが主軸26の軸心CLmに対して主軸26の径方向DRrにずれている。偏心軸部265は、第3軸受部266を介して圧縮機構24に連結されている。具体的には、偏心軸部265の外周側は、第3軸受部266を介して圧縮機構24の旋回スクロール242が連結されている。第3軸受部266は、後述する旋回スクロール242のボス部242cの内側に圧入等の手段で固定されている。
ここで、主軸26に対して偏心軸部265が接続されていると、主軸26に対して偏心軸部265、第3軸受部266、旋回スクロール242の遠心力が作用する。このため、偏心軸部265には、主軸26に作用する遠心力を抑制するためのウェイトバランス267が設けられている。
圧縮機構24は、固定歯部241bと旋回歯部242bとを噛み合わせた状態で、旋回スクロール242を固定スクロール241に対して旋回させることで旋回スクロール242の外側から吸い込んだ冷媒を圧縮するスクロール型の圧縮機構で構成されている。
固定スクロール241は、内部ハウジング部23の第2筒部234の内側に固定された固定基板部241a、および固定基板部241aから突き出る渦巻き状の固定歯部241bを有する。固定基板部241aの略中央部分には、圧縮機構24で圧縮された冷媒を吐出する冷媒吐出口241cが形成されている。また、固定基板部241aには、冷媒吐出口241cから圧縮機構24への冷媒の逆流を防止するためのリード弁241dが設けられている。
旋回スクロール242は、固定基板部241aのうち固定歯部241bが形成される面に対向して配置される旋回基板部242a、および旋回基板部242aから固定基板部241a側に向かって突き出る渦巻き状の旋回歯部242bを有する。
旋回基板部242aには、その略中央部分に偏心軸部265および第3軸受部266を受け入れるボス部242cが形成されている。また、旋回基板部242aには、自転防止ピンPと共に、旋回スクロール242の自転防止機構を構成する円形状のピン受入穴Hが形成されている。
固定スクロール241および旋回スクロール242は、固定歯部241bと旋回歯部242bとを噛み合わせることで、固定歯部241bと旋回歯部242bとの間に冷媒を圧縮する圧縮室が形成される。また、旋回スクロール242の外側には、圧縮室に冷媒を導入するための冷媒導入空間が形成される。
このように構成される圧縮機2は、例えば、内部ハウジング部23に対して圧縮機構24および電動機25を組み付けた組付体をメインハウジング部21に連結した後、メインハウジング部21の開口をサブハウジング部22で閉塞することによって得られる。
続いて、冷凍サイクル装置1における圧縮機2以外の構成要素である放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、送風機6について図1、図3〜図6を参照して説明する。
放熱器3は、圧縮機2から吐出された高圧冷媒を後述する送風機6の第1送風部6Aによって供給される空気との熱交換によって放熱させる熱交換器である。放熱器3は、圧縮機ハウジング20に対して直に設置されている。
図1および図3に示すように、放熱器3は、圧縮機2から吐出された冷媒を内部に導入するための高圧導入部31が設けられている。この高圧導入部31は、y方向に沿って圧縮機ハウジング20側に突き出る筒形状の筒状部材で構成されている。また、放熱器3は、その内部を通過した冷媒を減圧機器4側に導出するための高圧導出部32が設けられている。この高圧導出部32は、x方向に沿って圧縮機ハウジング20側に突き出る筒形状の筒状部材で構成されている。
具体的には、放熱器3は、図3に示すように、複数のチューブ34とフィン35とで構成される熱交換コア部33、複数のチューブ34の長手方向の端部に接続される第1高圧タンク36と第2高圧タンク37を備える熱交換器で構成されている。
放熱器3は、第1高圧タンク36から熱交換コア部33の一部に流入した冷媒が第2高圧タンク37および熱交換コア部33の残部を介して第1高圧タンク36に流れるように構成されている。
このように構成される放熱器3は、第1高圧タンク36が、メインハウジング部21の側壁部212および膨出部213の双方に接するようにメインハウジング部21に対して設置されている。そして、第1高圧タンク36における圧縮機ハウジング20の冷媒吐出部205に対向する部位に高圧導入部31が設けられている。また、第1高圧タンク36における圧縮機ハウジング20の中間導入部206に対向する部位に高圧導出部32が設けられている。
ここで、放熱器3と圧縮機ハウジング20との連結手法の一例について図4を参照して説明する。図4に示すように、放熱器3は、中間導入部206に高圧導出部32を嵌め合わせた状態で、高圧導出部32を中心に回転させて冷媒吐出部205に高圧導入部31を嵌め合わせることで、圧縮機ハウジング20に対して連結することができる。
減圧機器4は、放熱器3を通過した冷媒を減圧するものである。前述したように本実施形態の減圧機器4は、圧縮機ハウジング20の内部に形成されている。本実施形態の減圧機器4は、圧縮機ハウジング20の膨出部213に設けられた貫通穴213aに形成された固定絞りで構成されている。
具体的には、図5に示すように、貫通穴213aにおける中間導入部206と中間導出部207との間には、中間導入部206および中間導出部207よりも断面積が小さい縮小部213bが形成されている。減圧機器4を構成する固定絞りは、貫通穴213aの縮小部213bによって構成されている。
蒸発器5は、減圧機器4で減圧された低圧冷媒を後述する送風機6の第2送風部6Bによって供給される空気との熱交換によって蒸発させる熱交換器である。蒸発器5は、放熱器3と同様に、圧縮機ハウジング20に対して直に設置されている。本実施形態の放熱器3および蒸発器5は、圧縮機ハウジング20の膨出部213を介して互いに対向するように、圧縮機ハウジング20に対して設置されている。
図1および図6に示すように、蒸発器5は、減圧機器4で減圧された冷媒を内部に導入するための低圧導入部51が設けられている。この低圧導入部51は、y方向に沿って圧縮機ハウジング20側に突き出る筒形状の筒状部材で構成されている。また、蒸発器5は、その内部を通過した冷媒を圧縮機2側に導出するための低圧導出部52が設けられている。この低圧導出部52は、x方向に沿って圧縮機ハウジング20側に突き出る筒形状の筒状部材で構成されている。
具体的には、蒸発器5は、図6に示すように、複数のチューブ54とフィン55とで構成される熱交換コア部53、複数のチューブ54の長手方向の端部に接続される第1低圧タンク56と第2低圧タンク57を備える熱交換器で構成されている。
蒸発器5は、第1低圧タンク56から熱交換コア部53の一部に流入した冷媒が第2低圧タンク57および熱交換コア部53の残部を介して第1低圧タンク56に流れるように構成されている。
このように構成される蒸発器5は、第1低圧タンク56が、メインハウジング部21の側壁部212および膨出部213の双方に接するようにメインハウジング部21に対して設置されている。そして、第1低圧タンク56における圧縮機ハウジング20の中間導出部207に対向する部位に低圧導入部51が設けられている。また、第1低圧タンク56における圧縮機ハウジング20の冷媒吸入部203に対向する部位に低圧導出部52が設けられている。
ここで、蒸発器5と圧縮機ハウジング20とは、放熱器3と圧縮機ハウジング20との連結手法と同様の手法によって連結することができる。すなわち、蒸発器5は、中間導出部207に低圧導入部51を嵌め合わせた状態で、低圧導入部51を中心に回転させて冷媒吸入部203に低圧導出部52を嵌め合わせることで、圧縮機ハウジング20に対して連結することができる。
送風機6は、放熱器3および蒸発器5に対して空気を供給するものである。図1に示すように、送風機6は、放熱器3および蒸発器5との間に配置されている。送風機6は、放熱器3に対して空気を供給する第1送風部6Aおよび蒸発器5に対して空気を供給する第2送風部6Bを備えている。
第1送風部6Aは、放熱器3にて加熱された温風が流通する温風ケース61A、温風ケース61Aに収容される温風ファン62A、および温風ファン62Aを駆動するファンモータ63Aを備えている。図示しないが、温風ケース61Aは、シート付近に温風を吹き出す温風吹出ダクト、または、温風をシート付近以外の空間に排気する温風排気ダクトに接続されている。
また、第2送風部6Bは、蒸発器5にて冷却された冷風が流通する冷風ケース61B、冷風ケース61Bに収容される冷風ファン62B、および冷風ファン62Bを駆動するファンモータ63Bを備えている。図示しないが、冷風ケース61Bは、シート付近に冷風を吹き出す冷風吹出ダクト、または、冷風をシート付近以外の空間に排気する冷風排気ダクトに接続されている。
次に、本実施形態の冷凍サイクル装置1の作動について図7を参照して説明する。シート付近の空調が開始される場合、車両に搭載されたバッテリから電動機25のステータ251、送風機6の各ファンモータ63A、63Bに対して給電される。これにより、電動機25によって圧縮機構24が駆動されることで冷凍サイクル装置1のサイクル内を冷媒が循環する。また、各ファンモータ63A、63Bによって温風ファン62Aおよび冷風ファン62Bが駆動されることで、放熱器3を通過する気流および蒸発器5を通過する気流が発生する。
具体的には、圧縮機構24から吐出空間200Bに吐出された冷媒は、図7の矢印Fc1に示すように、吐出流路204および冷媒吐出部205を介して放熱器3に流入する。放熱器3に流入した冷媒は、図7の矢印Fc2に示すように、第1高圧タンク36→熱交換コア部33→第2高圧タンク37→熱交換コア部33→第1高圧タンク36の順に流れた後、中間導入部206を介して減圧機器4側に流入する。放熱器3に流入した冷媒は、熱交換コア部33を通過する際に、第1送風部6Aによって供給される空気と熱交換して放熱する。第1送風部6Aによって供給される空気は、図7の矢印Fa1に示すように、放熱器3を流れる冷媒によって加熱された後、所望の空間に吹き出される。
減圧機器4に流入した冷媒は、固定絞りを構成する貫通穴213aの縮小部213bを通過する際に減圧される。減圧機器4にて減圧された冷媒は、中間導出部207を介して蒸発器5に流入する。
蒸発器5に流入した冷媒は、図7の矢印Fc3に示すように、第1低圧タンク56→熱交換コア部53→第2低圧タンク57→熱交換コア部53→第1低圧タンク56の順に流れた後、冷媒吸入部203を介して圧縮機2に流入する。蒸発器5に流入した冷媒は、熱交換コア部53を通過する際に、第2送風部6Bによって供給される空気と熱交換して蒸発する。第2送風部6Bによって供給される空気は、図7の矢印Fa2に示すように、蒸発器5を流れる冷媒の蒸発時の吸熱作用によって冷却された後、所望の空間に吹き出される。
圧縮機2に吸入された冷媒は、図7の矢印Fc4に示すように、吸入流路202を介して収容空間200(具体的には、吸入空間200A)に流れる。その後、吸入空間200Aの冷媒が圧縮機構24に吸入され、吸入された冷媒が圧縮機構24で圧縮される。
以上説明した冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20に対して、放熱器3の高圧導入部31が外部に露出しないように直結される冷媒吐出部205、および蒸発器5の低圧導出部52が外部に露出しないように直結される冷媒吸入部203が設けられている。
このように、放熱器3および蒸発器5が圧縮機ハウジング20に直結される構造とすれば、圧縮機2の圧力脈動や機械振動による応力が、サイクル構成機器のうち放熱器3および蒸発器5といった大型で耐久性を有する機器に対して直接的に作用する。このため、冷媒配管を介して圧縮機2、放熱器3、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて冷凍サイクル装置1の耐久性を確保することができる。
また、放熱器3および蒸発器5が圧縮機ハウジング20に直結される構造では、冷媒配管を介して圧縮機2、放熱器3、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置1の簡素化並びに小型化を図ることができる。
ところで、サイクル内の冷媒の圧力損失は、冷媒流路が長いほど大きくなり、冷媒流路が短いほど小さくなる。このため、放熱器3および蒸発器5が圧縮機ハウジング20に直結される構造とすれば、冷媒配管を介して圧縮機2、放熱器3、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて冷媒流路が短縮されるのでサイクル内における冷媒の圧力損失を抑制することが可能となる。
また、冷媒配管を介して圧縮機2、放熱器3、蒸発器5が接続される従来の構造では、冷媒配管が外部に露出するため、周囲環境との熱交換による熱損失が避けられない。
これに対して、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、放熱器3の高圧導入部31が外部に露出しないように冷媒吐出部205に直結され、蒸発器5の低圧導出部52が外部に露出しないように冷媒吸入部203に直結されている。これによると、周囲環境との熱交換による熱損失を抑制することができる。
加えて、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、減圧機器4が圧縮機ハウジング20の内部に設けられている。そして、圧縮機ハウジング20に対して、放熱器3の高圧導出部32が外部に露出しないように直結される中間導入部206、および蒸発器5の低圧導入部51が外部に露出しないように直結される中間導出部207が設けられている。
このように圧縮機ハウジング20の内部に減圧機器4を設ける構成とすれば、冷媒配管を介して放熱器3、減圧機器4、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて冷凍サイクル装置1の耐久性を確保することができる。
また、圧縮機ハウジング20の内部に減圧機器4を設ける構成とすれば、圧縮機ハウジング20の外部に別体の減圧機器4を設置する場合に比べて、冷凍サイクル装置1の簡素化を図ることができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20のうち減圧機器4を構成する部位が放熱器3および蒸発器5に直結される構造になっている。このような構造では、冷媒配管を介して放熱器3、減圧機器4、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置1の簡素化並びに小型化を図ることができる。
具体的には、本実施形態の減圧機器4は、圧縮機ハウジング20の内部の貫通穴213aに形成された固定絞りで構成されている。このように減圧機器4を圧縮機ハウジング20に形成した固定絞りで構成すれば、減圧機器4を可変絞り機構を含む構成とする場合に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置1の簡素化並びに小型化を図ることができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機2の圧縮機構24がスクロール型の圧縮機構で構成されている。スクロール型の圧縮機構は、レシプロ型の圧縮機構の如く軸方向DRaに可動する可動部材が必要ないので、圧縮機構24全体として軸方向DRaの体格を小型化することができる。このため、圧縮機構24としてスクロール型の圧縮機構を採用すれば、圧縮機2全体としての軸方向DRaの体格を抑えることが可能となる。
特に、本実施形態の圧縮機2は、外殻を形成するメインハウジング部21およびサブハウジング部22に収容される内部ハウジング部23によって圧縮機構24および電動機25を支持される構成になっている。そして、内部ハウジング部23は、圧縮機構24および電動機25の振動を減衰させるための緩衝部材28を介してメインハウジング部21に連結されている。
これによると、圧縮機構24および電動機25に生ずる振動が緩衝部材28で減衰されることで、圧縮機ハウジング20のメインハウジング部21およびサブハウジング部22に圧縮機構24および電動機25の振動が伝達され難くなる。これにより、冷媒吐出部205および冷媒吸入部203が形成されたメインハウジング部21の振動が抑制されることで、圧縮機ハウジング20と放熱器3および蒸発器5の連結部分に加わる応力の抑えることができる。このことは、冷凍サイクル装置1の耐久性の向上に大きく寄与する。
また、本実施形態の圧縮機2は、内部ハウジング部23に対して圧縮機構24および電動機25を組み付けた組付体をメインハウジング部21に対して連結した後、メインハウジング部21にサブハウジング部22を連結することで得られる。これによると、圧縮機構24、電動機25、および内部ハウジング部23をユニット化すれば、圧縮機2の製造時における組付性の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。本実施形態では、圧縮機ハウジング20に対して高圧側貯留部215が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
高圧側貯留部215は、サイクル内における余剰となる液冷媒を貯留するために設けられている。図8に示すように、高圧側貯留部215は、圧縮機ハウジング20のうちメインハウジング部21の膨出部213に対して設けられている。より詳細には、高圧側貯留部215は、膨出部213に形成された貫通穴213aのうち、中間導入部206と減圧機器4を構成する縮小部213bとの間に設けられている。すなわち、高圧側貯留部215は、貫通穴213aにおける縮小部213bよりも冷媒流れ上流側に設けられている。
具体的には、高圧側貯留部215は、図9に示すように、鉛直方向(すなわち、z方向)に延びる有底穴215aおよび有底穴215aの開口を閉塞する閉塞板部215bで構成されている。この有底穴215aには、中間導入部206からの冷媒を流入させる上流側開口部215cおよび内部に貯留された冷媒を減圧機器4である縮小部213b側に流出させる下流側開口部215dが形成されている。高圧側貯留部215は、その内部に貯留された液冷媒が縮小部213b側に流れるように、下流側開口部215dが上流側開口部215cよりも鉛直方向の下方側に形成されている。
ここで、減圧機器4および高圧側貯留部215を圧縮機ハウジング20の内部に形成すると、減圧機器4を流れる冷媒や高圧側貯留部215に貯留される液冷媒と、圧縮機構24に吸入される冷媒や圧縮機構24から吐出される冷媒とが熱交換してしまう。特に、高圧側貯留部215に貯留された液冷媒と圧縮機構24から吐出される冷媒とが熱交換すると、高圧側貯留部215に貯留された液冷媒が蒸発することが懸念される。
そこで、本実施形態では、圧縮機ハウジング20に対して、熱交換抑制部216が設けられている。図10に示すように、熱交換抑制部216は、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路と減圧機器4を介して中間導入部206から中間導出部207に至る冷媒流路との間に設けられたスリット状の溝216aで構成されている。この熱交換抑制部216によって、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路と減圧機器4を介して中間導入部206から中間導出部207に至る冷媒流路とが熱的に分断される。
以上説明した本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第1実施形態と共通の構成を備えている。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。このことは、以降の実施形態においても同様である。
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20に対して液冷媒を貯留可能な高圧側貯留部215が設けられている。このように、圧縮機ハウジング20に対して高圧側貯留部215を設ける構成とすれば、高圧側貯留部215にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
加えて、高圧側貯留部215には、内部に中間導入部206からの冷媒を流入させる上流側開口部215c、内部に貯留された冷媒を減圧機器4側に流出させる下流側開口部215dが形成されている。そして、下流側開口部215dが、上流側開口部215cよりも鉛直方向の下方側に形成されている。
これによると、高圧側貯留部215に貯留された液冷媒が減圧機器4側に流れ易くなる。すなわち、減圧機器4側には、エンタルピが小さい液冷媒が流れ易くなる。この結果、蒸発器5の前後のエンタルピ差を確保して、蒸発器5における吸熱能力の向上を図ることができる。なお、「鉛直方向」とは、水平面に対して垂直な方向を意味しており、重力が作用する方向を意味すると解釈することができる。
また、圧縮機ハウジング20には、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路と減圧機器4を介して中間導入部206から中間導出部207に至る冷媒流路とが熱的に分断するための熱交換抑制部216が設けられている。
これによると、減圧機器4を流れる冷媒や高圧側貯留部215に貯留される液冷媒と、圧縮機構24に吸入される冷媒や圧縮機構24から吐出される冷媒との不必要な熱交換を抑制することができる。
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、高圧側貯留部215の下流側開口部215dを上流側開口部215cよりも鉛直方向の下方側に形成される例について説明したが、これに限定されない。高圧側貯留部215は、例えば、下流側開口部215dが上流側開口部215cと鉛直方向において同等となる位置に形成されていてもよい。
上述の第2実施形態では、圧縮機ハウジング20に対して熱交換抑制部216が設けられた例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20における熱交換抑制部216が省略された構成になっていてもよい。
上述の第2実施形態では、圧縮機ハウジング20に対して高圧側貯留部215が設けられた例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20における高圧側貯留部215が省略された構成になっていてもよい。
上述の第2実施形態では、熱交換抑制部216が圧縮機ハウジング20に形成されたスリット状の溝216aで構成される例について説明したが、これに限定されない。熱交換抑制部216は、圧縮機ハウジング20よりも熱抵抗の高い材料で構成される熱緩衝体で構成されていてもよい。
上述の第2実施形態では、横置型の構造を有する冷凍サイクル装置1の圧縮機ハウジング20に高圧側貯留部215を設ける構成を適用する例について説明したが、これに限定されない。圧縮機ハウジング20に高圧側貯留部215を設ける構成は、圧縮機2の上方に、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、および送風機6が設置される縦置型の構造を有する冷凍サイクル装置1に対しても適用可能である。この場合、高圧側貯留部215は、液冷媒が貯留可能なように、鉛直方向(すなわち、z方向)に延びる有底穴215aを含む構成とすればよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図11、図12を参照して説明する。本実施形態では、減圧機器4が圧縮機ハウジング20の外部に配置されている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図11に示すように、本実施形態の圧縮機ハウジング20は、x方向における略中央部分がy方向に突き出ていない直方体状の外形状を有している。すなわち、本実施形態の圧縮機ハウジング20は、第1実施形態における膨出部213に相当する構成が設けられていない。
本実施形態の減圧機器4は、圧縮機ハウジング20の外部に配置されている。具体的には、減圧機器4は、放熱器3の第1高圧タンク36と蒸発器5の第1低圧タンク56とで挟持されるように放熱器3と蒸発器5との間に配置されている。
図12に示すように、減圧機器4は、外殻を構成するバルブ本体41、およびバルブ本体41の内部に設けられた絞り機構42を含んで構成されている。バルブ本体41は、金属製のブロック体で構成されている。
バルブ本体41には、x方向に沿って貫通する貫通穴411が形成されている。この貫通穴411の内部には、冷媒の減圧作用を発揮する絞り機構42が配置されている。絞り機構42は、内部に絞り流路421aが形成された円筒形状のオリフィス421で構成されている。
バルブ本体41には、放熱器3に対向する部位に放熱器3の高圧導出部32が外部に露出しないように直結されるバルブ導入部412が形成されている。バルブ導入部412は、バルブ本体41の貫通穴411の一端側に開口する開口部であり、放熱器3の高圧導出部32を嵌め込むことが可能な大きさを有している。
バルブ本体41には、蒸発器5に対向する部位に蒸発器5の低圧導入部51が外部に露出しないように直結されるバルブ導出部413が形成されている。バルブ導出部413は、バルブ本体41の貫通穴411の他端側に開口する開口部であり、蒸発器5の低圧導入部51を嵌め込むことが可能な大きさを有している。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20の外部に設けた減圧機器4が放熱器3および蒸発器5に直結される構造になっている。これによると、冷媒配管を介して放熱器3、減圧機器4、蒸発器5が接続される従来の構造に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置1の簡素化並びに小型化を図ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図13〜図15を参照して説明する。本実施形態では、減圧機器4のバルブ本体41に高圧側貯留部415が設けられている点が第3実施形態と相違している。本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図13に示すように、バルブ本体41には、貫通穴411におけるバルブ導入部412とバルブ導出部413との間に、バルブ導入部412とバルブ導出部413よりも断面積が小さい縮小部414が設けられている。この縮小部414は、冷媒の減圧作用を発揮する絞り機構として機能する。
また、バルブ本体41には、サイクル内における余剰となる液冷媒を貯留するための高圧側貯留部415が設けられている。高圧側貯留部415は、バルブ本体41に形成された貫通穴411のうち、バルブ導入部412と絞り機構42を構成する縮小部414との間に設けられている。すなわち、高圧側貯留部415は、貫通穴411における縮小部414よりも冷媒流れ上流側に設けられている。
具体的には、高圧側貯留部415は、図14に示すように、z方向に延びる有底穴415aおよび有底穴415aの開口を閉塞する閉塞板部415bで構成されている。この有底穴415aには、バルブ導入部412からの冷媒を流入させる上流側開口部415cおよび内部に貯留された冷媒を絞り機構を構成する縮小部414側に流出させる下流側開口部415dが形成されている。高圧側貯留部415は、その内部に貯留された液冷媒が縮小部414側に流れるように、下流側開口部415dが上流側開口部415cよりも鉛直方向(すなわち、z方向)の下方側に形成されている。
このように構成される減圧機器4は、圧縮機ハウジング20との間に、熱交換抑制部416が設けられている。図15に示すように、熱交換抑制部416は、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路と絞り機構である縮小部414を介してバルブ導入部412からバルブ導出部413に至る冷媒流路との間の空隙で構成されている。この熱交換抑制部416によって、圧縮機構24を介して冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路と縮小部414を介してバルブ導入部412からバルブ導出部413に至る冷媒流路とが熱的に分断される。本実施形態では、バルブ本体41に形成された貫通穴411が、縮小部414を介してバルブ導入部412からバルブ導出部413に至る冷媒流路を構成している。
以上説明した本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第3実施形態と共通の構成を備えている。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第3実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、バルブ本体41の貫通穴411のうちバルブ導入部412と減圧機器4として機能する縮小部414と間に液冷媒を貯留可能な高圧側貯留部415が設けられている。
このように、バルブ本体41に対して高圧側貯留部415を設ける構成とすれば、高圧側貯留部215にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
加えて、高圧側貯留部415には、内部にバルブ導入部412からの冷媒を流入させる上流側開口部415c、内部に貯留された冷媒を絞り機構42である縮小部414側に流出させる下流側開口部415dが形成されている。そして、下流側開口部415dが、上流側開口部415cよりも鉛直方向の下方側に形成されている。
これによると、高圧側貯留部415に貯留された液冷媒が縮小部414側に流れ易くなる。すなわち、縮小部414側には、エンタルピが小さい液冷媒が流れ易くなる。この結果、蒸発器5の前後のエンタルピ差を確保して、蒸発器5における吸熱能力の向上を図ることができる。
また、バルブ本体41と圧縮機ハウジング20との間には、冷媒吸入部203から冷媒吐出部205に至る冷媒流路とバルブ導入部412からバルブ導出部413に至る冷媒流路とを熱的に分断する熱交換抑制部416が設けられている。これによると、縮小部414を流れる冷媒や高圧側貯留部415に貯留される液冷媒と、圧縮機構24に吸入される冷媒や圧縮機構24から吐出される冷媒との不必要な熱交換を抑制することができる。
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、高圧側貯留部415の下流側開口部415dを上流側開口部415cよりも鉛直方向の下方側に配置されている例について説明したが、これに限定されない。高圧側貯留部415は、例えば、下流側開口部415dが上流側開口部415cと鉛直方向において同等となる位置に配置されていてもよい。
上述の第4実施形態では、バルブ本体41と圧縮機ハウジング20との間に熱交換抑制部416が設けられた例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置1は、熱交換抑制部216が省略された構成になっていてもよい。
上述の第4実施形態では、バルブ本体41に対して高圧側貯留部415が設けられた例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置1は、バルブ本体41における高圧側貯留部415が省略された構成になっていてもよい。
上述の第4実施形態では、熱交換抑制部416がバルブ本体41と圧縮機ハウジング20との間に設けられた空隙で構成される例について説明したが、これに限定されない。熱交換抑制部416は、バルブ本体41および圧縮機ハウジング20よりも熱抵抗の高い材料で構成される熱緩衝体で構成されていてもよい。
上述の第4実施形態では、絞り機構42がバルブ本体41に形成された縮小部414で構成される例について説明したが、これに限定されない。絞り機構42は、例えば、第3実施形態で説明したオリフィス421で構成されていてもよい。
上述の第4実施形態では、横置型の構造を有する冷凍サイクル装置1のバルブ本体41に高圧側貯留部415を設ける構成を適用する例について説明したが、これに限定されない。バルブ本体41に高圧側貯留部415を設ける構成は、圧縮機2の上方に、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、および送風機6が設置される縦置型の構造を有する冷凍サイクル装置1に対しても適用可能である。この場合、高圧側貯留部415は、液冷媒が貯留可能なように、鉛直方向(すなわち、z方向)に延びる有底穴415aを含む構成とすればよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図16、図17を参照して説明する。本実施形態では、圧縮機ハウジング20に対して低圧側貯留部217が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図16に示すように、低圧側貯留部217は、サイクル内における余剰となる液冷媒を貯留するために設けられている。低圧側貯留部217は、圧縮機ハウジング20のうち吸入流路202を構成する部位に対して設けられている。より詳細には、低圧側貯留部217は、圧縮機ハウジング20のうち冷媒吸入部203と収容空間200との間に設けられている。
具体的には、低圧側貯留部417は、図17に示すように、z方向に延びる有底穴217aおよび有底穴217aの開口を閉塞する閉塞板部217bで構成されている。この有底穴217aには、冷媒吸入部203からの冷媒を流入させる上流側開口部217cおよび内部に貯留された冷媒を収容空間200側に流出させる下流側開口部217dが形成されている。下流側開口部217dは、内部に貯留された液冷媒が収容空間200側に流れ難くなるように、鉛直方向において有底穴217aの底面よりも閉塞板部217bに近い位置に形成されている。なお、上流側開口部217cは、鉛直方向における下流側開口部217dと同等となる位置に形成されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、圧縮機ハウジング20に形成された吸入流路202に液冷媒を貯留可能な低圧側貯留部217が設けられている。このように、吸入流路202に低圧側貯留部417を設ける構成とすれば、低圧側貯留部217にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
加えて、低圧側貯留部217は、その内部に貯留された液冷媒が収容空間200側に流れ難い構造になっている。これによると、圧縮機構24で液冷媒が圧縮されること(すなわち、液バック)を抑制することができる。
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、低圧側貯留部217の下流側開口部217dが上流側開口部217cと同等なる位置に形成される例について説明したが、これに限定されない。低圧側貯留部217は、例えば、下流側開口部217dが上流側開口部217cよりも鉛直方向の上方側に形成されていてもよい。
上述の第5実施形態では、第1実施形態の冷凍サイクル装置1を前提とする構成に対して、圧縮機ハウジング20に低圧側貯留部217を設ける構成を適用する例について説明したが、これに限定されない。圧縮機ハウジング20に低圧側貯留部217を設ける構成は、第1実施形態以外の実施形態の冷凍サイクル装置1においても適用可能である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図18、図19を参照して説明する。本実施形態では、低圧側貯留部219が圧縮機ハウジング20とは別体で構成されている点が第5実施形態と相違している。本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について主に説明し、第5実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
圧縮機ハウジング20には、吸入流路202を構成する部位に、低圧側貯留部219を収容するための貯留空間218が形成されている。この貯留空間218は、圧縮機ハウジング20に形成された有底穴218a、有底穴218aを閉塞する閉塞部材218bによって形成されている。有底穴218aは、鉛直方向に沿って延びている。
低圧側貯留部219は、圧縮機ハウジング20とは別体で構成されている。低圧側貯留部219は、液冷媒を貯留可能な有底筒状の部材で構成されている。具体的には、低圧側貯留部219には、有底筒状の貯留部219a、貯留部219aを圧縮機ハウジング20に対して連結するための連結部219bを有している。
貯留部219aは、その上面が開口しており、当該開口が冷媒吸入部203からの冷媒を流入させる上流側開口部219cを構成している。また、貯留部219aの側壁部219dに対して、貯留部219aの内部に貯留された冷媒を収容空間200側に流出させる下流側開口部219eが形成されている。この下流側開口部219eは、貯留部219aの底壁部219fよりも上流側開口部219cに近い位置に形成されている。
低圧側貯留部219は、貯留空間218を形成する壁面である有底穴218aとの間に圧縮機構24に吸入されるガス冷媒が流れるように貯留空間218に配置されている。具体的には、低圧側貯留部219は、貯留部219aと有底穴218aとの間にガス冷媒が流れる冷媒流路218cが形成されるように、貯留部219aが有底穴218aから離間している。
その他の構成は、第5実施形態と同様である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第5実施形態と共通の構成を備えており、第5実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第5実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、低圧側貯留部219と圧縮機ハウジング20の内部の貯留空間218を形成する壁面との間に圧縮機構24に吸入される低温の冷媒が流れる構造になっている。これによると、低圧側貯留部219に貯留された液冷媒に圧縮機ハウジング20の熱が伝わり難くなる。すなわち、圧縮機ハウジング20の熱によって低圧側貯留部219に貯留された液冷媒の蒸発を抑制することができる。これにより、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図20、図21を参照して説明する。本実施形態では、冷凍サイクル装置1の圧縮機2の上方に放熱器3、減圧機器4、蒸発器5が設置されている点が第6実施形態と相違している。本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について主に説明し、第6実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図20に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2の上方に、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、および送風機6が設置される縦置型の構造になっている。すなわち、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、送風機6が、鉛直方向(すなわち、z方向)において圧縮機2と重なり合うように配置されている。
このような縦置型の構造を有する冷凍サイクル装置1では、図20および図21に示すように、圧縮機ハウジング20に対して鉛直方向(すなわち、z方向)に延びる円柱状の貯留空間218が形成される。この貯留空間218に対して、鉛直方向に延びる貯留部219aが収容される構成になっている。これにより、縦置型の構造を有する冷凍サイクル装置1においても、低圧側貯留部219に対して液冷媒を貯留することが可能となる。
その他の構成は、第6実施形態と同様である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、第6実施形態と共通の構成を備えており、第6実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第7実施形態と同様に得ることができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、図22を参照して説明する。本実施形態では、減圧機器4がキャピラリチューブ43で構成されている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図22に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、減圧機器4がキャピラリチューブ43で構成されている。キャピラリチューブ43は、圧縮機ハウジング20の外部に配置されて減圧作用を発揮する細長い配管である。キャピラリチューブ43は、冷媒流れ上流側の一端部に放熱器3の高圧導出部32が外部に露出しないように直結するための上流側連結部431が設けられている。また、キャピラリチューブ43は、冷媒流れ下流側の一端部に蒸発器5の低圧導入部51が外部に露出しないように直結するための下流側連結部432が設けられている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、放熱器3の高圧導出部32が、外部に露出しないように減圧機器4を構成するキャピラリチューブ43の一端部に直結されている。また、冷凍サイクル装置1は、蒸発器5の低圧導入部51が、外部に露出しないように減圧機器4を構成するキャピラリチューブ43の他端部に直結されている。このように、減圧機器4を構成するキャピラリチューブ43を放熱器3および蒸発器5に直結する構造とすれば、冷媒配管を介して放熱器3、減圧機器4、蒸発器5が接続される構造に比べて、部品点数が少なくなる。このため、冷凍サイクル装置1の簡素化並びに小型化を図ることができる。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、圧縮機2、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5、送風機6の具体的な配置形態について例示したが、これに限定されない。圧縮機2、放熱器3、減圧機器4、蒸発器5の配置形態は、上述の配置形態以外の他の配置形態になっていてもよい。
上述の実施形態では、圧縮機2の内部ハウジング部23が圧縮機構24および電動機25の振動を減衰させるための緩衝部材28を介してメインハウジング部21に連結される例について説明したが、これに限定されない。圧縮機2は、例えば、内部ハウジング部23が緩衝部材28を介さずにメインハウジング部21に連結される構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、圧縮機2の圧縮機構24がスクロール型の圧縮機構で構成される例について説明したが、これに限定されない。圧縮機構24は、例えば、レシプロ型の圧縮機構やローリングピストン型の圧縮機構で構成されていてもよい。
上述の実施形態では、圧縮機2の電動機25がアウタロータモータで構成される例について説明したが、これに限定されない。電動機25は、例えば、インナロータモータで構成されていてもよい。
上述の実施形態では、圧縮機2が電動機25で圧縮機構24を駆動する電動圧縮機で構成される例について説明したが、これに限定されない。圧縮機2は、例えば、内燃機関を用いて圧縮機構24を駆動するもので構成されていてもよい。
上述の実施形態では、放熱器3が複数のチューブ34、フィン35、第1高圧タンク36、第2高圧タンク37を備える熱交換器で構成される例について説明したが、これに限定されない。放熱器3は、例えば、蛇行状に曲げられたチューブおよびプレートフィンを備えるタンクレス型の熱交換器で構成されていてもよい。
上述の実施形態では、減圧機器4が固定絞り等で構成される例について説明したが、これに限定されない。減圧機器4は、例えば、絞り開度を変更可能な可変絞り型の膨張弁で構成されていてもよい。
上述の実施形態では、蒸発器5が複数のチューブ54、フィン55、第1低圧タンク56、第2低圧タンク57を備える熱交換器で構成される例について説明したが、これに限定されない。蒸発器5は、例えば、蛇行状に曲げられたチューブおよびプレートフィンを備えるタンクレス型の熱交換器で構成されていてもよい。
上述の実施形態では、送風機6の第1送風部6Aおよび第2送風部6Bそれぞれに対してファンモータ63A、63Bが設けられた例について説明したが、これに限定されない。送風機6は、単一のファンモータによって温風ファン62Aおよび冷風ファン62Bが駆動される構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、本開示の冷凍サイクル装置1をシート空調装置に適用した例について説明したが、これに限定されない。本開示の冷凍サイクル装置1は、車載される空調装置に限らず、例えば、家屋などの室内空調装置や、機器温調装置に対しても広く適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷凍サイクル装置は、圧縮機ハウジングに、放熱器の高圧導入部が直結される冷媒吐出部、および蒸発器の低圧導出部が直結される冷媒吸入部が設けられている。
第2の観点によれば、冷凍サイクル装置の圧縮機ハウジングには、冷媒吸入部から圧縮機構に至る吸入流路に、液冷媒を貯留可能な低圧側貯留部が設けられている。
単に、放熱器および蒸発器が圧縮機ハウジングに直結する構造(すなわち、配管レス構造)とすると、冷媒配管がないことでサイクル内への冷媒の充填量が少なくなり、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足してしまうことが懸念される。
これに対して、圧縮機ハウジングに対して低圧側貯留部を設ける構成とすれば、低圧側貯留部にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
第3の観点によれば、冷凍サイクル装置の圧縮機ハウジングには、吸入流路に低圧側貯留部を収容するための貯留空間が形成されている。そして、低圧側貯留部は、有底筒状の部材で構成され、貯留空間を形成する壁面との間に圧縮機構に吸入されるガス冷媒が流れるように貯留空間に配置されている。
圧縮機ハウジングは、圧縮機構で圧縮された冷媒から受熱することで温度が高くなり易い。このため、単に、圧縮機ハウジングに対して低圧側貯留部を設けると、圧縮機ハウジングの熱によって低圧側貯留部に貯留された液冷媒が蒸発してしまう虞がある。
これに対して、低圧側貯留部と圧縮機ハウジングの内部の貯留空間を形成する壁面との間に圧縮機構に吸入される低温の冷媒が流れる構成とすれば、低圧側貯留部に貯留された液冷媒に圧縮機ハウジングの熱が伝わり難くなる。すなわち、圧縮機ハウジングの熱によって低圧側貯留部に貯留された液冷媒の蒸発を抑制することができる。これにより、低圧側貯留部に液冷媒が適切に貯留されるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
第4の観点によれば、冷凍サイクル装置の放熱器は、その内部を通過した冷媒を減圧機器側に導出するための高圧導出部を有している。また、蒸発器は、減圧機器で減圧された冷媒を内部に導入するための低圧導入部を有している。減圧機器は、圧縮機ハウジングの内部に設けられている。圧縮機ハウジングには、放熱器を通過した冷媒を減圧機器に導く中間導入部および減圧機器を通過した冷媒を蒸発器に導く中間導出部が設けられている。そして、高圧導出部は、外部に露出しないように中間導入部に直結されている。また、低圧導入部は、外部に露出しないように中間導出部に直結されている。
このように圧縮機ハウジングの内部に減圧機器を設ける構成とすれば、圧縮機ハウジングの外部に別体の減圧機器を設置する場合に比べて、冷凍サイクル装置の簡素化を図ることができる。
加えて、本開示の冷凍サイクル装置は、圧縮機ハウジングのうち減圧機器を構成する部位が放熱器および蒸発器に直結される構造になっている。このような構造では、配管を介して放熱器、減圧機器、蒸発器が接続される従来の構造に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置の簡素化並びに小型化を図ることができる。
第5の観点によれば、冷凍サイクル装置の減圧機器は、圧縮機ハウジングの内部の貫通穴に形成される固定絞りで構成されている。このように減圧機器を圧縮機ハウジングに形成される固定絞りで構成すれば、減圧機器を可変絞り機構を含む構成とする場合に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置の簡素化並びに小型化を図ることができる。
第6の観点によれば、冷凍サイクル装置の圧縮機ハウジングには、圧縮機構を介して冷媒吸入部から冷媒吐出部に至る冷媒流路と減圧機器を介して中間導入部から中間導出部に至る冷媒流路とを熱的に分断するための熱交換抑制部が設けられている。
単に、減圧機器を圧縮機ハウジングの内部に形成すると、減圧機器を流れる冷媒と圧縮機構に吸入される冷媒や圧縮機構から吐出される冷媒との不必要な熱交換が行われることが懸念される。
これに対して、圧縮機ハウジングに対して冷媒吸入部から冷媒吐出部に至る冷媒流路と中間導入部から中間導出部に至る冷媒流路とを熱的に分断するための熱交換抑制部を設ける構成とすれば、上述した不必要な熱交換を抑えることができる。
第7の観点によれば、冷凍サイクル装置の圧縮機ハウジングには、中間導入部から中間導出部に至る冷媒流路における中間導入部と減圧機器との間に液冷媒を貯留可能な高圧側貯留部が設けられている。
このように、圧縮機ハウジングに対して高圧側貯留部を設ける構成とすれば、高圧側貯留部にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
第8の観点によれば、冷凍サイクル装置の高圧側貯留部には、内部に中間導入部からの冷媒を流入させる上流側開口部、内部に貯留された冷媒を減圧機器側に流出させる下流側開口部が形成されている。そして、下流側開口部は、上流側開口部よりも鉛直方向の下方側に形成されている。
これによると、高圧側貯留部に貯留された液冷媒を減圧機構側に流れ易くなる。すなわち、減圧機器側には、エンタルピが小さい液冷媒が流れ易くなる。この結果、蒸発器の前後のエンタルピ差を確保して、蒸発器における吸熱能力の向上を図ることができる。なお、「鉛直方向」とは、水平面に対して垂直な方向を意味しており、重力が作用する方向を意味すると解釈することができる。
第9の観点によれば、冷凍サイクル装置の放熱器は、その内部を通過した冷媒を減圧機器側に導出するための高圧導出部を有している。また、蒸発器は、減圧機器で減圧された冷媒を内部に導入するための低圧導入部を有している。減圧機器は、圧縮機ハウジングの外部に配置され、外殻を構成するバルブ本体、およびバルブ本体の内部に設けられた絞り機構を含んで構成されている。バルブ本体には、放熱器を通過した冷媒を絞り機構に導くバルブ導入部、および絞り機構を通過した冷媒を蒸発器に導くバルブ導出部が設けられている。そして、高圧導出部は、外部に露出しないようにバルブ導入部に直結されている。また、低圧導入部は、外部に露出しないようにバルブ導出部に直結されている。
このように、圧縮機ハウジングの外部に設けた減圧機器を放熱器および蒸発器に直結する構造とすれば、冷媒配管を介して放熱器、減圧機器、蒸発器が接続される構造に比べて、部品点数が少なくなる。このため、冷凍サイクル装置の簡素化並びに小型化を図ることができる。
第10の観点によれば、冷凍サイクル装置は、バルブ本体および圧縮機ハウジングの間に、冷媒吸入部から冷媒吐出部に至る冷媒流路とバルブ導入部からバルブ導出部に至る冷媒流路とを熱的に分断するための熱交換抑制部が設けられている。
バルブ本体と圧縮機ハウジングとが密着していると、バルブ本体の内部を流れる冷媒と圧縮機構に吸入される冷媒や圧縮機構から吐出される冷媒との不必要な熱交換が行われることが懸念される。
これに対して、圧縮機ハウジングとバルブ本体部との間に冷媒吸入部から冷媒吐出部に至る冷媒流路と中間導入部から中間導出部に至る冷媒流路とを熱的に分断するための熱交換抑制部を設ける構成とすれば、上述した不必要な熱交換を抑えることができる。
第11の観点によれば、冷凍サイクル装置のバルブ本体には、中間導入部から中間導出部に至る冷媒流路におけるバルブ導入部と絞り機構との間にサイクル内の余剰となる液冷媒を貯留するための高圧側貯留部が形成されている。
このように、バルブ本体に対して高圧側貯留部を設ける構成とすれば、高圧側貯留部にサイクル内の余剰となる液冷媒を一時的に貯留可能となるので、サイクルの負荷変動時にサイクル内の冷媒量が不足することを避けることができる。
第12の観点によれば、冷凍サイクル装置の高圧側貯留部は、内部にバルブ導入部からの冷媒を流入させる上流側開口部、内部に貯留された冷媒を絞り機構側に流出させる下流側開口部が形成されている。そして、下流側開口部は、上流側開口部よりも鉛直方向の下方側に形成されている。
これによると、高圧側貯留部に貯留された液冷媒が減圧機構側に流れ易くなる。すなわち、減圧機器側には、エンタルピが小さい液冷媒が流れ易くなる。この結果、蒸発器の前後のエンタルピ差を確保して、蒸発器における吸熱能力の向上を図ることができる。
第13の観点によれば、冷凍サイクル装置の放熱器は、その内部を通過した冷媒を減圧機器側に導出するための高圧導出部を有している。また、蒸発器は、減圧機器で減圧された冷媒を内部に導入するための低圧導入部を有している。減圧機器は、圧縮機ハウジングの外部に配置されて減圧作用を発揮するキャピラリチューブで構成されている。そして、高圧導出部は、外部に露出しないようにキャピラリチューブの一端部に直結されている。また、低圧導入部は、外部に露出しないようにキャピラリチューブの他端部に直結されている。
このように、減圧機器を構成するキャピラリチューブを放熱器および蒸発器に直結する構造とすれば、冷媒配管を介して放熱器、減圧機器、蒸発器が接続される構造に比べて、部品点数が少なくなるので、冷凍サイクル装置の簡素化並びに小型化を図ることができる。
第14の観点によれば、冷凍サイクル装置の圧縮機ハウジングは、外殻を形成する外殻形成部、および圧縮機構を支持する支持部材を含んで構成されている。外殻形成部には、少なくとも冷媒吐出部および冷媒吸入部が設けられている。そして、支持部材は、圧縮機構の振動を減衰させるための緩衝部材を介して外殻形成部に連結されている。
これによると、圧縮機構に生ずる振動が緩衝部材で減衰されることで、圧縮機ハウジングの外殻形成部に圧縮機構の振動が伝達され難くなる。これにより、外殻形成部の振動が抑制されることで、圧縮機ハウジングと放熱器および蒸発器の連結部分に加わる応力の抑えることができるので、冷凍サイクル装置の耐久性を確保することができる。