JP2019199028A - 微多孔膜の製造方法およびそれを用いた微多孔膜 - Google Patents
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Abstract
Description
一つは特許文献1等に示されるものであり、湿式法又は相分離法と呼ばれる方法であり、ポリエチレン樹脂等にパラフィン等の可塑剤を押出機内で適切に混合し、Tダイ等で押し出した後、キャスト装置等で冷却する際に、樹脂と可塑剤を相分離させ、その後、可塑剤をその溶媒で抽出し、開孔させる方法である。この方法では、可塑剤の抽出工程前後に1軸または2軸の延伸機で配向を掛けたり、薄膜化させたり、孔形状を整えて所望の性状の微多孔膜を得る。また、この方法では、キャスト等で相分離した可塑剤の部分が抽出後に孔となる。さらに、この方法では、同時または遂次の2軸延伸が容易に利用できるため、強度の等方性に優れた微多孔膜が得られ易い。しかし、この方法では、膜が横方向に延伸されているため、横方向の熱収縮率を持つことが課題とされている。
また、特許文献4には湿式法において共押出した多層原反から多層の延伸体を作製し、その後、剥離して微多孔膜を得る方法が記載されている。
[1]
以下の工程:
樹脂A及び樹脂Bを共押出しし、樹脂A層及び前記樹脂A層と剥離可能な樹脂B層が積層された原反を得る押出工程と、
前記押出工程の後に、前記樹脂A層と前記樹脂B層を剥離する剥離工程と、
前記押出工程の後に、前記樹脂A層を延伸して開孔し、微多孔膜を形成する延伸工程と
を含む微多孔膜の製造方法。
[2]
前記押出工程において、前記原反が、前記樹脂A層/前記樹脂B層/前記樹脂A層の順に積層された少なくとも3層で形成される、[1]に記載の微多孔膜の製造方法。
[3]
前記樹脂A層と前記樹脂B層の界面での剥離強度が、0.05g/25mm幅以上1000g/25mm幅以下である、[1]又は[2]に記載の微多孔膜の製造方法。
[4]
前記樹脂A層が、ポリオレフィン系樹脂を90質量%以上100質量%以下含む、[1]〜[3]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[5]
前記樹脂B層が、非ポリオレフィン系樹脂を60質量%以上100質量%以下含む、[4]に記載の微多孔膜の製造方法。
[6]
前記樹脂Aと前記樹脂Bが、非相溶性である、[1]〜[5]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[7]
前記樹脂Aと前記樹脂Bが、異なる樹脂であり、かつ共押出可能な樹脂である、[1]〜[6]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[8]
前記樹脂Aと前記樹脂Bが、異なる樹脂であり、かつ共延伸可能な樹脂である、[1]〜[7]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[9]
前記延伸工程の後に、前記剥離工程を行う、[8]に記載の微多孔膜の製造方法。
[10]
前記樹脂B層が、非結晶樹脂から成る、[1]〜[9]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[11]
前記樹脂B層が、ポリエステル系樹脂を含む、[1]〜[10]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[12]
前記樹脂B層が、250℃以下で押出可能なポリエステル系樹脂から成る、[1]〜[11]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[13]
前記延伸工程前に、少なくとも1層の前記樹脂A層の厚み及び/又は少なくとも1層の前記樹脂B層の厚みが、1μm以上10μm以下である、[1]〜[12]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[14]
前記剥離工程後に、前記樹脂B層が再利用される、[1]〜[13]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[15]
前記微多孔膜が、リチウムイオン2次電池のためのセパレータとして使用される、[1]〜[14]の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
[16]
互いに異なる樹脂Aと樹脂Bを含む樹脂原反であって、樹脂A層と、前記樹脂A層と剥離可能な樹脂B層とが共押出された樹脂原反。
[17]
前記樹脂原反の厚みが、5μm以上30μm以下である、[16]に記載の樹脂原反。
[18]
リチウムイオン二次電池のためのセパレータの製造における[16]又は[17]に記載の樹脂原反の使用。
本明細書で説明される物性値又は評価値は、特に言及されない限り、実施例に記載される方法に従って測定又は算出されるものである。
また、本明細書では、特定の成分を主成分として含むことは、全成分の総質量を基準として、50質量%を超える割合で含むことをいう。
本発明の一態様は、微多孔膜の製造方法であり、樹脂A及び樹脂Bを共押出しし、樹脂A層及び樹脂A層と剥離可能な樹脂B層が積層された原反を得る押出工程を含み、押出工程の後に、樹脂A層と樹脂B層を剥離する剥離工程と、樹脂A層を延伸して開孔し、多孔膜を形成する延伸工程とを行う。剥離工程と延伸工程は、押出工程の後に行われる限り、いずれかを先行してよい。
押出工程により得られる原反は、延伸開孔工程に供されるので、延伸前原反又は樹脂原反とも呼ばれる。
本発明の別の態様は、互いに異なる樹脂Aと樹脂Bを含み、かつ樹脂A層と、樹脂A層と剥離可能な樹脂B層とが共押出された樹脂原反である。樹脂原反を延伸工程及び剥離工程に供することにより、微多孔薄膜の生産性を向上させることができる。樹脂原反の厚みは、その用途、後処理などの観点から、5μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、又は14μm以上であることが好ましく、その上限値は30μm以下であることが好ましい。樹脂原反は樹脂A及び樹脂Bの共押出により形成可能である。
樹脂A層は、目的層である微多孔膜となる層である。樹脂A層に用いられる樹脂Aは、特に限定はされないが、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリメチルペンテン−1などのポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン;ポリアミド;これらの単体又は混合物が良好に用いられる。ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物等が挙げられる。また、樹脂Aとして、メタロセン触媒を利用して得られた分子量分布の狭いポリエチレン、多段重合により得られたHDPE等を使用してよい。
ポリプロピレンとしては、ホモのポリプロピレン、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、又はそれらの混合品を使用してよく、結晶性の高いポリプロピレンが、好適に用いられる。ポリプロピレンのMFR(メルトフローレート、JISK7210に従って温度230℃及び2.16kgf荷重の条件下で測定される)は、好ましくは0.1〜5、より好ましくは0.2〜1の範囲内である。
樹脂A層と剥離可能な樹脂B層は、樹脂A層の製造の為に用いられる層である。本発明でいう剥離可能な状態とは、樹脂A層と樹脂B層の間の剥離強度が、1000g/25mm幅以下であることを意味する。更に、剥離強度は0.05g/25mm幅以上であることが好ましい。この剥離強度とは、剥離工程前の原反、例えばA層/B層の原反をMD150mm×TD25mmに切り出し、その一端をセロテープ(登録商標)等で剥離させ、引張試験機にてMD方向に引張速度250mm/分でT型剥離させたときの剥離強度である。
樹脂A層と樹脂B層の間の剥離強度が1000g/25mm幅を超えると、剥離の際にA層及び/又はB層が破れ易い。剥離強度は、好ましくは500g/25mm幅以下、より好ましくは100g/25mm幅以下、更に好ましくは60g/25mm幅以下、より更に好ましくは20g/25mm幅以下、最も好ましくは10g/25mm幅以下である。剥離強度が10g/25mm幅以下であれば、高速での剥離がより容易となり、原反又は膜が破れずに、良好にA層とB層の剥離が達成されることができる。また剥離強度は0.05g/25mm幅以上であることが好ましく、この数値以上であると、剥離工程の以前に不用意に剥離してしまうことを防げる。
また、樹脂Aが結晶性であるときには、樹脂Bは、好ましくは非晶性ポリマーであり、より好ましくは密度が980kg/m3以上1400kg/m3以下である非晶性ポリマーである。非晶性ポリマーとしては、例えばPETGなどの非晶性PETが挙げられる。
本発明の一実施の形態では、共押出の観点から、樹脂Bの溶融粘度が、好ましくは30000POISE未満かつ8000POISE以上である。なお、せん断速度は、100(1/秒)前後の2点以上の複数点、例えば50(1/秒)と500(1/秒)を測定し、内挿入して求めてよい。
樹脂Bは、その他にも、例えば、ポリフェニレンエーテル等のエンプラ樹脂;ナイロン6、ナイロン6−12、アラミド樹脂等のポリアミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂;エチレンとビニルアルコールの共重合体、C2〜C12のα−オレフィンと一酸化炭素の共重合体及びその水添物;スチレン系重合体の水添物;スチレンとα−オレフィンとの共重合体及びその水添物;スチレンと脂肪族モノ不飽和脂肪酸との共重合体;アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体;スチレンと共役ジエン系不飽和単量体との共重合体及びこれらの水添物から選択される熱可塑性樹脂、ポリケトン等、更にポリブテン−1、ポリメチルペンテン−1等でもよい。
押出成形後、延伸前のB層の厚みは、特に限定はされないが、生産コストの観点からは、できる限り薄い方が好ましく、1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上8μm以下、より更に好ましくは5μm以下、最も好ましくは2.5μm以下である。樹脂Bとして前述のポリエステル系の樹脂を使用すると、樹脂B層の薄膜化が可能となり、特に好ましい。
また、樹脂A層及び/又は樹脂B層は、既知の酸化防止剤を含んでよい。
酸化防止剤としては、例えば、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、「BHT」(いずれも商標、チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のフェノール系酸化防止剤、リン系若しくはイオウ系の二次酸化防止剤、又はヒンダードアミン系の耐候剤等が挙げられ、これらを単独で用いるか、又は複数を混合することができる。
原反又は微多孔膜の強度、光学性及び異物除去性の観点からは、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の組合せが好ましい。具体的には、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチルヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシホスフェピン等である。
酸化防止剤の添加量は、微多孔膜の用途に応じて調整されることができ、一般に、各層の質量を基準として、100PPM〜1質量%の範囲内である。フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用する場合には、フェノール系/リン系の比は、好ましくは1/3〜3/1である。
押出工程では、樹脂A及び樹脂Bを共押出しし、樹脂A層及び樹脂A層と剥離可能な樹脂B層が積層された原反を得る。
「共押出」とは、複数の押出機を使って同時に複数の樹脂を押し出して、積層することを意味し、例えば1台の押出機にA層の原料である樹脂Aを供給し、もう1台の押出機にB層の原料である樹脂Bを供給し、一般の共押出法により、一つの共押出ダイスに導き、製膜してよい。この場合、得られる原反の層構成は、樹脂A層/樹脂B層/樹脂A層、又は樹脂A層/樹脂B層/樹脂A層/樹脂B層/樹脂A層などを取ることができるが、目的層である微多孔膜となる樹脂A層を多く生産する意図、又は樹脂A層の薄膜化の意図等を鑑み適宜選べばよい。
押出工程は、Tダイ法又はインフレーション法のいずれにより行われてもよい。共押出ダイスから押し出された複数の樹脂は、キャスト成形されて、原反を形成する。
1つの実施の形態では、延伸前原反は、目的層(A1)/剥離層(B)/目的層(A2)の3層構造を有し、A1とA2は基本的に同一の微多孔膜となる層であるが、区別の為に便宜上A1、A2と記している(図1(a))。また、A1とA2は、樹脂Aで形成された樹脂A層である限り、相違することができる。
別の実施の形態では、延伸前原反は、目的層(A1)/剥離層(B1)/目的層(A2)/剥離層(B2)/目的層(A3)の5層構造を有する(図1(b))。
さらに別の実施の形態では、延伸前原反は、目的層(A1)/剥離層(B1)/別の微多孔膜になる層(C)/剥離層(B2)/目的層(A2)の5層構造を有する(図1(c))。B1とB2は、剥離される層であるという目的で使用される限り、同一であるか、又は相違することができる。別の微多孔膜になる層(C)は、目的層(A1,A2,A3)に由来する微多孔膜とは異なる微多孔膜を形成する層を示し、例えば、樹脂A層がポリプロピレンであるならば、C層はポリエチレン等に由来する層である。剥離層(B、B1,B2)は、微多孔膜を形成しない層でよく、PET等が有効に用いられる。
剥離工程では、原反を複数の樹脂層に分割する。剥離工程は、少なくとも1つの巻出機と、少なくとも2つの巻取機とを備える剥離装置、例えば、剥離スリッタを用いて行なわれることができる。剥離工程により、1回の押出工程により得られた原反から複数の微多孔膜を同時に取得できるため、微多孔膜の生産性を向上させることができる。
また別の実施形態では、A/B/Aの三層構造の原反を一旦、単層のA層とB/A層の二層原反に剥離した後、二層原反をB層とA層に剥離してもよい。
延伸工程では、目的層である樹脂A層を延伸し、開孔して、微多孔膜を形成する。剥離工程後の樹脂A層又は剥離工程前の原反を延伸工程に供して、樹脂A層を延伸してよい。また、剥離工程により単離された樹脂A層を複数積層して、得られた樹脂A積層体を延伸工程に供することもできる。延伸工程は、熱処理装置と延伸装置により行われることができる。
図2は、本発明の微多孔膜の製造方法のフローを模式的に示す製造ラインの一例であり、A1/B/A2の3層構造を有する延伸前原反から微多孔膜を製造する。図2に示されるとおり、2台の押出機(1A,1B)より其々A層、B層の原料である樹脂A及びBを押出しし、キャスト成形によって原反を成型した後に、(i)剥離工程によって原反から3層を剥離し、所望により複数の樹脂A1層又はA2層をラミネートし、樹脂A層を延伸することにより微多孔膜を形成するか、又は(ii)2つの樹脂A層を含む原反を延伸してから、原反を3層に分割して、A1層及びA2層に由来する2つの微多孔膜を形成してよい。
剥離工程と延伸工程の間にラミネート工程を行う場合には、図2のルート(i)に示されるように樹脂A1層又はA2層に由来する単層膜を複数積層するか、又は図2には示されていないが、樹脂A1層又はA2層に由来する単層膜を少なくとも1つと、その他の層(例えば、図1に示されるB層又はC層など)とを積層してよい。
上記で説明された微多孔膜の製造方法により製造された微多孔膜が、本発明の一態様である。
本発明の製造方法で生産される微多孔膜の厚さは、取り扱いの観点から、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上20μm以下であることがより好ましく、4μm〜10μmであることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、微多孔膜の透気度が、好ましくは10sec/100ml以上5000sec/100ml以下、さらに好ましくは50sec/100ml以上1000sec/100ml以下、よりさらに好ましくは140sec/100以上900sec/100以下である。
上記で説明された微多孔膜の製造方法により製造された微多孔膜のリチウムイオン二次電池用セパレータとしての使用が、本発明の一態様である。本明細書でいうセパレータとは、蓄電デバイス用セパレータにおいて複数の電極の間に配置され、かつイオン透過性及び必要に応じてシャットダウン特性を有する部材をいう。
(I)各層の厚み、及び合計厚み(μm)
走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S4100)による断面観察により、単層の厚み又は積層原反の厚みを測定した。必要に応じて、個別に測定された複数の層厚を合計した。
100mm四方の微多孔膜のサンプルの質量から目付けW(g/cm2)及び微多孔膜を構成する成分(樹脂及び添加剤)の平均密度ρ(g/cm3)を算出し、微多孔膜の厚みd(cm)から下記式にて気孔率を計算した。
全層気孔率(%)=(100−W/(d×ρ))×100
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計「G−B2」(東洋精機製作所(株)製、商標)で微多孔膜の透気度を測定した。
なお、下記表中の透気度の値は、合計厚みを基準とした比例計算により算出した20μm換算の透気度である。
ハンディー圧縮試験器「KES−G5」(カトーテック製、商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、及び突刺速度2mm/secの条件下で突刺試験を行うことにより微多孔膜の突刺強度を求めた。
なお、下記表中の突刺強度の値は、合計厚みを基準とした比例計算により算出した20μm換算の突刺強度である。
走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製 S4100)による微多孔膜の撮影と表面写真の観察により、孔の横方向のサイズを測定し、孔径とした。孔径は0.01μm〜0.1μmの範囲内であれば微多孔膜として「〇(合格)」判定とした。
島津製作所製AG−IS引張試験機を用いて雰囲気温度23±2℃、湿度40±2%の状況下で剥離強度を測定した。サンプルをMD150mm×TD25mmに切り出し、その一端をセロテープ(登録商標)等で剥離させ、引張試験機でMD方向に引張速度250mm/分でT型剥離させたときの剥離強度を測定した。なお、剥離強度測定の際に試験片が破れたものは不合格品と見なす。
長さ1000m及び幅1mの延伸前原反を3つ用意して、それぞれ巻取速度40m/分で剥離スリッタに供給した。原反の剥離を観察し、下記基準に従って剥離性を評価した。
〇(良好):3つの原反が破れずに剥離できる。
×(不良):少なくとも1つの原反が剥離中に破れる。
JISK7210に従って樹脂のMFRを測定した。ポリエチレンはコードD(190℃ 2.16kgf荷重)、ポリプロピレンはコードM(230℃ 2.16kgf荷重)に従って測定した。
使用した樹脂の種類及び物性を下記表1に示す。
表1に示すPP1を樹脂Aとして、PET1を樹脂Bとして用いた3層構造を有する延伸前原反から、延伸法によって、A1層とA2層に由来する2枚の微多孔膜を得る例を示す。PP1を240℃に設定した押出機に供給し、PET1を240℃に設定した押出機に供給し、其々の押出機から押出される溶融ポリマーをA1/B/A2の3層構造となるTダイスに導入し、ダイスから押し出される溶融原反を冷風にて冷却しながらキャストロールに導き、25μmの延伸前3層原反を得た。さらに、この原反を剥離スリッタで剥離し、単独のA1層、A2層を得た。この2枚の樹脂A層を120℃でアニールした後、MDに室温で1.5倍に延伸し、次にMDの張力を緩和せずに120℃で2倍延伸し、その後に巻取り、2枚の微多孔膜を得た。冷延伸の段階で、膜は白化し始め、開孔を示唆している。延伸前原反および微多孔膜の性状、樹脂A層/樹脂B層間の剥離強度等を表2に示す。表2に示すように、7μmの微多孔膜が安定に、2枚同時に得られた。
PE1又はPP1の単層押出により得られた原反から厚み4μmのPP微多孔膜を製膜しようとしたが、キャスト冷却の際に、破膜が多発し、製膜できなかった。
B,B1,B2 剥離層
C 別の微多孔膜になる層
1A,1B 押出機
2 共押出ダイス
3 キャスト成形機
4 熱処理装置
5 延伸(冷延伸/熱延伸)装置
Claims (18)
- 以下の工程:
樹脂A及び樹脂Bを共押出しし、樹脂A層及び前記樹脂A層と剥離可能な樹脂B層が積層された原反を得る押出工程と、
前記押出工程の後に、前記樹脂A層と前記樹脂B層を剥離する剥離工程と、
前記押出工程の後に、前記樹脂A層を延伸して開孔し、微多孔膜を形成する延伸工程と
を含む微多孔膜の製造方法。 - 前記押出工程において、前記原反が、前記樹脂A層/前記樹脂B層/前記樹脂A層の順に積層された少なくとも3層で形成される、請求項1に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂A層と前記樹脂B層の界面での剥離強度が、0.05g/25mm幅以上1000g/25mm幅以下である、請求項1又は2に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂A層が、ポリオレフィン系樹脂を90質量%以上100質量%以下含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂B層が、非ポリオレフィン系樹脂を60質量%以上100質量%以下含む、請求項4に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂Aと前記樹脂Bが、非相溶性である、請求項1〜5の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂Aと前記樹脂Bが、異なる樹脂であり、かつ共押出可能な樹脂である、請求項1〜6の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂Aと前記樹脂Bが、異なる樹脂であり、かつ共延伸可能な樹脂である、請求項1〜7の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記延伸工程の後に、前記剥離工程を行う、請求項8に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂B層が、非結晶樹脂から成る、請求項1〜9の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂B層が、ポリエステル系樹脂を含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記樹脂B層が、250℃以下で押出可能なポリエステル系樹脂から成る、請求項1〜11の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記延伸工程前に、少なくとも1層の前記樹脂A層の厚み及び/又は少なくとも1層の前記樹脂B層の厚みが、1μm以上10μm以下である、請求項1〜12の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記剥離工程後に、前記樹脂B層が再利用される、請求項1〜13の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 前記微多孔膜が、リチウムイオン2次電池のためのセパレータとして使用される、請求項1〜14の何れか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
- 互いに異なる樹脂Aと樹脂Bを含む樹脂原反であって、樹脂A層と、前記樹脂A層と剥離可能な樹脂B層とが共押出された樹脂原反。
- 前記樹脂原反の厚みが、5μm以上30μm以下である、請求項16に記載の樹脂原反。
- リチウムイオン二次電池のためのセパレータの製造における請求項16又は17に記載の樹脂原反の使用。
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