JP2010052237A - 積層微多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
(2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
(3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
(4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
【選択図】なし
Description
リチウム電池に使用される電池用セパレータに対しても、安全性を確保するために、シャットダウン(SD)機能が必須とされている。SD機能とは、電池内部温度が過度に上昇した場合に、電池用セパレータの電気抵抗を急激に上昇させることにより、電池反応を停止させて、それ以上の温度上昇を防止する機能である。上記SD機能の発現機構としては、例えば、微多孔性フィルム製の電池用セパレータの場合、所定の温度まで電池内部温度が上昇した場合、その多孔質構造を喪失して無孔化し、イオン透過を遮断することがあげられる。しかし、このように無孔化してイオン透過を遮断しても、温度がさらに上昇してフィルム全体が溶融し破膜してしまった場合は、電気的絶縁性を維持できなくなってしまう。したがって、このフィルムがその形態を保持できなくなりイオン透過を遮断することができなくなる温度を破膜温度といい、この温度が高いほど電池用セパレータの耐熱性が優れているといえる。また上記破膜温度とSD開始温度との差が大きいほど、安全性に優れているといえる。
また、特許文献2には、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムを別々に成形した後、積層し、延伸することで透気性の良好な積層微多孔性フィルムを製造する方法が開示されている。
また、特許文献2では、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルム積層してから延伸を行うため、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムを別々の条件で成形でき、透気性の良好な積層微多孔性フィルムが得られる。しかし、近年のリチウムイオン二次電池製造工程に絶え得る高い層間剥離強度を確保するために、高い温度で熱圧着を行うと、ポリエチレンフィルムの透気性が低下するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、良好な透気性と、高い層間剥離強度とのバランスに優れた積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することを課題とする。
以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
(2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
(3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
(4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
本実施形態の製造方法により製造される積層微多孔性フィルムは、樹脂組成物Aから構成される微多孔層Aと、樹脂組成物Aよりも低い融点を有する樹脂組成物Bから構成される微多孔層Bと、が積層された構造を有する。
また、微多孔層Bは、比較的低融点の樹脂組成物Bから構成されるフィルムB(以下、「低融点のフィルムB」ということもある。)に対して所定の延伸処理を施して、これを多孔化することにより形成される。フィルムBの熱処理後の弾性回復率は50〜80%であることが好ましく、より好ましくは60〜75%である。
フィルムA、Bの弾性回復率を上記の範囲内とすることは、多孔化の程度が十分な積層微多孔性フィルムを得る観点から好適である。
高融点フィルムAについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、50mm/分の速度で長さ方向に100%まで(すなわち、100mmの長さになるまで)伸長する。その後、直ちに同速度(50mm/分)で試験片を弛緩させて引張試験機にかかる引張荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(1)に基づいて、高融点フィルムAの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((100%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/(伸張前の試験片の長さ)×100・・・(1)
また、低融点フィルムBについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅15mm、長さ2インチ(5.08cm)の短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、2インチ/分の速度で長さ方向に50%まで(すなわち、3インチの長さになるまで)伸長する。次いで、1分間、その伸長状態で試験片を保持し、その後、同速度(2インチ/分)で試験片を弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(2)に基づいて、低融点フィルムBの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((50%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/((50%伸張時の試験片の長さ)−(伸張前の試験片の長さ))×100・・・(2)
(a)法の場合、共押出法により積層を行うので、層間剥離強度については十分な積層フィルムが得られるが、高融点樹脂フィルムと低融点樹脂フィルムを同時に成形(場合によりアニール)するために、各々のフィルムに適した条件で成形、アニールすることができず、その結果、透気性が良好な積層微多孔性フィルムを得ることが難しい傾向となる。
(b)法の場合、成形条件やアニール条件は、各々の樹脂フィルムに適した条件を選択することは可能であるが、フィルムの積層のために熱圧着を行う必要があるところ、高い層間剥離強度を確保するために、高い温度で熱圧着を行うと、低融点樹脂フィルムの透気性が低下する傾向となる。これは、低融点樹脂フィルムの結晶配向が消失することにより、前述した弾性回復率が低下し、延伸による多孔化が効果的に起こらないためと考えられる。
(c)法の場合、熱圧着の前に、樹脂フィルムを延伸して既に多孔化しているので、熱圧着による結晶配向の消失による影響を受けることなく透気度の低い良好な透気性を有するものが得られるようにも思われる。しかし、低融点樹脂フィルムを延伸して得られた微多孔性フィルムは、熱圧着に対する強度が不十分となり、熱圧着の際に多孔質構造が消失してしまう結果、透気度が上昇する問題が生じる傾向となる。また、透気度の上昇を抑制するために、低い温度で熱圧着を行うと層間剥離強度が低くなり、リチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合、電池の製造工程において層間剥離が生じる傾向となる。
冷延伸を施したフィルムには、延伸により多孔質構造が形成されているが、その孔径が比較的小さいため、熱圧着の際の膜の変形に対する強度が高く、その多孔質構造が消失し難い。また、冷延伸を施したフィルムは、高い温度での熱圧着によりフィルム(特に、低融点フィルムB)の結晶配向が消失したとしても、フィルムにはすでに多孔質構造が形成されていることから、後に熱延伸を行うことで、透気性が高い積層微多孔性フィルムが得られる。
まず、フィルムA、Bを用意する工程(1)について説明する。
本実施形態におけるフィルムA及びフィルムBは、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用いて別々に製造することができる。これらのなかでも、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイで製造する方法が好ましい。
いずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比、すなわち、フィルムの巻取速度を樹脂組成物の押出速度で除した値は、好ましくは10〜500、より好ましくは100〜400、更に好ましくは150〜350である。また、フィルムを巻き取る際のフィルムの巻取速度は、好ましくは約2〜400m/分、より好ましくは10〜200m/minである。このようなドロー比とすることは、得られる積層微多孔性フィルムの透気度を向上させる観点から好適である。
工程(1)により得られたフィルムに対しては、まず、冷延伸工程前に必要に応じて熱処理(アニール)を施すことが望ましい。アニールの方法としては、例えば、フィルムを加熱ロール上に接触させる方法又は加熱気相中に曝す方法、フィルムを芯体上に巻き取り加熱気相又は加熱液相中に曝す方法や、これら両者を組み合わせて行う方法が挙げられる。これらの加熱処理の条件は、フィルムを構成する材料の種類等により適宜決定されるが、高融点のフィルムAの場合、例えば、(TmA−60)℃〜(TmA−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間加熱することができる。加熱温度が(TmA−60)℃以上であれば後に得られる積層微多孔性フィルムの透気性が良好となり、(TmA−2)℃以下であればフィルムを芯体上に巻き取った状態でアニールしてもフィルム同士が融着する問題も生じない。より好ましい加熱温度範囲は、(TmA−30)℃〜(TmA−2)である。一方、低融点のフィルムBの場合、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間アニールすることが好ましい。
なお、フィルムAとフィルムBのアニールは、それぞれ別々に行ってもよいし、予めフィルムAとフィルムBを重ねからまとめて同時に行ってもよいが、得られる積層微多孔性フィルムの透気度を向上させる観点から、フィルムAのアニール温度が、フィルムBのアニール温度よりも高いことが好ましい。
工程(2)における冷延伸の延伸温度は、−20℃〜(TmB−30)℃であり、好ましくは0℃以上50℃未満の温度である。−20℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、(TmB−30)℃以上で延伸した場合は、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。
フィルムA、フィルムBの冷延伸は、少なくとも一方向に行うが、好ましくは、フィルムの押出し方向(以下、「MD方向」という。)にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
本実施形態の製造方法は、工程(2)(冷延伸工程)の後に、高融点のフィルムAと低融点のフィルムBとを熱圧着する工程(工程(3))を含む。
熱圧着の方法としては、例えば、フィルムA及びフィルムBを加熱されたロ−ル間に通す方法が挙げられる。この場合、各フィルムは、原反ロ−ルスタンドから巻き出され、加熱されたロ−ル間でニップされ重ねて熱圧着されることで積層される。特に、高融点のフィルムAを2枚の低融点フィルムBで挟むようにしてそれらを積層する場合に、この方法を採用すると好適である。この方法によれば、得られる積層体のカ−ル(湾曲)が抑制され、外傷も受け難いため、最終的に得られる積層微多孔性フィルムの耐熱性、機械的強度等がより良好となる。また、積層微多孔性フィルムを電池用セパレ−タとして用いる場合、その安全性、信頼性等々の特性をより十分に満たす観点からも好適である。
本実施形態においては、フィルムAとフィルムBの熱圧着を高温で行っても、得られる積層微多孔性フィルムの透気性低下を抑制し得るので、熱圧着温度を高くして、フィルムAとフィルムBの層間剥離強度を高くすることができる。
本発明の積層微多孔性フィルムの製造方法は、工程(3)で得られた積層体に対して、第2の延伸を施す熱延伸工程(工程(4))を含む。
これにより、微多孔層A及び微多孔層Bが積層された積層微多孔性フィルムが好ましく得られる。
(TmB−30)℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、(TmB−2)℃より高い温度で延伸した場合は、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。
熱延伸の延伸倍率は、1.0倍を超え5.0倍以下であり、好ましくは1.1倍〜5.0倍、より好ましくは2.0倍〜5.0倍である。
本実施形態においては、工程(4)において、積層体を、(TmB−30)〜(TmB−2)℃の温度で、MD方向に2.0倍〜5.0倍に一軸延伸する。
なお、本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、上述の各延伸工程に加えて、更なる延伸工程を含んでもよい。
この熱固定の方法としては、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが10〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が変化しないように固定する方法が挙げられる。
熱固定温度は、さらに(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃であることが好ましく、(TmB−15)℃〜(TmB−2)℃であることがより好ましい。
本実施形態において樹脂組成物とは、1種類の樹脂(高分子材料)単独、1種類以上の樹脂の混合物、又は、これらに任意の添加剤を添加したものをいう。
このような観点から、TmA―TmBは5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上である。
樹脂組成物Bは、その融点が100℃〜150℃であると、本発明の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた際、電池の安全性が飛躍的に向上するため好ましい。このような樹脂組成物Bを得るためには、融点が100℃〜150℃の樹脂を樹脂組成物Bに含めればよい。そのような樹脂としては、例えばポリエチレンが挙げられ、より具体的には、いわゆる高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが挙げられる。
これらの添加剤の総添加量は、樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
積層微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは20%〜70%、より好ましくは35%〜65%、更に好ましくは45%〜60%である。気孔率を20%以上に設定することにより、積層微多孔性フィルムを電池用途に用いた場合に十分なイオン透過性を確保し得る。一方、気孔率を70%以下に設定することにより、積層微多孔性フィルムが十分な機械強度を確保し得る。
積層微多孔性フィルムの膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
なお、積層微多孔性フィルムの気孔率は、各層を構成する樹脂組成物A、Bの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。
また、積層微多孔性フィルムの気孔率は、フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出される。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
なお、積層微多孔性フィルムの透気度は、各層を構成する樹脂組成物A、Bの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。
また、透気度は、JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計を用いて測定される。
1.ポリプロピレン樹脂(a−1)
プロピレンホモポリマー、MFR=3.0
2.ポリエチレン樹脂(b−1)
密度=964、MFR=1.0
(1)膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて測定した。
(2)気孔率(%)
フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出した。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
(3)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて測定した。なお、膜厚を20μmとした場合の値に換算した値を、そのフィルムの透気度とした。
25°C、65%相対湿度においてTD方向に幅15mm、MD方向に長さ150mmで、予め測定接着面の一部を剥がしたサンプルを作成し、引張試験機にチャック間距離75mmでT状態にセットして500mm/分の速度で測定した。
フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向、TD方向に、それぞれ、10cm間隔で2つずつ(計4つ)の印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、MD方向、TD方向の印間の長さ(cm)を測定し、下記式にてMD方向及びTD方向の熱収縮率を算出した。
MD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のMD方向の長さ(cm))/10×100
TD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のTD方向の長さ(cm))/10×100
ポリプロピレン樹脂(a−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(a−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比250倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、高融点のフィルム(A−1)を成形した。この高融点のフィルム(A−1)を構成するポリプロピレン樹脂(a−1)の融点TmAは165℃であり、熱処理後の弾性回復率は90%であった。
ポリエチレン樹脂(b−1)を、口径20mm、L/D=30、180℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(b−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比300倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、低融点のフィルム(B−1)を成形した。この低融点のフィルム(B−1)を構成するポリエチレン樹脂(b−1)の融点TmBは133℃であり、熱処理後の弾性回復率は72%であった。
高融点のフィルム(A−1)2枚と低融点のフィルム(B−1)1枚を用意し、それぞれを130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施した。次いで、両外層が高融点のフィルム(A−1)、内層が低融点のフィルム(B−1)になるように3枚のフィルムを重ねて、巻き出し速度2.0m/分で巻き出し、25℃の温度でMD方向に1.3倍で一軸延伸(冷延伸工程)した。続いて、3枚のフィルムを重ねたまま加熱ロ−ルに導き、そこで熱圧着温度130℃、線圧2.0kg/cmで熱圧着し、積層フィルム(積層体)を得た。その後、積層フィルムを120℃の温度でMD方向2.0倍で一軸延伸して高融点の微多孔層Aと低融点の微多孔層Bとが積層された積層微多孔性フィルムを得た(熱延伸工程)。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1の熱延伸工程後に、積層微多孔性フィルムに対して、125℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施し、積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
高融点のフィルム(A−1)を140℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施した以外は、実施例2と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
冷延伸工程の前に熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
冷延伸工程の前に熱圧着温度125℃での熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
熱延伸工程の後に熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
熱延伸工程の後に熱圧着温度125℃での熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
これに対し、冷延伸工程の前に熱圧着を行った比較例1の積層微多孔性フィルム、及び、熱延伸工程の後に熱圧着を行った比較例3の積層微多孔性フィルムは、透気度が高く、透気性に劣っていた。透気性は、熱圧着の温度を低くすることにより改善されるが、その代わりに層間剥離強度が低下することが確認された(比較例2、4)。
Claims (5)
- 以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
(2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
(3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
(4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。 - 前記工程(4)の後にさらに以下の工程(5)を含む、請求項1に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
(5)工程(4)で熱延伸された積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の温度で熱固定する工程。 - 前記工程(2)が、フィルムAとフィルムBとをそれぞれアニールした後に冷延伸する工程であって、
フィルムAのアニール温度が、フィルムBのアニール温度よりも高い、請求項1又は2に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。 - 請求項1,2又は3に記載の製造方法により製造された積層微多孔性フィルム。
- 請求項4の積層微多孔性フィルムからなる電池用セパレータ。
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