JP2010052237A - 積層微多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

積層微多孔性フィルム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010052237A
JP2010052237A JP2008218808A JP2008218808A JP2010052237A JP 2010052237 A JP2010052237 A JP 2010052237A JP 2008218808 A JP2008218808 A JP 2008218808A JP 2008218808 A JP2008218808 A JP 2008218808A JP 2010052237 A JP2010052237 A JP 2010052237A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
stretching
melting point
laminated
laminated microporous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008218808A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5258034B2 (ja
Inventor
Teruaki Masako
輝明 真子
Yoko Asami
陽子 浅見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei E Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei E Materials Corp filed Critical Asahi Kasei E Materials Corp
Priority to JP2008218808A priority Critical patent/JP5258034B2/ja
Publication of JP2010052237A publication Critical patent/JP2010052237A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5258034B2 publication Critical patent/JP5258034B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Cell Separators (AREA)

Abstract

【課題】良好な透気性と、高い層間剥離強度とのバランスが優れた積層微多孔性フィルムを提供する。
【解決手段】以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
(2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
(3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
(4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、複数の微多孔性フィルムの積層体である積層微多孔性フィルムの製造方法に関する。
微多孔性フィルム、特にポリオレフィン系微多孔性フィルムは、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料などに使用されており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用されている。また近年、リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの小型電子機器用途として使用されている一方で、ハイブリッド電気自動車などへの応用も図られている。
ここで、ハイブリッド電気自動車用途に用いられるリチウムイオン電池には、短時間に多くのエネルギーを取り出すための、より高い出力特性が要求される。また、ハイブリッド電気自動車用途に用いられるリチウムイオン電池は、一般に大型でかつ高エネルギー容量であるため、より高い安全性が要求される。
リチウム電池に使用される電池用セパレータに対しても、安全性を確保するために、シャットダウン(SD)機能が必須とされている。SD機能とは、電池内部温度が過度に上昇した場合に、電池用セパレータの電気抵抗を急激に上昇させることにより、電池反応を停止させて、それ以上の温度上昇を防止する機能である。上記SD機能の発現機構としては、例えば、微多孔性フィルム製の電池用セパレータの場合、所定の温度まで電池内部温度が上昇した場合、その多孔質構造を喪失して無孔化し、イオン透過を遮断することがあげられる。しかし、このように無孔化してイオン透過を遮断しても、温度がさらに上昇してフィルム全体が溶融し破膜してしまった場合は、電気的絶縁性を維持できなくなってしまう。したがって、このフィルムがその形態を保持できなくなりイオン透過を遮断することができなくなる温度を破膜温度といい、この温度が高いほど電池用セパレータの耐熱性が優れているといえる。また上記破膜温度とSD開始温度との差が大きいほど、安全性に優れているといえる。
このような事情に対応可能なセパレータとなる微多孔性フィルムを提供することを目的として、例えば、特許文献1には、共押出成形法により、高融点樹脂層と低融点樹脂層を有する積層フィルムを成形し、延伸して積層微多孔性フィルムを製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムを別々に成形した後、積層し、延伸することで透気性の良好な積層微多孔性フィルムを製造する方法が開示されている。
特許第2883726号公報 特許第3003830号公報
特許文献1の方法によって得られる電池用セパレータは、安全性には優れるものの、高融点樹脂と低融点樹脂の成形温度等をある程度合わせる必要があり、それぞれに最適な条件で成形することが困難であるため、透気性の良好な積層微多孔性フィルムを得ることが難しかった。
また、特許文献2では、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルム積層してから延伸を行うため、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムを別々の条件で成形でき、透気性の良好な積層微多孔性フィルムが得られる。しかし、近年のリチウムイオン二次電池製造工程に絶え得る高い層間剥離強度を確保するために、高い温度で熱圧着を行うと、ポリエチレンフィルムの透気性が低下するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、良好な透気性と、高い層間剥離強度とのバランスに優れた積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することを課題とする。
本発明者らは前述の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、比較的高融点を有する樹脂フィルムと比較的低融点を有する樹脂フィルムを低温で延伸した後、熱圧着し、次いで、より高い温度で延伸することにより、リチウムイオン二次電池用セパレータとして用いるのに適した、良好な透気性と層間剥離強度とを兼ね備えた積層微多孔フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
(2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
(3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
(4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
本発明によると、良好な透気性と、高い層間剥離強度とのバランスが優れた積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた電池用セパレータを提供することができる。
以下、本発明について、具体的な実施態様(以下、「本実施形態」と略記する)を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の製造方法の説明に先立ち、本実施形態の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムについて簡単に説明する。
本実施形態の製造方法により製造される積層微多孔性フィルムは、樹脂組成物Aから構成される微多孔層Aと、樹脂組成物Aよりも低い融点を有する樹脂組成物Bから構成される微多孔層Bと、が積層された構造を有する。
微多孔層Aは、比較的高融点の樹脂組成物Aから構成されるフィルムA(以下、「高融点のフィルムA」ということもある。)に対して所定の延伸処理を施して、これを多孔化することにより形成される。フィルムAの熱処理後の弾性回復率は、80〜95%であることが好ましく、より好ましくは84〜92%である。
また、微多孔層Bは、比較的低融点の樹脂組成物Bから構成されるフィルムB(以下、「低融点のフィルムB」ということもある。)に対して所定の延伸処理を施して、これを多孔化することにより形成される。フィルムBの熱処理後の弾性回復率は50〜80%であることが好ましく、より好ましくは60〜75%である。
フィルムA、Bの弾性回復率を上記の範囲内とすることは、多孔化の程度が十分な積層微多孔性フィルムを得る観点から好適である。
ここで、フィルムA、Bの「熱処理後の弾性回復率」は、それぞれ、下記のようにして導出される。
高融点フィルムAについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、50mm/分の速度で長さ方向に100%まで(すなわち、100mmの長さになるまで)伸長する。その後、直ちに同速度(50mm/分)で試験片を弛緩させて引張試験機にかかる引張荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(1)に基づいて、高融点フィルムAの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((100%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/(伸張前の試験片の長さ)×100・・・(1)
また、低融点フィルムBについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅15mm、長さ2インチ(5.08cm)の短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、2インチ/分の速度で長さ方向に50%まで(すなわち、3インチの長さになるまで)伸長する。次いで、1分間、その伸長状態で試験片を保持し、その後、同速度(2インチ/分)で試験片を弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(2)に基づいて、低融点フィルムBの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((50%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/((50%伸張時の試験片の長さ)−(伸張前の試験片の長さ))×100・・・(2)
従来、積層微多孔性フィルムは、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用い、(a)共押出法により高融点樹脂フィルムと低融点樹脂フィルムの積層フィルムを成形し、その後、延伸して多孔化する方法、(b)高融点樹脂フィルムと低融点樹脂フィルムを別々に押出成形した後に熱圧着により積層し、その後、延伸して多孔化する方法、(c)高融点樹脂フィルムと低融点樹脂フィルムを別々に押出成形し、延伸して多孔化した後に、フィルムを熱圧着により積層する方法等により製造されている。
しかし、これらの方法には、それぞれ、以下のような観点からなお改良の余地があった。
(a)法の場合、共押出法により積層を行うので、層間剥離強度については十分な積層フィルムが得られるが、高融点樹脂フィルムと低融点樹脂フィルムを同時に成形(場合によりアニール)するために、各々のフィルムに適した条件で成形、アニールすることができず、その結果、透気性が良好な積層微多孔性フィルムを得ることが難しい傾向となる。
(b)法の場合、成形条件やアニール条件は、各々の樹脂フィルムに適した条件を選択することは可能であるが、フィルムの積層のために熱圧着を行う必要があるところ、高い層間剥離強度を確保するために、高い温度で熱圧着を行うと、低融点樹脂フィルムの透気性が低下する傾向となる。これは、低融点樹脂フィルムの結晶配向が消失することにより、前述した弾性回復率が低下し、延伸による多孔化が効果的に起こらないためと考えられる。
(c)法の場合、熱圧着の前に、樹脂フィルムを延伸して既に多孔化しているので、熱圧着による結晶配向の消失による影響を受けることなく透気度の低い良好な透気性を有するものが得られるようにも思われる。しかし、低融点樹脂フィルムを延伸して得られた微多孔性フィルムは、熱圧着に対する強度が不十分となり、熱圧着の際に多孔質構造が消失してしまう結果、透気度が上昇する問題が生じる傾向となる。また、透気度の上昇を抑制するために、低い温度で熱圧着を行うと層間剥離強度が低くなり、リチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合、電池の製造工程において層間剥離が生じる傾向となる。
このような従来技術に対して、本実施形態の製造方法では、高融点を有する樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、低融点を有する樹脂組成物Bから構成されるフィルムBとを別々に用意し、低温での延伸(冷延伸)とより高い温度での延伸(熱延伸)の2段階の延伸により多孔化すると共に、両者の熱圧着を冷延伸と熱延伸との間に行うことにより、積層微多孔性フィルムにおける良好な透気性と高い層間剥離強度の両立を実現した。
即ち、本実施形態の製造方法は、高融点のフィルムAと低融点のフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で少なくとも一方向に1.05〜2.0倍に冷延伸した後、フィルムAとフィルムBを熱圧着し、次いで、得られた積層体を(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の温度に保持された状態で1.0倍を超え5.0倍以下に延伸することを特徴とする。
本実施形態においては、フィルムA、B(特に、低融点のフィルムB)を、予め−20℃〜(TmB−30)℃で少なくとも一方向に冷延伸した後に、フィルムAとフィルムBの熱圧着を行うと、驚くべきことに、従来の製造方法で製造した場合であれば、積層微多孔性フィルム(特に、低融点のフィルムBから得られる微多孔層B)の透気性が低下してしまうような高い温度で熱圧着を行っても、透気性の高い積層微多孔性フィルムが得られるという知見に基づき、積層微多孔性フィルムにおける良好な透気性と高い層間剥離強度の両立を実現している。
フィルムA、Bを予め冷延伸をしてから熱圧着を行うと、高温で熱圧着しても、得られる積層微多孔性フィルムの透気性が低下しない理由については完全には解明できていないが、おそらく、以下のような理由によると推測される。
冷延伸を施したフィルムには、延伸により多孔質構造が形成されているが、その孔径が比較的小さいため、熱圧着の際の膜の変形に対する強度が高く、その多孔質構造が消失し難い。また、冷延伸を施したフィルムは、高い温度での熱圧着によりフィルム(特に、低融点フィルムB)の結晶配向が消失したとしても、フィルムにはすでに多孔質構造が形成されていることから、後に熱延伸を行うことで、透気性が高い積層微多孔性フィルムが得られる。
以下に、本実施形態の製造方法の各工程について詳細に説明する。
まず、フィルムA、Bを用意する工程(1)について説明する。
本実施形態におけるフィルムA及びフィルムBは、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用いて別々に製造することができる。これらのなかでも、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイで製造する方法が好ましい。
いずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比、すなわち、フィルムの巻取速度を樹脂組成物の押出速度で除した値は、好ましくは10〜500、より好ましくは100〜400、更に好ましくは150〜350である。また、フィルムを巻き取る際のフィルムの巻取速度は、好ましくは約2〜400m/分、より好ましくは10〜200m/minである。このようなドロー比とすることは、得られる積層微多孔性フィルムの透気度を向上させる観点から好適である。
次に、工程(2)について説明する。工程(2)は、フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程である。
工程(1)により得られたフィルムに対しては、まず、冷延伸工程前に必要に応じて熱処理(アニール)を施すことが望ましい。アニールの方法としては、例えば、フィルムを加熱ロール上に接触させる方法又は加熱気相中に曝す方法、フィルムを芯体上に巻き取り加熱気相又は加熱液相中に曝す方法や、これら両者を組み合わせて行う方法が挙げられる。これらの加熱処理の条件は、フィルムを構成する材料の種類等により適宜決定されるが、高融点のフィルムAの場合、例えば、(TmA−60)℃〜(TmA−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間加熱することができる。加熱温度が(TmA−60)℃以上であれば後に得られる積層微多孔性フィルムの透気性が良好となり、(TmA−2)℃以下であればフィルムを芯体上に巻き取った状態でアニールしてもフィルム同士が融着する問題も生じない。より好ましい加熱温度範囲は、(TmA−30)℃〜(TmA−2)である。一方、低融点のフィルムBの場合、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間アニールすることが好ましい。
なお、フィルムAとフィルムBのアニールは、それぞれ別々に行ってもよいし、予めフィルムAとフィルムBを重ねからまとめて同時に行ってもよいが、得られる積層微多孔性フィルムの透気度を向上させる観点から、フィルムAのアニール温度が、フィルムBのアニール温度よりも高いことが好ましい。
工程(2)において、フィルムAとフィルムBの冷延伸は、それぞれ別々に行ってもよいし、予めフィルムAとフィルムBを重ねからまとめて同時に行ってもよい。
工程(2)における冷延伸の延伸温度は、−20℃〜(TmB−30)℃であり、好ましくは0℃以上50℃未満の温度である。−20℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、(TmB−30)℃以上で延伸した場合は、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。
工程(2)における冷延伸の延伸倍率は、1.05倍〜2.0倍であり、好ましくは1.1倍以上2.0倍未満である。
フィルムA、フィルムBの冷延伸は、少なくとも一方向に行うが、好ましくは、フィルムの押出し方向(以下、「MD方向」という。)にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
本実施態様においては、工程(2)において、フィルムA、Bを、0℃以上(TmB−70)℃未満の温度で、MD方向に1.1倍〜2.0倍に一軸延伸することが好ましい。
次に、工程(3)について説明する。
本実施形態の製造方法は、工程(2)(冷延伸工程)の後に、高融点のフィルムAと低融点のフィルムBとを熱圧着する工程(工程(3))を含む。
熱圧着の方法としては、例えば、フィルムA及びフィルムBを加熱されたロ−ル間に通す方法が挙げられる。この場合、各フィルムは、原反ロ−ルスタンドから巻き出され、加熱されたロ−ル間でニップされ重ねて熱圧着されることで積層される。特に、高融点のフィルムAを2枚の低融点フィルムBで挟むようにしてそれらを積層する場合に、この方法を採用すると好適である。この方法によれば、得られる積層体のカ−ル(湾曲)が抑制され、外傷も受け難いため、最終的に得られる積層微多孔性フィルムの耐熱性、機械的強度等がより良好となる。また、積層微多孔性フィルムを電池用セパレ−タとして用いる場合、その安全性、信頼性等々の特性をより十分に満たす観点からも好適である。
熱圧着温度(例えば、加熱されたロ−ルの温度)は、好ましくは(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃であり、より好ましくは(TmB−10)℃〜(TmB−2)℃である。熱圧着温度が(TmB−30)℃未満であると、積層フィルム間の剥離強度が弱くなり、その後の工程(4)(熱延伸工程)で剥がれが生じやすくなる傾向がある。また、熱圧着温度が(TmB−2)℃を超えると、低融点のフィルムBが溶融し、所期の課題を満たす積層微多孔性フィルムが得られ難くなる傾向がある。
本実施形態においては、フィルムAとフィルムBの熱圧着を高温で行っても、得られる積層微多孔性フィルムの透気性低下を抑制し得るので、熱圧着温度を高くして、フィルムAとフィルムBの層間剥離強度を高くすることができる。
熱圧着する際に負荷する圧力(例えば、加熱されたロール間のニップ圧)は、1〜6kg/cm2が好ましく、より好ましくは3〜6kg/cm2である。巻き出し速度は0.5〜8m/分が適当である。
フィルムAとフィルムBを熱圧着する際のフィルムAとフィルムBの積層の態様は特に限定されない。任意の層構成の積層微多孔性フィルムを製造できるように積層すればよい。層構成の具体例としては、(a)1つの微多孔層Aと1つの微多孔層Bとからなる積層微多孔性フィルム、(b)1つの微多孔層Aとその両側に積層された微多孔層Bとからなる積層微多孔性フィルム、(c)1つの微多孔層Bとその両側に積層された微多孔層Aとからなる積層微多孔性フィルム、(d)微多孔層A−微多孔層B−微多孔層A−微多孔層Bというように、それぞれの微多孔層が交互に配置された積層微多孔性フィルムが挙げられる。
次に、工程(4)について説明する。
本発明の積層微多孔性フィルムの製造方法は、工程(3)で得られた積層体に対して、第2の延伸を施す熱延伸工程(工程(4))を含む。
これにより、微多孔層A及び微多孔層Bが積層された積層微多孔性フィルムが好ましく得られる。
熱延伸の延伸温度は、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃である。
(TmB−30)℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、(TmB−2)℃より高い温度で延伸した場合は、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。
熱延伸の延伸倍率は、1.0倍を超え5.0倍以下であり、好ましくは1.1倍〜5.0倍、より好ましくは2.0倍〜5.0倍である。
熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことである。
本実施形態においては、工程(4)において、積層体を、(TmB−30)〜(TmB−2)℃の温度で、MD方向に2.0倍〜5.0倍に一軸延伸する。
本実施形態の製造方法が、冷延伸工程と熱延伸工程の2段階の延伸工程を含むことは、積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から好ましい。例えば、積層微多孔性フィルムの製造方法が延伸工程を1段階で行う場合、得られる積層微多孔性フィルムは、要求された物性を満たし難くなる傾向がある。
なお、本実施形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、上述の各延伸工程に加えて、更なる延伸工程を含んでもよい。
また、驚くべきことに、冷延伸工程及び熱延伸工程における延伸温度と延伸倍率を上記の範囲に設定することで、得られる積層微多孔性フィルムに予想以上の透過性を付与できることが分かった。例えば、特開平8−34872号公報で示されるように、熱可塑性樹脂組成物のシートに対して熱延伸のみ行う(1段階の延伸を行う)と、得られたフィルム中に空孔は形成されるものの、連通孔の形成(空孔が3次元的に連結して、膜厚方向に貫通孔となること)が十分に起こらず、膜厚方向の十分な透過性は得ることができない。これに対し、本実施形態の製造方法では、その理由は明らかではないが、特定の延伸温度と延伸倍率で冷延伸と熱延伸を行うことで、空孔の生成と、連通孔の形成が良好になされることが分かった。
さらに、本実施形態の製造方法は、工程(4)において得られた積層微多孔性フィルムに対して、(TmB−60)℃〜(TmB−2)℃で熱固定を施す工程(工程(5))を含むことが好ましい。このような熱固定工程を設けることは、延伸時に作用した応力残留による積層微多孔性フィルムの延伸方向への収縮を抑制し得るばかりか、得られる積層微多孔性フィルムの層間剥離強度を向上させる観点から好適である。
この熱固定の方法としては、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが10〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が変化しないように固定する方法が挙げられる。
熱固定温度は、さらに(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃であることが好ましく、(TmB−15)℃〜(TmB−2)℃であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法における冷延伸工程、熱延伸工程、その他の延伸工程及び熱固定を施す工程において、延伸又は熱固定は、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に行うことができる。特に、本発明において得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸/固定を行うことが好ましい。
次に、本実施形態の製造方法において用いるフィルムA、Bを構成する材料である、樹脂組成物A、Bについて説明する。
本実施形態において樹脂組成物とは、1種類の樹脂(高分子材料)単独、1種類以上の樹脂の混合物、又は、これらに任意の添加剤を添加したものをいう。
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは、JIS K−7121に準拠の方法で測定した融点(以下、単に「融点」という。)が異なるものであれば、その種類や共重合割合等は同じであっても異なっていてもよい。
ここで、樹脂組成物Aの融点TmAと樹脂組成物Bの融点TmBとの差(TmA―TmB)は大きい方が好ましい。その融点の差が小さいと、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂組成物Bから構成される微多孔層が溶融すると間もなく高融点の樹脂組成物Aから構成される微多孔層も溶融してしまうことがある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持されず、安全性が低下する傾向にある。
このような観点から、TmA―TmBは5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上である。
フィルムAを構成する樹脂組成物Aの具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のエチレン共重合体;又はこれらを含む組成物を挙げることができる。
フィルムBを構成する樹脂組成物Bの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル;又はこれらを含む組成物を挙げることができる。
樹脂組成物Bは、その融点が100℃〜150℃であると、本発明の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた際、電池の安全性が飛躍的に向上するため好ましい。このような樹脂組成物Bを得るためには、融点が100℃〜150℃の樹脂を樹脂組成物Bに含めればよい。そのような樹脂としては、例えばポリエチレンが挙げられ、より具体的には、いわゆる高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが挙げられる。
樹脂組成物A、Bには、各種目的に応じて、樹脂(高分子材料)以外の任意の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
これらの添加剤の総添加量は、樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
次に、本実施形態の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムの物性について説明する。
積層微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは20%〜70%、より好ましくは35%〜65%、更に好ましくは45%〜60%である。気孔率を20%以上に設定することにより、積層微多孔性フィルムを電池用途に用いた場合に十分なイオン透過性を確保し得る。一方、気孔率を70%以下に設定することにより、積層微多孔性フィルムが十分な機械強度を確保し得る。
積層微多孔性フィルムの膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
なお、積層微多孔性フィルムの気孔率は、各層を構成する樹脂組成物A、Bの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。
また、積層微多孔性フィルムの気孔率は、フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出される。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
積層微多孔性フィルムの透気度は、好ましくは10秒/100cc〜5000秒/100cc、より好ましくは50秒/100cc〜1000秒/100cc、更に好ましくは100秒/100cc〜500秒/100ccである。透気度を5000秒/100cc以下とすることは、積層微多孔性フィルムの十分なイオン透過性を確保することに寄与し得る。一方、透気度を10秒/100cc以上とすることは、欠陥のないより均質な積層微多孔性フィルムを得る観点から好適である。
なお、積層微多孔性フィルムの透気度は、各層を構成する樹脂組成物A、Bの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。
また、透気度は、JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計を用いて測定される。
積層微多孔性フィルムの層間剥離強度は、10〜100g/15mmの範囲が好ましく、より好ましくは、30〜100g/15mmである。尚、層間剥離強度は25°C、65%相対湿度においてTD方向に幅15mm、MD方向に長さ150mmで、予め測定接着面の一部を剥がした試料を作成し、引張試験機にチャック間距離75mmでT状態にセットして500mm/分の速度で測定した値である。
本実施形態の製造方法により製造された積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、より具体的にはリチウム二次電池用セパレータとして好適に用いられる。その他、各種分離膜としても用いられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、用いた原材料及び各種特性の評価方法は下記の通りである。
まず、メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠し、ポリプロピレン樹脂については210℃、2.16kgの条件で、ポリエチレン樹脂については190℃、2.16kgの条件で測定した値であり、単位はg/10分である。ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K 7112に準拠し測定した値であり、その単位はkg/m3である。
樹脂組成物A、樹脂組成物Bとして、下記のポリプロピレン樹脂(a−1)、ポリエチレン樹脂(b−1)を用いた。
1.ポリプロピレン樹脂(a−1)
プロピレンホモポリマー、MFR=3.0
2.ポリエチレン樹脂(b−1)
密度=964、MFR=1.0
各フィルムの特性は下記のようにして測定した。
(1)膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて測定した。
(2)気孔率(%)
フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出した。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
(3)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて測定した。なお、膜厚を20μmとした場合の値に換算した値を、そのフィルムの透気度とした。
(4)層間剥離強度
25°C、65%相対湿度においてTD方向に幅15mm、MD方向に長さ150mmで、予め測定接着面の一部を剥がしたサンプルを作成し、引張試験機にチャック間距離75mmでT状態にセットして500mm/分の速度で測定した。
(5)熱収縮率
フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向、TD方向に、それぞれ、10cm間隔で2つずつ(計4つ)の印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、MD方向、TD方向の印間の長さ(cm)を測定し、下記式にてMD方向及びTD方向の熱収縮率を算出した。
MD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のMD方向の長さ(cm))/10×100
TD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のTD方向の長さ(cm))/10×100
[製造例1](フィルムAの製造)
ポリプロピレン樹脂(a−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(a−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比250倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、高融点のフィルム(A−1)を成形した。この高融点のフィルム(A−1)を構成するポリプロピレン樹脂(a−1)の融点TmAは165℃であり、熱処理後の弾性回復率は90%であった。
[製造例2](フィルムBの製造)
ポリエチレン樹脂(b−1)を、口径20mm、L/D=30、180℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(b−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比300倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、低融点のフィルム(B−1)を成形した。この低融点のフィルム(B−1)を構成するポリエチレン樹脂(b−1)の融点TmBは133℃であり、熱処理後の弾性回復率は72%であった。
[実施例1]
高融点のフィルム(A−1)2枚と低融点のフィルム(B−1)1枚を用意し、それぞれを130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施した。次いで、両外層が高融点のフィルム(A−1)、内層が低融点のフィルム(B−1)になるように3枚のフィルムを重ねて、巻き出し速度2.0m/分で巻き出し、25℃の温度でMD方向に1.3倍で一軸延伸(冷延伸工程)した。続いて、3枚のフィルムを重ねたまま加熱ロ−ルに導き、そこで熱圧着温度130℃、線圧2.0kg/cmで熱圧着し、積層フィルム(積層体)を得た。その後、積層フィルムを120℃の温度でMD方向2.0倍で一軸延伸して高融点の微多孔層Aと低融点の微多孔層Bとが積層された積層微多孔性フィルムを得た(熱延伸工程)。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の熱延伸工程後に、積層微多孔性フィルムに対して、125℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施し、積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
高融点のフィルム(A−1)を140℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施した以外は、実施例2と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
冷延伸工程の前に熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
冷延伸工程の前に熱圧着温度125℃での熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
熱延伸工程の後に熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例4]
熱延伸工程の後に熱圧着温度125℃での熱圧着を行った以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、気孔率、透気度、層間剥離強度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2010052237
本発明の製造方法により製造された実施例1〜3の積層微多孔性フィルムは、いずれも、高い層間剥離強度と、良好な透気性(低い透気度)を兼ね備えていた。
これに対し、冷延伸工程の前に熱圧着を行った比較例1の積層微多孔性フィルム、及び、熱延伸工程の後に熱圧着を行った比較例3の積層微多孔性フィルムは、透気度が高く、透気性に劣っていた。透気性は、熱圧着の温度を低くすることにより改善されるが、その代わりに層間剥離強度が低下することが確認された(比較例2、4)。

Claims (5)

  1. 以下の工程(1)〜(4)をこの順で含む、積層微多孔性フィルムの製造方法(ただし、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である):
    (1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを用意する工程、
    (2)フィルムAとフィルムBを、それぞれ、−20℃〜(TmB−30)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程、
    (3)冷延伸されたフィルムAと、冷延伸されたフィルムBとを熱圧着して積層体を形成する工程、
    (4)工程(3)において得られた積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.0倍を超え5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
  2. 前記工程(4)の後にさらに以下の工程(5)を含む、請求項1に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
    (5)工程(4)で熱延伸された積層体を、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の温度で熱固定する工程。
  3. 前記工程(2)が、フィルムAとフィルムBとをそれぞれアニールした後に冷延伸する工程であって、
    フィルムAのアニール温度が、フィルムBのアニール温度よりも高い、請求項1又は2に記載の積層微多孔性フィルムの製造方法。
  4. 請求項1,2又は3に記載の製造方法により製造された積層微多孔性フィルム。
  5. 請求項4の積層微多孔性フィルムからなる電池用セパレータ。
JP2008218808A 2008-08-27 2008-08-27 積層微多孔性フィルムの製造方法 Active JP5258034B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008218808A JP5258034B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 積層微多孔性フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008218808A JP5258034B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 積層微多孔性フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010052237A true JP2010052237A (ja) 2010-03-11
JP5258034B2 JP5258034B2 (ja) 2013-08-07

Family

ID=42068679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008218808A Active JP5258034B2 (ja) 2008-08-27 2008-08-27 積層微多孔性フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5258034B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010137509A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Asahi Kasei E-Materials Corp 積層微多孔性フィルム及びその製造方法
WO2012029698A1 (ja) * 2010-09-02 2012-03-08 東レ株式会社 複合多孔質膜及びその製造方法
JP2012161936A (ja) * 2011-02-03 2012-08-30 Asahi Kasei E-Materials Corp 積層微多孔性フィルムの製造方法、及び電池用セパレータ
CN102700222A (zh) * 2012-05-02 2012-10-03 达尼特材料科技(芜湖)有限公司 多孔膜及其制造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6253813A (ja) * 1985-09-03 1987-03-09 Asahi Chem Ind Co Ltd 積層多孔膜の製造方法
JPH1050286A (ja) * 1996-08-06 1998-02-20 Ube Ind Ltd 電池用セパレータの製造法
JPH10100344A (ja) * 1996-08-06 1998-04-21 Ube Ind Ltd 積層多孔質ポリオレフィンフイルム及びその製法
JP2883726B2 (ja) * 1990-11-14 1999-04-19 日東電工株式会社 電池用セパレータの製造法
JP3003830B2 (ja) * 1994-05-12 2000-01-31 宇部興産株式会社 積層多孔質フイルム及びその製法
JP2008094911A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多孔質フィルムおよびその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6253813A (ja) * 1985-09-03 1987-03-09 Asahi Chem Ind Co Ltd 積層多孔膜の製造方法
JP2883726B2 (ja) * 1990-11-14 1999-04-19 日東電工株式会社 電池用セパレータの製造法
JP3003830B2 (ja) * 1994-05-12 2000-01-31 宇部興産株式会社 積層多孔質フイルム及びその製法
JPH1050286A (ja) * 1996-08-06 1998-02-20 Ube Ind Ltd 電池用セパレータの製造法
JPH10100344A (ja) * 1996-08-06 1998-04-21 Ube Ind Ltd 積層多孔質ポリオレフィンフイルム及びその製法
JP2008094911A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 多孔質フィルムおよびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010137509A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Asahi Kasei E-Materials Corp 積層微多孔性フィルム及びその製造方法
WO2012029698A1 (ja) * 2010-09-02 2012-03-08 東レ株式会社 複合多孔質膜及びその製造方法
JP2012161936A (ja) * 2011-02-03 2012-08-30 Asahi Kasei E-Materials Corp 積層微多孔性フィルムの製造方法、及び電池用セパレータ
CN102700222A (zh) * 2012-05-02 2012-10-03 达尼特材料科技(芜湖)有限公司 多孔膜及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5258034B2 (ja) 2013-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20240006712A1 (en) Multilayer microporous separators for lithium ion secondary batteries and related methods
US9991488B2 (en) Polyolefin-based porous film and method for producing the same
JP5669864B2 (ja) 耐熱性に優れた多層多孔フィルム
JP4704513B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
US8927135B2 (en) Microporous foil for batteries having shutdown function
JP2012161936A (ja) 積層微多孔性フィルムの製造方法、及び電池用セパレータ
JP5258034B2 (ja) 積層微多孔性フィルムの製造方法
CN108336280B (zh) 一种复合隔膜及其制备方法和应用
JP6000590B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及び電池用セパレータ
JP5812747B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP5361363B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法
JP2012015073A (ja) 微多孔性フィルム、その製造方法及び電池用セパレータ
JP6294176B2 (ja) 微多孔性フィルムの製造方法
JP6486620B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP5295064B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP2011126122A (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP6356000B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP5363141B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法
JP2011073277A (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP6486621B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
KR102187529B1 (ko) 다층 다공성 분리막
JP6345513B2 (ja) 微多孔性フィルムの製造方法
JP6522898B2 (ja) 積層多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP6359368B2 (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法、並びに電池用セパレータ
JP2016013661A (ja) 積層微多孔性フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130419

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160502

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5258034

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350