JP2019193343A - アクチュエータ - Google Patents

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靖 長谷川
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Kazuhiko Yanagisawa
一彦 柳沢
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Abstract

【課題】支持体と可動体との間に配置した共振防止用のゲル状部材のサイズや材質を変更しなくても、可動体の共振周波数を適正化することのできるアクチュエータを提供すること。【解決手段】アクチュエータにおいて、支持体2と可動体6とが対向する部分にゲル状部材91が配置されている。ゲル状部材91は、可動体6および支持体2に第1接着剤層96および第2接着剤層97により接着されており、ゲル状部材91は、中間部分910より第1接着剤層96側および第2接着剤層97側に中間部分910より硬度が高い第1部分911および第2部分912を有している。第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さを変えると、ゲル状部材91のバネ定数が変化するので、第1接着剤層96および第2接着剤層97を適正な厚さとする。ゲル状部材91、第1接着剤層96、および第2接着剤層97は、付加反応型であり、ベースポリマーが同一種類である。【選択図】図6

Description

本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関するものである。
情報を振動によって報知するデバイスとして、永久磁石を備えた可動体と、永久磁石と対向するコイルを有する支持体とを備えたアクチュエータが提案されている。かかるアクチュエータでは、支持体と可動体とが対向する部分にゲル状部材が配置されており、支持体に対して可動体が変位する際の共振周波数をゲル状部材によって制御することによって、可動体の共振を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献1には、ゲル状部材を支持体および可動体に対して接着剤によって固定しておくことが提案されている。
特開2015−177655号公報
特許文献1等に記載のアクチュエータのように、可動体の共振周波数をゲル状部材によって制御する場合、ゲル状部材のバネ定数を適正な値に設定して共振周波数を適正なレベルとする必要がある。それには、可動体の質量等に応じて、ゲル状部材のサイズや材質を適正化する必要がある。それ故、可動体の質量等の仕様が異なるアクチュエータを製造するには、アクチュエータの各仕様に対応できる種類のゲル状部材を準備する必要があるという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、支持体と可動体との間に配置した共振防止用のゲル状部材のサイズや材質を変更しなくても、可動体の共振周波数を適正化することのできるアクチュエータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明者は、各種検討を行った結果、ゲル状部材を接着剤層によって固定する際、接着剤とゲル状部材との組み合わせによっては、接着剤層の厚さによって共振周波数が変化するという新たな知見を得た。また、本願発明者が検討した結果、ゲル状部材を接着剤層によって固定した際、ゲル状部材の厚さ方向において接着剤層側に位置する部分の硬度が上昇するとともに、接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)を厚くすると、ゲル状部材において接着剤層側で硬度が上昇する部分では、厚さや硬度が増大するという知見を得た。それ故、上記の理由は、接着剤層の厚さによってゲル状部材のバネ定数が変化し、共振周波数が変化すると考えられる。本発明は上記の知見に基づいて達成されたものであり、以下の構成を有している。
本発明に係るアクチュエータは、支持体と、前記支持体に対して移動可能な可動体と、前記支持体と前記可動体とが対向する部分に前記支持体および前記可動体の双方に接するように配置され、前記支持体および前記可動体の一方側部材に第1接着剤層により接着されたゲル状部材と、前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動回路と、を有し、前記ゲル状部材は、前記支持体と前記可動体とが対向する厚さ方向における中間部分より前記第1接着剤層側に前記中間部分より硬度が高い第1部分を有することを特徴とする。
本発明では、ゲル状部材が支持体と可動体とが対向する部分に支持体および可動体の双方に接するように配置されており、ゲル状部材は、可動体が支持体に対して相対移動する際の振動を吸収する。また、ゲル状部材のバネ定数を可動体の質量に対応する適正な値にすれば、可動体の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体の共振を防止することができる。ここで、ゲル状部材は、支持体および可動体の一方側部材に第1接着剤層により接着されており、ゲル状部材は、支持体と可動体とが対向する厚さ方向における中間部分より第1接着剤層側に中間部分より硬度が高い第1部分を有している。かかる第1部分の厚さや硬度は、ゲル状部材を第1接着剤層によって固定する際の第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)によって変化する。従って、ゲル状部材を第1接着剤層によって固定する際の第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)を可動体の質量に対応する適正な値に設定すれば、ゲル状部材のバネ定数を適正な値とすることができるので、可動体の共振周波数を適正な値とすることができ、可動体の共振を防止することができる。よって、可動体の質量が異なる仕様のアクチュエータを製造するにあたって、アクチュエータの各仕様に対応してゲル状部材のサイズや材質を変更しなくても、第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)を可動体の質量に対応する適正な値に設定することにより、可動体の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体の共振を防止することができる。
本発明において、前記ゲル状部材と前記第1接着剤層とでは、ベースポリマーが同一種類である態様を採用することができる。例えば、前記ゲル状部材および前記第1接着剤層はいずれも、前記ベースポリマーがシリコーン系である態様を採用することができる。かかる態様によれば、ゲル状部材の第1接着剤層側に中間部分より硬度が高い第1部分を適正に形成することができる。
本発明において、前記ゲル状部材および前記第1接着剤層はいずれも付加反応型である態様を採用することができる。
本発明において、前記ゲル状部材は、前記支持体および前記可動体の他方側部材に第2接着剤層により接着されている態様を採用することができる。かかる態様によれば、ゲル状部材は、可動体の移動に確実に追従するので、可動体の共振を効果的に防止することができる。
本発明において、前記ゲル状部材は、前記中間部分より前記第2接着剤層側に前記中間部分より硬度が高い第2部分を有する態様を採用することができる。
本発明において、前記ゲル状部材と前記第2接着剤層とでは、ベースポリマーが同一種類である態様を採用することができる。例えば、前記ゲル状部材および前記第2接着剤層はいずれも、前記ベースポリマーがシリコーン系である態様を採用することができる。かかる態様によれば、ゲル状部材の第2接着剤層側に中間部分より硬度が高い第2部分を適正に形成することができる。
本発明において、前記ゲル状部材および前記2接着剤層はいずれも付加反応型である態様を採用することができる。
本発明において、前記第1接着剤層と前記第2接着剤層とは厚さが異なる態様を採用することができる。
本発明において、前記支持体に対する前記可動体の共振周波数が前記ゲル状部材によって制御されている態様を採用することができる。
本発明において、前記磁気駆動回路は、前記可動体を前記支持体に対して前記厚さ方向に交差する方向に駆動する態様を採用することができる。かかる態様によれば、可動体を駆動した際、ゲル状部材は、厚さ方向と交差する方向(せん断方向)に変形するため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を発揮する。このため、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上させることができるので、微妙なニュアンスをもつ振動を実現することができる。
本発明において、前記ゲル状部材は、前記支持体と前記可動体との間において前記厚さ方向で圧縮された状態にある態様を採用することができる。かかる態様によれば、ゲル状部材は、可動体の移動に確実に追従するので、可動体の共振を効果的に防止することができる。
本発明において、前記可動体は、前記ゲル状部材のみによって前記支持体に支持されている態様を採用することができる。
本発明では、ゲル状部材が支持体と可動体とが対向する部分に支持体および可動体の双方に接するように配置されており、ゲル状部材は、可動体が支持体に対して相対移動する際の振動を吸収する。また、ゲル状部材のバネ定数を可動体の質量に対応する適正な値にすれば、可動体の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体の共振を防止することができる。ここで、ゲル状部材は、支持体および可動体の一方側部材に第1接着剤層により接着されており、ゲル状部材は、支持体と可動体とが対向する厚さ方向における中間部分より第1接着剤層側に中間部分より硬度が高い第1部分を有している。かかる第1部分の厚さや硬度は、ゲル状部材を第1接着剤層によって固定する際の第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)によって変化する。従って、ゲル状部材を第1接着剤層によって固定する際の第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)を可動体の質量に対応する適正な値に設定すれば、ゲル状部材のバネ定数を適正な値とすることができるので、可動体の共振周波数を適正な値とすることができ、可動体の共振を防止することができる。よって、可動体の質量が異なる仕様のアクチュエータを製造するにあたって、アクチュエータの各仕様に対応してゲル状部材のサイズや材質を変更しなくても、第1接着剤層の厚さ(接着剤の塗布厚)を可動体の質量に対応する適正な値に設定することにより、可動体の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体の共振を防止することができる。
本発明を適用したアクチュエータの一態様を示す斜視図である。 図1に示すアクチュエータのYZ断面図である。 図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。 図1に示すアクチュエータを支持体と可動体とに分解した分解斜視図である。 図4に示す支持体を第1方向の他方側からみた分解斜視図である。 図2に示すゲル状部材の固定構造を模式的に示す説明図である。 図6に示すゲル状部材を接着剤層によって固定する方法を示す説明図である。 図6に示す接着剤層の厚さと可動体の共振周波数との関係を示すグラフである。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明において、可動体6の直動方向(第2方向、振動方向)にXを付し、第2方向Xと交差する第1方向にZを付し、第1方向Zおよび第2方向Xに対して交差する第3方向にYを付して説明する。なお、第2方向Xの一方側にX1を付し、第2方向Xの他方側にX2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付し、第3方向Yの一方側にY1を
付し、第3方向Yの他方側にY2を付して説明する。また、以下の説明では、コイルを保持する一方側部材が支持体2であって、永久磁石を保持する他方側部材が可動体6である場合を中心に説明する。
(全体構成)
図1は、本発明を適用したアクチュエータ1の一態様を示す斜視図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1のYZ断面図である。図3は、図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。図4は、図1に示すアクチュエータ1を支持体2と可動体6とに分解した分解斜視図である。図5は、図4に示す支持体2を第1方向Zの他方側Z2からみた分解斜視図である。
図1に示すアクチュエータ1は、アクチュエータ1を手にした利用者に対して第2方向Xの振動によって情報を報知する。従って、アクチュエータ1は、ゲーム機の操作部材等として利用することができ、振動等によって新たな感覚を実感することができる。
図2、図3、図4および図5に示すように、アクチュエータ1は、アクチュエータ1の外形を規定する角形のケース3等を含む支持体2と、ケース3の内部で支持体2に対して第2方向Xに移動可能に支持された可動体6とを有しており、可動体6が第2方向Xに振動することによって情報を出力する。
支持体2は、ケース3、コイルホルダ4、コイル5、給電基板10を有しており、可動体6は、永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)、およびヨーク(第1ヨーク81および第2ヨーク82)を有している。コイル5および永久磁石(第1永久磁石71および第2永久磁石72)は、可動体6を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動回路1aを構成している。可動体6は、可動体6と支持体2との間に設けられたゲル状部材91、92を介して支持体2に支持されている。
(可動体6の構成)
図2、図3および図4に示すように、可動体6は、コイル5に対して第1方向Zの一方側Z1に配置された第1ヨーク81と、コイル5に第1方向Zの一方側Z1で対向するように第1ヨーク81の第1方向Zの他方側Z2の面に保持された平板状の第1永久磁石71とを有している。また、可動体6は、コイル5に対して第1方向Zの他方側Z2に配置された第2ヨーク82と、コイル5に第1方向Zの他方側Z2で対向するように第2ヨーク82の第1方向Zの一方側Z1の面に保持された平板状の第2永久磁石72とを有している。本形態において、可動体6は、第1ヨーク81、第1永久磁石71、第2ヨーク82、および第2永久磁石72によって構成されている。
第1ヨーク81は、第1永久磁石71が固定された平板部811と、平板部811の第2方向Xの両側の端部から第1方向Zの他方側Z2に折れ曲がった一対の連結部812とを有している。第2ヨーク82は、第2永久磁石72が固定された平板部821を有しており、平板部821の第3方向Yの中間部分には、第2方向Xの一方側X1および他方側X2に張り出した一対の張り出し部822を有している。本形態において、一対の張り出し部822には、第1ヨーク81の一対の連結部812が溶接等の方法で連結されている。第1永久磁石71および第2永久磁石72は各々、第1方向の一方側X1と第1方向の他方側X2とが異なる極に着磁されている。
(支持体2の構成)
図1および図2に示すように、支持体2において、ケース3は、第1方向Zの一方側Z1に位置する第1ケース部材31と、第1方向Zの他方側Z2で第1ケース部材31と重なる第2ケース部材32とを有しており、第1ケース部材31の第2方向Xの両側に設け
られた一対の側板部311に、第2ケース部材32の第2方向Xの両側に設けられた一対の側板部321が各々、連結されてケース3を構成する。その際、第1ケース部材31と第2ケース部材32との間には、図2および図5に示すコイルホルダ4、コイル5および可動体6が収容される。
図5に示すように、コイル5は、長円状に巻回された環状の平面形状を有する空芯コイルであり、コイルホルダ4に保持されている。コイル5は、第2方向Xで並列して第3方向Yに延在する2つの長辺部51と、2つの長辺部51の第3方向Yの両端を繋ぐ円弧状の2つの短辺部52とを備えている。このように構成したコイル5に対して、長辺部51には、第1方向Zの一方側Z1で第1永久磁石71が対向し、第1方向Zの他方側Z2で第2永久磁石72が対向している。コイルホルダ4は、コイル5が内側に配置される長円状の貫通穴からなるコイル配置穴410が第1方向Zで開口する板部41を有している。
板部41の第3方向Yの一方側Y1の端部411において、第3方向Yの一方側Y1の縁からは、第1方向Zの一方側Z1に向けて側板部413が突出し、第2方向Xの一方側X1の縁、および第2方向Xの他方側X2の縁からは、第1方向Zの一方側Z1、および他方側Z2に向けて側板部414、415が突出している。側板部414、415の内面のうち、板部41に対して第1方向Zの他方側Z2には、第1方向Zに延在する溝状の凹部414b、415bが形成されている。また、側板部414、415の内面のうち、板部41に対して第1方向Zの一方側Z1にも同様な溝状の凹部(図示せず)が形成されている。
板部41の第3方向Yの他方側Y2の端部412において、第3方向Yの他方側Y2の縁、第2方向Xの一方側X1の縁、および第2方向Xの他方側X2の縁からは、第1方向Zの一方側Z1、および他方側Z2に向けて側板部417、418、419が突出している。側板部418、419の内面のうち、板部41に対して第1方向Zの他方側Z2には、第1方向Zに延在する溝状の凹部418b、419bが形成されている。また、側板部418、419の内面のうち、板部41に対して第1方向Zの一方側Z1にも同様な溝状の凹部(図示せず)が形成されている。
側板部414、415にはスリット414t、415tが形成されている。スリット414t、415tには、給電基板10の両側の端部10a、10bが保持されている。給電基板10には、コイル5を構成するコイル線の端部56、57がハンダ等により接続されている。
(第1プレート47および第2プレート48の構成)
図2、図4、および図5に示すように、支持体2は、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの一方側Z1から重なる第1プレート47を有しており、少なくともコイル5の空芯部50に充填された接着剤90からなる接着剤層9によって、コイル5は、第1プレート47および板部41に固定されている。従って、コイル5は、第1プレート47を介して第1永久磁石71と第1方向Zで対向している。また、接着剤層9によって、第1プレート47は板部41に固定されている。
また、支持体2は、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの他方側Z2から重なる第2プレート48を有しており、少なくともコイル5の空芯部50に充填された接着剤90からなる接着剤層9によって、コイル5は、第2プレート48に固定されている。従って、コイル5は、第2プレート48を介して第2永久磁石72と第1方向Zで対向している。また、接着剤層9によって、第2プレート48は板部41に固定されている。
第1プレート47および第2プレート48は、非磁性材料からなる。本形態において、
第1プレート47および第2プレート48は、金属板からなる。より具体的には、第1プレート47および第2プレート48は、非磁性のステンレンス板からなる。
第1プレート47は、第2方向Xの両側から第1方向Zの一方側Z1に斜めに突出した爪状の凸部472を有しており、凸部472は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部(図示せず)の内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持されている。第2プレート48は、第2方向Xの両側から第1方向Zの他方側Z2に斜めに突出した爪状の凸部482を有しており、凸部482は、側板部414、415、418、419に形成された溝状の凹部414b、415b、418b、419bの内部に弾性をもって当接し、コイルホルダ4に保持されている。
このように、本形態のアクチュエータ1は、コイルホルダ4の板部41を第1方向Zで貫通するコイル配置穴410の内側にコイル5が配置されているとともに、コイル配置穴410および板部41に第1方向Zの一方側Z1から重なるように第1プレート47が配置されている。このため、コイル5の空芯部50に接着剤90を充填すると、接着剤90は、コイル5とコイルホルダ4との間、コイル5と第1プレート47との間、および第1プレート47とコイルホルダ4との間に流れ込む。従って、接着剤90を硬化させると、コイル5、第1プレート47、およびコイルホルダ4が接着剤層9によって固定される。このため、コイル5の外周面とコイル配置穴410の内周面との隙間に接着剤を流し込む場合と違って、コイルホルダ4のコイル配置穴410に配置したコイル5をコイルホルダ4と適正に接着することができる。また、第1永久磁石71とコイル5との間には第1プレート47が介在する。このため、可動体6が第1方向Zの一方側Z1に移動した場合でも、第1永久磁石71とコイル5とが直接、接触することがないので、コイル5が損傷しにくい。また、第2永久磁石72とコイル5との間に第2プレート48が介在する。このため、可動体6が第1方向Zの他方側Z2に移動した場合でも、第2永久磁石72とコイル5とが直接、接触することがないので、コイル5が損傷しにくい。また、第1プレート47および第2プレート48は、金属板からなるため、コイル5で発生した熱を第1プレート47および第2プレート48を介して効率よく逃がすことができる。
(ゲル状部材91、92の構成)
図2、図3、図4および図5に示すように、可動体6は、可動体6と支持体2との間に設けられたゲル状部材91、92のみによって第2方向Xおよび第3方向Yに移動可能に支持されている。従って、本形態では、可動体6と支持体2との間は、可動体6を第2方向Xおよび第3方向Yに移動可能に支持する板バネ等が配置されていない。それ故、支持体2に対する可動体6の共振周波数は、ゲル状部材91、92によって制御されている。
ゲル状部材91は、第1ヨーク81と第1プレート47とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。ゲル状部材92は、第2ヨーク82と第2プレート48とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。より具体的には、ゲル状部材91は、第3方向Yにおいて離間する2個所(コイル5の短辺部52側)の各々において第1ヨーク81と第1プレート47とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。ゲル状部材92は、第3方向Yにおいて離間する2個所(コイル5の短辺部52側)の各々において第2ヨーク82と第2プレート48とが第1方向Zで対向する部分に設けられている。従って、板状バネ等を用いずに、可動体6を第2方向Xに移動可能に支持することができる。
本形態において、ゲル状部材91、92は、シリコーンゲル等からなる。本形態において、ゲル状部材91、92は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。針入度とは、JIS−K−2207やJIS−K−2220で規定されているように、25℃で9.38gの総荷重をかけた1/4コーンの針が5秒間に入り込む深さを1/10mm単位で表わした値であり、この値が小さいほど硬いことを意味する。
このように本形態のアクチュエータ1においては、可動体6と支持体2との間にゲル状部材91、92が設けられているため、可動体6が共振することを抑制することができる。ここで、ゲル状部材91は、第1プレート47と第1ヨーク81との間に設けられており、ゲル状部材92は、第2プレート48と第2ヨーク82との間に設けられている。従って、ゲル状部材91、92を設けるのにケース3が用いられていない。このため、ケース3を用いなくても、支持体2と可動体6との間にゲル状部材91、92を設けることができる。それ故、ケース3を設けていない組み立て途中の段階でゲル状部材91、92を設けることができるので、製造途中にダンパ特性を含む振動特性を測定することができる。また、ゲル状部材91、92を設けるのにケース3が用いられていないので、ケース3を有しないアクチュエータにゲル状部材91、92を設けることができる。
また、ゲル状部材91、92は、支持体2と可動体6とにおいて第2方向X(振動方向)に対して交差する第1方向Zで対向する位置に設けられているため、可動体6が第2方向Xに振動した際、そのせん断方向に変形して共振を防止する。このため、可動体6が第2方向Xに振動しても、ゲル状部材91、92の弾性率の変化が小さいので、可動体6の共振を効果的に抑制することができる。すなわち、ゲル状部材91、92は、粘弾性部材であって、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、ゲル状部材91、92は、その厚さ方向(軸方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分(バネ係数)よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向(軸方向)に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい伸縮特性を備える。また、ゲル状部材91、92は、厚さ方向(軸方向)と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、いずれの方向に動いても、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分(バネ係数)よりも線形の成分(バネ係数)が大きい変形特性を持つ。本形態において、可動体6が第2方向Xに振動した際、ゲル状部材91、92は、せん断方向に変形するように構成されている。従って、ゲル状部材91、92では、可動体6が第2方向Xに振動した際、運動方向によるバネ力が一定となる。それ故、ゲル状部材91、92のせん断方向のバネ要素を用いることにより、入力信号に対する振動加速度の再現性を向上することができるので、微妙なニュアンスをもって振動を実現することができる。
また、ゲル状部材91、92は、図6および図7等を参照して後述するように、第1方向Zの両面が各々、可動体6および支持体2に、後述する接着剤層(第1接着剤層96および第2接着剤層97)によって固定されている。従って、ゲル状部材91、92は、可動体6の移動に確実に追従するので、可動体6の共振を効果的に防止することができる。
また、ゲル状部材91、92は、支持体2と可動体6との間で第1方向Zに圧縮された状態にある。従って、ゲル状部材91、92は、可動体6の移動に確実に追従するので、可動体6の共振を効果的に防止することができる。
(動作)
本形態のアクチュエータ1において、給電基板10を介して外部(上位の機器)からコイル5に給電すると、コイル5、第1永久磁石71および第2永久磁石72を備えた磁気駆動回路1aによって、可動体6が第2方向Xに往復移動する。従って、アクチュエータ1を手に持っていた利用者は、アクチュエータ1からの振動によって情報を得ることができる。その際、コイル5に印加される信号波形については、例えば、伝達すべき情報によって、周波数を変化させる。また、コイル5に印加される信号波形については極性を反転させるが、その際、駆動信号の極性が負の期間と正の期間とにおいて電圧の変化に対して緩急の差を設ける。その結果、可動体6が第2方向Xの一方側X1に移動する際の加速度と可動体6が第2方向Xの他方側X2に移動する際の加速度との間に差が発生する。従っ
て、利用者に対して、アクチュエータ1が第2方向Xの一方側X1あるいは他方側X2に移動するような感覚を得ることができる。
(ゲル状部材91、92の固定構造)
図6は、図2に示すゲル状部材91、92の固定構造を模式的に示す説明図である。図7は、図6に示すゲル状部材91、92を接着剤層によって固定する方法を示す説明図である。図8は、図6に示す接着剤層の厚さと可動体の共振周波数との関係を示すグラフである。なお、ゲル状部材91の固定、およびゲル状部材92の固定には、基本的には同一の構成が採用されている。従って、ゲル状部材91の固定構造を中心に説明する。
図6に示すように、本形態のアクチュエータ1において、ゲル状部材91は、支持体2および可動体6の一方側部材に第1接着剤層96により接着されている。また、ゲル状部材91は、支持体2および可動体6の他方側部材に第2接着剤層97により接着されている。本形態において、ゲル状部材91は、可動体6のうち、第1ヨーク81に第1接着剤層96により接着され、支持体2のうち、第1プレート47に第2接着剤層97により固定されている。なお、符号をかっこ内に示すように、ゲル状部材92については、可動体6のうち、第2ヨーク82に第1接着剤層96により接着され、支持体2のうち、第2プレート48に第2接着剤層97により固定されている。
本形態において、ゲル状部材91、第1接着剤層96、および第2接着剤層97は、ベースポリマーが同一種類である。例えば、ゲル状部材91は、ベースポリマーがオルガノポリシロキサンであるシリコーンゲルであり、第1接着剤層96および第2接着剤層97は、ベースポリマーがオルガノポリシロキサンであるシリコーン系接着剤である。
ゲル状部材91、第1接着剤層96、および第2接着剤層97はいずれも、付加反応型である。従って、ゲル状部材91、第1接着剤層96、および第2接着剤層97は各々、ベースポリマー、硬化触媒、および架橋剤を含む組成物を付加反応させることによって生成される。
ゲル状部材91、第1接着剤層96、および第2接着剤層97はいずれも、二液混合型の室温硬化性組成物である。但し、本形態では、第1接着剤層96および第2接着剤層97を硬化させる際に加熱して硬化時間を短縮させる。なお、第1接着剤層96および第2接着剤層97については、加熱硬化型であってもよい。
本形態において、ゲル状部材91を接着剤層(第1接着剤層96および第2接着剤層97)によって固定するには、まず、図7に示す工程ST1において、第1ヨーク81に第1接着剤960を塗布した後、図7に示す工程ST2において、第1接着剤960を硬化させ、ゲル状部材91と第1ヨーク81とを第1接着剤層96によって固定する。
次に、図7に示す工程ST3において、第1プレート47の側に第2接着剤970を塗布した後、第2接着剤970を介してゲル状部材91に第1プレート47を重ねる。次に、図7に示す工程ST4において、第2接着剤970を硬化させ、ゲル状部材91と第1プレート47とを第2接着剤層97によって固定する。
ゲル状部材92を固定する場合も、図6および図7を説明した構成と同様である。
本願発明者は、支持体2および可動体に対してゲル状部材91、92を接着剤によって固定した際、接着剤とゲル状部材91、92との組み合わせによっては、図8に示すように、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さによって可動体6の共振周波数F0が変化するという新たな知見を得た。より具体的には、本願発明者は、図8に示すように
、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さ(第1接着剤960および第2接着剤970の塗布厚)が厚くなる程、可動体6の共振周波数F0が上昇するという新たな知見を得た。
また、本願発明者は、ゲル状部材91、92を第1接着剤層96および第2接着剤層97によって固定した際、ゲル状部材91、92の厚さ方向において接着剤層側に位置する部分の硬度が上昇するという知見を得た。すなわち、図6および図7に模式的に示すように、第1接着剤層96および第2接着剤層97を硬化させる過程で、ゲル状部材91、92には、支持体2と可動体6とが対向する厚さ方向(第1方向Z)における中間部分910より第1接着剤層96側に中間部分910より硬度が高い第1部分911(針入度が小さい部分)が発生し、中間部分910より第2接着剤層97側に中間部分910より硬度が高い第2部分912(針入度が小さい部分)が発生するとの知見を得た。
また、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さ(第1接着剤960および第2接着剤970の塗布厚)を厚くすると、接着剤層側の硬度が高い部分(第1部分911および第2部分912)では、その厚さや硬度が増大するという知見を得た。それ故、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さによって可動体6の共振周波数F0が、図8に示すように変化する理由は、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さによってゲル状部材91のバネ定数が変化し、可動体6の共振周波数が変化するためであると考えられる。
また、ゲル状部材91、92を第1接着剤層96および第2接着剤層97によって固定した際、ゲル状部材91、92に硬度が高い部分(第1部分911および第2部分912)が発生する理由は、現時点では明確に分かっていないが、第1接着剤960および第2接着剤970を硬化させる際、第1接着剤960および第2接着剤970の架橋剤、あるいは未硬化のベースポリマーがゲル状部材91、92内に浸透する結果、ゲル状部材91、92に硬度が高い部分(第1部分911および第2部分912)が発生すると考えられる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1では、ゲル状部材91、92が支持体2と可動体6とが対向する部分に支持体2および可動体6の双方に接するように配置されており、ゲル状部材91、92は、可動体6が支持体2に対して相対移動する際の振動を吸収する。また、ゲル状部材91、92のバネ定数を可動体6の質量に対応する適正な値にすれば、可動体6の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体6の共振を防止することができる。
ここで、ゲル状部材91、92は、可動体6および支持体2に各々、第1接着剤層96および第2接着剤層97により接着されており、ゲル状部材91、92は各々、中間部分910より第1接着剤層96側および第2接着剤層97側に中間部分910より硬度が高い第1部分911および第2部分912を有している。また、第1部分911および第2部分912の厚さや硬度は、ゲル状部材91、92を固定する際の第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さ(第1接着剤960および第2接着剤970の塗布厚)によって変化する。従って、ゲル状部材91、92を固定する際の第1接着剤960および第2接着剤970の塗布厚を可動体6の質量に対応する適正な値に設定すれば、ゲル状部材91、92のバネ定数を適正な値とすることができるので、可動体6の共振周波数を適正な値とすることができ、可動体6の共振を防止することができる。よって、可動体6の質量が異なる仕様のアクチュエータ1を製造するにあたって、アクチュエータ1の各仕様に対応してゲル状部材91、92のサイズや材質を変更しなくても、第1接着剤960および第2接着剤970の塗布厚を可動体6の質量に対応する適正な値に設定することにより、
可動体6の共振周波数を適正な値とすることができるので、可動体6の共振を防止することができる。
また、ゲル状部材91、92と接着剤層(第1接着剤層96および第2接着剤層97)とでは、ベースポリマーが同一種類であるため、第1接着剤960および第2接着剤970の架橋剤、あるいは未硬化のベースポリマーがゲル状部材91、92内に浸透して、ゲル状部材91、92に硬度が高い部分(第1部分911および第2部分912)が発生するという現象を確実に進行させることができる。
(別の実施形態)
上記実施形態では、図6に示すように、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さを等しくしたが、第1接着剤層96および第2接着剤層97の厚さを相違させてもよい。
上記実施の形態では、ゲル状部材91、92を各々、支持体2および可動体6の双方に接着剤層により固定したが、支持体2および可動体6の一方側部材のみに接着剤層(第1接着剤層)によって固定してもよい。
上記実施の形態では、ゲル状部材91、92を各々、支持体2および可動体6に接着剤層により固定したが、ゲル状部材91、92の一方のみを支持体2および可動体6に接着剤層により固定した態様を採用してもよい。
上記実施の形態では、ゲル状部材91、92に付加反応型のシリコーンゲルを用いたが、縮合反応型のシリコーンゲルを用いた場合に本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、ゲル状部材91、92にシリコーンゲルを用いたが、他のゲルを用いた場合に本発明を適用してもよい。
(他の実施形態)
上記実施の形態では、コイル5を支持体2に設け、永久磁石を可動体6に設けたが、コイル5を可動体6に設け、永久磁石を支持体2に設けたアクチュエータに本発明を適用してもよい。上記実施の形態では、可動体6を第2方向Xに振動させるアクチュエータを例示したが、可動体6を第2方向Xおよび第3方向Yに振動させるアクチュエータに本発明を適用してもよい。
1…アクチュエータ、1a…磁気駆動回路、2…支持体、3…ケース、4…コイルホルダ、5…コイル、6…可動体、47…第1プレート、48…第2プレート、71…第1永久磁石、72…第2永久磁石、81…第1ヨーク、82…第2ヨーク、91、92…ゲル状部材、96…第1接着剤層、97…第2接着剤層、910…中間部分、911…第1部分、912…第2部分、960…第1接着剤、970…第2接着剤

Claims (14)

  1. 支持体と、
    前記支持体に対して移動可能な可動体と、
    前記支持体と前記可動体とが対向する部分に前記支持体および前記可動体の双方に接するように配置され、前記支持体および前記可動体の一方側部材に第1接着剤層により接着されたゲル状部材と、
    前記可動体を前記支持体に対して相対移動させる磁気駆動回路と、
    を有し、
    前記ゲル状部材は、前記支持体と前記可動体とが対向する厚さ方向における中間部分より前記第1接着剤層側に前記中間部分より硬度が高い第1部分を有することを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記ゲル状部材と前記第1接着剤層とでは、ベースポリマーが同一種類であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記ゲル状部材および前記第1接着剤層はいずれも、前記ベースポリマーがシリコーン系であることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記ゲル状部材および前記第1接着剤層はいずれも付加反応型であることを特徴とする請求項1から3までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  5. 前記ゲル状部材は、前記支持体および前記可動体の他方側部材に第2接着剤層により接着されていることを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記ゲル状部材は、前記中間部分より前記第2接着剤層側に前記中間部分より硬度が高い第2部分を有することを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記ゲル状部材と前記第2接着剤層とは、ベースポリマーが同一種類であることを特徴とする請求項5または6に記載のアクチュエータ。
  8. 前記ゲル状部材および前記第2接着剤層はいずれも、前記ベースポリマーがシリコーン系であることを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータ。
  9. 前記ゲル状部材および前記第2接着剤層はいずれも付加反応型であることを特徴とする請求項5から8までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  10. 前記第1接着剤層と前記第2接着剤層とは厚さが異なることを特徴とする請求項5から9までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  11. 前記支持体に対する前記可動体の共振周波数が前記ゲル状部材によって制御されていることを特徴とする請求項1から10までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  12. 前記磁気駆動回路は、前記可動体を前記支持体に対して前記厚さ方向に交差する方向に駆動することを特徴とする請求項1から11までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  13. 前記ゲル状部材は、前記支持体と前記可動体との間において前記厚さ方向で圧縮された状態にあることを特徴とする請求項1から12までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
  14. 前記可動体は、前記ゲル状部材のみによって前記支持体に支持されていることを特徴とする請求項1から13までの何れか一項に記載のアクチュエータ。
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