JP2019191495A - 中間転写ベルトおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い転写性と高い耐久性とを両立した中間転写ベルトおよびその製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも基材2を含む中間転写ベルト1であって、比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上であることを特徴とする、中間転写ベルト1。基材2が樹脂および誘電性フィラーを含み、誘電性フィラーのアスペクト比が1.5以上である、中間転写ベルト1。樹脂100質量部に対する誘電性フィラーの含有量が10質量部を超え40質量部未満である中間転写ベルト1。誘電性フィラーの比誘電率が100以上である中間転写ベルト1。比誘電率が15以上である中間転写ベルト1。【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写ベルトおよびその製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、一般に、感光体に静電潜像を形成し、静電潜像に応じたトナー画像を普通紙などの記録媒体に転写し、トナー画像を記録媒体に定着させることによって、記録媒体に画像を形成する。このような画像形成装置には、中間転写ベルトを有する装置が知られている。このような画像形成装置は、トナー画像を、感光体から中間転写ベルトに、次いで中間転写ベルトから紙等の記録媒体に転写する。電子写真方式の画像形成装置において、感光体から中間転写ベルトへ、中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の転写は、トナーの移動を促す適切な電界を形成することによって行われる。これより、最終画像の品質を確保する観点から、中間転写ベルト(以下、単に転写ベルトまたはベルトと称することもある)の電気特性が重要となる。
特に、トナー画像の転写性を向上させる手段として、中間転写ベルトの比誘電率を上げることが挙げられる。これは、中間転写ベルトの比誘電率を上げることで、中間転写ベルトに加わる電圧が少なくなり、その分トナーへ電圧(電界)が加えられ、トナーの移動性が向上し、トナー画像の転写性を向上させることができる。また、従来、中間転写ベルトの比誘電率を向上させるために、高誘電材料をベルトに添加することが行われており、特に誘電性フィラーを添加することが一般的である。例えば、特許文献1では、高誘電率化のために、転写ベルトの基層に誘電性フィラーとしてチタン酸バリウムを混合する技術が記載されている。
特開2002−287531号公報
しかしながら、特許文献1に開示の中間転写ベルトは、ある程度の比誘電率を有するものの、転写性向上の観点から、その値はまだ不十分である。トナー画像の転写性をさらに向上させるために、誘電性フィラーの添加量を上げ高比誘電率のベルトを用いることが考えられるが、誘電性フィラーの添加量の増大につれ、中間転写ベルトの強度が低下してしまい、使用時の耐久性の低下が顕著になるとの問題がある。すなわち、従来技術では、中間転写ベルトの高い転写性と高い耐久性とを両立することが実現できていない。
そこで本発明は、高い転写性と高い耐久性とが両立した中間転写ベルトを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、高い転写性と高い耐久性とが両立した中間転写ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
少なくとも基材を含む中間転写ベルトであって、比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上であることを特徴とする、中間転写ベルト。
本発明の一実施態様によれば、高い転写性と高い耐久性とが両立した中間転写ベルトが提供される。
本発明の他の実施態様によれば、高い転写性と高い耐久性とが両立した中間転写ベルトの製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る中間転写ベルトの層構造を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<中間転写ベルト>
本発明は、少なくとも基材を含む中間転写ベルトであって、比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上であることを特徴とする、中間転写ベルトに関する。好ましい一実施形態では、中間転写ベルトの比誘電率が15以上である。ここで、比誘電率(ε)とは、中間転写ベルトの誘電率(ε)と真空の誘電率(ε)の比(ε/ε=ε)のことである。
本発明によれば、高い転写性と高い耐久性とが両立した中間転写ベルトが提供される。
本発明者らは、上記構成によって課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。本発明に係る中間転写ベルトは、比誘電率が13以上であり、そのため、感光体から中間転写ベルトへ、さらには中間転写ベルトから記録媒体へのトナー画像の転写の際に、中間転写ベルトに加わる電圧が少なくなり、その分トナーへ電圧(電界)が加えられ、トナーの移動を促す適切な電界を形成することができる。このように、比誘電率が13以上の中間転写ベルトを使用することにより、トナーに対する電界制御の効果があり、トナーの高い転写性が得られ、最終的に得られる画像の品質を高めることができる。また、本発明に係る中間転写ベルトは、引張破断応力が80MPa以上であることで、屈曲ストレスや伸長ストレス等に対する高い耐久性を有することができる。これより、本発明に係る中間転写ベルトは、高い転写性と高い耐久性とを両立することができる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
本発明に係る中間転写ベルトは、少なくとも基材を含む。一実施形態において、中間転写ベルトは、基材が所定の構成および構造を有することにより、比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上であることを実現できる。
他の好ましい一実施形態において、中間転写ベルトは、基材の他、弾性層および表面層を含む。例えば、図1は一実施形態の中間転写ベルトの構造を説明するための概略断面図である。本実施形態の中間転写ベルト1は、基材2、弾性層3および表面層4をこの順に積層した構造である。
以下、本発明に係る中間転写ベルトの各構成要素について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(基材)
基材は、樹脂およびアスペクト比が1.5以上の誘電性フィラーを含むことが好ましい。
本発明においては、中間転写ベルトの比誘電率および引張破断応力を所定の範囲にするための一つの手段として、基材に含まれる誘電性フィラーの配向を工夫することが挙げられる。より具体的には、基材中に、アスペクト比の高い(好ましくは1.5以上)誘電性フィラーを含有させ、且つベルトの厚み方向に配向させ、少なくとも一部の誘電性フィラー同士が接触するように存在させる。本発明者らは、かような誘電性フィラーの配向上記課題の解決に対して効果的であることを見出した。このような構成とすることにより、比較的少量の誘電性フィラーを使用した場合においても、所望の中間転写ベルトの比誘電率を得ることが可能になる。また、基材中に含まれる誘電性フィラーの量を減らすことができるため、得られる中間転写ベルトの機械的強度の低下が抑えられ、高い耐久性を有する中間転写ベルトとなる。
なお、基材中において、少なくとも一部の誘電性フィラー同士がベルトの厚み方向に接触して存在することは、走査型電子顕微鏡を用いて中間転写ベルトの断面を観察することにより確認できる。ただし、接触している誘電性フィラーの割合を測定することや、その接触状態(例えば、接触の角度または長さ)を具体的に規定することは、不可能であるかまたは実際的でないと言わざるを得ない。よって、本発明の中間転写ベルトにおいて、「・・・の製造方法により製造された中間転写ベルト」と、その物の製造方法により記載することは許容されるべきである。
本発明に使用できる誘電性フィラーとしては、たとえば、還元酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、等が挙げられる。該誘電性フィラーは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。中でも、抵抗設計と光反射性の観点から、還元酸化チタン好ましく用いられる。
誘電性フィラーの形状は、アスペクト比が1.5以上のものであれば、繊維状、針状またはウイスカー状等、特に制限されない。誘電性フィラーのアスペクト比の下限は、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、アスペクト比の上限は、特に制限されないが、製造工程における取扱い容易性の観点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。ここで、誘電性フィラーのアスペクト比は、走査型電子顕微鏡で観察した100個の誘電性フィラー粒子の平均値を意味する。アスペクト比は、粒子の長径(長軸長さ)の最大値(L1)と、短径方向(短軸方向)の断面の長径Laおよび短径Lbの平均値(L2=(La+Lb)/2)との比(L1/L2)として求められる(ここで、La≧Lbであり、La=Lbの場合は断面形状が円形である)。誘電性フィラーの長さ(粒子の長径)については、特に制限されないが、誘電性フィラー同士がベルトの厚み方向に接触しやすくなるという観点から、100nm以上であることが好ましく、300nm以上であることがより好ましく、500nm以上であることがさらに好ましい。誘電性フィラーの長さの上限も特に制限されないが、製造工程における取扱い容易性の観点から、10000nm以下であることが好ましく、6000nm以下であることがより好ましく、3000nm以下がさらに好ましい。
誘電性フィラーの比誘電率は、100以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、1000以上であることがさらに好ましい。誘電性フィラーの比誘電率の上限も特に制限されないが、10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、2000以下がさらに好ましい。誘電性フィラーの比誘電率が上記範囲内であれば、中間転写ベルトの比誘電率を適切に調整できる。
本発明に係る誘電性フィラーは、市販品でもよいし、合成品でもよい。市販品の例としては、還元酸化チタン Tilack ND300(赤穂化成株式会社製)、還元酸化チタン Tilack ND100(赤穂化成株式会社製)等が挙げられる。
基材中の誘電性フィラーの添加量の下限は、特に限定されないが、中間転写ベルトの比誘電率を上げる観点から、基材全体積に対して、10体積%超であることが好ましく、15体積%以上であることがより好ましく、20体積%以上であることが特に好ましい。また、誘電性フィラーの添加量の上限は、基材全体積に対して、40体積%未満であることが好ましく、35体積%以下であることがより好ましく、30体積%以下であることが特に好ましい。誘電性フィラーの添加量が上記範囲内である場合は、中間転写ベルトの機械的強度の低下が抑えられるため、耐久性が高くなる。
本発明に係る基材に使用できる樹脂は、特に制限されず、公知の合成樹脂等を用いることができる。例えば、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、フッ素樹脂(例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等)、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアリングプラスチックスや、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アセテート樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、機械特性、耐熱性、耐久性の向上の観点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイドであることが好ましく、ポリイミドまたはポリアミドイミドであることがより好ましく、ポリアミドイミドであることが特に好ましい。
これらの樹脂は、合成品を用いても市販品を用いてもよい。これら樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
基材中の樹脂の含有量の下限は、特に制限されないが、機械特性の向上の観点から、基材の総質量に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、基材中の樹脂の含有量の上限は、特に制限されないが、誘電性フィラー等の他の成分の添加による機能付与の観点から、基材の総質量に対して99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
基材は、転写するのに好ましい抵抗値に調整する観点から、導電剤を含むことが好ましい。導電剤としては、例えば、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、ステンレス鋼等の金属、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等の炭素化合物等が挙げられる。
これらの中でも、転写するのに好ましい抵抗値に調整する観点、および機械特性、耐熱性および耐久性の向上の観点から、炭素化合物であることが好ましく、カーボンブラック、カーボンナノチューブであることがより好ましく、カーボンブラックであることがさらに好ましい。
これらの導電剤は、合成品を用いても市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、Degussa社製SPECIAL BLACK4等を挙げることができる。
導電剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
基材中の導電剤の含有量の下限は、特に制限されないが、導電性向上の観点から、基材中の樹脂100質量部に対して1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、基材中の導電剤の含有量の上限は、特に制限されないが、機械特性の向上の観点から、基材中の樹脂100質量部に対して50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
基材は、本発明の効果を損なわない限り、公知の基材に含有されうる他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、充填剤、滑剤、染料、有機顔料、無機顔料、可塑剤、レベリング剤、アクリル加工助剤等の加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、発泡剤、ワックス、結晶核剤、離型剤、加水分解防止剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、ラジカル捕捉剤、防曇剤、防徽剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、所望の特性が得られるよう適宜設定すればよい。
基材は、単層構造であっても、2層以上の複層構造であってもよい。基材の形状は、好ましくは無端ベルト状である。基材の厚さは、特に制限されないが、機械的強度、画質、製造コストなどの観点から、好ましくは50〜250μmである。
(弾性層)
一実施形態においては、本発明に係る中間転写ベルトは弾性層を含んでもよい。弾性層は、熱可塑性エラストマー(TPE)を主成分とする材料、加硫ゴムを主成分とする材料、あるいは高分子材料の発泡体により形成されうる。
熱可塑性エラストマー(TPE)としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系TPE、ウレタン系TPE(TPU)、オレフィン系TPE(TPO)、ポリエステル系TPE(TPEE)、ポリアミド系TPE、フッ素系TPE、塩ビ系TPE等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いられる。
加硫ゴムとしては、加硫してゴム弾性を示す高分子材料であれば特に制限されないが、高分子材料の例をあげれば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピハロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンポリマー(EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)等が例示される。
シリコーンゴムとしては、例えば、付加型液状シリコーンゴムが挙げられ、具体的には、信越化学工業株式会社製の、KE−106、KE1300等が例示される。
ブチルゴムとしては、イソブチレン−イソプレン共重合体が挙げられる。
アクリルゴムとしては、アクリル酸エステルの重合、またはそれを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体が挙げられる。
ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系ウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)等が挙げられる。
ECOとしては、エピハロヒドリン単独重合体、ならびにエピハロヒドリンとアルキレンオキサイドおよび/又はアリルグリシジルエーテルとの共重合体が挙げられる。代表的な例としては、エピクロロヒドリン単独重合体、エピブロムヒドリン単独重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイドープロピレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
中でも、伸縮疲労や、永久ひずみ、屈曲亀裂を考慮すると、弾性層の材料は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムからなる群より選択される少なくとも1種であると好ましい。
弾性層には、導電剤が含まれると好ましい。弾性層中に分散される導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属または合金;更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられ、これらの微粉末を1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、導電性炭素系物質が好ましく、カーボンブラックがさらに好ましい。
また、テトラブチルアンモニウムブロミド等のイオン導電剤も使用することができる。
弾性層中における導電剤の含有量は、中間転写ベルトに適した電気特性が付与する観点で、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは15〜25質量%である。なお、弾性層中における導電剤の量は、TG−DTAによって測定することができる。
また、弾性層には、必要に応じて硬化剤を添加することができる。例えば、シリコーンゴムの場合、硬化剤としてハイドロジェンオルガノポリシロキサン等が挙げられ、ウレタンゴムの場合、硬化剤として、脂肪族ジアミン、ジイソシアネートまたはポリオール等を用いることができる。また、ブチルゴムの場合、硬化剤として、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等を用いることができる。また、クロロプレンゴムの場合、硬化剤として、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、硫黄等を用いることができる。これらの硬化剤は、弾性層材料中に配合して用いればよい。
弾性層はフィラーを含んでいてもよい。フィラーの例としては、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化アルミ(アルミナ)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、マイカ、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、PTFEなどが挙げられる。
弾性層の厚さは、本発明の目的を達成できる限り特に規定しないが、紙の厚みに柔軟に対応できる中間転写ベルトの機能を考慮すると、好ましくは100〜400μm、より好ましくは150〜350μm、さらに好ましくは200〜300μmである。なお、弾性層の厚さは、実施例に記載の方法によって測定された値をいうものとする。弾性層の厚さが薄すぎると、内在している導電剤が露出する可能性がある。
弾性層の硬度も本発明の目的を達成できる限り特に規定しない。紙の厚みに柔軟に対応できる中間転写ベルトの機能を考慮すると、タイプA硬度(JIS K6253−3:2012による)は、80度以下であることが好ましく、20〜80度がより好ましく、30〜70度がさらに好ましい。ここで、タイプA硬度とは、ゴムの柔らかさを示す値である。タイプA硬度が上記範囲であれば、弾性層が適度な硬さを有し凹凸のある紙を用いた場合の追従性に優れ、1次転写時にトナーが濃く乗っているところに応力が集中せず、中抜け現象を防止することができる。また、ベルト駆動時に発生する応力が表面層へ集中しにくくなり、表面層のひび割れを防止し十分な耐久性を得ることができる。
弾性層の表面抵抗は、高画質化の観点から、好ましくは1×10〜1×1014Ω/□であり、より好ましくは1×1010〜1×1012Ω/□である。
(表面層)
一実施形態において、本発明に係る中間転写ベルトは表面層を含むことが好ましい。表面層は、通常、弾性層の表面上に形成される層であり、たとえば、アクリル系の材料で構成される。表面層は、弾性層を保護し、弾性層の変形に合わせて変形する適度な柔軟性と、接触に対する十分な耐久性(機械的強度や離型性など)とを有する。
表面層は、3官能以上の(メタ)アクリル酸(多官能(メタ)アクリル酸)およびその誘導体の弾性層上での重合によって構成されることが好ましい。「3官能以上の(メタ)アクリル酸誘導体」とは、三つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の一方または両方を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の一方または両方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味する。
3官能以上の(メタ)アクリル酸誘導体の例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ならびに多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物(たとえばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物)が含まれる。表面層を構成するモノマーは、表面層を熱分解GC−MSで分析した結果から推定することができる。
表面層を構成するためのモノマーとして3官能以上の(メタ)アクリル酸誘導体を採用することによって、十分な柔軟性と十分な表面硬さとの両方が表面層にもたらされる。
表面層に柔軟性と耐久性との両方をもたらす観点から、表面層の厚さは、1.0〜7.0μmであることが好ましく、1.5〜5.0μmであることがより好ましい。表面層の厚さは、たとえば、中間転写ベルトを積層方向に切断したときの断面から得られる測定値またはその平均値として求めることができる。
表面層は、所期の特性(たとえば、前述した柔軟性、耐久性および接着性)が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分の例には、金属酸化物粒子が含まれる。金属酸化物粒子は、表面層の摩耗を防止し、表面層を補強する観点から好ましい。表面層における金属酸化物粒子の含有量は、表面層の金属酸化物粒子以外の部分100体積部に対して10〜100体積部であることが、表面層の機械的強度の向上の観点から好ましい。
金属酸化物粒子の形状は、特に限定されない。金属酸化物粒子の粒径は、1〜100nmであることが好ましい。この粒径は、たとえば数平均粒子径であってもよいし、カタログ値であってもよい。金属酸化物粒子の例には、アルミナ、酸化スズおよびチタニアが含まれる。より好ましくはアルミナである。
また、他の成分の例には、酢酸ビニル、スチレン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、およびシロキサン系ビニル共重合体などのビニル共重合体が含まれる。特に、シロキサン系ビニル共重合体は、一つ以上のポリオルガノシロキサン鎖Aおよび三つ以上のラジカル重合性二重結合を含むことが、中間転写ベルトにおけるフィルミングを防止する観点、および表面層の低い表面自由エネルギーを維持する観点から好ましい。また、シロキサン系ビニル共重合体の重量平均分子量は、5000〜100000であることが、後述する表面層用の塗料におけるシロキサン系ビニル共重合体の相溶性を高める観点から好ましい。
さらに、シロキサン系ビニル共重合体と金属酸化物粒子とを併用する場合、金属酸化物粒子は、シリコーン系表面処理剤によって表面処理されていることが好ましい。表面処理することにより、シロキサン系ビニル共重合体由来のシロキサン構造と金属酸化物粒子とを、表面層中に良好に分散させる事ができるからである。特に、シロキサン構造が表面層中に分散すると、シロキサン構造による離型性を長期にわたって安定して発現させることができる。
シリコーン系表面処理剤の例には、メチルハイドロジェンポリシロキサンおよび変性シリコーンオイルが含まれる。変性シリコーンオイルの例には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーンおよびカルボキシル変性シリコーンが含まれる。シリコーン系表面処理剤の重量平均分子量は、所期の機能の発現および表面処理時の取り扱いの容易さの観点から、300〜20000が好ましい。
(他の層)
本発明の一形態に係る中間転写ベルトは、本発明の効果を損なわない限り、公知の中間転写ベルトに含まれうる他の層をさらに含んでいてもよい。他の層の種類、組成、特性等については、本発明の効果を損なわない範囲で、所望の特性が得られるよう適宜設定すればよい。
<中間転写ベルトの製造方法>
本実施形態の中間転写ベルトの好ましい製造方法について説明する。
典型的に、中間転写ベルトの製造方法は、たとえば、基材を形成するための基材形成用塗布液を支持体に塗布して、塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することで、基材を形成する。その後、弾性層を形成するための弾性層形成用塗布液を基材上に塗布して、基材の外周面を覆う塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることにより、弾性層を形成する。次いで、表面層を形成するための表面層形成用塗布液を弾性層の外周面上に塗布して、弾性層の外周面を覆う塗膜を形成し、この塗膜に対して活性エネルギー線を照射して硬化することにより、表面層を形成する。
本発明の好ましい一実施形態における中間転写ベルトの製造方法は、樹脂と、誘電性フィラーとを含む塗布液を支持体に塗布して塗膜を得た後、前記塗膜に対して、厚み方向に100mT以上の磁場を印加して、基材を形成すること、を含み、前記誘電性フィラーのアスペクト比が1.5以上であり、前記樹脂100質量部に対する前記誘電性フィラーの含有量が10質量部を超えて40質量部未満である。
また、本発明の他の実施形態において、前記製造方法により製造された中間転写ベルトが提供される。
(基材の形成方法)
本発明に係る中間転写ベルトの比誘電率および引張破断応力を所定の範囲にするために、基材は、公知の方法に基づき、一部の工程を工夫した方法によって形成することができる。一実施形態においては、樹脂と誘電性フィラーと必要に応じて用いられうる他の成分を含む基材形成用塗布液(単に、塗布液と称することもある)を支持体に塗布して塗膜を得た後、前記塗膜に対して、厚み方向に100mT以上の磁場を印加して、基材を形成する方法が挙げられる。この際、前記誘電性フィラーのアスペクト比が1.5以上であり、前記樹脂100質量部に対する前記誘電性フィラーの含有量が10質量部を超えて40質量部未満であることが好ましい。また、他の一実施形態においては、樹脂と誘電性フィラーと必要に応じて用いられうる他の成分を含む基材形成材料を溶融させて塗膜を得、前記塗膜に対して、厚み方向に100mT以上の磁場を印加して、基材を形成する方法が挙げられる。これらの中でも、前者の塗布液を用いる方法がより好ましい。
基材を形成する方法は、具体的に、(1)塗膜形成工程;(2)磁場印加工程;(3)乾燥工程;等を有してもよい。(1)塗膜形成工程としては、例えば、塗布液を円筒状金型の外周面に浸漬して塗膜を形成する方法が挙げられる。また、基材形成用塗布液を内周面に塗布して塗膜を形成する方法や、更に遠心して塗膜を形成する方法が挙げられる。さらに、円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させ、当該ノズルから基材形成用塗布液を吐出して金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった無端ベルト状の塗膜を形成する方法が挙げられる。(2)磁場印加工程は、前記(1)塗膜形成工程と同時に、または塗膜を形成した後(3)乾燥工程の前に、前記塗膜に対して、厚み方向に100mT以上の磁場を印加する。これにより、誘電性フィラーは、磁場方向(厚み方向)に配向するようになり、少なくとも一部の誘電性フィラー同士が接触するようになると考えられる。その後、(3)乾燥工程を行い、必要に応じてさらに塗膜を加熱処理(例えば、熱イミド化処理等)してもよい。また、無端ベルト状の基材の製造に際しては、金型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
基材形成用塗布液の溶媒は、特に制限されず、公知のものを用いることができるが、例えば、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ホルムアミド系溶媒、アセトアミド系溶媒、ピロリドン系溶媒が好ましく、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがさらに好ましい。
基材形成用塗布液中の固形分濃度は、特に制限されないが、塗布性の向上や塗膜故障の低減の観点から、基材形成用塗布液の総質量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。その中、基材形成用塗布液中の誘電性フィラーの使用量が、基材の説明において述べた通りである。
基材形成用塗布液は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、東洋紡株式会社製HR−16NN等のポリアミドイミドワニス、宇部興産株式会社製U−ワニス−A、U−ワニス−S、新日本理化株式会社製リカコート(登録商標)、JSR株式会社製オプトマー(登録商標)、日産化学工業株式会社製SE812等のポリアミドワニスを挙げることができる。
厚み方向に100mT以上の磁場を印加する方法は、特に制限されないが、例えば、塗布液を円筒状金型の外周面に浸漬して塗膜を形成する場合は、その金型の内周面にネオジム磁石を敷き詰め、磁場を印加する方法が挙げられる。この場合、印加される磁場の強度は、使用する磁石の表面磁束密度として規定することができる。印加される磁場強度、すなわち磁石の表面磁束密度は、100mT以上であることが好ましく、200mT以上であることがより好ましく、300mT以上であることがさらに好ましく、500mT以上であることが特に好ましい。印加される磁場強度が大きくなるにつれ、基材中における誘電性フィラーの厚み方向への配向が効率よく起こるため、中間転写ベルトの比誘電率を効率よく向上することができる。また、印加される磁場強度の上限は特に制限されないが、磁石の入手容易性の観点から、1000mT以下であることが好ましい。
塗膜の乾燥条件としては、特に制限されず、公知の条件を用いることができる。塗膜の乾燥は、複数の段階で行ってもよい。
乾燥温度は、基材形成用塗布液の組成によっても異なるが、50℃以上450℃以下が好ましく、50℃以上400℃以下がより好ましい。ここで、乾燥を2段階で行う場合は、1回目の乾燥温度は、50℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。また、2回目の乾燥温度は、150℃以上450℃以下が好ましく、200℃以上400℃以下がより好ましい。
なお、基材形成用塗布液としてポリアミドイミドワニスまたはポリアミドワニスを用いた場合、2回目の乾燥温度が上記範囲であれば、2回目の乾燥は後述の熱イミド化処理を兼ねることができる。
塗膜の乾燥時間は、基材形成用塗布液の組成によっても異なり、塗膜を十分に乾燥することができれば特に制限されない。ここで、乾燥を2段階で行う場合は、1回目の乾燥時間および2回目の乾燥時間は、共に、5分以上180分以下が好ましく、10分以上90分以下がより好ましく、10分以上60分以下がさらに好ましい。
熱イミド化処理を行う場合の条件としては、特に制限されず、公知の条件を用いることができる。熱イミド化温度は、ポリイミドやポリアミドイミドの前駆体(ポリアミド酸、ポリアミド−ポリアミド酸共重合体等)をはじめとする基材形成材料の組成によっても異なるが、150℃以上450℃以下が好ましい。
熱イミド化処理の時間は、ポリイミドやポリアミドイミドの前駆体(ポリアミド酸、ポリアミド−ポリアミド酸共重合体等)をはじめとする基材形成材料の組成によっても異なるが、5分以上180分以下であることが好ましい。
塗膜の乾燥および熱イミド化処理は、回転軸を中心として円筒状金型を回転させつつ行うことが好ましい。乾燥時の円筒状金型の周速は、特に制限されないが、1rpm以上100rpm以下が好ましく、5rpm以上80rpm以下がより好ましく、10rpm以上40rpm以下がさらに好ましい。
(弾性層の形成方法)
弾性層は、公知の方法によって形成することができる。弾性層を形成する方法としては、例えば、弾性材料、導電剤および必要に応じて用いられうる他の成分を含む弾性層形成材料を溶媒に溶解させた弾性層形成用塗布液を用いて塗膜を形成する方法が挙げられる。また、例えば、弾性材料、導電剤および必要に応じて用いられうる他の成分を含む弾性層形成材料を溶融させて膜を形成する方法が挙げられる。これらの中でも、弾性層形成用塗布液を用いて塗膜を形成する方法であることが好ましい。
弾性層形成用塗布液を用いて塗膜を形成する方法としては、例えば、弾性層形成用塗布液に、円筒状金型上に形成された基材を浸漬して塗膜を形成する方法が挙げられる。また、円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させ、当該ノズルから弾性層形成用塗布液を吐出して金型上に形成された基材上にらせん状に塗布し、それらがつながった無端ベルト状の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥した後、円筒状金型より剥離する方法が挙げられる。また、無端ベルト状の弾性層の製造に際しては、金型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
溶媒は、特に制限されず、公知のものを用いることができるが、例えば、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ホルムアミド系溶媒、アセトアミド系溶媒、ピロリドン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレンがより好ましく、トルエンがさらに好ましい。
弾性層形成用塗布液中の固形分濃度は、特に制限されないが、塗布性の向上や塗膜故障の低減の観点から、弾性層形成用塗布液の総質量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
塗膜の乾燥条件としては、特に制限されず、公知の条件を用いることができる。乾燥温度は、弾性層形成用塗布液の組成によっても異なるが、50℃以上250℃以下が好ましい。
塗膜の乾燥時間は、弾性層形成用塗布液の組成によっても異なるが、5分以上180分以下が好ましく、10分以上90分以下がより好ましい。
弾性材料が化学架橋性を有する材料である場合、塗膜の乾燥後に熱架橋処理を行うことが好ましい。熱架橋処理条件としては、特に制限されず、公知の条件を用いることができる。熱架橋処理温度は、化学架橋性を有する材料(化学架橋ゴム等)をはじめとする弾性層形成材料の組成によっても異なるが、100℃以上300℃以下が好ましく、120℃以上250℃以下がより好ましく、150℃以上200℃以下がさらに好ましい。
熱架橋処理の時間は、化学架橋性を有する材料(化学架橋ゴム等)をはじめとする弾性層形成材料の組成によっても異なるが、5分以上180分以下が好ましく、10分以上90分以下がより好ましく、10分以上60分以下がさらに好ましい。
塗膜の乾燥および熱架橋処理は、回転軸を中心として円筒状金型を回転させつつ行うことが好ましい。乾燥時の金型回転数は、特に制限されないが、1rpm以上100rpm以下が好ましく、5rpm以上80rpm以下がより好ましく、10rpm以上40rpm以下がさらに好ましい。
(表面層の形成方法)
表面層の形成方法は、特に制限されないが、多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートを含み、さらに重合開始剤を含む表面層形成用塗布液を調製した後塗布し塗膜を形成した後、硬化を行う方法が好ましい。
表面層形成用塗布液は、たとえば、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、重合開始剤とを、固形分濃度が3〜20質量%となるように溶剤に添加し、湿式メディア分散型装置などにより分散する。湿式メディア分散型装置としては、周知の装置を用いることができ、たとえば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、たとえば、スプレー塗布などが挙げられる。
表面層形成用塗布液を弾性層上に塗布した後、乾燥させる。これにより溶剤を除去する。
乾燥は、重合性成分の重合の前後、およびその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができる。当該乾燥は、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで1次乾燥した後、重合性成分の重合を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために2次乾燥を行うことが好ましい。
乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、たとえば40〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60℃程度である。乾燥時間は、たとえば1〜5分間であることが好ましく、より好ましくは3分間程度である。
塗膜の硬化方法としては、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線などで、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用できる。なかでも、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれも使用できる。たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光なども用いることができる。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される好ましくは50keV〜1000keV、より好ましくは100keV〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、一例をあげれば、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、波長280〜450nmにおいて、好ましくは1〜6J/cmであり、より好ましくは1〜4J/cmである。照射光量は、UIT250(ウシオ電機株式会社製)で測定することができる。
活性エネルギー線の照射時間は、0.5秒〜5分が好ましく、硬化効率、作業効率などから3秒〜5分であることがより好ましい。
活性エネルギー線照射時の雰囲気は、特に制限されず、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、不活性ガス雰囲気下等で行うことができる。雰囲気中の酸素濃度は、硬化ムラ、硬化時間などの観点から、好ましくは5体積%以下であり、より好ましくは1体積%以下である。雰囲気中の酸素濃度をかかる範囲にするため、窒素ガス等を導入することが有効である。なお、酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機株式会社製)で測定することができる。
上記のようにして得られる本発明の中間転写ベルトの比誘電率は、13以上である。比誘電率が13未満の場合、トナー画像の転写性が不十分になる恐れがある。該比誘電率は、15以上が好ましく、17以上がより好ましい。また、比誘電率は、強度確保、コストの観点から、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは20以下である。
本発明の中間転写ベルトの引張破断応力は、80MPa以上である。引張破断応力が80MPa未満の場合、ベルトの耐久性が落ちる恐れとなる。該引張破断応力は、90MPa以上が好ましく、100MPa以上がより好ましい。また、引張破断応力は、特に上限を制限しないが、材料の性能限界、高誘電化による弊害の観点から、好ましくは400MPa以下であり、より好ましくは200MPa以下であり、さらに好ましくは150MPa以下である。
<画像形成装置>
本発明の他の実施形態によれば、中間転写ベルトを有する画像形成装置が提供される。
本発明に係る中間転写ベルトを用いた画像形成装置は、たとえば電子写真方式の画像形成装置である。電子写真方式の画像形成装置は、像担持体(感光体ドラム)上に静電的に形成されたトナー像を、循環移動する中間転写ベルトに1次転写する1次転写手段と、中間転写ベルト上に形成される中間トナー像を画像支持体に2次転写する2次転写手段と、を具える。
図2は、中間転写ベルトを用いた画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
画像形成装置100は、電子写真方式の作像プロセスを用いてカラー画像を記録媒体(たとえば用紙)上に形成する。
この画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置とも称され、4組の画像形成部によりカラー画像を形成する。4組の画像形成部は、イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)色の画像を形成する画像形成部10Kである。
画像形成部10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、その周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Yおよび感光体ドラムクリーニング装置5Yとを有する。同様に、画像形成部10Mは、像担持体としての感光体ドラム1Mと、その周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4Mおよび感光体ドラムクリーニング装置5Mとを有する。画像形成部10Cは、像担持体としての感光体ドラム1Cと、その周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4Cおよび感光体ドラムクリーニング装置5Cとを有する。画像形成部10Kは、像担持体としての感光体ドラム1Kと、その周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4Kおよび感光体ドラムクリーニング装置5Kとを有する。なお、画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kのそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K、帯電部2Y、2M、2Cおよび2K、光書込部3Y、3M、3Cおよび3K、ならびに感光体ドラムクリーニング装置5Y、5M、5Cおよび5Kは、それぞれ同様の機能を有する構成である。
中間転写ベルト1は既に説明した本実施形態によるものである。中間転写ベルト1は複数の支持ローラー16により走行可能に架設されている。
画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kに形成された各色のトナー像は、1次転写部7Y、7M、7Cおよび7Kにより走行する中間転写ベルト1上に逐次転写される。これにより中間転写ベルト1上には、各色(Y、M、C、K)の層が重畳したカラー画像(トナー像)が1次転写される。
中間転写ベルト1に当接して2次転写ローラー30が配設されている。2次転写ローラー30は、中間転写ベルト1の動きに合わせて従動する。2次転写ローラー30の中間転写ベルト1を介して対向する位置には、複数の支持ローラー16の一つが配設されている。2次転写ローラー30と中間転写ベルト1とによって2次転写ニップ部18が形成されている。
用紙搬送部20は、用紙Sを搬送する。用紙Sは、給紙トレイ291、292および293に収容されており、第1給紙部21により給紙され、ループ形成ローラー対22およびレジストローラー対23を経て、2次転写ニップ部18に搬送される。
2次転写ニップ部18において中間転写ベルト1上に形成されたカラー画像が用紙S上に2次転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置50のニップ部Nにおいて熱と圧力とが加えられることにより、用紙S上のトナー像が溶融定着される。そして、用紙Sは、排紙ローラー25により装置外に排紙される。
画像形成装置100の上記各部は、制御部90と接続されており、制御部90により適宜制御される。制御部90の一部として構成されるCPU(不図示)は、画像形成された画像のピクセル数をカウントして積算する処理、または画像形成処理された用紙Sの枚数をカウントして積算する処理等を実行する。これらの処理の詳細については後述する。なお、これらの処理に対応するプログラムは、制御部90に含まれる記憶部(不図示)等に格納される。画像形成装置100の各部の各機能は、CPUが対応するプログラムを実行することにより発揮される。
なお、画像形成装置100は、それぞれ上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
次に、画像形成装置100により用紙に画像形成する電子写真プロセスについて説明する。
まず、スリットSLを頂部に備える原稿台に原稿が載置され、載置された原稿は、画像読取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、原稿からの反射光がミラーを介してラインイメージセンサーによって読み込まれ光電変換される。光電変換されて生成された色毎の画像情報信号は、画像処理部(不図示)によりアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が施された後、対応する色の画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kの光書込部3Y、3M、3Cおよび3Kにそれぞれ入力される。
画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kの光書込部3Y、3M、3Cおよび3Kは、画像情報信号を感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kに書き込み、感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上に画像情報信号に基づく潜像を形成する。具体的には、感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kは、有機光導電体(Organic Photo Conductor:OPC)を含むポリカーボネート等の樹脂からなる感光層を金属基体上に有している。感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kの表面は、スコロトロンタイプ等のコロナ放電極からなる帯電部2Y、2M、2Cおよび2Kにより生成されるイオンにより帯電され、光書込部3Y、3M、3Cおよび3Kは画像情報信号に基づいて感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上を走査露光する。帯電された感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kの露光された部分は電位が低下し、画像情報信号に対応する静電潜像が感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上に形成される。現像装置4Y、4M、4Cおよび4Kは、静電力を利用して感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上に形成された静電潜像をトナーで現像し、各色に対応するトナー像が形成される。
ここで、現像するためのトナーは、感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kと同じ極性に帯電している。たとえば、感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1Kは負極に帯電している。負極に帯電された感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上の領域のうち、光書込部3Y、3M、3Cおよび3Kにより電位が低下した潜像部分にだけ、負極に帯電したトナーが付着され、感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上に静電潜像を形成できる。感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K上の静電潜像は、中間転写ベルト1上に1次転写され、中間転写ベルト1上にトナー像を形成できる。この時、中間転写ベルト1を正極にすることによって、負極に帯電したトナーの中間転写ベルト1への転写を促すことができる。なお、中間転写ベルト1上には、印刷濃度や、色または画像形成位置の補正等のために、用紙Sに転写させないパッチが形成される。パッチを形成するためのトナーは、静電潜像を形成するためのトナー同様、負極に帯電している。それから、中間転写ベルト1上に形成されたトナー像は、2次転写ニップ部18において、用紙S上に2次転写される。この時、用紙Sを負極に帯電することによって、中間転写ベルト1により正極に帯電されたトナー像の、用紙Sへの転写を促すことができる。
以上のような画像形成装置において、上述の本実施形態に係る中間転写ベルトを用いることにより、優れた転写機能を有しながらも、高い耐久性を有するので、長期間にわたって画像品質の高い画像を形成することができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。以下の実施例においては、特記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。なお、本発明は以下実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<中間転写ベルト1の製造>
[基材1の形成]
ポリアミドイミドワニス「HR−16NN」(東洋紡株式会社製)の樹脂成分100質量部に対し、誘電性フィラーとして還元TiO(赤穂化成株式会社製 Tilack ND−300、長さ1000nm、アスペクト比=10、比誘電率13)25質量部(基材全体積に対して20体積%に相当する)と、導電剤としてカーボンブラック「SPECIAL BLACK4」(Degussa社製)10質量部と、を添加してミキサーを用いて混合することにより、基材形成用塗布液を調製した。
ステンレス製の円筒状金型を用い、塗布領域の金型裏面にネオジム磁石(ネオマグ株式会社製 N50、磁化方向40mm方向、表面磁束密度=633mT)を敷きつめ磁性を円筒状金型に付与した。その円筒状金型の円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させ、当該ノズルから基材形成用塗布液を吐出して金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成した。次いで、円筒状金型を回転させながら100℃で1時間加熱することにより大部分の溶媒を揮発させ、その後、250℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材を形成した。形成された基材の厚みは65μmであった。これを「基材1」とする。
また、質量部(質量%)と体積部(体積%)の換算は、各材料の添加する重量に対して、各材料の比重で割ることで体積量に換算し、体積割合を算出した。
[弾性層1の形成]
弾性材料であるアクリロニトリルブタジエンゴム「Nipol(登録商標)1041」(日本ゼオン株式会社製)90質量部、弾性材料であるポリクロロプレン「デンカクロロプレンDCR(登録商標)−66」(デンカ株式会社製)10質量部、Al 30質量部、TiO 10質量部、SiO 15質量部、イオン導電剤であるテトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業株式会社製)1質量部と、架橋剤である硫黄50質量部とを、固形分濃度が20質量%となるよう、トルエン中に溶解、分散させることにより、弾性層形成用塗布液を調製した。
続いて、基材形成用塗布液の塗布と同様の方法によって、弾性層形成用塗布液を円筒状金型上に形成した基材上に塗布し、基材の外周面を覆う塗膜を形成した。次いで、円筒状金型を回転させながら50℃で1時間加熱することにより大部分の溶媒を揮発させ、その後、170℃で20分間加熱することで熱架橋処理を行うことにより、弾性層を形成した。形成された弾性層の厚みは200μmであった。
[表面層1の作製]
多官能アクリレート「DPCA120」(日本化薬株式会社製)50質量部、多官能ウレタンアクリレート「UA−1100H」(新中村化学株式会社製)50質量部、および重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン「IRGACURE(登録商標)184」(BASFジャパン株式会社製)5質量部を、固形分濃度が10質量%となるよう、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させた。
さらに上記の液に、表面張力調整剤:シルフェイス(登録商標)SAG008(日信化学工業株式会社製)を液の総質量に対して1質量%添加し、表面層形成用塗布液とした。
得られた表面層形成用塗布液を、上記の弾性層の外周面上に、ワイディー・メカトロソリューションズ社製のスプレー装置を用い、下記の塗布条件で乾燥膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布することによって塗膜を形成した。この塗膜に活性エネルギー線として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成し、これにより、中間転写ベルトを得た。紫外線の照射は、光源を固定し、弾性層の外周面上に塗膜が形成された基材を回転しながら行った。スプレー塗布条件および紫外線照射条件は下記のとおりである。
(スプレー塗布条件)
ノズルスキャン速度:1〜10mm/sec、
ノズル距離:100〜150mm、
ノズル数:1、
塗布液供給量:1〜5mL/min、
流量:2〜6L/min。
(紫外線の照射条件)
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04−L41」(アイグラフィックス社製、主波長320nm)、
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm、
照射光量:1J/cm
照射時間(基材を回転させている時間):240秒間。
[円筒状金型からの剥離]
紫外線照射処理の後、無端ベルト状積層体を円筒状金型から剥離することで、中間転写ベルト1を製造した。
(実施例2〜10および比較例1〜8)
実施例1において、誘電性フィラーの種類、添加量および磁石の表面磁束密度を下記表1のように変更した以外は同様にして、各中間転写ベルトを製造した。ここで、使用された誘電性フィラーおよび磁石は下記の通りである。
・誘電性フィラー:
Tilack ND−100(赤穂化成株式会社製、長さ500nm、アスペクト比=5、比誘電率300)
BT−05(堺化学株式会社製、球状粒子、アスペクト比=1、比誘電率1000)
・ネオジム磁石:
N35(ネオマグ株式会社製、磁化方向4mm方向、表面磁束密度=288mT)
N35H(ネオマグ株式会社製、磁化方向1mm方向、表面磁束密度=36mT)
<測定>
[中間転写ベルトの比誘電率]
各中間転写ベルトの比誘電率を測定した。比誘電率の計測は、HP(横河ヒューレットパッカード)社製のLCRメーター4642A型を用い、試料の裏面にアルミニウム蒸着を施し、これと直径10mmの主電極との間に周波数1kHzの交流電圧5Vを印加して、1分後の計測値を試料の比誘電率とした。
[中間転写ベルトの引張破断強度]
JIS K7127:1999に基づき、各中間転写ベルトの引張破断強度を測定した。試験片は、1B型試験片形状にシート状成形品を切り出して、5mm/分の引張速度で測定した。
<評価>
[画像評価(凹凸紙転写性)]
各中間転写ベルトを、それぞれ、画像形成装置「bizhub PRESS(登録商標) C1100」(コニカミノルタ株式会社製)の中間転写体として搭載した。次いで、当該画像形成装置を用いて、20℃、50%RHにて、レザック(登録商標)66 302g紙(特種東海製紙株式会社製)を用い、YMCK、各色2層色(RGB)の255階調を10段階に区切ったグラデーションパターンを印字した。その後、目視により、以下の評価基準により凹凸紙への転写性を確認し、下記評価基準に従って評価した。ここで、評価がランク4以上となるときは、実用上望ましい特性であるとした。
5:完全に転写されていた、
4:トナー積層部が数点抜けていることが確認されるものの、単色部で完全に転写されていた、
3:トナー積層部がまばらに抜けていることが確認されるものの、単色部で完全に転写されていた、
2:トナー積層部、単色部の全てでまばらに抜けていることが確認された、
1:トナー積層部、単色部の全てで完全に抜けていることが確認された、
これらの結果を下記表1に示す。
[耐久性]
耐久性について評価した。評価時の環境温度20℃、相対湿度50%RHにて、評価機としてコニカミノルタ株式会社製bizhub PRESS(登録商標) C1100を使用し、実施例、比較例の中間転写ベルトを用いて、通紙耐久100000枚(100k枚)を行い(画像形成時と同様条件で通紙を行い、印字はしていない)、ベルトの破損状況を観察した。△であれば実用可能である。
○:割れなし、
△:端部に破損を確認した、
×:端部に加え中央部に破損を確認した、
これらの結果を下記表1に示す。
実施例1〜7の結果から、基材の製造工程において磁場の強度を上げること、また高いアスペクト比の誘電性フィラーを使用することにより、高い比誘電率および高い引張破断強度を有する中間転写ベルトが得られた。これにより、実施例の中間転写ベルトは、高い転写性と高い耐久性とが両立していることが分かった。一方、比較例1は、基材の製造工程において磁場の強度が弱く、基材中の誘電性フィラーの厚み方向への配向が十分に起こっておらず、また誘電性フィラー同士の厚み方向の接触が十分に起こっていないと考えられる。そのため、得られたベルトの比誘電率が低く、転写性が劣っていることが示唆された。比較例2は、誘電性フィラーのアスペクト比が小さく、基材中の誘電性フィラーの厚み方向への配向が十分に起こっておらず、また誘電性フィラー同士が厚み方向の接触が十分に起こっていないと考えられる。そのため、ベルトの比誘電率が低く、転写性が劣っていることが示唆された。比較例3は、誘電性フィラーの含有量が少なすぎ、誘電性フィラー同士の厚み方向の接触が十分に起こっていないと考えられ、そのため、ベルトの比誘電率が低く、転写性が劣っていることが示唆された。比較例4は、誘電性フィラーの含有量が多すぎ、ベルトの強度が下がってしまい、耐久性が劣っていることが示唆された。
以上説明したように、本発明に係る実施形態および実施例は、ベルトの比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上である。これにより、本発明に係る実施形態および実施例によれば、転写性に優れ、また耐久性にも優れた中間転写ベルトを提供することができる。
1 中間転写ベルト、
2 基材、
3 弾性層、
4 表面層、
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム、
2Y、2M、2C、2K 帯電部、
3Y、3M、3C、3K 光書込部、
4Y、4M、4C、4K 現像装置、
7Y、7M、7C、7K 1次転写部、
10Y、10M、10C、10K 画像形成部、
18 2次転写ニップ部、
20 用紙搬送部、
21 第1給紙部、
22 ループ形成ローラー対、
23 レジストローラー対、
25 排紙ローラー、
291、292、293 給紙トレイ、
30 2次転写ローラー、
50 定着装置、
90 制御部、
100 画像形成装置、
N ニップ部、
S 用紙、
SC 画像読み取り装置、
SL スリット。

Claims (7)

  1. 少なくとも基材を含む中間転写ベルトであって、
    比誘電率が13以上であり、且つ引張破断応力が80MPa以上であることを特徴とする、中間転写ベルト。
  2. 前記基材が樹脂および誘電性フィラーを含み、前記誘電性フィラーのアスペクト比が1.5以上である、請求項1に記載の中間転写ベルト。
  3. 前記樹脂100質量部に対する前記誘電性フィラーの含有量が10質量部を超え40質量部未満である、請求項2に記載の中間転写ベルト。
  4. 前記誘電性フィラーの比誘電率が100以上である、請求項2または3に記載の中間転写ベルト。
  5. 比誘電率が15以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写ベルト。
  6. 樹脂と、誘電性フィラーとを含む塗布液を支持体に塗布して塗膜を得た後、
    前記塗膜に対して、厚み方向に100mT以上の磁場を印加して、基材を形成することを含む中間転写ベルトの製造方法であって、
    前記誘電性フィラーのアスペクト比が1.5以上であり、前記樹脂100質量部に対する前記誘電性フィラーの含有量が10質量部を超えて40質量部未満である、中間転写ベルトの製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法により製造された、中間転写ベルト。
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