JP6171531B2 - 中間転写ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかし、球形微粒子をシリコーン微粒子のような低表面エネルギーの材料を用いた場合、トナーとシリコーン微粒子とが接触した際、マイナスに帯電したトナーの帯電状態が変化し、この帯電状態の変化が原因で2次転写率の低下を招く傾向があることから、近年要求されている転写性能を満たすにはまだ十分とはいえない。
しかし、トナー粒子径の10分の1以下の微小粒子を選択すると粒子が弾性層の中に深く入り込んで埋没してしまい、タック性向上によるクリーニング不良を起こす。また、仕事関数に着目した材料選定をしていないため、トナーの帯電状態を変化させ、2次転写率の低下によるクリーニング不良や異常画像が発生する可能性がある。
しかし表面処理したフィラーは表面に露出しておらず表面は平滑面であり、表面に凹凸形状を有するベルトと比較してトナー離形性に劣る。そのため、2次転写率やベルトのクリーニング性が昨今の電子写真装置に要求されるレベルを満たすことができない。
しかしながら、粒子層が厚かったり、粒子の凝集による不均一性部分が存在したりし、転写性能にもばらつきが発生しやすい傾向があり、昨今の電子写真装置に要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない場合がある。
しかしながら、本提案でも粒子の存在に不均一性が生じ、やはり昨今の電子写真装置に要求される高いレベルの画質を満足しうるものが得られない。
しかし、シリコーン微粒子とコーティング材料は仕事関数に着目して材料選定を行っていないために、トナーの帯電状態を変化させてしまい昨今の電子写真装置に求められる転写性を十分に発揮することができない。
図1又は図3の層構成では、比較的屈曲性が得られる剛性な基層11の上に柔軟な表層12が積層されており、さらにその表層12の表面は、球形微粒子13を配列することによって凹凸形状を構成している。図1では、球形微粒子13は表面処理層14に被覆されており、図3では、球形微粒子13の粒子間の隙間に表面処理層14が形成されている。以下、各構成層について説明する。
まず、基層11について説明する。この構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(または、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂が好適である。
このようなポリイミド、ポリアミドイミドとしては、市販品、例えば、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手して使用することができる。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、基層には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。例えば、本発明の中間転写ベルト(シームレスベルト)を製造する際に用いる樹脂成分を含む塗工液中に、必要に応じて前記添加材を含有させておくことができる。
一方、前記基層の厚みが前記特に好ましい範囲であると耐久性の点で、有利である。基層に関しては、走行安定性を高めるために、膜厚ムラはなるべく無くすことが好ましい。
含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと抵抗値の均一性が得られにくくなり、任意の電位に対する抵抗値の変動が大きくなる。また、含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルトの機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
次に、基層11上に積層する表層12について説明する。表層12を構成する材料として樹脂が好ましく使用されるが、このような樹脂としては、汎用の樹脂や弾性体(エラストマーやゴム)などの材料を使用することが可能である。
樹脂としては、スチレン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、前記樹脂の共重合体、もしくは混合物も含む。
本発明の効果を十分に発現するために、球形微粒子を保持することのできる樹脂を用いることが好ましく、フッ素樹脂を選択することが望ましい。
本発明の表層としてフッ素樹脂を用いる場合、現在上市されているものでもよく、特に限定されるものではない。市販品のフッ素樹脂としては、ルミフロン(旭硝子)やネオフロン(ダイキン工業)等が挙げられる。
前記表層の厚みを調整する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。表層の厚みを確認、管理するには、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計での計測や膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
前記表層12は、弾性体(エラストマーやゴム)で構成された弾性層としてもよい。
すなわち、表層を構成する材料としては、樹脂が使用されるが、本発明の効果を十分に発現するに十分な柔軟性(弾性)を有する材料(弾性体)を用いることが好ましく、エラストマー材料やゴム材料を用いるのがよい。
弾性体を用いることで表面性状の異なる用紙に対して中間転写ベルトの追従性が向上し、用紙の凹凸状に存した濃淡むらや色調のむらを防ぐことができる。弾性層を用いることによって、リサイクルペーパーやエンボス紙や和紙やクラフト紙のような表面性の粗いものに転写することが可能となる。
また、ゴム材料(ゴム)としては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチルなどが挙げられる。
架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、多価第三級アミン化合物、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。
イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ−n−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。
多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。
第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
加熱温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140℃〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
マイクロゴム硬度は市販のマイクロゴム硬度計(例えば、高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計MD−1」)を用いて測定できる。
また、ベルト巾方向の長さは、昨今の電子写真の高速化、高画質化、高耐久化の面から300mm以上とするのが好ましい。
次に、表層12の表面上に配置される球形微粒子13について説明する。
前記球形微粒子とは、平均粒子径が100μm以下(好ましくは、1μm〜5μmの球形)の形状をしており、有機溶剤に不溶で3%熱分解温度が200℃以上である微粒子のことをいう。
ここで、「有機溶剤に不溶」とは、有機溶剤中に粒子を投入して長時間保管しても粒子自体の重量損失は確認されず、有機溶媒から粒子由来の樹脂が如何なる測定手段によって同定されることもない。
また、「3%熱分解温度」とは、熱重量測定装置(TG-DTA)により測定して得られる3%重量減における温度を指す。
ただし、本発明の効果を十分に発現させるために、トナー離型性に優れた疎水性球形微粒子を使用することが好ましく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂を主成分としてなる球形微粒子を選択する事が好ましい。さらにこれらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性、耐磨耗性を付与できる機能の高いものとして、シリコーン球形微粒子が特に好ましい。
ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。具体的には、体積平均粒径±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のものでよい。
体積平均粒径が1.0μm未満では、粒子による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0μmを超えると、表面粗さが大きくなり粒子の脱落が起こる。また、粒子間の隙間が大きくなるため、現在主流となっている粒径4〜10μmのトナーが隙間に入り込んでうまく転写できなくなったりクリーニング不良となったりする不具合が生じる。さらには、球形微粒子として挙げられる材料は絶縁性が高いものが多いため、粒径が大きすぎると粒子による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
なお、球形微粒子を表層表面に塗布するタイミングは特に限定されず、ゴムの場合であれば加硫前、加硫後何れでも可能である。
次に、本発明における中間転写ベルト表面状態について説明する。
図1の中間転写ベルト層構成に示したように、ベルトの表層表面は、部分埋設された球形微粒子により凹凸形状とされている。図2に、ベルトの表面(表層面)を真上から観察した拡大模式図を示す。
従って、表面処理層14は、球形微粒子13を被覆した場合と、球形微粒子13の粒子間の隙間であって表層表面上にコーティングされた場合がある。
この表面を構成する各球形微粒子の表層面(樹脂層面)における断面の径も均一な方が好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。
このような表面を形成するためにできるだけ粒径の揃った粒子(真球に近い単分散粒子)を用いることが好ましいが、これを用いなくてもある粒径のものが選択的に表面に形成できる方法により表面を形成して前記粒径分布幅となる構成としてもよい。
球形微粒子13の投影面積率が60%未満では、表層12の露出部が多すぎてトナーがゴムと接触し、良好な転写性が得られない場合がある。
ここで、「埋没率」とは、球形微粒子が表層((樹脂層)に埋没している深さ方向における粒子径の割合(率)[(球形微粒子の埋没深さ)/(球形微粒子の深さ方向の径)]のことであるが、ここで言う、埋没率は、すべての粒子が50%以上100%に満たないという意味ではなく、平均埋没率(所定の視野で観測)で表わしたときの数値が50%以上100%に満たなければよい。なお、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、表層(例えば、弾性層)中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されない(弾性層中に完全に埋没している粒子の個数%は粒子全体のうち5%以下)。
上述した球形微粒子に使用される、例えばシリコーン微粒子のようなトナーに対して離型性に優れる材料は、帯電系列上では負帯電しやすい材料である場合が多い。
現在、電子写真システムにおいては負帯電トナーを使用する場合が多いが、負に帯電したトナーと、表面が負帯電しやすい樹脂に覆われた表面を持つ中間転写ベルトが接触した際に、トナーの負電荷がより負帯電しやすい球形微粒子に移ってしまい、トナーの帯電性が弱まってしまう。それによって、二次転写時に電界によってトナーを移動させる力が弱まってしまい、転写性が低下するという不具合を生じる。
すなわち、球形微粒子13を表面処理層14で被覆した上で、表層12の表面上に塗布し、表面処理層14をベルト表面(表層12の表面)に露出させる(図1、図2)。これにより、トナーの負電荷が過度に中間転写ベルト側に奪われることを防止し、二次転写時に電界によってトナーを移動させる力が弱まることを防ぐ。さらに表面処理を施した微粒子と表層との接着性が向上し、球形微粒子の脱離も防止でき耐久性も向上する。
これにより、球形微粒子間の隙間であって表層の表面上にも表面処理剤がコーティングされ表面処理層14が形成され、トナーの負電荷が過度に中間転写ベルト側に奪われることを防ぐことができ、二次転写時に電界によってトナーを移動させる力が弱まることを防ぐことができる。
すなわち、本発明に用いられる球形微粒子(例えば、シリコーン樹脂)は一般的に仕事関数が大きいが、仕事関数の小さい材料を球形微粒子表面に被覆(表面処理)し、ベルト表面に露出させることでトナーの負電荷が過度に中間転写ベルト側に奪われることを防ぐ。また、球形微粒子をベルト表面に部分埋設させた後、表面処理することでも同様の効果が得られる。
したがって、表面処理剤には前記球形微粒子よりも仕事関数が小さく負帯電しにくい材料を用いる。つまり、前記球形微粒子の表面処理に用いられる表面処理剤の仕事関数が球形微粒子の仕事関数よりも小さいことが好ましい。
上記含窒素炭化水素系の樹脂としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ジメチルアミノエチルアクリレート(DAA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DAM)、ジアリルジメチルアンモニウム塩重合物、ポリビニルイミダゾリン、ポリアリルアミン、ジシアンアミド系縮合物、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン縮合物、ポリアミジン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド4-6(PA4-6)、ポリアミド6-6(PA6-6)、ポリアミド6-10(PA6-10)、ポリアミド6-12(PA6-12)、ポリアミドイミド、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、AS樹脂(SAN)、ABS樹脂(ABS)、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
上記含酸素炭化水素系の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアレート(PAR)、ポリアセタール(POM)、ポリオキシベンゾイルエステル(POB)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリメチルビニルエーテル、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)等が挙げられる。
上記含硫黄炭化水素系の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)等が挙げられる。
帯電性やトナー離型性、ハンドリング性などを考慮すると、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。
マイナスに帯電したトナーの電荷を保持するために、表面処理剤の分子構造中に窒素を含むことが望ましい。
つまり、分子構造中に窒素を含む化合物は仕事関数が小さい材料が多く、これによってマイナスに帯電したトナーの電荷移動を抑えることができる。
分子構造中に窒素を有する材料(化合物)の置換基として一般的に知られているのは、−NX3(Xはアルキル、フェニル等)、−NM4X(Mは、例えば、H、アルキル、フェニル等であり、Xは、例えば、ハロゲン原子、カルボン酸等の酸アニオン類、BF4等)などである。
窒素原子を分子構造内に含む表面処理剤(含窒素表面処理剤)の具体例としては、前述の含窒素炭化水素系の樹脂で例示した各種樹脂が挙げられる。
また、生体高分子のうちの、タンパク質や多糖、核酸もその一例として挙げられる。タンパク質はアスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グルタミン、システイン、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リシン、ロイシンの20種のアミノ酸から構成されるものを示す。一例として、プリオン、フィブロイン、コラーゲン、カゼイン、ケラチン、キモトリプシン、アクチン、ミオシン、アルブミンなどが挙げられる。多糖の例としてはキチン、キサトンなどが挙げられる。
また、アンモニウム基を含むものとして、トリメチル[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、トリメチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライドが挙げられる。
その他含窒素シランカップリング剤としてウレイド基を含むものとして、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、1-[3-(トリメチルシリル)プロピル]ウレア、イソシアネート基を含むものとして3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
帯電性やトナー離型性、ハンドリング性、表面への結合力などを考慮すると、特にイミダゾールシランが好ましく用いられる。
まず、少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体またはポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層11(図1または図3参照)を製造する方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体またはポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体またはポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化またはポリアミドイミド化を行う。十分に冷却後、引き続き、基層11上に表層12を積層する。
十分に冷却後、引き続き、基層11上に表層12を積層する。表層12は樹脂あるいは弾性体(エラストマーやゴム)から構成される。
表層12は、樹脂を有機溶剤に溶解させた樹脂塗料(塗工液)を用い、基層11上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥し、必要により硬化あるいは加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層と同様の方法が適用できる。すなわち、液供給装置にて塗工液を基層表面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、基層11上に表層12が形成された積層ベルトを得る。
表層12は、ゴムを有機溶剤に溶解させたゴム塗料を用い、基層11上に塗布形成し、その後、溶剤を乾燥、加硫することで製造することができる。塗布成形法としては、基層11と同じく、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法が適用できるが、凹凸転写性を良くするためには弾性層の厚みを厚くすることが必要であり、厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、および螺旋塗工が優れており、前述したように弾性層の厚みを巾方向で変えやすいと言った点から螺旋塗工が優れている。そのためここでは、螺旋塗工について説明する。
球形微粒子13への表面処理方法に関して説明する。
表面処理層14は、球形微粒子13を分散させた有機溶媒の中に表面処理剤を加えて一定時間撹拌させた後に、球形微粒子のみ濾過し、加熱乾燥を行うことにより形成される。この場合、図1に示すように、表面処理層14は球形微粒子13を被覆した状態となる。これにより、仕事関数の差による転写率の向上に加え、表層への確実なコーティングの実現や球形微粒子がベルトから脱落しくくなることによる高耐久化が期待できる。
球形微粒子がシリコーン微粒子である場合の例を挙げると、この表面処理において、表面処理剤としてシランカップリング剤を用い、球形微粒子表面を直接修飾させる場合には、表面処理剤の未反応物を取り除くために、有機溶媒で洗浄し、再度加熱乾燥を行うことが望ましい。
表面処理層を形成する塗布方法としては、基層や表層を形成したときと同様に、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工などの既存の塗工法やスプレー塗工等が適用できる。
まず、球形微粒子が部分埋設している表層に表面処理剤を塗布する。その後、回転した円筒状支持体にブレードを当接させベルトの上の余分な表面処理剤を除去することによって、表面処理剤が球形微粒子間の隙間にのみ表面処理された状態とするのが好ましい。この場合、図3に示すように、球形微粒子間の隙間であって表層の表面上に表面処理層14が形成される。隙間にのみ表面処理された状態となることによって、仕事関数の差による転写性の向上に加え、球形微粒子の粒子表面が露出されて転写手段に用いられることで球形微粒子の低摩擦性が期待できる。なお、前記隙間が表面処理されていればよく、球形微粒子に表面処理剤が付着した箇所が残っていてもよい。
その後所定の回転速度、乾燥温度を維持させることで表面処理剤が乾燥される。この乾燥過程でも、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
充分に冷却後、金型から基層ごと脱離させ、シームレスベルト(中間転写ベルト)を得ることができる。
表層表面への表面処理方法として球形微粒子を塗布し、凹凸形状を作製する方法に関して述べる。すなわち、球形微粒子13を表層12上へ塗布することで凹凸形状を形成させて所望のシームレスベルト(中間転写ベルト)を得る。
球形微粒子が部分埋設されて凹凸形状を形成する方法としては、図5に示すように、金型ドラム101上に形成された基層と表層を塗布したベルト102に、粉体供給装置105と押し当て部材103を近接配置し、金型ドラム101を回転させながら粉体供給装置105から球形微粒子104を表層表面に均一にまぶし、表面にまぶされた球形微粒子104を押し当て部材103により加熱しながら一定圧力にて押し当てる。
球形微粒子を均一に表面に並べたのち、回転させながら所定温度、所定時間で加熱することにより硬化させて、球形微粒子を埋設させたベルトを形成する。
前記中間転写ベルトにおける球形微粒子の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間転写体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、測定することができる。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えてなり、前記中間転写ベルトが本発明の中間転写ベルトであることを特徴とするものである。
すなわち、本発明の画像形成装置は、別の表現(上記と同義)をすれば、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを有してなり、前記中間転写ベルトが本発明の中間転写ベルトであることを特徴とするものである。
本発明の画像形成装置は、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
この場合、前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の潜像担持体を直列に配置してなるものが好ましい。
なお、「像担持体」を「潜像担持体」と呼称することがある。
図6に示すベルト部材を含む中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト501などにより構成されている。この中間転写ベルト501の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブラシ504、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505などが対向するように配設されている。
このベルト部材である中間転写ベルト501は、通常、半導体、または絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム200上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
図6において、帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体ドラム200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト501と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト501上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ610が駆動されて、転写紙ガイド板601に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
なお、図6中符号70は除電ローラ、80はアースローラ、204は電位センサー、205は画像濃度センサー、503は帯電チャージャ、513はトナー画像、Lはレーザー光を示す。
図7の要部模式図は、本発明の中間転写ベルトに沿って複数の像担持体が並設されているフルカラー画像形成装置の一例を示す。すなわち、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
なお、ベルト中央部の膜厚は、巾方向中心部±50mmの平均膜厚を求めることによって算出した。膜厚は接触式の膜厚計で計測した。
また、各材料の仕事関数は、表面分析装置[理研計器(株)製:AC-2型]を用いて測定を行い、3回測定して得られた値の平均値を採用した。
また、投影面積率は、ベルトの表面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、その画像を画像処理ソフト(Image−proplus;cyber netics社)を用いて画像を2値化し、ベルト表面上における表面処理されたシリコーン微粒子の投影面積率を算出した。
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いて円筒状支持体(金型)に塗工し、シームレスベルト基層(ポリイミド基層ベルト)を作製した。
「基層用塗工液の調製」
まず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して基層用塗工液を調製した。
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、これをロールコート塗工装置に取り付けた。
続いて、基層用塗工液をパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚30μmのポリイミド基層ベルトを得た。
ポリイミド基層ベルトが形成された円筒状支持体を乾燥機から取り出して冷却した後、ポリイミド基層(ベルト)表面に、有機溶剤(MEK:メチルエチルケトン)に濃度40[wt%]になるように調整されて溶解されたフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)溶液を円筒状支持体を回転させながら螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が60μmになるように調整した。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して30分加熱して表層を作製した。
〔表面処理されたシリコーン微粒子の作製〕
アクリル樹脂(ACRYDIC A−165:DIC株式会社)を溶解させたn-ブタノール溶液中にシリコーン微粒子[トスパール120(体積平均粒径2.0μm品):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社]を撹拌し分散させた後に、粒子のみ濾過し100℃まで昇温して30分間加熱処理し、表面処理層を形成させたシリコーン微粒子(略称:表面処理シリコーン微粒子)を得た。
〔表面処理シリコーン微粒子の埋設〕
ポリイミド基層ベルト上に表層が形成された円筒状支持体を熱風循環乾燥機から取り出して冷却した後、ベルトの表層表面に、図5に示す装置を用いて、表面処理シリコーン微粒子(表面処理層を形成させたシリコーン微粒子)をまんべんなく表面にまぶし、表層表面に部分埋設して凹凸形状とした。
表面処理シリコーン微粒子を表層表面にまぶす際の押し付け部材(ポリウレタンゴムブレード)の表層に対する押し付け圧力(押圧力)は100mN/cmとし、この条件で押し当てて表層(樹脂層)に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理して中間転写ベルトAを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は83%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例1の〔表面処理されたシリコーン微粒子の作製〕において用いたシリコーン微粒子[トスパール120(体積平均粒径2.0μm品)]に代えて、シリコーン微粒子[X−52−854(体積平均粒子径0.8μm品):信越化学]を用いた他は実施例1と同様にして、中間転写ベルトBを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は84%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例1の〔表面処理されたシリコーン微粒子の作製〕において用いた[トスパール120(体積平均粒径2.0μm品)]に代えて、シリコーン微粒子[トスパール2000B(体積平均粒子径6.0μm品):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ]を用いた他は実施例1と同様にして、中間転写ベルトCを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は75%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例1における「表層の作製」を下記処方からなる弾性体とした他は実施例1と同様にして中間転写ベルトDを得た。すなわち、下記処方に示す配合割合で各成分を配合・混練することでゴム組成物を作成し、これを用いて表層(弾性層)を作製した。
〈弾性体の処方〉
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社/NipolAR12) 100.0重量部
ステアリン酸(日油株式会社製;ビーズステアリン酸つばき) 1.0重量部
赤リン(燐化学工業株式会社製;ノーバエクセル140F) 10.0重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製;ハイジライトH42M) 40.0重量部
架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製;Diak.No1(
ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)) 0.6重量部
架橋促進剤(Safic alcan社製;VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ)) 0.6重量部
導電剤(日本カーリット株式会社製;QAP-01(過塩素酸テトラブチル
アンモニウム)) 0.3重量部
塗布量としては中央部の最終的な膜厚が550μmになるように調整した。その後、ゴム溶液が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して120分加熱し、表層(弾性層)を作製した。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は80%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例4において用いたアクリル樹脂処理のシリコーン微粒子に代えて、分子構造中に窒素原子を有するイミダゾールシラン(IS1000:JX日鋼日石金属社製)を表面処理に用い、溶媒をメタノールに変更した他は実施例4と同様にして、中間転写ベルトEを得た。
このときの、シリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤(イミダゾールシラン)の仕事関数は5.7eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は83%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例5において表面処理シリコーン微粒子の投影面積率を56%になるように変更(制御)して、表層(弾性層)に表面処理シリコーン微粒子を埋設、固定化した以外は実施例5と同様にして、中間転写ベルトFを得た。なお、投影面積率の制御は、シリコーン微粒子を表層表面にまぶす際の押し付け部材の押し付け圧力(押圧力)を制御することにより行った(以下同じ)。
このときの、シリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤の仕事関数は5.7eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は56%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例1のシリコーン微粒子の表面処理において、表面処理剤(アクリル樹脂)を用いず、シリコーン微粒子の表面処理を施さなかった他は実施例1と同様にして、中間転写ベルトGを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、シリコーン微粒子の投影面積率は79%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例1のシリコーン微粒子の表面処理において、表面処理剤に用いたアクリル樹脂に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子社製)に変更した他は実施例1と同様にして、中間転写ベルトHを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤(フッ素樹脂)の仕事関数は5.9eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は80%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例4のシリコーン微粒子の表面処理において、表面処理剤(アクリル樹脂)を用いず、シリコーン微粒子の表面処理を施さなかった他は実施例4と同様にして、中間転写ベルトIを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、シリコーン微粒子の投影面積率は85%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
実施例4のシリコーン微粒子の表面処理において、表面処理剤に用いたアクリル樹脂に代えて、フッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子社製)に変更した他は実施例1と同様にして、中間転写ベルトJを得た。
このときのシリコーン微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤(フッ素樹脂)の仕事関数は5.9eV、表面処理シリコーン微粒子の投影面積率は85%であった。これらの値を下記表1にまとめて示す。
結果を下記表1に示す。
記録媒体(転写紙)として、凹凸紙(連量175kg紙レザック紙)を用い、これに、青色のベタ画像を出力する操作を実施し、紙に転写する前の中間転写ベルト上の画像トナー量と紙に転写した後に中間転写ベルト上に残ったトナー量を計測し、下記式(1)により転写率を算出した。
テストチャートを連続20万枚連続画像出力する前の初期と、転写した後で、上記式(1)の方法に従い、転写率を算出した。
判定は、◎が転写率95-100%、○が転写率90-95%、×が転写率90%以下とした。
<20万枚連続画像出力時点における画像評価>
テストチャートを連続20万枚連続画像出力した後、普通紙(TYPE 6200)、凹凸紙(連量175kg紙レザック紙)の画像品質(ブラックのトナーによる全面ハーフトーン)を目視によって判定した。
判定は、◎が画質にムラなし、○がムラが見られるが使用可能レベル、×は使用不可とした。
下記により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルト基層を作製した。
「基層用塗工液の調製」
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
続いて、基層用塗工液Aをパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。
その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、膜厚30μmのポリイミド基層ベルトを得た。
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面に有機溶剤(MEK:メチルエチルケトン)に濃度40[wt%]になるように溶解されたフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)と5[wt%]の割合で添加されたイソシアネート硬化剤(TPA-B80E旭化成ケミカル製))を円筒状支持体を回転させながら表層に螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な膜厚が60μmになるようにした。その後、塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。
乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図5の装置を用いて、球形微粒子として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をまんべんなく表面にまぶした。ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて樹脂層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理した。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、また粒子の投影面積率は78%であった。
その後乾燥機から取り出して冷却し、ベルト表面に水に溶かしたアクリル樹脂(アクアリック:日本触媒)を円筒状支持体を回転させながら表層にスプレー塗工した。その後塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながらブレードを押し当てることによって、ベルト上の余分な塗布材料を除去する。その後、熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で150℃まで昇温して2時間加熱した。十分冷却後、金型から取り外し中間転写ベルトaを得た。アクリル樹脂の仕事関数は5.8eVであった。
実施例7のベルトの処理において、球形微粒子として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品))に代えて、シリコーン球形微粒子(X−52−854(体積平均粒子系0.8μm品);信越化学)を用いた事以外は実施例7と同様にして、中間転写ベルトbを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、また粒子の投影面積率は82%であった。
実施例7のベルトの処理において、球形微粒子として、シリコーン球形微粒子(トスパール120(体積平均粒径2.0μm品))に代えて、シリコーン球形微粒子(トスパール2000B(体積平均粒子系6.0μm品);モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を用いた事以外は実施例7と同様にして、中間転写ベルトcを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、また粒子の投影面積率は76%であった。
実施例7における「表層の作製」を以下とする他は同じとし中間転写ベルトdを得た。すなわち、下記処方に示す配合割合で各成分を配合・混練することでゴム組成物を作成し、これを用いて表層(弾性層)を作製した。
このときシリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、アクリル樹脂の仕事関数は5.8eV、また粒子の投影面積率は77%であった。
アクリルゴム(日本ゼオン株式会社/NipolAR12) 100.0重量部
ステアリン酸(日油株式会社製;ビーズステアリン酸つばき) 1.0重量部
赤リン(燐化学工業株式会社製;ノーバエクセル140F) 10.0重量部
水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製;ハイジライトH42M) 40.0重量部
架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製;Diak.No1(
ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)) 0.6重量部
架橋促進剤(Safic alcan社製;VULCOFAC ACT55(70%1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ)) 0.6重量部
導電剤(日本カーリット株式会社製;QAP-01(過塩素酸テトラブチル
アンモニウム)) 0.3重量部
実施例10において用いたアクリル樹脂処理のシリコーン微粒子に代えて、分子構造中に窒素原子を有するイミダゾールシラン(IS1000:JX日鋼日石金属製)、表面処理に用いた溶媒をメタノールに変更した他は実施例10と同様にして、中間転写ベルトeを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、イミダゾールシランの仕事関数は5.7eV、また粒子の投影面積率は78%であった。
実施例11のシリコーン球形微粒子の投影面積率を40%になるように変更した他は実施例11と同様にして、中間転写ベルトfを得た。
実施例11のシリコーン球形微粒子の投影面積率を90%になるように変更した他は実施例11と同様にして、中間転写ベルトgを得た。
実施例7のベルトの処理において、表面処理剤を塗布していないこと以外は実施例7と同様にして、中間転写ベルトhを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、粒子の投影面積率は79%であった。
実施例7のベルトの処理において、表面処理剤にフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)、表面処理に用いた溶媒をMEKに変更した以外は実施例7と同様にして、中間転写ベルトiを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤(フッ素樹脂)の仕事関数は5.9eV、また粒子の投影面積率は77%であった。
実施例7のベルトの処理において、表面処理剤を塗布していないこと以外は実施例7と同様にして、中間転写ベルトjを得た。シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、このとき、粒子の投影面積率は83%であった。
実施例10のベルトの処理において、表面処理剤にフッ素樹脂(ルミフロンLF916F:旭硝子製)、表面処理に用いた溶媒をMEKに変更した以外は実施例10と同様にして、中間転写ベルトkを得た。このとき、シリコーン球形微粒子の仕事関数は5.9eV、表面処理剤(フッ素樹脂)の仕事関数は5.9eV、また粒子の投影面積率は82%であった。
評価結果を下記表2に示す。
11 基層
12 表層
13 球形微粒子
14 表面処理層
(図5の符号)
101 金型ドラム
102 基層と表層を塗布したベルト
103 押し当て部材
104 球形微粒子
105 粉体塗布装置
(図6の符号)
P 転写紙
L レーザー光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサー
205 画像濃度センサー
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 シール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブラシ
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサー
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図7の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 バイアスローラ
Claims (10)
- 像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置に配備される中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトは少なくとも内側から順に基層と表層を備え、
該表層表面は、表面処理剤により表面処理された球形微粒子を該表層表面に部分埋設されてなる凹凸形状または球形微粒子を該表層表面に部分埋設させた後に表面処理剤により表面処理されてなる凹凸形状を備え、
前記表面処理剤の仕事関数が前記球形微粒子の仕事関数よりも小さいことを特徴とする中間転写ベルト。 - 前記球形微粒子がシリコーン微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 前記球形微粒子の体積平均粒径が1μm〜5μmの球形であることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写ベルト。
- 前記表層の構成材料が樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 前記表層が弾性体で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 前記表面処理剤の分子構造中に窒素原子を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 前記表面処理剤は、イミダゾールシランであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 前記球形微粒子が部分埋設される表層の全表面積に対して、部分埋設される球形微粒子の投影面積比率が60%以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えてなり、前記中間転写ベルトが請求項1乃至8のいずれかに記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
- 前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の像担持体を直列に配置してなることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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