JP2001022189A - 半導電性ベルト - Google Patents

半導電性ベルト

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JP2001022189A
JP2001022189A JP19843199A JP19843199A JP2001022189A JP 2001022189 A JP2001022189 A JP 2001022189A JP 19843199 A JP19843199 A JP 19843199A JP 19843199 A JP19843199 A JP 19843199A JP 2001022189 A JP2001022189 A JP 2001022189A
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belt
outer layer
inner layer
surface resistivity
layer
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JP19843199A
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Toshihiko Tomita
俊彦 富田
Toshiaki Iwamoto
登志明 岩元
Yoshinobu Watanabe
義宣 渡辺
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械特性や電気抵抗値の均一性が良好な複層
タイプの長所を生かしつつ、画像の転写性や記録紙等の
分離性などの特性が改善された、中間転写ベルトや転写
搬送ベルトとして有用な半導電性ベルトを提供する。 【解決手段】 電子写真記録装置の中間転写ベルト又は
転写搬送ベルトに使用され、いずれもポリイミド系樹脂
を主体とする外層と内層とからなる半導電性ベルトにお
いて、前記外層は、導電性物質を含有して、表面抵抗率
ρsが106 〜1015Ω/□であると共に、前記内層
は、表面抵抗率ρsが1011Ω/□以上で前記外層より
高い値を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド系樹脂
を主体とする外層と内層とからなる半導電性ベルトであ
って、電子写真記録装置において像の中間転写体となる
中間転写ベルトや、像の転写を兼用しつつ印刷シートの
搬送を行う転写搬送ベルトなどに使用されるものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式で像を形成記録
する電子写真記録装置としては、複写機やレーザープリ
ンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機
等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上
などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等
の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着
させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベ
ルトに一旦転写し、それを印刷シート上に定着させる中
間転写方式が検討されている。また装置の小型化等を目
的に、転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる方式
も検討されている。
【0003】このような中間転写ベルト等に用いうる半
導電性ベルトの一例として、特開昭63−311263
号公報には、機械特性に優れるポリイミド系樹脂にカー
ボンブラックを所定部数分散してなる中間転写ベルトが
提案されている。しかし、この中間転写ベルトは主に単
層タイプで構成されるため、強度等との兼ね合いで決定
される厚みとの関係から、導電性物質を均一に分散する
のが困難であった。このため、導電性物質の分散状態が
充分でなく、ベルトの電気抵抗値(特に表面抵抗率ρ
s)のバラツキが大きくなるため、実用上、満足の行く
ものではなかった。更に、複写機、プリンター等は種々
の環境下で使用されるため、種々の環境下で表面抵抗値
の変動の大きな中間転写ベルトや転写搬送ベルトを用い
た場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラを生
じたり、搬送している印刷シートをベルトより分離する
際に、分離不良を生じるなどの問題点があった。
【0004】なお、このように電気抵抗値のばらつきが
中間転写に影響するのは、半導電性ベルトの帯電抑制能
の不均一化や、導電抑制能の不均一化により、局所的な
剥離放電や導電が生じ易くなるためと考えられる。
【0005】一方、このような問題を解消すべく、特開
平7−156287号公報には、ポリイミド系樹脂を主
体とし、表面抵抗率の異なる複数の層からなる半導電性
ベルトが提案されている。そして、表面抵抗率の異なる
複数の層を設けることにより、半導電性ベルトの各層の
表面抵抗率のバラツキが幾らか改善されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
半導電性ベルトは種々の用途や積層形態を想定している
ため、如何なる構造が中間転写ベルト等として好適なの
かが不明であり、複数の層の組合せについて具体的に記
載されている半導電性ベルトを、中間転写ベルト等に使
用した場合、画像の転写性や記録紙等の分離性などの特
性が不十分であることが判明した。
【0007】そこで、本発明の目的は、機械特性や電気
抵抗値の均一性が良好な複層タイプの長所を生かしつ
つ、画像の転写性や記録紙等の分離性などの特性が改善
された、中間転写ベルトや転写搬送ベルトとして有用な
半導電性ベルトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、ポリイミド系樹脂を主
体とする2層タイプの半導電性ベルトの外層に、導電性
物質を含有して表面抵抗率ρsを106 〜1015Ω/□
にすると共に、内層の表面抵抗率ρsを1011Ω/□以
上で外層より高い値にすることにより、上記目的が達成
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の半導電性ベルトは、電子写
真記録装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用
され、いずれもポリイミド系樹脂を主体とする外層と内
層とからなる半導電性ベルトにおいて、前記外層は、導
電性物質を含有して、表面抵抗率ρsが106 〜1015
Ω/□であると共に、前記内層は、表面抵抗率ρsが1
11Ω/□以上で前記外層より高い値を有することを特
徴とする。
【0010】上記において、前記外層の厚さの割合が、
総厚さの20〜80%であることが好ましい。
【0011】また、前記内層が含フッ素有機化合物を含
有することが好ましい。
【0012】更に、前記外層の表面と前記内層の表面と
の間で測定される誘電率が、周波数1KHz、25℃6
0%RHの条件下で4〜100であることが好ましい。
【0013】[作用効果]本発明によると、実施例の結
果が示すように、外層と内層との表面抵抗率ρsを上記
の範囲に調整しているため、機械特性や電気抵抗値の均
一性が良好で、しかも画像の転写性や記録紙等の分離性
などの特性が改善された半導電性ベルトを得ることがで
きる。つまり、半導電性ベルトを2層にすることで、外
層の電気抵抗値の均一性を改善しつつ内層にて補強効果
を得ることができ、しかも樹脂成分が共通又は類似する
ため、両者の剥離等も生じにくいものとなる。他の効果
については、その原因の詳細は明らかでないが、外層と
内層との表面抵抗率ρsを適切な範囲に調整すること
で、ベルト全体としての電気的特性が中間転写ベルトや
転写搬送ベルトに有利に働くためと考えられる。
【0014】前記外層の厚さの割合が、総厚さの20〜
80%である場合、上記の如き外層の電気抵抗値の均一
性の改善効果や補強効果が、良好なバランスで得られる
と共に、ベルト全体としての電気的特性もより好ましい
ものとなる。
【0015】また、前記内層が含フッ素有機化合物を含
有する場合、中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用
される際に、内層の滑り性が改善されるため、駆動ロー
ル上でのベルトの滑りが向上し、摩耗粉の発生を防止し
て、ベルトの走行を安定させることができる。
【0016】更に、前記外層の表面と前記内層の表面と
の間で測定される誘電率が、周波数1KHz、25℃6
0%RHの条件下で4〜100である場合、当該誘電率
は、ベルトの帯電量を反映しており、その値を上記範囲
とすることで、ベルト全体としての電気的特性が中間転
写ベルト又は転写搬送ベルトの特性としてより良好なも
のになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0018】本発明の半導電性ベルトは、ポリイミド系
樹脂を主体とする外層とポリイミド系樹脂を主体とする
内層とからなるものである。かかる半導電性ベルトは、
通常、エンドレスベルトとして形成され、好ましくはシ
ームレスベルトとして形成される。このような半導電性
ベルトは、例えば、必要により導電性物質を含有するポ
リイミド系樹脂の原料液を用いて、2層よりなるフィル
ムを形成後にイミド転化を行うことで得ることができ
る。
【0019】ポリイミド系樹脂の原料液としては、例え
ばテトラカルボン酸二無水物やその誘導体とジアミンと
を溶媒中で重合反応させてなるポリアミド酸の溶液が使
用可能である。前記ポリアミド酸はテトラカルボン酸二
無水物あるいはその誘導体とジアミンとの略等モルを有
機溶媒中で反応させることにより得られるもので、通
常、溶液状で用いられる。このようなテトラカルボン酸
二無水物は、例えば下記の一般式(1)で示されるもの
が挙げられる。
【0020】
【化1】 (式中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環
状脂肪族、芳香族と脂肪族とを組み合わせたもの、また
はそれらの置換された基である。) 前記したテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、
ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,
4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,
9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテ
トラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0021】一方ジアミンの例としては、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル(DDE)、4,4’−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニル
メタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4−ジア
ミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフェ
ニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェ
ニレンジアミン、p−フェニレンジアミン(PDA)、
3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、
ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’
−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノフェニル
スルホン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,
4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジア
ミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−
第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブ
チルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−
アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメ
チル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロ
ピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレ
ンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノ
シクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘ
プタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナ
メチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプ
ロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジア
ミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,
11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプ
ロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミ
ン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジ
メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプ
タメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレン
ジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メ
チルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカ
ン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジア
ミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−
ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、ピペラジン、H2 N(CH23 O(C
22 O(CH2 )NH2 、H2 N(CH23
(CH23 NH2 、H2 N(CH23 N(CH3
2 (CH23 NH2 、等が挙げられる。
【0022】上記したテトラカルボン酸二無水物とジア
ミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性などの
点により極性溶媒が好ましく用いられる。極性溶媒とし
ては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、例えば
これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。
これらは、蒸発、置換または拡散により、ポリアミド酸
およびポリアミド酸成形品から容易に除去することがで
きる。また、これ以外の極性溶媒として、N,N−ジエ
チルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシ
ド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレン
スルホン等があげられる。これらは単独で又は混合して
用いることができる。さらに、上記極性溶媒にクレゾー
ル、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベン
ゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、
シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単
独又は複数混合することもできる。なお、水の存在によ
ってポリアミド酸が加水分解して低分子量化し易いた
め、ポリアミド酸の合成は実質上無水条件下で行うこと
が好ましい。
【0023】上記のテトラカルボン酸二無水物(a)と
ジアミン(b)とを極性溶媒中で反応させることにより
ポリアミド酸が得られるが、その際のモノマー濃度(溶
媒中における(a)+(b)の濃度)は、種々の条件に
応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。ま
た、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、
特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は約0.5
〜10時間である。
【0024】このようにしてテトラカルボン酸二無水物
成分とジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させるこ
とによりポリアミド酸が生成する。そして、このポリア
ミド酸をイミド転化することにより、本発明におけるポ
リイミド系樹脂が得られる。従って、前記したモノマー
成分によって、ポリイミド系樹脂の構造がほぼ決定され
るが、本発明では、前記ポリイミド系樹脂が、その繰返
し単位中に、ビフェニル骨格を有する繰返し単位を50
モル%以上有することが好ましく、80%以上有するこ
とがより好ましい。このようなビフェニル骨格は、モノ
マーとして3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物又はその誘導体等を使用することにより
形成できる。
【0025】本発明の半導電性ベルトは、上記のように
して形成されるポリイミド系樹脂を主体とする外層と内
層とを有するものである。当該外層には導電性物質を含
有し、一方、内層には導電性物質を含有してもよいが、
ベルト全体の強度等をより高めるためには、導電性物質
の含有量が少ないことが好ましく、より好ましくは導電
性物質を含有しない場合である。
【0026】ポリイミド系樹脂に半導電性を付与する為
に配合される導電性物質としては、導電性又は半導電性
の微粉末が好ましく、特に制限されないが、ケッチェン
ブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、
アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属
化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれ
らを単独あるいは併用して使用してもよい。
【0027】上記の導電性物質のうち、導電性の付与効
果や遠心成形時の均一な分散性などの観点から、カーボ
ンブラックを使用するのが好ましい。また、カーボンブ
ラックの平均粒径については、偏在による電気特性のバ
ラツキを制御する観点より、一次粒子に基づく平均粒径
が1μm以下、特に0.001〜0.5μmの平均粒径
が好ましい。
【0028】外層における導電性物質の含有量は、その
種類、粒子径、分散状態等によっても異なるが、外層の
ポリイミド系樹脂の固形分100重量部に対して、1〜
50重量部の範囲が好ましく、より好ましくは2〜40
重量部である。一方、内層における導電性物質の含有量
は、外層における含有量より少ない量が好ましい。
【0029】本発明では、上記の導電性物質を適宜選択
して適当な配合量の組み合わせにより、外層の表面抵抗
率ρsを106 〜1015Ω/□に、内層の表面抵抗率ρ
sを1011Ω/□以上で外層より高い値に調整する。そ
の際、好ましい表面抵抗率ρsは、外層が108 〜10
13Ω/□であり、内層が1012Ω/□以上である。
【0030】外層の表面抵抗率ρsが106 Ω/□未満
では、中間転写ベルト等と像担持体との間に過大な電流
が流れることから、ベルトに転写されたトナー像が像担
持体に戻ってしまい、転写不良や不鮮明な画像となり易
い。外層の表面抵抗率ρsが1015Ω/□を超えると、
トナー像の転写時に中間転写ベルト等が帯電して像担持
体と離れる際、剥離放電が起こり易くなり、転写された
トナー像が飛散して、不鮮明な画像や不正確な画像とな
り易い。
【0031】内層の表面抵抗率ρsは、外層より高い値
にすることで2層にするメリットが得られ、また、表面
抵抗率ρsが1011Ω/□未満では、補強効果等が十分
でなくなる。なお、内層の表面抵抗率ρsが極端に小さ
い場合には、導電性物質の添加量も多くなるため、体積
抵抗率も小さくなり、中間転写ベルト等に使用する際、
転写不良や不鮮明な画像となりやすい。
【0032】また、本発明の半導電性ベルトは、外層の
表面と前記内層の表面との間で測定される誘電率が、周
波数1KHz、25℃60%RHの条件下で4〜100
であることが好ましく、5〜80がより好ましい。誘電
率が4未満では、外層の表面抵抗率ρsが高すぎる場合
と同様の弊害が生じる傾向があり、また、転写搬送ベル
トに使用される場合に、帯電の影響で記録紙等の分離性
が悪くなる傾向がある。一方、誘電率が100を超える
と、外層の表面抵抗率ρsが低すぎる場合と同様の弊害
が生じる傾向があり、また、中間転写ベルト等に使用さ
れる場合に、転写不良や不鮮明な画像となりやすい傾向
がある。
【0033】本発明における外層等に導電性物質を均一
に分散する方法は、特に制限されないが、ポリイミドの
前駆体であるポリアミド酸溶液にプラネタリーミキサー
やビーズミル、三本ロール等で混合・分散する方法や、
ポリアミド酸合成時に使用する溶媒中に導電性物質をボ
ールミルあるいは超音波等で分散後、この溶媒を用いて
ポリアミド酸を合成する方法等が挙げられる。
【0034】なお、本発明の半導電性ベルトの外層及び
/又は内層には、上記の必須成分以外に、その物性を損
なわない程度に、シリコーン系又はフッ素系の各有機化
合物、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、分散剤、そ
の他の添加剤を含有してもよい。また、前記ポリイミド
系樹脂は、その物性を損なわない程度に、他のポリマー
成分が共重合されたり、ブレンドされたものであっても
よい。
【0035】本発明では、特に内層が含フッ素有機化合
物を含有することが好ましい。含フッ素有機化合物とし
ては、低分子量PTFE粉末、通常分子量PTFE、テ
トラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合
体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙
げられる。含フッ素有機化合物の含有量は、ポリイミド
系樹脂の固形分100重量部に対して、0.1〜20重
量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜10重
量部である。
【0036】本発明の半導電性ベルトをシームレスベル
トとして形成する場合、例えば、前記の如き成分を含有
する各層の原料液を用い、外層と内層を順次形成して筒
状体とした後、イミド転化を行えばよい。筒状体の成形
は、例えば一層目の原料液を円筒面を有する金型の内周
面や外周面に、浸漬方式、遠心方式、塗布方式等にてコ
ートする方式などで筒状に展開して、その展開層を乾燥
製膜し、更に二層目の原料液を用いて同様に展開・乾燥
等すればよい。
【0037】イミド転化は、その成形物を加熱処理すれ
ばよく、ポリイミド系樹脂の種類にもよるが、例えば3
00〜400℃で加熱が行われる。その後、半導電性ベ
ルトは型より回収される。このような製造方法は、従来
より公知であり、特開昭61−95361号公報、特開
昭64−22514号公報、特開平3−180309号
公報等に詳細が記載されている。また、シームレスベル
トの形成に際しては、更に型の離型処理や脱泡処理など
の適宜な処理を施すことができる。
【0038】本発明の半導電性ベルトは、特に、円筒型
の内周面に導電性物質を含有するポリイミド前駆体を塗
布し、回転成形した外層から溶剤乾燥した後、その表面
に導電性物質を含まないポリイミド前駆体を塗布し、回
転成形して内層を形成し、溶剤乾燥後又は溶剤乾燥と併
せて、両層を同時にイミド転化(キュア)することによ
って、好適に製造することができる。その際、イミド転
化のための昇温は徐々に行われるのが好ましく、昇温速
度0.5〜10℃/分程度に設定するのが好ましい。
【0039】なお、シームレスベルト以外のエンドレス
ベルトを形成する場合、例えば連続工程で上記に準じて
長尺シートを形成したのち、所定の長さに切断し、その
両端を通常公知の方法で接着等すればよい。
【0040】本発明の半導電性ベルトの総厚さは、中間
転写ベルト又は転写搬送ベルトに適した強度や柔軟性等
の機械特性などの点により、10〜300μm、特に2
0〜200μmの厚さが好ましい。
【0041】そして、半導電性ベルトの外層の厚さの割
合が、総厚さの20〜80%であることが好ましく、3
0〜65%が更に好ましい。このような厚さの割合とす
ることで、金型内面に塗布された原料液からの溶剤の蒸
発をより均一にすることができ、導電性物質の均一分散
を維持して表面抵抗のバラツキをより小さくすることが
できる。外層の厚さの割合が80%を超えると、ベルト
の機械特性や耐久性が低下する傾向があり、一方、外層
が20%未満になると、誘電率も4未満となり易く、中
間転写ベルトや転写搬送ベルトとして用いた場合に、ト
ナー等による像の変形や転写ムラの原因となり、良好な
画像が得られにくい傾向がある。
【0042】また、本発明の半導電性ベルトには、蛇行
による画像ムラや画像ずれを防止する目的で、蛇行防止
ガイド等を設けてもよい。蛇行防止ガイドは、半導電性
ベルトの両端又は一端の内面側あるいは外面側に、その
略全周にわたって帯状に設けられ、そのガイド部分をロ
ーラの外周に設けた溝などで案内することで、蛇行防止
がなされる。その際、蛇行防止ガイドの付設は、アクリ
ル接着剤等を用いて接着する方法、ホットメルト接着剤
を用いる方法、感圧性接着剤(粘着剤)を用いて貼設す
る方法などで行うことができる。中でも感圧性接着剤を
用いる方法は、蛇行防止ガイドの貼り合せが容易で、接
着剤のはみ出しがなく、かつ貼り合せ精度の高い半導電
性ベルトが得られるため、特に好ましい方法として採用
される。
【0043】本発明の半導電性ベルトは、電子写真記録
装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用される
ものである。電子写真記録装置の種類としては、特に限
定されず、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタ
やファクシミリ、それらの複合機等の何れでもよい。ま
た、その型式も、モノクロ画像、カラー画像、フルカラ
ー画像など何れでもよく、トナーの種類、転写方式、記
録媒体の種類なども特に限定されない。
【0044】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。
【0045】実施例1 1674gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中
に乾燥したカーボンブラック(三菱化学社製,MA−1
00)92.58g(ポリイミド系樹脂の固形分に対し
て23重量%)をボールミルで6時間室温で混合した。
このカーボンブラック分散NMP液に3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPD
A)294.2gと、p−フェニレンジアミン(PD
A)108.2gを溶解し、窒素雰囲気中において、室
温で4時間撹拌しながら反応させて、カーボン分散ポリ
アミド酸溶液を得た。同様にして1674gのNMPに
BPDA294.2gとPDA108.2gを溶解し、
窒素雰囲気中において、室温で4時間攪拌しながら反応
させて、ポリアミド酸溶液を得た。
【0046】内径300mm、長さ500mmの金型の
内面に上記カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液をデ
ィスペンサーで厚さ100μmに塗布後、1500rp
mで10分間回転させ、均一な塗布面を得た。次に、2
50rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の
熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、
次いで常温に冷却した。次にこの状態で得られたカーボ
ンブラック分散ポリイミド前駆体の内面に、上記のポリ
アミド酸溶液を同様に塗布、乾燥し、その後300℃ま
で2℃/分の昇温速度で昇温し、更に300℃で30分
間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド
転化を行った。その後室温に戻し、金型から剥離し、目
的とする外層に半導電層を有する半導電性ベルトを得
た。このものの総厚さは80μmであり、外層の厚さが
42μm、内層が38μmであった。
【0047】比較例1 実施例1においてMA−100の添加量を120.75
g(ポリイミド系樹脂固形分に対して30重量%)に変
更する以外、実施例1と同じ操作を行い、厚さ80μm
の半導電性ベルトを得た。外層の表面抵抗率は、1×1
5 Ω/□であった。
【0048】比較例2 実施例1において外層を形成するためのカーボンブラッ
ク分散ポリアミド酸溶液のみを用いて単層のカーボンブ
ラック分散ポリイミド前駆体を得た後、内層を形成しな
いこと以外、実施例1と同じ操作を行い、厚さ80μm
の半導電性ベルトを得た。その外表面の表面抵抗率は、
1×109 Ω/□であった。
【0049】比較例3 実施例1において内層を形成するためのポリアミド酸溶
液にMA−100を120.75g(ポリイミド系樹脂
固形分に対して30重量%)添加量したものを使用する
以外、実施例1と同じ操作を行い、厚さ80μmの半導
電性ベルトを得た。内層の表面抵抗率は、1×105 Ω
/□であった。
【0050】参考例1 実施例1において各層の原料液の塗布量を変えること以
外、実施例1と同じ操作を行い、外層15μm、内層6
5μmの総厚さ80μmのべルトを得た。外層の表面抵
抗率は、1×109 Ω/□であった。
【0051】評価試験 実施例、比較例で得た半導電性ベルト等について下記の
特性を調べた。
【0052】(1)表面抵抗率とそのバラツキ ハイレスタIP MCP−HT260(三菱油化製、プ
ローブHR−100)にて印加電圧500V、1分値の
測定条件による25℃、60%RHでの表面抵抗率を調
べた。また、1本のベルトの10箇所を測定して、その
変動幅により表面抵抗率のバラツキを評価した。○は表
面抵抗率のバラツキが1桁以内におさまるものを、×は
表面抵抗率のバラツキが1桁以内におさまらないものを
表す。
【0053】(2)引張り強度、伸び ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)について、
引張り強度(速度100mm/分)、および被断時の伸
びを調べた。
【0054】(3)誘電率 50mm角に切り出したベルトの外面と内面に、それぞ
れφ30mm、φ35mmの円電極をPt−Pd蒸着に
て形成してサンプルを作製し、誘電率測定機(ヒューレ
ッドパッカード社製4284A)を用い、周波数1KH
zにて25℃、60%RH下で測定した。
【0055】(4)画像転写性、紙分離性 実施例、比較例で得た半導電性ベルトを市販の複写機
に、転写搬送ベルトとして組み込み、普通紙からなる印
刷シートの1万枚の印刷テストを行った。評価は、1万
枚のテスト中ですべて転写による鮮明で正確な画像が得
られた場合、および静電気による紙の分離不良が生じな
かった場合を良好、転写不良や不鮮明な画像、不正確な
面像が得られた場合、および紙の分離不良を生じた場合
を不良とした。
【0056】以上の結果を表1に示した。
【0057】
【表1】 表1の結果が示すように、実施例の半導電性ベルトは、
引張り強度、伸び等の機械特性や表面抵抗率の均一性
が、単層の比較例2より優れており、しかも転写搬送ベ
ルトとして用いた場合の画像転写性や紙分離性が良好で
あった。これに対して、外層と内層の表面抵抗率の何れ
かが本発明の範囲を外れる比較例1と3では、1万枚の
テスト中で画像転写性や紙分離性が劣化した。なお、参
考例1は各層の厚みのバランスと誘電率が好ましい範囲
から外れる例であるが、紙分離性がやや悪いものであっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 義宣 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 2H032 AA05 BA09 BA18 BA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真記録装置の中間転写ベルト又は
    転写搬送ベルトに使用され、いずれもポリイミド系樹脂
    を主体とする外層と内層とからなる半導電性ベルトにお
    いて、 前記外層は、導電性物質を含有して、表面抵抗率ρsが
    106 〜1015Ω/□であると共に、 前記内層は、表面抵抗率ρsが1011Ω/□以上で前記
    外層より高い値を有することを特徴とする半導電性ベル
    ト。
  2. 【請求項2】 前記外層の厚さの割合が、総厚さの20
    〜80%である請求項1に記載の半導電性ベルト。
  3. 【請求項3】 前記内層が含フッ素有機化合物を含有す
    るものである請求項1又は2記載の半導電性ベルト。
  4. 【請求項4】 前記外層の表面と前記内層の表面との間
    で測定される誘電率が、周波数1KHz、25℃60%
    RHの条件下で4〜100である請求項1〜3いずれか
    に記載の半導電性ベルト。
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