JP2019189116A - 鞍乗り型車両のカウル構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カウル全体が大型化せずにダウンフォースを得られる鞍乗り型車両のカウル構造を提供する。【解決手段】車体前部を覆うカウル51を備える鞍乗り型車両のカウル構造において、前記カウル51は、後輪前端16aと前輪後端13aの間に位置し少なくともエンジン35の一部を覆うサイドカウル53を備え、前記サイドカウル53には、前後に指向するスリット70を形成し、該スリット70に揺動可能に支持される翼部80を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、鞍乗り型車両のカウル構造に関する。
従来、カウルを備える鞍乗り型車両においてダウンフォースを得られるようにするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、鞍乗り型車両でカウルの左右両壁を張り出させ、その張り出した膨出部によりダウンフォースを得られるようにしている。
特開2006−281949号公報
しかし、従来技術においては、車両の幅方向に張り出す膨出部を形成するためカウル全体が大型化してしまう。またダウンフォースを必要とする場面しない場面での使い分けはできなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、カウル全体が大型化せずにダウンフォースを得られる鞍乗り型車両のカウル構造を提供することを目的とする。
本発明は、車体前部を覆うカウル(51)を備える鞍乗り型車両のカウル構造において、前記カウル(51)は、後輪前端(16a)と前輪後端(13a)の間に位置し少なくともエンジン(35)の一部を覆うサイドカウル(53)を備え、前記サイドカウル(53)には、前後に指向するスリット(70)を形成し、該スリット(70)に揺動可能に支持される翼部(80)を備えることを特徴とする。
上記発明において、前記翼部(80)は平面視三角形状をなし、外側辺(80b)は後辺(80c)よりも長くても良い。
また、上記発明において、前記翼部(80)は内側辺(80a)側の前方に揺動支持部(84)を備え、内側辺(80a)側の後方に操作部(87)を備えても良い。
また、上記発明において、前記スリット(70)は前端(70a)が後端(70b)よりも低い位置になるように傾斜して設けられており、翼部(80)は前傾になっても良い。
また、上記発明において、前記翼部(80)の各辺(80a、80b、80c)は面取りされて端部形状がアーチ状をなしても良い。
また、上記発明において、前記翼部(80)を揺動させる駆動部(91)を備えても良い。
また、上記発明において、鞍乗り型車両(10)は、旋回を検出する検出部(54a、54b、54c)を備え、前記駆動部(91)は前記鞍乗り型車両(10)の旋回に応じて翼部(80)を揺動しても良い。
また、上記発明において、前記サイドカウル(53)は膨出部(53e)を備え、該膨出部(53e)にスリット(70)が形成されても良い。
また、上記発明において、前記翼部(80)はエンジン前端(35a)と前輪後端(13a)の間に位置しても良い。
また、上記発明において、前記翼部(80)はフロントフェンダー(61)よりも下方に位置しても良い。
本発明に係る鞍乗り型車両のカウル構造は、車体前部を覆うカウルを備え、前記カウルは、後輪前端と前輪後端の間に位置し少なくともエンジンの一部を覆うサイドカウルを備え、前記サイドカウルには、前後に指向するスリットを形成し、該スリットに揺動可能に支持される翼部を備える。この構成によれば、カウル全体を膨出させることなく翼部を設けることでダウンフォースを得られるようにしコンパクトな構造とすることができる。また翼部を揺動可能とすることで必要に応じて出し入れができる。ライダーの好みに合わせた位置に翼部を移動させてダウンフォースをコントロールできる。
上記発明において、前記翼部は平面視三角形状をなし、外側辺は後辺よりも長くても良い。この構成によれば、側方への張り出しを小さくし、前後に長くダウンフォースを得られる面を形成することができる。
また、上記発明において、前記翼部は内側辺側の前方に揺動支持部を備え、内側辺側の後方に操作部を備えても良い。この構成によれば、前部の張り出しが小さく、後方に行くに連れて張り出しが大きくなる形状で走行抵抗が小さくでき、ダウンフォースを得られる翼部とすることができる。
また、上記発明において、前記スリットは前端が後端よりも低い位置になるように傾斜して設けられており、翼部は前傾になっても良い。この構成によれば、翼部を走行風を受けやすくしダウンフォースを発生させやすい形状とすることができる。
また、上記発明において、前記翼部の各辺は面取りされて端部形状がアーチ状をなしても良い。この構成によれば、翼部の端部が滑らかな面を無し、風きり音などが生じにくい。
また、上記発明において、前記翼部を揺動させる駆動部を備えても良い。この構成によれば、駆動部によって翼部の出し入れをすることができる。
また、上記発明において、鞍乗り型車両は、旋回を検出する検出部を備え、前記駆動部は前記鞍乗り型車両の旋回に応じて翼部を揺動しても良い。この構成によれば、旋回を検出して翼部の出し入れを制御することができる。旋回時は翼部をだし、直進時には翼部をカウル内に収容する。
また、上記発明において、前記サイドカウルは膨出部を備え、該膨出部にスリットが形成されても良い。この構成によれば、膨出部の車幅方向内側を翼部の収容空間とすることができる。
また、上記発明において、前記翼部はエンジン前端と前輪後端の間に位置しても良い。この構成によれば、翼部の収容空間を設置しやすい。
また、上記発明において、前記翼部はフロントフェンダーよりも下方に位置しても良い。この構成によれば、フロントフェンダーからの流れで下方に指向する走行風を翼部が受けやすくダウンフォースを得られやすい。
本発明の実施の形態に係る自動二輪車を示す左側面図である。 自動二輪車の正面図である。 図2に対してデルタウイングが突出した状態を示す図である。 図1のIV−IV線断面図である。 自動二輪車の前部の平面図である。 ウイング駆動機構の制御部分のブロック図である。 デルタウイングが収容位置に移動した場合の作用説明図である。 デルタウイングが突出位置に移動した場合の作用説明図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、前輪13、後輪16及びシート17を備え、運転者がシート17に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
前輪13は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して操舵可能に支持され、後輪16は、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して揺動可能に支持され、シート17は、車体フレーム11の上部に設けられている。
車体フレーム11は、主フレーム部11Aと、主フレーム部11Aの後部から後方斜め上方に延びるシートフレーム25とから構成される。
主フレーム部11Aは、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のピボットフレーム23及び左右一対のダウンフレーム24を一体に備える。
ヘッドパイプ21は、主フレーム部11Aの前端に設けられ、フロントフォーク12を操舵可能に支持する。左右のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延び、上部で燃料タンク43を支持する。左右のピボットフレーム23は、左右のメインフレーム22の後端からそれぞれ下方に延び、車幅方向に渡されたピボット軸46でスイングアーム14を揺動可能に支持する。左右のダウンフレーム24は、左右のメインフレーム22の下部から下方に延び、左右のピボットフレーム23と共にエンジン35を支持する。
左右のシートフレーム25は、左右のメインフレーム22に前端部がボルト・ナット等の締結部材26で締結され、左右のメインフレーム22から後方斜め上方にそれぞれ延びてシート17(運転者用シート17a及び同乗者用シート17b)を支持している。
フロントフォーク12は、フォーク形状を成し、左右一対のフォークパイプ27、トップブリッジ28、ボトムブリッジ29及びステアリングシャフト(不図示)を備える。
フォークパイプ27は、内筒及び外筒からなるテレスコピック型の緩衝器である。トップブリッジ28は、左右のフォークパイプ27のそれぞれの上端部を連結する。ボトムブリッジ29は、トップブリッジ28の下方に配置されて左右のフォークパイプ27を連結する。ステアリングシャフトは、トップブリッジ28及びボトムブリッジ29のそれぞれの車幅方向中央部に渡され、ヘッドパイプ21内に挿入されてヘッドパイプ21に回動可能に支持される。
トップブリッジ28の上部にはハンドル33が取付けられ、左右のフォークパイプ27の下端部には、車軸31を介して前輪13が支持されている。
エンジン35は、クランクケース36を備え、クランクケース36は、前部に上方斜め前方に延びるシリンダ部37が設けられ、後部に変速機38が設けられている。変速機38の出力は、チェーン41を介して後輪16に伝達される。スイングアーム14は、後端部に設けられた車軸47を介して後輪16を支持している。
自動二輪車10の前部及び下部は、カウリング(カウル)51で覆われている。カウリング51は、アッパーカウル(フロントカウル)52、左右一対のミドルカウル(サイドカウル)53及び左右一対のロアカウル54から構成される。
アッパーカウル52は、ヘッドライト56の周囲を覆うとともに、上部中央にウインドスクリーン58、上部左右に一対のバックミラー59が設けられる。ミドルカウル53は、アッパーカウル52の車幅方向外側から後方及び下方に延びて車体前部を両側方から覆う。ミドルカウル53は、前輪後端13aよりも後方からエンジン35との間を覆っている。ロアカウル54は、エンジン35を含む車体下部を覆う。
前輪13は、上方からフロントフェンダー61で覆われ、後輪16は、上方からリアフェンダー62で覆われている。
自動二輪車10は、車両の旋回を検出する旋回検出センサー(検出部)64と、旋回検出センサー64から出力される旋回信号に基づいて車体の空力特性を制御するECU(Electronic Control Unit)66とを備える。
本実施の形態では、旋回検出センサー64として、フロントフォーク12の操舵角を検出する操舵角センサーや、自動二輪車10の加速度を検出する加速度センサー、自動二輪車10の左右への傾斜角(バンク角)を検出するバンク角センサー等が使用される。
旋回検出センサー64は、ヘッドライト56の後方のカウリング51内に配置されている。ECU66は、運転者用シート17aの下方で左右のシートフレーム25の間に配置されている。
図2は、自動二輪車10の正面図である。図3は、図2に対してデルタウイング80が突出した状態を示す図である。
アッパーカウル52は、正面視では、車両中心線Lに向かって左右面が膨出する形状をなしている。アッパーカウル52には、ウインドスクリーン58が連結される。ウインドスクリーン58は、アッパーカウル52よりも急な角度で上方斜め後方に延びている(図1参照)。ウインドスクリーン58は、正面視で山形状に湾曲している。
アッパーカウル52およびウインドスクリーン58は、いわゆる、流線形形状であり、走行風から受ける空気抵抗が低減されている。アッパーカウル52は、ウインドスクリーン58よりも曲率が小さく平面に近い。アッパーカウル52は、走行風からダウンフォースを得やすくなっている。
アッパーカウル52は、ヘッドライト56を下方から覆う下部52aと、ヘッドライト56を上方から覆う外表面を形成する上部52bとを備える。ヘッドライト56は、アッパーカウル52の上部52bと下部52aとの間から前方に露出する。ヘッドライト56は、上下方向より車幅方向に長い横長形状であり、アッパーカウル52の車幅方向の一端部から他端部まで連続する。
アッパーカウル52の上部52bは、ウインドスクリーン58が連結される中央上面部52cと、アッパーカウル52の左右面を形成する左右一対の側方上面部52dと、を備える。
中央上面部52cは、前側が先細る形状であり、前端52xから上方に向かうに連れて次第に車幅方向外側に広がる。中央上面部52cの左右の側方上面部52dは、中央上面部52cの両側縁からそれぞれ両側方斜め下方に傾斜している。側方上面部52dは、正面視では、先端から後方に向けて末広がりの形状をなしている。
側方上面部52dには、バックミラー59が配置されている。バックミラー59は、側方上面部52dの前後方向中央に配置された付け根(基部)59aから、アッパーカウル52よりも車幅方向外側に延びている。
ミドルカウル53は、ヘッドライト56の側方を覆うように設けられている。ミドルカウル53は、上端部53aがアッパーカウル52に固定されている。アッパーカウル52とミドルカウル53を別体とすることで、各部品を成形する型を小型化することができる。なお、アッパーカウル52とミドルカウル53とが別体の構成を説明したが、アッパーカウル52とミドルカウル53とは一体に構成されてもよい。
ミドルカウル53は、車両正面視では、上部53bおよび下部53cが車幅方向外方に膨らんだ形状を有している。上部53bと下部53cの間には、車幅方向内側にV字状に凹んだ凹部53dを備える。凹部53dは前後方向に延びる。
ミドルカウル53の上部53bは、ヘッドライト56とアッパーカウル52とに渡されている。ミドルカウル53の上部53bは、側方に突出する側方突出部55を備える。側方突出部55は、ヘッドライト56の左右端に設けられた角部56aの後方に、前後に貫通する通気部55aが設けられた部分である。
左右のミドルカウル53の下部53cの間にはラジエータ44が配置されている。
ミドルカウル53の下部53cは、正面視で、ラジエータ44に重複する前端縁53c1を備える。前端縁53c1は、ヘッドライト56の側部から下側に延び、上下中央部が車幅方向外側に膨らむように湾曲している。アッパーカウル52の下部52aと、ミドルカウル53の前端縁53c1と、フロントフェンダー61の外周縁61aとが、前方に開口する開口部63を形成する。開口部63は、ラジエータ44を前方に露出させる。開口部63は、ラジエータ44等に向けての走行風の取り入れ口として機能する。開口部63から取り入れられた走行風は、ラジエータ44等を通過した後、カウリング51の外部に取り出される。
ミドルカウル53の下部53cには、前後に指向する長孔状のスリット70が形成されている。図1に示すように、スリット70は、前端70aが後端70bよりも低い位置になるように後上がりに傾斜している。スリット70の位置には、デルタウイング(翼部)80が揺動可能に支持される。デルタウイング80は、ミドルカウル53に対して突出し、走行風を受けてダウンフォースを得る。デルタウイング80は、ミドルカウル53の内側に収容された収容位置(図2参照)と、スリット70を介してミドルカウル53の外側に突出した突出位置(図3参照)との間を揺動する。
図1に示すように、スリット70は、フロントフェンダー61の後端部61bよりも下方に位置する。走行風は、矢印A3で示すように、フロントフェンダー61に沿って流れ易い。デルタウイング80は、フロントフェンダー61から下方に向かう走行風を受け易く、ダウンフォースを得やすくなっている。
デルタウイング80は、ライダーRがニーグリップする際の膝R1よりも前方に位置する。デルタウイング80はライダーRから離れた位置で突出可能である。また、デルタウイング80は、ライダーRに当たって乱される前の走行風を受けて、ダウンフォースを得ることが可能になっている。
図4は、図1のIV−IV線断面図である。
ラジエータ44は、図示しない固定部材を介して、メインフレーム22(図1参照)に固定支持される。ラジエータ44の断面形状は、前方が開いたアーチ状であり、左右両端のタンク44b、44cがコア44aよりも前方に位置する。
コア44aは、走行風を通過させて冷却水を放熱させる。タンク44b、44cは、コア44aに出入りする冷却水を一時的に貯留する。タンク44b、44cには、図示しないラジエータホースが接続されている。エンジン35とラジエータ44との間を冷却水が循環してエンジン35を冷却する。
ラジエータ44とエンジン35との間には、複数の排気管39が配置されている。排気管39は、エンジン35のシリンダ部37(図1参照)から下方に延びている。排気管39は、ラジエータ44のコア44aに沿って下方に延び、ラジエータ44の下側から後方に延びている。排気管39は、マフラー45(図2参照)に接続される。
ミドルカウル53の下部53cは、ラジエータ44の側部から後方に延びる。ミドルカウル53には、後方に行くに連れて徐々に車幅方向外側に膨出する膨出部53eが形成されている。下部53cでは、前方からの走行風が開口部63から内部に進入すると共に、膨出部53eに案内され易くなっている。膨出部53eにより走行風が、スリット70の位置に流れ易くなっている。
また、膨出部53eの内側は広くなり易い。ミドルカウル53と、エンジン35と、ラジエータ44との間において、排気管39の左右のスペースSに、デルタウイング80が収容されると共に、デルタウイング80を駆動するウイング駆動機構92が配置される。
デルタウイング80は、平面視三角形の板状に形成されている。デルタウイング80は、内側側端部(内側辺)80aと、外側側端部(外側辺)80bと、後側側端部(後辺)80cと、を備える。外側側端部80bの前後方向の長さは、後側側端部80cの車幅方向の長さよりも長い。すなわち、後側側端部80cの長さは外側側端部80bの長さよりも短いので、デルタウイング80を突出させた場合に側方への張り出しを小さくし、前後に長くダウンフォースを得られる面を形成することができる。
外側側端部80bは、ミドルカウル53の外表面に一致する形状に形成されている。デルタウイング80は、収容位置に移動した場合に、ミドルカウル53のスリット70を面一状に閉塞し易くなっている。
デルタウイング80の前端には、上下方向に貫通した孔状の揺動支持部84が形成されている。揺動支持部84は、スリット70の前方内側に配置される。揺動支持部84には、軸受85を介して支持軸86が挿通される。支持軸86は、スリット70に直交するように前上がりに傾斜している。支持軸86は、ラジエータ44のタンク44b、44cとミドルカウル53の間でメインフレーム22(図1参照)に固定される。デルタウイング80は、スリット70を介して、ミドルカウル53の内外に回動可能(揺動可能)に支持される。
デルタウイング80の後部には、上方に突出する連結ピン(操作部)87が形成されている。連結ピン87は、内側側端部80aの近傍に形成されている。連結ピン87を介してデルタウイング80が操作される。揺動支持部84が前部にあり、連結ピン87が後方にあることで、デルタウイング80は、前部の張り出しが小さく、後方に行くに連れて張り出しが大きくなる形状で走行抵抗が小さくでき、そして、ダウンフォースを得られる。
連結ピン87には、車幅方向内側に延びるリンク88が回動可能に連結される。リンク88の車幅方向内端には、アーム部材89が回動可能に連結される。アーム部材89は回動軸90に支持されており、回動軸90と一体的に回動する。回動軸90は、不図示のステーを介してメインフレーム22(図1参照)に回動可能に支持される。回動軸90は、デルタウイング80の後部内側に配置される。回動軸90は、デルタウイング80に直交する方向に傾斜している。回動軸90には、不図示の伝達機構を介して動力が伝達される。各回動軸90には正逆駆動可能なそれぞれのモータ91(図6参照)から動力が伝達される。
リンク88と、アーム部材89と、回動軸90と、不図示の伝達機構と、モータ(駆動部)91とにより、ウイング駆動機構92が構成される。
回動軸90が矢印P方向に回動すると、回動軸90と共にアーム部材89が矢印P方向に回動し、アーム部材89の先端が車幅方向外側に移動する。アーム部材89の先端89aにはリンク88が連結されており、リンク88を介して、デルタウイング80の連結ピン87が車幅方向外側に押される。これにより、デルタウイング80が実線で示す突出位置に移動可能である。
また、回動軸90が矢印Q方向に回動すると、回動軸90と共にアーム部材89が矢印Q方向に回動し、アーム部材89の先端が車幅方向内側に移動する。よって、リンク88を介して、デルタウイング80の連結ピン87が車幅方向内側に引っ張られる。これにより、デルタウイング80が一点鎖線で示す収容位置に移動可能である。
図5は、自動二輪車10の前部の平面図である。
デルタウイング80は、平面視において、ハンドル33の後方に位置する。デルタウイング80は、平面視において、ハンドル33の外端33aよりも車幅方向内側で回動する。よって、ダウンフォースを得るためのデルタウイング80を設けても、自動二輪車10が車幅方向に大きくならない。
デルタウイング80の各側端部80a〜80cは面取りされて、デルタウイング80の端部形状がアーチ状に形成されている。デルタウイング80の端部形状がアーチ状で丸みを帯びているため、デルタウイング80が走行風を受ける際に、風切り音が生じ難くなっている。
図6は、ウイング駆動機構92の制御部分のブロック図である。
自動二輪車10は、エンジン35等の自動二輪車10の各部を制御するECU(制御部)66を備える。ECU66は、車体に取り付けられる(図1参照)。
ECU66は、演算部(不図示)と、記憶部67とを備える。上記演算部は、CPUなどのプロセッサーである。ECU66は、記憶部67が記憶するプログラムを実行することにより、エンジン35やデルタウイング80等の制御や、自動二輪車10の走行状態の判定を行う。記憶部67は、フラッシュROM及びEEPROMなどの不揮発性記憶装置であり、演算部が実行するプログラム、及び、演算部により処理されるデータ等を記憶する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成する操舵角センサー64aが電気的に接続されている。操舵角センサー64aはフロントフォーク12の操舵角を検出して、その検出信号をECU66に入力する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成する加速度センサー64bが電気的に接続されている。加速度センサー64bは車体の加速度を検出して、その検出信号をECU66に入力する。加速度センサー64bは、車体の前後方向や、左右方向、上下方向の加速度を検出する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成するバンク角センサー64cが電気的に接続されている。バンク角センサー64cは、車体のバンク角を検出して、その検出信号をECU66に入力する。
ECU66は、旋回量検出部66aとウイング制御部66bの機能部を有する。
旋回量検出部66aは、操舵角センサー64aの検出情報と、加速度センサー64bの検出情報と、バンク角センサー64cの検出情報と、に基づいて、自動二輪車10の旋回量を検出する。旋回量検出部66aは、操舵角と加速度とバンク角の各値の組合せに応じた旋回量をルックアップテーブル情報として予め記憶しており、このルックアップテーブル情報を参照して旋回量を検出する。なお、旋回量検出部66aは、操舵角と、加速度と、バンク角とに基づく構成を説明したが、操舵角、加速度、バンク角のいずれか一つ以上に基づいて、旋回量を検出する構成でも良い。
ウイング制御部66bは、モータ駆動回路78を介して一対のモータ91を正逆駆動し、デルタウイング80の回動を制御する。ウイング制御部66bは、旋回量検出部66aが検出した旋回量に応じてデルタウイング80を回動させる。ウイング制御部66bは、旋回量に応じた突出量の位置にデルタウイング80を回動させる。
具体的には、ウイング制御部66bは、旋回量が所定の閾値よりも小さい場合、マージンを考慮して車体が旋回していないものとして、デルタウイング80を収容位置に保持する。また、ウイング制御部66bは、旋回量が所定の閾値以上の場合には、車体が旋回するものとして、旋回量が大きいほどデルタウイング80を外側に突出させる。
図7は、本実施の形態の作用説明図であり、デルタウイング80が収容位置に移動した場合の説明図である。
自動二輪車10の走行時には、カウリング51に沿って、図1の矢印A1〜A4で示すように走行風が流れる。このとき、フロントフェンダー61に沿った走行風や前輪13の側部を流れる走行風がスリット70に向かう。
本実施の形態の自動二輪車10のECU66は、操舵角や、バンク角、加速度の検出情報に基づいて旋回量を検出している。ECU66は、自動二輪車10の旋回を検出しない場合には、図7に示すように、デルタウイング80を収容位置に保持する。この場合、スリット70がデルタウイング80で閉塞される。矢印A11〜A14で示すように、走行風は、ミドルカウル53に沿って滑らかに流れ、空気抵抗が低減されている。したがって、例えば、自動二輪車10を高速で直進させ易くなっている。
図8は、本実施の形態の作用説明図であり、デルタウイング80が突出位置に移動した場合の説明図である。
ライダーRが自動二輪車10を旋回させようとして、ECU66が、操舵角などの検出情報に基づいて自動二輪車10の旋回を検出すると、ECU66は、検出された旋回量に応じた突出量の位置にデルタウイング80を回動させる。デルタウイング80はミドルカウル53に対して突出するため走行風を受ける。
デルタウイング80の近傍では矢印A21〜A24で示すように走行風が流れる。走行風は、矢印A22、A23で示すように、デルタウイング80に沿って後上方に流れてダウンフォースが生じる。よって、自動二輪車10の接地力が増し、自動二輪車10を旋回させ易くできる。
特に、本実施の形態では、検出された旋回量が大きいほど、デルタウイング80が大きく突出するため、旋回量に応じた適切なダウンフォースを得ることができる。
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、車体前部を覆うカウリング51を備える鞍乗り型車両のカウル構造は、カウリング51は、後輪前端16aと前輪後端13aの間に位置し少なくともエンジン35の一部を覆うミドルカウル53を備え、ミドルカウル53には、前後に指向するスリット70を形成され、スリット70に揺動可能に支持されるデルタウイング(翼部)80を備える。したがって、カウリング51全体を膨出させることなく翼部を設けることでダウンフォースを得られるようにしコンパクトな構造とすることができる。また翼部を揺動可能とすることで必要に応じて出し入れができる。またライダーRの好みに合わせた位置に翼部を移動させてダウンフォースをコントロールできる。
本実施の形態では、デルタウイング80は平面視三角形状をなし、外側側端部80bは後側側端部80cよりも長い。したがって、側方への張り出しを小さくし、前後に長くダウンフォースを得られる面を形成することができる。
また、本実施の形態では、デルタウイング80は内側側端部80a側の前方に揺動支持部84を備え、内側側端部80a側の後方に連結ピン(操作部)87を備えても良い。したがって、デルタウイング80は、前部の張り出しが小さく、後方に行くに連れて張り出しが大きくなる形状で走行抵抗が小さくでき、ダウンフォースを得られる。
また、本実施の形態では、スリット70は前端70aが後端70bよりも低い位置になるように傾斜して設けられており、デルタウイング80は前傾になっている。したがって、デルタウイング(翼部)80を、走行風を受けやすくしダウンフォースを発生させやすい形状とすることができる。
また、本実施の形態では、デルタウイング80の各側端部(各辺)80a〜80cは面取りされて端部形状がアーチ状をなす。したがって、デルタウイング80の端部が滑らかな面を無し、風きり音などが生じにくい。
また、本実施の形態では、デルタウイング80を揺動させるモータ91を備える。したがって、モータ91によってデルタウイング80の出し入れをすることができる。
また、本実施の形態では、自動二輪車10は、旋回を検出する検出センサー64a、64b、64cを備え、モータ91は自動二輪車10の旋回に応じてデルタウイング80を揺動する。したがって、旋回を検出してデルタウイング80の出し入れを制御することができる。旋回時はデルタウイング80を出し、直進時にはデルタウイング80をミドルカウル53内に収容できる。
また、本実施の形態では、ミドルカウル53は膨出部53eを備え、膨出部53eにスリット70が形成されている。したがって、膨出部53eの車幅方向内側の空間をデルタウイング80のスペース(収容空間)Sとすることができる。
また、本実施の形態では、デルタウイング80はエンジン前端35aと前輪後端13aの間に位置する。したがって、デルタウイング80を収容するスペースSを設置しやすい。
また、本実施の形態では、デルタウイング80はフロントフェンダー61よりも下方に位置する。したがって、フロントフェンダー61からの流れで下方に指向する走行風をデルタウイング80が受けやすく、ダウンフォースを得られやすい。
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
上記実施の形態では、デルタウイング80が自動で回動する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、ハンドル33に出し入れ用の操作ボタンを設け、その操作ボタンの操作信号をECU66に入力する構成とし、出すボタンが押された場合には、モータ91を駆動してデルタウイング80を突出させ、入れるボタンが押された場合には、モータ91を逆駆動してデルタウイング80をミドルカウル53内に移動させても良い。モータ91によってマニュアル操作でデルタウイング80を移動させることができ、走行時にマニュアル操作で適宜変更することができる。
上記実施の形態では、駆動部としてモータ91を用いる構成を説明したが、モータ91以外でも良く、例えば、リニアソレノイドを駆動部として用いても良い。
ウイング制御部66bは旋回量に基づいてデルタウイング80を移動させる構成を説明した。しかし、車体の速度を検出する速度センサーを設け、速度センサーの検出情報に基づいてデルタウイング80を移動させても良い。
13a 前輪後端
16a 後輪前端
35 エンジン
35a エンジン前端
51 カウル
53 サイドカウル
53e 膨出部
54a、54b、54c 検出部
61 フロントフェンダー
70 スリット
70a 前端
70b 後端
80 翼部
80b 外側辺
80c 後辺
80a 内側辺
84 揺動支持部
87 操作部
91 駆動部

Claims (10)

  1. 車体前部を覆うカウル(51)を備える鞍乗り型車両のカウル構造において、
    前記カウル(51)は、後輪前端(16a)と前輪後端(13a)の間に位置し少なくともエンジン(35)の一部を覆うサイドカウル(53)を備え、
    前記サイドカウル(53)には、前後に指向するスリット(70)を形成し、該スリット(70)に揺動可能に支持される翼部(80)を備えることを特徴とする鞍乗り型車両のカウル構造。
  2. 前記翼部(80)は平面視三角形状をなし、外側辺(80b)は後辺(80c)よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  3. 前記翼部(80)は内側辺(80a)側の前方に揺動支持部(84)を備え、内側辺(80a)側の後方に操作部(87)を備えることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  4. 前記スリット(70)は前端(70a)が後端(70b)よりも低い位置になるように傾斜して設けられており、翼部(80)は前傾になることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  5. 前記翼部(80)の各辺(80a、80b、80c)は面取りされて端部形状がアーチ状をなすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  6. 前記翼部(80)を揺動させる駆動部(91)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  7. 鞍乗り型車両(10)は、旋回を検出する検出部(54a、54b、54c)を備え、前記駆動部(91)は前記鞍乗り型車両(10)の旋回に応じて翼部(80)を揺動することを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  8. 前記サイドカウル(53)は膨出部(53e)を備え、該膨出部(53e)にスリット(70)が形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  9. 前記翼部(80)はエンジン前端(35a)と前輪後端(13a)の間に位置することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
  10. 前記翼部(80)はフロントフェンダー(61)よりも下方に位置することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
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