JP2019189116A - 鞍乗り型車両のカウル構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、カウル全体が大型化せずにダウンフォースを得られる鞍乗り型車両のカウル構造を提供することを目的とする。
自動二輪車10は、前輪13、後輪16及びシート17を備え、運転者がシート17に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
前輪13は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して操舵可能に支持され、後輪16は、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して揺動可能に支持され、シート17は、車体フレーム11の上部に設けられている。
主フレーム部11Aは、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のピボットフレーム23及び左右一対のダウンフレーム24を一体に備える。
ヘッドパイプ21は、主フレーム部11Aの前端に設けられ、フロントフォーク12を操舵可能に支持する。左右のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延び、上部で燃料タンク43を支持する。左右のピボットフレーム23は、左右のメインフレーム22の後端からそれぞれ下方に延び、車幅方向に渡されたピボット軸46でスイングアーム14を揺動可能に支持する。左右のダウンフレーム24は、左右のメインフレーム22の下部から下方に延び、左右のピボットフレーム23と共にエンジン35を支持する。
左右のシートフレーム25は、左右のメインフレーム22に前端部がボルト・ナット等の締結部材26で締結され、左右のメインフレーム22から後方斜め上方にそれぞれ延びてシート17(運転者用シート17a及び同乗者用シート17b)を支持している。
フォークパイプ27は、内筒及び外筒からなるテレスコピック型の緩衝器である。トップブリッジ28は、左右のフォークパイプ27のそれぞれの上端部を連結する。ボトムブリッジ29は、トップブリッジ28の下方に配置されて左右のフォークパイプ27を連結する。ステアリングシャフトは、トップブリッジ28及びボトムブリッジ29のそれぞれの車幅方向中央部に渡され、ヘッドパイプ21内に挿入されてヘッドパイプ21に回動可能に支持される。
トップブリッジ28の上部にはハンドル33が取付けられ、左右のフォークパイプ27の下端部には、車軸31を介して前輪13が支持されている。
エンジン35は、クランクケース36を備え、クランクケース36は、前部に上方斜め前方に延びるシリンダ部37が設けられ、後部に変速機38が設けられている。変速機38の出力は、チェーン41を介して後輪16に伝達される。スイングアーム14は、後端部に設けられた車軸47を介して後輪16を支持している。
アッパーカウル52は、ヘッドライト56の周囲を覆うとともに、上部中央にウインドスクリーン58、上部左右に一対のバックミラー59が設けられる。ミドルカウル53は、アッパーカウル52の車幅方向外側から後方及び下方に延びて車体前部を両側方から覆う。ミドルカウル53は、前輪後端13aよりも後方からエンジン35との間を覆っている。ロアカウル54は、エンジン35を含む車体下部を覆う。
前輪13は、上方からフロントフェンダー61で覆われ、後輪16は、上方からリアフェンダー62で覆われている。
本実施の形態では、旋回検出センサー64として、フロントフォーク12の操舵角を検出する操舵角センサーや、自動二輪車10の加速度を検出する加速度センサー、自動二輪車10の左右への傾斜角(バンク角)を検出するバンク角センサー等が使用される。
旋回検出センサー64は、ヘッドライト56の後方のカウリング51内に配置されている。ECU66は、運転者用シート17aの下方で左右のシートフレーム25の間に配置されている。
アッパーカウル52は、正面視では、車両中心線Lに向かって左右面が膨出する形状をなしている。アッパーカウル52には、ウインドスクリーン58が連結される。ウインドスクリーン58は、アッパーカウル52よりも急な角度で上方斜め後方に延びている(図1参照)。ウインドスクリーン58は、正面視で山形状に湾曲している。
アッパーカウル52およびウインドスクリーン58は、いわゆる、流線形形状であり、走行風から受ける空気抵抗が低減されている。アッパーカウル52は、ウインドスクリーン58よりも曲率が小さく平面に近い。アッパーカウル52は、走行風からダウンフォースを得やすくなっている。
中央上面部52cは、前側が先細る形状であり、前端52xから上方に向かうに連れて次第に車幅方向外側に広がる。中央上面部52cの左右の側方上面部52dは、中央上面部52cの両側縁からそれぞれ両側方斜め下方に傾斜している。側方上面部52dは、正面視では、先端から後方に向けて末広がりの形状をなしている。
ミドルカウル53の上部53bは、ヘッドライト56とアッパーカウル52とに渡されている。ミドルカウル53の上部53bは、側方に突出する側方突出部55を備える。側方突出部55は、ヘッドライト56の左右端に設けられた角部56aの後方に、前後に貫通する通気部55aが設けられた部分である。
ミドルカウル53の下部53cは、正面視で、ラジエータ44に重複する前端縁53c1を備える。前端縁53c1は、ヘッドライト56の側部から下側に延び、上下中央部が車幅方向外側に膨らむように湾曲している。アッパーカウル52の下部52aと、ミドルカウル53の前端縁53c1と、フロントフェンダー61の外周縁61aとが、前方に開口する開口部63を形成する。開口部63は、ラジエータ44を前方に露出させる。開口部63は、ラジエータ44等に向けての走行風の取り入れ口として機能する。開口部63から取り入れられた走行風は、ラジエータ44等を通過した後、カウリング51の外部に取り出される。
デルタウイング80は、ライダーRがニーグリップする際の膝R1よりも前方に位置する。デルタウイング80はライダーRから離れた位置で突出可能である。また、デルタウイング80は、ライダーRに当たって乱される前の走行風を受けて、ダウンフォースを得ることが可能になっている。
ラジエータ44は、図示しない固定部材を介して、メインフレーム22(図1参照)に固定支持される。ラジエータ44の断面形状は、前方が開いたアーチ状であり、左右両端のタンク44b、44cがコア44aよりも前方に位置する。
コア44aは、走行風を通過させて冷却水を放熱させる。タンク44b、44cは、コア44aに出入りする冷却水を一時的に貯留する。タンク44b、44cには、図示しないラジエータホースが接続されている。エンジン35とラジエータ44との間を冷却水が循環してエンジン35を冷却する。
また、膨出部53eの内側は広くなり易い。ミドルカウル53と、エンジン35と、ラジエータ44との間において、排気管39の左右のスペースSに、デルタウイング80が収容されると共に、デルタウイング80を駆動するウイング駆動機構92が配置される。
外側側端部80bは、ミドルカウル53の外表面に一致する形状に形成されている。デルタウイング80は、収容位置に移動した場合に、ミドルカウル53のスリット70を面一状に閉塞し易くなっている。
リンク88と、アーム部材89と、回動軸90と、不図示の伝達機構と、モータ(駆動部)91とにより、ウイング駆動機構92が構成される。
また、回動軸90が矢印Q方向に回動すると、回動軸90と共にアーム部材89が矢印Q方向に回動し、アーム部材89の先端が車幅方向内側に移動する。よって、リンク88を介して、デルタウイング80の連結ピン87が車幅方向内側に引っ張られる。これにより、デルタウイング80が一点鎖線で示す収容位置に移動可能である。
デルタウイング80は、平面視において、ハンドル33の後方に位置する。デルタウイング80は、平面視において、ハンドル33の外端33aよりも車幅方向内側で回動する。よって、ダウンフォースを得るためのデルタウイング80を設けても、自動二輪車10が車幅方向に大きくならない。
デルタウイング80の各側端部80a〜80cは面取りされて、デルタウイング80の端部形状がアーチ状に形成されている。デルタウイング80の端部形状がアーチ状で丸みを帯びているため、デルタウイング80が走行風を受ける際に、風切り音が生じ難くなっている。
自動二輪車10は、エンジン35等の自動二輪車10の各部を制御するECU(制御部)66を備える。ECU66は、車体に取り付けられる(図1参照)。
ECU66は、演算部(不図示)と、記憶部67とを備える。上記演算部は、CPUなどのプロセッサーである。ECU66は、記憶部67が記憶するプログラムを実行することにより、エンジン35やデルタウイング80等の制御や、自動二輪車10の走行状態の判定を行う。記憶部67は、フラッシュROM及びEEPROMなどの不揮発性記憶装置であり、演算部が実行するプログラム、及び、演算部により処理されるデータ等を記憶する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成する加速度センサー64bが電気的に接続されている。加速度センサー64bは車体の加速度を検出して、その検出信号をECU66に入力する。加速度センサー64bは、車体の前後方向や、左右方向、上下方向の加速度を検出する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成するバンク角センサー64cが電気的に接続されている。バンク角センサー64cは、車体のバンク角を検出して、その検出信号をECU66に入力する。
旋回量検出部66aは、操舵角センサー64aの検出情報と、加速度センサー64bの検出情報と、バンク角センサー64cの検出情報と、に基づいて、自動二輪車10の旋回量を検出する。旋回量検出部66aは、操舵角と加速度とバンク角の各値の組合せに応じた旋回量をルックアップテーブル情報として予め記憶しており、このルックアップテーブル情報を参照して旋回量を検出する。なお、旋回量検出部66aは、操舵角と、加速度と、バンク角とに基づく構成を説明したが、操舵角、加速度、バンク角のいずれか一つ以上に基づいて、旋回量を検出する構成でも良い。
具体的には、ウイング制御部66bは、旋回量が所定の閾値よりも小さい場合、マージンを考慮して車体が旋回していないものとして、デルタウイング80を収容位置に保持する。また、ウイング制御部66bは、旋回量が所定の閾値以上の場合には、車体が旋回するものとして、旋回量が大きいほどデルタウイング80を外側に突出させる。
自動二輪車10の走行時には、カウリング51に沿って、図1の矢印A1〜A4で示すように走行風が流れる。このとき、フロントフェンダー61に沿った走行風や前輪13の側部を流れる走行風がスリット70に向かう。
ライダーRが自動二輪車10を旋回させようとして、ECU66が、操舵角などの検出情報に基づいて自動二輪車10の旋回を検出すると、ECU66は、検出された旋回量に応じた突出量の位置にデルタウイング80を回動させる。デルタウイング80はミドルカウル53に対して突出するため走行風を受ける。
特に、本実施の形態では、検出された旋回量が大きいほど、デルタウイング80が大きく突出するため、旋回量に応じた適切なダウンフォースを得ることができる。
上記実施の形態では、デルタウイング80が自動で回動する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、ハンドル33に出し入れ用の操作ボタンを設け、その操作ボタンの操作信号をECU66に入力する構成とし、出すボタンが押された場合には、モータ91を駆動してデルタウイング80を突出させ、入れるボタンが押された場合には、モータ91を逆駆動してデルタウイング80をミドルカウル53内に移動させても良い。モータ91によってマニュアル操作でデルタウイング80を移動させることができ、走行時にマニュアル操作で適宜変更することができる。
ウイング制御部66bは旋回量に基づいてデルタウイング80を移動させる構成を説明した。しかし、車体の速度を検出する速度センサーを設け、速度センサーの検出情報に基づいてデルタウイング80を移動させても良い。
16a 後輪前端
35 エンジン
35a エンジン前端
51 カウル
53 サイドカウル
53e 膨出部
54a、54b、54c 検出部
61 フロントフェンダー
70 スリット
70a 前端
70b 後端
80 翼部
80b 外側辺
80c 後辺
80a 内側辺
84 揺動支持部
87 操作部
91 駆動部
Claims (10)
- 車体前部を覆うカウル(51)を備える鞍乗り型車両のカウル構造において、
前記カウル(51)は、後輪前端(16a)と前輪後端(13a)の間に位置し少なくともエンジン(35)の一部を覆うサイドカウル(53)を備え、
前記サイドカウル(53)には、前後に指向するスリット(70)を形成し、該スリット(70)に揺動可能に支持される翼部(80)を備えることを特徴とする鞍乗り型車両のカウル構造。 - 前記翼部(80)は平面視三角形状をなし、外側辺(80b)は後辺(80c)よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記翼部(80)は内側辺(80a)側の前方に揺動支持部(84)を備え、内側辺(80a)側の後方に操作部(87)を備えることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記スリット(70)は前端(70a)が後端(70b)よりも低い位置になるように傾斜して設けられており、翼部(80)は前傾になることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記翼部(80)の各辺(80a、80b、80c)は面取りされて端部形状がアーチ状をなすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記翼部(80)を揺動させる駆動部(91)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 鞍乗り型車両(10)は、旋回を検出する検出部(54a、54b、54c)を備え、前記駆動部(91)は前記鞍乗り型車両(10)の旋回に応じて翼部(80)を揺動することを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記サイドカウル(53)は膨出部(53e)を備え、該膨出部(53e)にスリット(70)が形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記翼部(80)はエンジン前端(35a)と前輪後端(13a)の間に位置することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
- 前記翼部(80)はフロントフェンダー(61)よりも下方に位置することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウル構造。
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