JP6714640B2 - 鞍乗り型車両のフロントカウル構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ダウンフォース効果を得られるフロントカウルにおいて、バンクさせやすくする鞍乗り型車両のフロントカウル構造を提供することを目的とする。
自動二輪車10は、前輪13、後輪16及びシート17を備え、運転者がシート17に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
前輪13は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して操舵可能に支持され、後輪16は、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して揺動可能に支持され、シート17は、車体フレーム11の上部に設けられている。
主フレーム部11Aは、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のピボットフレーム23及び左右一対のダウンフレーム24を一体に備える。
ヘッドパイプ21は、主フレーム部11Aの前端に設けられ、フロントフォーク12を操舵可能に支持する。左右のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延び、上部で燃料タンク43を支持する。左右のピボットフレーム23は、左右のメインフレーム22の後端からそれぞれ下方に延び、車幅方向に渡されたピボット軸46でスイングアーム14を揺動可能に支持する。左右のダウンフレーム24は、左右のメインフレーム22の下部から下方に延び、左右のピボットフレーム23と共にエンジン35を支持する。
左右のシートフレーム25は、左右のメインフレーム22に前端部がボルト・ナット等の締結部材26で締結され、左右のメインフレーム22から後方斜め上方にそれぞれ延びてシート17(運転者用シート17a及び同乗者用シート17b)を支持している。
フォークパイプ27は、内筒及び外筒からなるテレスコピック型の緩衝器である。トップブリッジ28は、左右のフォークパイプ27のそれぞれの上端部を連結する。ボトムブリッジ29は、トップブリッジ28の下方に配置されて左右のフォークパイプ27を連結する。ステアリングシャフトは、トップブリッジ28及びボトムブリッジ29のそれぞれの車幅方向中央部に渡され、ヘッドパイプ21内に挿入されてヘッドパイプ21に回動可能に支持される。
トップブリッジ28の上部にはハンドル33が取付けられ、左右のフォークパイプ27の下端部には、車軸31を介して前輪13が支持されている。
エンジン35は、クランクケース36を備え、クランクケース36は、前部に上方斜め前方に延びるシリンダ部37が設けられ、後部に変速機38が設けられている。変速機38の出力は、チェーン41を介して後輪16に伝達される。スイングアーム14は、後端部に設けられた車軸47を介して後輪16を支持している。
アッパーカウル52は、ヘッドライト56の周囲を覆うとともに、上部中央にウインドスクリーン58、上部左右に一対のバックミラー59が設けられる。ミドルカウル53は、アッパーカウル52の車幅方向外側から後方及び下方に延びて車体前部を両側方から覆う。ロアカウル54は、エンジン35を含む車体下部を覆う。
前輪13は、上方からフロントフェンダー61で覆われ、後輪16は、上方からリアフェンダー62で覆われている。
本実施の形態では、旋回検出センサー64として、フロントフォーク12の操舵角を検出する操舵角センサーや、自動二輪車10の加速度を検出する加速度センサー、自動二輪車10の左右への傾斜角(バンク角)を検出するバンク角センサー等が使用される。
旋回検出センサー64は、ヘッドライト56の後方のカウリング51内に配置されている。ECU66は、運転者用シート17aの下方で左右のシートフレーム25の間に配置されている。
アッパーカウル52は、正面視では、車両中心線Lに向かって左右面が膨出する形状をなしている。アッパーカウル52には、ウインドスクリーン58が連結される。ウインドスクリーン58は、アッパーカウル52よりも急な角度で上方斜め後方に延びている(図1参照)。ウインドスクリーン58は、正面視で山形状に湾曲している。
アッパーカウル52およびウインドスクリーン58は、いわゆる、流線形に形成されており、走行風から受ける空気抵抗が低減されている。アッパーカウル52は、ウインドスクリーン58よりも曲率が小さく平面に近い。アッパーカウル52は、走行風からダウンフォース効果を得やすくなっている。
アッパーカウル52の上部52bは、ウインドスクリーン58が連結される中央上面部52cと、アッパーカウル52の左右面を形成する左右一対の側方上面部(上面部)52dと、を備える。
中央上面部52cは、前側が先細る形状であり、前端52xから上方に向かうに連れて次第に車幅方向外側に広がる。中央上面部52cの後部には、正面視でU字状に切り欠かれた連結部52c1が形成されている。連結部52c1には、ウインドスクリーン58が連結される。中央上面部52cは、ウインドスクリーン58の下縁58bより前側に、逆三角形状の平坦な前拡幅面52fを備える。
前拡幅面52fと、左右の前傾斜面52gとは、ヘッドライト56の上側で上面前部52hを構成する。上面前部52hは、滑らかで緩やかに湾曲した平坦面である。
左右一対の側方上面部52dの前傾斜面52gには、円形状の孔52iが形成されている。孔52iは、付け根(基部)59aよりも前側で車幅方向内側に形成されている。孔52iには、ジェネレータ(抵抗部)71が配置されている。すなわち、ジェネレータ71は左右の側方上面部52dに応じて左右に一対配置されている。
左右の側方突出部55は、ヘッドライト56の左右端に設けられた角部56aの後方に、前後に貫通する通気部55aが設けられた部分である。
左右のミドルカウル53は、前部に、カウリング51内に空気を取入れる開口53cを備える。
ジェネレータ駆動機構80は、アッパーカウル52とヘッドライト56との間に配置される。ジェネレータ駆動機構80は、ガイド部72を備える。ガイド部72は、ジェネレータ71の周囲に配置された壁状に形成されている。ガイド部72は、アッパーカウル52の孔52iの下側に配置されている。ガイド部72は、ジェネレータ71を上下方向に摺動可能に支持する。
ガイド部72、被ガイドピン73、アーム部材74、回動軸75、ステー76、伝達機構(不図示)、モータ77により、ジェネレータ駆動機構(アクチュエータ駆動機構)80が構成される。
また、回動軸75が反時計回り方向に回動すると、回動軸75と共にアーム部材74が回動して先端が下降する。被ガイドピン73は、下降するガイド孔74aの内壁にガイドされ、被ガイドピン73と共にジェネレータ71が下降する。よって、ジェネレータ71が一点鎖線で示す収容位置に移動可能である。
自動二輪車10は、エンジン35等の自動二輪車10の各部を制御するECU(制御部)66を備える。ECU66は、車体に取り付けられる(図1参照)。
ECU66は、演算部(不図示)と、記憶部67とを備える。上記演算部は、CPUなどのプロセッサーである。ECU66は、記憶部67が記憶するプログラムを実行することにより、エンジン35やジェネレータ71等の制御や、自動二輪車10の走行状態の判定を行う。記憶部67は、フラッシュROM及びEEPROMなどの不揮発性記憶装置であり、演算部が実行するプログラム、及び、演算部により処理されるデータ等を記憶する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成する加速度センサー64bが電気的に接続されている。加速度センサー64bは車体の加速度を検出して、その検出信号をECU66に入力する。加速度センサー64bは、車体の前後方向や、左右方向、上下方向の加速度を検出する。
ECU66には、旋回検出センサー64を構成するバンク角センサー64cが電気的に接続されている。バンク角センサー64cは、車体のバンク角を検出して、その検出信号をECU66に入力する。
旋回量検出部66aは、操舵角センサー64aの検出情報と、加速度センサー64bの検出情報と、バンク角センサー64cの検出情報と、に基づいて、自動二輪車10の旋回量を検出する。旋回量検出部66aは、操舵角と加速度とバンク角の各値の組合せに応じた旋回量をルックアップテーブル情報として予め記憶しており、このルックアップテーブル情報を参照して旋回量を検出する。なお、旋回量検出部66aは、操舵角と、加速度と、バンク角とに基づく構成を説明したが、操舵角、加速度、バンク角のいずれか一つ以上に基づいて、旋回量を検出する構成でも良い。
具体的には、ジェネレータ制御部66bは、旋回量が所定の閾値よりも小さい場合、マージンを考慮して車体が旋回していないものとして、ジェネレータ71を収容位置に保持する。また、ジェネレータ制御部66bは、旋回量が所定の閾値以上の場合には、車体が旋回するものとして、旋回量が大きいほどジェネレータ71を高い位置に上昇させる。
自動二輪車10の走行時には、カウリング51に沿って走行風が流れる。
アッパーカウル52は、その表面形状により、走行風から受ける空気抵抗が低減されている。アッパーカウル52は、後ろ上がりに延びており、走行風を受けることで、ダウンフォース効果が生じる。特に、ジェネレータ71が設けられる上面前部52hは、アッパーカウル52において、走行風が強く当たりやすく、且つ走行風が層流となりやすい平坦面である。
ライダーが自動二輪車10を旋回させようとして、ECU66が、操舵角などの検出情報に基づいて自動二輪車10の旋回を検出すると、ECU66は、検出された旋回量に応じた高さにジェネレータ71を上昇させる。ジェネレータ71はアッパーカウル52に対して突出し、走行風に対する抵抗となる。よって、アッパーカウル52の上面前部52hを流れる走行風(層流)が散らされ、アッパーカウル52上にはボルテックス状の流れが生成される。
特に、本実施の形態では、検出された旋回量が大きいほど、ジェネレータ71が高くなるため、旋回量が大きいほど走行風を散らし易く、車両を旋回量に応じて適切に旋回させ易くできる。
上記実施の形態では、ジェネレータ71が自動で昇降する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、ハンドル33に昇降用の操作ボタンを設け、その操作ボタンの操作信号をECU66に入力する構成とし、上昇のボタンが押された場合には、モータ77を駆動してジェネレータ71を上昇させ、下降のボタンが押された場合には、モータ77を逆駆動してジェネレータ71を下降させても良い。モータ77によってマニュアル操作でジェネレータ71を移動させることができ、走行時にマニュアル操作で適宜変更することができる。
ジェネレータ制御部66bは旋回量に基づいてジェネレータ71を昇降させる構成を説明した。しかし、車体の速度を検出する速度センサーを設け、速度センサーの検出情報に基づいてジェネレータ71を昇降させても良い。
52 フロントカウル
52d 上面部
64a、64b、64c 検出部
71 抵抗部
71a 上面
77 アクチュエータ
L 車両中心線
Claims (6)
- 車両側面視で後上がりに延びる上面部(52d)を有するフロントカウル(52)を備える鞍乗り型車両のフロントカウル構造において、
前記上面部(52d)は、先端から後方に向けて末広がりの形状をなし、
該上面部(52d)の前部には上面部(52d)から上方に突出する抵抗部(71)が備えられ、該抵抗部(71)は、前記上面部(52d)から上方に突出する突出位置と、前記フロントカウル(52)内に収容される収容位置と、の間を移動可能に支持されることを特徴とする鞍乗り型車両のフロントカウル構造。 - 前記フロントカウル(52)は車両中心線(L)上に向かって左右面が膨出する形状をなし、前記上面部(52d)は左右に位置し、前記抵抗部(71)は左右一対設けられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
- 前記抵抗部(71)を駆動するアクチュエータ(77)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
- 鞍乗り型車両(10)は、旋回を検出する検出部(64a、64b、64c)を備え、前記アクチュエータ(77)は、車体が旋回しない場合に前記抵抗部(71)を前記収容位置に保持し、車体が旋回する場合に前記抵抗部(71)を前記収容位置よりも前記突出位置側に移動させることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
- 前記抵抗部(71)は円筒形状をなすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
- 前記抵抗部(71)の上面(71a)は前記収容位置に移動した場合に前記上面部(52d)と面一になることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のフロントカウル構造。
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