JP2019186213A - 触媒層、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池 - Google Patents

触媒層、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】物質輸送性に優れた触媒層、つまり、固体高分子形燃料電池の膜電極接合体を構成した場合に、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な触媒層を提供する。【解決手段】この発明の触媒層は、高分子電解質膜に対する接合面を有する触媒層であって、触媒物質、触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および繊維状物質を含む層形成物質と、層形成物質が存在しない部分である複数の細孔と、を有し、複数の細孔が連続的に繋がって形成された三次元ネットワークからなる通路を有し、接合面と直交する断面の面積に対する細孔の合計面積の割合である細孔面積率が、断面の走査型電子顕微鏡による画像において、25.0%以上35.0%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒層、膜電極接合体、及び固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素の化学反応から電気を生み出す発電システムである。従来の発電方式と比較して高効率、低環境負荷、低騒音といった特徴を持ち、クリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近で使用可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源などへの使用が有望視されており、近年、固体高分子形燃料電池に関する様々な研究開発が行われている。その実用化に向けての課題には、発電特性や耐久性などの電池性能向上、インフラ整備、製造コストの低減などが挙げられる。
固体高分子形燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層されて構成されている。単セルは、高分子電解質膜の両面に、燃料ガスを供給する燃料極(アノード)と酸化剤を供給する酸素極(カソード)とが接合した膜電極接合体を、ガス流路及び冷却水流路を有するセパレーターで挟んだ構造をしている。燃料極(アノード)及び酸素極(カソード)は、白金系の貴金属などの触媒物質、導電性担体及び高分子電解質を少なくとも含む触媒層と、ガス通気性と導電性とを兼ね備えたガス拡散層とで主に構成されている。
固体高分子形燃料電池では、以下のような電気化学反応を経て、電気を取り出すことができる。まず、燃料極側触媒層において、燃料ガスに含まれる水素が触媒物質により酸化され、プロトン及び電子となる。生成したプロトンは、媒層内の高分子電解質及び触媒層に接している高分子電解質膜を通り、酸素極側触媒層に達する。また、同時に生成した電子は、触媒層内の導電性担体、触媒層の高分子電解質膜側とは反対側の面に接しているガス拡散層、セパレーター及び外部回路を通って酸素極側触媒層に達する。そして、酸素極側触媒層において、プロトン及び電子が酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し、水を生成する。
ガス拡散層は、セパレーターから供給されるガスを拡散して触媒層中に供給する役割をもつ。そして、触媒層中の細孔は、セパレーターからガス拡散層を通じた先に位置し、ガスや生成水等の複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極の細孔には、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給する機能が求められる。また、酸素極の細孔には、酸化剤ガスを円滑に供給する機能が求められる。ここで、ガスを円滑に供給するためには触媒層中に十分な隙間があり、密な構造とならないことが重要である。
触媒層が密な構造とならないようにするために、例えば、異なる粒子径のカーボンまたは異なる繊維長のカーボン繊維を含む触媒層が提案されている(特許文献1,2)。
特許第3617237号公報 特許第5537178号公報
特許文献1では、異なる粒径のカーボン粒子を組み合わせることで、触媒層が密に詰まることを抑制している。また、特許文献2では、異なる繊維長のカーボン繊維を組み合わせることにより、触媒層中に隙間を形成している。しかし、これらの提案では、触媒層中の細孔の最適な割合、細孔のサイズおよびその分布についての規定はなされていない。
本発明の課題は、物質輸送性に優れた触媒層、つまり、固体高分子形燃料電池の膜電極接合体を構成した場合に、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な触媒層を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の触媒層は、高分子電解質膜に対する接合面を有する触媒層であって、下記の構成(1)〜(3)を有する。
(1)触媒物質、触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および繊維状物質を含む層形成物質と、層形成物質が存在しない部分である複数の細孔と、を有する。
(2)複数の細孔が連続的に繋がって形成された三次元ネットワークからなる通路を有する。
(3)高分子電解質膜に対する接合面と直交する断面の面積に対する細孔の合計面積の割合である細孔面積率が、この断面の走査型電子顕微鏡による画像において、25.0%以上35.0%以下である。
本発明の一態様によれば、物質輸送性に優れた触媒層が提供される。よって、本発明の一態様の触媒層を有する膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池によれば、長期的に高い発電性能を発揮することが期待できる。
触媒層の断面SEM像の2値化画像であって、細孔(2値化した際の黒画素)の面積率が高く、細孔サイズの分布が大きい場合(a)と、細孔(2値化した際の黒画素)の面積率が低く細孔サイズの分布が狭い場合(b)を示す。 実施形態の触媒層の構造を示す模式断面図である。 実施形態の膜電極接合体を示す平面図(a)と、(a)のX−X断面図(b)である。 実施形態の固体高分子形燃料電池を示す分解斜視図である。 断面SEM像の画像処理プロセスを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
本願の発明者は、固体高分子形燃料電池の初期発電性能について鋭意検討を行った結果、この性能には、触媒層における物質輸送性が大きく影響していることを見出した。そして、本願の発明者は、触媒層内部に部分的に広い空隙を形成することにより、触媒層内におけるガスおよび生成水の輸送性を向上させた。その結果、出力の低下及び触媒層の劣化が抑制され、長期的に高い発電性能を発揮する固体高分子形燃料電池を得ることに成功した。
従来、触媒層中の細孔の最適な割合、細孔のサイズおよびその分布について考慮されていなかったが、本願の発明者は、以下のことを突き止めた。つまり、触媒層の高分子電解質膜に対する接合面と直交する断面において、図1(b)に示すような、細孔(2値化した際の黒画素)の面積率が低く細孔サイズの分布が狭い触媒層と比較して、図1(a)に示すような、細孔の面積率が高く細孔サイズの分布が広い触媒層では、三層界面を維持しつつガスの拡散性や生成水の排出性が向上する。
[触媒層の構成]
図2に示すように、本実施形態の触媒層10は、高分子電解質膜11との接合面を有し、層構成物質として、触媒物質12、導電性担体13、高分子電解質14、繊維状物質15を含み、層形成物質が存在しない部分が細孔である。
触媒層10は、高分子電解質膜11との接合面と直交する断面(厚さ方向の断面)の面積(S0)に対する細孔の合計面積(Sp)の割合である細孔面積率(Sp/S0)が、この断面の走査型電子顕微鏡による画像(以下、「断面SEM像」と称する。)において、25.0%以上35.0%以下になっている。細孔面積率がこの範囲にあると、触媒層10は、十分なガス拡散性及び排水性を備えた隙間が形成された状態となる。細孔面積率は27.0%以上32.0%以下であることが好ましい。また、触媒層10は、複数の細孔が連続的に繋がって形成された三次元ネットワークからなる通路を有する。この通路は、触媒層10内に導入された気体および水を触媒層10内で移動させた後に外部に排出する通路である。
上述の断面SEM像を得るためには、先ず、触媒層10の高分子電解質膜11との接合面と直交する断面(以下、単に「触媒層10の断面」と称する。)を露出させる。その方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いることができる。通常は、高分子電解質膜11に接合された状態で触媒層10の断面を露出させる加工を行うため、この加工の際には、触媒層10を冷却しながら加工を行って、高分子電解質膜11や触媒層10を構成する高分子電解質14へのダメージを軽減することが好ましい。
次に、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して触媒層10の断面の画像を取得する。SEMによる取得画像の倍率は1万倍から3万倍程度が好ましい。
次に、例えば、トリミング、フィルタリング、2値化等の画像処理を行うことにより、細孔を可視化する。図1に示すように、この2値化された画像において、細孔を構成する画素は黒画素として表される。そして、ひと続きとなっている黒画素の数を計測し、この黒画素数と一画素の面積との積を算出することにより、一つの細孔の面積を得る。また、断面SEM画像内の全ての細孔の面積を算出して合計した面積Spの、2値化画像全体の面積S0に対する割合を、細孔面積率(Sp/S0)として得る。
具体的には、例えば、日本電子社製クライオクロスセクションポリッシャ装置「IB−19520CCP」を用いて触媒層の断面を露出させ、日立ハイテクノロジー社製「FE-SEM装置S-4800」を用いて、この断面を撮像して断面SEM像を取得する。そして、この取得した断面SEM画像について、オープンソースの画像処理ソフト「Image J」を用い、図5のような画像処理を行うことで、細孔の面積、数、面積率を得る。
触媒層10は、断面SEM像において、全ての細孔の合計面積Spに対する、面積が90000nm2より大きい細孔の合計面積Sgの割合(Sg/Sp)が、15.0%以上30.0%以下である。これによって、細孔サイズの分布が広く部分的に不均一な触媒層となり、三層界面を維持しつつガスの拡散性や生成水の排出性が向上する。
触媒層10は、断面SEMにおいて、膜側の面積率(高分子電解質膜11との接合面から0.5μm以上5.5μm以下の範囲に存在する細孔の面積率)よりも、反膜側の面積率(接合面とは反対面から0.5μm以上5.5μm以下の範囲に存在する細孔の面積率)の方が大きい。このような構成を有することにより、触媒層10には、より十分なガス拡散性及び排水性を備えた隙間が形成される。膜側の面積率が25.0%以上30.0%以下であり、反膜側の面積率が30.0%以上35.0%以下であることがより好ましい。
触媒層10の厚さは、5μm以上30μm以下が好ましい。厚さが30μmよりも厚い場合には、クラックが生じやすいうえに、燃料電池に用いた際にガスや生成する水の拡散性及び導電性が低下して、出力が低下してしまう。また、厚さが5μmよりも薄い場合には、層厚にばらつきが生じ易くなり、内部の触媒物質や高分子電解質が不均一となりやすい。触媒層の表面のひび割れや、厚さの不均一性は、燃料電池として使用し、長期に渡り運転した際の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いため、好ましくない。
触媒層10の厚さは、例えば、触媒層10の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することで計測することができる。触媒層10の断面を露出させる方法としては、例えば、イオンミリング、ウルトラミクロトーム等の公知の方法を用いることができる。断面を露出させる加工を行う際には、高分子電解質膜11や触媒層10を構成する高分子電解質14へのダメージを軽減するため、冷却しながら加工を行うことが好ましい。
触媒物質12としては、例えば、白金族元素、金属及びこれらの合金、酸化物、複酸化物、炭化物等を用いることができる。白金族元素としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムがある。金属としては、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等が例示できる。
導電性担体13としては、導電性を有し、触媒物質12に侵されずに触媒物質12を担持可能なものであれば、どのようなものでも構わないが、導電性担体13としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレンを用いることができる。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると密に詰まり過ぎて触媒層10のガス拡散性が低下し易くなり、また、大きすぎると分散が困難でクラックが生じ易くなるので、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10〜100nm程度がよい。
また、高分子電解質膜11や触媒層10に含まれる高分子電解質14としては、プロトン伝導性を有するものであれば、どのようなものでもよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質としては、テトラフルオロエチレン骨格を有する高分子電解質、例えば、デュポン社製の「Nafion(登録商標)」等を用いることができる。
また、炭化水素系高分子電解質としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等を用いることができる。
高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じものを用いてもよいし、互いに異なるものを用いてもよい。ただし、高分子電解質膜11と触媒層10との界面抵抗や、湿度変化時の高分子電解質膜11と触媒層10とにおける寸法変化率を考慮すると、高分子電解質膜11に含まれる高分子電解質と、触媒層10に含まれる高分子電解質14とは、互いに同じものであるか類似の成分のものであることが好適である。
繊維状物質15としては、電子伝導性繊維およびプロトン伝導性繊維を用いることができる。電子伝導性繊維としては、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、および、導電性高分子ナノファイバーなどを挙げることができる。導電性や分散性の観点から、カーボンナノファイバーを繊維状物質15として用いることが好ましい。
触媒能を有する電子伝導性繊維は、貴金属によって形成される触媒の使用量を低減できる点でより好ましい。触媒層10が酸素極を構成する触媒層10として用いられる場合には、触媒能を有する電子伝導性繊維には、カーボンナノファイバーから作製したカーボンアロイ触媒を挙げることができる。触媒能を有する電子伝導性繊維は、燃料極用の電極活物質を繊維状に加工した繊維であってもよい。電極活物質には、Ta、Nb、Ti、および、Zrから構成される群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素を含む物質を用いることができる。遷移金属元素を含む物質には、遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物、または、遷移金属元素の導電性酸化物、および、遷移金属元素の導電性酸窒化物を挙げることができる。
プロトン伝導性繊維は、プロトン伝導性を有する高分子電解質を繊維状に加工した繊維であればよい。プロトン伝導性繊維を形成するための材料には、フッ素系高分子電解質、および、炭化水素系高分子電解質などを用いることができる。フッ素系高分子電解質には、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、および、ゴア社製のGore Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質には、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリイミド、および、酸ドープ型ポリベンゾアゾール類などの電解質を用いることができる。
繊維状物質15には、上述した繊維のうちの一種のみが用いられてもよいし、二種以上が用いられてもよい。繊維状物質15として、電子伝導性繊維とプロトン伝導性繊維とを併せて用いてもよい。繊維状物質15は、上述した繊維状物質15のなかでも、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、電解質繊維から構成される群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
繊維状物質15の繊維径としては、0.5〜500nmが好ましく、5〜200nmがより好ましい。繊維径をこの範囲にすることにより、触媒層10内の空隙を増加させることができ、高出力化が可能になる。
また、繊維状物質15の繊維長は1〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。繊維長をこの範囲にすることにより、触媒層10の強度を高めることができ、形成時にクラックが生じることを抑制できる。また、触媒層内の空隙を増加させることができ、高出力化が可能になる。
[膜電極接合体の構成]
図3に示すように、本実施形態の膜電極接合体1は、高分子電解質膜11と、高分子電解質膜11のそれぞれの面に接合された触媒層10C、10Aとを備えている。本実施形態では、高分子電解質膜11の上面に形成される触媒層10Cは、酸素極を構成するカソード側の触媒層であり、高分子電解質膜11の下面に形成される触媒層10Aは、燃料極を構成するアノード側の触媒層である。以下、一対の触媒層10C、10Aは、区別する必要がない場合には、「触媒層10」と略記する場合がある。なお、触媒層10の外周部は、ガスケット等(図示せず)によりシールされていてもよい。
触媒層10の作製及び高分子電解質膜11の表面への触媒層10の接合は、次のようにして行われる。
先ず、少なくとも上述した触媒物質12と導電性担体13と高分子電解質14と、必要に応じて繊維状物質15とを溶媒に混合し、分散処理を加えることで触媒インクを作製する。
分散処理には、例えば、遊星型ボールミル、ビーズミル、超音波ホモジナイザー等の様々な手法を用いることが可能である。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒物質12や導電性担体13、高分子電解質14及び繊維状物質15を浸食することがなく、流動性の高い状態で高分子電解質14を溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば、どのようなものでもよい。例えば、水、単一の有機溶剤、複数の有機溶剤の混合物およびこれらの混合物等を用いることができる。
触媒インク中には、揮発性の液体有機溶剤が少なくとも含まれることが望ましいが、溶媒として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高いため、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。水の添加量は、高分子電解質14が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
作製した触媒インクを基材に塗布・乾燥することで、触媒インクの塗膜から溶媒成分が除去されて、基材上に触媒層10が形成される。
高分子電解質膜11を基材とする場合には、例えば、高分子電解質膜11の表面に触媒インクを直接塗布した後、触媒インクの塗膜から溶媒成分を除去して触媒層10を形成してもよい。
また、基材として転写用基材を使用する場合には、先ず、転写用基材の上に触媒インクを塗布・乾燥することで、触媒層付き転写基材を作製する。その後、触媒層付き転写基材の触媒層10の表面と高分子電解質膜11とを接触させて加熱・加圧することで、両者を接合する。その後、触媒層10から転写基材を剥離する。
上述の方法で触媒層10を形成すれば、乾燥過程で粒子や繊維状物質の間から塗工表面に向かって溶媒が抜けるため、触媒層10に、複数の細孔が連続的に繋がった三次元ネットワークからなる通路を形成することができる。このような三次元ネットワークからなる通路が存在することで、触媒層10は、ガスや生成水の移動が阻害されにくいものとなる。
このような三次元ネットワークからなる通路が形成されていることは、後述するように断面SEM像により調べることが可能である。
触媒インクを基材に塗布する方法としては、例えば、ダイコート、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、スキージー等、様々な塗工方法を用いることができ、特に、ダイコートが好ましい。ダイコートは、塗布中間部分の膜厚が安定しており間欠塗工にも対応可能である。更に、塗布した触媒インクを乾燥させる方法としては、例えば、温風オーブン、IR(遠赤外線)乾燥、ホットプレート、減圧乾燥等を用いることができる。乾燥温度は、40〜200℃、好ましくは40〜120℃程度である。乾燥時間は、0.5分〜1時間、好ましくは1分〜30分程度である。
触媒層付き転写基材を用いて高分子電解質膜11と触媒層10を接触させて加熱・加圧することで接合を行う場合には、触媒層10に掛かる圧力や温度が膜電極接合体の発電性能に影響する。発電性能の高い膜電極接合体を得るには、積層体に掛かる圧力は、0.1MPa以上20MPa以下であることが望ましい。20MPaより大きい場合には触媒層10が過圧縮となり、0.1MPより小さい場合には触媒層10と高分子電解質膜11との接合性が低下して、発電性能が低下する。また、接合時の温度は、高分子電解質膜11と触媒層10の界面の接合性の向上や、界面抵抗の抑制を考慮すると、高分子電解質膜11又は触媒層10の高分子電解質14のガラス転移点付近とするのが好ましい。
また、触媒層付き転写基材に用いる基材としては、例えば、フッ素系樹脂からなるシート体や高分子フィルムを用いることができる。フッ素系樹脂は、転写性に優れ、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が例示できる。高分子フィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等が例示できる。また、転写後に除去しない基材としては、ガス拡散層を用いることもできる。
ここで、触媒層10の細孔を好適な範囲とすることは、塗布した触媒インクの加熱温度やその加熱速度、触媒インクが乾燥するまでの加圧条件、触媒インクの溶媒組成、触媒インク調整時の分散強度、繊維状物質15の配合率などを調整すれば可能である。
例えば、触媒層10中の高分子電解質14の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。また、繊維状物質15の配合率は、導電性担体13の重量に対して同程度から半分程度が好ましい。触媒インクの固形分比率は、薄膜に塗工できる範囲で、高いほうが好ましい。
[固体高分子形燃料電池の構成]
図4に示すように、本実施形態の固体高分子形燃料電池3は、膜電極接合体1と、ガス拡散層17Cと、ガス拡散層17Aとを備えている。ガス拡散層17Cは、膜電極接合体1のカソード側の触媒層10Cと対向して配置されている。また、ガス拡散層17Aは、膜電極接合体1のアノード側の触媒層10Aと対向して配置されている。そして、カソード側の触媒層10C及びガス拡散層17Cにより酸素極2Cが構成され、アノード側の触媒層10A及びガス拡散層17Aにより燃料極2Aが構成されている。また、高分子電解質膜11の触媒層が接合されていない外周部分からのガスリークを防ぐため、酸素極(カソード)側のガスケット16C及び燃料極(アノード)側のガスケット16Aが配置されている。
更に、固体高分子形燃料電池3は、酸素極2Cに対向して配置されたセパレーター18Cと、燃料極2Aに対向して配置されたセパレーター18Aとを備えている。セパレーター18Cは、ガス拡散層17Cに対向する面に形成された反応ガス流通用のガス流路19Cと、ガス流路19Cが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流通用の冷却水流路20Cとを備えている。また、セパレーター18Aは、セパレーター18Cと同様の構成を有しており、ガス拡散層17Aに対向する面に形成されたガス流路19Aと、ガス流路19Aが形成された面と反対側の面に形成された冷却水流路20Aとを備えている。セパレーター18C、18Aは、導電性でかつガス不透過性の材料からなる。
そして、固体高分子形燃料電池3は、セパレーター18Cのガス流路19Cを通って空気や酸素等の酸化剤が酸素極(カソード)2Cに供給され、セパレーター18Aのガス流路19Aを通って水素を含む燃料ガス若しくは有機物燃料が燃料極(アノード)2Aに供給されて、発電を行う。
固体高分子形燃料電池3では、燃料極2Aにおいて下記の反応式(1)で表される反応が生じ、酸素極2Cにおいて下記の反応式(2)で表される反応が生じる。
2→2H++2e-…(1)
1/2O2+2H++2e-→H2O…(2)
このように、本実施形態における固体高分子形燃料電池3は、酸素極2Cに対して酸素を含有するガスが供給されることによって、酸素極2Cにおいて水を生成する燃料電池である。
上述の触媒層10を備えた膜電極接合体1を採用することで、十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、触媒層中の細孔の割合、細孔のサイズおよびその分布を規定することで、固体高分子形燃料電池の運転において十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な触媒層、膜電極接合体が提供できる。そして、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な固体高分子形燃料電池が提供できる。
上述したように、本実施形態における触媒層10は、燃料極(アノード)2A側の触媒層10Aに適用することが可能であり、また、酸素極(カソード)2C側の触媒層10Cに適用することが可能でもある。
ここで、上記反応式(2)に示すように、酸素極2Cにおいては、酸素、プロトン、および、電子から水が生成される。そして、酸素極2Cにおいて生成された水が酸素極2C外に排出されない場合には、酸素極2Cへの酸素含有ガスの供給が水によって妨げられてしまう。このような状態になると、固体高分子形燃料電池3の発電性能が低下してしまう。
これに対し、本実施形態の触媒層10は、上述した各条件を満たすことによって高い排水性を有することから、酸素極2Cが備える触媒層10Cとして使用された場合は、固体高分子形燃料電池3の発電性能を高める効果を、より顕著に得ることができる。
なお、上述の触媒層10は、カソード側の触媒層10Cおよびアノード側の触媒層10Aの両方に適用される構成であるが、カソード側の触媒層10Cおよびアノード側の触媒層10Aのいずれか一方のみに、触媒層10の構成が適用されてもよい。その場合は、触媒層10がカソード側の触媒層10Cに適用されることがより好ましい。カソード側の触媒層10Cに適用されることで、カソード側の触媒層10Cで生成される水の排水性と、カソード側の触媒層10Cに流入するガスの拡散性を両方高めることができる。その結果、固体高分子形燃料電池の出力が低下することが抑えられる。
なお、図4に示す固体高分子形燃料電池3は、膜電極接合体を一つ含む単セル構造の固体高分子形燃料電池であるが、一態様の触媒層は、複数の単セルが積層された構造の固体高分子形燃料電池を構成することもできる。
以下、実施例および比較例について説明する。
[膜電極接合体の作製]
以下の方法で実施例1〜5および比較例1〜5の膜電極接合体を作製した。
実施例1では、白金担持カーボン触媒(TEC10E50E,田中貴金属工業社製)と水と1−プロパノールと高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液,和光純薬工業社製)とカーボンナノファイバー(VGCF−H(登録商標),昭和電工社製)とを混合した。白金担持カーボン触媒は、白金触媒がカーボン粒子に担持されたものであり、カーボン粒子と高分子電解質との配合比を質量比で1:1とした。混合物に対して遊星型ボールミルで60分間にわたって300rpmで分散処理を行い、触媒インクを調製した。その際、直径5mmのジルコニアボールをジルコニア容器の3分の1程度加えた。高分子電解質の質量は炭素粒子の質量に対して100質量%、繊維状物質の質量は炭素粒子の質量に対して100質量%、分散媒中の水の割合は50質量%、インクにおける固形分含有量は10質量%となるように調整した。
調整した触媒インクを、高分子電解質膜(ナフィオン211(登録商標),Dupont社製)の両表面にスリットダイコーターを用いて塗布し、100℃の吸着ステージ上でタックがなくなるまで乾燥させた。なお、カソード側には触媒インクが150μmの厚みとなるように、アノード側には触媒インクが100μmの厚みとなるように塗布した。これにより、高分子電解質膜の一面にカソード側触媒層を、他面にアノード側触媒層を形成した。このようにして、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両面にそれぞれ接合されたカソード側触媒層およびアノード側触媒層と、を有する膜電極接合体を得た。実施例1の膜電極接合体は、カソード側触媒層とアノード側触媒層が同じものである。
実施例2では、カソード側触媒層に用いる繊維状物質として、カーボンナノファイバーではなく多層カーボンナノチューブ(直径60−100nm、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の手順で膜電極接合体を得た。
実施例3では、カソード側触媒層を形成する際の触媒インクの塗布量を2倍とした以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
実施例4では、カーボンナノファイバーの量を実施例1の2分の1としたとした以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
実施例5では、先ず、実施例1と同じ方法で調整した触媒インクを、PTFEフィルム(転写用基材)の表面にスリットダイコーターを用いて塗布し、100℃の吸着ステージ上でタックがなくなるまで乾燥させて、触媒層付き転写基材を二枚得た。なお、カソード側には触媒インクが150μmの厚みとなるように、アノード側には触媒インクが60μmの厚みとなるように塗布した。次に、これらの触媒層付き転写基材を、触媒層が、高分子電解質膜(ナフィオン211(登録商標),Dupont社製)の各面と対向するように配置して積層して積層体を得た。そして、この積層体を、120℃、5MPaの条件でホットプレスして接合した後に、PTFEフィルムを剥離することで、膜電極接合体を得た。
比較例1では、カソード側触媒層の形成に用いる触媒インク中のカーボンナノファイバーの含有率を2倍とした以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
比較例2では、カソード側触媒層の形成に用いる触媒インク中の水および1−プロパノールの含有率を2倍とした以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
比較例3では、カソード側触媒層に用いる繊維状物質として、カーボンナノファイバーではなくカーボンナノチューブ(NC7000(商標),Nanocyl社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
比較例4では、カソード側触媒層のカーボンナノファイバーの量を実施例1の10分の1とした以外は、上記実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
比較例5では、カソード側触媒層の形成に用いる触媒インク中にカーボンナノファイバーを含有させなかった以外は、実施例1と同様にして、膜電極接合体を得た。
[触媒層の状態と評価]
実施例1〜5の膜電極接合体及び比較例1〜5の膜電極接合体を構成するカソード側触媒層について、細孔面積率(Sp/S0)と、全ての細孔の合計面積Spに対する、面積が90000nm2より大きい細孔の合計面積Sgの割合(Sg/Sp)と、カソード側触媒層の厚みTを調べた。また、実施例1〜5の膜電極接合体及び比較例1〜5の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池の発電性能を測定した。これらについて、以下に説明する。
<細孔面積率(Sp/S0)>
細孔面積率(Sp/S0)は、断面SEM像を取得し、画像処理することにより導出した。具体的には、先ず、各膜電極接合体について、約2mm角の小片を5ヶ所から切り出した。各小片を、日本電子社製クライオクロスセクションポリッシャ装置「IB−19520CCP」を用いて加工し、カソード側触媒層の高分子電解質膜との接合面と直交する断面を露出させた。次に、各カソード側触媒層の断面を、日立ハイテクノロジー社製FE-SEM装置「S-4800」を用いて15000倍で撮像して、2560×1920の解像度で断面SEM像を取得した。
断面SEM像は、小片毎に3ヶ所で、それぞれ高分子電解質膜との界面近傍(膜側)、高分子電解質膜と接合していない表面近傍(反膜側)、層中央付近について取得した。高分子電解質膜との界面近傍とは、具体的には高分子電解質膜との界面(接合面)から0.5μm以上5.5μm以下の範囲を指す。また、高分子電解質膜と接合していない表面近傍(反膜側)とは、具体的には高分子電解質膜との界面とは反対側の表面を基準として0.5μm以上5.5μm以下の範囲を指す。
取得した各断面SEM像について、オープンソースの画像処理ソフト「Image J」を用いて、図5のような画像処理を行うことで、個々の細孔の面積の一覧を得た。なお、ひと続きの黒画素が10画素より少ないものは、ノイズと見なして除外した。
そして、個々の細孔の面積の一覧より、全ての細孔の面積を積算した面積(細孔の合計面積)Spの、2値化画像全体の面積Sに対する割合(細孔面積率Sp/S0)を導出した。各膜電極接合体につき45個得られる細孔面積率を平均して、その平均値を各膜電極接合体の細孔面積率とした。
また、上述の方法で得られた高分子電解質膜との界面近傍(膜側)の細孔面積率と、高分子電解質膜と接合していない表面近傍(反膜側)の細孔面積率を用いて、膜側細孔面積率と反膜側細孔面積率の大小関係を調べた。具体的には、各膜電極接合体につき15ヶ所でその大小関係を確認し、多く見られた方を採用した。
<90000nm2より大きい細孔の占める割合(Sg/Sp)>
上述の断面SEM像を画像処理して得た各細孔の面積の一覧から90000nm2より大きい細孔を抜き出してその合計面積Sgを算出し、これを全ての細孔の合計面積Spで除することで、Sg/Spを導出した。
<カソード側触媒層の厚み>
カソード側触媒層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてカソード側触媒層の断面を観察して計測した。具体的には、上述の細孔面積率の導出に用いた断面を、日立ハイテクノロジー社製「FE-SEM S-4800」を使用して1000倍で観察し、各小片につき5カ所の観察点における触媒層の厚みを計測して、25ヶ所の平均値を各膜電極接合体のカソード側触媒層の厚みTとした。
<三次元ネットワーク通路の確認>
触媒層に、複数の細孔が連続的に繋がった三次元ネットワークからなる通路が形成されているか否かを、以下の方法で計測した。
上述の細孔面積率の導出に用いたカソード側触媒層の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。そして、図1に示すような触媒層の厚み方向(紙面上下方向)をY方向、厚み方向と垂直方向をX方向(紙面左右方向)とし、先ず、ある行YaにおけるX方向の黒画素数(細孔を構成する画素)を積算する。次に、積算した黒画素数を、ある行Yaを構成する全画素数で割ることで、ある行Yaにおける細孔割合を算出する。この操作をY方向における各行で行う。
その結果、すべての行において、算出された細孔割合が10%以上であれば、触媒層に複数の細孔が連続的に繋がった三次元ネットワークからなる通路が形成できていると判断できる。
<発電性能の測定と評価>
各膜電極接合体の両面にガス拡散層及びガスケット、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けることで、評価用単セルを作製した。各評価用単セルについて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の刊行している小冊子である「セル評価解析プロトコル」に記載のI−V測定を実施した。
電圧が0.6Vのときの電流が30A以上である場合を「○」、30A未満である場合を「×」、20A未満である場合を「××」とした。
<比較結果>
以上の結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜5のいずれも、断面SEM像における細孔面積率Sp/Sが25.0%以上35.0%以下の範囲内であった。また、実施例1〜5のいずれも、触媒層に、複数の細孔が連続的に繋がった三次元ネットワークからなる通路が形成されていることが確認できた。そして、発電性能については、実施例1〜5のいずれも「○」となった。すなわち、実施例1〜5においては、発電性能に優れた燃料電池を構成可能な膜電極接合体が得られた。
一方、比較例においては、比較例1〜5のいずれも、断面SEM像における細孔面積率Sp/Sが25.0%以上35.0%以下の範囲内ではなかった。そして、発電性能については、いずれも「×」となった。さらに、90000nm2より大きい細孔の占める割合が15.0%以上30.0%以下の範囲内ではない場合や、細孔面積率の大小関係が規定した関係ではない場合に発電性能がより低下し、「××」となった。すなわち、触媒層における細孔の割合、サイズおよびその分布が範囲外となった場合に、発電性能が低下した。
本発明によれば、触媒層中の細孔の割合、サイズおよびその分布を規定することで、固体高分子形燃料電池の運転において十分な排水性及びガス拡散性を有し、長期的に高い発電性能を発揮することが可能な触媒層、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池を提供することができる。したがって、本発明は、固体高分子形燃料電池を利用した、定置型コジェネレーションシステムや燃料電池自動車等に好適であり、産業上の利用価値が大きい。
1…膜電極接合体
2C…酸素極
2A…燃料極
3…固体高分子形燃料電池
10…触媒層
10A…アノード側の触媒層
10C…カソード側の触媒層
11…高分子電解質膜
12…触媒物質
13…導電性担体
14…高分子電解質
15…繊維状物質
16C,16A…ガスケット
17C,17A…ガス拡散層
18C,18A…セパレーター
19C,19A…ガス流路
20C,20A…冷却水流路

Claims (9)

  1. 高分子電解質膜に対する接合面を有する触媒層であって、
    触媒物質、前記触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および繊維状物質を含む層形成物質と、前記層形成物質が存在しない部分である複数の細孔と、を有し、
    前記複数の細孔が連続的に繋がって形成された三次元ネットワークからなる通路を有し、
    前記接合面と直交する断面の面積に対する前記細孔の合計面積の割合である細孔面積率が、前記断面の走査型電子顕微鏡による画像において、25.0%以上35.0%以下である触媒層。
  2. 前記画像において、前記細孔の合計面積に対する、面積が90000nm2より大きい細孔の合計面積の割合が15.0%以上30.0%以下である請求項1に記載の触媒層。
  3. 前記画像において、前記接合面から0.5μm以上5.5μm以下の範囲での前記細孔面積率である膜側細孔面積率よりも、前記接合面とは反対面から0.5μm以上5.5μm以下の範囲での前記細孔面積率である反膜側細孔面積率の方が大きい請求項1または2に記載の触媒層。
  4. 前記膜側細孔面積率が25.0%以上30.0%以下であり、前記反膜側細孔面積率が30.0%以上35.0%以下である請求項3に記載の触媒層。
  5. 前記繊維状物質として、電子伝導性繊維およびプロトン伝導性繊維の少なくともいずれかを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の触媒層。
  6. 前記繊維状物質として電子伝導性繊維を含み、前記電子伝導性繊維は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および遷移金属含有繊維から選択される少なくとも一種である請求項5に記載の触媒層。
  7. 厚みが5μm以上30μm以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の触媒層。
  8. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ接合されたアノード側触媒層およびカソード側触媒層と、を有する膜電極接合体であって、
    前記アノード側触媒層および前記カソード側触媒層の少なくともいずれかが、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の触媒層である膜電極接合体。
  9. 請求項8記載の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池。
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