JP2020177829A - 膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
上記膜電極接合体において、前記電極触媒層の体積に対して、全ての前記細孔の前記細孔容積を積算した積算容積の百分率が、65%以上90%以下であってもよい。上記構成によれば、電極触媒層は、より十分なガス拡散性、および、排水性を有することができる。
上記膜電極接合体において、前記燃料極側電極触媒層は、5μm以上20μm以下の厚さを有してもよい。
上記課題を解決するための固体高分子形燃料電池は、上記膜電極接合体を備える。
図1から図5を参照して、電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の第1実施形態を説明する。以下では、膜電極接合体、電極触媒層、固体高分子形燃料電池を構成する単セルの構成、膜電極接合体の製造方法、および、実施例を順に説明する。
図1を参照して、膜電極接合体の構成を説明する。図1は、膜電極接合体の厚さ方向に沿う断面構造を示している。
図2を参照して、膜電極接合体10が備える電極触媒層の構成をより詳しく説明する。なお、以下に説明する電極触媒層は、酸素極側電極触媒層12Cおよび燃料極側電極触媒層12Aの両方に適用される構成であるが、酸素極側電極触媒層12Cおよび燃料極側電極触媒層12Aのいずれか一方のみに、以下の構成が適用されてもよい。
なお、水銀圧入法を用いて実際に測定を行うときには、圧入された水銀の容積を相互に異なる圧力Pの印加によって別々に記録する。そして、上記式(1)に基づいて、各圧力Pを細孔直径Dに換算する。また、圧入された水銀の容積と細孔容積Vpとは等しいとして、細孔直径がDからD+dDまでに増加したときの細孔容積Vpの増加分である細孔容積増加分dVを細孔直径Dに対してプロットする。このプロットのピークが、細孔容積Vpの分布のピークである。
[条件1]
条件1では、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線のピークは、細孔直径Dが0.06μm以上0.1μm以下(0.06μm≦D≦0.1μm)である範囲に含まれている。分布曲線のピークは、細孔直径Dが0.07μm以上0.1μm以下(0.07μm≦D≦0.1μm)である範囲に含まれることが好ましい。分布曲線のピークが、細孔直径Dが0.06μm以上0.1μm以下である範囲に含まれることによって、電極触媒層12は、電極触媒層12が十分なガス拡散性、および、排水性を備えるだけの空隙を含むことができる。
電極触媒層12では、全ての細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第1積算容積(ΣVp1)である。細孔直径Dが50nm以下である細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第2積算容積(ΣVp2)である。条件2では、第1積算容積に対する第2積算容積の百分率(ΣVp2/ΣVp1×100)が、30%以上40%以下である。なお、各積算容積は、各積算容積に対応する細孔直径Dの範囲において、細孔容積Vpを積算することによって算出することができる。
電極触媒層12では、細孔直径Dが90nm以上である細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第3積算容積(ΣVp3)である。条件3では、第1積算容積に対する第3積算容積の百分率(ΣVp3/ΣVp1×100)が、15%以上35%以下である。なお、第3積算容積は、細孔直径Dが90nm以上である範囲において、細孔容積Vpを積算することによって、算出することができる。
50nm以上80nm以下の各細孔直径は、第1の細孔直径である。3nmから第1の細孔直径までの細孔の細孔容積Vpを積算した値は、累積細孔容積である。そして、第1積算容積に対する累積細孔容積の百分率が、累積細孔容積率である。条件4では、電極触媒層12において、各第1の細孔直径(μm)に対する累積細孔容積の分布を示す分布曲線の傾きが7以上14以下である。なお、当該分布曲線において、第1細孔直径は対数によって表現される。条件4を満たす電極触媒層12では、細孔直径が3nm以上80nm以下の相対的に小さい各直径の細孔が、発電性能の向上に要する各機能に適した割合で分布する。すなわち、電極触媒層12内において三相界面を維持しつつ、電極触媒層12におけるガスの拡散性と、生成水の排出性とを高めることができる。
[条件5]
条件5において、電極触媒層12の体積V0に対して、電極触媒層12に含まれる全ての細孔の細孔容積を積算した積算容積Vの百分率(V/V0×100(%))が、65%以上90%以下である。これによって、電極触媒層12は、より十分なガス拡散性、および、排水性を有することができる。なお、電極触媒層12の体積V0は、水銀圧入法による測定に用いた電極触媒層12の面積と厚さとの積として得ることができる。
図3を参照して、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池の構成を説明する。以下に説明する構成は、固体高分子形燃料電池の一例における構成である。また、図3は、固体高分子形燃料電池が備える単セルの構成を示している。固体高分子形燃料電池は、複数の単セルを備え、かつ、複数の単セルが積層された構成でもよい。
固体高分子形燃料電池30では、酸素極側セパレーター32Cのガス流路32Cgを通じて酸化剤が酸素極30Cに供給される。また、固体高分子形燃料電池30では、燃料極側セパレーター32Aのガス流路32Agを通じて燃料が燃料極30Aに供給される。これにより、固体高分子形燃料電池30が発電を行う。なお、酸化剤には、例えば空気および酸素などを挙げることができる。燃料には、例えば水素を含む燃料ガス、および、有機物燃料などを挙げることができる。
1/2O2 + 2H+ + 2e− → H2O … 反応式(2)
このように、本実施形態における固体高分子形燃料電池30とは、酸素極30Cに対して酸素を含有するガスが供給されることによって、酸素極30Cにおいて水を生成する燃料電池である。
以下、上述した膜電極接合体の製造方法を説明する。
膜電極接合体10を製造するときには、まず、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24を分散媒に混合し、その後、混合物に分散処理を施すことによって触媒インクを作成する。なお、繊維状物質24は、触媒インクが含む物質から省略されてもよい。分散処理は、例えば、遊星型ボールミル、ビーズミル、および、超音波ホモジナイザーなどを用いて行うことができる。
図4および図5を参照して、膜電極接合体の実施例を説明する。
[実施例1]
白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)、水、1‐プロパノール、高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、および、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)を混合した。なお、白金担持カーボン触媒において、白金触媒がカーボン粒子に担持されている。カーボン粒子の質量と高分子電解質の質量との比を1:1に設定した。そして、混合物に対して遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって300rpmで分散処理を行った。その際に、直径が5mmであるジルコニアボールをジルコニア容器の3分の1程度加えた。これにより、触媒インクを調製した。なお、高分子電解質の質量はカーボン粒子の質量に対して100質量%であり、繊維状物質の質量はカーボン粒子の質量に対して100質量%であり、分散媒中の水の割合は50質量%であり、触媒インクにおける固形分含有量が10質量%であるように触媒インクを調整した。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)のかわりに多層カーボンナノチューブ(直径60−100nm、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の膜電極接合体を得た。
実施例1と同様の方法によって、触媒インクを調製した。触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて塗布することによって塗膜を形成した。次いで、80度の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させた。これにより、触媒層付き基材を得た。酸素極側電極触媒層を含む基材と、燃料極側電極触媒層を含む基材とを準備した。なお、高分子電解質膜のカソード面には触媒インクの厚さが150μmとなるように、また、アノード面には触媒インクの厚さが60μmの厚みとなるように、触媒インクを高分子電解質膜に塗布した。そして、高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)211、Dupont社製)における一対の面に対し、触媒層付き基材が1つずつ各面に対向するように配置し、積層体を形成した。120℃、5MPaの条件で積層体をホットプレスすることによって、高分子電解質膜に2つの電極触媒層を接合した。次いで、各電極触媒層からPTFEフィルムを剥離することによって、実施例3の膜電極接合体を得た。
酸素極側電極触媒層を形成するときに、触媒インクの塗布量を実施例1の3倍とした以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、固形分比率を実施例1の2分の1とした以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例2の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例3の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例1の2倍とした以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例4の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例1の3倍とした以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例5の膜電極接合体を得た。
細孔容積Vpの分布は、水銀圧入法により測定した。具体的には、高分子電解質膜に酸素極側電極触媒層のみが形成された膜電極接合体を用いて、自動ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、オートポアIV9510)を用いて、細孔容積Vpを測定した。測定セルの容積は約5cm3であり、水銀圧入の圧力を3kPaから400MPaまで昇圧した。これにより、各圧力における水銀の圧入量、つまり細孔容積Vpを得た。水銀圧入の圧力をWashburnの式を用いて細孔直径Dに換算し、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布関数dVp/dlogDのプロットを作成した。なお、表面張力γを0.48N/mとし、かつ、接触角θを130°とした。そして、このプロットのピークに対応する細孔直径Dを細孔直径Dpとして読み取った。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層の断面を観察することによって、電極触媒層の厚さを計測した。具体的には、電極触媒層の断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、FE-SEM S-4800)を用いて、1000倍の倍率で観察した。電極触媒層の断面における30カ所の観察点において電極触媒層の厚さを計測した。30カ所の観察点における厚さの平均値を電極触媒層の厚さとした。
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が刊行した小冊子である「セル評価解析プロトコル」に準拠する方法を用いた。膜電極接合体の各面に、ガス拡散層、ガスケット、および、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載された方法に準拠してI‐V測定を実施した。このときの条件を標準条件に設定した。また、アノードの相対湿度とカソードの相対湿度とをRH100%としてI‐V測定を実施した。このときの条件を高湿条件に設定した。
耐久性の測定には、発電性能の測定に用いた評価用単セルと同一の単セルを評価用単セルとして用いた。そして、上述した「セル評価解析プロトコル」に記載の湿度サイクル試験によって耐久性を測定した。
実施例1から実施例3の膜電極接合体が備える電極触媒層、および、比較例1から比較例5の膜電極接合体が備える電極触媒層の各々について、以下の項目における結果は、表1に示す通りであった。すなわち、各電極触媒層において、細孔容積Vpの分布曲線におけるピークでの細孔直径Dp、第1積算容積に対する第3積算容積の百分率R(L)(%)、および、第1積算容積に対する第2積算容積の百分率R(S)(%)は、表1に示す通りであった。また、各電極触媒層において、電極触媒層の体積V0に対する第1積算容積Vの百分率V/V0(%)、および、電極触媒層の厚さT(μm)は、表1に示す通りであった。また、実施例1から実施例3の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池、および、比較例1から比較例5の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の各々について、発電性能、および、耐久性を測定した結果は、表1に示す通りであった。
(1)細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線のピークにおいて細孔直径Dが0.06μm以上0.1μm以下である場合には、電極触媒層12が十分なガス拡散性、および、排水性を備えるだけの空隙が含まれて、発電性能が向上可能である。
図6から図8を参照して、電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態と比べて、電極触媒層の構成が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第2実施形態において第1実施形態と共通する構成には同一の符号を用いることによって、当該構成についての詳しい説明を省略する。また、以下では、電極触媒層、および、実施例を順に説明する。
図6から図8を参照して、電極触媒層の構成を説明する。なお、以下に説明する電極触媒層は、酸素極側電極触媒層12Cおよび燃料極側電極触媒層12Aの両方に適用される構成であるが、酸素極側電極触媒層12Cおよび燃料極側電極触媒層12Aのいずれか一方のみに、以下の構成が適用されてもよい。
細孔容積分布は、最大容積直径Dmaxよりも小さい領域、かつ、細孔容積Vpが0.2以上となる領域にショルダーピーク点(Di,Vi)を有する。
一方、図8が示すように、極大点であるピークトップを有しないショルダーピークでは、まず、第1ピークトップ(Vmax,Dmax)を頂点とする第1ピークの近似曲線が算出される。第1ピークの近似には、ガウス関数が用いられる。次いで、近似曲線における細孔直径Dpのときの細孔容積(第1細孔容積Vp1)と、細孔容積分布における細孔直径Dpのときの細孔容積Vpとの差分値(Vp−Vp1)が算出される。そして、差分値(Vp−Vp1)が最大値を得るときの細孔直径Dpが、特異細孔直径Diとして定められ、このときのVpが細孔容積Viとして定められる。すなわち、ショルダーピーク点(Vi,Di)が定められる。この際、0.01以下の差分値(Vp−Vp1)は、微差であり、ショルダーピークによる機能が発揮され難く、ショルダーピーク点(Vi,Di)の特定には用いられない。
[実施例4]
白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)、水、1‐プロパノール、高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、および、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)を混合した。なお、白金担持カーボン触媒において、白金触媒がカーボン粒子に担持されている。カーボン粒子の質量と高分子電解質の質量との比を1:1に設定した。そして、混合物に対して遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって300rpmで分散処理を行った。その際に、直径が5mmであるジルコニアボールをジルコニア容器の3分の1程度加えた。これにより、触媒インクを調製した。なお、高分子電解質の質量はカーボン粒子の質量に対して100質量%であり、繊維状物質の質量はカーボン粒子の質量に対して100質量%であり、分散媒中の水の割合は50質量%であり、触媒インクにおける固形分含有量が10質量%であるように触媒インクを調整した。
カーボンナノファイバーに代えて多層カーボンナノチューブ(直径60−100nm、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例4と同様の方法によって実施例5の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例4の2分の1とした以外は、実施例4と同様の方法によって、実施例6の膜電極接合体を得た。
実施例4と同様の方法によって、触媒インクを調製した。触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて塗布することによって塗膜を形成した。次いで、80度の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させた。これにより、触媒層付き基材を得た。酸素極側電極触媒層を含む基材と、燃料極側電極触媒層を含む基材とを準備した。なお、高分子電解質膜のカソード面には触媒インクの厚さが150μmとなるように、また、アノード面には触媒インクの厚さが60μmとなるように、触媒インクを高分子電解質膜に塗布した。そして、高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)211、Dupont社製)における一対の面に対し、触媒層付き基材が1つずつ各面に対向するように配置し、積層体を形成した。120℃、5MPaの条件で積層体をホットプレスすることによって、高分子電解質膜に2つの電極触媒層を接合した。次いで、各電極触媒層からPTFEフィルムを剥離することによって、実施例7の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例4の2倍に変更した以外は、実施例4と同様の方法によって、実施例8の膜電極接合体を得た。
カーボンナノファイバーに代えてカーボンナノチューブ(NC7000、Nanocyl社製)を用いた以外は、実施例4と同様の方法によって、比較例6の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例4と同様の方法によって、比較例7の膜電極接合体を得た。
触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例4の10分の1とした以外は、実施例4と同様の方法によって、比較例8の膜電極接合体を得た。
細孔容積分布は、水銀圧入法により測定した。具体的には、高分子電解質膜に酸素極側電極触媒層のみが形成された膜電極接合体を用いて、自動ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、オートポアIV9510)を用いて、細孔容積Vpを測定した。測定セルの容積は約5cm3であり、水銀圧入の圧力を3kPaから400MPaまで昇圧した。これにより、各圧力における水銀の圧入量、つまり細孔容積Vpを得た。水銀圧入の圧力をWashburnの式を用いて細孔直径Dに換算し、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布関数dVp/dlogDのプロットを作成した。なお、表面張力γを0.48N/mとし、かつ、接触角θを130°とした。このプロットが細孔容積分布であり、細孔容積分布の正規化を行った。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層の断面を観察することによって、電極触媒層の厚さを計測した。具体的には、電極触媒層の断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、FE-SEM S-4800)を用いて、1000倍の倍率で観察した。電極触媒層の断面における30カ所の観察点において電極触媒層の厚さを計測した。30カ所の観察点における厚さの平均値を電極触媒層の厚さとした。
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が刊行した小冊子である「セル評価解析プロトコル」に準拠する方法を用いた。膜電極接合体の各面に、ガス拡散層、ガスケット、および、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載された方法に準拠してI‐V測定を実施した。このときの条件を標準条件に設定した。また、アノードの相対湿度とカソードの相対湿度とをRH100%としてI‐V測定を実施した。このときの条件を高湿条件に設定した。
耐久性の測定には、発電性能の測定に用いた評価用単セルと同一の単セルを評価用単セルとして用いた。そして、上述した「セル評価解析プロトコル」に記載の湿度サイクル試験によって耐久性を測定した。
実施例4から8、および、比較例6から8の膜電極接合体を備えた燃料電池のそれぞれの測定結果と、発電性能と、耐久性とを表1に示す。
(5)細孔容積分布の中に、最大容積直径Dmaxよりも小さく、かつ、細孔容積Vpが0.2以上である領域に、ショルダーピーク点(Vi,Di)を有する場合には、電極触媒層12が十分なガス拡散性、および、排水性を備えるだけの空隙が含まれて、高湿下での発電性能が向上可能である。
・第2実施形態の電極触媒層12は、第1実施形態の電極触媒層12の構成と組み合わせることが可能である。すなわち、第2実施形態の電極触媒層12は、上述した条件(6)に加えて、条件(1)から条件(5)の少なくとも1つを満たす構成でもよい。
図9から図13を参照して、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第1実施形態と比べて膜電極接合体の構成が異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第1実施形態と共通する構成には、第1実施形態と同一の符号を用いることによって、当該構成の詳しい説明を省略する。
図9から図13を参照して、膜電極接合体10の構成を説明する。なお、本実施形態では、酸素極側電極触媒層12Cは繊維状物質24を含む一方で、燃料極側電極触媒層12Aは繊維状物質24を含んでもよいし、含まなくてもよい。なお、燃料極側電極触媒層12Aが、第1触媒物質、第1導電性担体、および、第1高分子電解質を含む。また、酸素極側電極触媒層12Cが、第2触媒物質、第2導電性担体、第2高分子電解質、および、繊維状物質を含む。第1触媒物質は、第2触媒物質と同じでもよいし、異なってもよい。第1導電性担体は、第2導電性担体と同じでもよいし、異なってもよい。第1高分子電解質は、第2高分子電解質と同じでもよいし、異なってもよい。
なお、水銀圧入法を用いて実際に測定を行うときには、圧入された水銀の容積を相互に異なる圧力Pの印加によって別々に記録する。そして、上記式(1)に基づいて、各圧力Pを細孔直径Dに換算する。また、圧入された水銀の容積と細孔容積Vpとは等しいとして、細孔直径がDからD+dDまでに増加したときの細孔容積Vpの増加分である細孔容積増加分dVを細孔直径Dに対してプロットする。このプロットのピークが、細孔容積Vpの分布のピークである。
[条件7]
細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線のピークが、細孔直径Dが0.06μm以上0.11μm以下(0.06μm≦D≦0.11μm)である範囲に含まれている。分布曲線のピークが、細孔直径Dが0.06μm以上0.11μm以下である範囲に含まれることによって、電極触媒層12は、電極触媒層12が十分なガス拡散性、および、排水性を備えるだけの空隙を含むことができる。
図9が示すように、分布曲線Bのピーク、および、分布曲線Cのピークは、細孔直径Dが0.06μm以上0.11μm以下である範囲に含まれている。一方で、分布曲線Aのピーク、および、分布曲線Dのピークは、細孔直径Dが0.06μm以上0.11μm以下である範囲に含まれていない。より詳しくは、分布曲線Aのピークは、細孔直径Dが0.06μmよりも小さい範囲に含まれている。これに対して、分布曲線Dのピークは、細孔直径Dが0.11μmよりも大きい範囲に含まれている。
[条件8]
細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線における半値全幅が、0.13μm以上0.18μm以下であることが好ましい。また、半値全幅は、0.14μm以上0.17μm以下であることがより好ましい。なお、分布曲線f(D)におけるピークの位置での細孔直径をf(Dmax)としたときに、f(Dmax)/2を満たす最小の細孔直径Dを最小直径D1とし、最大の細孔直径Dを最大直径D2とする。このときに、最大直径D2から最小直径D1を減算した値(D2−D1)を半値全幅に定義する。
膜電極接合体10では、細孔直径Dの全範囲において細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第1積算容積(ΣVp1)である。細孔直径Dが50nm以下である範囲において細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第2積算容積(ΣVp2)である。条件9では、第1積算容積に対する第2積算容積の百分率(ΣVp2/ΣVp1×100)が、25%以上45%以下である。
膜電極接合体10では、細孔直径Dが100nm以上である範囲において細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第3積算容積(ΣVp3)である。条件10では、第1積算容積に対する第3積算容積の百分率(ΣVp3/ΣVp1×100)が、30%以上50%以下である。
膜電極接合体10において、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線について、細孔直径の全範囲において細孔の細孔容積Vpを積算した値が、第1Log微分積算容積(Σ(dVp/d(logD))1)である。分布曲線について、細孔直径Dが60nm以下である範囲において細孔の細孔容積を積算した値が、第2Log微分積算容積(Σ(dVp/d(logD))2)である。第1Log微分積算容積に対する第2Log微分積算容積の百分率(Σ(dVp/d(logD))2/Σ(dVp/d(logD))1×100)が、30%以上60%以下である。
[条件12]
条件11において、第3Log微分積算容積に対する第2Log微分積算容積の比が、0.7以上1.5以下である。条件12を満たす場合には、相対的に大きい細孔に対する相対的に小さい細孔の割合が、三相界面を維持し、かつ、ガスの拡散性および生成水の排水性を高める上で適した範囲に含まれる。これにより、膜電極接合体10が適用された固体高分子形燃料電池30の発電性能をより高めることが可能である。
図12、図13、および、表3を参照して、膜電極接合体の実施例を説明する。
[実施例9]
白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)、水、1‐プロパノール、高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、および、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)を混合した。なお、白金担持カーボン触媒において、白金触媒がカーボン粒子に担持されている。この混合物に対し、遊星型ボールミルを用いて60分間にわたって300rpmで分散処理を行った。その際に、直径が5mmであるジルコニアボールをジルコニア容器の3分の1程度加えた。なお、高分子電解質の質量をカーボン粒子の質量に対して100質量%とし、カーボンナノファイバーの質量をカーボン粒子の質量に対して100質量%とし、分散媒中の水の割合を50質量%とし、固形分濃度を10質量%となるようにして、酸素極用触媒インクを調整した。また、カーボンナノファイバーの質量がカーボン粒子の質量に対して150質量%となるようにした以外は酸素極用触媒インクと同様の方法によって、燃料極用触媒インクを作製した。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)のかわりに多層カーボンナノチューブ(直径60nm−100nm、東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例9と同様の方法によって、実施例10の膜電極接合体を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例9の2分の1とした以外は、実施例9と同様の方法によって、実施例11の膜電極接合体を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例9の5分の1とした以外は、実施例9と同様の方法によって、実施例12の膜電極接合体を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、高分子電解質の量を実施例9の2分の1とした以外は、実施例9と同様の方法によって、実施例13の膜電極接合体を得た。
実施例9と同様の方法によって、触媒インクを調製した。酸素極用触媒インクを、PTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて塗布することによって、150μmの厚さを有した塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成されたPTFEフィルムを80度の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させることによって、酸素極側電極触媒層付き転写基材を得た。次に、燃料極用触媒インクを、別のPTFEフィルムの表面にスリットダイコーターを用いて塗布することによって、50μmの厚さを有した塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成されたPTFEフィルムを80度の温風オーブンに配置し、塗膜のタックがなくなるまで塗膜を乾燥させることによって、燃料極側電極触媒層付き転写基材を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を実施例9の2倍とした以外は、実施例9と同様の方法によって、比較例9の膜電極接合体を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、高分子電解質の量を実施例9の2倍とした以外は、実施例9と同様の方法によって、比較例10の膜電極接合体を得た。
実施例9において、酸素極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバー(VGCF(登録商標)−H、昭和電工(株)製)のかわりにカーボンナノチューブ(NC7000、Nanocyl社製)を用いた以外は、実施例9と同様の方法によって、比較例11の膜電極接合体を得た。
燃料極用触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーの量を2倍とした以外は、実施例12と同様の方法によって、比較例12の膜電極接合体を得た。
実施例9において、各触媒インクを調製するときに、カーボンナノファイバーを添加しなかった以外は、実施例9と同様の方法によって、比較例13の膜電極接合体を得た。
細孔容積Vpの分布は、水銀圧入法により測定した。具体的には、略25平方cmの膜電極接合体を用意し、自動ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、オートポアIV9510)を用いて、細孔容積Vpを測定した。測定セルの容積は約5cm3であり、水銀圧入の圧力を3kPaから400MPaまで昇圧した。これにより、各圧力における水銀の圧入量、つまり細孔容積Vpを得た。水銀圧入の圧力をWashburnの式を用いて細孔直径Dに換算し、細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布関数dVp/dlogD(Log微分細孔容積分布)のプロットを作成した。なお、表面張力γを0.48N/mとし、かつ、接触角θを130°とした。そして、このプロットのピークに対応する細孔直径Dを細孔直径Dpとして読み取った。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて膜電極接合体の断面を観察することによって、膜電極接合体、カソード側電極触媒層、アノード側電極触媒層、および、高分子電解質膜の厚さを計測した。具体的には、膜電極接合体の断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、FE‐SEM S‐4800)を用いて、1000倍の倍率で観察した。電極触媒層の断面における30カ所の観察点において各層の厚さを計測した。30カ所の観察点における厚さの平均値を各層の厚さとした。
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が刊行した小冊子である「セル評価解析プロトコル」に準拠する方法を用いた。膜電極接合体の各面に、ガス拡散層、ガスケット、および、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載された方法に準拠してI‐V測定を実施した。このときの条件を標準条件に設定した。また、アノードの相対湿度とカソードの相対湿度とをRH100%としてI‐V測定を実施した。このときの条件を高湿条件に設定した。
耐久性の測定には、発電性能の測定に用いた評価用単セルと同一の単セルを評価用単セルとして用いた。そして、上述した「セル評価解析プロトコル」に記載の湿度サイクル試験によって耐久性を測定した。
実施例9から実施例14の膜電極接合体、および、比較例9から比較例13の膜電極接合体の各々について、各評価項目における結果は、表1に示す通りであった。すなわち、各膜電極接合体において、細孔容積Vpの分布曲線におけるピークでの細孔直径Dp、膜電極接合体を構成する電極触媒層の体積V0に対する積算細孔容積Vの百分率V/V0(%)、および、電極触媒層の厚さT(μm)は、表3に示す通りであった。
(10)細孔直径Dに対する細孔容積Vpの分布を示す分布曲線のピークにおいて細孔直径Dが0.06μm以上0.11μm以下であるため、各電極触媒層12が十分なガス拡散性、および、排水性を備えるだけの空隙が各電極触媒層12に含まれる。これによって、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池30の発電性能が向上可能である。
(12)第1積算容積に対する第2積算容積の百分率が25%以上45%以下である場合には、直径が相対的に小さい細孔が当該範囲で含まれることによって、電極触媒層12内において三相界面を維持しつつ、電極触媒層12におけるガスの拡散性と、生成水の排出性とを高めることができる。
・第3実施形態の膜電極接合体10は、第1実施形態の電極触媒層12の構成、および、第2実施形態の電極触媒層12の構成の少なくとも一方と組み合わせることが可能である。すなわち、第3実施形態の電極触媒層12は、上述した条件7,9,10,11の少なくとも1つに加えて、条件1から条件6の少なくとも1つを満たす構成でもよい。
Claims (18)
- 固体高分子形燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを含む固体高分子電解質膜と、
第1触媒物質と、前記第1触媒物質を担持する第1導電性担体と、第1高分子電解質と、を含み、前記第1面に接合された燃料極側電極触媒層と、
第2触媒物質と、前記第2触媒物質を担持する第2導電性担体と、第2高分子電解質と、繊維状物質と、を含み、前記第2面に接合された酸素極側電極触媒層と、を備え、
前記膜電極接合体は空隙を含み、前記空隙は3nm以上5.5μm以下の直径を有する細孔を含み、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された細孔の直径が細孔直径であり、
前記細孔直径の全範囲において前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第1積算容積であり、
前記細孔直径が50nm以下である範囲において前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第2積算容積であり、
前記第1積算容積に対する前記第2積算容積の百分率が、25%以上45%以下である
膜電極接合体。 - 固体高分子形燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを含む固体高分子電解質膜と、
第1触媒物質と、前記第1触媒物質を担持する第1導電性担体と、第1高分子電解質と、を含み、前記第1面に接合された燃料極側電極触媒層と、
第2触媒物質と、前記第2触媒物質を担持する第2導電性担体と、第2高分子電解質と、繊維状物質と、を含み、前記第2面に接合された酸素極側電極触媒層と、を備え、
前記膜電極接合体は空隙を含み、前記空隙は3nm以上5.5μm以下の直径を有する細孔を含み、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された細孔の直径が細孔直径であり、
前記細孔直径の全範囲において前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第1積算容積であり、
前記細孔直径が100nm以上である範囲において前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第3積算容積であり、
前記第1積算容積に対する前記第3積算容積の百分率が、30%以上50%以下である
膜電極接合体。 - 前記膜電極接合体の幾何学的体積から前記固体高分子電解質膜の幾何学的体積を減算した幾何学的体積に対する、前記細孔直径の全範囲において前記細孔の前記細孔容積を積算した積算細孔容積の百分率が、60%以上80%以下である
請求項1または2に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層および前記酸素極側電極触媒層の少なくとも一方が、電極触媒層であり、
前記電極触媒層に含まれる空隙のなかで、3nm以上5.5μm以下の直径を有する空隙を細孔とするとき、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された細孔の直径が細孔直径であり、
前記細孔直径に対する前記細孔容積の分布を示す分布曲線のピークが、前記細孔直径が0.06μm以上0.1μm以下である範囲に含まれる
請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層および前記酸素極側電極触媒層の少なくとも一方が、電極触媒層であり、
前記電極触媒層に含まれる空隙のなかで、3nm以上5.5μm以下の直径を有する空隙を細孔とするとき、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された前記細孔の直径が、細孔直径であり、
全ての前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第1積算容積であり、
前記細孔直径が50nm以下である前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第2積算容積であり、
前記電極触媒層の前記第1積算容積に対する前記電極触媒層の前記第2積算容積の百分率が、30%以上40%以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層および前記酸素極側電極触媒層の少なくとも一方が、電極触媒層であり、
前記電極触媒層に含まれる空隙のなかで、3nm以上5.5μm以下の直径を有する空隙を細孔とするとき、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された前記細孔の直径が、細孔直径であり、
全ての前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第1積算容積であり、
前記細孔直径が90nm以上である前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第3積算容積であり、
前記電極触媒層の前記第1積算容積に対する前記電極触媒層の前記第3積算容積の百分率が、15%以上35%以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層および前記酸素極側電極触媒層の少なくとも一方が、電極触媒層であり、
前記電極触媒層に含まれる空隙のなかで、3nm以上5.5μm以下の直径を有する空隙を細孔とするとき、
水銀圧入法によって測定された細孔容積から算出された前記細孔の直径が、細孔直径であり、
全ての前記細孔の前記細孔容積を積算した値が、第1積算容積であり、
50nm以上80nm以下の各細孔直径が第1の細孔直径であり、
3nmから前記第1の細孔直径までの前記細孔の前記細孔容積を積算した値が累積細孔容積であって、前記電極触媒層の前記第1積算容積に対する前記累積細孔容積の百分率が累積細孔容積率であり、
前記第1の細孔直径(μm)に対する前記累積細孔容積の分布を示す分布曲線の傾きが、7以上14以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記電極触媒層の体積に対して、全ての前記細孔の前記細孔容積を積算した積算容積の百分率が、65%以上90%以下である
請求項4から7のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層および前記酸素極側電極触媒層の少なくとも一方が、電極触媒層であり、
前記電極触媒層に含まれる空隙のなかで、3nm以上5.5μm以下の直径を有する空隙が細孔であり、
水銀圧入法により得られる細孔直径に対する細孔容積の分布であって、前記細孔容積の最小値が0であり、かつ、前記細孔容積の最大値が1であるように前記細孔容積が正規化された分布において、
前記細孔容積が最大値であるときの細孔直径が最大容積直径であり、
前記細孔直径が前記最大容積直径よりも小さく、かつ、前記細孔容積が0.2以上である領域にショルダーピーク点を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記細孔容積が0.3以上0.8以下の範囲に前記ショルダーピーク点を有する
請求項9に記載の膜電極接合体。 - 前記ショルダーピーク点における特異細孔直径は、0.03μm以上0.06μm以下である
請求項9または10に記載の膜電極接合体。 - 前記ショルダーピーク点における特異細孔直径と、前記最大容積直径との差が、0.02μm以上0.07μm以下である
請求項9から11のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記最大値に対応するピークのガウス関数による近似曲線での前記ショルダーピーク点での特異細孔直径における細孔容積と、前記ショルダーピーク点における細孔容積との差分値が、0.03以上である
請求項9から12のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記繊維状物質は、電子伝導性繊維、および、プロトン伝導性繊維から選択される一種または二種以上の繊維状物質を含み、
前記電子伝導性繊維は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、遷移金属含有繊維から構成される群から選択される少なくとも一種を含む
請求項1から13のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記繊維状物質は、第2繊維状物質であり、
前記燃料極側電極触媒層は、第1繊維状物質を含み、
単位体積当たりにおける前記第1繊維状物質の質量が、単位体積当たりにおける前記第2繊維状物質の質量よりも多い
請求項1から14のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記酸素極側電極触媒層は、5μm以上30μm以下の厚さを有する
請求項1から15のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 前記燃料極側電極触媒層は、5μm以上20μm以下の厚さを有する
請求項1から16のいずれか一項に記載の膜電極接合体。 - 請求項1から17のいずれか一項に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
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