以下、本発明の実施形態の加熱調理機器を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態においては、オーブン・レンジタイプの箱型の加熱調理機器を例示するが、本発明は、鍋型やホットプレート型など、加熱部を備えて加熱調理を行う種々の加熱調理機器に適用できる。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1の加熱調理機器100の外観斜視図である。なお、図1は、後述する実施形態2〜5の加熱調理機器100A〜100Dと共通である。加熱調理機器100は、図1に示すように、直方体形状の本体ケーシング1と、本体ケーシング1内に設けられ、前側に開口部2aを有する加熱庫2と、加熱庫2の開口部2aを開閉する扉3とを備えている。本体ケーシング1の上側かつ後側に排気ダクト5が設けられ、また、本体ケーシング1の前面の下部に、露受容器6を着脱可能に取り付けられている。
扉3は、本体ケーシング1の前面側に下側の辺を軸に回動可能に取り付けられ、前面(加熱庫2とは反対側の表面)に、庫内を覗きみることのできる窓部7が設けられている。また、扉3は、窓部7の上側に位置するハンドル8と、窓部7の右側(向かって右側)に設けられた操作パネル9とを有している。なお、本実施形態1の加熱調理機器100においては、扉3に操作パネル9を設けているが、操作パネル9を、本体ケーシング1側に設けてもよい。
操作パネル9は、LCD等からなるカラー表示部10と、途中で加熱を止めるときなどに押す取り消しキー12と、加熱を開始するときに押すあたためスタートキー13とを含んでいる。そして、操作パネル9におけるカラー表示部10の上方に、人感センサ24の検知窓14が形成されており、検知窓14の裏側に人感センサ24が配設されている。
図2は、実施形態1の加熱調理機器100の制御ブロック図である。図2は、後述する実施形態2〜5の加熱調理機器100A〜100Dと共通である。加熱調理機器100は、図2に示すように、制御装置(制御部)110を備えている。制御装置110は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなり、後述する制御基板(基板)111(図4)に搭載されている。
制御装置110には、操作パネル9、スピーカ20、加熱部21、庫内センサ部22、人感センサ24、基板冷却ファン25、基板温度センサ(基板温度検出部)26などが接続されている。加熱部21は、ヒータおよびマグネトロンを含む。庫内センサ部22は、湿度センサおよび庫内温度センサを含む。人感センサ24は、前述した検知窓14を介して人の有無を後段の制御装置110が判定可能な信号を出力する。基板冷却ファン25は、制御基板111を冷却する。基板温度センサ26は制御基板111の温度(基板温度)を検出する。
制御装置110は、操作パネル9、庫内センサ部22などからの信号に基づいて、加熱部21、操作パネル9のカラー表示部10(図1参照)を制御する。制御装置110は、操作パネル9、庫内センサ部22、人感センサ24などからの信号に基づいて、スピーカ20、カラー表示部10を制御する。制御装置110は、基板温度センサ26の信号に基づいて基板冷却ファン25を制御する。また、制御装置110は、人感センサ24などからの信号に基づいて、人の有無を判定する。このような制御を行うために、制御装置110には、加熱制御部110a、音声制御部110b、表示制御部110c、基板冷却ファン制御部110d、人の有無判定部110eなどが構築される。
図3は、人感センサ24からの出力信号に基づいて制御装置110(有無判定部110e)が人の有無を判定する方法を説明する図である。本発明において人感センサ24は、人の有無による熱の変化(温度の変化)を利用しており、例えば、焦電効果を利用する焦電式赤外センサである。焦電効果とは、温度変化に応じて自発分極をもつセラミックの表面帯電する電荷が増減する現象である。したがって、このような人感センサ24からの出力される信号の波形は、図3に示すように温度変化に応じて変化する。
制御装置110には、予め上閾値(BB bit)と下閾値(AA bit)とが設定されている。制御装置110は、センサ出力電圧が上閾値と下閾値との間の閾値内である場合、「人は通っていない」、つまり「人無し(未検知)」と判定する。一方、センサ出力電圧が上閾値よりも高いあるいは下閾値よりも低い閾値外となると、「人が通った」、つまり「人有り(検知)」と判定する。人感センサ24からのセンサ出力電圧は、上述したように温度変化に応じて上下動し、熱(赤外線)を放つ人(物体)が動くと急峻に変化する。図3に示す波形の場合、制御装置110は、人が4回通った(人を4回検知した)と判定する。
このような人感センサ24からの出力される信号が「人有り」と判定されるような変化を示すのは、加熱部21を備えない電気機器では概ね人(物体)が通った場合に限られる。そのため、人感センサ24からの出力に基づいて人の有無を正常に検知できる。
しかしながら、加熱部21を備える加熱調理機器においては、加熱調理中に人感センサ24から、人が通っていないのに「人有り」と判定されるような変化を示す信号が出力され、誤検知が発生する。本願発明者が、このような信号が出力される原因を調べたところ、制御基板111を冷却するための基板冷却ファン25や加熱調理による熱の影響であることがわかった。
つまり、加熱調理機器100においては、加熱部21による熱の影響で、制御装置110を構成する制御基板111の温度も上昇する。そのため、このような加熱調理機器100においては、制御基板111を冷却するための基板冷却ファン25が搭載され、また、制御基板111には、基板温度を検出するための基板温度センサ26が搭載されている。
制御装置110は、基板温度センサ26による検知温度(基板温度)が予め定められた冷却開始温度を超えると、基板冷却ファン25を駆動して制御基板111を冷却する。その後、制御装置110は、基板温度センサ26による検知温度が予め定められた冷却終了温度を下回ると、基板冷却ファン25を停止して制御基板111の冷却を終了する。
このような制御基板111において、基板冷却ファン25からの風が当たる位置に人感センサ24を配置(実装)すると、人感センサ24からは、風による温度変化に応じた波形を含む信号が出力される。特に、基板冷却ファン25の駆動が開始された開始直後、および、基板冷却ファン25の駆動が停止された停止直後において、制御基板111の基板温度は大きく変化し、人感センサ24の温度も大きく変化することがある。その結果、人が存在しないにも関わらず、人感センサ24からは閾値外のセンサ出力電圧を含む信号が出力され、制御装置110は、風による温度変化を「「人有り」」と判定してしまう(誤検知)。
なお、このような風による誤検知は、制御基板111とは別の基板に人感センサ24を搭載して制御基板111から離れた、加熱部21による熱および基板冷却ファン25による風の影響を受け難い箇所に配置することでも防止できる。しかしながら、別基板とした場合、コストや設置スペースなどの別の問題が発生する。
本実施形態1の加熱調理機器100においては、このような風による誤検知を低減すべく、加熱調理機器100において以下のような工夫を施している。以下、これについて説明する。
図4は、加熱調理機器100の扉3における、制御基板111、基板冷却ファン25、および人感センサ24の配置位置を示す図である。図5は、加熱調理機器100の側方より見た縦断面図であり、人感センサ24が配置されている操作パネル9部分を示す。
図4、図5に示すように、制御基板111は操作パネル9の裏側に配置されている。制御基板111には、カラー表示部10を構成するLCD、人感センサ24、基板温度センサ26などが搭載されている。図4に示すように、制御基板111の下部の側方には、基板冷却ファン25が配置されている。
制御基板111および基板冷却ファン25は、より詳細には、扉3を構成する扉筐体3a内に設けられた基板カバー30内に配置されている。基板カバー30は、制御基板111および基板冷却ファン25を熱から守るためのカバーである。基板カバー30には、基板冷却ファン25が配設されている扉3の下端側と、扉3の側壁側に開口が形成されている。扉3の下端側に形成された開口が空気の吸気口31となり、扉3の側壁側に形成された開口が空気の排気口32となる。
図4に示すように、基板冷却ファン25が駆動すると、吸気口31より空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、矢印Yにて示すように、制御基板111に沿って上方に向かい、排気口32から排出される。このような気流(風)は、基板カバー30の内部空間を、制御基板111上に搭載された素子に接触しながら進み、排気口32から排出される。
本実施形態1の加熱調理機器100においては、このような風の流路に着目して、人感センサ24の少なくとも風上側に、人感センサ24に風があたることを回避するための風避け部35を設けている。このような風避け部35を設けることで、人感センサ24に風が当たらなくなる、あるいは当たり難くなり、風による誤検知を低減することができる。
このような風避け部35は、扉筐体3aの内側の壁、あるいは基板カバー(筐体の一部)30における、制御基板111が組み込まれた状態で人感センサ24が対向する位置に設けられていることが好ましい。これにより、扉筐体3aや基板カバー30内部に制御基板111を組み込むだけで、人感センサ24の風上側に風避け部を配置することができるので、組み立てが容易になる。
また、図4の構成では、人感センサ24の風上側となる二方向に風避け部35を設けているが、例えば、図6、図7に示すように、人感センサ24の四方を囲うように風避け部35を形成してもよい。
また、加熱庫2の容積を大きくするために、操作パネル9の一部を加熱庫2の開口部2aにオーバーラップさせた構成とすることがある。この場合、制御基板111が加熱庫2からの熱の影響をさらに受けやすくなるため、制御基板111をより冷却することが必要となる。したがって、このような構成では、人感センサ24に風避け部を設けることがより効果的になる。
図6は、加熱調理機器100の変形例を示すもので、扉3における、制御基板111、基板冷却ファン25、および人感センサ24の配置位置を示す図である。図5は、加熱調理機器100の変形例を示すもので、変形例の加熱調理機器100の側方より見た縦断面図であり、人感センサ24が配置されている操作パネル9部分を示す。このような構成とすることで、人感センサ24に風が全く当たらない、あるいは殆ど当たらないようにでき、風による誤検知を確実に防止することができる。
要は、風による誤検知が起こらない程度に人感センサ24に当たる風を風避け部35にて避ける(遮る)ことができればよい。
人感センサ24に対する風上側および風下側は、吸気口31と排気口32との位置関係に応じて決まる。そのため、人感センサ24が排気口32の近くに配置されている場合は、人感センサ24における排気口32とは反対側に風避け部35を配置することが効果的である。また、人感センサ24が吸気口31の近くに配置されている場合は、人感センサ24における吸気口31側に風避け部35を配置することが効果的である。
また、人感センサ24の配置位置としては、図4、図6に示すように、吸気口31から遠く排気口32に近い位置とすることが好ましい。これは、吸気口31から遠く排気口32に近い位置とすることで、たとえ風避け部35にて防ぎきれなかった風が人感センサ24に当たったとしても、吸気口31から吸い込また冷たい外気が当たることを回避して、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態の加熱調理機器100においては、人感センサ24の少なくとも風上側に風避け部35が設けられている。したがって、加熱調理中、基板冷却ファン25が駆動しても、その風が人感センサ24に当たることを風避け部35にて回避できる。これにより、加熱調理中であっても、人感センサ24からの出力に基づいて人の有無を正常に検知できる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
実施形態1における加熱調理機器100は、風避け部35にて風による誤検知を回避するものであった。これに対し、本実施形態2の加熱調理機器100Aは、制御装置110に代えて、風による影響が有る場合に、人感センサ24からの出力信号による判定を無効とする制御装置110Aを備えている。
図8は、基板冷却ファン25の駆動を開始した直後の人感センサ24からの出力信号を示す図である。図8に示すように、基板冷却ファン25の駆動を開始した直後、風による急激な温度変化に応じた波形を含む信号が出力され、誤検知となる。
そこで、本実施形態2の加熱調理機器100Aにおいては、制御装置110Aが、基板冷却ファン25の駆動を開始した直後および駆動を停止した直後の1回目の「人有り(人検知)」をキャンセル(無効)する。
図9は、加熱調理機器100Aの制御装置110Aによる基板冷却ファン25の制御を示すフローチャートである。図9に示すように、制御装置110Aは、特定の加熱モードの開始かどうかを判断する(S1)。特定の加熱モードとは、制御基板111の温度が冷却を必要とするほどに上昇することがわかっている加熱モードであり、予め設定されている。S1において、特定の加熱モードではないと判断すると、基板温度センサ26にて制御基板111の温度を検出し(S2)、基板温度が閾値(基板温度)を超えていないかどうか判断する(S3)。超えていないと判断すると、S1に戻る。
一方、S1において特定の加熱モードであると判断した場合、あるいは、S3において基板温度が閾値を超えていると判断した場合は、S4に進み、基板冷却ファン25を駆動する。次に、制御装置110は、基板冷却ファン25の駆動を停止してもよいかどうか判断し(S5)、停止してよいと判断すると、基板冷却ファン25を停止し(S6)、その後S1に戻る。S5にてNOと判断すると、YESと判断するまでS4に戻り、基板冷却ファン25の駆動を継続する。
S5の、駆動を停止してよいと判断する条件としては、例えば、特定の加熱モードが終了する、予め定められた駆動時間が満了する、あるいは予め定められた冷却停止基板温度を基板温度が下回るなどがある。
図10は、加熱調理機器100Aの制御装置110Aによる人感センサ24の出力を用いた制御を示すフローチャートである。図10に示すように、制御装置110Aは、人感センサ24からの出力信号を受信し(S11)、人感センサ24の出力が閾値外の変動を含んでいないかどうか判断する(S12)。含んでいないと判断するとS11に戻る。
一方、S12において含んでいると判定すると、基板冷却ファン25を駆動してから、あるいは停止してから1回目の検知(閾値外の変動)かどうか判断する(S13)。S13において、1回目でないと判断すると、検知を有効として人検出時の所定の動作を実行し(S15)、その後S11に戻る。一方、S13にて1回目であると判断すると、検知をキャンセルして(S14)、その後S11に戻る。
以上のように、本実施形態の加熱調理機器100Aにおいては、制御装置110Aは、基板冷却ファン25の駆動を開始又は駆動を停止してから1回目に検出される人有りの判定を無効にするので、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
なお、制御装置110Aにおいては、基板冷却ファン25の駆動を開始した直後および駆動を停止した直後の両方において1回目の検知をキャンセルする構成としているが、開始直後あるいは停止直後の一方であっても、誤検知を低減することができる。
また、制御装置110Aにおいては、基板冷却ファン25の駆動を開始した直後あるいは停止した直後あるいはその両方の所定期間、人感センサ24からの出力信号による判定を無効にする構成としてもよい。
また、ここでは、風避け部35による誤検知低減と制御装置110Aによるソフト的な誤検知防止とを組み合わせる構成を説明したが、制御装置110Aによるソフト的な誤検知防止を単独で用いる構成であってもよい。この点は、実施形態3〜5についても同じである。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図11は、基板冷却ファン25による風の影響で人感センサ24からの出力信号が安定しない状態を示す図である。図11に示すように、基板冷却ファン25の駆動中は、風による温度変化に応じた波形を含む信号が出力され、頻繁に閾値外となる場合がある。
そこで、本実施形態3の加熱調理機器100Bにおいては、風による影響が有る場合に、人感センサ24からの出力信号による判定を無効とするべく、制御装置110Bが、基板冷却ファン25の駆動中、人感センサ24からの出力信号の安定状態を判定し、安定でない場合、人感センサ24からの出力信号による判定をキャンセル(無効)する。
図12は、加熱調理機器100Bの制御装置110Bによる人感センサ24の出力を用いた制御を示すフローチャートである。図12に示すように、制御装置110Bは、人感センサ24からの出力信号を受信し(S11)、続けて、基板冷却ファン25の駆動中かどうか判断する(S21)。ここで、駆動中で無い場合はS12に進み、人感センサ24の出力が閾値外の変動を含んでいないかどうか判断する。S12において、含んでいないと判断するとS11に戻る。一方、S12において含んでいると判定すると、人検出時の所定の動作を実行し(S15)、その後S11に戻る。
一方、S21に駆動中であると判断すると、人感センサ24が安定しているかどうか判断する(S22)。S22において、人感センサ24が安定していると判断するとS12に進む。一方、人感センサ24が安定していいないと判断すると、S12に進むことなくS11に戻る。
S22の、人感センサ24が安定していないと判断する条件としては、例えば、予め定められた所定の時間内にn回以上閾値外(nは任意の値)となった場合などである。
以上のように、本実施形態の加熱調理機器100Bにおいては、制御装置110Bは、基板冷却ファン25の駆動中は、人感センサ24からの出力信号の安定状態を判定し、安定でない場合に人有りの判定を無効にするので、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
なお、変形例として、図13に示すように、基板冷却ファン25が駆動中であると判断すると、S14に進んで検知をキャンセルして、その後S11に戻る構成としてもよい。
図13は、加熱調理機器100Bの変形例を示すもので、制御装置110Bによる人感センサ24の出力を用いた制御を示すフローチャートである。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態4の加熱調理機器100Cにおいては、風による影響が有る場合に、人感センサ24からの出力信号による判定を無効とするべく、制御装置110Cが、基板冷却ファン25の駆動中、人感センサ24からの出力信号に基づいて人を検知したと判定する閾値を、基板冷却ファン25の停止中よりも広げるようになっている。
図14は、加熱調理機器100Cの制御装置110Cによる人感センサ24の出力を用いた制御を示すフローチャートである。図14に示すように、制御装置110Cは、人感センサ24からの出力信号を受信し(S11)、続けて、基板冷却ファン25の駆動中かどうか判断する(S21)。ここで、駆動中である場合は、人感センサ24からの出力信号を判定する閾値を変更する(S23)。その後、S12に進み、人感センサ24の出力が閾値外の変動を含んでいないかどうか判断する。S12において、含んでいないと判断するとS11に戻る。一方、S12において含んでいると判定すると、人検出時の所定の動作を実行し(S15)、その後S11に戻る。
一方、S21において、基板冷却ファン25は駆動中でないと判断すると、人感センサ24からの出力信号を判定する閾値が通常(基板冷却ファン25が停止状態)であるかどうかを判断する(S24)。ここで、通常である場合はS12に進み、通常でない場合はS25に進んで閾値を通常に変更した後、S12に進む。
図15は、加熱調理機器100Cの制御装置110Cによる人感センサ24からの出力信号を判定する閾値の切り換えを示す図である。図15に示すように、基板冷却ファン25が駆動中で、人感センサ24の出力信号が風による温度変化に応じて、通常の上閾値(BB bit)と下閾値(AA bit)との間の狭い閾値内では、頻繁に閾値外となっても、第2上閾値(DD bit)と第2下閾値(CC bit)として閾値内を広げることで、実際に人が通った場合に出力される大きな温度変化を区別することが可能となる。
以上のように、本実施形態の加熱調理機器100Cにおいては、制御装置110Cは、基板冷却ファン25の駆動中は、人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する閾値を、基板冷却ファン25の停止中よりも人有りと判定され難い方向に変更するので、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態5の加熱調理機器100Dにおいては、風による影響が有る場合に、人感センサ24からの出力信号による判定を無効とするべく、制御装置110Dが、基板温度センサ26の検出に基づいて、基板温度が急激に変化していると判断すると、人感センサ24からの出力信号による判定をキャンセル(無効)する。
図16は、加熱調理機器100Dの制御装置110Dによる人感センサ24の出力を用いた制御を示すフローチャートである。図16に示すように、制御装置110Dは、人感センサ24からの出力信号を受信し(S11)、人感センサ24の出力が閾値外の変動を含んでいないかどうか判断する(S12)。含んでいないと判断するとS11に戻る。
一方、S12において含んでいると判定すると、基板温度センサ26にて検出された基板温度に基づいて制御基板111の温度が急激に変化していないかどうか判断する(S31)。急激な変化がないと、検知を有効として人検出時の所定の動作を実行し(S15)、その後S11に戻る。一方、S31にて急激な変化があると判断すると、検知をキャンセルして(S14)、その後S11に戻る。
S31の、基板温度の急激な変化ありと判断する条件としては、例えば、10℃/secといった予め定められた単位時間当たりの変化温度値を超えた場合などである。
以上のように、本実施形態の加熱調理機器100Dおいては、制御装置110Dは、基板温度センサ26にて検出された温度変化が予め定められ変化量よりも大きい場合に、人有りの判定を無効にするので、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置110の制御ブロック(特に人の有無判定部110e)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、制御装置110は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理機器100〜100Dは、加熱部21を備えた加熱調理を行う加熱調理機器100であって、制御基板111と、前記制御基板111を冷却する基板冷却ファン25と、前記制御基板111に実装された人感センサ24と、前記制御基板111に実装された前記人感センサ24の少なくとも風上側に設けられる風避け部35と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、人感センサ24の少なくとも風上側に風避け部35が設けられている。したがって、加熱調理中、基板冷却ファン25が駆動しても、その風が人感センサ24に当たることを風避け部にて回避できる。これにより、熱調理中であっても、人感センサ24からの出力に基づいて人の有無を正常に検知できる。
本発明の態様2に係る加熱調理機器100〜100Dは、上記態様1において、上記風避け部35は、前記制御基板111が組み込まれた状態で前記人感センサ24が対向する、当該加熱調理機器100の筐体(扉筐体3a,基板カバー30)に設けられている構成である。
上記構成によれば、制御基板111が組み込まれた状態で人感センサ24が対向する加熱調理機器100の筐体に風避け部35が設けられている。したがって、筐体に制御基板111を組み込むだけで、人感センサ24の風上側に風避け部35を配置することができ、組み立てが容易になる。
本発明の態様3に係る加熱調理機器100〜100Dは、上記態様1、2において、前記基板冷却ファン25にて生成される風の吸気口31および排気口32を備え、前記人感センサ24は、前記吸気口31よりも前記排気口32に近い位置に配置されている構成である。
上記構成によれば、人感センサ24は、吸気口31よりも排気口32に近い位置に配置されているので、たとえ風避け部35にて防ぎきれなかった風が人感センサ24に当たったとしても、吸気口31から吸い込また冷たい外気が当たることを回避できる。これにより、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことをより効果的に防ぐことができる。
本発明の態様4に係る加熱調理機器100A〜100Dは、上記態様1、2、3において、前記人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する制御部(制御装置110)を有し、前記制御部は、前記基板冷却ファン25の風による影響が有る場合に、前記人感センサ24からの出力信号による人有りの判定を無効とする構成である。
上記構成によれば、人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する制御部が、基板冷却ファン25の風による影響が有る場合に、人感センサ24からの出力信号による人有りの判定を無効にする。したがって、たとえ風避け部35にて防ぎきれなかった風が人感センサ24に当たり、制御部が人有りと判定するような信号が出力されたとしても、制御部はこれを無効にする。これにより、熱調理中であっても、人感センサ24からの出力に基づいて人の有無をより一層正常に検知できる。
本発明の態様5に係る加熱調理機器100Aは、上記態様4において、前記制御部は、前記基板冷却ファン25の駆動を開始又は駆動を停止してから1回目に検出される人有りの判定を無効にする構成である。
上記構成によれば、制御部は、基板冷却ファン25の駆動を開始又は駆動を停止してから1回目に検出される人有りの判定を無効にする。基板冷却ファン25の風による影響として、風の吹き始め(駆動開始直後)、および風が止んだ直後(駆動停止直後)に、制御部が人有りと判定するような信号が出力されることがある。したがって、上記構成とすることで、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
本発明の態様6に係る加熱調理機器100Bは、上記態様4において、前記制御部は、前記基板冷却ファン25の駆動中は、前記人感センサ24からの出力信号の安定状態を判定し、安定でない場合に、人有りの判定を無効にする構成である。
上記構成によれば、制御部は、基板冷却ファン25の駆動中は、人感センサ24からの出力信号の安定状態を判定し、安定でない場合に、人有りの判定を無効にする。基板冷却ファン25の風による影響として、制御部が人有りと判定するような信号が頻繁に出力され、出力信号が不安定になることがある。したがって、上記構成とすることで、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
本発明の態様7に係る加熱調理機器100Dは、上記態様4において、前記制御基板111の温度を検出する基板温度検出部(基板温度センサ26)を備え、前記制御部は、前記基板温度検出部にて検出された温度変化が予め定められた変化量よりも大きい場合に、人有りの判定を無効にする構成である。
上記構成によれば、制御部は、基板温度検出部にて検出された温度変化が予め定められ変化量よりも大きい場合に、人有りの判定を無効にする。基板冷却ファン25の風による影響として、風の吹き始め(駆動開始直後)、および風が止んだ直後(駆動停止直後)に、基板温度が大きく変化するので、このような基板温度の変化より風による影響の有無を判断できる。したがって、上記構成とすることで、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
本発明の態様8に係る加熱調理機器100Cは、上記態様1、2、3において、前記人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する制御部を有し、前記制御部は、前記基板冷却ファン25の駆動中は、前記人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する閾値を、前記基板冷却ファン25の停止中よりも人有りと判定され難い方向に変更する構成である。
上記構成によれば、制御部は、基板冷却ファン25の駆動中は、人感センサ24からの出力信号に基づいて人の有無を判定する閾値を、基板冷却ファン25の停止中よりも人有りと判定され難い方向に変更する。基板冷却ファン25の風による影響として、制御部が人有りと判定するような信号が頻繁に出力されるが、判定の閾値を基板冷却ファン25の停止中よりも人有りと判定され難い方向に変更することで、判定の精度を上げることができる。したがって、上記構成とすることで、基板冷却ファン25の風が人の有無の判定に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。