JP2019183819A - 伝動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力が増加することを抑制しつつ、無端伝動部材の滑りを抑制することのできる伝動システムを提供する。【解決手段】伝動システム(20)は、回転電機(23)と、第1プーリ(22)と、駆第2プーリ(31)と、無端伝動部材(34)と、機械式のオートテンショナ(40)とを備える。オートテンショナ40は、無端伝動部材を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能な移動部材(41)を有し、移動部材により無端伝動部材に自動的に張力を付与し、移動部材が第1方向へ移動する時に作用する減衰力が、移動部材が第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さい。伝動システムは、エンジンの気筒(11a)における圧縮圧力を減少させるデコンプ機構(50)と、エンジンの始動時に、回転電機により回転トルクを出力させ、且つデコンプ機構により圧縮圧力を減少させる制御部(25、60)と、を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、回転電機の出力トルクを、無端伝動部材を介してエンジンの駆動軸に伝達する伝動システムに関する。
従来、この種のシステムにおいて、回転電機を駆動するのに先立って回転電機に逆回転方向のトルクを発生させることで、オートテンショナにより無端伝動部材を押し込み、その状態でオートテンショナをロックするシステムがある(特許文献1参照)。これにより、特許文献1に記載のシステムでは、回転電機を駆動してエンジンを始動する瞬間の無端伝動部材の張力を確保して、無端伝動部材が滑ることを防止している。
ところで、特許文献1に記載のシステムでは、オートテンショナをロックするために、コイルに通電し続ける必要があり、消費電力が増加する。
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、消費電力が増加することを抑制しつつ、無端伝動部材の滑りを抑制することのできる伝動システムを提供することにある。
上記課題を解決するための第1の手段は、伝動システム(20)であって、
エンジン(11)の駆動軸(11b)を回転可能な回転トルクを出力可能な回転電機(23)と、
前記回転電機の回転軸(23a)と一体に回転可能に設けられた第1プーリ(22)と、
前記駆動軸と一体に回転可能に設けられた第2プーリ(31)と、
前記第1プーリ及び前記第2プーリに掛け回され、前記回転軸と前記駆動軸との間において回転トルクを伝達可能な無端伝動部材(34)と、
前記無端伝動部材を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能な移動部材(41)を有し、前記移動部材により前記無端伝動部材に自動的に張力を付与し、前記移動部材が前記第1方向へ移動する時に作用する減衰力が、前記移動部材が前記第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さい機械式のオートテンショナ(40)と、
前記エンジンの気筒(11a)における圧縮圧力を減少させるデコンプ機構(50)と、
前記エンジンの始動時に、前記回転電機により回転トルクを出力させ、且つ前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる制御部(25、60)と、
を備える。
エンジン(11)の駆動軸(11b)を回転可能な回転トルクを出力可能な回転電機(23)と、
前記回転電機の回転軸(23a)と一体に回転可能に設けられた第1プーリ(22)と、
前記駆動軸と一体に回転可能に設けられた第2プーリ(31)と、
前記第1プーリ及び前記第2プーリに掛け回され、前記回転軸と前記駆動軸との間において回転トルクを伝達可能な無端伝動部材(34)と、
前記無端伝動部材を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能な移動部材(41)を有し、前記移動部材により前記無端伝動部材に自動的に張力を付与し、前記移動部材が前記第1方向へ移動する時に作用する減衰力が、前記移動部材が前記第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さい機械式のオートテンショナ(40)と、
前記エンジンの気筒(11a)における圧縮圧力を減少させるデコンプ機構(50)と、
前記エンジンの始動時に、前記回転電機により回転トルクを出力させ、且つ前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる制御部(25、60)と、
を備える。
上記構成によれば、エンジンを始動する際に、回転電機が回転トルクを出力すると、第1プーリ、無端伝動部材、及び第2プーリを介して、エンジンの駆動軸に回転トルクが伝達される。エンジンで燃焼が行われていない状態でも、エンジンの行程に応じて、駆動軸が発生する回転トルクが変化する。このため、無端伝動部材の張力が変化し、張力が所定張力を下回ると、第1プーリ又は第2プーリと無端伝動部材とに滑りが生じる。
この点、機械式のオートテンショナは、無端伝動部材を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能な移動部材を有し、移動部材により無端伝動部材に自動的に張力を付与する。このため、無端伝動部材が緩んだ場合には、移動部材により無端伝動部材に張力が付与され、無端伝動部材の張力低下が抑制される。さらに、移動部材が第1方向へ移動する時に作用する減衰力は、移動部材が第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さくなっている。このため、駆動軸が発生する回転トルクにより無端伝動部材が緩む時に、第1方向へ移動部材が素早く移動し、無端伝動部材の張力低下を抑制することができる。そして、無端伝動部材が張る時に、第2方向へ移動部材が移動しにくくなり、無端伝動部材の張力を維持し易くなる。しかも、機械式のオートテンショナは、通電を必要としないため、消費電力が増加することを抑制することができる。
しかし、エンジンの駆動軸が発生する回転トルクの大きさによっては、オートテンショナが無端伝動部材の緩みを解消できず、無端伝動部材の張力が上記所定張力を下回るおそれがある。そこで、伝動システムは、エンジンの気筒における圧縮圧力を減少させるデコンプ機構を備えている。そして、制御部は、エンジンの始動時に、回転電機により回転トルクを出力させ、且つデコンプ機構により気筒における圧縮圧力を減少させる。このため、エンジンの始動時に駆動軸が発生する回転トルクの変動を抑制することができ、オートテンショナにより無端伝動部材の張力低下を抑制することができる。したがって、無端伝動部材の滑りを抑制することができ、回転電機の回転トルクを駆動軸に伝達し易くなる。しかも、駆動軸が発生する回転トルクの変動が抑制されるため、始動時の振動を抑制することができる。
第2の手段では、前記回転軸の回転速度である第1回転速度を検出する第1センサ(62)と、前記駆動軸の回転速度である第2回転速度を検出する第2センサ(61)と、を備え、前記制御部は、前記第1センサにより検出された前記第1回転速度と、前記第2センサにより検出された前記第2回転速度とに基づいて、前記無端伝動部材に滑りが生じていると判定したことを条件として、前記エンジンの始動時に前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる。
上記構成によれば、第1センサにより、回転軸の回転速度である第1回転速度が検出される。第2センサにより、駆動軸の回転速度である第2回転速度が検出される。ここで、第1プーリ又は第2プーリと無端伝動部材とに滑りが生じた場合は、第1回転速度と第2回転速度との比が、滑りが生じていない場合の比からずれる。
そこで、制御部は、第1センサにより検出された第1回転速度と、第2センサにより検出された第2回転速度とに基づいて、無端伝動部材に滑りが生じていると判定したことを条件として、エンジンの始動時に、デコンプ機構により圧縮圧力を減少させる。すなわち、制御部は、無端伝動部材に滑りが生じていると判定した場合はエンジンの始動時に、デコンプ機構により圧縮圧力を減少させ、無端伝動部材に滑りが生じていないと判定した場合は、エンジンの始動時にデコンプ機構により圧縮圧力を減少させない。
したがって、第1プーリ又は第2プーリと無端伝動部材とに滑りが生じていない場合は、デコンプ機構により圧縮圧力を減少させず、速やかにエンジンを始動することができる。また、第1プーリ又は第2プーリと無端伝動部材とに滑りが生じている場合は、デコンプ機構により圧縮圧力を減少させて、無端伝動部材の滑りを抑制することができる。
具体的には、第3の手段では、前記制御部は、前記エンジンの始動時に、前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる際に、前記エンジンにおいて燃料の燃焼が可能な限界まで前記圧縮圧力を減少させる。このため、駆動軸が発生する回転トルクの変動をエンジン始動可能な限界まで抑制することができ、無端伝動部材の滑り及び始動時の振動を更に抑制することができる。
第4の手段では、前記移動部材が前記第1方向へ移動する時に作用する前記減衰力が0であり、前記移動部材が前記第2方向へ移動する時に作用する前記減衰力は、前記移動部材の移動速度が高いほど大きい。
上記構成によれば、駆動軸が発生する回転トルクにより無端伝動部材が緩む時に、第1方向へ移動部材を更に素早く移動させることができ、無端伝動部材の張力低下を更に抑制することができる。そして、無端伝動部材を緩ませる第2方向への移動部材の速度が高いほど、すなわち無端伝動部材に作用する張力が大きいほど、第2方向へ移動部材が移動しにくくなり、無端伝動部材の張力を維持し易くなる。
(第1実施形態)
以下、車両に搭載されるエンジンシステムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
以下、車両に搭載されるエンジンシステムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1,2に示すように、エンジンシステム10は、エンジン11、エンジンECU60、トランスミッション12、スタータ13、及び伝動システム20等を備えている。
エンジン11は、例えば、ガソリンを燃料とする内燃機関である。エンジン11は、気筒11a(燃焼室)において燃料を燃焼させ、ピストン(図示略)の上下移動をクランクシャフト11bの回転運動として出力する。クランクシャフト11b(駆動軸)が出力する回転トルクは、トランスミッション12を介して車輪(図示略)に伝達される。
スタータ13の出力軸は、ギア13aを介してクランクシャフト11bに連結されている。スタータ13は、エンジン11を駆動可能な回転トルクをクランクシャフト11bに出力する。スタータ13の駆動状態は、エンジンECU60(Electronic Control Unit)により制御される。
伝動システム20は、クランクシャフト11bに連結されている。伝動システム20は、回転電機ユニット21、駆動軸プーリ31、補機プーリ32,33、ベルト34、オートテンショナ40、VVT50(可変バルブタイミング機構)、回転角センサ62、クランク角センサ61等を備えている。
回転電機ユニット21は、回転電機23、回転軸23a、回転電機プーリ22、回転電機ECU25等を備えている。回転電機23は、モータ機能付発電機、例えばISG(Integrated Starter Generator)である。回転電機23は、スタータ13によってエンジン11の始動が開始された後、エンジン11の回転速度を維持可能な回転トルクを出力可能である。
回転電機23は、電力が供給されることによって回転軸23aを回転駆動(力行作動)し、回転軸23aに回転トルクが入力されることによって発電(回生作動)する。回転電機23はバッテリ(図示略)と電気的に接続されており、回転電機23の作動状態は回転電機ECU25により制御される。
回転電機プーリ22(第1プーリ)は、円板状に形成され、中心部が回転軸23aに接続されている。回転電機プーリ22は、回転軸23aと一体に回転可能である。
回転電機ECU25(制御部)は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、及び入出力インターフェース等を有する小型のコンピュータである。回転電機ECU25は、エンジンECU60及び回転角センサ62と電気的に接続されている。回転電機ECU25は、エンジンECU60からの信号に基づき、ROMに記憶されたプログラムに従い処理を行い、回転電機23及びVVT50の駆動を制御する。
回転角センサ62(第1センサ)は、回転軸23aの近傍に設けられている。回転角センサ62は、回転軸23aの回転角を検出し、検出した回転角に応じた回転速度信号(第1回転速度)を回転電機ECU25に出力する。
駆動軸プーリ31(第2プーリ)は、円板状に形成され、中心部がクランクシャフト11bに接続されている。駆動軸プーリ31は、クランクシャフト11bと一体に回転可能である。
補機プーリ32は、円板状に形成され、例えば、ウォーターポンプ51の回転軸51aと一体に回転可能である。補機プーリ33は、円板状に形成され、例えば、空調用コンプレッサ52の回転軸52aと一体に回転可能である。
ベルト34(無端伝動部材)は、例えば、ゴムおよびワイヤーなどによって端部を有しない環状に形成されている。ベルト34は、外力が作用すると弾性変形し伸縮する。ベルト34は、駆動軸プーリ31、回転電機プーリ22、及び補機プーリ32,33に掛け回されている。これにより、クランクシャフト11bとともに駆動軸プーリ31が回転すると、クランクシャフト11bの回転トルクが補機プーリ32,33及び回転電機プーリ22に伝達される。また、回転軸23aとともに回転電機プーリ22が回転すると、回転軸23aの出力する回転トルクが、補機プーリ32,33及び駆動軸プーリ31に伝達される。すなわち、ベルト34は、クランクシャフト11bと回転軸23a,51a,52aとの間において回転トルクを伝達可能である。
エンジン11の通常運転時、クランクシャフト11bの回転方向、すなわち、駆動軸プーリ31の回転方向は、図1において時計回り方向である。これにより、エンジン11の通常運転時、ベルト34および各プーリも時計回り方向に回転する。なお、時計回り方向の回転を「正回転」とし、反時計回り方向の回転を「逆回転」とする。
伝動システム20では、ベルト34が正回転している時、ベルト34を介してクランクシャフト11bの回転トルクが伝達される回転電機ユニット21は、ジェネレータとして発電を行う。このとき、クランクシャフト11bの回転トルクは、ベルト34を介して回転軸51a,52aにも伝達され、ウォーターポンプ51及び空調用コンプレッサ52が駆動される。
また、回転電機23は、エンジンECU60の指令に基づいて正回転し、クランクシャフト11bの回転をアシストするアシストモータとして、回転駆動を行うことも可能である。
VVT50(デコンプ機構)は、エンジン11のクランクシャフト11bと、各気筒11aの吸気弁を開閉駆動するカムシャフトとの相対回転位相を変更する。これにより、VVT50は、各気筒11aの吸気弁の開閉タイミングを変更する。本実施形態では、VVT50は、吸気弁の開閉タイミングを遅角させることにより、エンジン11の始動時に各気筒11aにおける圧縮圧力を減少させる。VVT50の作動状態は、エンジン11の通常運転時にはエンジンECU60により制御され、エンジン11の始動時には回転電機ECU25により制御される。
オートテンショナ40は、油圧式(機械式)のオートテンショナであり、テンショナプーリ41、アーム42、及びテンショナ本体部43を有する。
テンショナプーリ41(移動部材)は、円板状に形成され、アーム42の第1端に回転可能に支持されている。テンショナプーリ41は、ベルト34の正回転時に駆動軸プーリ31から回転電機プーリ22に送られるベルト34の第1部位34aに、当接可能に設けられている。また、ベルト34の正回転時に回転電機プーリ22から駆動軸プーリ31に送られるベルト34の部位を、第2部位34bとする。
アーム42は、略L字状に形成され、軸部44,45を有している。軸部44は、例えば、車体におけるエンジン11近傍部分に固定され、アーム42の略中央を回転可能に支持している。これにより、アーム42は、軸部44を中心にエンジン11に対し相対回転可能である。軸部45は、アーム42の第1端に設けられ、テンショナプーリ41の中心を回転可能に支持している。これにより、テンショナプーリ41は、ベルト34に当接しつつ回転可能であり、かつ、軸部44を中心にエンジン11に対し相対移動可能である。
テンショナ本体部43は、例えば、車体におけるエンジン11近傍部分に固定されている。テンショナ本体部43には、軸方向に移動可能な突出部46、及び付勢部47が設けられている。
突出部46は、第1端がテンショナ本体部43から突出するよう形成されている。突出部46の第1端は、アーム42の第2端を回転可能に支持している。
付勢部47は、突出部46の第2端を支持している。付勢部47は、突出部46のテンショナ本体部43からの突出量を増加させるように、突出部46を付勢している。これにより、テンショナプーリ41がベルト34に当接する。
オートテンショナ40では、付勢部47が軸方向に伸縮すると、アーム42が軸部44を中心に回転し、テンショナプーリ41のエンジン11に対する相対位置が変化する。これにより、駆動軸プーリ31と回転電機プーリ22との間のベルト34の張力が変化する。すなわち、オートテンショナ40は、テンショナプーリ41によりベルト34に自動的に張力を付与する。
付勢部47が伸長する方向である伸長方向に突出部46を付勢すると、テンショナプーリ41は、図1に示す実線矢印Faの方向(第1方向)に移動する。これにより、ベルト34の張力は増加し、ベルト34が張る。また、付勢部47が収縮する方向である収縮方向に突出部46が移動すると、テンショナプーリ41は、図1に示す実線矢印Fbの方向(第2方向)に移動する。これにより、ベルト34の張力は減少し、ベルト34は緩む。
付勢部47は、突出部46(テンショナプーリ41)が変位する方向によって、テンショナプーリ41が移動する時に作用させる減衰力が異なる。図3に、テンショナプーリ41の移動速度に対する付勢部47の減衰力の変化を示す。
同図では、横軸にテンショナプーリ41の移動速度を示す。横軸において正(+)の側を、付勢部47の伸長方向(第1方向)にテンショナプーリ41が移動したときの移動速度とする。横軸において負(−)の側を、付勢部47の収縮方向(第2方向)にテンショナプーリ41が移動したときの移動速度とする。
また、同図では、縦軸に付勢部47の減衰力を示す。減衰力とは、テンショナプーリ41が第1方向または第2方向に移動するとき、テンショナプーリ41の移動を妨げる方向に作用する力を指す。
テンショナプーリ41が第1方向に移動するとき、付勢部47における減衰力は、0(略0)となっている。一方、テンショナプーリ41が第2方向に移動するとき、付勢部47における減衰力は、テンショナプーリ41の移動速度が増加するにしたがって大きくなる。すなわち、テンショナプーリ41が第1方向に移動するときの付勢部47における減衰力は、テンショナプーリ41が第2方向に移動するときの付勢部47における減衰力よりも小さい。
エンジンECU60は、スタータ13、回転電機ECU25、クランク角センサ61、及びVVT50と電気的に接続されている。エンジンECU60は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、及び入出力インターフェース等を有する小型のコンピュータである。エンジンECU60は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号などに基づき、ROMに記憶されたプログラムに従い処理を行い、エンジン11を統合的に制御する。本実施形態では、エンジンECU60は、車両の運転者によるイグニッションスイッチ(図示略)でのエンジン11の始動操作や、アイドリングストップ状態の解除操作などに基づいて、スタータ13の駆動を制御する。エンジンECU60は、燃料の噴射や点火等を制御する。また、エンジンECU60は、クランク角センサ61(第2センサ)が出力する信号に基づく情報を回転電機ECU25に送信する。
クランク角センサ61(第2センサ)は、クランクシャフト11bの近傍に設けられている。クランク角センサ61は、クランクシャフト11bの回転角を検出し、検出した回転角に応じた回転速度信号(第2回転速度)をエンジンECU60に出力する。
次に、図4,5に基づいて、エンジン11の始動制御において、ベルト34に作用する力がベルト34の張りに与える影響について説明する。同図は、クランクシャフト11bの回転トルク及び回転電機ユニット21の力行作動の回転トルクにより、ベルト34に作用する力の方向を説明する模式図である。図4は、クランクシャフト11bの回転トルクが減少する時を示す。図5は、クランクシャフト11bの回転トルクが増加する時を示す。なお、図4,5では、オートテンショナ40の構成は簡単に図示するとともに、補機プーリ32,33を省略する。
クランクシャフト11bの回転トルクが減少する時(圧縮行程)、図4の白抜き矢印Ra1の破線の状態から実線の状態に示すように、駆動軸プーリ31の回転速度は徐々に低下する。一方、回転電機プーリ22は、回転電機ユニット21が出力する力行作動の回転トルクによって正回転に回転している(図4の白抜き矢印Ra2)。
この状態では、ベルト34の第2部位34bには、駆動軸プーリ31側から回転電機プーリ22側に作用する力(図4の白抜き矢印Ra3)が作用しつつ、回転電機プーリ22側から駆動軸プーリ31側に作用する力(図4の白抜き矢印Ra4)が作用する。一方、ベルト34の第1部位34aには、駆動軸プーリ31の方向に引っ張られる力(図4の白抜き矢印Ra5)が作用しつつ、回転電機プーリ22の方向に引っ張られる力(図4の白抜き矢印Ra6)が作用する。
さらに、オートテンショナ40では、テンショナプーリ41がベルト34を緩ませる第2方向(付勢部47の収縮方向)へ移動する時の減衰力が、テンショナプーリ41がベルト34を張らせる第1方向(付勢部47の伸長方向)へ移動する時の減衰力よりも大きい。これにより、ベルト34の第1部位34aは、張った状態となるため、回転電機ユニット21の力行作動の回転トルクは、クランクシャフト11bに伝達される。
一方、クランクシャフト11bの回転トルクが増加する時(膨張行程)、図5の白抜き矢印Rb1の破線の状態から実線の状態に示すように、駆動軸プーリ31の回転速度は徐々に増加する。一方、回転電機プーリ22は、回転電機ユニット21が出力する力行作動の回転トルクによって正回転に回転している(図5の白抜き矢印Rb2)。
この状態では、ベルト34の第2部位34bには、駆動軸プーリ31の方向に引っ張られる力(図5の白抜き矢印Rb3)が作用しつつ、回転電機プーリ22側から駆動軸プーリ31側に作用する力(図5の白抜き矢印Rb4)が作用する。また、第1部位34aには、駆動軸プーリ31側から回転電機プーリ22側に作用する力(図5の白抜き矢印Rb5)が作用しつつ、回転電機プーリ22の方向に引っ張られる力(図5の白抜き矢印Rb6)が作用する。
さらに、オートテンショナ40では、実線で示すようにテンショナプーリ41がベルト34を張らせる第1方向へ移動する時の減衰力が、破線で示すようにテンショナプーリ41がベルト34を緩ませる第2方向へ移動する時の減衰力よりも小さい。特に、テンショナプーリ41がベルト34を張らせる第1方向へ移動する時の減衰力は0である。これにより、ベルト34の第1部位34aは、張った状態となる。その後、図4の状態に移行する際に、テンショナプーリ41がベルト34を緩ませる第2方向へ移動する時の減衰力は、テンショナプーリ41がベルト34を張らせる第1方向へ移動する時の減衰力よりも大きい。このため、回転電機ユニット21の力行作動の回転トルクは、クランクシャフト11bに伝達される。
しかし、エンジン11のクランクシャフト11bが発生する回転トルク(白抜き矢印Rb3,Rb5)の大きさによっては、オートテンショナ40がベルト34の緩みを解消できず、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑るおそれがある。具体的には、ベルト34の張力が所定張力Tmを下回ると、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。そこで、回転電機ECU25は、エンジン11の始動時に、VVT50により圧縮圧力を減少させるデコンプ制御を実行する。
図6は、本実施形態の始動制御の手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、エンジンECU60から回転電機ECU25へエンジン11の始動指令があった時に、回転電機ECU25(制御部)により実行される。例えば、エンジンECU60は、エンジン11の自動停止及び自動再始動を行っており、エンジン11の自動再始動時に回転電機ECU25へエンジン11の始動指令を出力する。ここでは、スタータ13と回転電機23とで連携して、エンジン11を始動する場合を例に説明する。図6の一連の処理は、エンジンECU60がスタータ13の駆動を開始した後に実行される。
まず、デコンプ制御を開始する(S10)。具体的には、エンジン11において燃料の燃焼が可能な限界タイミングまで、VVT50により吸気弁の開閉タイミングを遅角させて圧縮圧力を減少させる。
続いて、回転電機23の力行開始条件が成立しているか否か判定する(S11)。具体的には、エンジンECU60からクランク角センサ61の回転速度信号を受信し、回転速度信号に基づいてエンジン11のピストンが一回目の圧縮行程におけるTDCを通過したか否か判定する。この判定において、回転電機23の力行開始条件が成立していないと判定した場合(S11:NO)、S11の判定を再度実行する。
一方、S11の判定において、回転電機23の力行開始条件が成立していると判定した場合(S11:YES)、回転電機23の力行作動を開始する(S12)。具体的には、回転電機23を指令トルクTriで駆動させる。なお、回転電機23の力行作動が開始されると、エンジンECU60はスタータ13の駆動を終了する。
続いて、デコンプ制御の終了条件が成立しているか否か判定する(S13)。具体的には、エンジンECU60からクランク角センサ61の回転速度信号を受信し、回転速度信号に基づいて、エンジン11の回転速度が第1回転速度に達したか否か判定する。第1回転速度は、例えば燃料の噴射と点火とによって燃料の燃焼が可能になる回転速度に設定されている。この判定において、デコンプ制御の終了条件が成立していないと判定した場合(S13:NO)、S13の判定を再度実行する。
一方、S13の判定において、デコンプ制御の終了条件が成立していると判定した場合(S13:YES)、デコンプ制御を終了する(S14)。具体的には、VVT50により吸気弁の開閉タイミングを、上記限界タイミングよりも進角側の所定タイミング(通常始動用タイミング)まで進角させる。なお、デコンプ制御の終了条件が成立していると判定された場合、すなわちエンジン11の回転速度が第1回転速度に達した場合(燃焼開始条件が成立した場合)、エンジンECU60は燃料の噴射と点火とを開始する。
続いて、回転電機23の力行終了条件が成立しているか否か判定する(S15)。具体的には、エンジンECU60からクランク角センサ61の回転速度信号を受信し、回転速度信号に基づいて、エンジン11の回転速度が燃料の噴射と点火と(燃料の燃焼エネルギ)によって、クランクシャフト11bを回転させることが可能な第2回転速度に達したか否か判定する。第2回転速度は、上記第1回転速度よりも高く設定されている。この判定において、回転電機23の力行終了条件が成立していないと判定した場合(S15:NO)、S15の判定を再度実行する。
一方、S15の判定において、回転電機23の力行終了条件が成立していると判定した場合(S15:YES)、回転電機23の力行作動を終了する(S16)。その後、この一連の処理を終了する(END)。
図7は、上記始動制御の態様を示すタイムチャートである。上記デコンプ制御を実行していない場合を破線で示し、デコンプ制御を実行している場合を実線で示している。
クランクシャフトトルクは、クランクシャフト11bが発生する回転トルクであり、基準トルクTcsよりも大きい側を+側として示し、基準トルクTcsよりも小さい側を−側として示している。
ベルト張力は、ベルト34の第2部位34bに作用する張力を示している。ベルト張力において、ベルト34の張力が所定張力Tmを下回ると、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。
オートテンショナ変位は、テンショナプーリ41の基準位置からの変位を示している。
基準位置は、回転電機プーリ22および駆動軸プーリ31が回転していないときのテンショナプーリ41の位置である。オートテンショナ変位において、所定変位Xmは、ベルト34の張力が所定張力Tmになるときのオートテンショナ40の変位である。すなわち、テンショナ変位が所定変位Xm以下になると、ベルト34の張力が所定張力Tm以下となり、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。
基準位置は、回転電機プーリ22および駆動軸プーリ31が回転していないときのテンショナプーリ41の位置である。オートテンショナ変位において、所定変位Xmは、ベルト34の張力が所定張力Tmになるときのオートテンショナ40の変位である。すなわち、テンショナ変位が所定変位Xm以下になると、ベルト34の張力が所定張力Tm以下となり、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。
時刻t11において、回転電機23の力行作動が開始され、スタータ13の駆動が終了される。回転電機23は指令トルクTriで駆動される。
クランクシャフトトルクは、クランク角が0degCAから180degCAになるまでの間に、一旦大きくなってから小さくなる。このとき、エンジン回転速度が上昇する時は、クランクシャフトトルクは主に+となる。一方、エンジン回転速度が低下する時には、クランクシャフトトルクは主に−となる。
破線で示すように、デコンプ制御を実行していない場合、クランクシャフトトルクの変動幅ΔTr1が大きくなる。このため、クランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)において、ベルト34の第2部位34bの緩みが大きくなり、ベルト張力の減少量ΔT1及びオートテンショナ変位の減少量が大きくなる。クランクシャフトトルクが+になる期間(図5参照)において、オートテンショナ変位が大きくなるものの、テンショナプーリ41がベルト34の第1部位34aに追従しきれなくなる。このため、ベルト張力及びオートテンショナ変位は元の大きさまで回復できない。
そして、次にクランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)において、再びベルト張力及びオートテンショナ変位が大きく減少する。続いて、クランクシャフトトルクが+になる期間(図5参照)において、ベルト張力及びオートテンショナ変位は減少前の大きさまで回復できなくなる。ベルト張力が所定張力Tmを下回ると、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。その結果、エンジン回転速度がさらに低下し、エンジン11の始動に失敗する。
一方、実線で示すように、デコンプ制御を実行している場合、クランクシャフトトルクの変動幅ΔTr2が上記変動幅ΔTr1よりも小さくなる。このため、クランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)において、ベルト34の第2部位34bの緩みが小さくなり、ベルト張力の減少量ΔT2及びオートテンショナ変位の減少量が小さくなる。クランクシャフトトルクが+になる期間(図5参照)において、オートテンショナ変位が大きくなり、テンショナプーリ41がベルト34の第1部位34aに追従する。その後、テンショナプーリ41は、ベルト34の第1部位34aを揺ませる方向の減衰力が大きくなり(図3の収縮方向参照)、ベルト34の張った状態が維持される。このため、ベルト張力及びオートテンショナ変位は元の大きさまで回復する。
そして、次にクランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)、及びクランクシャフトトルクが+になる期間(図5参照)においても、同様となる。このため、ベルト張力が所定張力Tmを下回らず、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とは滑り始めない。その結果、時刻t12において、回転電機23の力行終了条件が成立して力行作動が終了し、エンジン11が始動される。
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
・油圧式のオートテンショナ40は、ベルト34を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能なテンショナプーリ41を有し、テンショナプーリ41によりベルト34に自動的に張力を付与する。このため、ベルト34が緩んだ場合には、テンショナプーリ41によりベルト34に張力が付与され、ベルト34の張力低下が抑制される。さらに、テンショナプーリ41が第1方向へ移動する時に作用する減衰力は、テンショナプーリ41が第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さくなっている。このため、クランクシャフト11bが発生する回転トルクによりベルト34が緩む時に、第1方向へテンショナプーリ41が素早く移動し、ベルト34の張力低下を抑制することができる。そして、ベルト34が張る時に、第2方向へテンショナプーリ41が移動しにくくなり、ベルト34の張力を維持し易くなる。しかも、油圧式のオートテンショナ40は、通電を必要としないため、消費電力が増加することを抑制することができる。
・回転電機ECU25は、エンジン11の始動時に、回転電機23により回転トルクを出力させ、且つVVT50により気筒11aにおける圧縮圧力を減少させる。このため、エンジン11の始動時にクランクシャフト11bが発生する回転トルクの変動を抑制することができ、オートテンショナ40によりベルト34の張力低下を抑制することができる。したがって、ベルト34の滑りを抑制することができ、回転電機23の回転トルクをクランクシャフト11bに伝達し易くなる。しかも、クランクシャフト11bが発生する回転トルクの変動が抑制されるため、始動時の振動を抑制することができる。
・回転電機ECU25は、エンジン11の始動時に、VVT50により圧縮圧力を減少させる際に、エンジン11において燃料の燃焼が可能な限界まで圧縮圧力を減少させる。このため、クランクシャフト11bが発生する回転トルクの変動をエンジン始動可能な限界まで抑制することができ、ベルト34の滑り及び始動時の振動を更に抑制することができる。
・テンショナプーリ41が第1方向へ移動する時に作用する減衰力が0であり、テンショナプーリ41が第2方向へ移動する時に作用する減衰力は、テンショナプーリ41の移動速度が高いほど大きい。このため、クランクシャフト11bが発生する回転トルクによりベルト34が緩む時に、第1方向へテンショナプーリ41を更に素早く移動させることができ、ベルト34の張力低下を更に抑制することができる。そして、ベルト34を緩ませる第2方向へのテンショナプーリ41の速度が高いほど、すなわちベルト34に作用する張力が大きいほど、第2方向へテンショナプーリ41が移動しにくくなり、ベルト34の張力を維持し易くなる。
・ベルト34の初期張力を上昇させる必要がないため、摩擦抵抗が増加することを抑制することができ、エンジン11の燃費性能が悪化することを抑制することができる。
なお、図6のS13において、エンジン11の回転速度が燃料の噴射と点火と(燃料の燃焼エネルギ)によって、クランクシャフト11bを回転させることが可能な第2回転速度に達したか否か判定し、S15の処理を省略することもできる。
(第2実施形態)
以下、始動制御を変更した第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
以下、始動制御を変更した第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図8は、本実施形態の始動制御の手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、エンジンECU60から回転電機ECU25へエンジン11の始動指令があった時に、回転電機ECU25(制御部)により実行される。ここでは、スタータ13と回転電機23とで連携して、エンジン11を始動する場合を例に説明する。図8の一連の処理は、エンジンECU60がスタータ13の駆動を開始した後に実行される。
S21,S22の処理は、図6のS11,S12の処理と同一である。S21の判定において、回転電機23の力行開始条件が成立していると判定した場合(S21:YES)、回転電機23の力行作動を開始する(S22)。なお、回転電機23の力行作動が開始されると、エンジンECU60はスタータ13の駆動を終了する。
続いて、ベルト34に滑りが生じているか否か判定する(S23)。具体的には、回転角センサ62から回転速度信号を入力し、エンジンECU60からクランク角センサ61の回転速度信号を受信する。そして、これらの回転速度信号をそれぞれベルト34の送り速度に換算し、それらの送り速度の差の絶対値が第1速度差Vr1よりも大きいか否か判定する。この判定において、ベルト34に滑りが生じていると判定した場合(S23:YES)、デコンプ制御を開始する(S24)。S24の処理は、図6のS10の処理と同一である。
続いて、ベルト34に滑りが生じているか否か判定する(S25)。ここでは、上記送り速度の差の絶対値が第2速度差Vr2よりも大きいか否か判定する。第2速度差Vr2は、上記第1速度差Vr1よりも小さく設定されている。この判定において、ベルト34に滑りが生じていると判定した場合(S25:YES)、S25の処理を再度実行する。一方、ベルト34に滑りが生じていないと判定した場合(S25:NO)、デコンプ制御を終了し(S26)、S27の処理へ進む。S26の処理は、図6のS14の処理と同一である。S23の処理において、ベルト34に滑りが生じていないと判定した場合も(S23:NO)、S27の処理へ進む。
S27の処理では、エンジン11の燃焼開始条件が成立したか否か判定する(S27)。具体的には、エンジンECU60からクランク角センサ61の回転速度信号を受信し、回転速度信号に基づいて、エンジン11の回転速度が上記第1回転速度に達したか否か判定する。S27の処理は、基本的には図6のS14の処理と同一である。この判定において、エンジン11の燃焼開始条件が成立していないと判定した場合(S27:NO)、S23の判定から再度実行する。
一方、S27の判定において、エンジン11の燃焼開始条件が成立していると判定した場合(S27:YES)、回転電機23の力行終了条件が成立しているか否か判定する(S28)。S28の処理は、図6のS15の処理と同一である。S29では、回転電機23の力行作動を終了する(S16)。その後、この一連の処理を終了する(END)。
図9は、上記始動制御の態様を示すタイムチャートである。上記デコンプ制御を実行していない場合を破線で示し、デコンプ制御を実行している場合を実線で示している。
時刻t21において、回転電機23の力行作動が開始され、スタータ13の駆動が終了される。回転電機23は指令トルクTriで駆動される。
時刻t22において、回転電機プーリ22によるベルト34の送り速度と、駆動軸プーリ31によるベルト34の送り速度との差の絶対値が、第1速度差Vr1よりも大きくなる。すなわち、デコンプ制御の開始条件が成立する。
破線で示すように、デコンプ制御が開始されない場合、クランクシャフトトルクの変動幅ΔTr1が大きいままとなる。このため、クランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)において、ベルト34の第2部位34bの緩みが大きくなり、ベルト張力の減少量ΔT1及びオートテンショナ変位の減少量が大きくなる。そして、ベルト張力が所定張力Tmを下回ると、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とが滑り始める。その結果、エンジン回転速度がさらに低下し、エンジン11の始動に失敗する。
一方、実線で示すように、デコンプ制御が開始された場合、クランクシャフトトルクの変動幅ΔTr2が上記変動幅ΔTr1よりも小さくなる。このため、クランクシャフトトルクが−になる期間(図4参照)において、ベルト34の第2部位34bの緩みが小さくなり、ベルト張力の減少量ΔT2及びオートテンショナ変位の減少量が小さくなる。クランクシャフトトルクが+になる期間(図5参照)において、オートテンショナ変位が大きくなり、テンショナプーリ41がベルト34の第1部位34aに追従する。その後、テンショナプーリ41は、ベルト34の第1部位34aを揺ませる方向の減衰力が大きくなり(図3の収縮方向参照)、ベルト34の張った状態が維持される。このため、ベルト張力及びオートテンショナ変位が回復していく。
したがって、ベルト張力が所定張力Tmを下回らず、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とは滑り始めない。その後、時刻t23において、回転電機プーリ22によるベルト34の送り速度と、駆動軸プーリ31によるベルト34の送り速度との差の絶対値が、第2速度差Vr2よりも小さくなる。すなわち、デコンプ制御の終了条件が成立し、デコンプ制御が終了される。時刻t24において、回転電機23の力行終了条件が成立して力行作動が終了し、エンジン11が始動される。
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
・回転電機ECU25は、回転角センサ62により検出された第1回転速度と、クランク角センサ61により検出された第2回転速度とに基づいて、ベルト34に滑りが生じていると判定したことを条件として、エンジン11の始動時に、VVT50により圧縮圧力を減少させる。したがって、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とに滑りが生じていない場合は、VVT50により圧縮圧力を減少させず、速やかにエンジン11を始動することができる。また、回転電機プーリ22又は駆動軸プーリ31とベルト34とに滑りが生じている場合は、VVT50により圧縮圧力を減少させて、ベルト34の滑りを抑制することができる。
なお、上記各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
・オートテンショナ40の特性は図3に示す特性に限らない。例えば、テンショナプーリ41が第1方向(付勢部47の伸長方向)に移動するとき、付勢部47における減衰力は、0よりも大きい第1減衰力であってもよい。そして、テンショナプーリ41が第2方向(付勢部47の収縮方向)に移動するとき、付勢部47における減衰力は、テンショナプーリ41の移動速度が増加するにしたがって第1減衰力から大きくなってもよい。また、テンショナプーリ41が第2方向に移動するとき、付勢部47における減衰力は、第1減衰力よりも大きい一定の第2減衰力であってもよい。すなわち、テンショナプーリ41が第1方向に移動するときの付勢部47における減衰力は、テンショナプーリ41が第2方向に移動するときの付勢部47における減衰力よりも小さければよい。
・デコンプ制御では、VVT50により吸気弁の開閉タイミングを、エンジン11において燃料の燃焼が可能な限界タイミングよりも所定角度進角側の開閉タイミングまで遅角させて圧縮圧力を減少させてもよい。こうした構成によれば、吸気弁の開閉タイミングのばらつきによる失火を抑制することができる。
・エンジン11の再始動時において、スタータ13と回転電機23とで連携せず、回転電機23のみによりエンジン11を始動してもよい。その場合、回転電機23は、エンジン11を駆動可能な回転トルクを出力する。
・エンジンECU60は、エンジン11の自動停止及び自動再始動を行わず、車両の運転者によるイグニッションスイッチでのエンジン11の駆動開始操作時に、回転電機ECU25へエンジン11の始動指令を出力してもよい。そして、始動指令に応じて、回転電機ECU25が図6,8の始動制御を実行してもよい。
・エンジン11の始動時に、エンジンECU60(制御部)が、VVT50を制御してデコンプ制御を行い、回転電機ECU25を介して回転電機23を力行させてもよい。すなわち、エンジンECU60が図6,8の始動制御を実行してもよい。
・オートテンショナ40がベルト34を押し込む位置は、第1部位34aに限らず、第2部位34bであってもよい。
・デコンプ機構は、VVT50に限らず、吸気弁の開閉タイミング及びリフト量を変更可能な可変バルブリフト機構を採用することもできる。この場合、吸気弁の開閉タイミングを維持し且つリフト量を減少させる、吸気弁の開閉タイミングを遅角し且つリフト量を増加させる等により、エンジン11の気筒11aにおける圧縮圧力を減少させることができる。
・回転電機23は、ISGに限らず、エンジン11を駆動可能な回転トルクを出力し、ベルト34を介してクランクシャフト11bを駆動するMG(Motor Generator)を採用することもできる。
・エンジン11は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等、その他のエンジンを採用することもできる。
11…エンジン、11a…気筒、11b…クランクシャフト、20…伝動システム、22…回転電機プーリ、23…回転電機、23a…回転軸、25…回転電機ECU、31…駆動軸プーリ、34…ベルト、40…オートテンショナ、50…VVT、60…エンジンECU。
Claims (4)
- エンジン(11)の駆動軸(11b)を回転可能な回転トルクを出力可能な回転電機(23)と、
前記回転電機の回転軸(23a)と一体に回転可能に設けられた第1プーリ(22)と、
前記駆動軸と一体に回転可能に設けられた第2プーリ(31)と、
前記第1プーリ及び前記第2プーリに掛け回され、前記回転軸と前記駆動軸との間において回転トルクを伝達可能な無端伝動部材(34)と、
前記無端伝動部材を張らせる第1方向及び緩ませる第2方向へ移動可能な移動部材(41)を有し、前記移動部材により前記無端伝動部材に自動的に張力を付与し、前記移動部材が前記第1方向へ移動する時に作用する減衰力が、前記移動部材が前記第2方向へ移動する時に作用する減衰力よりも小さい機械式のオートテンショナ(40)と、
前記エンジンの気筒(11a)における圧縮圧力を減少させるデコンプ機構(50)と、
前記エンジンの始動時に、前記回転電機により回転トルクを出力させ、且つ前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる制御部(25、60)と、
を備える伝動システム(20)。 - 前記回転軸の回転速度である第1回転速度を検出する第1センサ(62)と、
前記駆動軸の回転速度である第2回転速度を検出する第2センサ(61)と、を備え、
前記制御部は、前記第1センサにより検出された前記第1回転速度と、前記第2センサにより検出された前記第2回転速度とに基づいて、前記無端伝動部材に滑りが生じていると判定したことを条件として、前記エンジンの始動時に前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる、請求項1に記載の伝動システム。 - 前記制御部は、前記エンジンの始動時に、前記デコンプ機構により前記圧縮圧力を減少させる際に、前記エンジンにおいて燃料の燃焼が可能な限界まで前記圧縮圧力を減少させる、請求項1又は2に記載の伝動システム。
- 前記移動部材が前記第1方向へ移動する時に作用する前記減衰力が0であり、前記移動部材が前記第2方向へ移動する時に作用する前記減衰力は、前記移動部材の移動速度が高いほど大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝動システム。
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-
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- 2018-04-17 JP JP2018079384A patent/JP2019183819A/ja active Pending
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