JP6614040B2 - オートテンショナ - Google Patents
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Description
摩擦部は、移動部またはテンショナプーリに設けられている第1接触部と、移動部およびテンショナプーリとは別部材に設けられている第2接触部とから構成されており、第1接触部と第2接触部との接触により摩擦力を発生させる。摩擦力の発生方向は、第1接触部と第2接触部との相対移動方向と平行である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるオートテンショナは、図1に示す内燃機関としての車両用エンジン11のベルト伝動システム12に用いられている。ベルト伝動システム12は、駆動軸としてのクランク軸13と電動機としてのモータ14との間でベルトを介して動力伝達を行う。
先ず、ベルト伝動システム12について図1〜図4を参照して説明する。
図1および図2に示すように、ベルト伝動システム12は、モータ14、モータプーリ15、クランクプーリ16、補機プーリ17、18、19、ベルト21、第1オートテンショナ22、第2オートテンショナ23、および、制御装置24を備えている。
上述のプーリ位置制御が行われた場合、ベルト21の第1区間部分27の長さが比較的長くなる。そのため、エンジン始動制御を開始してモータ14を力行作動させるとき、第1区間部分27の長さが比較的短くなるまで第1テンショナプーリ33が移動する間、クランク軸13にトルクが伝達されることなくモータ14が回転することができる。つまり、モータ14の力行作動の開始直後からクランク軸13にトルクが伝達されるのではなく、モータ14をある程度回転させた状態からクランク軸13にトルクが伝達される。これにより、モータ14のロータおよびモータプーリ15等の回転体の慣性エネルギによる回転力をモータトルクに付加させてクランク軸13を回転駆動することができる。したがって、比較的小型のモータ14を用いても、エンジン11の圧縮行程での圧縮負荷による負荷トルクを上回るトルクを発生させることが可能となる。
次に、第1オートテンショナ22および第2オートテンショナ23について図5〜図10を参照して説明する。
図5および図6に示すように、第1オートテンショナ22は、摩擦部51を備えている。以降、第1テンショナプーリ33の移動範囲のうち一端部および中間部を揺動範囲R1と呼ぶとともに他端部を保持範囲R2と呼ぶ。揺動範囲R1は、第1テンショナプーリ33の移動範囲のうち、エンジン始動制御時に第1テンショナプーリ33が移動する方向(すなわち、緩め方向)に位置している。保持範囲R2は、第1テンショナプーリ33の移動範囲のうち、エンジン始動制御時に第1テンショナプーリ33が移動する方向とは反対方向であって、プーリ位置制御時に第1テンショナプーリ33が移動する方向(すなわち、張り方向)の端部に位置している。プーリ位置制御では、エンジン始動制御の開始に先立ち第1テンショナプーリ33が張り方向へ移動させられて図6に示すように保持範囲R2に位置させられる。
このような摩擦部51を備えることによって、プーリ位置制御により張り方向へ移動させられた第1テンショナプーリ33の位置を、エンジン始動要求があるまでの間、モータ14を作動させずとも保持範囲R2で保持することができる。第2オートテンショナ23の位置についても摩擦部57により同様に保持することができる。
以上説明したように、第1実施形態による第1オートテンショナ22は、ベルト21に接触するように設けられる第1テンショナプーリ33と、第1テンショナプーリ33をベルト21に対して張り方向および緩め方向へ移動させるアーム32と、第1テンショナプーリ33を張り方向へ付勢している付勢部材34と、摩擦部51とを備える。摩擦部51は、アーム32の動きの抵抗となる摩擦力を、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときよりも保持範囲R2に位置するときの方が大きくなるように発生させるとともに、前記摩擦力を、第1テンショナプーリ33の位置が揺動範囲R1から保持範囲R2にさしかかるときに増大させる。
このような第1オートテンショナ22によれば、摩擦部51による摩擦力によりアーム32の動きが止まることで、第1テンショナプーリ33の位置を保持範囲R2で保持可能である。また、第1テンショナプーリ33が揺動範囲に位置するときの摩擦部51による摩擦力は比較的小さいため、揺動範囲R1においてアーム32の動きは摩擦部51に阻害されない。したがって、第1テンショナプーリ33の位置を移動範囲の端部で保持可能としつつも、その端部を抜け出したときに第1テンショナプーリ33の移動が阻害されない。
したがって、プーリ位置制御時に張り方向の端部に移動した第1テンショナプーリ33を摩擦部51による摩擦力で保持することができるとともに、その後に行われるエンジン始動制御において、モータ14のロータおよびモータプーリ15等の回転体の慣性エネルギによる回転力をモータトルクに付加させてクランク軸13を回転駆動することができる。
したがって、保持範囲R2に移動した第1テンショナプーリ33を摩擦部51による摩擦力で保持することができる。
このような摩擦部51によれば、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときよりも保持範囲R2に位置するときの方が大きくなり、かつ、第1テンショナプーリ33の位置が揺動範囲R1から保持範囲R2にさしかかるときに増大するような摩擦力を発生させることができる。
このような摩擦部51によれば、保持範囲R2を抜け出したときに第1テンショナプーリ33の移動が阻害されないようにしつつ、揺動範囲R1における第1テンショナプーリ33の揺動を緩やかに減衰させることができる。
本発明の第1実施形態の変形例では、図11〜図13に示すように、摩擦部61は、円盤状の第1接触部62と第2接触部63との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部62は、第2接触部63側に突き出す突起64を有している。第2接触部63は、低摩擦部位65および高摩擦部位66を有している。低摩擦部位65は、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに突起64と接触する。高摩擦部位66は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに突起64と接触する。高摩擦部位66の内壁面の摩擦係数は、低摩擦部位65の内壁面の摩擦係数のよりも大きい。
このように円盤状の第1接触部62と第2接触部63との接触により摩擦力を発生させるように摩擦部61を構成してもよい。
本発明の第2実施形態では、図14および図15に示すように、摩擦部71は、筒状の第1接触部72と第2接触部73との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部72は、第2接触部73側に突き出す突起74を有している。第2接触部73は、低面圧部位75および高面圧部位76を有している。低面圧部位75は、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに突起74と接触する。高面圧部位76は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに突起74と接触する。高面圧部位76は、低面圧部位75よりも径方向内側に突出している。これにより、第2接触部73は、「第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときの第1接触部72との接触面圧」が、「第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときの第1接触部72との接触面圧」よりも大きくなるように形成されている。
本発明の第2実施形態の変形例では、図16〜図18に示すように、摩擦部81は、円盤状の第1接触部82と第2接触部83との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部82は、第2接触部83側に突き出す突起84を有している。第2接触部83は、低面圧部位85および高面圧部位86を有している。低面圧部位85は、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに突起84と接触する。高面圧部位86は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに突起84と接触する。高面圧部位86は、低面圧部位85よりも第1接触部82側に突出している。
このように円盤状の第1接触部82と第2接触部83との接触により摩擦力を発生させるように摩擦部81を構成してもよい。
本発明の第3実施形態では、図19および図20に示すように、摩擦部91は、筒状の第1接触部92と第2接触部93との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部92は、第2接触部93側に突き出す第1テーパ状突起94を有している。第2接触部93は、第1接触部92側に突き出す第2テーパ状突起95を有している。第1テーパ状突起94には、周方向において第2テーパ状突起95と対向する箇所に第1テーパ面96が形成されている。第2テーパ状突起95には、周方向において第1テーパ状突起94と対向する箇所に第2テーパ面97が形成されている。第2テーパ状突起95は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに先端が第1接触部92と接触し、また、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに第2テーパ面97が第1テーパ面96と接触する。これにより、第2接触部93は、「第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときの第1接触部92との接触面積」が、「第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときの第1接触部92との接触面積」よりも大きくなるように形成されている。
本発明の第3実施形態の変形例では、図21〜図23に示すように、摩擦部101は、円盤状の第1接触部102と第2接触部103との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部102は、第2接触部103側に突き出す第1テーパ状突起104を有している。第2接触部103は、第1接触部102側に突き出す第2テーパ状突起105を有している。第1テーパ状突起104には、周方向において第2テーパ状突起105と対向する箇所に第1テーパ面106が形成されている。第2テーパ状突起105には、周方向において第1テーパ状突起104と対向する箇所に第2テーパ面107が形成されている。第2テーパ状突起105は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに先端が第1接触部102と接触し、また、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに第2テーパ面107が第1テーパ面106と接触する。
このように円盤状の第1接触部102と第2接触部103との接触により摩擦力を発生させるように摩擦部101を構成してもよい。
本発明の第4実施形態では、図24〜図26に示すように、摩擦部111は、第1テンショナプーリ33に設けられた第1接触部112と、別部材としてのリンク113に設けられた第2接触部114との接触により摩擦力を発生させる。第1接触部112は、第1テンショナプーリ33の中心部から軸方向へ突き出すピンである。リンク113は、エンジンブロック等の固定部材119により基端部が回転可能に支持されており、長手方向へ延びる通孔115を有している。第2接触部114は、通孔115の内壁に固定されている低摩擦部位116および高摩擦部位117を有している。低摩擦部位116は、第1テンショナプーリ33が保持範囲R2に位置するときに第1接触部112と接触する。高摩擦部位117は、第1テンショナプーリ33が揺動範囲R1に位置するときに第1接触部112と接触する。高摩擦部位117の内壁面の摩擦係数は、低摩擦部位116の内壁面の摩擦係数のよりも大きい。
このように第1テンショナプーリ33に設けられた第1接触部112と、リンク113のような移動部材に設けられた第2接触部114との接触により摩擦力を発生させるように摩擦部111を構成してもよい。
本発明の第4実施形態の変形例では、図27および図28に示すように、摩擦部121は、第1接触部112と第2接触部122との接触により摩擦力を発生させる。第2接触部122では、低摩擦部位123は、リンク113の通孔115の内壁のうちリンク113の先端側に設けられており、また、高摩擦部位124は、リンク113の通孔115の内壁のうちリンク113の基端側に設けられている。
第1実施形態では、摩擦部の第1接触部が突起を1つ有していた。これに対して、本発明の他の実施形態では、摩擦部の第1接触部が突起を複数有していてもよい。また、摩擦部の第1接触部および第2接触部の両方が突起を備えていてもよい。
第1実施形態では、摩擦部の第2接触部が低摩擦部位および高摩擦部位を有していた。これに対して、本発明の他の実施形態では、摩擦部の第1接触部が低摩擦部位および高摩擦部位を有していてもよい。
本発明の他の実施形態では、第1オートテンショナおよび第2オートテンショナは、振り子式に限らず、例えばピストン式などの他の形式のオートテンショナであってもよい。また、第1オートテンショナと第2オートテンショナとは、共通の付勢部材を使用するものであったが、別々の付勢部材を使用するものであってもよい。その際、付勢部材は、固定部材とアームとの間に設けられてもよい。
本発明の他の実施形態では、摩擦部は、第1オートテンショナおよび第2オートテンショナのどちらか1つに設けられていてもよい。
本発明の他の実施形態では、オートテンショナが1つだけ、または3つ以上設けられていてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
12・・・ベルト伝動システム
13・・・クランク軸(駆動軸)
14・・・モータ(電動機)
21・・・ベルト
22・・・第1オートテンショナ
23・・・第2オートテンショナ
32、36・・・アーム(移動部)
33・・・第1テンショナプーリ
37・・・第2テンショナプーリ
34・・・付勢部材(付勢部)
51、57、61、71、81、91、101、111、121・・・摩擦部
R1・・・揺動範囲
R2・・・保持範囲
Claims (5)
- ベルト(21)を介して電動機(14)の回転動力を内燃機関(11)の駆動軸(13)に伝達するベルト伝動システム(12)に用いられるオートテンショナであって、
前記ベルトに接触するように設けられるテンショナプーリ(33、37)と、
前記テンショナプーリを前記ベルトに対して張り方向および緩め方向へ移動させる移動部(32、36)と、
前記テンショナプーリを張り方向へ付勢している付勢部(34)と、
前記テンショナプーリの移動範囲のうち一端部および中間部を揺動範囲(R1)と呼ぶとともに他端部を保持範囲(R2)と呼ぶ場合において、前記移動部の動きの抵抗となる摩擦力を、前記テンショナプーリが前記揺動範囲に位置するときよりも前記保持範囲に位置するときの方が大きくなるように発生させるとともに、前記摩擦力を、前記テンショナプーリの位置が前記揺動範囲から前記保持範囲にさしかかるときに増大させる摩擦部(51、57、61、71、81、111、121)と、
を備え、
前記摩擦部は、前記移動部または前記テンショナプーリに設けられている第1接触部(52、62、72、82、112)と、前記移動部および前記テンショナプーリとは別部材(31、113)に設けられている第2接触部(53、63、73、83、114、122)とから構成されており、前記第1接触部と前記第2接触部との接触により前記摩擦力を発生させ、
前記摩擦力の発生方向は、前記第1接触部と前記第2接触部との相対移動方向と平行であるオートテンショナ。 - 前記第1接触部および前記第2接触部の一方(53、63、114、122)は、前記テンショナプーリが前記保持範囲に位置するときに前記第1接触部および前記第2接触部の他方(52、62、112)と接触する面(56、66、117、124)の摩擦係数が、前記テンショナプーリが前記揺動範囲に位置するときに前記第1接触部および前記第2接触部の他方と接触する面(55、65、116、123)の摩擦係数よりも大きくなるように形成されている請求項1に記載のオートテンショナ。
- 前記第1接触部および前記第2接触部の一方(73、83)は、前記テンショナプーリが前記保持範囲に位置するときの前記第1接触部および前記第2接触部の他方(72、82)との接触面圧が、前記テンショナプーリが前記揺動範囲に位置するときの前記第1接触部および前記第2接触部の他方との接触面圧よりも大きくなるように形成されている請求項1に記載のオートテンショナ。
- 前記テンショナプーリが前記揺動範囲に位置するとき前記摩擦部が発生させる摩擦力の大きさは、前記テンショナプーリが前記保持範囲に位置するとき前記摩擦部が発生させる摩擦力の大きさの半分以下であり、かつ、前記テンショナプーリの位置にかかわらず一定である請求項1〜3のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
- 前記ベルト伝動システムは、前記電動機を力行作動させて前記内燃機関を始動するエンジン始動制御、および、前記エンジン始動制御の開始に先立ち前記テンショナプーリを前記保持範囲へ移動させるプーリ位置制御を行い、
前記保持範囲は、前記テンショナプーリの移動範囲のうち、前記エンジン始動制御時に前記テンショナプーリが移動する方向とは反対方向の端部に位置している請求項1〜4のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
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