JP2023070953A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバビリティを確保しつつエンジンを早期に再始動できるハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。【解決手段】複数の気筒を有したエンジン、前記エンジンと車輪との動力伝達経路に設けられたモータ、及び前記動力伝達経路での前記エンジンと前記モータとの間に設けられたクラッチ、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記クラッチが解放状態で燃焼が停止し惰性回転している前記エンジンに再始動要求がある場合に、前記クラッチをスリップ状態にして前記モータにより前記エンジンのクランキングを開始するクランキング制御部と、クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超えた気筒の後に、クランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始する燃焼制御部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置。【選択図】図3
Description
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
エンジンの自動停止後に、クランキングによりエンジンが再始動する場合がある。この再始動の際にエンジンの逆回転が検出されると、燃料への点火を禁止して、逆回転の助長を防ぐ技術がある(例えば特許文献1参照)。
上記の技術はエンジンの逆回転自体を防止するものではないため、逆回転が生じた場合にはエンジンを再始動するのに時間を要する。また、このような逆回転を防止するために、エンジンをクランキングするトルクを急激に増大させることも考えられる。例えばハイブリッド車両では、走行用駆動源であるモータを用いてエンジンをクランキングする場合がある。この場合にクランキングトルクを急激に増大させると、モータ走行中においては、モータの出力トルクのうちクランキングトルクが占める割合が増大する。これにより、走行のためのトルクが低下して、ドライバビリティに影響を与えるおそれがある。
そこで本発明は、ドライバビリティを確保しつつエンジンを早期に再始動できるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的は、複数の気筒を有したエンジン、前記エンジンと車輪との動力伝達経路に設けられたモータ、及び前記動力伝達経路での前記エンジンと前記モータとの間に設けられたクラッチ、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、前記クラッチが解放状態で燃焼が停止し惰性回転している前記エンジンに再始動要求がある場合に、前記クラッチをスリップ状態にして前記モータにより前記エンジンのクランキングを開始するクランキング制御部と、クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超えた気筒の後に、クランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始する燃焼制御部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置によって達成できる。
本発明によれば、ドライバビリティを確保しつつエンジンを早期に再始動できるハイブリッド車両の制御装置を提供できる。
[ハイブリッド車両の概略構成]
図1は、ハイブリッド車両1の概略構成図である。ハイブリッド車両1には、エンジン10から車輪13までの動力伝達経路に、K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び自動変速機19が順に設けられている。エンジン10及びモータ15は、ハイブリッド車両1の走行用駆動源として搭載されている。エンジン10は、例えばV型6気筒ガソリンエンジンであり、気筒♯1~♯6を備えているがこれに限定されない。エンジン10は、複数の気筒を有していれば、直列型のガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び自動変速機19は、変速ユニット11内に設けられている。変速ユニット11と左右の車輪13とは、ディファレンシャル12を介して駆動連結されている。
図1は、ハイブリッド車両1の概略構成図である。ハイブリッド車両1には、エンジン10から車輪13までの動力伝達経路に、K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び自動変速機19が順に設けられている。エンジン10及びモータ15は、ハイブリッド車両1の走行用駆動源として搭載されている。エンジン10は、例えばV型6気筒ガソリンエンジンであり、気筒♯1~♯6を備えているがこれに限定されない。エンジン10は、複数の気筒を有していれば、直列型のガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。K0クラッチ14、モータ15、トルクコンバータ18、及び自動変速機19は、変速ユニット11内に設けられている。変速ユニット11と左右の車輪13とは、ディファレンシャル12を介して駆動連結されている。
K0クラッチ14は、同動力伝達経路上のエンジン10とモータ15との間に設けられている。K0クラッチ14は、油圧の供給に応じて、解放状態、スリップ状態、及び係合状態の何れかに切り替えられる。詳細には、K0クラッチ14が解放状態の場合に油圧供給により、スリップ状態又は係合状態となり、エンジン10とモータ15との動力伝達が接続される。また、K0クラッチ14は、油圧供給の停止に応じて解放状態となって、エンジン10とモータ15との動力伝達を遮断する。尚、スリップ状態とは、K0クラッチ14のエンジン10側の係合要素とモータ15側の係合要素とが所定の回転数差を有して摺接している状態である。係合状態とは、K0クラッチ14の両係合要素が連結しエンジン10とモータ15とが同じ回転数となっている状態である。解放状態とは、K0クラッチ14の双方の係合要素が離間した状態である。
モータ15は、インバータ17を介してバッテリ16に接続されている。モータ15は、バッテリ16からの給電に応じてハイブリッド車両1の駆動力を発生するモータとして機能し、更にエンジン10や車輪13からの動力伝達に応じてバッテリ16に充電する電力を発電する発電機としても機能する。モータ15とバッテリ16との間で授受される電力は、インバータ17により調整されている。
インバータ17は、後述するECU100によって制御され、バッテリ16からの直流電圧を交流電圧に変換し、またはモータ15からの交流電圧を直流電圧に変換する。モータ15がトルクを出力する力行運転の場合、インバータ17はバッテリ16の直流電圧を交流電圧に変換してモータ15に供給される電力を調整する。モータ15が発電する回生運転の場合、インバータ17はモータ15からの交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ16に供給される電力を調整する。
トルクコンバータ18は、トルク増幅機能を有した流体継ぎ手である。自動変速機19は、ギア段の切替えにより変速比を多段階に切替える有段式の自動変速機である。自動変速機19は、動力伝達経路上のモータ15と車輪13の間に設けられている。トルクコンバータ18を介して、モータ15と自動変速機19とが連結されている。トルクコンバータ18には、油圧の供給を受けて係合状態となってモータ15と自動変速機19とを直結するロックアップクラッチ20が設けられている。
変速ユニット11には、更にオイルポンプ21と油圧制御機構22とが設けられている。オイルポンプ21で発生した油圧は、油圧制御機構22を介して、K0クラッチ14、トルクコンバータ18、自動変速機19、及びロックアップクラッチ20にそれぞれ供給されている。油圧制御機構22には、K0クラッチ14、トルクコンバータ18、自動変速機19、及びロックアップクラッチ20のそれぞれの油圧回路と、それらの作動油圧を制御するための各種の油圧制御弁と、が設けられている。
ハイブリッド車両1には、同ハイブリッド車両の制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)100が設けられている。ECU100は、車両の走行制御に係る各種演算処理を行う演算処理回路と、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリと、を備える電子制御ユニットである。ECU100は、ハイブリッド車両の制御装置の一例であり、詳しくは後述するクランキング制御部及び燃焼制御部を機能的に実現する。
ECU100は、エンジン10及びモータ15の駆動を制御する。具体的にはECU100は、エンジン10のスロットル開度、点火時期、燃料噴射量を制御することにより、エンジン10の回転数やトルクを制御する。ECU100は、インバータ17を制御してモータ15とバッテリ16との間での電力の授受量を調整することで、モータ15の回転数やトルクを制御する。またECU100は、油圧制御機構22の制御を通じて、K0クラッチ14やロックアップクラッチ20、自動変速機19の駆動制御を行う。
ECU100には、イグニッションスイッチ71、クランク角センサ72、モータ回転数センサ73、及びエアフロメータ74からの信号が入力される。クランク角センサ72は、エンジン10のクランクシャフトの回転速度を検出する。モータ回転数センサ73は、モータ15の出力軸の回転速度を検出する。エアフロメータ74は、エンジン10の吸入空気量を検出する。
ECU100は、モータモード及びハイブリッドモードの何れかの走行モードでハイブリッド車両1を走行させる。モータモードでは、ECU100はK0クラッチ14を解放し、モータ15の動力により走行する。ハイブリッドモードでは、ECU100はK0クラッチ14を係合状態に切り替えて少なくともエンジン10の動力により走行する。尚、ハイブリッドモードでは、エンジン10のみの動力で走行するモード、モータ15を力行運転させてエンジン10及びモータ15の双方を動力源として走行するモードを含む。
走行モードの切り替えは、車速やアクセル開度から求められた車両の要求駆動力と、バッテリ16の充電状態などに基づいて行われる。例えば、要求駆動力が比較的小さくバッテリ16の蓄電残量を示すSOC(State Of Charge)が比較的高い場合には、燃費を向上させるためにエンジン10を停止したモータモードが選択される。要求駆動力が比較的大きい場合やバッテリ16のSOCが比較的低い場合には、少なくともエンジン10が駆動したハイブリッドモードが選択される。
ECU100は、ハイブリッドモード又はエンジンモードにおいて、所定の停止条件が成立した場合にエンジン10を自動停止させ、所定の再始動条件が成立した場合に自動停止したエンジン10を再始動させる間欠運転制御を実行する。例えばECU100は、ハイブリッドモード又はエンジンモードにおいてアクセル開度がゼロになった場合に、自動停止条件が成立したものとしてエンジン10を自動停止させる。また、ECU100は、アクセル開度がゼロよりも大きくなった場合に、再始動条件が成立したものとしてエンジン10を自動で再始動させる。尚、エンジン10を自動停止させる際には、ECU100はK0クラッチ14を解放して燃料噴射を停止する。エンジン10を自動で再始動させる際には、ECU100はK0クラッチ14を介してモータ15によりエンジン10をクランキングして燃料噴射及び点火を開始し、その後にK0クラッチ14を係合させる。
[エンジンの概略構成]
図2は、エンジン10の概略構成図である。エンジン10は、気筒♯1、ピストン31、コネクティングロッド32、クランク軸33、吸気通路35、吸気バルブ36、排気通路37、及び排気バルブ38を有している。図2には、エンジン10が有する複数の気筒♯1~♯6のうち気筒♯1のみを示している。気筒♯1では混合気の燃焼が行われる。ピストン31は、気筒♯1に往復動可能に収容され、エンジン10の出力軸であるクランク軸33にコネクティングロッド32を介して連結されている。コネクティングロッド32及びクランク軸33は、ピストン31の往復運動をクランク軸33の回転運動に変換する。
図2は、エンジン10の概略構成図である。エンジン10は、気筒♯1、ピストン31、コネクティングロッド32、クランク軸33、吸気通路35、吸気バルブ36、排気通路37、及び排気バルブ38を有している。図2には、エンジン10が有する複数の気筒♯1~♯6のうち気筒♯1のみを示している。気筒♯1では混合気の燃焼が行われる。ピストン31は、気筒♯1に往復動可能に収容され、エンジン10の出力軸であるクランク軸33にコネクティングロッド32を介して連結されている。コネクティングロッド32及びクランク軸33は、ピストン31の往復運動をクランク軸33の回転運動に変換する。
吸気通路35は、気筒♯1の吸気ポート35pに吸気バルブ36を介して接続されている。排気通路37は、気筒♯1の排気ポート37pに排気バルブ38を介して接続されている。吸気通路35には、上述したエアフロメータ74、及び吸入空気量を調整するスロットル弁40が設けられている。排気通路37には排気浄化用の触媒43が設けられている。
気筒♯1には筒内噴射弁41が設けられている。筒内噴射弁41は気筒♯1内に直接燃料を噴射する。尚、筒内噴射弁41に加えて、または筒内噴射弁41の代わりに、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射弁が設けられていてもよい。各気筒♯1には、吸気通路35を通じて導入された吸気と筒内噴射弁41が噴射した燃料との混合気を火花放電により点火する点火装置42が設けられている。
[エンジン再始動制御]
上述したように間欠運転制御の実行中において、アクセル開度がゼロとなってエンジン10が自動停止した直後に、再びアクセル開度が増大してエンジン10の再始動が要求される場合がある。また、エンジン10の始動失敗後に、エンジン10の再始動が要求される場合もある。このような再始動要求時にエンジン10は、燃焼は停止しているが惰性で回転している場合がある。この場合には、エンジン10の惰性回転中にK0クラッチ14を介してモータ15によりクランキングが開始され、エンジン10が再始動される。
上述したように間欠運転制御の実行中において、アクセル開度がゼロとなってエンジン10が自動停止した直後に、再びアクセル開度が増大してエンジン10の再始動が要求される場合がある。また、エンジン10の始動失敗後に、エンジン10の再始動が要求される場合もある。このような再始動要求時にエンジン10は、燃焼は停止しているが惰性で回転している場合がある。この場合には、エンジン10の惰性回転中にK0クラッチ14を介してモータ15によりクランキングが開始され、エンジン10が再始動される。
再始動時のエンジン10には、正回転方向のトルクと逆回転方向のトルクとが作用する。正方向回転のトルクは、主にクランキング開始直前の惰性回転中でのイナーシャトルクと、モータ15によるクランキングトルクと、燃焼開始により生じる燃焼トルクとによるものである。イナーシャトルクは、惰性回転中でのエンジン回転数が大きいほど増大する。また、モータ15によるクランキングトルクは、クランキング開始直前のゼロの状態から徐々に増大する。
逆回転方向のトルクは、主に筒内でピストン31により圧縮された空気の反発力によるものである。燃焼開始前の惰性回転中であっても、ピストン31の往復と吸気バルブ36及び排気バルブ38の開閉とにより、空気の筒内への導入、圧縮、及び排出が繰り返されているからである。このような圧縮空気の反発力は、クランク角が圧縮下死点から圧縮上死点に近づくにつれ増大し、圧縮上死点で最大となる。従ってエンジン10の再始動の際に、正回転方向のトルクが逆回転方向のトルクよりも大きいと、エンジン10の逆回転を抑制してエンジン10を再始動することができる。
ここで、惰性回転中でのエンジン回転数が低くクランキングトルクも小さい状態で燃焼が開始されると、正回転方向のトルクよりも逆回転方向のトルクが増大し、エンジン10が逆回転するおそれがある。従って、クランキング開始直後から正回転方向のトルクが逆回転方向よりも常時大きくなるように、モータ15のクランキングトルクを急激に増大させることが考えられる。しかしながらハイブリッド車両1がモータ15により走行中であった場合には、モータ15の出力トルクのうちクランキングトルクが占める割合が増大する。このため、走行のためのトルクが低下してドライバビリティに影響を与えるおそれがある。
本実施例では、ECU100はエンジン10のクランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超えた気筒の後に、クランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始する。換言すれば、クランキング開始後に最初にクランク角度が圧縮上死点を超える気筒では燃焼が停止され、2番目にクランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼が開始される。クランキング開始からクランキングトルクを徐々に増大させたとしても、クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超えた後には、クランキングトルクは十分に増大している。このため、次にクランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始することにより、エンジン10の逆回転を抑制することができる。尚、エンジン10はV型6気筒ガソリンエンジンであるため、気筒♯1~♯6のそれぞれが圧縮上死点となるクランク角度は、例えば0度、120度、240度、360度、480度、600度である。
図3は、エンジン始動制御の一例を示したタイミングチャートである。図3には、エンジン回転数[rpm]、モータ回転数[rpm]、K0クラッチ14の状態、経過クランク角度[deg]、及びエンジン10での燃焼状態を示している。経過クランク角度とは、エンジン10のクランキングが開始されてから経過したクランク角度である。モータ回転数は一点鎖線で示しており、その他は実線で示している。
時刻t0では、K0クラッチ14が解放状態でモータ15により走行中であり、エンジン10は燃焼が停止して惰性回転中であり、エンジン回転数が徐々に低下している。エンジン回転数が所定回転数α以下でエンジン10の再始動要求があると、時刻t1でK0クラッチ14が解放状態からスリップ状態に切り替えられ、エンジン10のクランキングが開始される。所定回転数αは、クランキング開始後に最初にクランク角度が圧縮上死点となる気筒から燃焼を開始した場合に、エンジン10が逆回転するおそれがあるエンジン回転数の最大値に設定されている。所定回転数αは予め実験により取得され、ECU100のメモリに記憶されている。
経過クランク角度が所定角度θ以下では燃焼が停止され、経過クランク角度が所定角度θを超えた時刻t2以降で燃焼が開始される。ここで所定角度θは、クランキング開始時点でのクランク角度から、最初の圧縮上死点までのクランク角度である。従って所定角度θは、クランキング開始時点でのクランク角度に応じて変動する変動値である。所定角度θは、クランキング開始後に最初に圧縮上死点となるクランク角度から、クランキング開始時点でのクランク角度を減算することにより算出される。
エンジン10の燃焼が開始されると、エンジン回転数がモータ回転数にまで上昇して、時刻t3でK0クラッチ14がスリップ状態から係合状態に切り替えられる。このようにしてエンジン10が再始動される。
[ECUが実行するエンジン再始動制御]
図4は、ECU100が実行するエンジン再始動制御の一例を示したフローチャートである。本制御は、イグニッションがオンの状態で所定の周期ごとに繰り返し実行される。ECU100は、エンジン10の再始動要求があるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1でNoの場合には、本制御を終了する。
図4は、ECU100が実行するエンジン再始動制御の一例を示したフローチャートである。本制御は、イグニッションがオンの状態で所定の周期ごとに繰り返し実行される。ECU100は、エンジン10の再始動要求があるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1でNoの場合には、本制御を終了する。
ステップS1でYesの場合には、ECU100はエンジン回転数が所定回転数α以下であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2でNoの場合、即ちエンジン10の再始動要求があった時点でのエンジン回転数が比較的高い場合、ECU100はエンジン10のクランキングを開始して(ステップS3)、燃焼を開始する(ステップS4)。エンジン回転数が所定回転数αよりも大きい場合には、正回転方向のイナーシャトルクが未だに大きく、クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点となる気筒から燃焼を開始しても、逆回転のおそれは少ないからである。
ステップS2でYesの場合には、ECU100はエンジン回転数が0より大きいか否か、換言すればエンジン10が停止していないか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5でNoの場合、即ちエンジン10の回転が停止している場合には、ECU100は回転停止時間が所定時間T以下であるか否かを判定する(ステップS6)。所定時間Tは、回転停止してから筒内圧力が大気圧に戻るのに必要な時間に設定されている。ステップS6でNoの場合、即ちエンジン10の回転が停止して所定時間Tが経過した場合には、ECU100はエンジン10のクランキングを開始して(ステップS3)、燃焼を開始する(ステップS4)。回転停止から所定時間T経過後では筒内圧力が大気圧に戻っているため、クランキング開始後の最初にクランク角度が圧縮上死点となる気筒内での圧縮空気の反発力は弱く、この気筒から燃焼を開始しても逆回転のおそれは少ないからである。
ステップS5又はS6でYesの場合、ECU100はモータ15によるエンジン10のクランキングを開始し(ステップS7)、経過クランク角度が所定角度θ以下であるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS7の処理は、クランキング制御部が実行する処理の一例である。ステップS8でYesの場合、ECU100は再度ステップS8の処理を実行する。ステップS8でNoの場合、ECU100は、クランク角度が所定角度θを超えてから次にクランク角度が圧縮上死点となる予定の気筒から燃焼を開始する(ステップS4)。ステップS4及びS8の処理は、燃焼制御部が実行する処理の一例である。
このようにクランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超える気筒では燃焼を停止し、次にクランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始する。これにより、エンジン10の逆回転を抑制して早期に再始動することができる。また、クランキングトルクを急激に増大させることなくエンジン10を再始動することができるため、モータ15により走行中であっても、ドライバビリティに影響を与えることなくエンジン10を再始動することができる。
上記実施例ではクランキング開始後の2番目にクランク角度が圧縮上死点を超える気筒から燃焼を開始したがこれに限定されない。例えば、クランキング開始後の3番目以降にクランク角度が圧縮上死点を超える気筒から燃焼を開始してもよい。例えばモータ15によるクランキングトルクの上昇が緩やかであり、クランキング開始後に2番目にクランク角度が圧縮上死点となる時点でもクランキングトルクが十分ではない場合に好適である。但し、エンジン回転数が自立運転可能となるまでの間に燃焼を開始する必要がある。また、エンジン10を早期に再始動する観点からは、上記実施例のようにできるだけ早く燃焼を開始することが好ましい。
また、上記実施例ではエンジン回転数が所定回転数α以下の場合に、クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超える気筒については燃焼を停止したが、これに限定されない。即ち、惰性回転中でのエンジン回転数に関わらずに、常にクランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超える気筒については燃焼を停止してもよい。惰性回転中での正回転方向のイナーシャトルクは、エンジン10のフリクションロスが大きい場合には早期に低下し、惰性回転中でのエンジン回転数が高い場合であっても、クランキング開始後に直ちに燃焼を開始すると逆回転する場合があり得るからである。
上記実施例では、単一のECU100によりハイブリッド車両を制御する場合を例示したが、これに限定されず、例えばエンジン10を制御するエンジンECU、モータ15を制御するモータECU、K0クラッチ14を制御するクラッチECU等の複数のECUによって、上述した制御を実行してもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 エンジン
14 K0クラッチ
15 モータ
100 ECU(制御装置、クランキング制御部、燃焼開始部)
14 K0クラッチ
15 モータ
100 ECU(制御装置、クランキング制御部、燃焼開始部)
Claims (1)
- 複数の気筒を有したエンジン、前記エンジンと車輪との動力伝達経路に設けられたモータ、及び前記動力伝達経路での前記エンジンと前記モータとの間に設けられたクラッチ、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチが解放状態で燃焼が停止し惰性回転している前記エンジンに再始動要求がある場合に、前記クラッチをスリップ状態にして前記モータにより前記エンジンのクランキングを開始するクランキング制御部と、
クランキング開始後に初めてクランク角度が圧縮上死点を超えた気筒の後に、クランク角度が圧縮上死点を超える予定の気筒から燃焼を開始する燃焼制御部と、を備えたハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021183451A JP2023070953A (ja) | 2021-11-10 | 2021-11-10 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2021
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