JP2019183243A - 熱処理鋼板の製造方法及び鋼板冷却装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、鋼板(特に厚さ3mm以上の厚鋼板)の熱処理には、非特許文献1、2に開示されている熱処理設備が用いられている。この非特許文献1,2においては、加熱炉で鋼板を加熱し、ローラクエンチ装置によって鋼板の冷却を行う構成とされている。
非特許文献1に開示された熱処理設備においては、ローラクエンチ装置の後段側に、ローラレベラ装置を配置し、鋼板の形状を矯正している。しかしながら、上述のような、例えば、マルテンサイト組織からなる高強度の熱処理鋼板等においては、形状矯正を効率的に行うことができなかった。また、板厚が薄いものでは、十分に形状矯正を行うことができないといった問題があった。
このように、従来のローラクエンチ装置等を用いて鋼板を冷却した場合には、鋼板の変形を十分に抑制することはできなかった。
請求項1に記載の発明は、AC3変態点以上に加熱された鋼板を上下で対をなす複数のローラ対からなるローラ群で搬送しながら冷却して熱処理する熱処理鋼板の製造方法であって、前記鋼板の変態開始位置の通板方向上流側にあり前記変態開始位置に最も近いローラ対から前記鋼板の変態終了位置の通板方向下流側にあり前記変態終了位置に最も近いローラ対までの間は、前記鋼板をローラ対により挟圧して冷却し、前記挟圧を開始するローラ対よりも通板方向上流側は、ローラ対と前記鋼板との間に間隙を形成して冷却することを特徴とする。
その結果、冷却中、冷却後における鋼板の面外変形を抑制することができる。
また、変態終了位置とは、同様に、例えば、予め実験やシミュレーション等によって見出した、適応する熱処理鋼板の製造工程の通板方向において変態が終了する位置(変態終了が予定される位置を含む)をいう。
また、この明細書において、挟圧とは、上下で対をなすローラ対の間隔を、(−0.1%板厚)〜(板厚+2mm)に設定して、鋼板を通過させることをいう。
また、変態開始位置の最も近傍に配置されたローラ対よりも通板方向の上流側に位置するローラ対の通板方向におけるピッチが、挟圧に用いるローラ対の通板方向におけるピッチよりも大きく設定されていて、上流側に位置するピッチが大きいローラ対によって上下から挟んで負荷を与えて冷却するので、通板方向の熱歪による塑性歪により大きな面外変形が発生するものの、面外変形が挟圧に用いるローラ対のピッチより大きなうねり状であるので、変態領域において挟圧することで平坦にすることができる。
また、この発明に係る鋼板冷却装置によれば、大きな面外変形が発生するものの、面外変形が大きなうねり状であるので、変態領域において挟圧することで平坦にすることができる。
図1は第1の実施形態に係る鋼板冷却装置の概略構成を示す図であり、符号1は、鋼板冷却装置を示している。又、図2は、鋼板冷却装置1の詳細構成及び作用を説明する図であり、図3は、鋼板冷却装置1による熱処理鋼板の製造工程の概略を示すフローチャートである。
なお、通板方向の下流側とは鋼板冷却装置1のいずれかの位置に対して鋼板搬出側を意味し、通板方向の上流側とは鋼板搬入側を意味する。
また、ローラ群2を構成するローラのうち、少なくとも鋼板の変態開始位置から変態終了位置までの間に位置するローラは、鋼板を挟圧する方向に独立して駆動可能とされている。また、ローラ群2を構成するローラRは、例えば、直径φ200mm、ロールピッチが300mmとされている。なお、ローラ径及びピッチは、これに限定されるものではない。
この実施形態において、変態開始位置P1及び変態終了位置P2は、例えば、予め実験、又はシミュレーション等により検証され、鋼板Wの厚さ、幅ごとに設定されている。
なお、変態開始位置及び変態終了位置が変動せず既知である場合には、変態開始位置の上流側において変態開始位置に最も近接するローラ対から変態終了位置の下流側において変態終了位置に最も近接するローラ対までのローラ対が一体に駆動される構成としてもよい。
なお、上側ローラR1の下降及び上側ローラR1による鋼板Wの挟圧を、油圧シリンダ以外のアクチュエータにより行ってもよい。
また、上側ローラR1と下側ローラR2により鋼板Wを挟圧する場合には、挟圧開始位
置、挟圧終了位置、挟圧力等を設定可能とされている。
(2)次に、加熱炉10から搬出された鋼板Wが、搬入ローラRIにより鋼板冷却装置1のローラ群2に搬入される(S1)。
(3)鋼板冷却装置1において、ローラ群2により搬送される鋼板Wは各ローラ対Rとの間に間隙Kが形成されているので、AC3変態点以上の無負荷区間ZFにおいて無負荷冷却される(S2)。
(4)制御部(不図示)は、温度センサTが検出した鋼板Wの温度に基づいて、変態開始位置P1、変態終了位置P2(挟圧区間ZP)を算出する(S3)。
(5)制御部は、予め設定された変態開始位置が制御部から指示されて、挟圧区間ZPに配置された上側ローラR1を下降させて、変態開始位置P1〜変態終了位置P2までの範囲において鋼板Wを挟圧する(S4)。
(6)鋼板WがAC3変態点に到達し、AC3変態が開始する(S5)。変態開始位置P1において、鋼板Wは挟圧されている。
(7)鋼板WのAC3変態が終了する(S6)。変態終了位置P2では、鋼板Wは挟圧されている。
(8)鋼板WのAC3変態が終了した直後の上側ローラRBは下降されて鋼板Wを挟圧しており、上側ローラRBを通過したら挟圧領域が終了する(S7)。
(9)鋼板冷却装置1において、変態終了後の無負荷区間ZFでは、ローラ群2により搬送される鋼板Wは各ローラ対Rとの間に間隙Kが形成されていて、鋼板Wは無負荷冷却される(S8)。
(10)搬出ロール(不図示)により、鋼板Wが鋼板冷却装置1から搬出される(S9)。
(11)鋼板Wの冷却が終了する(S10)。
図4は第2の実施形態に係る鋼板冷却装置の概略構成を示す図であり、符号1Aは、鋼板冷却装置を示している。又、図5は、鋼板冷却装置1Aの詳細構成を説明する図であり、図6は、鋼板冷却装置1Aによる熱処理鋼板の製造工程の概略を示すフローチャートであり、図7は、鋼板冷却装置1Aによる熱処理鋼板の製造工程における作用の概略を説明する図である。
また、ローラ群2Aを構成するローラのうち、少なくとも鋼板Wの変態開始位置から変態終了位置までの間に位置するローラ対Rは、鋼板を挟圧する方向に独立して駆動可能とされている。
なお、変態開始位置P1と変態終了位置P2のいずれか一方が変動する場合には、挟圧開始ローラRAや挟圧終了ローラRBを担う上側ローラR1を変更してもよい。また、変態開始位置P1及び変態終了位置P2に基づく挟圧開始ローラRA及び挟圧終了ローラRBが、変動しない場合には、挟圧区間ZPを構成する上側ローラR1が一体に駆動される構成としてもよい。
また、上側ローラR1と下側ローラR2により鋼板Wを挟圧する場合には、挟圧開始位置、挟圧終了位置、挟圧力等を設定可能とされている。
温度センサTは、鋼板Wの温度を確認するようになっている。
図6において、四角枠は制御部からの指示によるものを、長円は製造工程において現れる作用を示している。
(2)次に、加熱炉10から搬出された鋼板Wが、搬入ローラRIにより鋼板冷却装置1Aのローラ群2Aに搬入される(S11)。
(3)予備挟圧区間ZGにおいて、鋼板Wをピッチが広く設定された予備挟圧ローラ対RGによる挟圧を開始する(S12)。
(4)鋼板冷却装置1Aにおいて、AC3変態点以上の予備挟圧区間ZGでは、鋼板Wは予備挟圧ローラ対RGにより挟圧されながら負荷冷却される(S13)。
(5)予備挟圧区間ZGにおける挟圧が終了する(S14)。
(6)制御部(不図示)は、挟圧区間ZPに配置された上側ローラR1を下降して鋼板Wを挟圧する(S15)。
(7)鋼板WがAC3変態点に到達し、AC3変態が開始する(S16)。変態開始位置P1において、鋼板Wは挟圧されている。
(8)鋼板WのAC3変態が終了する(S17)。変態終了位置P2では、鋼板Wは挟圧されている。
(9)鋼板WのAC3変態が終了した直後の上側ローラRBは下降されて鋼板Wを挟圧しており、上側ローラRBを通過したら挟圧領域が終了する(S18)。
(10)鋼板冷却装置1において、変態終了後の無負荷区間ZFでは、ローラ群2により搬送される鋼板Wは各ローラ対Rとの間に間隙Kが形成されていて、鋼板Wは無負荷冷却される(S19)。
(11)搬出ロール(不図示)により、鋼板Wが鋼板冷却装置1から搬出される(S20)。
(12)鋼板Wの冷却が終了する(S21)。
第2の実施形態に係る熱処理鋼板の製造工程では、図7に示すように、鋼板Wが加熱炉10から搬出されて冷却を開始する際に、変態開始位置P1〜変態終了位置P2までの変態領域において、鋼板Wを挟圧するローラ対Rよりも大きなロールピッチで配列された予備狭圧ロール対RGで挟圧するので、予備狭圧ロール対RGごとに発生する波ピッチはローラ対Rのロールピッチより大きく形成される。その結果、変態領域において、鋼板Wをローラ対Rにより挟圧することにより、鋼板Wを平坦にすることができる。
例えば、上記実施の形態においては、ローラ群2を構成するすべてのローラ対Rの上側ローラR1が独立して駆動可能な場合について説明したが、一部のローラ対Rの上側ローラR1が独立して駆動可能な構成としてもよい。また、ローラ群2Aについても、一部のローラ対Rの上側ローラR1、一部の予備挟圧ローラ対RGの上側ローラRG1が独立して駆動可能な構成としてもよい。
また、AC3変態の開始を推定し又は確認可能な周知の手段や周知とされていない手段を本発明に適用してもよいことはいうまでもない。
2、2A ローラ群
4 水冷ノズル
10 加熱炉
G ギャップ
K 間隙
P1 変態開始位置
P2 変態終了位置
R ローラ対
RG 予備挟圧ローラ対
R1、RG1 上側ローラ(ローラ)
R2、RG2 下側ローラ(ローラ)
RA 挟圧開始ローラ
RB 挟圧終了ローラ
J 通板方向
T 温度センサ
ZF 無負荷区間
ZG 予備挟圧区間
ZP 負荷区間
Claims (7)
- AC3変態点以上に加熱された鋼板を上下で対をなす複数のローラ対からなるローラ群で搬送しながら冷却して熱処理する熱処理鋼板の製造方法であって、
前記鋼板の変態開始位置の通板方向上流側にあり前記変態開始位置に最も近いローラ対から前記鋼板の変態終了位置の通板方向下流側にあり前記変態終了位置に最も近いローラ対までの間は、前記鋼板をローラ対により挟圧して冷却し、
前記挟圧を開始するローラ対よりも通板方向上流側は、ローラ対と前記鋼板との間に間隙を形成して冷却することを特徴とする熱処理鋼板の製造方法。 - AC3変態点以上に加熱された鋼板を上下で対をなす複数のローラ対からなるローラ群で搬送しながら冷却して熱処理する熱処理鋼板の製造方法であって、
前記鋼板の変態開始位置よりも通板方向の上流側にあり前記変態開始位置の最も近傍に配置されたローラ対から前記鋼板の変態終了位置よりも前記通板方向の下流側に搬送されるまで、ローラ対により前記鋼板を挟圧して冷却し、
前記変態開始位置側において挟圧を開始するローラ対よりも前記通板方向の上流側では、前記通板方向におけるピッチを前記挟圧に用いるローラ対よりも長く設定したローラ対によって上下から挟んで負荷を与えた状態で冷却することを特徴とする熱処理鋼板の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の熱処理鋼板の製造方法であって、
前記鋼板に対する挟圧力を、対応するローラ間のギャップにより制御することを特徴とする熱処理鋼板の製造方法。 - AC3変態点以上に加熱された鋼板を上下で対をなす複数のローラ対からなるローラ群で搬送しながら冷却を行なう鋼板冷却装置であって、
前記鋼板の変態開始位置よりも通板方向の上流側にあり前記変態開始位置の最も近傍に配置されたローラ対から前記鋼板の変態終了位置よりも前記通板方向の下流側に搬送されるまでの間に配置されたローラ対により、前記鋼板を挟圧して冷却し、
前記変態開始位置側において挟圧を開始するローラ対よりも前記通板方向の上流側のローラ対は、前記鋼板との間に間隙が形成されるように構成されていることを特徴とする鋼板冷却装置。 - AC3変態点以上に加熱された鋼板を上下で対をなす複数のローラ対からなるローラ群で搬送しながら冷却を行なう鋼板冷却装置であって、
前記鋼板の変態開始位置よりも通板方向の上流側にあり前記変態開始位置の最も近傍に配置されたローラ対から前記鋼板の変態終了位置よりも前記通板方向の下流側に搬送されるまでの間に配置されたローラ対により、前記鋼板を挟圧して冷却し、
前記変態開始位置側において挟圧を開始するローラ対よりも前記通板方向の上流側のローラ対は、前記通板方向におけるピッチを前記挟圧に用いるローラ対よりも長く設定されていることを特徴とする鋼板冷却装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の鋼板冷却装置であって、
前記鋼板に対する挟圧力を、対応するローラ間のギャップにより制御するように構成されていることを特徴とする鋼板冷却装置。 - 請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の鋼板冷却装置であって、
前記ローラ群を構成するローラ対のうち、前記鋼板の変態開始位置から変態終了位置までの間に位置するローラ対は、前記鋼板を挟圧する方向に独立して前記ローラを駆動するように構成されていることを特徴とする鋼板冷却装置。
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