JP2019183108A - 積層体の製造方法、およびロール状の積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に凹凸構造を備えた粘着シートであって、凹凸構造を転写した粘着シートを貼着する際の空気の抜けが良好であり、貼着した後に当該凹凸構造を見え難くすることができる新たな積層体の製造方法の提供。【解決手段】支持体と、粘着層からなる粘着シートと、離型フィルムとが順次積層してなる構成を備えた積層体の製造方法であって、離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えており、当該凹凸構造は、平面視した際、凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えたものであり、離型フィルムの凹凸層の表面に粘着層を積層させることにより、離型フィルムと積層する粘着層の一方の表面に凹凸構造を転写すると共に、粘着シートの他方の表面に支持体を積層することを特徴とする、積層体の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、表面に凹凸構造を備えた粘着シートを備えた積層体の製造方法に関する。
建物の壁や窓、自動車の装飾や窓、携帯電話やパーソナルコンピューターの画像表示部などに、例えば装飾フィルム、紫外線遮断フィルム、ブルーライト遮断フィルム、耐擦傷フィルム、耐熱フィルム、飛散防止フィルム、指紋や皮脂付着防止フィルムなど、各種機能を備えた粘着シート(「機能性粘着シート」と称する)を貼り付けることが行われている。
このような機能性粘着シートを被着面に貼り合わせる際、空気を巻き込んで、被着体表面と機能性粘着シートの間に気泡ができてしまうことがある。機能性粘着シートと被着体との間に気泡が残留すると、美観を損ねるばかりでなく、機能性粘着シートが備える機能を低下させる場合もある。
そこで、機能性粘着シートを貼り合わせる際、このような空気の巻き込みを防ぐため、機能性粘着シートの表面に凹凸を設け、機能性粘着シートと被着面との間に巻き込まれた空気を外部に逃がしやすくする工夫がなされている。
例えば特許文献1では、相互に連結した複数の線状隆起部より構成されるエンボスパターンを有する剥離ライナーおよび前記剥離ライナーを使用した接着シート物品が開示されている。このような凹凸形状を有する粘着シートは、被着体に貼付する際に巻き込まれた空気が当該凹凸形状を介して外部に逃げやすいため、被着体と粘着シートの間に空気の溜りが発生しにくくなる。
特許文献2には、シート基材上に粘着剤層が設けてある粘着シートおよびその製造方法として、粘着剤層が、混合溶剤から粘着剤を相分離させて形成した点状物であるとともに、製造する際には、粘着剤と、この粘着剤の良溶媒及び貧溶媒からなる混合溶剤とを含有する塗布液を、シート基材上に塗布する工程と、混合溶剤を蒸発させるとともに、粘着剤を相分離させて、点状物を形成する工程とを含むことを特徴とすることが開示されている。
特許文献3には、基材上に粘着性を有する樹脂層を設けた粘着シートであり、樹脂層に微粒子を含有することで不定形の凹部が自己形成されていることが開示されている。
また、特許文献4には、基材に特定のアルキル化メラミン樹脂を主成分として含む硬化性材料を塗布して硬化することで、その硬化膜表面に、粗面化効果が高く、かつランダムなパターンの凹凸が形成する方法により、基材と、基材の上に設けられた樹脂層と、樹脂層の基材と反対側の面に設けられた剥離剤層とを備える離型フィルムであって、樹脂層が、炭素数4〜18のアルキル基を有するアルキル化メラミン樹脂を主成分として含む硬化性材料を硬化してなるものであり、剥離剤層の表面には、平均山高さが0.5μm以上となる稜線が存在するように凹凸が設けられた離型フィルムが開示されている。
特開2006−70273号公報 特開2004−277534号公報 WO2015/152352号公報 特開2016−188344号公報
表面に凹凸構造を備えた機能性粘着シートに関しては、当該凹凸構造の凹凸深さが大きければ、空気を逃がしやすいという利点がある反面、粘着シートを貼着した後に、当該凹凸の模様が見えてしまって外観を損ねることがあるという問題を抱えていた。
そこで本発明は、表面に凹凸構造を備えた粘着シートを備えた積層体の製造方法に関し、そのような粘着シートを容易に作製することができ、かつ、当該粘着シートを容易に使用することができ、さらには、凹凸構造を転写した粘着シートを貼着する際の空気の抜けが良好であり、それでいて、当該粘着シートを粘着した後に当該凹凸構造を見え難くすることができる、新たな積層体の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、支持体と、粘着層からなる粘着シートと、離型フィルムとが順次積層してなる構成を備えた積層体の製造方法であって、
前記離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えており、且つ、当該凹凸構造は、平面視した際、当該凹凸構造の凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えたものであり、
離型フィルムの前記凹凸層の表面(「凹凸層表面」と称する)に粘着層を積層させることにより、当該離型フィルムと積層する粘着層の一方の表面に前記凹凸構造を転写すると共に、当該粘着シートの他方の表面に支持体を積層することを特徴とする、積層体の製造方法を提案する。
本発明が提案する積層体の製造方法によれば、表面に凹凸構造を備えた離型フィルムに粘着層を積層させることにより、当該離型フィルムの凹凸構造を粘着層に転写することができるから、表面に凹凸構造を備えた粘着層からなる粘着シートを容易に作製することができる。しかも、製造した状態で離型フィルムを剥がさずに積層体を保存しておけば、粘着層に転写された凹凸構造が変形することなく形状を維持することができる。そのため、離型フィルムを剥離すれば、当該粘着シートをそのまま容易に使用することができる。
さらに、粘着層に転写される凹凸構造は、凹凸構造の凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えているため、当該粘着シートを貼着する際の空気の抜けを良好にすることができるばかりか、粘着後に当該凹凸構造を見え難くすることができる。
実施例1で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例2で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例3で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例4で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例5で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例6で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例7で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例8で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 実施例9で作製した離型フィルム(サンプル)の凹凸層表面をVertScan(登録商標)で検出した拡大画像(スケール:703.12μm×937.42μm)である。 上記図1〜9における拡大画像のスケール図であり、右の縦帯において、白い部分が凸部、黒い部分が凹部に相当する。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本積層体製造方法>>
本発明の実施形態の一例に係る積層体の製造方法(「本積層体製造方法」と称する)は、支持体(「本支持体」と称する)と、粘着層(「本粘着層」と称する)からなる粘着シート(「本粘着シート」と称する)と、一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えた離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)とが順次積層してなる構成を備えた積層体の製造方法であって、離型フィルムの前記凹凸層の表面(「凹凸層表面」と称する)に本粘着層を積層させることにより、本離型フィルムと積層する本粘着シートの一方の表面に前記凹凸構造を転写すると共に、本粘着シートの他方の表面に本支持体を積層することを特徴とする、積層体の製造方法である。
以下、本積層体製造方法で用いる[本支持体]、[本離型フィルム]について説明した後、[本粘着シートまたは本積層体の積層方法]について説明し、さらに[本積層体の使用]について説明する。
[本支持体]
本支持体は、本発明の製造方法が適用できる限り、薄片状のものや、しなやかな素材に限定されるものではなく、射出成型体や構造材など立体的な形状であってもよいし、剛性の高い材料であってもよい。本積層体においては、支持体として剛性の高い材料を使用した場合であっても、離型フィルムを剥離した粘着シート面の空気抜け性が非常に良好であるので、好適に使用することができる。
一方、本支持体は、粘着シートを最低限被覆し得るような極めて薄い層、例えば、蒸着や塗布によって形成された薄層であってもよい。
これらの中でも、本支持体としては、薄板状、フィルム状のものであることが好ましく、紙、各種樹脂フィルム、紙基材を樹脂でラミネートした支持体、ガラス板、金属箔、金属箔を樹脂でラミネートした支持体等が好適である。
また、本支持体として離型フィルムを用いることにより、粘着シートの両面に離型フィルムを有する両面粘着シートとすることもできる。この場合、少なくとも一方の離型フィルムが後述する本離型フィルムであれば、他方の離型フィルムは任意である。
本支持体としては、粘着シートを形成しやすくしたり、取り扱いしやすくしたりするための部材であればよいから、材料を限定するものではない。例えば紙、各種樹脂フィルムや樹脂板、樹脂成型体(射出成型品)、紙基材を樹脂でラミネートした支持体、ガラス、金属箔や金属板、金属箔を樹脂でラミネートした支持体、セラミックス等を使用することができ、これらの複合体や積層体も包含される。但し、これらに限定するものではない。
上記紙支持体としては、例えば薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等を挙げることができる。
上記樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂等の各種樹脂を主成分樹脂とする樹脂フィルムを挙げることができる。樹脂フィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
上記紙支持体を樹脂でラミネートした支持体としては、例えば上記の紙支持体をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等を挙げることができる。
また、上記金属箔からなる支持体としては、アルミフォイル等を挙げることができる。
これらの中でも、切断時に紙粉が発生せず、また凹凸構造を転写する粘着シート等にも紙粉の付着が生じないことから、上記樹脂フィルムが好ましく、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の観点から、ポリエステルを主成分樹脂とする樹脂フィルムであるのがより好ましく、特にポリエチレンテレフタレートを主成分樹脂とする樹脂フィルムであるのがさらに好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、支持体を構成する樹脂の中でも最も含有量の多い樹脂を意味し、具体的には50質量%以上、中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂を言う。
本支持体がフィルム状である場合、単層構成のものであってもよいし、同種又は異種の樹脂を主成分とする2層以上の複層構成のものであってもよい。
本支持体の厚さは任意である。一般的には5μm〜500μmであるのが好ましく、中でも10μm以上或いは300μm以下、その中でも15μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
本支持体として樹脂フィルムを用いる場合、易滑性の付与を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。
本支持体に含有させる粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子のほか、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。
当該粒子の形状に関しても特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。
また、当該粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は、5μm以下であるのが好ましく、中でも0.1μm以上或いは3μm以下であるがさらに好ましい。上記粒子の平均粒径が当該範囲であれば、本支持体に適度な表面粗度を与えることができ、良好な滑り性と平滑性を付与することができる。
また、本支持体は、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、軟化剤、結晶核剤、染料、顔料等を含有してもよい。
[本離型フィルム]
上記の本離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えた離型フィルムである。
本離型フィルムは、当該離型フィルムに積層する本粘着シートの表面に前記凹凸構造を転写することができることから、凹凸構造転写フィルムということもできる。
本離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に凹凸層を備えていればよいから、例えば基材と凹凸層との間に「機能層」などの他の層を備えていてもよいし、また、基材の凹凸層とは反対側に前記凹凸層と同様の層などの他の層を備えてもよいし、また、凹凸層の外側に「剥離層」などの他の層を備えていてもよい。
<基材>
基材としては、例えば紙、各種樹脂フィルム、紙基材を樹脂でラミネートした基材、ガラス、金属箔からなる基材、金属箔を樹脂でラミネートした基材等を使用することができる。但し、これらに限定するものではない。
上記紙基材としては、例えば薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等を挙げることができる。
上記樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂等の各種樹脂を主成分樹脂とする樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。本離型フィルムの凹凸形状を転写する本粘着シートは、柔軟な材質であるため、基材が二軸延伸フィルムであると本離型フィルムの剛性は高くなるので、本粘着シート等からの剥離性が良好となる傾向がある。
上記紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、例えば上記の紙基材をポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等を挙げることができる。
また、上記金属箔からなる基材としては、アルミフォイル等を挙げることができる。
これらの中でも、切断時に紙粉が発生せず、また凹凸構造を転写する粘着シート等にも紙粉の付着が生じないことから、上記樹脂フィルムが好ましく、加工のしやすさ、耐久性、耐熱性、コスト等の観点から、ポリエステルを主成分樹脂とする樹脂フィルムであるのがより好ましく、特にポリエチレンテレフタレートを主成分樹脂とする樹脂フィルムであるのがさらに好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、基材を構成する樹脂の中でも最も含有量の多い樹脂を意味し、具体的には50質量%以上、中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂を言う。
基材は、単層構成のものであってもよいし、同種又は異種の樹脂を主成分とする2層以上の複層構成のものであってもよい。
基材の厚さは、用途に応じて適時選択するのが好ましい。一般的には5μm〜500μmであるのが好ましく、中でも10μm以上或いは300μm以下、その中でも15μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
基材として樹脂フィルムを用いる場合、易滑性の付与を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。
基材に含有させる粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子のほか、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。
当該粒子の形状に関しても特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。
また、当該粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は、5μm以下であるのが好ましく、中でも0.1μm以上或いは3μm以下であるのがさらに好ましい。上記粒子の平均粒径が当該範囲であれば、基材に適度な表面粗度を与えることができ、良好な滑り性と平滑性を付与することができる。
また、上記基材は、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、軟化剤、結晶核剤、染料、顔料等を含有してもよい。
(機能層)
必要に応じて上記基材の片面又は両面に、各種機能を備えた層(「機能層」と称する)を設けることができる。例えば、必要に応じて上記基材の片面又は両面に機能層を設けることができる。例えば、上記基材と上記凹凸層の間に機能層を設けることができる。或いは、上記基材に対し、上記凹凸層の反対面に機能層を設けることもできる。更には、上記凹凸層の表面に機能層を設けることもできる。凹凸層の表面に機能層を設ける際は、凹凸層によって形成される凹凸構造(後述)が損なわれないように材質、厚み等を設計することが好ましい。例えば、凹凸層の表面に機能層を設ける際の厚みは、通常1nm〜5μm、好ましくは1nm〜1μm程度である。
当該機能層としては、例えば易接着層、帯電防止層、易滑層、水蒸気等の気体バリア層、基材含有物の析出防止層、紫外線吸収層、傷つき防止層、防汚層、抗菌層、反射防止層、光沢層、マット層、インク受容層、着色層、印刷層等の各種機能を備えた層を挙げることができる。
<凹凸層>
前記凹凸層は、凸部と該凸部以外の部分(「凹部」と称する)とを有する凹凸構造を、その表面に備えた層であるのが好ましい。
前記凹凸構造は、その表面を平面視した際、前記凸部が不規則な形状を形成してなる構成を備えているのが好ましい。なお、図1〜9においては、白い部分が凸部に相当する。
ここで、「不規則な形状」とは、一定の規則性及び周期性を有さない形状を意味する。言い換えれば、直線のみで形成される形状、同一パターンの曲線で形成される形状、エンボスロールで転写される形状、及び、これらを組み合わせた形状のように、一定間隔で同一形状(模様)が繰り返される形状を除く形状が「不規則な形状」と言える。また、本発明における不規則性は、模様自体の不規則性を意味するのみならず、形状を構成する要素の大きさの不規則性(例えば、水玉模様における水玉の大きさの不規則性)や、形状を構成する要素の配置の不規則性(例えば、水玉模様における水玉の配置の不規則性)等を包含する。
不規則な形状としては、典型的には、図1〜9で示される様な、非相溶なポリマー等を混合した際に自然に形成される海島構造による形状、凸部が不規則な網目形状、不均一な形状の凸部が不規則に存在する形状を挙げることができる。但し、このような形状に限定されるものではない。
このように前記凸部が不規則な形状を本離型フィルムの表面に形成することにより、粘着フィルムに転写される凹凸構造においても不規則な形状が形成され、粘着後に当該凹凸構造を見え難くすることができる。
このような凹凸構造を形成するための具体的な方法については後述する。
前記凹凸構造は、その表面を平面視した際、前記凸部によって、不規則な形状が周囲方向、例えば上下左右方向に連続して不規則な模様、例えば網目模様を形成してなる構成を備えていてもよい。
不規則な形状が周囲方向に連続する場合には、不規則な形状の大きさや形状が一定でなく、形状の繰り返しがないことが好ましく、また、不規則な形状の配置も不規則であるのが好ましい。
また、前記凹凸構造における凸部は、平面視した際に、適宜面積を有する塊として散在しても、断続的に存在していても、連続して連なっていてもよい。
この際、個々の凸部のX座標の中心とY座標の中心を通る径のうちの最大値の径を「最長径」とし、当該最長径のうち、測定領域中で最大値を示す径を「最大最長径」とする。
凸部の最大最長径は、凹凸形状を転写した粘着シートを貼着する際に空気の抜けを良好にすることができ、且つ、粘着後に当該凹凸構造を見え難くすることができるという観点から、1μm〜1500μmであるのが好ましく、中でも10μm以上或いは1200μm以下、その中でも100μm以上或いは1000μm以下、その中でも300μm以上或いは800μm以下であるのがさらに好ましい。
また、前記凹凸構造における凸部は、平面視した際に、連続していてもよく、中でも適宜長さ連続した線状を呈していてもよい。
凹凸構造を転写した粘着フィルムを貼着する際の空気抜けをより良好にする観点からすると、中でも、フィルム周端縁部まで連続していることが好ましい。より具体的には、離型フィルム表面の凹凸構造の表面を光干渉法にて測定した画像において、該離型フィルム表面の703.13μm×937.42μmの画像領域(5倍の対物レンズ相当)において、凸部が該画像領域の端縁部から対応する端縁部まで、例えば上辺部から下辺部又は左辺部から右辺部まで繋がっている状態であるのが好ましい。更に好ましくは5mm×5mm四方、特に好ましくは30mm×30mm四方、最も好ましくは100mm×100mm四方において、凸部が端縁部から対応する端縁部まで繋がっている状態であるのが好ましい。
前記凹凸構造における凸部は、本離型フィルムによって凹凸構造を転写された粘着フィルム等においては凹部を形成することとなるため、本離型フィルムの凸部が上記の如く連続していると、粘着フィルム等において空気の抜け道も連続することとなる。但し、この場合、凸部の一部に不連続な箇所があってもよい。
一例として、フィルム周端縁部まで連続する凸部によって、不規則な形状が連続して網目模様を形成している場合を一例として挙げることができる。
なお、先述した先行特許文献4(特開2016-188344号公報)に開示された凹凸構造の凸部は上述のように連続とはなっていないため、上述のように凸部が連続となっていれば空気の抜けをより好ましくすることができる。
また、同じく先述した先行特許文献2(特開2004-277534号公報)は、粘着フィルムの粘着層が凹凸を有する態様を開示しており、この態様では、仮に連続した凸部乃至凹凸構造を形成したとしても、粘着フィルムを重ねたり、ロール体としたりした場合、凹凸が潰れたり、ブロッキングするおそれがあるため、使用できる粘着剤はかなり限られることになり、現実的ではないと言える。
前記凹凸構造に存在する凸部の個数は、凹凸形状を転写した粘着シートを貼着する際に空気の抜けを良好にすることができ、且つ、粘着後に当該凹凸構造を見え難くすることができるという観点からすると、703.12μm×937.42μmの領域当たり1個〜1000個であるのが好ましく、中でも500個以下、その中でも100個以下、その中でも10個以下であるのが好ましい。
なお、前記凹凸構造に存在する凸部の上記個数は、例えば画像解析ソフトを用いて、単位面積における離型フィルム表面に現れる凸部の個数をカウントして求めることができる。
前記凹凸構造は、その表面を平面視した際、表面に占める凸部の面積割合の下限は10%以上であるのが好ましい。凸部の占める面積割合が10%以上であれば、空気抜け性が良好となる傾向がある。
凸部の面積割合の下限は、上記と同様の理由により、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上、特に好ましくは25%以上、最も好ましくは30%以上である。
一方、本離型フィルムにおける凸部の面積割合の上限は、90%以下であるのが好ましい。凸部の占める面積割合が90%以下であれば、粘着シートを形成した際に粘着性を保つために好ましい。
凸部の面積割合の上限は、上記と同様の理由により、より好ましくは85%以下、更に好ましくは80%以下、特に好ましくは75%以下、最も好ましくは70%以下である。
中でも、凸部の面積割合が10〜50%の範囲であれば、粘着シートを貼着した際に離型フィルムの凹凸構造が見えにくくなるため、良好な外観を得ることができるためさらに好ましい。また、凸部の面積割合が50〜90%の範囲であれば、粘着シートを貼着する際の空気の抜けを良好にすることができるため、さらに好ましい。
前記凹凸構造に占める凸部の面積割合は、前記凹凸構造の表面を画像分析によって、凹部と凸部の2つの領域に2値化することで分析することができる。
なお、前記凹凸構造の表面を、このように画像分析によって、凹部と凸部の2つの領域に2値化する際、凹凸構造の表面全体を2値化してもよいし、凹凸構造の表面の一部を複数個所において2値化して、その平均を求めてもよい。その際、少なくとも任意の3か所、中でも5か所、その中でも10か所の平均を求めるのが好ましい。
前記凹凸構造において、凸部の面積を大きくする方法としては後述する方法が挙げられる。例えば凸部の主成分をなす成分Bの配合量を多くしたり、該成分Bの分子量を大きくしたりすることによって調整することができる。但し、このような方法に限定するものではない。
また、前記凹凸構造における凹凸の最大高低差の下限は0.5μm以上であるのが好ましい。凹凸の最大高低差が0.5μm以上であれば、前記凹凸構造を転写した粘着シートを貼着する際に空気の抜けが良好となる傾向がある。
上記と同様の理由により、前記凹凸構造における凹凸の最大高低差の下限は、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは3.0μm以上、最も好ましくは4.0μm以上である。
一方、前記凹凸構造の凹凸の最大高低差の上限は、特に限定するものではない。凹凸の最大高低差は、通常は40μm以下である。凹凸の最大高低差が40μm以下であれば、粘着シートと貼着後に当該凹凸構造を見え難くすることができる傾向があるために好ましい。
上記と同様の理由により、前記凹凸構造における凹凸の最大高低差の上限は、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは15μm以下である。
中でも、前記凹凸構造の凹凸の最大高低差が0.5〜15μmであれば、十分な空気抜け性が得られるだけでなく、基材が透明である粘着シートを用いる際、貼着後に凹凸構造を特に見え難くすることができる。また、前記凹凸構造の凹凸の最大高低差が15〜40μmであれば、優れた空気抜け性を有するだけでなく、基材がマット調もしくは不透明である粘着シートを用いる際、貼着後に凹凸構造を見え難くすることができる。
なお、凹凸の最大高低差は、例えば凹凸層を形成する際の塗布厚さを調整することで、調整することができる。但し、これに限定されるものではない。
また、凹凸の最大高低差は、凹部の極小値と凹部周辺の極大値の差、又は、凸部の極大値と凸部周辺の極小値の差の中での最大値として求めることができる。
このような凹凸の最大高低差を形成するための具体的な方法については後述する。
<凹凸層を形成する材料>
本離型フィルムにおける凹凸層は、形成する材料を限定するものではない。
凹凸層は、2種類以上のポリマー、オリゴマー又はモノマー(これらをまとめて「ポリマー等」と称する)を含有するのが好ましく、2種類以上のポリマー等を含有するコート組成物から形成されることが好ましい。
この際、後述する通り、異なるポリマー等間の相分離性を利用して凹凸層を形成する態様が好ましい。すなわち、凹凸層は、2種類以上のポリマー等が相分離構造を形成していることが好ましい。
なお、本発明においてポリマーとは、硬化性樹脂組成物の硬化物を包含する概念とする。また、モノマーは、重合や架橋反応の原料或いは硬化性樹脂組成物の原料としてのモノマーを包含する概念とする。
前記凹凸構造においては、凹部を形成する組成と、凸部を形成する組成が互いに異なる例を挙げることができる。例えば凹部を形成する成分のうちで多くの割合を占める成分が成分Aであり、凸部を形成する成分のうちで多くの割合を占める成分が成分Bである場合に、成分Aと成分Bとが異なる例を挙げることができる。
(成分A)
凹部を形成する成分のうちで最も多くを占める成分Aは、成分Bと非相溶であり、塗工後に主として凹凸形状の凹部を形成する観点から、溶解性パラメーター(SP(A))が8〜21であるのが好ましく、中でも10以上或いは20以下、その中でも12以上或いは19以下であるのがさらに好ましい。
また、塗布液の塗工性を良好なものとするための粘度とする観点から、成分Aの質量平均分子量(Mw)が300〜300,000のポリマー等であるのが好ましく、中でも2,000以上或いは200,000以下、その中でも5,000以上或いは100,000以下であるのがさらに好ましい。
上記成分Aとしては、例えばポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系ポリマー類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリエーテル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリアクリロニトリル類、ポリアミド類、ポリイミド類などを挙げることができ、中でも、分子量やSP値を調整しやすく、凹凸形状を制御しやすい観点から、ポリ(メタ)アクリレート類であるのが好ましい。これらの成分Aは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば成分Aがアクリル系ポリマー等である場合、そのSP値をより高くするためには、例えば、アクリル系ポリマーの樹脂の側鎖に極性が高い官能基を多く含むように設計すればよく、より具体的には、例えばヒドロキシル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、グリシジル基を有するグリシジル(メタ)アクリレート等の構造単位を含有する単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
(成分B)
他方、凸部を形成する成分のうちで最も多くを占める成分Bは、成分Aと非相溶であり、塗工後に主として凹凸形状の凸部を形成する観点から、成分Bの溶解性パラメーター(SP(B))は、7〜20であるのが好ましく、中でも8以上或いは18以下、その中でも9以上或いは17以下であるのがさらに好ましい。
成分Bの溶解性パラメーター(SP(B))は、成分Aの溶解性パラメーター(SP(A))よりも0.01〜10低い方が好ましく、中でも0.05以上低い或いは7以下の範囲で低い、その中でも0.1以上低い或いは4以下の範囲で低い方が好ましい。
なお、本離型フィルムは、異なるポリマー等間の相分離性を利用して凹凸構造が形成させる場合、成分Bの溶解性パラメーター(SP(B))が、成分Aの溶解性パラメーター(SP(A))よりも0.01〜10高くなっていてもよい。
凹凸層が3種類以上のポリマーによって形成され、成分A、成分Bのうち少なくとも何れかが2種以上のポリマーで形成されている場合は、そのうち何れかの組合せにおいて上記の関係性を有していればよい。次に述べる質量平均分子量についても同様である。
また、塗布液の塗工性を良好なものとするための粘度とする観点から、成分Bの質量平均分子量(Mw)は、500〜400,000であるのが好ましく、中でも2,000以上或いは300,000以下、その中でも10,000以上或いは250,000以下であるのがさらに好ましい。
成分Bの質量平均分子量(Mw)は、前記成分Aの質量平均分子量(Mw)よりも1000以上大きいことがさらに好ましい。
凸部を主に形成する成分Bは、凹凸構造を形成する際の乾燥温度に十分に耐えることができ、形状を保持する観点から、成分Bのガラス転移温度は40℃以上であるのが好ましく、中でも50℃以上、その中でも60℃以上であるのがさらに好ましい。
成分Bとしては、例えばポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系ポリマー類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリエーテル類、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリアクリロニトリル類、ポリアミド類、ポリイミド類などを挙げることができ、中でも、分子量やSP値を調整しやすく、凹凸形状を制御しやすい観点から、ポリ(メタ)アクリレート類であるのが好ましい。これらの成分Bは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば成分Bがアクリル系ポリマー等である場合、そのSP値をより低くするためには、例えば、アクリル系ポリマーにおいて、1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーとしてSP値の低いものを選択すればよい。具体的には、例えば脂肪族炭化水素基を有するアルキル(メタ)アクリレート、脂環族炭化水素基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、芳香族炭化水素基を有するフェニルアルキル(メタ)アクリレート等の構造単位を含有する単独重合体又は共重合体が挙げることができる。
なお、上記溶解性パラメーター(SP値)は、Solubility Parameterであり、溶解性の尺度となるものである。溶解性パラメーターは、その値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
SP値は、濁度法、Fedorsの推算法などの方法によって測定することができる。
前記凹凸層において、凹部及び凸部のいずれも、中でも特に凸部は、形状を維持するため、耐熱性および耐溶剤性を高める観点から架橋していること、すなわち架橋構造を有することが好ましい。
架橋しているか否かは、各部位のゲル分率を測定し、当該値が0%より大きい、特に5%以上、中でも10%以上であるのが好ましい。
この際、前記2種類以上のポリマー等のうち少なくとも何れか一方が、架橋性構造を有する熱可塑性樹脂、又は、硬化性樹脂組成物、又は、架橋性構造を有する熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂組成物であるのが好ましい。これらの場合、前記凹凸層を架橋乃至硬化することにより、前記凹凸層は、硬化物を含有することになり、耐熱性および耐溶剤性を高めることができる。
ここで、前記硬化物とは、架橋性構造を有する上記熱可塑性樹脂、又は、硬化性樹脂組成物が硬化したものの意味である。
なお、架橋性構造とは、架橋する性質を有する構造を言い、架橋構造とは、架橋してなる構造をいう。
熱可塑性樹脂に架橋性構造を導入する方法は限定するものではない。例えば成分A、成分B、或いはその他の熱可塑性樹脂に架橋性構造を導入する方法を挙げることができる。
この際、架橋性構造を限定するものではない。例えば、炭素−炭素二重結合のような架橋性不飽和結合や、化学結合が可能な官能基、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基、オキサゾリン基、酸無水物基、アルデヒド基、メルカプト基、エポキシ基、カルボジイミド基等を挙げることができる。これらに例示される架橋性構造は、成分A、成分B、或いはその他の熱可塑性樹脂に共重合や高分子反応によって導入することができる。
なお、ここで云う架橋構造とは、共有結合に限定されるものではなく、イオン結合や配位結合、水素結合の様な疑似架橋も包含する。
硬化性樹脂組成物としては、例えば二液性硬化樹脂組成物、常温硬化樹脂組成物、光硬化樹脂組成物又は熱硬化樹脂組成物などを挙げることができ、中でも光エネルギー又は熱エネルギーを与えることにより組成物が反応して硬化(架橋)する光硬化樹脂組成物又は熱硬化樹脂組成物が好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物が、成分A或いは成分B自体を構成してもよいし、凹凸層を形成する成分A、成分B以外の他の成分として硬化性樹脂組成物を用いることもできる。成分A或いは成分B自体が硬化性樹脂組成物である場合は、これらの成分を構成するモノマーを凹凸層の原料として使用し、硬化反応によって成分A或いは成分Bとすることで凹凸構造を形成することができる。
光又は熱硬化樹脂組成物は、例えば光架橋性化合物、光架橋開始剤を含有してなる光硬化性組成物や、熱硬化性樹脂組成物などを挙げることができる。
光架橋性化合物としては、架橋性不飽和結合を有する化合物、具体的にはエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーを挙げることができる。
光架橋開始剤としては、例えば 活性エネルギー線として紫外線照射を応用する場合、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等の光架橋性開始剤を使用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂及びアクリル樹脂や、透明ポリイミド前駆体ワニスなどを挙げることができる。
以上を総括すると、2種類以上のポリマーが寄与する凹凸層を形成する形成方法としては、例えば、以下のような形成例に類別される。但し、これらの組合せに限定されるものではない。また、以下の記載は成分A、成分B以外の付加的な任意成分の含有を排除するものではない。
(a)2種類以上の熱可塑性ポリマーによって凹凸層を形成。
(b)2種類以上の熱可塑性ポリマーと架橋剤とを原料とし、架橋剤を硬化させることによって凹凸層を形成。
(c)2種類以上の熱可塑性ポリマーのうち、少なくとも1種類以上の熱可塑性ポリマーに架橋性構造を有しており、当該架橋性構造を架橋させることによって凹凸層を形成。
(d)2種類以上の熱可塑性ポリマーのうち、少なくとも1種類以上の熱可塑性ポリマーに架橋性構造を有しており、さらに架橋剤を含有する原料に対し、当該架橋性構造と架橋剤との間で架橋及び硬化させることによって凹凸層を形成。
(e)1種類以上の熱可塑性ポリマーと、重合性モノマーと架橋剤とを原料とし、重合性モノマーと架橋剤を重合・硬化させることによって凹凸層を形成。
(f)少なくとも1種以上のポリマーに架橋性構造を有しており、さらに重合性モノマーと架橋剤を含有する原料に対し、当該架橋性構造と重合性モノマーと架橋剤との間で重合・架橋及び硬化させることによって凹凸層を形成。
(g)上記(a)〜(f)のうち少なくとも2種以上を併用する。
(剥離成分)
前記凹凸層は、剥離性を有する剥離成分を含有していてもよい。
前記凹凸構造を形成するポリマー等が剥離性を有する場合は該ポリマー等が剥離成分となる。また添加剤として剥離性を有する成分を添加していた場合は、該添加剤が剥離成分となる。
剥離性を有する成分としては、具体的には、例えばシリコーン系化合物の他、フッ素化合物、オレフィン化合物、長鎖アルキル基含有化合物等の化合物が挙げられる。これらはポリマー等であっても低分子量化合物であってもよく、これらのうちの一種又は二種以上を含有する層であるのが好ましい。
前記凹凸層における剥離成分の含有量は、0.5質量%〜90質量%であるのが好ましく、中でも1.0質量%以上或いは85質量%以下、その中でも2.0質量%以上或いは80質量%以下であるのが好ましい。
(その他の成分)
凹凸層は、上述した成分A、B及び離型成分以外の成分を必要に応じて含有していてもよい。具体的には、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光線遮断剤、発泡剤、着色剤などを挙げることができる。
<剥離層>
前記凹凸層の表面に剥離層をさらに積層させて、剥離性を高めることができる。
但し、必ずしも、凹凸層の外側表面に剥離層を備える必要はない。例えば前記凹凸層が前記剥離成分を含んでいる場合など、剥離性が十分であれば、さらに当該剥離層を備える必要はない。他方、前記凹凸層が前記剥離成分を含んでいても、剥離性が十分でなければ、当該凹凸層の表面に剥離層をさらに積層してもよい。
剥離層は、例えばシリコーン樹脂系剥離剤の他、アルキド樹脂系、オレフィン樹脂系、アクリル系、長鎖アルキル基含有化合物系、ゴム系等の非シリコーン樹脂系などの剥離剤のうちの一種又は二種以上を含有するのが好ましい。
また、前記各剥離剤は、さらに硬化剤、触媒等のその他の成分を含有していてもよい。
剥離層の厚みは、特に限定するものではない。例えば25nm〜1000nmであることが好ましく、中でも40nm以上或いは500nm以下とするのがさらに好ましい。
剥離層の厚みを前記範囲とすることで、剥離面としての機能を十分に発揮させることができ、且つ凹凸形状を維持することができる。
前記シリコーン樹脂系剥離剤としては、溶剤型および無溶剤型のものがある。溶剤型シリコーン樹脂は、溶剤希釈して塗工液とするため、高分子量(すなわち、高粘度)のポリマーから低粘度の低分子量ポリマー(オリゴマー)まで、幅広く使用することができる。そのため、無溶剤型と比較して、剥離性の制御が容易であり、要求される性能(品質)に合わせた設計がしやすい。
また、シリコーン樹脂系剥離剤としては、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のものがある。
このうちの付加反応型シリコーン樹脂は、反応性が高く生産性に優れ、縮合反応型と比較すると、製造後の剥離力の変化が小さい、硬化収縮が無い等のメリットがあるため、剥離層を形成する剥離剤に使用することが好ましい。
前記付加反応型シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えば、従来の熱硬化付加反応型シリコーン樹脂剥離剤として慣用されているものを用いることができる。この付加反応型シリコーン樹脂としては、例えば、分子中に官能基として、ビニル基等のアルケニル基、ヒドロシリル基などの求電子性基を有するものが、熱硬化が容易な付加反応型シリコーン樹脂として挙げられ、このような官能基を有するポリジメチルシロキサンや、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部または全部をフェニル基等の芳香族官能基に置換したものなどを用いることができる。
シリコーン樹脂系剥離剤には、必要に応じて、シリカ、シリコーンレジン、帯電防止剤、染料、顔料その他の添加剤を添加してもよい。
前記オレフィン樹脂系剥離剤としては、結晶性オレフィン系樹脂を用いることができる。この結晶性オレフィン系樹脂としては、ポリエチレンや結晶性ポリプロピレン系樹脂などが好適である。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを挙げることができる。結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック構造又はシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体や、プロピレン−α−オレフィン共重合体などを挙げることができる。これらの結晶性オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系剥離剤としては、一般に架橋構造を有するアクリル系樹脂を用いることができる。アクリル系樹脂は、長鎖アルキル変性アクリル樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等の変性物であってもよい。
前記長鎖アルキル基含有化合物系剥離剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体に炭素数8〜30の長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたポリビニルカーバメートや、ポリエチレンイミンに炭素数8〜30の長鎖アルキルイソシアネートを反応させて得られたアルキル尿素誘導体などを用いることができる。
前記ゴム系剥離剤としては、例えば、天然ゴム系樹脂、およびブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の合成ゴム系樹脂などを用いることができる。
<本離型フィルムの積層構成>
本離型フィルムの積層構成としては、例えば、基材/凹凸層、基材/凹凸層/剥離層、機能層/基材/凹凸層、基材/機能層/凹凸層、機能層/基材/機能層/凹凸層、機能層/基材/凹凸層/剥離層、基材/機能層/凹凸層/剥離層、機能層/基材/機能層/凹凸層/剥離層などの積層構成を挙げることができる。但し、これらの積層構成に限定するものではなく、他の層を適宜追加して積層することも可能である。
<本離型フィルムの作製方法>
本離型フィルムは、例えば次のようにして作製することができる。但し、次の作製方法に限定するものではない。
本離型フィルムは、基材に凹凸層を設けることにより作製することができる。この際、凹凸層を設ける方法を限定するものではない。例えば、物理的な切削加工、レーザー照射等による切削、型による転写等の方法、レジスト材料等に用いるフォトマスキング、印刷、異なるポリマー等間の相分離性を利用して凹凸層を形成する方法などの態様を挙げることができる。中でも、異なるポリマー等間の相分離性を利用して凹凸層を形成する方法が好ましい。
異なるポリマー等間の相分離性を利用すれば、数μm〜数mmオーダーの相分離構造に基づく凹凸構造が形成されるため、この凹凸構造が転写された粘着シートは、良好な粘着性を有しつつ、貼着後に凹凸構造を視認され難くすることが可能となる。また、異なるポリマー等間の相分離性を利用すれば、使用するポリマー等の選択や配合割合の最適化等によって、凹凸構造の凸部形状の不規則性や連続性、凸部の面積割合、凹凸構造の最大高低差などを制御することが可能であるため、本発明を達成するための具体的な手段の1つとして好ましい。
異なるポリマー等間の相分離性を利用して凹凸層を形成する場合、2種類以上のポリマー等を用いる限り、その具体的な方法は限定されない。具体的には以下の(1)〜(5)などの態様を挙げることができる。また、これらの方法を複数組み合わせてもよい。
(1)2種以上の熱可塑性樹脂(ポリマー)を使用し、溶媒に溶解した状態から溶媒を留去する過程で相分離するか、或いは溶融状態からの冷却固化過程で相分離することによって凹凸構造を形成する方法。
(2)熱可塑性樹脂と硬化性樹脂組成物と配合しておき、硬化性樹脂組成物の硬化過程で、熱可塑性ポリマーを排除することによって相分離させ、凹凸構造を形成する方法。
(3)硬化性樹脂組成物を配合しておき、硬化性樹脂組成物の硬化過程で、高分子量体となった硬化性樹脂組成物が、未反応の硬化性樹脂組成物から追い出されるかたちで突起を形成させることで、凹凸構造を形成する方法。
(4)上記(1)において、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を架橋可能な構造としておき、相分離による凹凸構造を形成後に架橋反応を行い、凹凸構造を固定化する方法。
(5)上記(1)において、2種以上の熱可塑性樹脂とともに硬化性樹脂組成物を混合しておき、熱可塑性樹脂の相分離によって凹凸構造を形成した後、硬化性樹脂組成物を硬化させることによって凹凸構造を固定化する方法。
また、溶媒に溶解した状態から溶媒を留去する過程で相分離を生じる方法を用いる場合は、後述する通り、2種以上の溶媒を混合して用いるとともに、ポリマー等の溶解性の差を利用して凹凸構造を形成させる方法が好ましい。この方法を採用すれば、特定のポリマー等と特定の溶媒を選択するだけで、目的とする凹凸構造を形成することができる。このため、切削加工装置や、型等を用いること無く簡便に本発明の目的を達成することができる。
以下、上述した種々の態様のうち、(5)の態様を例に、光硬化性樹脂組成物を用いた場合について具体的に説明する。
前記成分Aと、前記成分Bと、必要に応じて架橋開始剤Cとの混合樹脂を、所定の混合溶剤Z、例えば、成分A、成分B及び架橋開始剤Cに対して良溶媒である溶剤Xと、成分A及び架橋開始剤Cに対して良溶媒(すなわちこれらに対して共溶媒)であり、成分Bに対しては貧溶媒であり、かつ沸点が溶剤Xよりも高い溶剤Yとの混合溶剤Zに加えて溶かして硬化性コート組成物を調製し、この硬化性コート組成物を基材の表面に塗布する。混合溶剤Zを乾燥する過程で、相対的に溶剤Xが早く揮発して、溶剤Yの占める割合が増えるため、溶剤Yに溶解し難い成分Bを析出させ凸部を形成する。さらに乾燥することで成分Aにより凹部が形成して凹凸構造を形成する。或いはさらに、例えば光照射するなどして架橋開始剤Cを励起させて硬化させて前記凹凸構造を形成するようにすればよい。
このような作製方法によれば、不規則な形状からなる凸部を備えた凹凸構造を形成することができ、しかも、成分A、成分B、架橋開始剤C、溶剤X及びYの材料の選択や配合量の調整により、凹凸の大きさを制御することができる。
但し、このような製造方法に限定するものではない。
上記架橋開始剤Cは、必ず配合しなければならない訳ではない。また、上記混合溶剤Zは溶剤Xおよび溶剤Yが混和することが好ましい。但し、必ずしも均一に混合している必要はなく、懸濁液でもよい。
上記作製方法において、凹凸層が形成される原理としては、上記硬化性コート組成物は、塗布後に乾燥する過程で、混合溶剤Zが減少するのに伴って溶剤中の環境が変化していき、相溶性の悪い成分Aと成分Bが相分離し、両方の溶剤に溶けられる成分はより乾燥が進むまで溶剤中に溶解するため、片方の溶剤Yに溶けにくい成分Bが析出して主に凸部を形成し、両方の溶剤に溶けられる成分Aが主に凹部を形成し、自発的に凹凸構造が形成されるものと推定される。
成分Aと成分Bは非相溶であるのが好ましい。
かかる観点から、凸部の主要成分となる成分BのSP値の方が、成分AのSP値よりも0.01〜10低い方が好ましく、中でも0.05以上低い或いは7以下の範囲で低い、その中でも0.1以上低い或いは4以下の範囲で低い方が好ましい。
(成分A,B)
凹部を形成する成分のうちで最も多くを占める成分Aは、上述のように、所定の質量平均分子量(Mw)、所定のSP値を有するポリマー等であるのが好ましい。
他方、凸部を形成する成分のうちで最も多くを占める成分Bは、上述のように、所定の質量平均分子量(Mw)、所定のSP値を有するポリマー等であるのが好ましい。
例えば凸部の主成分をなす成分Bの配合量を多くしたり、成分Bの分子量を大きくしたりすることによって、前記凹凸構造における凸部の面積を大きくしたり、凸部の形状を変えたりすることができる。また、該成分Bの結晶性を制御することによって、凸部の極大値、すなわち凹凸の最大高低差を調整することができる。但し、このような方法に限定するものではない。
成分Aと成分Bの配合質量割合は、1:99〜99:1とするのが好ましく、中でも5:95〜95:5、その中でも90:10〜10:90であるのが好ましい。
なお、成分A又は成分Bが2種以上用いられる場合は、それぞれ2種以上の成分を合計した質量割合とする。
凹凸構造における凸部の面積割合を前記の範囲とするための制御因子の1つとしては、成分Aと成分Bの配合質量割合を最適化する方法が挙げられる。なお、凸部、凹部はそれぞれ成分B、成分Aのみで構成されるとは限らないため、上記の配合質量割合と凸部の面積割合とは同義ではない。
(架橋開始剤C)
架橋開始剤Cとしては、光架橋開始剤、熱架橋開始剤などを挙げることができる。中でも、乾燥工程で形成した凹凸形状の保持の観点から、速硬化性を有する硬化系が好ましく、かかる観点から光架橋開始剤が好ましい。
光架橋開始剤としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタンノン−1等を挙げることができる。これらの架橋開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、紫外線硬化する多官能アクリレートが好ましい。
架橋開始剤の配合量は、成分A及びBの合計量100質量部に対して0.01〜20質量部とするのが好ましく、中でも0.1質量部以上或いは10質量部以下、その中でも1質量部以上とするのがより好ましい。
(溶剤X)
上記溶剤Xは、成分A、成分B及び架橋開始剤Cに対して良溶媒であるのが好ましい。すなわち、成分A、成分B及び架橋開始剤Cを全て溶解することができる溶剤であるのが好ましい。
溶剤Xの沸点は50℃〜200℃であるのが好ましく、中でも60℃以上或いは140℃以下、その中でも70℃以上或いは120℃以下であるのが好ましい。
溶剤Xとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶媒等の有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶剤Y)
他方の溶剤Yは、成分A及び架橋開始剤Cに対しては良溶媒であり、成分Bに対しては貧溶媒であるのが好ましい。すなわち、成分A及び架橋開始剤Cは溶解することができるが、成分Bに対する溶解性が低い溶媒であるのが好ましい。この際、成分Bの溶解性が低いとは、成分Bに対して不溶性(insolble)又は膨潤(swelling)に分類される場合を包含する。
溶剤Yの沸点は、51℃〜201℃であるのが好ましく、中でも61℃以上或いは141℃以下、その中でも71℃以上或いは121℃以下であるのが好ましい。
但し、溶剤Yの沸点は、溶剤Xを溶剤Yよりも先に揮発させることができる観点から、溶剤Xの沸点よりも高いことが好ましく、中でも1〜80℃高いことが好ましく、その中でも2℃以上、その中でも5℃以上高いことがさらに好ましい。
溶剤Yが溶剤Xよりも沸点が高い溶剤を用いることで、溶剤Xが溶剤Yよりも先に揮発され、溶剤Yに溶けにくい成分Bが析出して主に凸部を形成しやすくなる。
なお、沸点の差によって、用いる前記溶剤Xおよび溶剤Yを選択できる。但し、他の特性の差異によって選択することもできる。具体的な特性としては、相対蒸発速度、所定温度および圧力下での蒸気圧、成分Aまたは成分Bの親和性が挙げられる。
例えば、同様の観点、すなわち溶剤Xを溶剤Yよりも先に揮発させることができる観点から、溶剤Xの相対蒸発速度は、溶剤Yの相対蒸発速度よりも高いことが好ましい。中でも、溶剤Xの相対蒸発速度は1以上であるか、若しくは、酢酸ブチルの相対蒸発速度以上であることが好ましく、且つ、溶剤Yの相対蒸発速度は1未満であるか、若しくは、酢酸ブチルの相対蒸発速度未満であることが好ましい。
この際、「相対蒸発速度」は、25℃、大気圧下における酢酸ブチルの蒸発速度を1と定めた場合の比蒸発速度と定義される。例えば、各種溶剤の相対蒸発速度としては、酢酸ブチル:1、MEK:4.52、シクロヘキサン:2.9、トルエン:2.66、メトキシプロパノール:0.71、nブタノール:0.39である。
溶剤Yとしては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソブタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ノルマルプロピルアルコールジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶媒や水を挙げることができる。これらの溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(混合溶剤Z)
混合溶剤Zは、溶剤Xと溶剤Yを0.1:99.9〜99.9:0.1の質量割合で配合するのが好ましく、中でも1:99〜99:1、その中でも10:90〜90:10、その中でも15:85〜85:15、その中でも80:20〜20:80の質量割合で含有するのがさらに好ましい。なお、溶剤X又は溶剤Yが2種以上用いられる場合は、それぞれ2種以上の溶剤の合計した質量割合とする。
(硬化性コート組成物の塗布)
上記硬化性コート組成物を基材の表面に塗布する方法としては、例えばキスロールコーター、ビードコーター、ロッドコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど公知慣用の方法を採用することができる。
(乾燥)
塗布した後の乾燥温度は、塗布した後、溶剤Xを溶剤Yよりも優先させて揮発させるために、溶剤X、Yの沸点との関係から、10℃〜150℃に設定するのが好ましく、中でも20℃以上或いは140℃以下に設定するのがより好ましく、その中でも40℃以上或いは125℃以下に設定するのがさらに好ましい。なお、常温で乾燥させてもよい。
加熱(乾燥)温度を調整することによって、凹凸の最大高低差を調整することができ、乾燥温度が低いほど、凹凸の最大高低差が大きくなる傾向がある。一般に溶剤は沸点以下の温度で揮発性を有しており、また沸点のみならず蒸気圧特性やポリマー等との親和性等によっても揮発特性は変化する。このため、凹凸層に使用するポリマー等の種類や配合質量割合、目的とする凹凸構造の形状等に応じて、乾燥温度を設定すればよい。
<本離型フィルムの形態>
本離型フィルムの形態としては、現在知られている形態を任意に採用することができる。中でも、本離型フィルムの特徴、例えば、粘着フィルムを貼着する際の空気の抜けが良好であり、かつ、粘着後に当該凹凸構造が見え難いことを達成できることを考慮すると、大きな面積を有する形態であるのが好ましい。かかる点からすると、フィルム又はロール体の例えば長さ0.1m以上、中でも1m以上、その中でも10m以上のロール体、又は、幅0.1m以上、中でも0.2m以上、その中でも0.3m以上のロール体、又は、面積0.01m以上、中でも0.1m以上、その中でも1m以上のフィルムであるのが好ましい一例となる。
[本粘着シートまたは本積層体の製造方法]
本粘着シートまたは本積層体の製造方法としては、
(1)本離型フィルムの凹凸層表面に粘着剤組成物を塗布して本支持体を貼り合せるようにして、本離型フィルムの凹凸層表面に、本粘着層からなる本粘着シートを積層させる方法(「離型フィルムへ塗布する方法」と称する)、
(2)本支持体の表面に粘着剤組成物を塗布し、この粘着剤組成物からなる粘着層の塗布面に本離型フィルムの凹凸層表面が接するように本離型フィルムを貼り合わせて積層する方法(「支持体へ塗布する方法」と称する)、
(3)本支持体と本離型フィルムとの間に、前記本離型フィルムの凹凸層表面と本粘着シートとが接するように本粘着シートをラミネートする方法(ラミネート方法)、
などを挙げることができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
本積層体を連続的に生産し、これをロール状に捲回することによって、ロール状の積層体からなる捲回体(「本捲回体」と称する)を得ることができる。
すなわち、本捲回体は、支持体と、粘着層からなる粘着シートと、離型フィルムとが順次積層してなる構成を備えたロール状の積層体であって、
前記離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えており、且つ、当該凹凸構造は、平面視した際、当該凹凸構造の凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えたものであり、
前記凹凸層の表面に粘着層を積層させることにより、当該離型フィルムと積層する粘着層の一方の表面に前記凹凸構造が転写されると共に、当該粘着シートの他方の表面に支持体が積層されてなるロール状の積層体とすることができる。
上記のような本積層体の製造方法によれば、離型フィルムに凹凸構造を設けておき、この凹凸構造を粘着シートに転写する方法を採用しているため、上記のような何れの方法によって積層体を形成した場合であっても、粘着シートに確実に凹凸構造を形成させることができる。このため、粘着層に転写された凹凸構造は、積層体の状態で長期間保管されていたとしても、変形することなく形状を維持することができる。
(1)離型フィルムへ塗布する方法
先ず、本離型フィルムの凹凸層表面に粘着剤組成物を塗布して本支持体を貼り合せるようにして、本離型フィルムの凹凸層表面に本粘着シートを積層させる方法について説明する。
上記粘着剤組成物としては、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤等を含有する組成物を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
また、上記粘着剤組成物は、光架橋可能な粘着剤組成物であってもよい。代表例として、次の(a)〜(d)を例示することができる。但し、これらに限定するものではない。
(a)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(共重合体を含む)をベース樹脂として用い、これに架橋モノマー、必要に応じて架橋開始剤や反応触媒などを配合してなる粘着剤組成物。
(b)ブタジエン又はイソプレン系共重合体をベース樹脂として用い、これに架橋モノマー、必要に応じて架橋開始剤や反応触媒などを配合してなる粘着剤組成物。
(c)シリコーン系重合体をベース樹脂と用い、これに架橋モノマー、必要に応じて架橋開始剤や反応触媒などを配合してなる粘着剤組成物。
(d)ポリウレタン系重合体をベース樹脂として用いたポリウレタン系粘着剤組成物。
本離型フィルムの凹凸層表面に上記粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えばキスロールコーター、ビードコーター、ロッドコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど公知の器具を使用した慣用の方法を採用することができる。
上記のように粘着剤組成物をシート状に塗布して本支持体を貼り合せた後、粘着剤組成物を硬化することにより、本離型フィルムの凹凸層表面に、本粘着層および本支持体からなる本粘着シートを積層させることができる。
粘着剤組成物を硬化する方法としては、粘着剤組成物の組成に合わせて硬化させることができ、例えば乾燥させたり、加熱架橋させたり、光架橋させたりすればよい。すなわち、上記粘着剤組成物が加熱架橋性を有していれば、その加熱架橋性を励起する温度まで加熱すればよい。また、上記粘着剤組成物が光架橋開始剤を含有する場合、当該光架橋開始剤が励起する波長の光を照射すればよい。
また、粘着剤組成物をシート状に形成した後、圧力をかけて、本離型フィルムの凹凸層表面に本粘着シートを押圧してもよい。
本粘着シートの厚さは、特に限定するものではなく、用途に応じて適宜選択するのが好ましい。中でも、本粘着シートの厚さの下限は、本離型フィルムの凹凸構造の最大高低差を超えることが好ましい。他方、本粘着シートの厚さの下限は、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上、特に好ましくは10μm以上である。他方、粘着シートの厚さの上限も限定されない。好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下、特に好ましくは500μm以下である。
(2)支持体へ塗布する方法
次に、本支持体の表面に粘着剤組成物を塗布し、この粘着剤組成物の塗布面に、本離型フィルムの凹凸層表面が接するように本離型フィルムを貼り合わせて積層する方法について説明する。
支持体へ塗布する際も、離型フィルムへ塗布する上記方法(1)と同様の粘着剤組成物を使用することができる。
また、支持体へ塗布する方法、硬化方法、圧力をかける点など、離型フィルムへ塗布する上記方法(1)と同様である。
また、本粘着シートの厚さは上記方法(1)と同様であり、用途に応じて適宜選択できる。
(3)ラミネート方法
次に、本支持体と本離型フィルムとの間に、前記本離型フィルムの凹凸層表面と本粘着シートとが接するように本粘着シートをラミネートする方法について説明する。
本粘着シートは、粘着層を備えていれば、その構成は任意である。単層構成のものであっても、2層以上の複層構成のものであってもよい。
粘着層を構成する粘着剤としては、離型フィルムへ塗布する上記方法(1)と同様の粘着剤組成物を使用することができる。
また、本粘着シートの厚さは上記方法(1)と同様であり、用途に応じて適宜選択できる。
本粘着シートをラミネートする方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばドライラミネート、熱ラミネート、熱圧着法、押出ラミネートなどの方法を挙げることができる。
例えば、本離型フィルムとシート状の本支持体との間に本粘着シートを挟むように積層させ、真空吸引などにより一体化して加熱圧着した後、必要に応じて巻き取るなどして、各層を一体の成形体として加熱圧着成形して本積層体を作製することができる。
なお、ラミネートする前に、接着性を向上させるために、本粘着シート又は本支持体の表面にプラズマ処理やコロナ処理などの表面処理を行ってもよい。
[本積層体の使用方法]
本積層体製造方法により本積層体を製造すれば、製造した時点で、本離型フィルムの凹凸構造を本粘着シートの一方の表面に転写させることができる。そして、本離型フィルムを剥離すれば、本粘着シートは、表面に凹凸構造を備えた粘着シートとしてそのまま容易に使用することができる。このように凹凸構造を転写した本粘着シートは、被着体に貼着する際、空気の抜けを良好にすることができ、粘着後に当該凹凸構造を見え難くすることができる。
そのため、本積層体をロール状に捲回して長期保管した場合においても、粘着層に転写された凹凸構造は変形することなく形状を維持することができ、離型フィルムを剥離して使用する直前まで、その形状が変形されずに維持することができる。このため、上記の効果を良好に奏することができる。
本積層体の用途は限定されず、本積層体から離型フィルムを剥離した粘着シート(粘着フィルム)は様々な被着体に貼着することができる。
被着体の例としては、外装、内装、窓等の建材;自動車、電車、航空機等の車両;テレビ、パーソナルコンピューター、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話等の電気製品;屋外看板、行先表示板、掲示板、案内板等の表示部材;文房具類;家具類などを挙げることができる。また、これらの最終製品のみならず、製品を組み立てる際の中間製品も被着体とすることができる。これらの中でも、自動車の窓、外装部、ダッシュパネル等の表示部;携帯電話やパーソナルコンピューターの画像表示部;大型テレビ等の画面等の被着体に対して好適に用いることができる。
また、本積層体から離型フィルムを剥離した粘着シート(粘着フィルム)の機能や目的も限定されず、例えば、装飾フィルム(加飾フィルム)、紫外線遮断フィルム、ブルーライト遮断フィルム、耐擦傷フィルム、割れ防止フィルム、耐熱フィルム、飛散防止フィルム、指紋や皮脂付着防止フィルムなどを挙げることができる。
<<語句の説明>>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
[測定、評価方法]
<質量平均分子量(Mw)>
各成分の質量平均分子量(Mw)は、GPC法により次の条件により測定した値である。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H6000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5ml/分
注入量:10μL
濃度 :0.2質量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
<SP値>
成分A、成分B及び光架橋開始剤Cの溶解性パラメーター(SP値)は、Fedorsらが提案した方法によって推算した。具体的には、「SP値の基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著、株式会社情報機構)に基づいて、高分子の溶解度パラメーターの推算方法のうち、Fedorsの推算法を参考に各ポリマー成分に含まれる各置換基の凝集エネルギー密度:E(J/mol)とモル分子容:V(cm3/mol)から下式に基づいて計算を行い、SP値(σ(cal/cm3)1/2)を求めた。
σ((J/cm3)1/2)=(ΣEcoh/ΣV)1/2
σ(cal/cm3)1/2=σ(J/cm3)1/2/2.0455
<凹凸の最大高低差、凸部の面積割合、凸部の個数、及び凹凸形状の最大最長径>
表面形状計測システム(株式会社日立ハイテクサイエンスの「VertScan」(登録商標)R5500)を用いて、離型フィルム(サンプル)表面において、703.12μm×937.42μmの領域における表面の凹凸形状を光干渉法にて測定し、以下の条件で補正およびベースライン補正を行い、データを読み取った。なお、測定時における対物レンズの倍率は5倍に設定した。
(補正条件)
・補完補正:完全
・ベースライン補正:面補正(多項式近似4次)
凹凸の最大高低差は、上記測定データから、凹部の極小値と該凹部周辺の凸部の極大値の差、又は、凸部の極大値と該凸部周辺の凹部の極小値の差を、凹凸の高低差として求めた。そして、この凹凸の高低差を、上記領域中の任意の10点で測定し、その中の最大値を凹凸の最大高低差とした。なお、上記測定データ中の最大値と最小値との差を、凹凸の最大高低差とするものではない。
凸部の面積割合は、ベアリング機能を使用し、山側高さ閾値および谷側高さ閾値をともに0.0μmに設定して2値化を行い、凸部の面積割合を求めた。
凸部の個数、及び凹凸形状の最大最長径は、粒子解析機能により以下の測定条件で算出した。検出した最長径のうち、最も値が大きいものを最大最長径とした。
(粒子解析)
・曲面補正:しない
・解析:突解析
・二値化閾値:100nm
・粒子成形:しない
・対象判定
高さベース:曲面
高さ:上限 100000nm、下限 0nm
最長径:上限 10000μm、下限 0μm
体積:下限 0.0μm
アスペクト比:下限 0.0
<凸部規則性及び凸部連続性>
離型フィルム(サンプル)の表面を上記の表面形状計測システムにより観察し、凸部の形状に一定の規則性又は周期性を有しているか否かを評価し、規則性も周期性も有していない場合、凸部規則性を「不規則」と評価した。
また、離型フィルム(サンプル)の表面を上記同様に観察し、凸部(白色部分)が拡大画像の1つの端縁部から向かい側にあたる端縁部まで(上辺から下辺まで、或いは右辺から左辺まで)連続して繋がっているか否かを評価した。
凸部が連続して繋がっている場合は凸部連続性を「有」、凸部が散在したり、断続的に存在したりして、凸部が連続して繋がっていない場合は凸部連続性を「無」と評価した。
<本積層体の作製と空気抜け指数の評価>
実施例・比較例で得られた離型フィルム(サンプル)の離型面すなわち凹凸層表面に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを60質量部、1,9−ノナンジオールアクリレートを40質量部、光架橋開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを3質量部混合して得られた光硬化性粘着剤組成物を塗布し、さらにその上に、支持体としての透明ポリエステル二軸延伸フィルム(厚み50μm、三菱ケミカル社製)を重ねて、ローラーにより当該光硬化性樹脂組成物を均一に引き伸ばし、紫外線照射装置から紫外線を照射し、粘着剤組成物を硬化させて粘着層を形成して積層体(サンプル)を作製した。
次いで、積層体(サンプル)から離型フィルム(サンプル)を剥がし、前記粘着層に凹凸構造を転写したレプリカフィルムを得た。
上記レプリカフィルムを70mm四方のサイズに裁断し、該レプリカフィルムと、中央に直径5mmの穴を開けたポリエステルフィルムとを、レプリカフィルムの凹凸構造面がポリエステルフィルムと接するように積層し、空気抜け指数を測定した。
空気抜け指数の測定は、デジベック平滑度試験機(DB−2、東洋精機社製)を用いて、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で測定した。この際、加圧装置の圧力は100kPa、真空容器は容積38mlの容器を使用し、1mLの空気が流れる時間、すなわち容器内の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化するまでの時間(秒)を計測し、得られた秒数の10倍を空気漏れ指数とした。
この空気抜け指数の値が小さいほど、隙間からすばやく空気が抜けており、空気が良く抜ける形状であることを示している。
<本積層体の作製と外観の評価>
実施例・比較例で得られた離型フィルム(サンプル)の離型面すなわち凹凸層表面にアクリル系粘着剤組成物を塗工した後、100℃、5分間加熱処理して、厚み(乾燥後)が50μmの粘着層を得た。
この際、上記アクリル系粘着剤組成物として、BPS5762K(トーヨーケム社製、固形分45.5質量%)を98.6質量部、BXX5627(トーヨーケム社製、50質量%)を1.4質量部混合した組成物を用いた。
その後、前記粘着層の上に、支持体をさらに重ね、ローラーにより貼りつけ、粘着シート(積層体)を得た。この時に用いる支持体として透明ポリエステル二軸延伸フィルム(厚み50μm、三菱ケミカル社製)を用いた。
次に、上記のようにして得られた積層体(サンプル)から離型フィルムを剥がし、粘着シートの凹凸構造転写面をアクリル板に2kgゴムローラーにて1往復して貼付し、粘着シートの基材表面を肉眼で観察した。
そして、観察した際、基材表面に粘着層の凹凸が認識できなかった場合を「○(good)」と評価し、基材表面に粘着層の凹凸が認識できるが、凹凸がパターンとして認識できず目立たないため、実用上問題ない場合を「△(usual)」と評価し、基材表面に粘着層の凹凸が認識でき、かつ凹凸がパターンと認識でき、目立たってしまうため、実用上問題がある場合を「×(poor)」と評価した。
なお、表1中の「MEK」はメチルエチルケトン、「MP」はメトキシプロパノール、「MIBK」はメチルイソブチルケトン、「CH」はシクロヘキサン、「T」はトルエン、「n-Bu」はn−ブタノール、「H」はヘプタン、「BA」は酢酸ブチルを示している。
[実施例1]
<基材の原料>
ポリエステルA:ポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.66dl/g)
ポリエステルB:平均粒径2μmの非晶質シリカを1000ppm含有するポリエチレンテレフタレートホモポリマーのチップ(固有粘度:0.62dl/g)
<機能層用塗布液の原料>
カルボキシル基を有する水分散型ポリカーボネートポリウレタン樹脂(Tg:35℃)を60質量部(固形分量)、オキサゾリン基がアクリル系樹脂にブランチされたポリマー型架橋剤を30質量部(固形分量)、シリカゾル水分散体(平均粒径:0.07μm)を6質量部(固形分量)混合して機能層用塗布液とした。
<硬化性コート組成物の原料>
アクリル系ポリマーA1:グリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート及びエチルアクリレートを98:1:1のモル比率で共重合してなるアクリル酸変性物(質量平均分子量(Mw):20,000、SP値:12.6、Tg:32℃)
アクリル系ポリマーB1:メチルメタクリレート及びメチルアクリレートを99:1のモル比率で共重合してなる共重合体(質量平均分子量(Mw):95,000、SP値:9.9、Tg:105℃)
光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(分子量:578、SP値:10.4)
光架橋開始剤C1:IGMレジン社製、Omnirad127
溶剤X:メチルエチルケトン(アクリル系ポリマーA1及びB1を溶解することができる溶剤であり、沸点は80℃)
溶剤Y:メトキシプロパノール(アクリル系ポリマーA1を溶解し、B1は溶解しない溶剤であり、沸点は120℃)
(基材の作製)
前記ポリエステルAを中間層用の原料とし、前記ポリエステルBを表層用の原料とし、各原料をそれぞれ別個の溶融押出機により溶融押出して、表層/中間層/表層の2種3層積層の無定形シートを冷却したキャスティングドラム上に、冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に90℃で3.5倍に延伸した。その後前記機能層用塗布液を乾燥後の厚みが0.05μmとなるように塗布した後にテンターへ導き、さらにテンター内で予熱工程を経て120℃で横方向に4.3倍に延伸を行い、230℃で2秒間の熱処理を行い、基材としてのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの厚さは50μmであり、表層/中間層/表層の厚み構成は5μm/40μm/5μmであった。
(凹凸層の形成)
凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのアクリル系ポリマーA1を45質量部と、成分Bとしてのアクリル系ポリマーB1を27.5質量部と、光重合性化合物としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート27.5質量部と、光架橋開始剤C1を5質量部とを含むアクリル系ポリマー混合物を、溶剤Xとしてのメチルエチルケトンと、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとを72:28の質量割合で混合して得た混合溶媒Zに溶解させて、アクリル系ポリマー混合物濃度が30質量%である硬化性コート組成物を調製した。
前記基材としてのポリエステルフィルムの機能層表面に、前記硬化性コート組成物をマイヤーバー(#16)により塗布し、70℃で溶剤Xおよび溶剤Yを揮発させた後、紫外線照射装置で紫外線を照射して光硬化させて、基材の一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を形成してなる、凹凸層付フィルムを作製した。
(剥離層の形成)
剥離層を形成するための塗布液として、硬化型シリコーン樹脂(信越化学社製、KS-847H)100質量部及び硬化剤(信越化学社製、PL-50T)1質量部を、メチルエチルケトン/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1)で希釈して、シリコーン樹脂濃度が4質量%である剥離層用塗布液を作製した。
前記凹凸層付フィルムの凹凸層の表面に、前記剥離層用塗布液をマイヤーバーにより塗布し、120℃に加熱して乾燥及び硬化させることで剥離層を設け、離型フィルム1(サンプル)を作製した。
[実施例2]
表1に示すように、マイヤーバーの線数を変更して凹凸層の厚みを変化させて凸部の最大高低差を8μmとした以外、実施例1と同様の方法で離型フィルム2(サンプル)を作製した。
[実施例3]
表1に示すように、剥離層を設ける代わりに、凹凸層を形成するための硬化性コート組成物にシリコーン変性アクリルポリマー(共栄社化学社製、GL04R)3質量%をさらに加えた以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルム3(サンプル)を作製した。
[実施例4]
表1に示すように、硬化性コート組成物を作製する際、上記アクリル系ポリマーA1と上記アクリル系ポリマーB1と光重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(質量平均分子量(Mw):578、SP値:10.4)と光架橋開始剤C1との混合比を質量部が60:20:20:5で混合させたアクリル系ポリマー混合物を、溶剤Xとしてのメチルエチルケトンと、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとを63:37の質量割合で混合して得た混合溶媒Zに溶解させた以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルム4(サンプル)を作製した。
[実施例5]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いて凹凸層を形成した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム5(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、ポリジメチルシロキサンを枝ポリマーとし、アクリル系モノマーを幹ポリマーとする成分Bとしてのグラフト共重合体B2(質量平均分子量(Mw):16,000、SP値:10.9)65質量部と、成分Aとしてのアクリル系ポリマーB1(質量平均分子量(Mw):95,000、SP値:9.9)35質量部と、光架橋開始剤C(IGM resin社製、Ominirad127)5質量部とを含むアクリル系モノマー混合物を、溶剤Xとしてのメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン及び溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとを、28:26:46の質量割合で混合して得た混合溶媒Zに溶解させて、前記アクリル系ポリマー混合物濃度が16質量%である硬化性コート組成物を調製した。
上記アクリル系モノマーを幹ポリマーとするグラフト共重合体B2は、メチルメタクリレートと、ステアリルメタクリレートと、分子量5000の末端メタアクリロイル基を有するシリコンマクロマーと、グリシジルメタクリレートとを、10:10:20:60のモル比率で共重合してなるアクリル酸変性物であった。
溶剤Xとしてのメチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトンは、グラフト共重合体B2及びアクリル系ポリマーA1を溶解することができる溶剤であり、その沸点はメチルイソブチルケトンが116℃、メチルエチルケトンが80℃であった。
他方、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールは、グラフト共重合体B2及びアクリル系ポリマーA1のうちA1のみを溶解することができる溶剤であり、その沸点は120℃であった。
[実施例6]
表1に示すように、マイヤーバーを調整して凹凸層の厚みを変化させて最大高低差を1μmとした以外、実施例5と同様の方法で離型フィルム6(サンプル)を作製した。
[実施例7]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、50℃で加熱乾燥させて凹凸層を形成した以外は、実施例2と同様にして離型フィルム7(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(質量平均分子量(Mw):578、SP値:10.4)50質量部、成分Bとしてのポリプロピレン(出光興産社製「S400」、質量平均分子量(Mw):45,000(カタログ値)、SP値:8.2、Tg:50℃)50質量部および光架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)3質量部を含む混合物を、溶剤Xとしてのシクロヘキサン、トルエンと溶剤Yとしてのn−ブタノールとを49:49:2の質量割合で配合して得た混合溶媒(混合溶剤Z)に溶解させて、前記混合物濃度が15質量%である硬化性コート組成物を調製した。
溶剤Xとしてのシクロヘキサン、トルエンは、成分A及びBを溶解することができる溶剤であり、その沸点はそれぞれ81℃、111℃であった。
他方、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールは、成分A及びBのうち成分Aのみを溶解することができる溶剤であり、その沸点は118℃であった。
[実施例8]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、50℃で加熱乾燥させて凹凸層を形成した以外は、実施例7と同様にして離型フィルム8(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのウレタンアクリレート(新中村化学工業社製「商品名:U−15HA」、質量平均分子量(Mw):2205、SP値:11.2)50質量部、成分Bとしてのポリプロピレン(出光興産社製「S400」、数平均分子量(Mn):45,000(カタログ値)、SP値:8.2、Tg:50℃)50質量部および光架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)3質量部を含む混合物を、溶剤Xとしてのシクロヘキサン、トルエンと溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとを49:49:2の質量割合で配合して得た混合溶媒(混合溶剤Z)に溶解させて、前記混合物濃度が15質量%である硬化性コート組成物を調製した。
[実施例9]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、50℃で加熱乾燥させて凹凸層を形成した以外は、実施例7と同様にして離型フィルム9(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのアクリル系ポリマーA1(質量平均分子量(Mw):20,000、SP値:12.6、Tg:32℃)50質量部、成分Bとしての水添末端アクリレートポリブタジエン(日本曹達社製「TEAI−1000」、質量平均分子量(Mw):2,000(カタログ値)、SP値:9.9、Tg:−14℃(カタログ値))25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(質量平均分子量(Mw):578、SP値:10.4)25質量部および光架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)5質量部を含む混合物を、溶剤Xとしてのシクロヘキサンとトルエンとメチルエチルケトン、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとn−ブタノールを6:25:32:31:6の質量割合で配合して得た混合溶媒に溶解させて、前混合物濃度が15質量%である硬化性コート組成物を調製した。
[実施例10]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、マイヤーバーの線数を変更して凹凸層の厚みを変更させて凸部の最大高低差を10.6μmとした以外、実施例1と同様の方法で離型フィルム10(サンプル)を作製した。
凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのアクリル系ポリマーA1を70質量部と、成分Bとしてのアクリル系ポリマーB1を15質量部と、光重合性化合物としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15質量部と、光架橋開始剤C1を5質量部とを含むアクリル系ポリマー混合物を、溶剤Xとしてのメチルエチルケトンと、溶剤Yとしてのメトキシプロパノールとを57:43の質量割合で混合して得た混合溶媒Zに溶解させて、アクリル系ポリマー混合物濃度が30質量%である硬化性コート組成物を調製した。
[実施例11]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、50℃で加熱乾燥させて凹凸層を形成した以外は、実施例7と同様にして離型フィルム11(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのウレタンアクリレート(新中村化学工業社製「商品名:U−15HA」、質量平均分子量(Mw):2205、SP値:11.2)50質量部、成分Bとしてのポリプロピレン(出光興産社製「S400」、数平均分子量(Mn):45,000(カタログ値)、SP値:8.2、Tg:50℃)50質量部および光架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)3質量部を含む混合物を、溶剤Xとしてのヘプタン、トルエンと溶剤Yとしての酢酸ブチルとを56:24:20の質量割合で配合して得た混合溶媒(混合溶剤Z)に溶解させて、前記混合物濃度が32質量%である硬化性コート組成物を調製した。
[実施例12]
表1に示すように、次のように調製した硬化性コート組成物を用いると共に、50℃で加熱乾燥させて凹凸層を形成した以外は、実施例7と同様にして離型フィルム12(サンプル)を作製した。
すなわち、凹凸層の形成に用いる塗布液として、成分Aとしてのデンドリマーアクリレート(大阪有機化学工業社製「商品名:V#1000」、質量平均分子量(Mw):1900、SP値:14.3(濁度法))50質量部、成分Bとしてのポリプロピレン(出光興産社製「S400」、数平均分子量(Mn):45,000(カタログ値)、SP値:8.2、Tg:50℃)50質量部および光架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)3質量部を含む混合物を、溶剤Xとしてのヘプタン、トルエンと溶剤Yとしての酢酸ブチルとを56:24:20の質量割合で配合して得た混合溶媒(混合溶剤Z)に溶解させて、前記混合物濃度が32質量%である硬化性コート組成物を調製した。
[比較例1]
実施例1で用いた前記基材としてのポリエステルフィルムの表面に、凹凸層を形成することなく、実施例1と同様に剥離層を設けた以外は、実施例1と同様にして離型フィルム13(サンプル)を作製した。
[比較例2]
紙表面にポリエチレンがラミネートされ、該ポリエチレン層表面にシリコーン剥離層が設けられている離型紙であって、該シリコーン剥離層側表面に、最大高低差が8.2μm、凸部幅が40μm、ピッチが310μm周期の直線からなる格子形状の凸部を有する離型紙を用いた。
[比較例3]
紙表面にポリエチレンがラミネートされ、該ポリエチレン層表面にシリコーン剥離層が設けられている離型紙であって、該シリコーン剥離層側表面に、最大高低差が30.2μm、凸部幅が60μm、ピッチが335μm周期の直線からなる格子形状の凸部を有する離型紙を用いた。
(考察)
上記実施例・比較例の結果並びに本発明者がこれまで行ってきた試験結果などから、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えた離型フィルムにおいて、平面視した際、前記凹凸構造が連続していれば、当該凹凸構造を転写した粘着シートにおいて、当該粘着シートを貼着する際の空気の抜けを良好にすることができることが分かった。
また、前記凹凸構造の凸部が、平面視した際に不規則な形状を形成すれば、当該凹凸構造を転写した粘着シートを粘着した後、当該凹凸構造が見え難いということも分かった。
実施例11,12は、高い空気抜け性が要求される場合には良好な実施例であるが、良好な外観が要求される用途に対しては、他の実施例に較べて劣っていた。なお、当該外観評価は、透明なポリエステルフィルムを基材とした粘着シートを用いた際の外観評価に相当するが、不透明なフィルムを基材とした貼着シートを用いた際の外観評価では、実施例11,12も良好なレベルであった。
上記実施例では、離型フィルムの一方の表面に粘着シートを積層させる方法として、離型フィルムの凹凸層表面に粘着剤組成物を塗布し、当該粘着剤組成物を硬化させて、離型フィルムの凹凸層表面に、粘着層からなる粘着シートを積層させる方法を採用して本積層体を作製した。
本出願時の技術常識からすれば、支持体の表面に粘着剤組成物を塗布し、当該粘着剤組成物を硬化させて、この粘着剤組成物からなる粘着層の塗布面に離型フィルムの凹凸層表面が接するように離型フィルムを貼り合わせて積層するようにしても、上記同様の本積層体を作製することができる。
また、同様に本出願時の技術常識からすれば、支持体と離型フィルムとの間に、離型フィルムの凹凸層表面と粘着シートとが接するように粘着シートをラミネートするようにしても、上記同様の本積層体を作製することができる。

Claims (6)

  1. 支持体と、粘着層からなる粘着シートと、離型フィルムとが順次積層してなる構成を備えた積層体の製造方法であって、
    前記離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えており、且つ、当該凹凸構造は、平面視した際、当該凹凸構造の凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えたものであり、
    離型フィルムの前記凹凸層の表面(「凹凸層表面」と称する)に粘着層を積層させることにより、当該離型フィルムと積層する粘着層の一方の表面に前記凹凸構造を転写すると共に、当該粘着シートの他方の表面に支持体を積層することを特徴とする、積層体の製造方法。
  2. 前記凹凸層表面に粘着剤組成物を塗布して、前記支持体を貼り合せることにより、当該凹凸層表面に前記粘着剤組成物からなる粘着層を有する粘着シートを積層させることを特徴とする、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記支持体の表面に粘着剤組成物を塗布し、この粘着剤組成物の塗布面に、前記離型フィルムの凹凸層表面が接するように離型フィルムを貼り合わせて積層することを特徴とする、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記支持体と、離型フィルムとの間に、前記離型フィルムの凹凸層表面と粘着シートとが接するように、粘着シートをラミネートすることを特徴とする、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記離型フィルムの前記凹凸構造は、表面に占める凸部の面積割合が10〜90%であり、且つ、最大高低差が0.5μm以上であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の積層体の製造方法。
  6. 支持体と、粘着層からなる粘着シートと、離型フィルムとが順次積層してなる構成を備えたロール状の積層体であって、
    前記離型フィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に、凹凸構造を表面に有する凹凸層を備えており、且つ、当該凹凸構造は、平面視した際、当該凹凸構造の凸部が不規則かつ連続した形状を形成してなる構成を備えたものであり、
    前記凹凸層の表面に粘着層を積層させることにより、当該離型フィルムと積層する粘着層の一方の表面に前記凹凸構造が転写されると共に、当該粘着シートの他方の表面に支持体が積層されてなるロール状の積層体。
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