JP2019181574A - ダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents

ダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具 Download PDF

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英彰 高島
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Abstract

【課題】CFRP/Al合金スタック材の高速穴あけ加工で長切削寿命ダイヤモンド被覆工具の提供【解決手段】WC工具基体表面に、平均層厚が6〜22μmの<100>配向ダイヤモンド層、150〜300nmの分断層、1〜3μmの<110>配向ダイヤモンド層が被覆され、<100>配向ダイヤモンド層は、刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域で、{100}面の法線が工具基体の法線となす角度が0〜15度の結晶粒の面積の和の占める割合が30%以上、(Id/Ig)が5以上、アスペクト比が5〜20、前記分断層は結晶粒径が20nm以下であり、前記<110>配向ダイヤモンド層は、前記領域で、{110}面の法線が工具基体の法線となす角度が0〜15度の結晶粒の面積の和の占める割合が40%以上、(Id/Ig)が3以上、アスペクト比が5〜10、皮膜表面の最大高低差Rzが0.5μm以下であるダイヤモンド被覆切削工具【選択図】図1

Description

本発明は、特に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とAl合金等からなる難削複合材(以下、「CFRP/Al合金スタック材」と称する)の高速切削加工において、優れた耐チッピング性および耐剥離性を発揮し、工具寿命を改善したダイヤモンド被覆炭化タングステン(WC)基超硬合金製切削工具に関する。
従来、WC基超硬合金(以下、「超硬合金」と称する)からなる工具基体に、ダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具(以下、「ダイヤモンド被覆工具」と称する)を用いてAl合金またはCFRP等を加工する際に、アブレッシブ摩耗を抑制するために、ダイヤモンド皮膜の面粗度を低減する提案がなされている。
例えば、特許文献1には、ダイヤモンド皮膜が、表面およびダイヤモンドの結晶成長方向と略直角な断面の結晶粒径が2μm以下となるように、核付着処理および結晶成長処理を繰り返して形成された微結晶の多層構造を成していることを特徴とするダイヤモンド被覆工具が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、超硬工具基体の切れ刃部及び切れ刃部近傍にダイヤモンド被覆層を形成したダイヤモンドコーティング工具において、表面粗さRが3μm以下の基体上に、ダイヤモンドの{100}面を主体とした平滑性に優れる面が得られる条件で成膜するプロセスと、ダイヤモンドの{111}面を主体とした耐溶着性に優れる面が得られる条件で成膜するプロセスとを、少なくとも前記切れ刃部において10μm以上30μm以下となる膜厚に達するまで交互に繰り返し行い、その工具表面粗さRを1μm以下にしたことを特徴とするダイヤモンド被覆工具が記載されている。
特許第3477162号公報 特開2006−130578号公報
近年の切削加工の技術分野における省力化および省エネ化、さらに低コスト化に対する要求は強く、これに伴い、切削加工は益々高速化の傾向にある。一方、従来のダイヤモンド被覆工具を、例えば、CFRP/Al合金スタック材の高速切削に用いる場合、鋭利な刃先が要求されるため、高い刃先強度が要求され、長期の使用にわたって、アブレッシブ摩耗を抑制し、かつ耐チッピング性および耐摩耗性を発揮することが十分とはいえず、高い加工精度を維持することが難しく、その結果、比較的短時間で使用寿命に至ることが多かった。
特許文献1に開示されているダイヤモンド皮膜は、結晶粒を小さくすることにより面粗度を低減しており、耐チッピング性の向上は期待できるものの、ダイヤモンド皮膜の結晶粒を小さくすることにより、sp結合に対するsp結合比率が低下し、耐摩耗性が低下するおそれがあり、CFRP/Al合金スタック材の高速穴あけ加工等において十分な使用寿命を有するとはいえない。
特許文献2に記載されたダイヤモンド皮膜は、エンドミルのような断続的な衝撃負荷が刃先に作用する切削工具において、劈開性が強い{111}面を主体とした面を有しているため、刃先にチッピングが生じやすく、また、該面はダイヤモンド皮膜の自形の高低差が大きくAl合金等の切削においては溶着の発生原因となりやすく、CFRP/Al合金スタック材の高速穴あけ加工等において十分な使用寿命を有するとはいえない。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、ダイヤモンド被覆工具において、ダイヤモンド皮膜の表面の面粗度を抑え、かつ高い耐摩耗性を有し、耐チッピング性と耐摩耗性に優れ、例えば、CFRP/Al合金スタック材の高速穴あけ加工においても切削寿命が長いダイヤモンド被覆工具を提供することである。
上述の従来のダイヤモンド被覆工具が有する課題を解決すべく、本発明者は鋭意、研究と実験を繰り返した。その結果、CFRP/Al合金スタック材の切削加工においては、アブレッシブ摩耗を抑えるだけでは不十分であってAl合金等の溶着を抑える必要があることに着目したところ、Al合金の高速切削においてはダイヤモンド{100}面は溶着を生じやすい傾向が確認されたため、皮膜の配向を検討した結果、ダイヤモンド皮膜の結晶粒を優先的に<110>配向とすることで、溶着を抑えられる特徴があることを発見した。さらに、<100>配向持つダイヤモンド皮膜は、柱状成長し、sp結合に対するsp結合比率を高め、皮膜の面粗度を抑え、かつ耐チッピング性に優れ耐摩耗性が高く破壊に対する靱性が高いことも発見した。そして、上層に<110>配向したダイヤモンド層、下層に<100>配向したダイヤモンド層からなる積層したダイヤモンド皮膜は、耐溶着性、耐チッピング性および耐摩耗性に優れ、CFRP/Al合金スタック材の高速切削加工においても切削寿命が長いダイヤモンド被覆工具に適するという驚くべき新規な知見を得た。
本発明は、前記知見に基づいたものであり、以下の形態を含むものである。
「(1)炭化タングステン基超硬合金で構成された工具基体表面に平均膜厚が7.150〜25.300μmのダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆工具であって、
前記ダイヤモンド皮膜は前記工具基体側表面から、順に、6.000〜22.000μmの平均層厚の<100>配向したダイヤモンド層、150〜300nmの平均層厚の分断層、1.000〜3.000μmの平均層厚の<110>配向したダイヤモンド層を含み、
前記<100>配向したダイヤモンド層は、前記工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域において、電子線後方散乱回折による層厚方向の配向率の解析により{100}面の法線が前記工具基体の法線となす傾斜角度を測定したとき、0〜15度の範囲に入る結晶粒の面積の和の占める割合が30%以上であり、かつ、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比(I/I)が5以上、当該結晶粒の長径と短径とのアスペクト比が5〜20であり、
前記分断層は結晶粒径が20nm以下であり、
前記<110>配向したダイヤモンド層は、前記工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域において、電子線後方散乱回折による層厚方向の配向率の解析により{110}面の法線が前記工具基体の法線となす傾斜角度を測定したとき、0〜15度の範囲に入る結晶粒の面積の和の占める割合が40%以上であり、かつ、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比(I/I)が3以上、当該結晶粒の長径と短径とのアスペクト比が5〜10であって、皮膜表面の最大高低差Rが0.5μm以下である、
ことを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具。」
本発明のダイヤモンド被覆切削工具は、耐チッピング性に優れ、さらには、耐摩耗性も破壊に対する靱性も高く、CFRP/Al合金スタック材等の難削材の、例えば、ドリル等で高速穴あけ加工に用いる場合であっても、長期にわたって高い加工精度を維持する長寿命の切削工具であるという、優れた効果を発揮する。
刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面を示す模式図である。
次に、本発明のダイヤモンド被覆切削工具のダイヤモンド皮膜について、より詳細に説明する。
1.ダイヤモンド皮膜の平均膜厚:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具におけるダイヤモンド皮膜の平均膜厚は7.150〜25.300μmとする。この範囲とした理由は、7.150μm未満であると、耐摩耗性を重視するCFRP/Al合金スタック材の切削において十分な寿命を得ることができず、25.300μmを超えると、鋭利な刃先を得ることが難しくなって、CFRP/Al合金スタック材の切削においては被削材にバリや層間剥離を生じやすくなるためである。
また、下層となる<100>配向したダイヤモンド層の平均層厚は、6.000〜22.000μmとする。その理由は、6.000μm未満では十分な耐摩耗性を得ることができず、22.000μmを超えると<110>配向したダイヤモンド層の皮膜表面の最大高低差Rが0.5μm以下となることが困難となるためである。
さらに、分断層の平均層厚は、150〜300nmとする。その理由は、150nm未満であると、<100>配向したダイヤモンド層と<110>配向したダイヤモンド層との結晶粒の分断が困難となり、表層のダイヤモンド層の結晶粒の<110>配向の割合が低下し、一方、分断層の平均層厚が300nmを超えると皮膜の耐摩耗性が低下するためである。
上層となる<110>配向したダイヤモンド層の平均層厚は、1.000〜3.000μmとする。その理由は、1.000μm未満では皮膜の結晶粒を<110>配向させることが難しく、3.000μmを超えると皮膜表面の最大高低差Rzが0.5μm以下となることが困難となるためである。
ここで、ダイヤモンド皮膜の平均膜厚の測定は、工具基体に垂直な方向の断面(膜厚方向の断面である縦断面)をCross−sectional Polisher(以下、CPという)にて加工し、加工した断面を走査電子顕微鏡を用いて適切な倍率(例えば、倍率5000倍)で膜厚を測定し、例えば、観察視野内の5点の膜厚を測定して平均して求める。
2.ダイヤモンド皮膜の膜構造:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具におけるダイヤモンド皮膜は、<100>配向した下層である単層と<110>配向した上層である単層を含む。ここで、単層とは、複数の結晶粒から構成される層であって、結晶粒が工具基体と水平な方向に分断されていない層をいう。
また、本発明のダイヤモンド被覆切削工具におけるダイヤモンド皮膜は、結晶粒が<100>配向した単層と結晶粒が<110>配向した単層との間に、結晶粒の配向がランダム(無配向)である層を有する積層構造からなる。
3.ダイヤモンド皮膜の配向:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具において、刃先を含む縦断面をCPにて加工し、工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域におけるダイヤモンド皮膜を構成する結晶粒に対して、<100>配向させた層(単層)では{100}面について、<110>配向させた層(単層)では{110}面について、この2面の法線が工具基体の法線に対してなす傾斜角度を、電子線後方散乱回折(Electron backscatter diffraction:EBSD)装置を用いてそれぞれ測定したとき、前記傾斜角度のうち0〜15°の範囲にある結晶粒の面積の和が、前記領域にあるそれぞれの単層の結晶粒の全ての面積の和に対して、<100>配向させた単層では30%以上、<110>配向させた単層では40%以上でなくてはならない。その理由は、<100>配向させた単層では30%未満であると、十分な耐摩耗性を得ることができず、<110>配向させた単層では40%未満であると、溶着を生じやすく加工精度が低下してしまうためである。
4.ダイヤモンド皮膜の膜質:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具のダイヤモンド皮膜において、前記領域の<100>配向した単層と<110>配向した単層の断面を、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定し、1332〜1337cm−1に確認されるダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比(I/I)が<100>配向した単層が5以上好ましくは10以上、<110>配向した単層が3以上であることが望ましい。その理由は、<100>単層においては前記比が5未満であると十分な耐摩耗性が得られないためであり、<110>配向した単層においては前記比が3未満であると、溶着を抑えられないためである。
5.ダイヤモンド皮膜の結晶粒の形状:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具において、<100>配向した層と<110>配向した層を電界放出型走査電子顕微鏡を用いて断面方向より皮膜の組織を観察し、ダイヤモンドの結晶粒径を測定する。ダイヤモンド皮膜の結晶粒の形状は、以下に定義される平均アスペクト比を満足する柱状である。すなわち、平均アスペクト比は、<100>配向した単層においては、ダイヤモンド皮膜の縦断面において膜厚方向の工具基体とこの単層の境界からこの単層の厚さまでの任意の線分(例えば、20μm長の線分)を3箇所とり、それぞれの線分に含まれる結晶粒の数で該線分の長さを除した値の、平均値を長径とし、前記工具基体とこの単層の境界から膜厚方向に1μmまでの領域において、前記各線分をそれぞれ横断する任意の5μmの線分を1ずつ(合計3)とり、それぞれの線分に含まれる結晶粒径の数で5μmを除した値の平均値を短径とし、長径を短径で除した値である。また、<110>配向した単層においては、ダイヤモンド皮膜の縦断面において、分断層とこの単層の境界からこの単層の厚さまでの任意の線分(例えば、2μm長の線分)を3箇所とり、それぞれの線分に含まれる結晶粒の数で当該線分の長さを除した値の平均値を長径とし、前記分断層とこの単層の境界からより膜厚方向に1μmまでの領域において前記各線分をそれぞれ横断する任意の5μmの線分を1ずつ(合計3)とり、それぞれの線分に含まれる結晶粒の数で5μmを除した値の平均値を短径とし、長径を短径で除した値である。そしてその値は、<100>配向した単層は5〜20、<110>配向した単層は5〜10であることが望ましい。その理由は、<100>配向した単層のアスペクト比は5未満であると、ダイヤモンド皮膜の残留応力が増大し、マイクロチッピングを生じやすく、一方、20を超えると、ダイヤモンド皮膜の耐摩耗性が低下して工具寿命が短くなるためである。<110>配向した単層のアスペクト比は5未満であると、ダイヤモンド皮膜の残留応力が増大し、マイクロチッピングを生じやすく、一方、10を超えると、ダイヤモンド皮膜の耐摩耗性が低下して工具寿命が短くなるためである。
分断層の結晶粒径は20nm未満を満たすナノダイヤモンドで構成される。ナノダイヤモンドの粒径は、集束イオンビーム(Focused Ion Beam :FIB)装置にて試料を箔片状に加工し、イオンミリング装置にてさらに加工することで得られた測定試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、任意の線分(例えば100nm)を当該線分に含まれるナノダイヤモンドの粒子数で除し、ナノダイヤモンドの粒径を測定した。
6.ダイヤモンド皮膜の最大高低差:
本発明のダイヤモンド被覆切削工具において、ダイヤモンド皮膜表面の最大高低差(Rz)は0.5μm以下が好ましい。その理由は、0.5μmを超えると、切削加工時の切削抵抗が大きくなり、アブレッシブ摩耗が起こりやすくなり、耐チッピング性が低下するためである。
ここで、最大高低差(R)は、刃先を含む縦断面をCPにて加工し、刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域におけるダイヤモンド皮膜の最大高低差を、例えば、3箇所をJIS B 0601−1994にしたがって測定したものである。
本発明でいう刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域とは、図1に示すように、すくい面と逃げ面とをそれぞれ直線で近似したときに、当該直線の交点から、それぞれ、すくい面側、逃げ面側に50μm離れた領域内をいう。
7.製造方法(成膜条件)
本発明のダイヤモンド被覆切削工具におけるダイヤモンド皮膜は、熱フィラメント法に用いるCVD装置を用いて、例えば、以下のような成膜条件によって製作することができる。
(1)<100>配向したダイヤモンド単層
フィラメント電流値:150〜200A
ガスに対するCHガスの割合:2.5〜4.5体積%
基体温度:750〜850℃
反応圧力:800〜1000Pa
成膜時間:3.0〜13.0時間
成膜初期(成膜開始より5分間)に工具基体にフィラメントに対して直流の負バイアスを印加し、成膜開始後5分間およびその後30分おきにバイアスを1分間印加する。バイアスの範囲は−120Vから−200Vが望ましく、−120V未満はバイアスを印加する効果が小さく、−200Vを越えると膜質が低下する。
(2)分断層
フィラメント電流値:120〜150A
ガスに対するCHガスの割合:3.5〜4.5体積%
基体温度:750〜800℃
反応圧力:300〜500Pa
成膜時間:0.2〜0.4時間
(3)<110>配向したダイヤモンド単層
フィラメント電流値:140〜180A
ガスに対するCHガスの割合:0.8〜1.5体積%
基体温度:750〜800℃
反応圧力:500〜800Pa
成膜時間:1.0〜3.0時間
次に、実施例について説明する。なお、実施例ではドリルを例に挙げて説明するが本発明に係るダイヤモンド被覆切削工具はこれに限られるものではない。
原料粉末として、いずれも1μm以下の平均粒径を有するWC粉末、1〜3μmの平均粒径を有するTaC粉末、NbC粉末、Cr粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで96時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、直径が10mmの工具基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の丸棒焼結体から、研削加工にて、直径7mmのドリル形状の超硬合金製の工具基体A、Bを製作した。
Figure 2019181574
引き続いて、この超硬合金基体A、Bの表面をアセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、酸溶液、アルカリ溶液、酸溶液の3段階によるエッチング処理を行った後、粒径1〜2μmのダイヤモンド粉末を含むイソプロピルアルコール液中で10分間の超音波処理を行なった。
その後、前記超硬合金基体A、Bを熱フィラメント法に用いるCVD装置に装入し、所定の平均膜厚、平均粒径の結晶性ダイヤモンド層を成膜形成し本発明被覆工具1〜14を製作した。成膜条件は、表2に示すとおりである。
このようにして得られたダイヤモンド皮膜について、ダイヤモンド皮膜の平均膜厚、工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域の下層の結晶粒の{100}面の法線および上層の結晶粒の{110}面の法線が工具基体の法線に対してそれぞれなす傾斜角度をそれぞれEBSD装置を用いて測定し、前記傾斜角度のうち、0〜15°の範囲にある結晶粒の面積の和が前記領域にあるそれぞれの単層の結晶粒の全ての面積の和に対する割合(以下、<100>および<110>配向率という)を求めた。さらに、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比、前記領域にあるそれぞれの単層の結晶粒の長径の短径に対する平均アスペクト比、前記ダイヤモンド皮膜の表面の最大高低差(R)をそれぞれ求めた。それぞれの値を表3に示す。
比較の目的で、前記超硬合金基体A、Bを熱フィラメントCVD装置に装入し、ダイヤモンド膜を成膜し、比較被覆工具1〜18を製作した。成膜条件は表2に示すとおりである。
そして、工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面におけるダイヤモンド皮膜について、ダイヤモンド皮膜全体および各層の平均膜厚、下層の結晶粒の{100}面の法線および上層の結晶粒の{110}面の法線が工具基体の法線に対してそれぞれなす傾斜角度をそれぞれEBSD装置を用いて測定し、前記傾斜角度のうち、0〜15°の範囲にある結晶粒の面積の和が前記領域にあるそれぞれの単層の結晶粒の全ての面積の和に対する割合を求めた。さらに、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比、前記領域にあるそれぞれの単層の結晶粒の長径と短径の平均アスペクト比、前記ダイヤモンド皮膜の表面の最大高低差(R)をそれぞれ求めた。それぞれの値を表4に示す。
Figure 2019181574
Figure 2019181574
Figure 2019181574
続いて、前記本発明被覆工具1〜14および比較被覆工具1〜18について、下記条件で穴開け回数の評価試験を行い、工具寿命を調べた。
被削材:厚さ 27mm
CFRP(厚さ20mm)とAl合金(A7075:厚さ7mm)からなる複合材
VC=100m/分
fr=0.2mm/rev貫通
*工具寿命の判定方法:加工穴数50毎に、ドリルの刃先とワークを観察し、刃先に基体の露出、欠損、チッピングが生じた時点でドリルの寿命とした。また、加工精度を保つ基準として、被削材の加工面にバリ発生しない、層間剥離が加工面から1mm以内に抑えられた加工状態を合格判定とした。
試験結果を表5に示す。
Figure 2019181574

ここで、比較被覆工具9の「加工不良」とは、バリ・層間剥離が発生したため穴開け加工の初期に加工中止としたことを表している。
表5に示される結果から、本発明被覆工具1〜14は、<100>配向したダイヤモンド層は、<100>配向率が30%以上であり、かつ、I/Iが5以上、アスペクト比が5〜20であって、分断層の結晶粒径が20nm以下であり、<110>配向したダイヤモンド層は、<110>配向率が40%以上であり、かつ、I/Iが3以上、アスペクト比が5〜10であって、皮膜表面の最大高低差Rzが0.5μm以下であるため、CFRP/Al合金スタック材の切削加工おいて耐チッピング性に優れ、さらには、耐摩耗性が高く破壊に対する靱性が高い。
これに対して、本発明の規定を満足しない比較被覆工具1〜18においては、いずれも、欠損・チッピングが発生するばかりか、切削長が短い、または短時間で使用寿命に至っている。
前述のとおり、この発明のダイヤモンド被覆工具は、難削材であるCFRP/Al合金スタック材の切削において、長期の使用にわたり優れた耐チッピング性、耐欠損性、耐摩耗性を発揮するものであるから、切削加工装置のFA化、ならびに切削加工の省力化および省エネ化、さらには、低コスト化に十分に満足できる対応ができるものである。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金で構成された工具基体表面に平均膜厚が7.150〜25.300μmのダイヤモンド皮膜が被覆されたダイヤモンド被覆工具であって、
    前記ダイヤモンド皮膜は前記工具基体側表面から、順に、6.000〜22.000μmの平均層厚の<100>配向したダイヤモンド層、150〜300nmの平均層厚の分断層、1.000〜3.000μmの平均層厚の<110>配向したダイヤモンド層を含み、
    前記<100>配向したダイヤモンド層は、前記工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域において、電子線後方散乱回折による層厚方向の配向率の解析により{100}面の法線が前記工具基体の法線となす傾斜角度を測定したとき、0〜15度の範囲に入る結晶粒の面積の和の占める割合が30%以上であり、かつ、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比(I/I)が5以上、当該結晶粒の長径と短径とのアスペクト比が5〜20であり、
    前記分断層は結晶粒径が20nm以下であり、
    前記<110>配向したダイヤモンド層は、前記工具の刃先先端を中心とした半径50μmの円内の縦断面の領域において、電子線後方散乱回折による層厚方向の配向率の解析により{110}面の法線が前記工具基体の法線となす傾斜角度を測定したとき、0〜15度の範囲に入る結晶粒の面積の和の占める割合が40%以上であり、かつ、波長532nmの可視レーザーを用いたラマン分光による測定において、1332〜1337cm−1に確認される前記ダイヤモンド皮膜のピーク強度(I)と1560〜1600cm−1間にピークを有するグラファイトのピーク強度(I)の比(I/I)が3以上、当該結晶粒の長径と短径とのアスペクト比が5〜10であって、皮膜表面の最大高低差Rが0.5μm以下である、
    ことを特徴とするダイヤモンド被覆切削工具。
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