JP2019179602A - リチウム硫黄固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体電解質中での金属リチウムの析出を抑制できる、新規のリチウム硫黄固体電池の提供。【解決手段】硫黄正極11と、リチウム負極12と、固体電解質13と、リチウムイオン伝導層14と、を備えたリチウム硫黄固体電池1において、固体電解質13を、硫黄正極11とリチウム負極12との間に配置し、リチウムイオン伝導層14を、固体電解質13とリチウム負極12との間に配置し、リチウムイオン伝導層14を、イオン液体を含有し、かつ、リチウム負極12と固体電解質13との間でリチウムイオンを伝導させるものとする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム硫黄固体電池に関する。
近年、電子機器や通信機器等のポータブル化やコードレス化が急速に進展している。これら電子機器や通信機器の電源として、エネルギー密度が高く、負荷特性に優れた二次電池が要望されており、高電圧、高エネルギー密度で、サイクル特性にも優れるリチウム二次電池の利用が拡大している。
一方、電気自動車の普及や、自然エネルギーの利用の推進には、さらに大きなエネルギー密度の電池が必要とされる。そこで、LiCoO等のリチウム複合酸化物を正極の構成材料とするリチウムイオン二次電池に替わる、新たなリチウム二次電池の開発が望まれている。
硫黄は、1672mAh/gと極めて高い理論容量密度を有しており、硫黄を正極の構成材料とするリチウム硫黄電池は、電池の中でも、理論的に最も高エネルギー密度を達成できる可能性を有している。そこで、リチウム硫黄電池の研究開発が盛んに行われるようになってきている。
リチウム硫黄電池の電解質として、有機電解液を用いた場合には、充放電の際などに硫黄分子や反応中間体(例えば、多硫化リチウム等)等が有機電解液中に溶解して拡散することで、自己放電や負極の劣化が惹き起こされ、電池性能が低下するという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決するために、電解液に塩酸や硝酸等の酸を添加して電解液を改質する方法(特許文献1参照)、正極の構成材料として、ケッチェンブラックに硫黄ナノ粒子を内包した複合体を用いる方法(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2013−114920号公報 特開2012−204332号公報
しかし、特許文献1及び2で開示されている方法では、電解質自体が液状であるため、硫黄分子や反応中間体が電解液に溶解することを完全には抑制できず、十分な効果を得られないという問題点があった。
このような電解液を用いた場合の問題点を解決する方法として、固体電解質を用いる方法がある。しかし、固体電解質を備えたリチウム硫黄固体電池は、まだ技術的に十分に検討されておらず、大きな改善の余地がある。
例えば、本発明者らは、リチウム硫黄固体電池で充放電を行ったときに、短絡(ショート)や、固体電解質の割れが生じ得ることを確認している。種々検討の結果、これらの不具合は、固体電解質中で金属リチウムが析出してしまうことが原因であることが判明した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、固体電解質中での金属リチウムの析出を抑制できる、新規のリチウム硫黄固体電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、リチウムイオン伝導層と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記リチウムイオン伝導層は、前記固体電解質と前記リチウム負極との間に配置されており、前記リチウムイオン伝導層は、イオン液体を含有し、かつ、前記リチウム負極と前記固体電解質との間でリチウムイオンを伝導させる、リチウム硫黄固体電池。
[2].前記リチウムイオン伝導層が、その構成材料として、ポリイミド又はガラスを含む、[1]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[3].前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体である、[1]又は[2]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[4].前記硫黄正極が、空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、少なくとも硫黄及びイオン液体を含有している、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
[5].前記固体電解質の構成材料が酸化物系材料である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
本発明によれば、固体電解質中での金属リチウムの析出を抑制できる、新規のリチウム硫黄固体電池が提供される。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池の要部の一例を模式的に示す断面図である。 実施例1の電池セルの評価結果を示すグラフである。 比較例1の電池セルの評価結果を示すグラフである。
<<リチウム硫黄固体電池>>
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、リチウムイオン伝導層と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記リチウムイオン伝導層は、前記固体電解質と前記リチウム負極との間に配置されており、前記リチウムイオン伝導層は、イオン液体を含有し、かつ、前記リチウム負極と前記固体電解質との間でリチウムイオンを伝導させるものである。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池が前記リチウムイオン伝導層を備えていることにより、この電池の固体電解質中においては、金属リチウムの析出が抑制される。その結果、本実施形態のリチウム硫黄固体電池においては、充放電時に、短絡(ショート)や、固体電解質の割れが抑制される。本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、電池特性に優れる。
以下、はじめに、図面を参照しながら、本実施形態のリチウム硫黄固体電池の構造について、詳細に説明する。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態のリチウム硫黄固体電池の要部の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示すリチウム硫黄固体電池1は、硫黄正極11と、リチウム負極12と、固体電解質13と、リチウムイオン伝導層14と、を備えて構成されている。
リチウム硫黄固体電池1において、固体電解質13は、硫黄正極11とリチウム負極12との間に配置され、リチウムイオン伝導層14は、固体電解質13とリチウム負極12との間に配置されている。すなわち、リチウム硫黄固体電池1においては、硫黄正極11、固体電解質13、リチウムイオン伝導層14及びリチウム負極12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されている。
リチウムイオン伝導層14は、その一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)14aから他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)14bにまで到達する空隙部(図示略)を多数有している。したがって、リチウムイオン伝導層14を介して、リチウム負極12と固体電解質13との間においては、液状物や微細な物質の移動が可能となっている。
さらに、リチウムイオン伝導層14は、この空隙部等に、イオン液体(図示略)を保持している。このイオン液体中には、リチウムイオンが溶解可能である。したがって、リチウムイオン伝導層14を介して、リチウム負極12と固体電解質13との間(リチウムイオン伝導層14中のその厚さT14の方向)においては、リチウムイオンが容易に伝導可能となっている。
リチウムイオン伝導層14のうち、前記空隙部を有し、イオン液体を保持するとともに、リチウムイオン伝導層の形状を維持している部位を、本明細書においては、「本体部」と称する。すなわち、リチウムイオン伝導層14は、前記本体部と、前記本体部によって保持されているイオン液体と、を含む。
リチウムイオン伝導層14の本体部としては、例えば、多孔質体、又は、繊維状の材料が集合し、層を構成している繊維質のもの(本明細書においては、「繊維集合体」と称することがある)等が挙げられる。
リチウム硫黄固体電池1においては、リチウムイオン伝導層14が存在することにより、リチウムイオン伝導層14中のイオン液体によって、リチウムイオン伝導層14中、換言するとリチウム負極12と固体電解質13との間、において、金属リチウムの析出が抑制される。ここで、「リチウムイオン伝導層14中で金属リチウムの析出が抑制される」とは、「リチウムイオン伝導層14中で金属リチウムが全く析出しないか、又はリチウムイオン伝導層14中で金属リチウムが析出したとしても、その析出量が微量であること」を意味する。したがって、リチウムイオン伝導層14は、リチウム負極12と固体電解質13との間で、円滑にリチウムイオンを伝導させる。さらに、このように金属リチウムの析出が抑制されることで、固体電解質13中においても、金属リチウムの析出が抑制される。すなわち、リチウム硫黄固体電池1においては、リチウムイオン伝導層14から、固体電解質13を介して、硫黄正極11までの間で、金属リチウムが連続的に析出することが抑制される。その結果、リチウム硫黄固体電池1においては、例えば、充放電を行ったときに、短絡(ショート)と固体電解質の割れの発生を抑制できる。
リチウム硫黄固体電池1においては、例えば、硫黄正極11及びリチウム負極12に、さらに、それぞれ外部回路との接続用の端子が設けられる。
また、リチウム硫黄固体電池1においては、さらに必要に応じて、上述の硫黄正極11、固体電解質13、リチウムイオン伝導層14及びリチウム負極12の積層構造全体が、容器中に収納される。
また、リチウム硫黄固体電池1は、さらに必要に応じて、リチウムイオン伝導層14中のイオン液体が、リチウム硫黄固体電池1の外部に漏出することを抑制する機構(漏出抑制機構)を備えていてもよい。例えば、前記容器が、このような漏出抑制機構を兼ねてもよい。
次に、本実施形態のリチウム硫黄固体電池の各層の構成について、詳細に説明する。
<硫黄正極>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における硫黄正極は、硫黄を含有し、正極として機能するものであれば、特に限定されない。
硫黄正極としては、例えば、集電体(正極集電体)上に正極活物質層を備えて構成された、公知のものが挙げられる。
ただし、好ましい硫黄正極としては、例えば、空隙部を多数有する導電性シートを備え、前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、前記導電性シートは、前記空隙部に、少なくとも硫黄を含有しているものが挙げられ、前記導電性シートは、前記空隙部に、少なくとも硫黄及びイオン液体を含有していることが好ましい。
このような硫黄正極としては、例えば、前記導電性シートが、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有しているもの(本明細書においては、「硫黄正極(I)」と称することがある);前記導電性シートが、前記空隙部に、硫黄を含有し、かつ導電助剤及びバインダーを含有していないもの(本明細書においては、「硫黄正極(II)」と称することがある)が挙げられる。硫黄正極(II)は、さらに、前記空隙部にイオン液体を含有していることが好ましい。
以下、硫黄正極ごとに、硫黄正極のこれら構成材料について、詳細に説明する。
○硫黄正極(I)
[導電性シート]
硫黄正極(I)において、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
導電性シート中の前記空隙部は、硫黄正極(I)の導電性シート以外の構成成分、すなわち、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を保持する。そして、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
また、前記空隙部は、導電性シートの外部に対して開口しており、導電性シートに対して、後から硫黄等の各成分を加えることで、これら成分を保持させることが可能となっている。
導電性シート中の空隙部は、上記の条件を満たす限り、その形状は特に限定されない。
例えば、空隙部は、1個又は2個以上の他の空隙部と連結しいてもよいし、他の空隙部と連結することなく、独立していてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から反対側の他方の表面まで貫通していてもよいし、貫通することなく、導電性シートの内部で行き止まりとなっていてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から導電性シートの内部を経由して、再び同じ表面に到達していてもよい。
導電性シートの形態としては、例えば、上述のリチウムイオン伝導層の本体部と同様の、多孔質体、繊維集合体(繊維状の材料が集合し、層を構成している繊維質のもの)等が挙げられる。導電性シートを構成する繊維集合体は、例えば、繊維状の材料が互いに絡み合って構成されているものであってもよいし、繊維状の材料が規則的又は不規則的に積み重なって構成されていてもよい。
導電性シートの構成材料は、導電性を有していればよいが、硫黄との反応性を有しないものが好ましい。
導電性シートの構成材料として、より具体的には、例えば、炭素、金属(単体金属、合金)等が挙げられる。
なかでも、導電性シートの好ましい構成材料としては、正極集電体の構成材料が挙げられ、より具体的には、例えば、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。
導電性シートの構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
好ましい導電性シートとしては、例えば、カーボンフェルト、カーボンクロス等が挙げられる。
導電性シートの厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、導電性シートの厚さは、50〜30000μmであることが好ましく、100〜3000μmであることがより好ましい。
なお、導電性シートの表面における凹凸度が高い場合など、導電性シートの厚さが導電性シートの部位によって明確に変動している場合には、最大の厚さを導電性シートの厚さとする(導電性シートの最も厚い部位の厚さを導電性シートの厚さとする)。これは、導電性シートに限らず、すべての層(後述する硫黄正極、リチウム負極、固体電解質及びリチウムイオン伝導層)の厚さについても、同様である。
[導電助剤]
前記導電助剤は、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、黒鉛(グラファイト);ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;グラフェン;フラーレン等が挙げられる。
硫黄正極(I)が含有する導電助剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、硫黄及び導電助剤の合計含有量の割合([硫黄正極(I)の硫黄及び導電助剤の合計含有量(質量部)]/[硫黄正極(I)の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、60〜95質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましい。前記合計含有量の割合が前記下限値以上であることで、電池の充放電特性がより向上する。前記合計含有量の割合が前記上限値以下であることで、硫黄及び導電助剤以外の成分を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
硫黄正極(I)において、[硫黄の含有量(質量部)]:[導電助剤の含有量(質量部)]の質量比は、特に限定されないが、30:70〜70:30であることが好ましく、45:55〜65:35であることがより好ましい。硫黄の含有量の比率が高いほど、電池の充放電特性がより向上し、導電助剤の含有量の比率が高いほど、硫黄正極(I)の導電性がより向上する。
硫黄正極(I)において、硫黄及び導電助剤は、複合体を形成していてもよい。
例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで、硫黄−炭素複合体が得られる。このような、複合体も、硫黄正極(I)の含有成分として好適である。
[バインダー]
前記バインダーは、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。
硫黄正極(I)が含有するバインダーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、バインダーの含有量の割合([硫黄正極(I)のバインダーの含有量(質量部)]/[硫黄正極(I)の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、3〜15質量%であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極(I)の構造をより安定して維持できる。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
[イオン液体]
硫黄正極(I)が含有する前記イオン液体は、リチウムイオンを容易に移動させるための成分であり、高温安定性に優れる。硫黄正極(I)がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極(I)と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極(I)と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、前記硫黄正極(I)を用いた固体電池は、固体電解質を用いているにも関わらず、硫黄正極界面での界面抵抗値が小さく、優れた電池特性を有する。
前記イオン液体は、例えば、公知のものから適宜選択できる。
ただし、イオン液体は、例えば、170℃未満の温度範囲で、硫黄の溶解度が低いものほど好ましく、硫黄を溶解させないものが特に好ましい。
イオン液体としては、例えば、170℃未満の温度で液状のイオン性化合物、溶媒和イオン液体等が挙げられる。
(170℃未満の温度で液状のイオン性化合物)
前記イオン性化合物を構成するカチオン部は、有機カチオン及び無機カチオンのいずれでもよいが、有機カチオンであることが好ましい。
前記イオン性化合物を構成するアニオン部も、有機アニオン及び無機アニオンのいずれでもよい。
前記カチオン部のうち、有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン(imidazolium cation)、ピリジニウムカチオン(pyridinium cation)、ピロリジニウムカチオン(pyrrolidinium cation)、ホスホニウムカチオン(phosphonium cation)、アンモニウムカチオン(ammonium cation)、スルホニウムカチオン(sulfonium cation)等が挙げられる。
ただし、前記有機カチオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、有機アニオンとしては、例えば、メチルサルフェートアニオン(CHSO )、エチルサルフェートアニオン(CSO )等のアルキルサルフェートアニオン(alkylsulfate anion);
トシレートアニオン(CHSO );
メタンスルホネートアニオン(CHSO )、エタンスルホネートアニオン(CSO )、ブタンスルホネートアニオン(CSO )等のアルカンスルホネートアニオン(alkanesulfonate anion);
トリフルオロメタンスルホネートアニオン(CFSO )、ペンタフルオロエタンスルホネートアニオン(CSO )、ヘプタフルオロプロパンスルホネートアニオン(CSO )、ノナフルオロブタンスルホネートアニオン(CSO )等のパーフルオロアルカンスルホネートアニオン(perfluoroalkanesulfonate anion);
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン((CFSO)N)、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン((CSO)N)、ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルイミドアニオン((CFSO)(CSO)N)、N,N−ヘキサフルオロ−1,3−ジスルホニルイミドアニオン(SOCFCFCFSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミドアニオン(perfluoroalkanesulfonylimide anion);
アセテートアニオン(CHCOO);
ハイドロジェンサルフェートアニオン(HSO );等が挙げられる。
ただし、前記有機アニオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、無機アニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(N(SOF) );ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF );テトラフルオロボレートアニオン(BF );塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハライドアニオン(halide anion);テトラクロロアルミネートアニオン(AlCl )、チオシアネートアニオン(SCN)等が挙げられる。
ただし、前記無機アニオンは、これらに限定されない。
前記イオン性化合物としては、例えば、上記のいずれかのカチオン部と、上記のいずれかのアニオン部と、の組み合わせで構成されたものが挙げられる。
カチオン部がイミダゾリウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、メチルイミダゾリウムクロライド、メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート等が挙げられる。
カチオン部がピリジニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がピロリジニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がホスホニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がアンモニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
(溶媒和イオン液体)
前記溶媒和イオン液体で好ましいものとしては、例えば、グライム−リチウム塩錯体からなるもの等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体におけるリチウム塩としては、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF)、本明細書においては、「LiFSI」と略記することがある)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF、本明細書においては、「LiTFSI」と略記することがある)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体におけるグライムとしては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、テトラグライム)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体としては、例えば、グライム1分子とリチウム塩1分子とで構成された錯体等が挙げられるが、グライム−リチウム塩錯体はこれに限定されない。
前記グライム−リチウム塩錯体は、例えば、リチウム塩とグライムとを、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比が、好ましくは10:90〜90:10となるように、混合することで作製できる。
好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、トリグライム−LiFSI錯体、テトラグライム−LiFSI錯体、トリグライム−LiTFSI錯体、テトラグライム−LiTFSI錯体等が挙げられる。
硫黄正極(I)が含有するイオン液体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)が含有するイオン液体は、上記の中でも、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体であることが好ましい。
硫黄正極(I)において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、イオン液体の含有量の割合([硫黄正極(I)のイオン液体の含有量(質量部)]/[硫黄正極(I)の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、5〜20質量%であることが好ましく、9〜15質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極(I)の導電性がより向上する。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
[その他の成分]
硫黄正極(I)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、導電性シート以外の構成成分として、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体以外に、その他の成分(ただし、後述する溶媒を除く)を含有していてもよい。
前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)が含有するその他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、前記その他の成分の含有量の割合([硫黄正極(I)のその他の成分の含有量(質量部)]/[硫黄正極(I)の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
硫黄正極(I)において、導電性シートの質量に対する、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の合計質量の割合([硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の合計質量]/[導電性シートの質量]×100)は、15〜45質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましい。
○硫黄正極(I)の製造方法
硫黄正極(I)は、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有する正極材を、前記導電性シートに含浸させる工程を有する製造方法で、製造できる。そして、前記製造方法は、さらに、含浸させた正極材を乾燥させる工程等、他の工程を有していてもよい。以下、このような硫黄正極の製造方法について説明する。
[正極材]
好ましい前記正極材としては、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体、溶媒、及び必要に応じて前記その他の成分を含有するものが挙げられる。
前記溶媒は、上述の硫黄等の各成分を溶解又は分散させ、正極材に適度な流動性を付与するための成分である。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、如何なるイオン液体も溶媒には包含されない(すべてのイオン液体は溶媒として取り扱わない)ものとする。
溶媒は、上述の硫黄等の各成分の種類に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド;アセトン等のケトン等が挙げられる。
正極材が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
正極材の溶媒の含有量は、特に限定されず、溶媒以外の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
正極材における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合([正極材の硫黄の含有量(質量)]/[正極材の、溶媒以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、硫黄正極における、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合([硫黄正極の硫黄の含有量(質量部)]/[硫黄正極の、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量(質量部)]×100)と同じである。これは、硫黄以外の、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分でも同じである。
正極材は、上述の硫黄等の各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの成分(すなわち、上述の硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分のいずれかの成分)と混合して、この成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、上述の溶媒以外のいずれかの成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌棒、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各成分が劣化しない限り特に限定されない。通常、混合時の温度は、15〜30℃であることが好ましい。
各成分を添加及び混合して得られた組成物は、そのまま正極材として用いてもよいし、例えば、添加した溶媒の一部を留去等によって除去するなど、得られた組成物に何らかの操作を追加して行って得られたものを、正極材として用いてもよい。
正極材の導電性シートへの含浸は、例えば、液状である正極材を導電性シートに塗工する方法、液状である正極材に導電性シートを浸漬する方法等により、行うことができる。
正極材は、公知の方法で導電性シートに塗工できる。
導電性シートへ含浸させる正極材の温度は、特に限定されないが、例えば、15〜30℃とすることができる。ただし、これは、前記温度の一例である。
正極材の乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。例えば、好ましくは70〜90℃、8〜24時間の条件で乾燥させることができるが、乾燥条件はこれに限定されない。
○硫黄正極(II)
硫黄正極(II)は、前記空隙部に硫黄を含有しており、導電性シートに、溶融した硫黄又は硫黄溶液を含浸させて得られたものである。
[導電性シート]
硫黄正極(II)における導電性シートは、硫黄正極(I)における導電性シートと同じものであり、硫黄正極(I)の場合と同様に用いることができる。
[硫黄、硫黄溶液]
前記硫黄溶液は、溶媒に硫黄を溶解させることで、得られる。
前記硫黄溶液の溶媒は、硫黄を溶解可能であり、かつ、導電性シートを変質させないものであれば、特に限定されない。
前記溶媒は、無機溶媒及び有機溶媒のいずれであってもよい。
前記無機溶媒としては、例えば、二硫化炭素等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等が挙げられる。
前記硫黄溶液中の溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記硫黄溶液の硫黄の濃度は、導電性シートの空隙部に硫黄溶液を含浸可能であれば、特に限定されない。
硫黄溶液の硫黄の濃度は、例えば、溶媒の種類に応じて、適宜調節できる。
硫黄溶液の硫黄の濃度は、例えば、0.1〜35質量%であることが好ましい。前記濃度が前記下限値以上であることで、硫黄の含有量が多い硫黄正極(II)をより容易に得られる。前記濃度が前記上限値以下であることで、導電性シートへの含浸時における硫黄溶液の取り扱い性が、より良好となる。
硫黄正極(II)の作製時において、導電性シートに、溶融した硫黄を含浸させる方法としては、例えば、導電性シートの表面上に固体の硫黄を載置し、この状態の硫黄を加熱して溶融させる方法(本明細書においては、「含浸方法A」と略記することがある);加熱によって溶融させた状態の硫黄を、導電性シートの表面に供給する方法(本明細書においては、「含浸方法B」と略記することがある)等が挙げられる。
含浸方法Aにおいては、例えば、導電性シート上の硫黄を、この導電性シートとともに加熱してもよい。
含浸方法Bにおいては、例えば、溶融させた状態の硫黄を加熱しながら、導電性シートの表面に供給してもよい。また、導電性シートを硫黄と同等の温度で加熱しながら、硫黄を供給してもよい。
なかでも、含浸方法Aにおいては、導電性シート上の硫黄を加熱するだけで、溶融した硫黄が重力により、自然に導電性シートに含浸されていくため、極めて簡便に含浸させることができる。
したがって、溶融した硫黄を導電性シートに含浸させる方法は、含浸方法Aであることが好ましい。
導電性シートに溶融した硫黄を含浸させるときの、硫黄の温度は、120〜160℃であることが好ましく、135〜160℃であることがより好ましく、150〜160℃であることが特に好ましい。前記温度がこのような範囲であることで、硫黄の溶融粘度が十分に低下し、導電性シートの空隙部に硫黄を容易に導入できるとともに、空隙部内における硫黄の含有状態が、より良好となる。その結果、硫黄正極(II)において、通常使用される導電助剤及びバインダーが不要となり、リチウム硫黄固体電池のエネルギー密度が、より高くなる。
硫黄正極(II)の作製時において、導電性シートに硫黄溶液を含浸させる方法としては、例えば、硫黄溶液を導電性シートの表面に供給する方法;硫黄溶液中に導電性シートを浸漬する方法等が挙げられる。
導電性シートに硫黄溶液を含浸させるときの、硫黄溶液の温度は、硫黄溶液中の溶媒の種類に応じて、適宜調節することが好ましい。例えば、前記硫黄溶液の温度は、硫黄溶液中の溶媒の沸点以下であることが好ましい。前記温度が前記上限値以下であることで、導電性シートの空隙部に硫黄溶液を容易に導入できるとともに、空隙部内における硫黄の含有状態が、より良好となる。その結果、硫黄正極(II)において、通常使用される導電助剤及びバインダーが不要となり、リチウム硫黄固体電池のエネルギー密度が、より高くなる。
導電性シートに硫黄溶液を含浸させるときの、硫黄溶液の温度の下限値は、硫黄溶液が固化しない限り特に限定されない。例えば、硫黄溶液の調製が容易であり、硫黄溶液の取り扱い性が良好である点では、前記温度は15℃以上であることが好ましい。
導電性シートに前記硫黄溶液を含浸させた場合には、硫黄溶液を乾燥させる(硫黄溶液中の溶媒を除去する)ことが必要となる。
硫黄溶液の乾燥は、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。
乾燥温度(溶媒の除去温度)は、硫黄溶液中の溶媒の種類に応じて、適宜調節することが好ましい。例えば、硫黄溶液の乾燥温度は、硫黄溶液中の溶媒の沸点以上であることが好ましい。
硫黄正極(II)が、導電性シートに、溶融した硫黄又は硫黄溶液を含浸させて得られたものである場合、導電性シートの空隙部内においては、硫黄が特有の含有状態となる。すなわち、硫黄は、導電性シートの空隙部内において、塊状となり、前記空隙部の表面に対して、隙間の発生が抑制された状態で、接触して保持される。換言すると、導電性シートの空隙部内において、塊状の硫黄は、前記空隙部の表面との接触面積が大きくなっている。これは、溶融した硫黄又は硫黄溶液が、導電性シートへの含浸によって、導電性シートの空隙部内に充填されることによる効果である。例えば、溶解していない硫黄を含む硫黄分散液を、導電性シートへ含浸させた場合には、最終的に、溶解していない硫黄がそのまま粒子状等の形状で、導電性シートの空隙部内に保持される。このような硫黄正極(II)では、硫黄と、前記空隙部の表面と、の接触面積は、小さくなってしまう。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極(II)において、このように硫黄が特有の含有状態となることで、通常使用される導電助剤及びバインダーが不要となり、エネルギー密度が高くなる。
さらに、本実施形態での硫黄正極(II)においては、このように、硫黄が特有の含有状態となることで、そうでない場合よりも、硫黄の含有量の増量が可能である。これは、導電性シートの空隙部内の硫黄の含有量が増大するためである。このように、硫黄の含有量が増大した状態となった場合、本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、硫黄の利用量が多くなり、この点でも、優れた電池特性を有する。
本実施形態における硫黄正極(II)としては、例えば、硫黄の含有量が、好ましくは6mg/cm以上、より好ましくは10mg/cm以上、さらに好ましくは15mg/cm以上、特に好ましくは20mg/cm以上であるものが挙げられる。本明細書において、「硫黄正極(II)の硫黄の含有量(mg/cm)」とは、特に断りのない限り、硫黄正極(II)をその真上から見下ろして平面視したときの、硫黄正極(II)の表面積1cmあたりの、硫黄正極(II)の硫黄の含有量(mg)を意味する。
本実施形態において、硫黄正極(II)の硫黄の含有量の上限値は、特に限定されない。硫黄正極(II)の硫黄の含有量は、例えば、硫黄正極(II)の作製がより容易である点では、300mg/cm以下であることが好ましい。
本実施形態においては、硫黄正極(II)の硫黄の含有量を、上述の好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。例えば、硫黄正極(II)の硫黄の含有量は、6〜300mg/cmであることが好ましく、10〜300mg/cmであることがより好ましく、15〜300mg/cmであることがさらに好ましく、20〜300mg/cmであることが特に好ましい。ただし、これらは、硫黄正極(II)の硫黄の含有量の一例である。
上述のとおり、導電性シートの空隙部内での硫黄が特有の含有状態であることにより、本実施形態での硫黄正極(II)においては、導電助剤、バインダー等の、通常の正極で使用される成分が、不要である。このように、導電性シート中で、硫黄以外の成分が不要である(含有されない)ことによっても、硫黄正極(II)における硫黄の含有量の増量が可能である。
[イオン液体]
硫黄正極(II)は、導電性シートの空隙部に、さらに、イオン液体を含有していることが好ましい。イオン液体は、高温安定性に優れるとともに、リチウムイオンを容易に移動させることが可能である。したがって、硫黄正極(II)がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極(II)と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極(II)と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、このような硫黄正極(II)を用いた固体電池は、固体電解質を用いているにも関わらず、硫黄正極(II)界面での界面抵抗値が小さくなり、より優れた電池特性を有する。
硫黄正極(II)におけるイオン液体は、硫黄正極(I)におけるイオン液体と同じものである。
イオン液体を用いる場合、硫黄正極(II)において、硫黄及びイオン液体の合計含有量に対する、イオン液体の含有量の割合([硫黄正極(II)のイオン液体の含有量(質量部)]/[硫黄正極(II)の硫黄及びイオン液体の合計含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、5〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極(II)の導電性がより向上する。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
硫黄正極(II)においては、上述の点以外は、硫黄正極(I)の場合と同様に、イオン液体を用いることができる。
[その他の成分]
硫黄正極(II)は、導電性シートの空隙部の内外によらず、導電性シート、硫黄及びイオン液体のいずれにも該当しない、その他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、硫黄正極(II)の機能を阻害しないものであれば、特に限定されない。
硫黄正極(II)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、導電助剤、バインダー等の、通常の正極で使用される成分を、硫黄正極(II)は含有していてもよい。硫黄正極(II)は、導電助剤を含有する場合、硫黄及び導電助剤の複合体として含有していてもよい。硫黄及び導電助剤の複合体とは、例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで得られるものである。
硫黄正極(II)における導電助剤は、硫黄正極(I)における導電助剤と同じである。
硫黄正極(II)におけるバインダーは、硫黄正極(I)におけるバインダーと同じである。
ただし、硫黄正極(II)においては、前記その他の成分の含有量が多いほど、その分だけ、硫黄の含有量が少なくなってしまう。
このような観点から、硫黄正極(II)において、導電性シート以外の成分の総含有量に対する、前記その他の成分の含有量の割合([硫黄正極(II)におけるその他の成分の含有量(質量部)]/[硫黄正極(II)における導電性シート以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であること、すなわち、硫黄正極(II)が前記その他の成分を含有しないことが最も好ましい。
換言すると、硫黄正極(II)において、導電性シート以外の成分の総含有量に対する、硫黄及びイオン液体の合計含有量の割合([硫黄正極(II)における硫黄及びイオン液体の合計含有量(質量部)]/[硫黄正極(II)における導電性シート以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく99質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
このような条件を満たすリチウム硫黄固体電池は、より優れた電池特性を有する。
硫黄正極の種類によらず、硫黄正極の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、硫黄正極の厚さは、100〜30000μmであることが好ましく、200〜3000μmであることがより好ましい。
<リチウム負極>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池におけるリチウム負極は、公知のものであってよい。
リチウム負極の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、リチウム負極の厚さは、10〜2000μmであることが好ましく、100〜1000μmであることがより好ましい。
<固体電解質>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における固体電解質の構成材料は、特に限定されず、結晶性材料、アモルファス材料及びガラス材料のいずれであってもよい。
固体電解質の構成材料として、より具体的には、例えば、硫化物を含まず、かつ酸化物を含むもの(本明細書においては「酸化物系材料」と称することがある)、少なくとも硫化物を含むもの(本明細書においては「硫化物系材料」と称することがある)等、公知のものが挙げられる。
前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)、Li2.9PO3.30.46(LIPON)、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、50LiSiO・50LiBO、Li3.6Si0.60.4、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。
また、前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)等の複合酸化物に、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ビスマス等の元素が添加(ドープ)されたものも挙げられる。ここで、添加される元素は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記硫化物系材料としては、例えば、Li10GeP12(LGPS)、Li3.25Ge0.250.75、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・1LiPO、57LiS・38SiS・5LiSiO、70LiS・30P(LISPS)、50LiS・50GeS、Li11、Li3.250.95等が挙げられる。
固体電解質の構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
固体電解質の構成材料は、大気中における安定性が高く、緻密性が高い固体電解質を作製できる点から、前記酸化物系材料であることが好ましい。
固体電解質の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。通常、固体電解質の厚さは、10〜1200μmであることが好ましい。固体電解質の厚さが前記下限値以上であることで、その製造及び取り扱い性がより良好となる。固体電解質の厚さが前記上限値以下であることで、リチウム硫黄固体電池の抵抗値がより低減される。
固体電解質は、例えば、その目的とする種類に応じて、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物等の原料を選択し、この原料を焼成することで製造できる。原料の使用量は、固体電解質における各金属の原子数比等を考慮して、適宜設定すればよい。
<リチウムイオン伝導層>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池におけるリチウムイオン伝導層は、先の説明のとおり、イオン液体を含有し、かつ、リチウム負極と固体電解質との間でリチウムイオンを伝導させる層である。
先の説明のとおり、前記リチウムイオン伝導層は、本体部と、イオン液体と、を含む。
[本体部]
リチウムイオン伝導層の前記本体部としては、先の説明のとおり、多孔質体、繊維集合体等が挙げられる。
リチウムイオン伝導層の本体部は、リチウム硫黄固体電池の作動時の温度条件下において、リチウム負極と反応せず、溶解せず、変質しないものが好ましい。ここで、「本体部の変質」とは、本体部の成分の組成が変化することを意味する。リチウム硫黄固体電池の作動時の温度は、硫黄正極の種類に応じて、適宜設定できる。公知の硫黄正極、又は硫黄正極(I)を用いる場合には、リチウム硫黄固体電池の作動時の温度は、例えば、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。したがって、この場合のリチウムイオン伝導層の本体部は、例えば、120℃程度の温度条件下において安定なものが好ましい。一方、硫黄正極(II)を用いる場合には、リチウム硫黄固体電池の作動時の温度は、好ましくは110〜160℃である。したがって、この場合のリチウムイオン伝導層の本体部は、このような温度条件下において安定なものが好ましい。
このような本体部のうち、前記多孔質体又は繊維集合体の構成材料としては、例えば、合成樹脂、ガラス、紙類等が挙げられ、合成樹脂又はガラスであることが好ましい。
なかでも、前記本体部の構成材料は、ポリイミド又はガラスであることがより好ましい。すなわち、リチウムイオン伝導層は、その構成材料として、ポリイミド又はガラスを含むことがより好ましい。
リチウムイオン伝導層の本体部の構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
[イオン液体]
リチウムイオン伝導層が含有するイオン液体としては、上述の硫黄正極が含有するイオン液体と同様のもの(例えば、170℃未満の温度で液状のイオン性化合物、溶媒和イオン液体等)が挙げられる。
リチウムイオン伝導層が含有するイオン液体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
リチウムイオン伝導層が含有するイオン液体は、上述の硫黄正極が含有するイオン液体と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
リチウムイオン伝導層が含有するイオン液体は、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体であることが好ましい。リチウムイオン伝導層がこのようなイオン液体を含有することで、固体電解質中での金属リチウムの析出抑制効果がより高くなる。
リチウムイオン伝導層のイオン液体の含有量は、特に限定されない。
ただし、リチウムイオン伝導層の前記本体部中の空隙部の合計体積に対する、リチウムイオン伝導層に保持されているイオン液体の合計体積の割合([リチウムイオン伝導層に保持されているイオン液体の合計体積]/[リチウムイオン伝導層の本体部中の空隙部の合計体積]×100)は、常温下において、80〜120体積%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、固体電解質中での金属リチウムの析出抑制効果がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、イオン液体の過剰使用が抑制される。
前記割合が100体積%より大きくなり得るのは、リチウムイオン伝導層中、前記本体部の空隙部以外にも、イオン液体が存在し得るからである。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
リチウムイオン伝導層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。リチウムイオン伝導層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、リチウムイオン伝導層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
リチウムイオン伝導層の厚さ(例えば、図1に示すリチウム硫黄固体電池1の場合であれば、リチウムイオン伝導層14の厚さT14)は、特に限定されない。
複数層からなるリチウムイオン伝導層の厚さとは、リチウムイオン伝導層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
ただし、固体電解質中での金属リチウムの析出抑制効果がより高くなる点では、リチウムイオン伝導層の厚さは、10μm以上であることが好ましい。リチウムイオン伝導層の厚さが、前記下限値以上であることで、リチウムイオン伝導層中で金属リチウムが析出しなくなるか、又は、リチウムイオン伝導層中で微量の金属リチウムが析出したとしても、その影響が固体電解質中に及ぶことがない。結果として、リチウム硫黄固体電池においては、リチウムイオン伝導層から固体電解質を介して、硫黄正極までの間で、金属リチウムが連続的に析出することが抑制される。
一方、リチウムイオン伝導層の厚さが過剰にならない(より適正となる)点では、リチウムイオン伝導層の厚さは、100μm以下であることが好ましい。
通常、リチウムイオン伝導層が薄くなるほど、リチウムイオン伝導層での抵抗値が減少し、リチウム硫黄固体電池のエネルギー密度が高くなる。
リチウムイオン伝導層は、例えば、前記本体部の構成材料と、イオン液体と、必要に応じて溶媒と、を含有する第1原料組成物を調製し、リチウムイオン伝導層の形成対象面に、前記第1原料組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで形成できる。この方法は、本体部とリチウムイオン伝導層の形成を同時に行う方法である。溶媒を用いない場合には、塗工した第1原料組成物の乾燥は不要である。
第1原料組成物の調製時において、各原料の添加及び混合時の温度並びに時間は、各原料が劣化しない限り特に限定されない。例えば、混合時の温度は、15〜50℃であってもよいが、これは一例である。各原料を混合する方法は、例えば、上述の正極材の製造時において、各成分を混合する方法と同じであってよい。
第1原料組成物は、公知の方法で、リチウムイオン伝導層の形成対象面に塗工できる。
塗工する第1原料組成物の温度は、リチウムイオン伝導層の形成対象面、本体部の構成材料、イオン液体及び溶媒等が劣化しない限り特に限定されない。例えば、このときの第1原料組成物の温度は、15〜50℃であってもよいが、これは一例である。
第1原料組成物を乾燥させる場合には、その乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。第1原料組成物の乾燥温度は、特に限定されず、例えば、20〜100℃であってもよいが、これは一例である。
リチウムイオン伝導層の形成対象面が、リチウム硫黄固体電池中でのリチウムイオン伝導層の配置面(例えば、固体電解質のリチウム負極側の面、リチウム負極の固体電解質側の面等)である場合には、形成したリチウムイオン伝導層は、他の箇所へ移動させる必要はなく、このままの配置とすればよい。
一方、リチウムイオン伝導層の形成対象面が、リチウム硫黄固体電池中でのリチウムイオン伝導層の配置面ではない場合には、形成したリチウムイオン伝導層は、この面から剥離させ、リチウム硫黄固体電池中での目的とする配置面に貼り合わせることで、移動させればよい。
また、リチウムイオン伝導層は、例えば、イオン液体を前記本体部中に含浸させるか、又は、イオン液体と、溶媒と、を含有する混合液を調製し、前記混合液を前記本体部中に含浸させ、必要に応じて含浸後の前記本体部を乾燥させることでも形成できる。この方法は、あらかじめ形成済みの本体部を用いる方法である。溶媒を用いない場合には、含浸後の前記本体部の乾燥は不要である。
この場合には、本体部は、リチウム硫黄固体電池中でのリチウムイオン伝導層の配置面には配置しておかずに、独立して取り扱い、リチウムイオン伝導層を形成した後、得られたリチウムイオン伝導層を、さらに、リチウム硫黄固体電池中での目的とする配置面に貼り合わせることが好ましい。
前記本体部は、例えば、前記本体部の構成材料を含有する第2原料組成物を調製し、この第2原料組成物を成形するなど、公知の方法により作製できる。
また、前記本体部は、市販品であってもよい。
前記イオン液体又は混合液を前記本体部中に含浸させる方法としては、例えば、前記イオン液体又は混合液を前記本体部に塗工する方法、前記本体部を前記イオン液体又は混合液中に浸漬する方法等が挙げられる。
前記イオン液体又は混合液は、公知の方法で、前記本体部に塗工できる。
前記本体部に含浸させる、前記イオン液体又は混合液の温度は、前記本体部、イオン液体及び溶媒等の各原料が劣化しない限り特に限定されない。例えば、含浸時の前記イオン液体又は混合液の温度は、15〜50℃であってもよいが、これは一例である。
混合液を含浸後の前記本体部の乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。このときの乾燥温度は、特に限定されず、例えば、20〜100℃であってもよいが、これは一例である。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、上述のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、これまでに説明したものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極、固体電解質、リチウムイオン伝導層及びリチウム負極のいずれにも該当しない、1種又は2種以上の他の層を、1種ごとに1層又は2層以上備えていてもよい。
前記他の層は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、硫黄正極と固体電解質との間に、金のスパッタ層が配置され、これら3層がこの順で、互いに直接接触しているリチウム硫黄固体電池においては、金のスパッタ層が配置されていない場合よりも、硫黄正極界面での界面抵抗値が低減される。例えば、硫黄正極が、集電体(正極集電体)上に正極活物質層を備えて構成された、公知のものである場合には、このような界面抵抗値の低減効果がより顕著となる。
この場合、金のスパッタ層の厚さは、50nm以上であることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
ただし、空隙部を多数有する導電性シートの前記空隙部に、硫黄等の成分を含有して構成されている硫黄正極を用いる場合には、本実施形態のリチウム硫黄固体電池においては、硫黄正極、固体電解質、リチウムイオン伝導層及びリチウム負極がこの順で、互いに直接接触している(前記他の層を備えていない)ことが好ましい。
<<リチウム硫黄固体電池の製造方法>>
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、前記固体電解質が前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に位置し、前記リチウムイオン伝導層が前記固体電解質と前記リチウム負極との間に位置するように、前記硫黄正極、リチウム負極、固体電解質及びリチウムイオン伝導層を配置する工程を有する方法により、製造できる。
換言すると、本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、前記硫黄正極、固体電解質、リチウムイオン伝導層及びリチウム負極をこの順に、これらの厚さ方向において積層する工程を有する方法により、製造できる。
例えば、本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、リチウムイオン伝導層を新たに用い、硫黄正極、固体電解質、リチウムイオン伝導層及びリチウム負極を上述の配置となるように積層する点以外は、公知のリチウム硫黄固体電池の場合と同じ方法で製造できる。硫黄正極として、上述の導電性シートを備えたものを用いる場合には、さらに追加で、従来の硫黄正極に代えて、このような硫黄正極を用いる点以外は、公知のリチウム硫黄固体電池の場合と同じ方法で製造できる。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池の取り扱い温度は、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。このようにすることで、イオン液体の気化を抑制でき、硫黄の漏出を抑制でき、リチウム硫黄固体電池は、より優れた電池特性を発現する。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、上記のとおり優れた電池特性を有し、しかも安全性が高い。前記リチウム硫黄固体電池は、このような特長を生かして、例えば、家庭用電源;非常用電源;飛行機、電気自動車等の電源等として用いるのに好適である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<電池セルの製造>
[実施例1]
(固体電解質の製造)
水酸化ランタン(純度99.99%、高純度化学研究所社製)(40.38g)、水酸化リチウム(純度98.0%、関東化学社製)(20.44g)及び酸化ジルコニウム(東ソー社製)(17.47g)を秤量し、これらをボールミルで2時間粉砕しながら混合した。得られた粉体(73.10g)を秤量し、焼成用セラミック容器に移し、電気炉を用いて900℃で15時間焼成した後、降温速度5℃/minで冷却して、最終的に室温まで冷却し、リチウム−ランタン−ジルコニウム複合酸化物を得た。
得られた複合酸化物(54.67g)、及び酸化アルミニウム(γ−アルミナ、純度99.99%、高純度化学研究所社製)(0.90g)を秤量し、これらをボールミルで2時間粉砕しながら混合した。両軸プレス機を用いて、得られた混合物を成形することにより、直径15mm、厚さ1mmの円板状ペレットを作製した。
マザーパウダー(水酸化ランタン、水酸化リチウム、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムの混合粉末)を敷いた焼成用セラミック容器に、上記で得られたペレット(0.5g)を移し、さらにマザーパウダーでペレットを覆い、電気炉を用いて焼成した。焼成条件は以下のとおりである。すなわち、昇温速度5℃/minで室温から1200℃まで昇温し、そのまま24時間、1200℃を維持し、ここから降温速度5℃/minで冷却して、最終的に室温まで冷却した。次いで、ペレットに付着したマザーパウダーを研磨により除去した。
以上により、固体電解質として、ペレット状の、アルミニウムがドープされたリチウム−ランタン−ジルコニウム複合酸化物(AlドープLLZ)成形体(Li6.25Al0.25LaZr12、直径11mm、厚さ0.5mm、質量0.26g)を得た。
(リチウムイオン伝導層の製造)
常温下で、多孔質ポリイミドシート(厚さ25μm、多孔度74%)を、テトラグライム−LiTFSI錯体中に浸漬した。
次いで、ガラス繊維シートを、テトラグライム−LiTFSI錯体中から取り出すことにより、リチウムイオン伝導層(厚さ25μm)を作製した。
(リチウム対称セルの製造)
上記で得られたAlドープLLZ成形体の、電極側となる一方の表面に、金をスパッタリングした。これは、後述するように、金のスパッタ層を介在させて、AlドープLLZ成形体と電極とを接触させることで、これらを確実に接触させて、抵抗を低減するためである。
上記で得られたAlドープLLZ成形体の、電極側となる他方の表面、すなわち、金のスパッタ層を形成していない側の表面に、上記で得られたリチウムイオン伝導層を貼り合わせた。さらに、このリチウムイオン伝導層の、AlドープLLZ成形体側とは反対側の表面に、電極としてリチウム金属(直径8mm、厚さ600μm)を貼り合わせた。
上述の金のスパッタ層の、AlドープLLZ成形体側とは反対側の表面に、電極としてリチウム金属(直径8mm、厚さ600μm)を貼り合わせた。
以上により、リチウム金属(電極)、リチウムイオン伝導層、固体電解質、金のスパッタ層、及びリチウム金属(電極)の積層物を得た。
次いで、市販のステンレス製電池セル容器内に、上記で得られた積層物を設置し、最後に上蓋を閉じた。
以上により、評価用の電池セル(リチウム対称セル)を得た。
[比較例1]
(リチウム対称セルの製造)
上記で得られたAlドープLLZ成形体の、電極側となる両方の表面に、金をスパッタリングした。これは、後述するように、金のスパッタ層を介在させて、AlドープLLZ成形体と電極とを接触させることで、これらを確実に接触させて、抵抗を低減するためである。
上述の2層の金のスパッタ層の、AlドープLLZ成形体側とは反対側の表面に、それぞれ電極としてリチウム金属(直径8mm、厚さ600μm)を貼り合わせた。
以上により、リチウム金属(電極)、金のスパッタ層、固体電解質、金のスパッタ層、
及びリチウム金属(電極)の積層物を得た。
次いで、市販のステンレス製電池セル容器内に、上記で得られた積層物を設置し、最後に上蓋を閉じた。
以上により、評価用の電池セル(リチウム対称セル)を得た。
<電池特性の評価>
[試験例1]
上記の実施例及び比較例で得られた電池セルについて、100μA/cm、200μA/cm、500μA/cm、1000μA/cm、及び2000μA/cmの定電流値で充放電試験を行い、電池特性を評価した。このときの評価結果のグラフを図2〜図3に示す。図2は、実施例1の電池セルの場合の、電流値ごとの電位応答曲線であり、図3は、比較例1の電池セルの場合の、電流値ごとの電位応答曲線である。
図2に示すように、実施例1の電池セルでは、電流値が100〜2000μA/cmの場合、放電開始から1時間の時間内で電位応答曲線が安定していた。この場合、電池セル中の固体電解質には、割れ等の異常は認められず、固体電解質中で金属リチウムは析出していなかった。実施例1の電池セルは、このように極めて大きい電流値でも、短絡が確認されず、電池特性が良好であった。
これに対して、図3に示すように、比較例1の電池セルでは、電流値が100〜500μA/cmの場合、放電開始から1時間の時間内で電位応答曲線が安定していた。しかし、電流値が1000μA/cmの場合、放電開始から30分程度の段階で、放電曲線の急激な変化が観測された。これは、固体電解質中で金属リチウムが析出したことによって、短絡が生じたためであった。なお、電流値が100〜500μA/cmの場合には、電池セル中の固体電解質には、割れ等の異常は認められず、固体電解質中で金属リチウムは析出していなかった。
このように、比較例1の電池セルでは、小さい電流値で短絡が見られた。
以上のように、比較例1の電池セルでは、1000μA/cmという小さい電流値で短絡が生じたのに対し、実施例1の電池セルでは、2000μA/cmという極めて高い電流値でも短絡が生じなかった。すなわち、電池セルにリチウムイオン伝導層を設けることによって、固体電解質とリチウム金属との間で、析出が抑制されたリチウムイオンを円滑に伝導させることができ、固体電解質中で金属リチウムの析出を抑制できた。
ここでは、電池セルとして、リチウムイオン伝導層及び固体電解質を備えたリチウム対称セルを作製し、評価したが、同じリチウムイオン伝導層及び固体電解質を備え、さらにリチウム負極及び硫黄正極を備えた、リチウム硫黄固体電池においても、上述のリチウム対称セルの場合と同様の効果を奏するといえる。
本発明は、リチウム硫黄固体電池の分野全般で利用可能である。
1・・・リチウム硫黄固体電池、11・・・硫黄正極、12・・・リチウム負極、13・・・固体電解質、14・・・リチウムイオン伝導層

Claims (5)

  1. 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、リチウムイオン伝導層と、を備え、
    前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
    前記リチウムイオン伝導層は、前記固体電解質と前記リチウム負極との間に配置されており、
    前記リチウムイオン伝導層は、イオン液体を含有し、かつ、前記リチウム負極と前記固体電解質との間でリチウムイオンを伝導させる、リチウム硫黄固体電池。
  2. 前記リチウムイオン伝導層が、その構成材料として、ポリイミド又はガラスを含む、請求項1に記載のリチウム硫黄固体電池。
  3. 前記イオン液体が、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体である、請求項1又は2に記載のリチウム硫黄固体電池。
  4. 前記硫黄正極が、空隙部を多数有する導電性シートを備え、
    前記空隙部は、前記導電性シートの外部に対して開口しており、
    前記導電性シートは、前記空隙部に、少なくとも硫黄及びイオン液体を含有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
  5. 前記固体電解質の構成材料が酸化物系材料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム硫黄固体電池。
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