JP7207132B2 - リチウム硫黄固体電池 - Google Patents
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Description
一方、電気自動車の普及や、自然エネルギーの利用の推進には、さらに大きなエネルギー密度の電池が必要とされる。そこで、LiCoO2等のリチウム複合酸化物を正極の構成材料とするリチウムイオン二次電池に替わる、新たなリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。
[1]硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記硫黄正極は、Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体を含有し、前記Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体は、前記硫黄正極と前記固体電解質との間に介在する、リチウム硫黄固体電池。
[3]前記Li7La3Zr2O12微粒子の平均一次粒子径は、10μm以下である、[1]または[2]に記載のリチウム硫黄固体電池。
[4]前記固体電解質の構成材料は、Li7La3Zr2O12である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のリチウム硫黄固体電池。
本発明の一実施形態に係るリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、前記硫黄正極は、Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体を含有し、前記Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体は、前記硫黄正極と前記固体電解質との間に介在するものである。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池が、Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体が硫黄正極と固体電解質との間に介在することにより、硫黄正極と固体電解質との間にLi7La3Zr2O12微粒子が存在するため、硫黄正極を構成する硫黄粒子とLi7La3Zr2O12微粒子の接触が増えて、硫黄正極と固体電解質との間に、硫黄粒子とLi7La3Zr2O12微粒子によるリチウムイオン(Li+)伝導パスが形成される。その結果、固体電解質と硫黄正極間の界面抵抗が低減して、電池容量が大きくなる。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示すリチウム硫黄固体電池1は、硫黄正極11と、リチウム負極12と、固体電解質13と、を備えて構成されている。また、図2に示すように、硫黄正極11は、イオン液体14を含有する。さらに、イオン液体14は、Li7La3Zr2O12(以下、「LLZ」と称することがある)微粒子15を含む。
また、リチウム硫黄固体電池1においては、さらに必要に応じて、上述の硫黄正極11、固体電解質13及びリチウム負極12の積層構造全体が、容器中に収納される。
また、リチウム硫黄固体電池1は、さらに必要に応じて、イオン液体14が、リチウム硫黄固体電池1の外部に漏出することを抑制する機構(漏出抑制機構)を備えていてもよい。例えば、前記容器が、このような漏出抑制機構を兼ねてもよい。
次に、本実施形態のリチウム硫黄固体電池の各層の構成について、詳細に説明する。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における硫黄正極は、硫黄を含有し、正極として機能するものであれば、特に限定されない。
硫黄正極としては、例えば、集電体(正極集電体)上に正極活物質層を備えて構成された、公知のものが挙げられる。
このような硫黄正極としては、例えば、前記導電性シートが、前記空隙部に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有しているもの(本明細書においては、「硫黄正極(I)」と称することがある);前記導電性シートが、前記空隙部に、硫黄を含有し、かつ導電助剤及びバインダーを含有していないもの(本明細書においては、「硫黄正極(II)」と称することがある)が挙げられる。硫黄正極(II)は、さらに、前記空隙部にイオン液体を含有している。
以下、硫黄正極ごとに、硫黄正極のこれら構成材料について、詳細に説明する。
[導電性シート]
硫黄正極(I)において、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
導電性シート中の前記空隙部は、硫黄正極(I)の導電性シート以外の構成成分、すなわち、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を保持する。そして、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
また、前記空隙部は、導電性シートの外部に対して開口しており、導電性シートに対して、後から硫黄等の各成分を加えることで、これら成分を保持させることが可能となっている。
例えば、空隙部は、1個又は2個以上の他の空隙部と連結しいてもよいし、他の空隙部と連結することなく、独立していてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から反対側の他方の表面まで貫通していてもよいし、貫通することなく、導電性シートの内部で行き止まりとなっていてもよい。
また、連結している空隙部、及び連結していない空隙部は、いずれも、導電性シートの一方の表面から導電性シートの内部を経由して、再び同じ表面に到達していてもよい。
導電性シートの構成材料として、より具体的には、例えば、炭素、金属(単体金属、合金)等が挙げられる。
なかでも、導電性シートの好ましい構成材料としては、正極集電体の構成材料が挙げられ、より具体的には、例えば、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。
前記導電助剤は、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、黒鉛(グラファイト);ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;グラフェン;フラーレン等が挙げられる。
硫黄正極(I)が含有する導電助剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで、硫黄-炭素複合体が得られる。このような、複合体も、硫黄正極(I)の含有成分として好適である。
前記バインダーは、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体(PVDF-HFP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。
硫黄正極(I)が含有するバインダーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)が含有する前記イオン液体は、リチウムイオンを容易に移動させるための成分であり、高温安定性に優れる。硫黄正極(I)がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極(I)と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極(I)と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、前記硫黄正極(I)を用いた固体電池は、固体電解質を用いているにも関わらず、硫黄正極界面での界面抵抗値が小さく、優れた電池特性を有する。
イオン液体100質量部に対する、LLZ微粒子の含有量は、20質量部~30質量部であることが好ましく、23質量部~28質量部であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極と固体電解質との間にLLZ微粒子が存在するため、硫黄正極を構成する硫黄粒子とLLZ微粒子の接触が増えて、硫黄正極と固体電解質との間に、硫黄粒子とLLZ微粒子によるリチウムイオン(Li+)伝導パスが形成される。その結果、固体電解質と硫黄正極間の界面抵抗が低減して、電池容量が大きくなる。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、硫黄正極と固体電解質との間において、LLZ微粒子が過剰に存在して、硫黄粒子とLLZ微粒子によるリチウムイオン(Li+)伝導パスの形成を妨げることがない。
ただし、イオン液体は、例えば、170℃未満の温度範囲で、硫黄の溶解度が低いものほど好ましく、硫黄を溶解させないものが特に好ましい。
前記イオン性化合物を構成するカチオン部は、有機カチオン及び無機カチオンのいずれでもよいが、有機カチオンであることが好ましい。
前記イオン性化合物を構成するアニオン部も、有機アニオン及び無機アニオンのいずれでもよい。
ただし、前記有機カチオンは、これらに限定されない。
ただし、前記有機アニオンは、これらに限定されない。
ただし、前記無機アニオンは、これらに限定されない。
前記溶媒和イオン液体で好ましいものとしては、例えば、グライム-リチウム塩錯体からなるもの等が挙げられる。
硫黄正極(I)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、導電性シート以外の構成成分として、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体以外に、その他の成分(ただし、後述する溶媒を除く)を含有していてもよい。
前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)が含有するその他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極(I)は、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有する正極材を、前記導電性シートに含浸させる工程を有する製造方法で、製造できる。そして、前記製造方法は、さらに、含浸させた正極材を乾燥させる工程等、他の工程を有していてもよい。以下、このような硫黄正極の製造方法について説明する。
好ましい前記正極材としては、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体、溶媒、及び必要に応じて前記その他の成分を含有するものが挙げられる。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、如何なるイオン液体も溶媒には包含されない(すべてのイオン液体は溶媒として取り扱わない)ものとする。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール;N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド;アセトン等のケトン等が挙げられる。
正極材が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
正極材の溶媒の含有量は、特に限定されず、溶媒以外の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの成分(すなわち、上述の硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分のいずれかの成分)と混合して、この成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、上述の溶媒以外のいずれかの成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら成分と混合することで用いてもよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各成分が劣化しない限り特に限定されない。通常、混合時の温度は、15℃~30℃であることが好ましい。
正極材は、公知の方法で導電性シートに塗工できる。
導電性シートへ含浸させる正極材の温度は、特に限定されないが、例えば、15℃~30℃とすることができる。ただし、これは、前記温度の一例である。
硫黄正極(II)は、前記空隙部に硫黄を含有しており、導電性シートに、溶融した硫黄又は硫黄溶液を含浸させて得られたものである。
硫黄正極(II)における導電性シートは、硫黄正極(I)における導電性シートと同じものであり、硫黄正極(I)の場合と同様に用いることができる。
前記硫黄溶液は、溶媒に硫黄を溶解させることで、得られる。
前記硫黄溶液の溶媒は、硫黄を溶解可能であり、かつ、導電性シートを変質させないものであれば、特に限定されない。
前記溶媒は、無機溶媒及び有機溶媒のいずれであってもよい。
前記無機溶媒としては、例えば、二硫化炭素等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、n-ヘキサン等が挙げられる。
硫黄溶液の硫黄の濃度は、例えば、溶媒の種類に応じて、適宜調節できる。
硫黄溶液の硫黄の濃度は、例えば、0.1質量%~35質量%であることが好ましい。前記濃度が前記下限値以上であることで、硫黄の含有量が多い硫黄正極(II)をより容易に得られる。前記濃度が前記上限値以下であることで、導電性シートへの含浸時における硫黄溶液の取り扱い性が、より良好となる。
含浸方法Aにおいては、例えば、導電性シート上の硫黄を、この導電性シートとともに加熱してもよい。
含浸方法Bにおいては、例えば、溶融させた状態の硫黄を加熱しながら、導電性シートの表面に供給してもよい。また、導電性シートを硫黄と同等の温度で加熱しながら、硫黄を供給してもよい。
したがって、溶融した硫黄を導電性シートに含浸させる方法は、含浸方法Aであることが好ましい。
硫黄溶液の乾燥は、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。
乾燥温度(溶媒の除去温度)は、硫黄溶液中の溶媒の種類に応じて、適宜調節することが好ましい。例えば、硫黄溶液の乾燥温度は、硫黄溶液中の溶媒の沸点以上であることが好ましい。
すなわち、硫黄は、導電性シートの空隙部内において、塊状となり、前記空隙部の表面に対して、隙間の発生が抑制された状態で、接触して保持される。換言すると、導電性シートの空隙部内において、塊状の硫黄は、前記空隙部の表面との接触面積が大きくなっている。これは、溶融した硫黄又は硫黄溶液が、導電性シートへの含浸によって、導電性シートの空隙部内に充填されることによる効果である。例えば、溶解していない硫黄を含む硫黄分散液を、導電性シートへ含浸させた場合には、最終的に、溶解していない硫黄がそのまま粒子状等の形状で、導電性シートの空隙部内に保持される。このような硫黄正極(II)では、硫黄と、前記空隙部の表面と、の接触面積は、小さくなってしまう。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極(II)において、このように硫黄が特有の含有状態となることで、通常使用される導電助剤及びバインダーが不要となり、エネルギー密度が高くなる。
硫黄正極(II)は、導電性シートの空隙部に、さらに、イオン液体を含有している。イオン液体は、高温安定性に優れるとともに、リチウムイオンを容易に移動させることが可能である。したがって、硫黄正極(II)がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極(II)と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極(II)と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、このような硫黄正極(II)を用いた固体電池は、固体電解質を用いているにも関わらず、硫黄正極(II)界面での界面抵抗値が小さくなり、より優れた電池特性を有する。
硫黄正極(II)は、導電性シートの空隙部の内外によらず、導電性シート、硫黄及びイオン液体のいずれにも該当しない、その他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、硫黄正極(II)の機能を阻害しないものであれば、特に限定されない。
硫黄正極(II)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
例えば、導電助剤、バインダー等の、通常の正極で使用される成分を、硫黄正極(II)は含有していてもよい。硫黄正極(II)は、導電助剤を含有する場合、硫黄及び導電助剤の複合体として含有していてもよい。硫黄及び導電助剤の複合体とは、例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで得られるものである。
硫黄正極(II)におけるバインダーは、硫黄正極(I)におけるバインダーと同じである。
このような観点から、硫黄正極(II)において、導電性シート以外の成分の総含有量に対する、前記その他の成分の含有量の割合([硫黄正極(II)におけるその他の成分の含有量(質量部)]/[硫黄正極(II)における導電性シート以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であること、すなわち、硫黄正極(II)が前記その他の成分を含有しないことが最も好ましい。
換言すると、硫黄正極(II)において、導電性シート以外の成分の総含有量に対する、硫黄及びイオン液体の合計含有量の割合([硫黄正極(II)における硫黄及びイオン液体の合計含有量(質量部)]/[硫黄正極(II)における導電性シート以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく99質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
このような条件を満たすリチウム硫黄固体電池は、より優れた電池特性を有する。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池におけるリチウム負極は、公知のものであってよい。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における固体電解質の構成材料は、チタン、ゲルマニウム等の硫黄により還元される金属イオンを含むものであれば、特に限定されない。また、固体電解質の構成材料は、結晶性材料、アモルファス材料及びガラス材料のいずれであってもよい。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、例えば、前記硫黄正極を作製する工程と、前記硫黄正極、固体電解質およびリチウム負極をこの順に、これらの厚さ方向において積層する工程と、を有する製造方法により、製造できる。
例えば、本実施形態のリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極を作製する工程として、上述の特定の工程を行う点以外は、公知のリチウム硫黄固体電池の場合と同じ方法で製造できる。
(硫黄正極の製造)
アルミ容器に、硫黄を17.1mg秤量した。
155℃に熱したホットプレートに、硫黄を秤量したアルミ容器を設置し、秤量した硫黄を溶融した。
溶融した硫黄にカーボンクロスを載せ30分静置した。
その後、ピンセットで、アルミ容器から、静置したカーボンクロスをピンセットでアルミ容器より取り上げ、そのカーボンクロスを常温で冷却した。
カーボンクロスを冷却した後、そのカーボンクロスを試験セル内の正極部分に設置した。
スクリュー管瓶に、イオン液体を0.7622g秤量した後、そのイオン液体にLLZ粉末を0.2491g添加し、全体で1.0113gの混合液とした。
得られた混合液を30分間、撹拌した。
ピペットで撹拌後の混合液を150mg採取し、試験セル内に設置したカーボンクロスに、その混合液を添加した。
得られた硫黄正極において、イオン液体100質量部に対する、LLZ微粒子の含有量は25質量部であった。
水酸化ランタン(純度99.9%、信越化学工業社製)(33.9g)及び酸化ジルコニウム(東ソー社製)(14.7g)を秤量し、これらをボールミルで1時間、粉砕しながら混合した。
得られた粉体(0.26g)を秤り取り、所定の大きさの金型ダイスに投入し、一軸プレス機で成形することにより、直径13mm、厚さ1mmの円板状ペレットを作製した。
作製したペレットを焼成用セラミック容器に移し、電気炉を用いて1500℃で36時間焼成した。
その後、自然放冷し、ペレット状のランタン-ジルコニウム酸化物を得た。
別途、水酸化リチウム(関東化学社製)(2.8g)を水(30mL)に溶解してリチウム水溶液を調製した。このリチウム水溶液を1.0mL秤り取り、ペレット状のランタン-ジルコニウム酸化物の入った焼成用セラミック容器に添加した。
次いで、焼成用セラミック容器をマイクロ波焼成炉に移し、ランタン-ジルコニウム酸化物の入った焼成用セラミック容器にマイクロ波を照射して、炉内温度400℃で36時間、ランタン-ジルコニウム酸化物を焼成した。
これにより、ペレット状のリチウム-ランタン-ジルコニウム複合酸化物成形体(LLZ成形体(固体電解質))(直径17mm、厚さ0.18mm)を得た。
上記で得られたLLZ成形体の、電極側となる一方の表面に、正極として、上記で得られた硫黄正極(直径8mm、厚さ300μm)を貼り合わせた。
また、LLZ成形体の、電極側となる他方の表面に、負極として、リチウム金属(直径15mm、厚さ600μm)を貼り合わせた。
以上により、硫黄正極、LLZ成形体、及びリチウム金属(負極)の積層物を得た。
以上により、実施例の評価用の電池セルを得た。
イオン液体100質量部に対する、LLZ微粒子の含有量を1質量部としたこと以外は実施例と同様にして、硫黄正極を作製した。
その硫黄正極を用いたこと以外は、実施例と同様にして、比較例1の評価用の電池セルを得た。
イオン液体100質量部に対する、LLZ微粒子の含有量を50質量部としたこと以外は実施例と同様にして、硫黄正極を作製した。
その硫黄正極を用いたこと以外は、実施例と同様にして、比較例2の評価用の電池セルを得た。
イオン液体にLLZ微粒子を添加しなかったこと以外は実施例と同様にして、硫黄正極を作製した。
その硫黄正極を用いたこと以外は、実施例と同様にして、比較例3の評価用の電池セルを得た。
<電池特性の評価>
実施例および比較例1~比較例3で得られた電池セルの放電容量を評価した。
120℃の高温恒湿槽の中に、実施例、比較例1~比較例3の各電池セルを設置した。
高温恒湿槽の取り込み口から、充放電試験機の電圧、電流プラグを中に引き込み、それぞれの電池セルに接続した。
カットオフ電圧を1V~3.5V、試験レートを0.0035Cとして、充放電試験を開始した。
充放電試験で得られた、それぞれの初期放電サイクル曲線をグラフ上にプロットし、そこから得られた各容量および曲線の波形を比較して、電池特性を評価した。
結果を図3に示す。
図3から、本実施例の電池セルは、比較例1~比較例3の電池セルと比較すると、良好な電池特性を有していることが確認された。すなわち、本実施例の電池セルは、比較例3のLLZ微粒子を含まないイオン液体を含有する硫黄正極を有する電池セルよりも、図3に示す斜線の領域に相当するエネルギーが向上することが分かった。
Claims (4)
- 硫黄正極と、リチウム負極と、固体電解質と、を備え、
前記固体電解質は、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置され、
前記硫黄正極は、Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体を含有し、
前記Li7La3Zr2O12微粒子を含むイオン液体は、前記硫黄正極と前記固体電解質との間に介在する、リチウム硫黄固体電池。 - 前記イオン液体100質量部に対する、前記Li7La3Zr2O12微粒子の含有量は、20質量部~30質量部である、請求項1に記載のリチウム硫黄固体電池。
- 前記Li7La3Zr2O12微粒子の平均一次粒子径は、10μm以下である、請求項1または2に記載のリチウム硫黄固体電池。
- 前記固体電解質の構成材料は、Li7La3Zr2O12である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウム硫黄固体電池。
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