JP2019179600A - リチウム硫黄固体電池 - Google Patents

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聖志 金村
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淳吾 若杉
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英俊 阿部
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昌明 久保田
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Abstract

【課題】所期の電池特性を安定に得ることを容易にする、新規のリチウム硫黄固体電池の提供。【解決手段】硫黄正極11と、リチウム負極12と、硫黄正極11とリチウム負極12との間に配置された固体電解質13とを有し、硫黄正極11及び固体電解質13の互いに当接される接合面側にはその一方に凸部11cが形成され他方に凸部11cが嵌合する凹部13cが形成されているリチウム硫黄固体電池10を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム硫黄固体電池に関する。
近年、電子機器や通信機器等のポータブル化やコードレス化が急速に進展している。これら電子機器や通信機器の電源として、エネルギー密度が高く、負荷特性に優れた二次電池が要望されており、高電圧、高エネルギー密度で、サイクル特性にも優れるリチウム二次電池の利用が拡大している。
一方、電気自動車の普及や、自然エネルギーの利用の推進には、さらに大きなエネルギー密度の電池が必要とされる。そこで、LiCoO等のリチウム複合酸化物を正極の構成材料とするリチウムイオン二次電池に替わる、新たなリチウム二次電池の開発が望まれている。
硫黄は、1672mAh/gと極めて高い理論容量密度を有しており、硫黄を正極の構成材料とするリチウム硫黄電池は、電池の中でも、理論的に最も高エネルギー密度を達成できる可能性を有している。そこで、リチウム硫黄電池の研究開発が盛んに行われるようになってきている。
リチウム硫黄電池の電解質として、有機電解液を用いた場合には、充放電の際などに硫黄分子や反応中間体(例えば、多硫化リチウム等)等が有機電解液中に溶解して拡散することで、自己放電や負極の劣化が惹き起こされ、電池性能が低下するという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決するために、電解液に塩酸や硝酸等の酸を添加して電解液を改質する方法(特許文献1参照)、正極の構成材料として、ケッチェンブラックに硫黄ナノ粒子を内包した複合体を用いる方法(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2013−114920号公報 特開2012−204332号公報
しかし、特許文献1及び2で開示されている方法では、電解質自体が液状であるため、硫黄分子や反応中間体が電解液に溶解することを完全には抑制できず、充分な効果を得られないという問題点があった。
このような電解液を用いた場合の問題点を解決する方法として、固体電解質を用いる方法がある。しかし、固体電解質を備えたリチウム硫黄固体電池は、まだ技術的に充分に検討されておらず、大きな改善の余地がある。
リチウム硫黄電池の正極は平板状のものが多く用いられている。本発明者等は、それぞれ平板状に形成した正極及び固体電解質を用いてリチウム硫黄固体電池を試作して種々の検討、検証等を行なった。その結果、固体電解質の片面に重ね合わせるように当接させた正極の固体電解質に対する位置が電池特性に影響を与えることを見出した。
本発明の態様が解決しようとする課題は、所期の電池特性を安定に得ることを容易にするリチウム硫黄固体電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様のリチウム硫黄固体電池は、硫黄正極と、リチウム負極と、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置された固体電解質とを有し、前記硫黄正極及び前記固体電解質の互いに当接される接合面側にはその一方に凸部が形成され他方に前記凸部が嵌合する凹部が形成されている。
前記凸部は前記硫黄正極または前記固体電解質に延在形成された突条部であり、前記凹部は前記突条部が嵌合される凸部嵌合溝であっても良い。
前記突条部は前記硫黄正極または前記固体電解質に突出形成された突条主部と、前記突条主部の側部から突出する係合突部とを有し、前記凸部嵌合溝はその延在方向両端の一方または両方を前記硫黄正極または前記固体電解質の側面に開口させて形成され、前記凸部嵌合溝のその溝幅方向両側の内側面の一方または両方には前記突条部の前記係合突部が挿入される係合突部収容凹部が形成され、前記係合突部収容凹部は、前記硫黄正極または前記固体電解質の接合面側に開口する前記凸部嵌合溝の開口部から前記凸部嵌合溝の底部側にずれた位置に、前記凸部嵌合溝の前記硫黄正極または前記固体電解質の側面に開口する開口端から前記凸部嵌合溝に沿って延在形成されていても良い。
前記凸部嵌合溝のその延在方向両端の一方または両方は、前記凸部嵌合溝が形成されている前記硫黄正極または前記固体電解質のその側面と前記凸部嵌合溝との間に位置する壁部によって塞がれていても良い。
前記凸部は、前記凹部にその前記硫黄正極または前記固体電解質の接合面側に開口する開口部から挿入可能、かつ基端側から突端側に行くにしたがってその突出方向に垂直の断面寸法が縮小するテーパ状に形成され、前記凹部にはその深さ方向に対して傾斜し前記凸部の側面に当接するテーパ状内側面が形成されていても良い。
前記硫黄正極は、導電性材料によって形成され表面に開口する穴部が多数存在する導電性シートと、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄及びイオン液体のみあるいは硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の全てを含有し、前記導電性シートの前記穴部に収容された正極材とを有する部材であっても良い。
前記固体電解質は酸化物系材料によって形成されていても良い。
本発明の態様に係るリチウム硫黄固体電池によれば、その組み立て時に、硫黄正極及び固体電解質の一方の凸部と他方の凹部との嵌合によって硫黄正極を固体電解質に対して目的の当接位置に配置することが容易になる。その結果、所期の電池特性を安定に得ることが可能になる。
また、硫黄正極及び固体電解質の一方の凸部と他方の凹部との嵌合によって、硫黄正極の固体電解質に対する接触面積を平面同士の当接に比べて増大できるため、電池性能を向上できるという利点もある。
本発明の実施形態に係るリチウム硫黄固体電池の要部の一例を模式的に示す断面図である。 図1のリチウム硫黄固体電池の硫黄正極の固体電解質に対する取付構造を説明する図であって、(a)は嵌合状態を示す正断面図、(b)は硫黄正極を固体電解質から離隔させた状態を示す正断面図である。 図1のリチウム硫黄固体電池における、硫黄正極の固体電解質に対する取付構造を固体電解質のみ断面視して模式的に示した部分側断面図である。 図3の取付構造について、固体電解質の凸部嵌合溝の延在方向片端のみを開口端とした変形例を模式的に示す部分側断面図である。 図3の取付構造について、固体電解質の凸部嵌合溝の延在方向両端を開口端とした変形例を模式的に示す部分側断面図である。 硫黄正極の固体電解質に対する取付構造について断面テーパ状の突条部を使用する例を示す正断面図である。 硫黄正極の固体電解質に対する取付構造について断面部分円状の突条部を使用する例を示す正断面図である。 硫黄正極の固体電解質に対する取付構造について係合突部を側部に有する突条部を使用する例を示す正断面図である。 硫黄正極の固体電解質に対する取付構造について、固体電解質に形成された嵌合穴に挿入嵌合される嵌合突起を使用する例を示す正断面図である。 硫黄正極の固体電解質に対する取付構造について、固体電解質に形成されたテーパ状の嵌合穴に挿入嵌合されるテーパ状の嵌合突起を使用する例を示す正断面図である。
<<リチウム硫黄固体電池>>
以下、本発明の実施形態に係るリチウム硫黄固体電池について、図面を参照して説明する。
なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の1実施形態に係るリチウム硫黄固体電池10の要部構造を示す正断面図である。
図1に示すリチウム硫黄固体電池10は、硫黄正極11と、リチウム負極12と、硫黄正極11とリチウム負極12との間に配置された固体電解質13とで構成されるコアユニット14を有する。
図1に示すリチウム硫黄固体電池10は、コアユニット14を外装容器15に収容した構成となっている。
図1に示すリチウム硫黄固体電池10において、硫黄正極11、リチウム負極12、固体電解質13は、それぞれ板状(例えば円板状)に形成されている。
コアユニット14は、硫黄正極11、固体電解質13、リチウム負極12をこの順で積層した積層体である。硫黄正極11及びリチウム負極12はそれぞれ固体電解質13に重ね合わされている(当接されている)。
図1、図2(a)、(b)に示すように、リチウム硫黄固体電池10の硫黄正極11は、板状の主板部11aと、主板部11aの両側の主面の片方に突出形成された突条部11c(凸部)とを有する。
図1、図2(a)、(b)に示す主板部11aは具体的には固体電解質13に比べて径小の円板状に形成されている。
固体電解質13の厚み方向両側の主面のうち硫黄正極11が設けられる側の主面を、以下、正極側主面13a、とも言う。固体電解質13には、硫黄正極11の突条部11cが挿入、嵌合される凸部嵌合溝13c(凹部)が形成されている。凸部嵌合溝13cは、固体電解質13の正極側主面13aから窪んで形成されている。
図1に示すように、硫黄正極11は、その接合面側の突条部11cを固体電解質13の凸部嵌合溝13cに挿入、嵌合し、主板部11aの突条部11cが突出されている側の主面11bを固体電解質13の正極側主面13aに当接させて固体電解質13に取り付けられる。
なお、硫黄正極11の主板部11aの突条部11cが突出されている側の主面11bを以下、電解質側主面11bとも言う。
図1において、リチウム負極12は固体電解質13の正極側主面13aとは逆側の主面13b(負極側主面)に重ね合わされている。
硫黄正極11及び固体電解質13のそれぞれについて互いに当接される側を、以下、接合面側、とも言う。
硫黄正極11については突条部11cが形成されている側、すなわち主板部11aの電解質側主面11b側が接合面側である。
固体電解質13については、凸部嵌合溝13cが形成されている正極側主面13aの側が接合面側である。
図1、図2(a)、(b)に示す硫黄正極11の電解質側主面11bの接合面側には、複数の突条部11cが互いに平行に延在形成されている。
図1、図2(a)、(b)に示す固体電解質13の接合面側の正極側主面13aには、複数の凸部嵌合溝13cが互いに平行に延在形成されている。
図1に示すように、硫黄正極11は、その接合面側の突条部11cを固体電解質13の凸部嵌合溝13cに挿入、嵌合し、電解質側主面11bを固体電解質13の正極側主面13aに当接させて固体電解質13に取り付けられている。
硫黄正極11の突条部11cは、硫黄正極11の固体電解質13に対する位置合わせを容易にするための凸部として機能する。
固体電解質13の凸部嵌合溝13cは、硫黄正極11の固体電解質13に対する位置合わせを容易にするための凹部として機能する。
ここで、硫黄正極について詳しく説明する。
本実施形態のリチウム硫黄固体電池における硫黄正極は、硫黄を含有し、正極として機能するものであれば、特に限定されない。
ただし、好ましい硫黄正極11としては、表面に開口する穴部が多数存在する導電性シートと、導電性シートの穴部に収容された正極材とを有するものが挙げられる。
正極材は、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄のみを含有するもの、硫黄及びイオン液体のみを含有するもの、あるいは硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の全てを含有するものである。
正極材は、導電性シートの穴部だけでなく、導電性シートの外周面の一部または全体を覆って存在していても良い。
以下、硫黄正極のこれら構成材料について、詳細に説明する。
まず、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の全てを含有する正極材を有する硫黄正極について説明する。
[導電性シート]
導電性シートの穴部は、硫黄正極の導電性シート以外の構成成分、すなわち、正極材を保持する。そして、導電性シートは、正極集電体として機能し得る。
また、導電性シートの穴部は、導電性シート表面に開口しており、導電性シートに対して、後から硫黄等の各成分を加えることで、これら成分を保持させることが可能となっている。
導電性シートの穴部は、上記の条件を満たす限り、その形状は特に限定されない。
例えば、穴部は、1個又は2個以上の他の穴部と連通しいてもよいし、他の穴部と連通することなく、独立していてもよい。
また、穴部は、導電性シートを貫通していてもよいし、導電性シートを貫通しない非貫通のものであってもよい。
導電性シートの形態としては、例えば、多孔質体、繊維集合体(導電性の繊維状材料が集合し、層を構成している繊維質のもの)等が挙げられる。
導電性シートを構成する繊維集合体は、例えば、繊維状の材料が互いに絡み合って構成されているものであってもよいし、繊維状の材料が規則的又は不規則的に積み重なって構成されていてもよい。
繊維集合体である導電性シートの穴部は、互いに離間する繊維状材料間の領域等、繊維集合体内の繊維状材料が存在しない領域のうち導電性シート表面に開口するものを指す。
導電性シートの穴部は、正極材によって隙間無く埋め込まれていても良いし、正極材によって埋め込まれていない空隙がある程度存在しても良い。
繊維集合体である導電性シートを含む硫黄正極は、繊維集合体を構成する繊維状材料が、繊維集合体内の繊維状材料が存在しない領域に充填された正極材中に埋め込まれた構成である。
導電性シートの構成材料は、導電性を有していればよいが、硫黄との反応性を有しないものが好ましい。
導電性シートの構成材料として、より具体的には、例えば、炭素、金属(単体金属、合金)等が挙げられる。
なかでも、導電性シートの好ましい構成材料としては、正極集電体の構成材料が挙げられ、より具体的には、例えば、炭素、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等が挙げられる。
導電性シートの構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
好ましい導電性シートとしては、例えば、カーボンフェルト、カーボンクロス等が挙げられる。
導電性シートの厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。導電性シートの厚さは、50〜30000μmであることが好ましく、100〜3000μmであることがより好ましい。
なお、導電性シートの表面における凹凸度が高い場合など、導電性シートの厚さが導電性シートの部位によって明確に変動している場合には、最大の厚さを導電性シートの厚さとする(導電性シートの最も厚い部位の厚さを導電性シートの厚さとする)。これは、導電性シートに限らず、すべての層(後述する硫黄正極、リチウム負極、固体電解質)の厚さについても、同様である。
[導電助剤]
導電助剤は、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、黒鉛(グラファイト);ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;カーボンナノチューブ;グラフェン;フラーレン等が挙げられる。
硫黄正極が含有する導電助剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、硫黄及び導電助剤の合計含有量の割合([硫黄正極の硫黄及び導電助剤の合計含有量(質量部)]/[硫黄正極の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、60〜95質量%であることが好ましく、70〜85質量%であることがより好ましい。前記合計含有量の割合が前記下限値以上であることで、電池の充放電特性がより向上する。前記合計含有量の割合が前記上限値以下であることで、硫黄及び導電助剤以外の成分を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
硫黄正極において、[硫黄の含有量(質量部)]:[導電助剤の含有量(質量部)]の質量比は、特に限定されないが、30:70〜70:30であることが好ましく、45:55〜65:35であることがより好ましい。硫黄の含有量の比率が高いほど、電池の充放電特性がより向上し、導電助剤の含有量の比率が高いほど、硫黄正極の導電性がより向上する。
硫黄正極において、硫黄及び導電助剤は、複合体を形成していてもよい。
例えば、硫黄と、炭素含有材料(例えば、ケッチェンブラック等)と、を混合し、焼成することで、硫黄−炭素複合体が得られる。このような、複合体も、硫黄正極の含有成分として好適である。
[バインダー]
前記バインダーは、公知のものでよく、具体的なものとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。
硫黄正極が含有するバインダーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、バインダーの含有量の割合([硫黄正極のバインダーの含有量(質量部)]/[硫黄正極の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、3〜15質量%であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極の構造をより安定して維持できる。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
[イオン液体]
硫黄正極が含有する前記イオン液体は、リチウムイオンを容易に移動させるための成分である。イオン液体は、高温安定性に優れるとともに、リチウムイオンを容易に移動させることが可能である。硫黄正極がイオン液体を含有していることにより、硫黄正極と固体電解質との接触面積が小さいものの、イオン液体が硫黄正極と固体電解質との間でリチウムイオンを移動させる。したがって、このような硫黄正極を用いた固体電池は、固体電解質を用いているにも関わらず、硫黄正極界面での界面抵抗値が小さくなり、より優れた電池特性を有する。
前記イオン液体は、例えば、公知のものから適宜選択できる。
ただし、イオン液体は、例えば、170℃未満の温度範囲で、硫黄の溶解度が低いものほど好ましく、硫黄を溶解させないものが特に好ましい。
イオン液体としては、例えば、170℃未満の温度で液状のイオン性化合物、溶媒和イオン液体等が挙げられる。
(170℃未満の温度で液状のイオン性化合物)
前記イオン性化合物を構成するカチオン部は、有機カチオン及び無機カチオンのいずれでもよいが、有機カチオンであることが好ましい。
前記イオン性化合物を構成するアニオン部も、有機アニオン及び無機アニオンのいずれでもよい。
前記カチオン部のうち、有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン(imidazolium cation)、ピリジニウムカチオン(pyridinium cation)、ピロリジニウムカチオン(pyrrolidinium cation)、ホスホニウムカチオン(phosphonium cation)、アンモニウムカチオン(ammonium cation)、スルホニウムカチオン(sulfonium cation)等が挙げられる。
ただし、前記有機カチオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、有機アニオンとしては、例えば、メチルサルフェートアニオン(CHSO )、エチルサルフェートアニオン(CSO )等のアルキルサルフェートアニオン(alkylsulfate anion);
トシレートアニオン(CHSO );
メタンスルホネートアニオン(CHSO )、エタンスルホネートアニオン(CSO )、ブタンスルホネートアニオン(CSO )等のアルカンスルホネートアニオン(alkanesulfonate anion);
トリフルオロメタンスルホネートアニオン(CFSO )、ペンタフルオロエタンスルホネートアニオン(CSO )、ヘプタフルオロプロパンスルホネートアニオン(CSO )、ノナフルオロブタンスルホネートアニオン(CSO )等のパーフルオロアルカンスルホネートアニオン(perfluoroalkanesulfonate anion);
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン((CFSO)N)、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン((CSO)N)、ノナフルオロ−N−[(トリフルオロメタン)スルホニル]ブタンスルホニルイミドアニオン((CFSO)(CSO)N)、N,N−ヘキサフルオロ−1,3−ジスルホニルイミドアニオン(SOCFCFCFSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミドアニオン(perfluoroalkanesulfonylimide anion);
アセテートアニオン(CHCOO);
ハイドロジェンサルフェートアニオン(HSO );等が挙げられる。
ただし、前記有機アニオンは、これらに限定されない。
前記アニオン部のうち、無機アニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(N(SOF) );ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF );テトラフルオロボレートアニオン(BF );塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハライドアニオン(halide anion);テトラクロロアルミネートアニオン(AlCl )、チオシアネートアニオン(SCN)等が挙げられる。
ただし、前記無機アニオンは、これらに限定されない。
前記イオン性化合物としては、例えば、上記のいずれかのカチオン部と、上記のいずれかのアニオン部と、の組み合わせで構成されたものが挙げられる。
カチオン部がイミダゾリウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、メチルイミダゾリウムクロライド、メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート等が挙げられる。
カチオン部がピリジニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がピロリジニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がホスホニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、テトラブチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
カチオン部がアンモニウムカチオンであるイオン液体としては、例えば、メチルトリブチルアンモニウムメチルサルフェート、ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルへキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
(溶媒和イオン液体)
前記溶媒和イオン液体で好ましいものとしては、例えば、グライム−リチウム塩錯体からなるもの等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体におけるリチウム塩としては、例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF)、本明細書においては、「LiFSI」と略記することがある)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SOCF、本明細書においては、「LiTFSI」と略記することがある)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体におけるグライムとしては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(CH(OCHCHOCH、テトラグライム)等が挙げられる。
前記グライム−リチウム塩錯体としては、例えば、グライム1分子とリチウム塩1分子とで構成された錯体等が挙げられるが、グライム−リチウム塩錯体はこれに限定されない。
前記グライム−リチウム塩錯体は、例えば、リチウム塩とグライムとを、リチウム塩(モル):グライム(モル)のモル比が、好ましくは10:90〜90:10となるように、混合することで作製できる。
好ましいグライム−リチウム塩錯体としては、例えば、トリグライム−LiFSI錯体、テトラグライム−LiFSI錯体、トリグライム−LiTFSI錯体、テトラグライム−LiTFSI錯体等が挙げられる。
硫黄正極が含有するイオン液体は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極が含有するイオン液体は、上記の中でも、グライム−リチウム塩錯体からなる溶媒和イオン液体であることが好ましい。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、イオン液体の含有量の割合([硫黄正極のイオン液体の含有量(質量部)]/[硫黄正極の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、5〜20質量%であることが好ましく、9〜15質量%であることがより好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硫黄正極の導電性がより向上する。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、電池の充放電特性がより向上する。
[その他の成分]
硫黄正極は、本発明の効果を損なわない範囲内において、導電性シート以外の構成成分として、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体以外に、その他の成分(ただし、後述する溶媒を除く)を含有していてもよい。
前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極が含有するその他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
硫黄正極において、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量に対する、前記その他の成分の含有量の割合([硫黄正極のその他の成分の含有量(質量部)]/[硫黄正極の硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の総含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であってもよい。
硫黄正極において、導電性シートの質量に対する、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の合計質量の割合([硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の合計質量]/[導電性シートの質量]×100)は、15〜45質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましい。
<硫黄正極の製造方法>
上述の、集電体(正極集電体)上に正極活物質層を備えて構成された硫黄正極等、公知の硫黄正極は、公知の方法で製造すればよい。
一方、前記導電性シートを備えた硫黄正極は、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体を含有する正極材(正極材形成組成物)を、前記導電性シートに含浸させる工程を有する製造方法で、製造できる。そして、前記製造方法は、さらに、含浸させた正極材形成組成物を乾燥させる工程等、他の工程を有していてもよい。
但し、この硫黄正極の製造方法では、導電性シートに含浸させる正極材形成組成物中に可燃性ガスを発生する有機溶媒が含まれる場合、導電性シートに正極材形成組成物を含浸させる工程の後に、乾燥工程あるいは留去等によって、正極材形成組成物から可燃性ガスを発生する有機溶媒を除去する。
以下、このような硫黄正極の製造方法について説明する。
[正極材]
好ましい正極材形成組成物としては、例えば、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体、溶媒、及び必要に応じて前記その他の成分を含有するものが挙げられる。
前記溶媒は、上述の硫黄等の各成分を溶解又は分散させ、正極材形成組成物に適度な流動性を付与するための成分である。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、如何なるイオン液体も溶媒には包含されない(すべてのイオン液体は溶媒として取り扱わない)ものとする。
溶媒は、上述の硫黄等の各成分の種類に応じて任意に選択でき、好ましいものとしては、有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド;アセトン等のケトン等が挙げられる。
正極材(正極材形成組成物)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
正極材形成組成物の溶媒の含有量は、特に限定されず、溶媒以外の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
正極材における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合([正極材の硫黄の含有量(質量)]/[正極材の、溶媒以外の成分の総含有量(質量部)]×100)は、硫黄正極における、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量に対する、硫黄の含有量の割合([硫黄正極の硫黄の含有量(質量部)]/[硫黄正極の、硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分の総含有量(質量部)]×100)と同じである。これは、硫黄以外の、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分でも同じである。
正極材形成組成物は、上述の硫黄等の各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの成分(すなわち、上述の硫黄、導電助剤、バインダー、イオン液体及び前記その他の成分のいずれかの成分)と混合して、この成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、上述の溶媒以外のいずれかの成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌棒、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各成分が劣化しない限り特に限定されない。通常、混合時の温度は、15〜30℃であることが好ましい。
各成分を添加及び混合して得られた正極材形成組成物は、そのまま導電性シートへの含浸に用いてもよいし、例えば、添加した溶媒の一部を留去等によって除去するなど、何らかの操作を追加して行って得られたものを、導電性シートへの含浸に用いてもよい。
正極材形成組成物の導電性シートへの含浸は、例えば、液状である正極材形成組成物を導電性シートに塗工する方法、液状である正極材に導電性シートを浸漬する方法等により、行うことができる。
正極材形成組成物は、公知の方法で導電性シートに塗工できる。
導電性シートへ含浸させる正極材の温度は、特に限定されないが、例えば、15〜30℃とすることができる。ただし、これは、前記温度の一例である。
正極材形成組成物の乾燥は、公知の方法で常圧下又は減圧下で行うことができる。例えば、好ましくは70〜90℃、8〜24時間の条件で乾燥させることができるが、乾燥条件はこれに限定されない。
なお、硫黄正極は、導電性シートに含浸させた正極材形成組成物の有機溶媒を乾燥、留去等によって除去したものを、リチウム硫黄固体電池10の組み立てに用いる。
次に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄のみを含有する正極材を導電性シートの穴部に有する硫黄正極について説明する。
この硫黄正極の製造方法は、熱溶融状態の硫黄、あるいは硫黄を溶媒に溶解させた硫黄溶液を導電性シートの穴部に充填して導電性シートに含浸させる。導電性シートに熱溶融状態の硫黄を含浸させる場合は、導電性シートに含浸させた熱溶融状態の硫黄の冷却固化によって穴部内に硫黄が収容された構成の硫黄正極が得られる。
導電性シートに硫黄溶液を含浸させる場合は、硫黄溶液を導電性シートに含浸させた後、乾燥工程にて溶媒を除去することで、穴部内に硫黄が収容された構成の硫黄正極が得られる。
次に、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄及びイオン液体のみを含有する正極材を導電性シートの穴部に有する硫黄正極について説明する。
正極材のイオン液体は、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の全てを含有する正極材で採用可能なイオン液体と同様のものを採用できる。
この正極材を有する硫黄正極の製造方法の一例は、まず、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄のみを含有する正極材を導電性シートの穴部に有する硫黄正極を製造する。次に、この硫黄正極のイオン液体への浸潰、硫黄正極へのイオン液体の塗布等によって、導電性シートの穴部内の硫黄が充填されていない空隙部にイオン液体を充填し、穴部内に硫黄とイオン液体とが収容された構成の硫黄正極を得る。
但し、この硫黄正極の製造方法では、イオン液体に溶媒を混合した混合液を導電性シートの穴部内の空隙部に充填しても良い。イオン液体に可燃性ガスを発生する有機溶媒を混合した混合液を使用する場合は、導電性シートに混合液を含浸させる工程の後に、乾燥工程あるいは留去等によって、混合液から有機溶媒を除去する。
図1、図2(a)、(b)に示すように、凸部(図1、図2(a)、(b)では突条部11c)を有する硫黄正極は、例えば、予め凸部を有する硫黄正極の外形に成形した導電性シートを用いて穴部に正極材を充填して形成することにより得られる。
また、凸部を有する硫黄正極は、まず、板状の導電性シートの穴部に正極材を充填し乾燥工程を経て板状の硫黄正極を作製し、この板状の硫黄正極の切削等の機械加工によって凸部を形成して得ることもできる。
また、凸部を有する硫黄正極は、導電性シートを用いることなく、正極材を成形型を用いて成形し、凸部を含めた全体を形成して得ることも可能である。
成形型を用いた硫黄正極の成形、形成は、正極材を充填する成形用凹部を有する成形型を用い、成形型の成形用凹部の開口部をその周囲の口縁部に当接させた板状の正極集電体によって塞いだ状態で成形型の材料注入口から成形用凹部に正極材を充填し、正極集電体の片面に被着された硫黄正極を成形する方法も採り得る。この方法は、成形用凹部を有する成形型と、成形型の成形用凹部の開口部を塞ぐことが可能な板状の正極集電体とを用いる。成形用凹部を有する成形型と、成形型の成形用凹部の開口部を塞ぐことが可能な板状の正極集電体とを用いる方法では、例えば、成形型の成形用凹部内面によって凸部を有する硫黄正極を正極集電体の片面に被着状態に成形することが可能である。また、成形用凹部を有する成形型と、成形型の成形用凹部の開口部を塞ぐことが可能な板状の正極集電体とを用いる方法では、正極集電体の片面に被着された層状の硫黄正極を成形した後、この硫黄正極に切削等の機械加工によって凸部を形成する方法も採用できる。
次に、固体電解質13を説明する。
固体電解質13の構成材料は、結晶性材料、アモルファス材料及びガラス材料のいずれであってもよい。
固体電解質13の構成材料として、より具体的には、例えば、硫化物を含まず、かつ酸化物を含むもの(本明細書においては「酸化物系材料」と称することがある)、少なくとも硫化物を含むもの(本明細書においては「硫化物系材料」と称することがある)等、公知のものが挙げられる。
前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)、Li2.9PO3.30.46(LIPON)、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、50LiSiO・50LiBO、Li3.6Si0.60.4、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。
また、前記酸化物系材料としては、例えば、LiLaZr12(LLZ)等の複合酸化物に、アルミニウム、タンタル、ニオブ、ビスマス等の元素が添加(ドープ)されたものも挙げられる。ここで、添加される元素は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記硫化物系材料としては、例えば、Li10GeP12(LGPS)、Li3.25Ge0.250.75、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・1LiPO、57LiS・38SiS・5LiSiO、70LiS・30P(LISPS)、50LiS・50GeS、Li11、Li3.250.95等が挙げられる。
固体電解質13の構成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
固体電解質13の構成材料は、大気中における安定性が高く、緻密性が高い固体電解質13を作製できる点から、前記酸化物系材料であることが好ましい。
固体電解質13の厚さは、特に限定されず、適用する電池の目的に応じて適宜設定すればよい。固体電解質13の厚さは、10〜1200μmであることが好ましい。固体電解質の厚さが前記下限値以上であることで、その製造及び取り扱い性がより良好となる。固体電解質の厚さが前記上限値以下であることで、リチウム硫黄固体電池の抵抗値がより低減される。
固体電解質13は、例えば、その目的とする種類に応じて、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物等の原料を選択し、この原料を焼成することで製造できる。原料の使用量は、固体電解質13における各金属の原子数比等を考慮して、適宜設定すればよい。
固体電解質13は、例えば、その全体を粉状材料の圧粉によって成形した成形体を焼成して製造する。また、固体電解質13の製造方法としては、例えば粉状材料の圧粉によって作製したシート(以下、圧粉シート、とも言う)を複数積層し焼成、一体化して得ることもできる。
凹部(図1、図2(a)、(b)では凸部嵌合溝13c)が形成された固体電解質は、例えば、凹部に対応する部分に孔または切欠部が形成された圧粉シートを含む複数の圧粉シートを積層し、焼成、一体化して得ることが可能である。また、凹部が形成された固体電解質は、粉状材料の圧粉、焼成を経て板状に形成した固体電解質に切削等の機械加工により凹部を形成して得ることもできる、また、凹部が形成された固体電解質は、凹部を形成可能な内面形状を有する成形型を用いて粉状材料を圧粉成形したものを焼成して得ることも可能である。
リチウム負極12は種々の電池にて使用されている周知のリチウム負極を使用可能である。
図1、図2(a)、(b)に示す硫黄正極11の突条部11cは、硫黄正極11の電解質側主面11bに一定断面で真っ直ぐに延在形成されている。
図1、図2(a)、(b)に示す固体電解質13の凸部嵌合溝13cは一定断面で真っ直ぐに延在形成されている。
図3に示すように、固体電解質13の凸部嵌合溝13cは、その延在方向両端が固体電解質13の側面13d(以下、固体電解質側面、とも言う)に達しないように形成されている。凸部嵌合溝13cは、固体電解質13の正極側主面13aの中央部に形成されている。
固体電解質13は、凸部嵌合溝13cの延在方向両端のそれぞれと固体電解質側面13dとの間に位置する壁部13e(以下、溝端形成壁部、とも言う)を有する。
凸部嵌合溝13cの延在方向両端は、凸部嵌合溝13cと固体電解質13側面との間に位置する溝端形成壁部13eによって塞がれている。
図1〜図3に示すように、硫黄正極11の突条部11cは、凸部嵌合溝13cにその固体電解質13の正極側主面13aに開口する開口部から挿入して嵌合させることができる。
図1〜図3の固体電解質13の凸部嵌合溝13cは、その内寸を、硫黄正極11の突条部11cの外寸に合致させて形成されている。凸部嵌合溝13cに挿入した突条部11cは、その外面と凸部嵌合溝13c内面との当接によって凸部嵌合溝13cと嵌合する。
硫黄正極11の電解質側主面11bは、突条部11cを固体電解質13の凸部嵌合溝13cに挿入、嵌合することで固体電解質13の正極側主面13aに当接される。
なお、図1〜図3の固体電解質13の凸部嵌合溝13cの内面は、凸部嵌合溝13cの溝幅方向(図2(a)、(b)左右方向)両側の内側面13fと、凸部嵌合溝13cの底面13gと、溝端形成壁部13eの凸部嵌合溝13cに臨む面13h(以下、内端面、とも言う)とによって構成されている。
硫黄正極11の突条部11cの外面は、固体電解質13の凸部嵌合溝13cの内面に合致するように形成されている。
硫黄正極11は、突条部11cを凸部嵌合溝13cに挿入、嵌合させることで、突条部11cが凸部嵌合溝13c内面によって位置決めされることで、固体電解質13に対して位置決めして取り付けられる。
硫黄正極11は、固体電解質13の正極側主面13aの中央部に形成された凸部嵌合溝13cによって、電解質側主面11bの中央部を固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する状態で固体電解質13に取り付けられる。
硫黄正極11を、電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置するように位置決めすることは、凸部嵌合溝13cの溝幅方向両側の内側面13fと凸部嵌合溝13c延在方向両端の内端面13hとによって構成される凸部嵌合溝13c内周面が突条部11cを位置決めすることによって実現される。
突条部11cは硫黄正極11を固体電解質13に対して位置決めして取り付けるための凸部として機能する。
固体電解質13の凸部嵌合溝13cは、硫黄正極11を固体電解質13に対して位置決めするための凹部として機能する。
固体電解質に形成する凸部嵌合溝は、凸部嵌合溝13c(図3参照)の延在方向一端を固体電解質13の側面13dまで延長し固体電解質側面13dに開口させたもの(図4の凸部嵌合溝13i)や、凸部嵌合溝13cの延在方向両端を固体電解質13の側面13dまで延長し固体電解質側面13dに開口させたもの(図5の凸部嵌合溝13k)も採用可能である。
これら凸部嵌合溝13i、13jは、その全長にわたって一定断面で延在形成される。
図4に示す凸部嵌合溝13iの延在方向一端は固体電解質側面13dに開口する開口端13jとされている。凸部嵌合溝13iのその延在方向において開口端13jとは逆側の端(他端)は、凸部嵌合溝13iの内端面13hを形成する溝端形成壁部13eによって塞がれている。
図4に示す固体電解質13の凸部嵌合溝13iに突条部11cを挿入した硫黄正極11は、突条部11cのその延在方向片端の端面を凸部嵌合溝13iの片端の内端面13hに当接させることで、固体電解質13に対して位置決めして取り付けることができる。
硫黄正極11は、電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する状態で固体電解質13に取り付けられる。
図4において、硫黄正極11の突条部11cは、凸部嵌合溝13iの溝幅方向両側の内側面13f(図2(a)、(b)参照)間に挿入、嵌合される。
また、硫黄正極11は、図4に示すように、凸部嵌合溝13iに挿入した突条部11cの延在方向片端を凸部嵌合溝13iの片端の内端面13hに当接させるだけで固体電解質13に対する位置決めを容易に実現できる。
図5に示す凸部嵌合溝13kのその延在方向両端は、固体電解質側面13dに開口する開口端13mとされている。
硫黄正極11の突条部11cは、図5の凸部嵌合溝13kの溝幅方向両側の内側面13f(図2(a)、(b)参照)間に挿入、嵌合される。硫黄正極11は、突条部11cを凸部嵌合溝13kに挿入嵌合することで、固体電解質側面13dに取り付けられる。
凸部嵌合溝13kに挿入嵌合された突条部11cは、固体電解質13の正極側主面13aの延在方向(面方向)において、固体電解質13に対して凸部嵌合溝13k長手方向(延在方向。図5左右方向)のみに移動可能である。凸部嵌合溝13kに挿入嵌合された突条部11cは、固体電解質13の正極側主面13aの延在方向(面方向)において、固体電解質13に対して凸部嵌合溝13k長手方向(延在方向)以外の方向には移動できない。
このため、図5の凸部嵌合溝13kに突条部11cを挿入嵌合させた硫黄正極11は、固体電解質13に対して凸部嵌合溝13kに挿入した突条部11cを凸部嵌合溝13k内面に摺動させながら凸部嵌合溝13k延在方向に移動させることで、固体電解質13に対する位置調整、位置合わせを容易に行える。硫黄正極11は、主板部11aの電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する状態で固体電解質13に取り付ける。
図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造であれば、硫黄正極11の突条部11cを凸部嵌合溝に挿入嵌合することで、突条部11cと凸部嵌合溝内面との間の摺動抵抗によって、硫黄正極11が固体電解質13から、硫黄正極11が固体電解質13に装着された状態を保つことができる。凸部嵌合溝に挿入嵌合された突条部11cは、凸部嵌合溝の溝幅方向両側の内側面13f間に挟み込まれ、固体電解質13に対して内側面13fとの間の摺動抵抗を上回る力によって強制的に移動しない限り、凸部嵌合溝に対する位置が変動しない。このため、図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造であれば、リチウム硫黄固体電池の組み立て工程において、固体電解質13に装着された硫黄正極11の固体電解質13からの脱落を防止でき、リチウム硫黄固体電池の組み立て効率を向上できる。
また、図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造であれば、硫黄正極11の主板部11aの電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する状態を容易に確保できる。しかも、図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造では、硫黄正極11の突条部11cと凸部嵌合溝との嵌合によって、硫黄正極11のその主板部11aの電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する取り付け状態を安定に保つことができる。
図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造によれば、硫黄正極11の主板部11aの電解質側主面11b中央部が固体電解質13の正極側主面13a中央部に位置する状態を確実に保ってリチウム硫黄固体電池を組み立てることができる。
また、図1〜図5に示す硫黄正極11の取付構造であれば、硫黄正極11の突条部11cと凸部嵌合溝との嵌合によって、硫黄正極11の固体電解質13に対する接触面積を平面同士の当接に比べて増大できるため、電池性能を向上できるという利点もある。
図1〜図5に示す硫黄正極11の突条部11cは、断面矩形で延在し、硫黄正極11の主板部11a(以下、硫黄正極主板部、とも言う)の電解質側主面11bに垂直の両側面を有する形状に形成されている。
また、図1、図2(a)、(b)に示すように、固体電解質13の凸部嵌合溝は、硫黄正極11の突条部11cの電解質側主面11bに垂直の両側面に対応して、溝幅方向両側に固体電解質13の正極側主面13aに垂直の内側面13fを有する断面構造を有する。
図6に示すように、硫黄正極11の突条部は、硫黄正極主板部11a側(基端側)から突端側に行くにしたがって先細りのテーパ状の断面形状で延在するもの(突条部11e)であっても良い。
図6において、固体電解質13の凸部嵌合溝は、硫黄正極11の断面テーパ状の突条部11eの断面形状に合致する断面テーパ状のもの(凸部嵌合溝13n)を採用する。凸部嵌合溝13nは、固体電解質13の正極側主面13aから溝底側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状に形成されている。
図6の突条部11eの断面両側の側面は、硫黄正極主板部11aからの突出方向、すなわち、硫黄正極11の電解質側主面11bに垂直に対して傾斜する傾斜面となっている。
図6の固定電解質13の凸部嵌合溝13nの溝幅方向両側の内側面は、凸部嵌合溝13nのその延在方向に垂直の断面において凸部嵌合溝13n深さ方向に対して傾斜するテーパ状内側面13oとなっている。
図6の突条部11eの断面両側の側面は、凸部嵌合溝13nの溝幅方向両側のテーパ状内側面13oに当接される。
なお、凸部嵌合溝13n深さ方向は、固体電解質13の正極側主面13aに垂直の方向を指す。
なお、硫黄正極11を固体電解質13に取り付ける取付構造(硫黄正極の取付構造)は、例えば、図6の突条部11eについてその両側の側面の一方のみが、硫黄正極主板部11aの電解質側主面11bに垂直に形成された構成の突条部を、図6の凸部嵌合溝13nについてその両側の溝幅方向両側の内側面の一方のみが固体電解質13の正極側主面13aに垂直に形成された構成の凸部嵌合溝に挿入、嵌合して、硫黄正極11を固定電解質13に取り付ける構成も採用可能である。
図7に示すように、硫黄正極11を固体電解質13に取り付ける取付構造は、硫黄正極11の主板部11aの接合面側に断面部分円状で延在形成した突条部11fを、固体電解質13の接合面側に断面部分円状で延在形成した凸部嵌合溝13pに挿入、嵌合する構成も採用可能である。
図8に示すように、硫黄正極11は、主板部11aの電解質側主面11bに末広がりのテーパ状断面で延在形成された突条部11gを採用した構成も採用可能である。突条部11gは、硫黄正極主板部11aの電解質側主面11bから突出形成されている。
図8の突条部11gは、その延在方向に垂直の断面において、硫黄正極主板部11a側の基端部から硫黄正極主板部11aとは逆側に位置する部分である突条主部11hと、突条主部11hの硫黄正極主板部11aからの突出方向に垂直の両側部からそれぞれ突出する係合突部11iとを有する。
固体電解質13に形成された凸部嵌合溝13qは、硫黄正極11の突条部11gの断面形状と合致する断面形状で正極側主面13aから窪んで延在形成されている。
凸部嵌合溝13qの溝幅方向両側の内側面には、硫黄正極11の突条部11gの係合突部11iが挿入される係合突部収容凹部13rが形成されている。凸部嵌合溝13qは係合突部収容凹部13rを含む。
係合突部収容凹部13rは、凸部嵌合溝13qの溝幅方向両側の内側面の正極側主面13aとの境界よりも凸部嵌合溝13qの溝底側に形成されている。
図8の凸部嵌合溝13qは固体電解質13の側面13dに開口されている。
図8の硫黄正極11は、突条部11gを凸部嵌合溝13qに、固体電解質13の側面13dに開口する開口端から挿入、嵌合して、固定電解質13に取り付けることができる。
図8の硫黄正極の取付構造では、突条部11gの係合突部11iを凸部嵌合溝13qの係合突部収容凹部13rに挿入して突条部11gを凸部嵌合溝13qに挿入、嵌合するので、固定電解質13の向きに依らず、硫黄正極11の固定電解質13に対する装着状態を安定に維持できる。
なお、突条部11gの係合突部11i及び凸部嵌合溝13qの係合突部収容凹部13rの具体的形状は、図8に例示したものに限定されず、適宜変更可能である。
硫黄正極11に形成する凸部は突条部に限定されず、例えば、図9に示すように、固体電解質13の正極側主面13aから窪む丸孔等の嵌合穴13sに挿入嵌合される嵌合突起11jであっても良い。嵌合突起11jは、硫黄正極主板部11aの電解質側主面11bから電解質側主面11bに垂直に突出形成される。
なお、図9では、嵌合突起11jをひとつだけ有する構成の硫黄正極11を例示したが、これに限定されず、硫黄正極11の嵌合突起は複数でも良い。固体電解質には、硫黄正極11の嵌合突起の数と同数の嵌合穴13sが設けられる。
図9では、硫黄正極主板部11aの電解質側主面11bから一定断面で突出する柱状の嵌合突起11j、及び固体電解質13の正極側主面13aから一定断面で延在して窪む嵌合穴13sを例示した。
但し、図10に示すように、硫黄正極の嵌合突起は、硫黄正極主板部11aの電解質側主面11bから電解質側主面11bに垂直の突出方向において突端側に行くにしたがって突出方向に垂直の断面寸法が小さくなる先細りのテーパ状のもの(嵌合突起11k)であっても良い。図10の固体電解質13の嵌合穴13tは、硫黄正極11のテーパ状の嵌合突起11kに合致するように、固体電解質13の正極側主面13aからの深さが深くになるにしたがって深さ方向(正極側主面13aに垂直の方向)に垂直の断面寸法が小さくなる先細りのテーパ状に形成される。この嵌合穴13tは、嵌合穴13tの深さ方向に対して傾斜するテーパ状内側面を有する。
図10の固体電解質13には、硫黄正極11の複数の嵌合突起11kに対応させて、嵌合突起11kが挿入、嵌合される嵌合穴13tが複数形成されている。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上述の実施形態では、硫黄正極に凸部、固体電解質に凹部が存在する構成を例示したが、これに限定されず、硫黄正極に凹部、固体電解質に凸部が存在する構成、硫黄正極に凸部及び凹部、固体電解質に凸部及び凸部が存在する構成、も採用可能である。
互いに嵌合される凸部及び凹部は、その一方が硫黄正極、他方が固体電解質に位置すれば良い。
10…リチウム硫黄固体電池、11…硫黄正極、11a…主板部、11b…(主板部の)電解質側主面、11c…凸部(突条部)、11d…(硫黄正極の主板部の)側面、11e…凸部(突条部)、11f…凸部(突条部)、11g…凸部(突条部)、11h…突条主部、11i…係合突部、11j…凸部(嵌合突起)、11k…凸部(嵌合突起)、12…リチウム負極、13…固体電解質、13a…正極側主面、13b…負極側主面、13c…凹部(凸部嵌合溝)、13d…(固体電解質の)側面、13e…溝端形成壁部、13f…(凸部嵌合溝の)内側面、13g…(凸部嵌合溝の)底面、13h…(突条部の)内端面、13i…凹部(凸部嵌合溝)、13j…開口端、13k…凹部(凸部嵌合溝)、13m…開口端、13n…凹部(凸部嵌合溝)、13o…テーパ状内側面、13p…凹部(凸部嵌合溝)、13q…凹部(凸部嵌合溝)、13r…係合突部収容凹部、13s…凹部(嵌合穴)、13t…凹部(嵌合穴)、14…コアユニット、15…外装容器。

Claims (7)

  1. 硫黄正極と、リチウム負極と、前記硫黄正極と前記リチウム負極との間に配置された固体電解質とを有し、前記硫黄正極及び前記固体電解質の互いに当接される接合面側にはその一方に凸部が形成され他方に前記凸部が嵌合する凹部が形成されているリチウム硫黄固体電池。
  2. 請求項1に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記凸部は前記硫黄正極または前記固体電解質に延在形成された突条部であり、前記凹部は前記突条部が嵌合される凸部嵌合溝であるリチウム硫黄固体電池。
  3. 請求項2に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記突条部は前記硫黄正極または前記固体電解質に突出形成された突条主部と、前記突条主部の側部から突出する係合突部とを有し、前記凸部嵌合溝はその延在方向両端の一方または両方を前記硫黄正極または前記固体電解質の側面に開口させて形成され、前記凸部嵌合溝のその溝幅方向両側の内側面の一方または両方には前記突条部の前記係合突部が挿入される係合突部収容凹部が形成され、前記係合突部収容凹部は、前記硫黄正極または前記固体電解質の接合面側に開口する前記凸部嵌合溝の開口部から前記凸部嵌合溝の底部側にずれた位置に、前記凸部嵌合溝の前記硫黄正極または前記固体電解質の側面に開口する開口端から前記凸部嵌合溝に沿って延在形成されているリチウム硫黄固体電池。
  4. 請求項2に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記凸部嵌合溝のその延在方向両端の一方または両方は、前記凸部嵌合溝が形成されている前記硫黄正極または前記固体電解質のその側面と前記凸部嵌合溝との間に位置する壁部によって塞がれているリチウム硫黄固体電池。
  5. 請求項1、2、4のいずれか1項に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記凸部は、前記凹部にその前記硫黄正極または前記固体電解質の接合面側に開口する開口部から挿入可能、かつ基端側から突端側に行くにしたがってその突出方向に垂直の断面寸法が縮小するテーパ状に形成され、
    前記凹部にはその深さ方向に対して傾斜し前記凸部の側面に当接するテーパ状内側面が形成されているリチウム硫黄固体電池。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記硫黄正極は、導電性材料によって形成され表面に開口する穴部が多数存在する導電性シートと、硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体のうち硫黄及びイオン液体のみあるいは硫黄、導電助剤、バインダー及びイオン液体の全てを含有し、前記導電性シートの前記穴部に収容された正極材とを有する部材であるリチウム硫黄固体電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム硫黄固体電池において、
    前記固体電解質は酸化物系材料によって形成されているリチウム硫黄固体電池。
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