JP2019177346A - 散水ろ床の洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができる散水ろ床の洗浄方法を提供する。【解決手段】複数のろ材よりなるろ材層を水槽内に有する散水ろ床の洗浄方法である。かかる洗浄方法は、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する測定工程と、ろ材を洗浄する洗浄工程と、を含む。そして、かかる洗浄工程にて、生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合にろ材を撹拌洗浄し、生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合にろ材を浸漬洗浄する。【選択図】図7

Description

本発明は、散水ろ床の洗浄方法に関するものである。
従来、水処理システムにおいて、微生物を担持させたろ材からなるろ材層に対して被処理水を散布し、ろ材層に存在する微生物によって被処理水中の有機物等を好気的に生物処理する散水ろ床が用いられている。
ここで、散水ろ床には、被処理水の処理を継続していると、ろ材に対して付着した生物膜が過剰に厚くなり、厚膜化した汚泥様の生物膜がろ材間の空隙を閉塞してしまい、散水ろ床の水処理機能を低下させる虞があった。また、散水ろ床には、散水ろ床内でろ床蠅やサカマキ貝が生育して、これらがろ材表面等に形成された生物膜を食べてしまい、結果的に散水ろ床の水処理機能が低下する虞があった。そのため、散水ろ床を用いた水処理システムでは、被処理水の効率的な処理を継続的に実施するために、適切な時期にろ材層を洗浄し、過剰に厚膜化した生物膜、汚泥、蠅の卵及び幼虫、並びに、貝及びその卵等をろ床から排除することが必要となる。
従来、散水ろ床における悪臭及びろ床蠅等の発生の問題に対し、ろ材層を構成するろ材を、所定のタイミングで撹拌洗浄し、ろ材層に捕捉された固形物、並びに、ろ材に付着したろ床蠅の卵及び幼虫をろ材層から除去することで、悪臭及びろ床蠅の発生を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、水処理能力が所定の閾値以下に低下した場合、及び/又は、所定時間毎に、ろ材層を構成するろ材を撹拌洗浄することで、ろ材層からの悪臭及びろ床蠅の発生を抑制する思想が開示されている。
国際公開第2012/161339号
上記特許文献1には、撹拌洗浄を行うタイミングに関して、水処理能力が所定の閾値以下に低下した場合、及び/又は、所定時間毎という以上の詳細は開示されていない。従って、特許文献1に開示された方法には、ろ材の撹拌洗浄を行うタイミングを一層適正化するという点で改善の余地があった。ここで、実際にはろ材を撹拌洗浄するべきではないタイミングでろ材の撹拌洗浄を行ってしまえば、却って散水ろ床による水処理能力を低下させる虞がある。そのため、ろ材の状況(例えば、生物付着量)に応じた適切な方法でろ材の洗浄を行うことで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができる散水ろ床の洗浄方法を確立することが求められてきた。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、ろ材層を洗浄する方法には、「撹拌洗浄」以外に、「浸漬洗浄」という方法があることに着目した。ここで、撹拌洗浄とは、散水ろ床を満水にした後に、撹拌によりろ材を流動させ、その後排水を行う方法である。撹拌洗浄によれば、ろ材充填層の空隙率を回復すること、被処理水の水処理効率を安定化するとともに、ろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝の駆除を行うことができる。一方、浸漬洗浄は、散水ろ床を満水にしてろ材を一定時間浸漬し、その後排水を行う方法である。浸漬洗浄によれば、ろ材表面等に形成された生物膜が減少することを抑制しつつ、ろ床蠅の幼虫やサカマキ貝の駆除を行うことができる。
このように、「浸漬洗浄」及び「撹拌洗浄」は、異なる特性を有しており、ろ材層の状態を考慮して適している方の方法を選択することができれば、散水ろ床による水処理効率を一層高めうると考えられる。そこで、本発明者らは、ろ材層の状態に基づいて、行うべき洗浄の種類を、浸漬洗浄と撹拌洗浄との間で適切に切り替えることで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができることを新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の散水ろ床の洗浄方法は、複数のろ材よりなるろ材層を水槽内に有する散水ろ床の洗浄方法であって、前記ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する測定工程と、前記ろ材を洗浄する洗浄工程と、を含み、前記洗浄工程にて、前記生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合に前記ろ材を撹拌洗浄し、前記生物付着量(Bm)が前記洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合に前記ろ材を浸漬洗浄する、ことを特徴とする。このように、測定工程にてろ材に対する生物付着量(Bm)を測定し、かかる生物付着量(Bm)の値に基づいて、洗浄工程にて実施する洗浄方法を、浸漬洗浄及び撹拌洗浄の何れとするかを適切に選択することで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができる。
ここで、本発明の散水ろ床の洗浄方法では、前記測定工程にて前記生物付着量(Bm)を測定するにあたり、前記ろ材層の空隙率(VRo)を測定し、所定の空隙率設定値(VRi)との差を求めることが好ましい。ろ材層における空隙率に基づいて生物付着量を測定することで、ろ材に対する生物付着量を簡便かつ高精度に測定することができる。
さらに、本発明の散水ろ床の洗浄方法では、前記測定工程にて、前記空隙率(VRo)を、前記ろ材層に対して洗浄液を流入させた場合の、前記ろ材層の所定区間への累積流入水量に基づいて測定することが好ましい。空隙率の測定にあたり、洗浄水の累積流入水量を用いることで、ろ材に対する生物付着量を一層簡便かつ高精度に測定することができる。
さらに、本発明の散水ろ床の洗浄方法では、前記ろ材層の前記所定区間は、前記ろ材層の高さをHとした場合に、前記ろ材層の下端面からH/40以上H/10以下の高さ範囲に含まれる1つの測定開始高さ(Hs)と、前記ろ材層の上端面からH/40以上H/10以下の範囲に含まれる1つの測定終了高さ(He)とにより区画されることが好ましい。累積流入水量を算出する区間を、ろ材層の下端面近傍及び上端面近傍を除く所定区間とすることで、ろ材に対する生物付着量を一層高精度に測定することができる。
また、本発明の散水ろ床の洗浄方法では、前記洗浄工程にて、前記生物付着量(Bm)が前記洗浄選択生物付着量(Bw)超の場合に、洗浄選択生物付着量(Bw)との差(Bd=Bm−Bw)に基づいて前記撹拌洗浄の際の洗浄強度を調節することを含むことが好ましい。生物付着量(Bm)と洗浄選択生物付着量(Bw)との差分(Bd)に基づいて、撹拌洗浄の際の洗浄強度を調節することで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝の発生を一層良好に抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を一層効果的に回復させることができる。
本発明によれば、ろ材に対する生物付着量に応じて適切な方法でろ材の洗浄を行うことで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができる。
本発明に従う代表的な散水ろ床の洗浄方法を適用し得る散水ろ床の一例の概略構成を示す説明図である。 図1に示す散水ろ床にてろ材層を形成しているろ材の斜視図である。 本発明に従う代表的な散水ろ床の洗浄方法の測定工程において、ろ材層の所定区間への累積流入水量を測定する場合の説明図である。 本発明に従う代表的な散水ろ床の洗浄方法に従って、散水ろ床を撹拌洗浄している状態を示す説明図である。 ろ材への生物付着量と溶解性BOD除去量の関係を示すグラフである。 ろ材への生物付着量とアンモニア性窒素除去量の関係を示すグラフである。 本発明に従う代表的な散水ろ床の洗浄方法の洗浄工程において、洗浄方法を切り替える場合を説明するための図である。 Bm,Bw、及びBdの関係を、図5において説明した生物付着率と溶解性BOD除去量の関係に併せて示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
(散水ろ床の洗浄方法)
本発明の散水ろ床の洗浄方法は、特に限定されることなく、下水などの被処理水の処理に用いられる散水ろ床を洗浄する際に用いることができる。そして、本発明の散水ろ床の洗浄方法は、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する測定工程と、ろ材を洗浄する洗浄工程と、を含む。さらに、本発明の散水ろ床の洗浄方法は、洗浄工程にて、生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合にろ材を撹拌洗浄し、生物付着量(Bm)が洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合にろ材を浸漬洗浄することを特徴とする。
<散水ろ床>
ここで、本発明の散水ろ床の洗浄方法を用いて洗浄される散水ろ床は、例えば図1に示すような構成を有している。具体的には、図1に示す散水ろ床100は、水槽10内に、スクリーン20と、スクリーン20で支持され、且つろ材層上端面32の高さまで充填された複数のろ材31からなるろ材層30と、ろ材層30に対して空気を送気する曝気装置40と、ろ材層30の上方に設置されて被処理水をろ材層30に散布する散水機50とを備えている。そして、散水機50には、流量計51及び被処理水弁52を有する被処理水配管53が接続されている。また、散水ろ床100の水槽10は、スクリーン20よりも下側に設けられた流出口を有している。そして、流出口には、弁61を有する配管60が接続されている。なお、図示しないが、配管60は、図示した領域よりも下流側で、三方弁等を介して処理水配管と洗浄水配管とに分岐していても良い。さらに、水槽10は、連結部が開口となっており、水槽10内に水が溜められた場合に、その水位を示すことができる連結管70、及び当該連結管70に取り付けられた水位計71を備えている。
ここで、水槽10としては、特に限定されることなく、鋼板製の水槽、樹脂製の水槽及びコンクリート製の水槽などの既知の水槽を用いることができる。なお、水槽の形状は、矩形状や円柱状など、任意の形状とすることができる。
また、ろ材層30は、水槽10内に充填した複数のろ材31で構成されている。具体的には、ろ材層30は、一端が水槽10の底面に固定された支柱21により支持された梁22の上に設置されたスクリーン20上に複数のろ材31をろ材層上端面32の高さまで充填して形成されている。ここで、ろ材層上端面32の高さは、ろ材31の充填高さであり、通常は、1〜4m程度であり、2.0〜2.5m程度が好ましい。なお、スクリーン20の網目は、ろ材31が通過しない大きさに設定されている。ここで、散水ろ床100では、ろ材31として、図2に示すような円筒形状の樹脂製ろ材を用いたが、本発明の散水ろ床では、ろ材の材質及び形状は、任意の材質及び形状とすることができる。例えば、ろ材31の材質としては、特に限定されることなく、ポリプロピレン及びポリエチレン等の樹脂が挙げられる。また、例えば、ろ材の形状としては、円筒形状以外に、鞍形状及び中空球形状等が挙げられる。
但し、ろ材層30を構成する複数のろ材31は、浸漬洗浄が可能であるために、洗浄工程を実施する時点において平均比重が1.0超である必要がある。ろ材31の比重は、例えば、ろ材に対して付着した生物膜の質量によって変化するため、生物膜が付着する前の平均比重が1.0未満であるろ材であっても、ろ材層30を形成するためのろ材31として用いることができる。なお、浸漬容易性及び流動容易性の観点から、ろ材31の平均比重が1超1.15以下であることが好ましい。
本明細書において、ろ材31の平均比重は100個のろ材について、質量(g)/体積(cm3)を算出した場合の個数平均値を意味する。
曝気装置40は、ろ材層30を構成するろ材31を撹拌洗浄する際に、洗浄水中にてろ材31を撹拌させるように機能する。曝気装置40は、撹拌用空気配管81を介してブロア80と接続されている。そして、ブロア80は監視制御装置90により運転制御されうる。
散水機50は、被処理水の処理時には、被処理水をろ材層30に散布する被処理水供給機構として機能する。また、散水機50は、散水ろ床100の洗浄時には、配管60に設けられた弁61と共に水槽10内に洗浄液としての被処理水を貯留する洗浄液貯留機構として機能する。
流量計51は被処理水の流量を常時測定して、一定時間(例えば1分)毎に測定値を監視制御装置90に対して発信している。
なお、この一例では散水機50を用いて洗浄液としての被処理水を貯留できるようにしたが、散水ろ床100は、被処理水以外の洗浄水(例えば、再生水、中水、河川水、水道水、工業用水、及び薬液等)を、流量計51を通過させて水槽内に供給する配管を備えていても良い。
そして、散水ろ床100では、以下に詳細に説明するようにして、被処理水の処理、及び、散水ろ床100のろ材層30を構成するろ材31の洗浄を行うことができる。
なお、図1に示した散水ろ床100は、ろ材層30は下端面にてスクリーン20にて支持されてなるが、本発明の散水ろ床の洗浄方法を適用し得る他の態様にかかる散水ろ床は、スクリーン20、支柱21、及び梁22等を有さず、ろ材層の下端面が水槽の内側底面に一致又は略一致するものであっても良い。
<被処理水の処理>
具体的には、散水ろ床100では、被処理水弁52及び弁61を開いた状態で、散水機50を介して被処理水をろ材層30へと散布し、被処理水を処理する。より具体的には、散水ろ床100では、被処理水配管53及び散水機50を介してろ材層30へと散布された被処理水中の有機物等が、ろ材層30に存在する微生物(例えば、ろ材31の表面等に形成された生物膜中に存在しうるBOD酸化細菌及びアンモニア酸化細菌等)によって好気的に生物処理される。また、被処理水中に含まれていた固形物が、ろ材層30で捕捉される。そして、ろ材層30で被処理水を処理して得られた処理水は、配管60を介して散水ろ床100の外へと排出される。
<ろ材の洗浄>
ここで、散水ろ床100において被処理水の処理を継続すると、ろ床蠅及びサカマキ貝等が発生することや、ろ材31に対して微生物が過剰に付着して生物膜が過剰に厚膜化することに起因して、水処理性能の低下が起こり得る。そこで、本発明の散水ろ床の洗浄方法に従ってろ材層30を構成するろ材31を洗浄する。ろ材31の洗浄にあたり、本発明の散水ろ床の洗浄方法では、まず、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する測定工程を実施し、かかる測定工程で得られた生物付着量(Bm)の値に基づいて、撹拌洗浄と浸漬洗浄とを切り替えて実施する洗浄工程を実施する。なお、測定工程及び洗浄工程の実施頻度は、季節や被処理水の属性等に応じて任意に設定することができる。
[測定工程]
測定工程では、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する。測定工程における生物付着量(Bm)の測定方法は、特に限定されない。測定方法としては、例えば、ろ材層30の質量変化を検出する方法、及びろ材層30における空隙率に基づく測定方法等が挙げられる。中でも、簡便性及び測定精度の観点から、空隙率に基づく測定方法が好ましい。
ここで、従来は、処理水質等を指標として決定されたタイミングで、或いは、予め定めておいたインターバル(例えば、所定の運転日数)毎に、洗浄工程を実施することが一般的であった。しかし、こうした従来一般的に実施されてきた方法には、以下のような不都合が想定された。すなわち、処理水質の低下は、上述したような、ろ床蠅及びサカマキ貝等の発生、及び/又は、生物膜の厚膜化に起因した散水ろ床の水処理性能の低下によってのみ引き起こされるものではなく、(i)ろ材層の温度低下に起因する微生物活性の低下、(ii)低濃度の被処理水の長期流入による付着微生物の流出、及び、(iii)高濃度の被処理水の流入による過負荷等の種々の要因によっても引き起こされうる。よって、従来法に従って、処理水質の低下が検出された場合にろ材層を撹拌洗浄してしまえば、処理水質低下の原因が上記(i)〜(iii)のようなものであった場合には、ろ材層に保持されていた微生物の量を不必要に低減させることとなり、却って更なる処理水質の低下を招く虞があった。また、ろ材層の水処理性能が劣化すると想定される運転日数を予め定め、かかる運転日数毎に洗浄工程を実施する方法は、水質変動の少ない被処理水が、一定温度の条件で一定流量でろ材層に流入し、ろ材層への微生物の付着速度がほぼ一定である、という特殊な条件下でのみ良好な結果を得ることができる方法である。従って、被処理水の水質、水温、及び流入量等、種々の条件が変動し得る実際の下水処理等では、ろ材層に保持された微生物量が不十分な状況においても撹拌洗浄が実施される虞がある。その結果、更なる処理水質の低下を招く虞があった。このように、従来のような、ろ材層内の微生物量等を直接的に測定せずに、いわば、処理水質又は運転日数に基づいてろ材層内の微生物量が不適切となりうるタイミングを間接的に推定するような方法によっては、水処理性能を良好に維持することが難しかった。
そこで、本発明のように、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定することで、ろ材に対して付着した微生物量が充分であるか否かを、処理水質等の間接的な指標によらず、直接的に把握することができる。さらに、ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定するにあたり、上記のような、ろ材層30の質量又は空隙率に基づく測定方法によれば、ろ材層30内の微生物等の量を、直接的且つ高精度に測定することができる。中でも、ろ材層30の空隙率に基づく測定方法によれば、簡便且つ効率的にろ材に対する生物付着量を測定することができる。
―空隙率に基づく生物付着量の測定方法―
測定工程の実施時点でのろ材層30の空隙率(VRo)及び所定の空隙率設定値(VRi)の差分を、ろ材層30における生物付着量(Bm)とすることができる。所定の空隙率設定値(VRi)は、例えば、運転前のろ材層30の空隙部体積(V2)及び水槽10の一部容積(V1)を用いて、式:V2/V1×100(%)として求めることができる
。なお、所定の空隙率設定値(VRi)の値は、「式:V2/V1×100(%)」によって算出される値のみに限定されるものではなく、散水ろ床100の運転を継続していく段階において、適宜補正することができる。
また、空隙率(VRo)は、測定工程の実施時点でのろ材層空隙部体積(V3)及び水槽10の一部容積(V1)を用いて、式:V3/V1×100(%)として求めることができる。以下、図3を参照して、水量に基づいて空隙率を測定する際の測定方法について説明する。なお、図3に示す散水ろ床100は図1に示した散水ろ床100と同じである。
水槽10の一部容積(V1)は、水槽10において、ろ材31を充填する空間の少なく
とも一部を含む部分の容積に相当する。また、例えば、一部容積(V1)は、ろ材層30の底面から上端面までの位置に相当する、水槽10の一部容積であり得る。この場合、一部容積(V1)は、ろ材層30の底面位置に相当するスクリーン20から、ろ材層上端面32の高さまでの、水槽10の容積に相当する。また、例えば、一部容積(V1)は、ろ材層30の高さの一部に相当する部分を含む、水槽10の一部容積であっても良い。なお、一部容積(V1)は水槽10の内側形状が単純な形状の場合には、計算に基づいて算出することができる。勿論、一部容積(V1)の測定にあたり、ろ材31を充填しない状態で、水槽10内に水を流入させたときの、所定区間における累積流入水量として計測することも可能である。なお、この際に用いる水としては特に限定されることなく、被処理水、再生水、中水、河川水、水道水、及び工業用水等を使用することができる。また、「所定区間」とは、ろ材層30の少なくとも一部を含む限りにおいて特に限定されることなく、あらゆる区間であり得る。例えば、ろ材層30の「少なくとも一部」である所定区間とは、ろ材層30の下端面よりも上側、及び、ろ材層30の上端面よりも下側の少なくとも一方を一端とする区間であり得る。中でも、図3に示すように、スクリーン20(即ち、ろ材層30の下端面)から、ろ材層上端面32までの高さをHとした場合に、ろ材層30の下端面からH/40以上H/10以下の高さ範囲に含まれる1つの測定開始高さ(Hs)と、ろ材層上端面32からH/40以上H/10以下の範囲に含まれる1つの測定終了高さ(He)とにより区画される区間hであることが好ましい。なお、図3における縮尺、各構成部間の位置関係等は、これに限定されるものではない。「所定区間」の上下限を、ろ材層30の底面付近及び上端面付近を含まないように設定することで、繰り返し使用等に起因するろ材31の劣化、及びろ材31自体の自重等に起因して圧密等が発生することにより、測定工程を経て得られる各種測定値の精度が低下することを効果的に抑制することができるからである。特に、ろ材層30の下端面付近の領域を「所定区間」に含まないようにすることで、圧密等に起因する空隙体積の変化の、測定値に対する影響を低減することができる。また、ろ材層30の上端面32付近の領域を「所定区間」に含まないようにすることで、圧密及びろ材31の劣化等に起因するろ材層30の高さの変化によって、測定値に誤差が生じることを低減することができる。さらにまた、ろ材層30の「全部」ではなく「少なくとも一部」を累積流入水量の算出対象領域とすることで、測定工程に要する時間を短縮することができる。
水位計71を用いて、測定開始高さ(Hs)から測定終了高さ(He)までの水の累積流入水量を測定する方法は、例えば、以下の通りである。上述したように、流量計51は供給水の流量を常時測定している。従って、水位計71にて検出された水位がHsとなった時点から、水位計71にて検出された水位がHeとなった時点までの、積算流量を求めることで、測定開始高さ(Hs)から測定終了高さ(He)までを「所定区間」とした場合の累積流入水量(水槽10の一部容積(V1)に相当)を得ることができる。なお、上
述した通り、水槽10の一部容積(V1)を求めるという観点からすると、水槽10の内
部形状が円筒形等の単純な形状である場合には、高さ(He−Hs)に対して、水槽10の断面積を乗じることで、水槽10の一部容積(V1)を求めることも勿論可能である。
また、運転前のろ材層30の空隙部体積(V2)は、新品ろ材を水槽10内に充填した状態で、弁61を閉じて水槽10内に水を流入させ、ろ材層30の所定区間への累積流入水量として計測することができる。空隙部体積(V2)は、ろ材31に対して生物膜が全く付着していない状態における、ろ材層30の空隙の全体積を表している。累積流入水量に基づく空隙部体積(V2)の測定方法は、水槽10の一部容積(V1)を求める際と同
様である。
測定工程の実施時点でのろ材層空隙部体積(V3)は、散水ろ床100の運転を開始した後に測定工程を実施する際に、弁61を閉じて水槽10内に洗浄液を流入させ、ろ材層30の所定区間への累積流入水量として計測することができる。換言すれば、ろ材層空隙部体積(V3)は、ろ材31に対して生物膜が付着している状態における、ろ材層30の空隙の全体積を表している。洗浄液としては、液体である限りにおいて特に限定されることなく、被処理水、再生水、中水、河川水、水道水、工業用水、及び薬液等を用いることができる。中でも、コスト低減及び散水ろ床の構造の簡素化の観点から、洗浄液としては被処理水を用いることが好ましい。なお、累積流入水量に基づくろ材層空隙部体積(V3)の測定方法は、水槽10の一部容積(V1)を求める際と同様である。
これらの、水槽10の一部容積(V1)及び運転前のろ材層30の空隙部体積(V2)
に基づいて、式:V2/V1×100(%)に従って算出される所定の空隙率設定値(VRi)は、ろ材31に対して生物膜が全く付着していない状態における、ろ材層30における空隙の割合(%)を示している。また、水槽10の一部容積(V1)及び測定工程の
実施時点でのろ材層空隙部体積(V3)に基づいて、式:V3/V1×100(%)に従って算出される空隙率(VRo)は、ろ材31に対して生物膜が付着している状態における、ろ材層30における空隙の割合(%)を示している。従って、空隙率(VRo)と所定の空隙率設定値(VRi)との差分を求めることで、ろ材31に対して付着した生物膜等によって、ろ材層30における空隙率がどの程度減少したかを把握することができる。減少した空隙の分だけ、生物膜等の量が増えているということになり、従って、(VRo−VRi)の値は、ろ材層30の状態を直接的に表す指標であるといえる。なお、(VRo−VRi)の値には、生物膜の厚膜化だけではなく、ろ材層30にて捕捉された被処理水中の固形分量や、ろ材層30中にて発生したろ床蠅の幼虫やサカマキ貝等の影響も反映されうる。
ここで、上記では、生物付着量(Bm)の好適な取得方法である空隙率を用いた測定方法について具体的に説明した。これとは別に、生物付着量(Bm)をろ材層30の質量変化に基づいて測定する場合には、生物付着量は、測定時点におけるろ材層30の少なくとも一部の質量(Mo)から、所定の質量設定値(Mi)を差し引いた差分の値として算出することができる。なお、例えば、所定の質量設定値(Mi)は、質量(Mo)を算出した際に含まれていたろ材の個数に、新品ろ材の質量をかけ合わせることで算出することができる。
[洗浄工程]
洗浄工程ではろ材31を洗浄する。より具体的には、洗浄工程では、上述した測定工程にて得た生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合にろ材31を「撹拌洗浄」し、生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合にろ材31を「浸漬洗浄」する。ここで、「洗浄選択生物付着量(Bw)」とは、洗浄工程における洗浄方法を選択する際の閾値となる値である。以下、洗浄工程における洗浄操作、及び、洗浄選択生物付着量(Bw)の設定方法について具体的に説明する。なお、例えば、上述した測定工程にて、洗浄水の累積流入水量に基づいて、生物付着量(Bm)を測定した場合には、以下に説明する「洗浄操作」における洗浄水を流入させる操作は、測定工程にて洗浄水を水槽10に対して流入させる操作にて代用することができる。即ち、測定工程にて、空隙率を用いた測定方法にて生物付着量(Bm、即ち、VRo−VRi)を得た場合には、測定工程にて用いた洗浄水を、そのまま洗浄工程にて用いることができる。このような態様は、水処理の効率性等の観点から、非常に有利且つ合理的である。
―洗浄操作―
――浸漬洗浄
まず、散水ろ床100を浸漬洗浄する場合には、配管60に設けられた弁61を閉じた後に、散水機50を用いて水槽10内に洗浄液としての被処理水をろ材層30を超える高さまで流入させる。次いで散水機50からの被処理水の散水を停止して、所定の時間(例えば、12時間)にわたり、ろ材層30を浸漬させる。そして、所定時間経過後に弁61を開いて、水槽10内に貯留してあった被処理水を排水し、排水が終われば散水機50からの散水を開始して散水ろ床100の運転を再開する。このように、浸漬洗浄は、水槽10内に水を張り一定時間保持した後に排水するという洗浄方法であり、蝿の卵及び幼虫並びに貝の卵等の駆除効果があるが、ろ材31を搖動させないためろ材31からの生物膜の剥離は少ない、弱い洗浄方法である。
――撹拌洗浄
次に、図4を参照して、散水ろ床100を撹拌洗浄する場合について説明する。図4は散水ろ床100を空気曝気により撹拌洗浄している状態を示している。配管60に設けられた弁61を閉じた後に、散水機50を用いて水槽10内に洗浄液としての被処理水をろ材層30を超える高さまで流入させ、次いで散水機50からの被処理水の散水を停止する。続いて曝気装置40から空気を噴出させて曝気を行いその空気の浮上力によりろ材31を流動させる。このように、撹拌洗浄はろ材に付着して厚膜化した生物膜の一部、ろ材層30に蓄積した汚泥、固形分、蝿の卵、蠅の幼虫、貝、及びその卵等を除去することができる、強力な洗浄方法である。
図4では、曝気装置40を用いてろ材31の撹拌を行う態様を図示したが、洗浄液に浸漬されたろ材31の撹拌は、特に限定されることなく、撹拌機などの物理的な撹拌装置を用いて水槽内に水流を発生させることにより行っても良い。しかし、散水ろ床100の構造の簡素化及びろ材31の破損防止の観点からは、ろ材31の撹拌は、曝気により行うことが好ましく、図4に示すように、ろ材層30の下側に設置した曝気装置40から空気等の気体を曝気してろ材31及び洗浄液を流動させることにより行うことがより好ましい。曝気によりろ材を撹拌する際の曝気風量は、0.25m3/m2・分以上1.5m3/m2・分以下であることが好ましく、0.25m3/m2・分以上0.5m3/m2・分以下であることがより好ましい。
―洗浄選択生物付着量(Bw)―
洗浄選択生物付着量(Bw)は、散水ろ床100の水処理性能を良好に維持しつつ散水ろ床100を運転していく上で、非常に重要な閾値である。かかる洗浄選択生物付着量(Bw)は、例えば、ろ材層30における空隙率に基づいて生物付着「量」を算出する場合には、空隙率に基づいて算出される生物付着量である「生物付着率」と、散水ろ床の水処理性能との関係に基づいて、決定することができる。なお、図5及び図6を参照した説明における「生物付着率」は、上述した「空隙率(VRo):測定工程の時点におけるろ材層30の空隙率と空隙率設定値(VRi):運転前のろ材層30の空隙率との差分」に相当する。図5は、水槽断面積56.25m2、ろ材充填高さ2.5mの散水ろ床における、生物付着率と溶解性BOD(Biochemical oxygen demand)除去量との関係を示すグラフであり、図6は同形状の散水ろ床における、生物付着率とアンモニア性窒素除去量の関係を示すグラフである。なお、図5〜6に示すグラフは、本発明者らが取得した、散水ろ床の処理性能の実測データである。実測データを取得した際の条件は、散水ろ床の水槽断面積56.25m2、ろ材充填高さ2.5mであり、被処理水が都市下水、処理水量が1100m3/日であった。
まず、図5を参照して説明する。図5より明らかなように、溶解性BOD除去量は生物付着率(%)の増加に伴って増大し、生物付着率が10%〜20%において最大となり、さらに生物付着率が増加すると溶解性BOD除去量が低下する傾向を示す。
また、図6から、アンモニア性窒素除去量が、生物付着率の増加に伴って増大し、生物付着率が10%〜20%において最大となり、さらに生物付着率が増加すると低下する傾向を示すことが分かる。
これらの、図5〜6に示した実測データから、溶解性BOD除去量やアンモニア性窒素除去量として示される散水ろ床の処理性能は、生物付着率が5%〜25%において良好であり、特に10%〜20%の範囲で性能が高く、5%未満又は25%超では処理性能は低下するということがいえる。
このように処理性能が変化する理由は、以下の通りであると推察される。まず、生物付着率が5%未満の場合には、被処理水に含まれる汚濁物質の量に対してろ材層30内に保持されている微生物の量が不足しており、処理性能が低いと考えられる。一方、生物付着率が25%超である場合には、ろ材層に充填したろ材に対して付着した生物膜が過剰に厚く、ろ材の空隙にて、過剰な量の汚泥が堆積し、且つこれに伴って汚泥腐敗が生じ、結果的に腐敗汚泥からの有機物質及びアンモニア等の溶出が生じて、散水ろ床の処理性能が低下すると考えられる。
従って、図5〜6に示した実測データを取得した散水ろ床の運転にあたり、生物付着率を5%〜25%に維持することが重要であり、生物付着率を10%〜20%の範囲に維持することが好ましいと考えられる。そして、生物付着率を10%〜20%の範囲に維持するために設定すべき洗浄選択生物付着量(Bw)の値は、生物付着率10%であり得る。即ち、生物付着率10%という値が、図5〜6に示した実測データを取得した散水ろ床内に最低限維持したい微生物量であり得る。以下、生物付着率10%を洗浄選択生物付着量(Bw)として設定した場合の洗浄工程における洗浄方法の選択について、具体的に説明する。
―洗浄選択生物付着量(Bw)に基づく洗浄方法の選択―
ろ材層の空隙率に基づいて得た生物付着率を利用した洗浄方法の選択について図7を参照して説明する。図7に、先に図5にかかる生物付着率と溶解性BOD除去量の関係を示すグラフに対して、洗浄選択生物付着量(Bw)である生物付着率10%を重ねて示す。図7より明らかなように、生物付着率10%を境界として、洗浄工程において実施すべき洗浄を浸漬洗浄と撹拌洗浄とで切り替える。
図7に示す場合において、測定工程で得られた生物付着量(Bm)が洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合、即ち、空隙率を用いて測定した測定工程の実施時点でのろ材層の空隙率(VRo)と所定の空隙率設定値(VRi)の差分が、10%以下である場合には、ろ材からの生物剥離が少ない浸漬洗浄を選択する。また、測定工程で得られた生物付着量(Bm)が洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合、即ち、空隙率を用いて測定した測定工程の実施時点でのろ材層の空隙率(VRo)と所定の空隙率設定値(VRi)の差分が、10%超である場合には、ろ材からの生物剥離が多く汚泥の排出が可能となる撹拌洗浄を選択するようにする。なお、これらの判定及び選択操作は、例えば、図1等に示す散水ろ床100であれば、監視制御装置90に備えられた中央演算装置等を備えるコンピュータにより、自動的に実施することができる。勿論、運用者(人)が生物付着量(Bm)と洗浄選択生物付着量(Bw)との大小関係を判断し、手動で洗浄方法を切り替えて実施することも可能である。特に、本発明の散水ろ床の洗浄方法によれば、一つの閾値である「洗浄選択生物付着量(Bw)」と、測定工程で得られた生物付着量(Bm)との単純比較により、その時行うべき洗浄方法を一義的に決定することができる。従って、運用者の経験を問わず、更には、人による判断を介在させる必要無く、散水ろ床内に保持される微生物量を、常に最適化することができる。このため、散水ろ床の維持管理が容易となる。
なお、洗浄選択生物付着量(Bw)の具体的な数値は、本発明による散水ろ床の洗浄方法を適用する散水ろ床における散水負荷、目標処理水質、被処理水の水質、被処理水等の温度、及び被処理水のBOD等の、ろ材層における汚泥の蓄積し易さに影響し得る種々のパラメータに基づいて、適宜変更することができる。また、例えば、洗浄選択生物付着量(Bw)の具体的な数値を、季節に応じて変更することも勿論可能である。洗浄選択生物付着量(Bw)の数値を適切な値とすることで、例えば、蠅の卵が幼虫又は成虫になるまでに要する期間、及び/又は、サカマキ貝の幼生が成貝になるまでに要する期間よりも短い期間で適切な洗浄方法に従う洗浄工程を実施することができ、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を効果的に抑制することが可能となる。
さらに、洗浄工程では、測定工程で測定した生物付着量(Bm)(例えば、上述したような空隙率を用いて測定した測定工程の実施時点でのろ材層30の空隙率(VRo)と所定の空隙率設定値(VRi)との差分)が、洗浄選択生物付着量(Bw)超の場合に、洗浄選択生物付着量(Bw)との差(Bd=Bm−Bw)に基づいて撹拌洗浄の際の洗浄強度を調節することが好ましい。図8に、Bm,Bw、及びBdの関係を、図5と同じ生物付着率と溶解性BOD除去量との関係を示すグラフに重ねて示す。なお、図8では、各種生物付着量及び差分は、空隙率に基づく生物付着量を意味する。
ここで、測定工程で測定した生物付着量(Bm)と洗浄選択生物付着量(Bw)との差分(Bm)−(Bw)=(Bd)を計算すると、差分(Bd)の値が大きい場合は、ろ材層を構成するろ材に付着した生物膜及び汚泥等の量が多く、ろ材層内に保持された微生物量が多いと判断することができる。従って、差分(Bd)の値が大きい場合には、Bdの値が小さい場合よりも、強力な撹拌処理を行って、強力な力でろ材から生物膜及び汚泥などを剥離することが好ましい。その一方で、差分(Bd)の値が小さい場合には、ろ材層内に保持された微生物量が比較的少なく、洗浄選択生物付着量(Bw)よりも僅かに多いのみと判断できるので、弱い撹拌処理を行って、緩やかな力でろ材からの生物膜及び汚泥の剥離処理を行うことが好ましい。
より具体的には、代表的な空気曝気による撹拌洗浄で説明すると、洗浄強度を空気流量(Q)と曝気時間(t)の積(Qt)で定義し、測定及び算出により得られた生物付着量の差分(Bd)の値に応じて(Qt)を調節することが好ましい。(Qt)を変えることによって、撹拌洗浄によって剥離される汚泥量を調節し、散水ろ床内に保持される微生物量を適切な範囲に調節することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。実施例にて用いた散水ろ床は、図1等を参照して説明した散水ろ床100と同様の構成を有するものであった。また、生物付着量は、上述したような、空隙率に基づく生物付着率(%)として測定した。
(実施例1)
水槽断面積56.25m2、ろ材充填高さ2.5mの散水ろ床に対して、都市下水を1100m3/日の流量で流入させて処理を行った。未使用のろ材の平均比重は、1.03(100個の個数平均値)であった。洗浄選択生物付着量(Bw)は、空隙率に基づく生物付着率で、10%に設定した。洗浄工程にてろ材を撹拌洗浄する際の曝気強度は0.25m3/m2・分で一定とした。また、洗浄工程では、以下の基準に従って、VRd:(測定工程の実施時点での生物付着率(%)−10%)の値に応じて、撹拌洗浄と浸漬洗浄とを切り替え、更に、撹拌洗浄を行う場合には、曝気時間を自動的に変えることとした。
VRd≧15%:曝気5分
10%≦VRd<15%:曝気3分
5%≦VRd<10%:曝気2分
0%≦VRd<5%:曝気1分
VRd<0%:浸漬洗浄(曝気0分)
実施例1の実施期間は、下水の有機物濃度が比較的高い時期であった。散水ろ床により処理して得られた処理水のBODを測定すると、12.3mg/Lであった。そこで、BODを測定した時点の直後に測定工程を行い、散水ろ床のろ材層について、空隙率に基づく生物付着量である生物付着率を測定すると、27.3%であった。そうすると、測定工程を実施した時点における生物付着率と、洗浄選択生物付着量(Bw)としての生物付着率10%との差は、17.3%となる。そこで、上記基準に従い、曝気時間を5分として、ろ材の撹拌洗浄を行った。洗浄工程の完了した1週間後に、処理水のBODを測定したところ、8mg/Lに低下していた。従って、上記洗浄工程において、曝気時間を5分とした撹拌洗浄を行ったことで、散水ろ床の水処理性能が向上したことが確認された。また、上記洗浄工程を行ったことで、洗浄前よりもろ床蠅及びサカマキ貝の発生数が明らかに少なく、ろ床蠅及びサカマキ貝の増殖が抑制されたことが確認された。
(実施例2)
実施例1と同じ散水ろ床を用い、実施例1と同じ基準に従って下水処理を行った。
実施例2の実施期間は、下水の有機物濃度が比較的低い時期であった。散水ろ床により処理して得られた処理水のBODを測定すると、9.8mg/Lであった。また、処理水についてアンモニア性窒素の濃度を測定すると、6.5mg/Lと、比較的低濃度であった。そして、BOD及びアンモニア性窒素の濃度を測定した時点の直後に測定工程を行い、散水ろ床のろ材層について、空隙率に基づく生物付着量である生物付着率を測定すると、8.8%であった。そうすると、測定工程を実施した時点における生物付着率と、洗浄選択生物付着量(Bw)としての生物付着率10%との差は、−1.2%となる。そこで、上記規準に従い、洗浄方法として浸漬洗浄を選択し、曝気は行わなかった。その結果、ろ材に付着した微生物の剥離及び流出が抑制され、洗浄後に次第に処理水質が向上し、1週間後には処理水のBODが7.4mg/Lに、処理水のアンモニア性窒素濃度が4.5mg/Lに低下した。また、上記洗浄工程を行ったことで、洗浄前よりもろ床蠅及びサカマキ貝の発生数が明らかに少なく、ろ床蠅及びサカマキ貝の増殖が抑制されたことが確認された。
本発明によれば、ろ材に対する生物付着量に応じて適切な方法でろ材の洗浄を行うことで、散水ろ床からのろ床蠅の幼虫及びサカマキ貝等の発生を抑制するとともに、散水ろ床の水処理能力を効果的に回復させることができる。
10 水槽
20 スクリーン
21 支柱
22 梁
30 ろ材層
31 ろ材
32 ろ材層上端面
40 曝気装置
50 散水機
51 流量計
52 被処理水弁
53 被処理水配管
60 配管
61 弁
70 連結管
71 水位計
80 ブロア
81 撹拌用空気配管
90 監視制御装置
100 散水ろ床

Claims (5)

  1. 複数のろ材よりなるろ材層を水槽内に有する散水ろ床の洗浄方法であって、
    前記ろ材に対する生物付着量(Bm)を測定する測定工程と、
    前記ろ材を洗浄する洗浄工程と、を含み、
    前記洗浄工程にて、前記生物付着量(Bm)が所定の洗浄選択生物付着量(Bw)超である場合に前記ろ材を撹拌洗浄し、前記生物付着量(Bm)が前記洗浄選択生物付着量(Bw)以下である場合に前記ろ材を浸漬洗浄する、
    散水ろ床の洗浄方法。
  2. 前記測定工程にて前記生物付着量(Bm)を測定するにあたり、前記ろ材層の空隙率(VRo)を測定し、所定の空隙率設定値(VRi)との差を求める、
    請求項1に記載の散水ろ床の洗浄方法。
  3. 前記測定工程にて、前記空隙率(VRo)を、前記ろ材層に対して洗浄液を流入させた場合の、前記ろ材層の所定区間への累積流入水量に基づいて測定する、請求項2に記載の散水ろ床の洗浄方法。
  4. 前記ろ材層の前記所定区間は、前記ろ材層の高さをHとした場合に、前記ろ材層の下端面からH/40以上H/10以下の高さ範囲に含まれる1つの測定開始高さ(Hs)と、前記ろ材層の上端面からH/40以上H/10以下の範囲に含まれる1つの測定終了高さ(He)とにより区画される、請求項3に記載の散水ろ床の洗浄方法。
  5. 前記洗浄工程にて、
    前記生物付着量(Bm)が前記洗浄選択生物付着量(Bw)超の場合に、洗浄選択生物付着量(Bw)との差(Bd=Bm−Bw)に基づいて前記撹拌洗浄の際の洗浄強度を調節することを含む、
    請求項1〜4の何れかに記載の散水ろ床の洗浄方法。
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