JP2019058860A - 散水ろ床の洗浄方法および散水ろ床 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、本発明において、「ろ材の平均比重」とは、生物膜が付着する前のろ材の平均比重を指す。そして、「ろ材の平均比重」は、数十個のろ材を、比重が既知である複数の溶液(溶液の比重は浮ひょう型比重計で測定)に順次投入して、各溶液におけるろ材の浮沈と個数から、ろ材の比重分布を求め、更に加重平均することにより求めることができる。なお、比重が既知である複数の溶液としては、特に限定されることなく、例えば比重が1より小さいアルコール水溶液(アルコール濃度が異なり比重も異なる複数の溶液)、比重が1である水、比重が1より大きい塩化ナトリウム水溶液(塩化ナトリウム濃度が異なり比重も異なる複数の溶液)などを用いることができる。
なお、本発明において、「ろ材の流動可能域比率」とは、水槽内に充填したろ材の嵩体積に対する充填したろ材に洗浄液を加えた体積の割合(={(充填したろ材の体積+貯留した洗浄液の体積)/(充填したろ材の嵩体積)}×100%)を指す。
なお、本発明において、「ろ材の平均比重」とは、生物膜が付着する前のろ材の平均比重を指し、前述した方法により測定することができる。
なお、本発明において、「ろ材の流動可能域比率」とは、水槽内に充填したろ材の嵩体積に対する充填したろ材に洗浄液を加えた体積の割合(={(充填したろ材の体積+貯留した洗浄液の体積)/(充填したろ材の嵩体積)}×100%)を指す。
本発明の散水ろ床の洗浄方法は、特に限定されることなく、下水や有機性排水などの被処理水の処理に用いられる散水ろ床を洗浄する際に用いることができる。
本発明の洗浄方法は、水槽内に所定のろ材よりなるろ材層を有し、且つ、水槽内に洗浄液を貯留する機構および洗浄液に浸漬したろ材を撹拌する機構を備えていれば、特に限定されることなく、任意の構造の散水ろ床に適用することができる。具体的には、本発明の洗浄方法は、特に限定されることなく、例えば後述する本発明の散水ろ床に対して好適に適用することができる。
ここで、本発明の洗浄方法を用いて洗浄される散水ろ床のろ材層を構成する複数のろ材は、平均比重が1超1.15以下であることを必要とする。ろ材の平均比重が1以下または1.15超の場合には、洗浄時にろ材を良好に流動させることができず、散水ろ床を効率的に洗浄することができない。
なお、洗浄時にろ材を更に良好に流動させて散水ろ床を更に効率的に洗浄する観点からは、ろ材の平均比重は、1.10以下であることが好ましく、1.05以下であることがより好ましい。
本発明の洗浄方法の洗浄工程では、水槽内に洗浄液を貯留してろ材を洗浄液に浸漬すると共に洗浄液に浸漬したろ材を撹拌洗浄する。その結果、過剰な生物膜や汚泥、蠅の卵および幼虫、並びに、貝およびその卵等が散水ろ床から排除される。
そして、洗浄液としては、特に限定されることなく、例えば、被処理水、中水、河川水、水道水または工業用水を使用することができる。中でも、コスト低減および散水ろ床の構造の簡素化の観点からは、被処理水を洗浄液として用いることが好ましい。
洗浄液に浸漬されたろ材の撹拌は、特に限定されることなく、撹拌機や曝気装置などの装置を用いて水槽内に水流を発生させることにより行うことができる。
本発明の散水ろ床は、特に限定されることなく、下水や有機性排水などの被処理水の処理に用いられる。そして、本発明の散水ろ床では、被処理水の処理と、上述した本発明の散水ろ床の洗浄方法を用いた散水ろ床の洗浄とを交互に繰り返して実施することにより、処理機能の低下を抑制しつつ被処理水を良好に処理することができる。
そして、本発明の散水ろ床は、その一例の散水ろ床100の概略構成を図1に示すように、水槽10と、水槽10内に設置されたろ材層30と、ろ材層30の上方から水槽10内に被処理水を散布する散水機50と、水槽10内のろ材層30の下方に設置された曝気装置40と、ろ材層30よりも下方で水槽10の下部に接続された配管60とを備えている。
なお、洗浄時にろ材31を更に良好に流動させて散水ろ床100を更に効率的に洗浄する観点からは、ろ材31の平均比重は、1.10以下であることが好ましく、1.05以下であることがより好ましい。
なお、この一例では散水機50を用いて洗浄液としての被処理水を貯留できるようにしたが、本発明の散水ろ床では、河川水、中水、水道水または工業用水等を水槽内に供給する配管を設置し、河川水、中水、水道水または工業用水等を洗浄液として用いてもよい。
なお、この一例では装置構成の簡素化の観点から曝気装置40を用いてろ材31を撹拌洗浄できるようにしたが、本発明の散水ろ床では、撹拌機などを撹拌機構として用いてもよい。また、散水ろ床100では、スクリーン20の上側(スクリーン20とろ材層30との間)に曝気装置40を設置したが、本発明の散水ろ床では、曝気装置40はスクリーン20の下側(例えば、図1に破線で示す位置)に設けてもよい。但し、ろ材31を更に良好に流動させる観点からは、曝気装置40はスクリーン20の上側に設置することが好ましい。
なお、散水ろ床100の洗浄により生じた洗浄排水は、洗浄終了後に弁61を開いて外部へと排出することができる。
以上、一例を用いて本発明の散水ろ床について説明したが、本発明の散水ろ床は上述した構成に限定されるものではない。
具体的には、本発明の散水ろ床は、特に限定されることなく、例えば図5に示すような構成を有していてもよい。
なお、以下では、散水ろ床100と同様の構成については説明を省略する。
ここで、散水ろ床100Aでは、ろ材31の流出を防止する観点から水槽と配管との接続部にスクリーンを設けてもよい。また、処理水用配管62および洗浄排水用配管64は水槽10の下部に別々に設けてもよい。更に、散水ろ床100の底部には、処理水用配管62に繋がる溝であってろ材31が通過しない網目の大きさのスクリーンにて蓋がされたものを設けて処理水の排出をより容易にしてもよい。
水槽として、図6に示すような、弁44を有する空気流入配管43が底部に接続されている透明塩化ビニル樹脂製の円筒形水槽10(内径0.2m×高さ3.0m)を準備し、プラスチック製の円筒形ろ材(外径15mm×高さ15mm)を高さが2mとなるように充填し、散水ろ床100Bを形成した。
なお、ろ材の平均比重は、実施例1では1.002とし、実施例2では1.019とし、実施例3では1.037とし、実施例4では1.042とし、比較例1では0.900とした。
そして、図6(a)に示すように、ろ材の流動可能域比率が110%になるように洗浄用水を水槽10内に満たし、曝気強度0.25m3/m2・分で空気を曝気して、ろ材の流動状態を観察した。
具体的には、各実施例および比較例において、ろ材が良好に流動している領域30Aと、ろ材が流動していない領域30Bとの割合(流動率={30Aの高さ/(30Aの高さ+30Bの高さ)}×100%)を算出した。
そして、結果を図7(a)にプロットした。流動率が大きいほど、ろ材が良好に撹拌洗浄されていることを示す。
ろ材の流動可能域比率が120%になるように洗浄用水を水槽10内に満たした以外は実施例1〜4および比較例1と同様にして、ろ材の流動状態の観察および流動率の算出を行った。
なお、ろ材の平均比重は、実施例5では1.002とし、実施例6では1.019とし、実施例7では1.037とし、実施例8では1.042とし、比較例2では0.900とした。
そして、結果を図7(b)にプロットした。
曝気強度を0.5m3/m2・分に変更した以外は実施例1〜4および比較例1と同様にして、ろ材の流動状態の観察および流動率の算出を行った。
なお、ろ材の平均比重は、実施例9では1.002とし、実施例10では1.019とし、実施例11では1.037とし、実施例12では1.042とし、比較例3では0.900とした。
そして、結果を図8(a)にプロットした。
曝気強度を0.5m3/m2・分に変更した以外は実施例5〜8および比較例2と同様にして、ろ材の流動状態の観察および流動率の算出を行った。
なお、ろ材の平均比重は、実施例13では1.002とし、実施例14では1.019とし、実施例15では1.037とし、実施例16では1.042とし、比較例4では0.900とした。
そして、結果を図8(b)にプロットした。
曝気強度を1.5m3/m2・分に変更した以外は実施例1〜4および比較例1と同様にして、ろ材の流動状態の観察および流動率の算出を行った。
なお、ろ材の平均比重は、実施例17では1.002とし、実施例18では1.019とし、実施例19では1.037とし、実施例20では1.042とし、実施例21では1.100とし、比較例5では0.900とした。
そして、結果を図9(a)にプロットした。
曝気強度を1.5m3/m2・分に変更した以外は実施例5〜8および比較例2と同様にして、ろ材の流動状態の観察および流動率の算出を行った。
なお、ろ材の平均比重は、実施例22では1.002とし、実施例23では1.019とし、実施例24では1.037とし、実施例25では1.042とし、実施例26では1.100とし、比較例6では0.900とした。
そして、結果を図9(b)にプロットした。
図1に示す散水ろ床100を使用し、曝気装置40の設置位置がろ材の流動性に与える影響について検討を行った。
具体的には、スクリーン20の上側(位置A)に曝気装置を設置した場合(実施例27)と、スクリーン20の下側(位置B)に曝気装置を設置した場合(実施例28)とのそれぞれについて、ろ材の流動可能域比率が110%となるように洗浄液を貯留して曝気(曝気風量:0.25m3/m2・分、0.5m3/m2・分、1.5m3/m2・分)した際のろ材の移動速度を測定し、結果を図10にプロットした。
なお、ろ材の移動速度は、水槽の水面にフロートを浮かべ、フロートの移動速度を測定することにより求めた。また、使用した水槽10の寸法は、縦2.2m×横0.45m×深さ3.8m(容積3.8m3)とし、ろ材の充填高さは2.5mとした。更に、ろ材としては、外径15mm×高さ15mmで、比重が1.037の円筒形ろ材を使用した。
図1に示す散水ろ床100を使用し、ろ材の流動可能域比率がろ材の流動性に与える影響について検討を行った。
具体的には、曝気風量0.25m3/m2・分(実施例29)と、曝気風量:0.5m3/m2・分(実施例30)とのそれぞれについて、ろ材の流動可能域比率が100%、105%、110%、120%、130%、140%となるように洗浄液を貯留して曝気した際のろ材の移動速度を測定し、結果を図11にプロットした。
なお、ろ材の移動速度は、水槽の水面にフロートを浮かべ、フロートの移動速度を測定することにより求めた。また、使用した水槽10の寸法は、縦2.2m×横0.45m×深さ3.8m(容積3.8m3)とし、ろ材の充填高さは2.5mとした。更に、ろ材としては、外径15mm×高さ15mmで、比重が1.037の円筒形ろ材を使用した。
図1に示す散水ろ床100を使用し、曝気風量がろ材の流動性に与える影響について検討を行った。
具体的には、ろ材の流動可能域比率が110%(実施例31)または120%(実施例32)になるように洗浄液を貯留し、曝気風量を0.125m3/m2・分、0.25m3/m2・分、0.5m3/m2・分、1.5m3/m2・分、2m3/m2・分、2.5m3/m2・分にして曝気した際のろ材の移動速度を測定し、結果を図12にプロットした。
なお、ろ材の移動速度は、水槽の水面にフロートを浮かべ、フロートの移動速度を測定することにより求めた。また、使用した水槽10の寸法は、縦2.2m×横0.45m×深さ3.8m(容積3.8m3)とし、ろ材の充填高さは2.5mとした。更に、ろ材としては、外径15mm×高さ15mmで、比重が1.037の円筒形ろ材を使用した。
10 水槽
20 スクリーン
21 支柱
22 梁
30 ろ材層
30A,30B 領域
31 ろ材
40 曝気装置
41 ブロア
42 流量計
43 空気流入配管
44 弁
50 散水機
51 弁
52 水位計
60 配管
61 弁
62 処理水用配管
63 処理水弁
64 洗浄排水用配管
65 洗浄排水弁
Claims (7)
- 複数のろ材よりなるろ材層を水槽内に有する散水ろ床の洗浄方法であって、
前記水槽内に洗浄液を貯留し、前記洗浄液に浸漬した前記ろ材を撹拌洗浄する洗浄工程を含み、
前記ろ材の平均比重が1超1.15以下である、散水ろ床の洗浄方法。 - 前記洗浄工程では、曝気により前記ろ材を撹拌し、
前記曝気の風量を、0.25m3/m2・分以上1.5m3/m2・分以下とする、請求項1に記載の散水ろ床の洗浄方法。 - 前記洗浄工程では、前記ろ材の流動可能域比率が110%以上130%以下となるように前記洗浄液を貯留する、請求項1または2に記載の散水ろ床の洗浄方法。
- 複数のろ材よりなるろ材層を水槽内に有する散水ろ床であって、
前記水槽内に洗浄液を貯留する洗浄液貯留機構と、
前記洗浄液に浸漬した前記ろ材を撹拌洗浄する撹拌機構と、
を備え、
前記ろ材の平均比重が1超1.15以下である、散水ろ床。 - 前記撹拌機構は、曝気により前記ろ材を撹拌し、
前記曝気の風量を0.25m3/m2・分以上1.5m3/m2・分以下とする制御装置を更に備える、請求項4に記載の散水ろ床。 - 前記洗浄液を貯留した際に前記ろ材の流動可能域比率が110%以上130%以下となるように前記洗浄液貯留機構を制御する制御装置を更に備える、請求項4または5に記載の散水ろ床。
- 前記ろ材が前記水槽の底面で支持されている、請求項4〜6の何れかに記載の散水ろ床。
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