JP2019172899A - 熱膨張性マイクロカプセル - Google Patents
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Abstract
Description
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られている。例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
しかしながら、熱膨張性マイクロカプセルに、これらの添加剤成分に起因する微量のイオンが不純物として残留することによって、当該熱膨張性マイクロカプセルを使用して作製される成型体に種々の問題が引き起こされることが明らかになった。
また、自動車の部材は軽量化志向が強く、シール材、UBC等の様々な部位に熱膨張性マイクロカプセルを含む成型体が使用されているが、成型体にイオン不純物が含まれていると、他の金属部品と接することで錆が誘発されるという問題もあった。
更に、熱膨張性マイクロカプセルを含む粘着剤は、電子部品の製造プロセスの中で熱剥離性を付与する目的で使用されるが、イオン不純物が多く含まれると腐食を誘発し、電子回路の劣化や回路不良につながるという問題があった。
従って、優れた耐熱性と発泡倍率を有し、ナトリウムイオンや塩素イオン等のイオン不純物の含有量が少ない熱膨張性マイクロカプセルが必要とされていた。
以下、本発明を詳述する。
このような方法では、比較的簡単にイオン性不純物が取り除かれると考えられるが、シェルを構成するモノマー組成物がイオンと反応するモノマー(酸モノマー等)を含まないため、得られる熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性が不充分なものとなっていた。
これに対して、本発明者らは鋭意検討した結果、重合性モノマー(I)、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)、架橋性モノマー(III)及び金属含有化合物を含有し、かつ、各成分の比率を所定の範囲内とした場合、高温度域において安定した発泡性能を実現することができ、発泡倍率が高くなることを見出した。
また、このような熱膨張性マイクロカプセルは、金属劣化防止性が高く、腐食や錆を避ける種々の用途に好適に使用するこが可能な熱膨張性マイクロカプセルが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記重合性モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
具体的には例えば、不飽和ジカルボン酸やその無水物又は不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記不飽和ジカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等が挙げられる。
上記不飽和ジカルボン酸のモノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等が挙げられる。
これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
上記ジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。更に、重量平均分子量が200〜600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを用いてもよい。
上記3官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、上記4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性のものや、ポリエチレングリコール等の2官能性の(メタ)アクリレートが、アクリロニトリルを主体としたシェルには比較的均一に架橋が施される。
なかでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、特に、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル類、又は、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル等の脂環・芳香環・複素環含有メタクリル酸エステル類が好ましい。
上記金属含有化合物を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン架橋が起こることから、架橋効率が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン架橋が起こることによって、熱膨張性マイクロカプセルの粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへ転化時において、熱膨張性マイクロカプセルの体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記金属カチオン塩の金属カチオンとしては、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)と反応してイオン架橋させる金属カチオンであれば、特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Zn、Mg、Ca、Ba、Sr、Mn、Al、Ti、Ru、Fe、Ni、Cu、Cs、Sn、Cr、Pb等のイオンが挙げられる。これらのなかでは、2〜3価の金属カチオンであるCa、Zn、Alのイオンが好ましく、特にZnのイオンが好適である。
また、上記金属カチオン塩としては、上述の金属カチオンのハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられる。
これらの金属カチオン塩は、単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。
具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル等が挙げられる。
また、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
また、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
更に、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
加えて、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物等が挙げられる。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル、イソオクタン、オクタン、デカン、イソドデカン、ドデカン、ヘキサンデカン等の低分子量炭化水素等が挙げられる。
また、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、イソオクタン、イソドデカン及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状となる熱分解型化合物を用いてもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
電気伝導度を2.15mS/m未満とすることで、イオン性不純物の含有量を低減することができる。
また、上記電気伝導度は2.00mS/m未満であることが好ましい。上記電気伝導度の下限は特に規定されないが0.001mS/m以上とすることが好ましい。
なお、上記電気伝導度は、熱膨張性マイクロカプセル1gをイオン交換水1kgに添加し、60℃の水浴で1時間加熱した後、25℃まで空冷したろ液を電気伝導度計で測定することで得られる。
なお、熱膨張性マイクロカプセルのナトリウムイオン含有量は、ICPで測定することができる。
また、熱膨張性マイクロカプセルの塩素イオン含有量は、熱膨張性マイクロカプセル1mgを純水1mlに分散し、100℃で1時間抽出したのち、一晩静置し、得られた抽出水をフィルター濾過後、イオンクロマトグラフによる塩素イオン含有量を定量し、熱膨張性マイクロカプセル1gあたりのイオン含有量(mg/g)を算出する方法で測定する。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
上記モノマー組成物としては、上述した重合性モノマー(I)40〜90重量%と、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5〜50重量%と、上記架橋性モノマー(III)0.1〜1.0重量%と、金属含有化合物をモノマーの合計量に対して0.1〜10重量%を含有するものを用いることができる。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
具体的には、重合性モノマー(I)40〜90重量%と、ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5〜50重量%と、架橋性モノマー(III)0.1〜1.0重量%と、金属含有化合物をモノマーの合計量に対して0.1〜10重量%を含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。この工程では、モノマー組成物及び揮発性膨張剤を別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合し油性混合液としてから、水性分散媒体に添加する。この際、油性混合液と水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加しても良い。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
上記洗浄工程を行うことで、特に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を除去することが可能となる。その結果、上記電気伝導度が2.15mS/m未満、ナトリウムイオン含有量が0.6重量%未満、及び、塩素イオン含有量が0.3重量%未満を達成することが可能となる。
上記洗浄工程としては、例えば、浸漬洗浄、流水洗浄、シャワー洗浄方法等が挙げられ、さらにはこれらと超音波や揺動を合わせた洗浄方法等を適用することができる。
また、上記洗浄工程は、脱水工程と併用して行うことで生産効率を向上させることが可能となる。具体的には以下の方法が挙げられる。
圧搾脱水機で供給されたスラリーをウエットケーキにした後に所定量の洗浄水(イオン交換水が望ましい)を脱水機内に供給し再度、圧搾する。再度、洗浄水を供給し圧搾する。この工程を数回繰り返す。ここで脱水機に供給するスラリー量と洗浄水の量や比率及び洗浄回数が塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を除去する上で重要となる。
この工程を経ることで、無機塩を除去することが可能となり、半導体用途や自動車部材用途(成形用途)における設備の腐食を防止することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡用組成物は、塗料、粘着剤、インクとして使用することができる。なお、本発明の熱膨張性マイクロカプセルを含有する熱剥離性粘着層を基材に積層することで半導体用熱剥離テープとしても用いることができる。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
固形分20重量%のコロイダルシリカ130重量部、ポリビニルピロリドン6重量部、塩化ナトリウム640重量部をイオン交換水2,000重量部に加え混合した後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル19.9重量部、メタクリロニトリル29.9重量部、メタクリル酸29.9重量部、メタクリル酸メチル19.9重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.4重量部、水酸化亜鉛0.25重量部を混合して均一溶液のモノマー組成物とした。これに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)10重量部、イソペンタン14重量部及びイソオクタン10重量部を添加してオートクレーブ中に仕込み混合した。
その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、10分間1,000rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で15時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は200rpmで行った。
その後、得られた重合スラリー170Lを圧搾脱水装置(石垣社製、フィルタープレス)に供給し、脱水した後に洗浄水800Lを脱水機に供給し、この操作を19回繰り返して洗浄工程を行った後、乾燥させて、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、水酸化亜鉛、コロイダルシリカを表1に示す組成で混合し、モノマー組成物とした後、表1に示すスラリー量、洗浄水量で洗浄工程を行った以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。
なお、実施例5、比較例4では、イソペンタン14重量部及びイソオクタン10重量部に代えて、n−ペンタン24重量部を添加した。
また、比較例2では、トリメチロールプロパントリメタクリレートに代えて、金属キレート化合物(チタンキレート化合物、マツモトファインケミカル社製)を添加した。
アクリル酸2−エチルヘキシル29重量部、アクリル酸メチル67重量部、メタクリル酸メチル5重量部をトルエン溶媒下で重合したアクリル系共重合体(重量平均分子量50万)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤を調製した。
得られたアクリル系粘着剤100重量部にポリウレタン系架橋剤2重量部、実施例1で得られた熱膨張性マイクロカプセル30重量部を添加し、粘着剤組成物を得た。この粘着性組成物を厚さ100μmのポリエステルフィルム上に乾燥後の粘着剤組成物層の厚みが50μmになるように塗布し、乾燥させて熱剥離シートを作製した。
表2に示す熱膨張性マイクロカプセルを使用した以外は、実施例6と同様にして熱剥離シートを作製した。
得られた熱膨張性マイクロカプセル及び熱剥離シートの性能を以下の方法で評価した。結果を表1及び2に示した。
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−950、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
得られた熱膨張性マイクロカプセル1gをイオン交換水1kgに添加し、分散液を作製した。分散液を60℃の水浴で一時間加熱抽出した。加熱後の分散液をろ紙濾過後、25℃まで空冷し、得られたろ液について、電気伝導度計(東亜社製、DKKECメーターCM−31P)を用いて電気伝導度を測定した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルを硫酸及び硝酸にて湿式分解した後、ICP−AES(アジレント・テクノロジー社製)を用いてナトリウムイオン含有量を測定した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルの1mg/mL水溶液を調製した。その後、100℃で30分加熱して一晩静置した。得られた抽出水をフィルター濾過した後、イオンクロマトグラフィー(島津製作所社製、HIC−SP サプレッサイオンクロマトグラフ)を用いて塩素イオン含有量を測定した。
得られた熱剥離シートをアルミニウム蒸着シリコンウェハ及び銅版に取り付けて、温度40℃、相対湿度92%の環境下で7日間放置し、190℃で1分間加熱した後、シートを剥離し、それぞれの表面の腐食度合いを目視で観察した。少しでも腐食がみられたものを「腐食あり」と判定した。結果を表2に示した。
なお、本評価は、水での抽出を行わないため、対象物と直接接触した場合の腐食防止性を確認することができる。
Claims (2)
- 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包された熱膨張性マイクロカプセルであって、
前記シェルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及び塩化ビニリデンから選択される少なくとも1種からなる重合性モノマー(I)40〜90重量%と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)5〜50重量%と、分子内に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマー(III)0.1〜1.0重量%と、金属含有化合物をモノマーの合計量に対して0.1〜10重量%を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなり、
最大発泡温度が190℃以上、電気伝導度が2.15mS/m未満である
ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。 - 体積平均粒子径が5〜40μmであることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
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