JP2007197684A - 発泡成形体及び発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】独立気泡を均一に有する発泡成形体であって、セル径が60〜120μm、比重が0.6g/ml以下、及び、表面粗度が4μm以下であることを特徴とする発泡成形体。
【選択図】なし
Description
しかしながら、加熱分解した化学発泡剤はどうしても分解ガスと同時に発泡残査を生じ、成形体に残った残査が成形体の接着性能に影響を与えることがあった。また、化学発泡剤を使用すると、全てが独立気泡とはならず、どうしても連続気泡となる部分が生じてしまい気密性が非常に高い発泡成形体を得ることが難しいといった問題点があった。
この独立気泡にならない理由として、樹脂の粘度が低すぎる為に、分解ガスの発泡力が、樹脂の溶融張力を超えてしまい樹脂のセル壁が破れてしまうことが原因である。その為、特に射出成形法に適用しようとする場合においては、樹脂の温度を下げ、その粘度を高める為に、樹脂を金型内に充填した後にその樹脂を冷却させる 「金型解放前冷却時間」が必要であった。
また、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤をマイクロカプセル化した熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類またはアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが特許文献3に開示されている。
更に、ニトリル系モノマーを85重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマーの単独重合体もしくは共重合体からなるシェルポリマーとイソオクタンを50重量%以上含有する発泡剤とからなる熱膨張性マイクロカプセルが特許文献4に開示されている。
以下に本発明を詳述する。
60μm未満であると、セルが小さすぎて、断熱性、軽量化等の発泡成形体に求められる諸性能を満足させることができず、120μmを超えると、セルが大きすぎて、発泡成形体の強度が低下する。好ましい下限は70μm、好ましい上限は100μmである。
なお、上記セル径は、発泡成形体の任意の箇所に存在する気泡の平均最大径のことであり、例えば、発泡体成形体の断面を顕微鏡等で観察して、観察された気泡の最大径の平均値を算出することにより求めることができる。
上記比重は、例えば、JIS K 7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定することができる。
上記表皮材としては、レザー、樹脂フィルム、織布、不織布等が挙げられる。また、上記表皮材として、本革や、石や木等から転写した凹凸を付したシリコーンスタンパ等を用いて、表面に皮目や木目模様等の意匠が施された複合成形体としてもよく、更にその表面に骨材となる硬質発泡層を形成して3層構造の複合形成体としてもよい。
また、上記表皮材として金属を用い、この金属に対して、マトリックス樹脂と熱膨張性マイクロカプセルとを含有する組成物を射出成形することで、金属一体成形型金属/樹脂ハイブリッド成形体とすることができる。なお、本発明においては、リサイクル等の観点から、発泡成形体からなる発泡層と表皮材からなる表皮層とは同系統の熱可塑性エラストマーで構成されるのが好ましい。
上記自動車用部材としては、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル(インパネ)等の内装材成形体、バンパー等のボディ材等が挙げられる。また、靴底等に用いることもできる。
本発明1の発泡成形体の製造方法は、射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、マトリックス樹脂と、発泡開始温度が160〜180℃である熱膨張性マイクロカプセルとを、前記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度以上の温度に加熱し、溶融混合物を作製する溶融混練工程と、前記溶融混合物を金型内に充填した後、金型を開放することにより、前記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる発泡工程を有し、前記発泡工程において、前記溶融混合物の充填完了から、金型を開放するまでの時間を2〜4秒とする方法である。
本発明2の発泡成形体の製造方法は、射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、マトリックス樹脂と、発泡開始温度が190〜210℃である熱膨張性マイクロカプセルとを、前記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度以上の温度に加熱し、溶融混合物を作製する溶融混練工程と、前記溶融混合物を金型内に充填した後、金型を開放することにより、前記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる発泡工程を有し、前記発泡工程において、前記溶融混合物の充填完了から、金型を開放するまでの時間を1秒以下とする方法である。
そして、本発明者らは更に鋭意検討した結果、熱膨張性マイクロカプセルとして発泡開始温度が所定範囲内のものを用い、かつ、溶融混合物の充填完了から金型開放までの時間を所定の範囲内とすることで、必要以上に厚いスキン層が形成されることなく、熱膨張性マイクロカプセルの発泡が均一に行われることにより、発泡倍率及び機械的強度が高く、優れた外観を有する発泡成形体が得られることを見出し、本発明の発泡成形体の製造方法を完成させるに至った。
本発明1の発泡成形体の製造方法では、上記範囲の発泡開始温度を有する熱膨張性マイクロカプセルを用いつつ、後述するように型開遅延時間を所定時間とすることで、発泡倍率が高く、優れた外観を有する発泡成形体を得ることができる。
上記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度の好ましい下限は165℃、好ましい上限は175℃である。
190℃未満であると、シリンダー内で熱膨張性マイクロカプセルのへたりが生じてしまうことから、発泡倍率の低下が生じることがある。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
このようなビニル系モノマー組成物及び揮発性膨張剤を用いることで、上述した範囲の Dmax、Tmax及びTsを有する熱膨張性マイクロカプセルを実現することができる。
より好ましい下限は70重量%、好ましい上限は80重量%である。
より好ましい上限は30重量%、好ましい下限は20重量%である。
なお、上記金属カチオンを2種以上用いる場合の組み合わせとしては特に限定されないが、アルカリ金属のイオンと上記アルカリ金属以外の金属カチオンとを組み合わせて用いることが好ましい。上記アルカリ金属のイオンを有することにより、ビニル系モノマー等の官能基が活性化され、上記アルカリ金属以外の金属カチオンと上記カルボキシル基との反応を促進させることができる。上記アルカリ金属としては、例えば、Na、K、Li等が挙げられる。
上記架橋剤としては特に限定はされず、一般的にはラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーが好適に用いられる。具体例には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでは、200℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいので、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等の2官能性架橋剤が好しく、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート等の3官能性架橋剤がより好ましい。
ただし、このようなセグメントの含有量は10重量%未満であることが好ましい。10重量%以上であると、シェルのガスバリア性が低下してしまうことがある。
上記架橋度は、架橋剤による共有結合性架橋と、上記共重合体の有する遊離カルボキシル基と上記金属カチオンとによってイオン架橋された架橋の双方を含む。
なお、上記熱膨張性マイクロカプセルでは、上記共重合体の有する遊離カルボキシル基の一部又は全部がイオン化して、カルボキシルアニオンとなり、上記金属カチオンをカウンターカチオンとしてイオン結合を形成することから、上記金属カチオンの含有量によって架橋度を容易に調節することができる。
また、上記イオン架橋は、例えば、赤外吸収スペクトル測定を行った場合に、1500〜1600cm−1付近にCOO−の非対称伸縮運動による吸収が存在することにより確認することができる。
なお、上記中和度は、上記共重合体の有する遊離カルボキシル基のうち、上記金属カチオンが結合したカルボキシル基の割合を表す。
上記金属カチオンは、シェルを構成する共重合体のカルボキシル基と反応して共重合体がイオン架橋していると考えられることから、耐熱性が向上し、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセルとすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセルの破裂、収縮が起こることがない。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質が好ましく、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の低分子量炭化水素;CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、60℃以上の沸点を有する炭化水素は、それぞれ単独で用いてもよく、沸点が60℃未満の炭化水素と組み合わせて用いてもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
また、Zn(OH)2は水溶性が低く、添加によって所望のイオン架橋を得ることができないことがあるが、このような方法を用いることで、例えば、NaOHを添加した後、水溶液の高いZnCl2を添加することにより、Zn(OH)2を添加した場合と同様の効果を得ることができる。
なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、熱膨張マイクロカプセル等の発泡剤を添加した後、更に混練することにより得られる混練物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチペレットとする方法等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
ここで、上記発泡工程における充填方法、発泡方法等の一例を図1に示す。
上記発泡工程では、まず、金型の固定側であるキャビティ側に形成されたスプルー1より、熱膨張性マイクロカプセルとマトリックス樹脂との溶融混合物を充填する(図1(a))。
次に、溶融混合物の充填を完了した(図1(b))後、コア2を引く(コアバック)ことより、金型内を開放する(図1(c))。
次いで、溶融混合物の内部を含まれる熱膨張性マイクロカプセルを発泡させた(図1(d))後、マトリックス樹脂を固化させる(図1(e))ことにより、発泡成形体を作製する。本発明1の発泡成形体の製造方法では、熱膨張性マイクロカプセルがあたかも風船のような役割を果たすため、化学発泡剤を用いた発泡成形体の成形において問題となるマトリックス樹脂の溶融張力について考慮する必要がなく、溶融混合物を充填後、即座に金型解放することができる。
本発明1の発泡成形体の製造方法では、発泡開始温度が160〜180℃である熱膨張性マイクロカプセルを使用し、更に型開遅延時間を2〜4秒とすることで、必要以上に厚いスキン層が形成されることなく、熱膨張性マイクロカプセルの発泡が均一に行われるため、発泡倍率が高く、かつ、所望のスキン層が形成され、成形品表面で発泡が抑制されることから優れた外観を有する発泡成形体が得られる。
また、発泡時に熱発泡性マイクロカプセルが風船のような役割を果たし、直ちにガスが発生しないことから、化学発泡剤を用いて成形を行う場合と異なり、樹脂の溶融粘度が低くてもよい。
上記型開遅延時間が2秒未満であると、得られる発泡成形体の表面が粗くなり、外観に劣るものとなる。4秒を超えると、必要以上に厚いスキン層が形成され、熱膨張性マイクロカプセルが未発泡状態となってしまう。
好ましい下限は195℃、好ましい上限は205℃である。
210℃未満であると、シリンダー内で熱膨張性マイクロカプセルのへたりが生じてしまうことから、発泡倍率の低下が生じることがある。
本発明2の発泡成形体の製造方法では、発泡開始温度が190〜210℃である熱膨張性マイクロカプセルを使用する場合であっても、型開遅延時間を1秒以下とすることで、必要以上に厚いスキン層が形成されることなく、熱膨張性マイクロカプセルの発泡が均一に行われることにより、発泡倍率が高く、かつ、所望のスキン層が形成され、成形品表面で発泡が抑制されることから優れた外観を有する発泡成形体が得られる。
また、発泡時に熱発泡性マイクロカプセルが風船のような役割を果たし、直ちにガスが発生しないことから、化学発泡剤を用いて成形を行う場合と異なり、樹脂の溶融粘度が低くてもよい。
上記型開遅延時間が1秒を超えると、必要以上に厚いスキン層が形成され、熱膨張性マイクロカプセルが未発泡状態となってしまう。好ましい上限は0.5秒である。なお、上記型開遅延時間の下限については特に限定されないが、機械的な制約から現実的には0.01秒程度である。
上記検知手段によって得られた信号により、上記制御手段や金型解放手段として、射出成形機の機構をそのまま用いることにより、型開遅延時間を1秒以下とすることができる。
ただし、揮発性膨張剤については、2種以上用い、沸点が最も低い揮発性膨張剤と、沸点が最も高い揮発性膨張剤との沸点の差が60℃以上であるものを用いることが好ましい。これにより、シリンダー内での熱膨張性マイクロカプセルのへたり防止と、金型内での発泡性とを両立させることが可能となる。これらの組み合わせとしては、例えば、イソペンタンとイソオクタンとの組み合わせ等が挙げられる。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
重合反応容器に、水8Lと、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)10重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量のモノマー、架橋剤、揮発性膨張剤及び重合開始剤からなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加し、更に表1に示した配合量の金属カチオン供給体を添加することにより、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセル1〜8を得た。
粉体状及びペレット状の低密度ポリエチレン100重量部と、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド0.2重量部とをバンバリーミキサーで混練し、約140℃になったところで得られた熱膨張性マイクロカプセルを50重量部を添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。
得られたマスターバッチ5重量部と、ポリプロピレン樹脂100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを電動射出成形機(日本製鋼所社製、J180AD)のホッパーから供給して溶融混練し、射出成形を行い、板状の成形体を得た。なお、上記電動射出成形機は、充填量を逐次検知する検知機、その信号を受け、金型の解放を制御するコンピューター及び該コンピューターと連動して金型を開放する機構を有している。
成形条件は、シリンダー温度:200℃、射出速度:60mm/secとし、型開遅延時間、金型温度については、表2に示す温度とした。
なお、電動射出成形機において設定した型開遅延時間と、実際の型開遅延時間とでは、多少のずれが生ずることから、型開遅延時間については設定時間に加えて実測時間も記載し、型開遅延時間としては実測時間の数値を用いた。
マスターバッチに代えて化学発泡剤を使用し、化学発泡剤5重量部とポリプロピレン樹脂100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を作製した。なお、型開遅延時間、金型温度については表2に示す時間、温度とした。
実施例1〜8及び比較例1〜19で得られた熱膨張性マイクロカプセル、並びに、実施例1〜8及び比較例1〜23で得られた成形体について、以下の評価を行った。結果を表1〜2に示した。
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
(2−1)発泡倍率
発泡後の成形体の板厚を発泡前の成形体の板厚で除した値を算出し、発泡倍率とした。
得られた発泡成形体の断面を二次電子反射式顕微鏡(商品名「JSM−5800LV」、JOEL社製)で観察して、観察された発泡セル50個の平均径をセル径(μm)とした。
得られた成形体の比重をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
得られた成形体の表面状態について、最大山高さを表面粗さ形状測定機(サーフコム130A/480A(株式会社東京精密製))を用いJIS B 0601に準拠した方法で測定した。
得られた発泡成形体の表面におけるシルバーストリークの有無を目視にて観察した。
SEM装置を用い、倍率で成形体断面の気泡状態を観察した。
比較例3〜4は、実施例1〜2と同様の熱膨張性マイクロカプセルを用い、型開遅延時間を短くした場合であるが、得られる発泡成形体は、発泡倍率は高い値を示すものの、表面外観が著しく悪かった。比較例5〜6は、実施例5〜6と同様の熱膨張性マイクロカプセルを用い、型開遅延時間を短くした場合であるが、外観品質は良好であったが、発泡倍率は低い値を示した。
また、比較例7〜19に示す、熱膨張性マイクロカプセルと型開遅延時間との組み合わせで発泡成形体を製造した場合、発泡倍率及び外観品質向上を双方とも満たすことは出来なかった。比較例20〜23は、化学発泡剤を使用した場合であるが、型開遅延時間(設定値)を0、1、2、4秒としても、得られる発泡成形体は、表面外観が悪く、断面セル状態も連続気泡であった。
Claims (5)
- 独立気泡を均一に有する発泡成形体であって、セル径が60〜120μm、比重が0.6g/ml以下、及び、表面粗度が4μm以下であることを特徴とする発泡成形体。
- 射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、
マトリックス樹脂と、発泡開始温度が160〜180℃である熱膨張性マイクロカプセルとを、前記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度以上の温度に加熱し、溶融混合物を作製する溶融混練工程と、
前記溶融混合物を金型内に充填した後、金型を開放することにより、前記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる発泡工程を有し、
前記発泡工程において、前記溶融混合物の充填完了から、金型を開放するまでの時間を2〜4秒とすることを特徴とする発泡成形体の製造方法。 - 射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、
マトリックス樹脂と、発泡開始温度が190〜210℃である熱膨張性マイクロカプセルとを、前記熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度以上の温度に加熱し、溶融混合物を作製する溶融混練工程と、
前記溶融混合物を金型内に充填した後、金型を開放することにより、前記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる発泡工程を有し、
前記発泡工程において、前記溶融混合物の充填完了から、金型を開放するまでの時間を1秒以下とすることを特徴とする発泡成形体の製造方法。 - 発泡工程において、金型の温度を40℃以上とすることを特徴とする請求項2又は3記載の発泡成形体の製造方法。
- 溶融混練工程において、マトリックス樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部の熱膨張性マイクロカプセルを用いることを特徴とする請求項2、3又は4記載の発泡成形体の製造方法。
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