JP2013213077A - 熱膨張性マイクロカプセル、マスターバッチ及び発泡成形体 - Google Patents

熱膨張性マイクロカプセル、マスターバッチ及び発泡成形体 Download PDF

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泰広 川口
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Abstract

【課題】 優れた耐熱性や高い発泡倍率を実現しつつ、均一な発泡が得られ、外観が良好な発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルを提供する。また、本発明は、該熱膨張性マイクロカプセルを用いたマスターバッチ及び発泡成形体を提供する。
【解決手段】 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルの表面にシリカを有し、前記シェルを構成する重合体と、前記シリカとが水素結合しており、ゼータ電位が−50mV以下である熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた耐熱性や高い発泡倍率を実現しつつ、均一な発泡が得られ、外観が良好な発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルに関する。また、本発明は、該熱膨張性マイクロカプセルを用いたマスターバッチ及び発泡成形体に関する。
発泡成形体は、素材や形成された気泡の状態等を変化させることにより、遮熱性、断熱性、遮音性、吸音性、防振性、軽量化等の諸性能を発現させることができることから、様々な用途で用いられている。このような発泡成形体としては、例えば、化学発泡剤を発泡させることにより得られる発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリ塩化ビニル等の発泡樹脂の表面に、ポリ塩化ビニルやオレフィン系熱可塑性エラストマー等からなる樹脂シートや、このような樹脂シートにファブリック等を表皮材として貼り合わせた複合成形体からなるクッション材等が用いられている。また、近年では、表皮材を貼り合わせたものではなく、化学発泡剤を含有する熱可塑性エラストマーと表皮用樹脂とをキャビティームーブ法によって射出成形することにより得られる表皮付き発泡体についても提案されている。
しかしながら、化学発泡剤を含有する成形用樹脂組成物は、加熱しても発泡しないことがあり、射出成形に用いた場合、成形機内で発泡剤が急激に分解する恐れがある等取扱いが困難であった。また、使用する樹脂の種類によっては充分な発泡倍率を得ることができず成形体として所望の硬度を得ることができない場合があった。
これに対して、特許文献1には、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、重炭酸塩等の化学発泡剤を含有するエチレン−α−オレフィン共重合体のマスターバッチペレットを用いることにより、樹脂の種類を問わず硬度や発泡率が高く均一な気泡が形成された射出発泡成形体が得られる旨が開示されている。
しかしながら、加熱分解した化学発泡剤はどうしても分解ガスと同時に発泡残査を生じ、成形体に残った残査が成形体の接着性能に影響を与えることがあった。また、化学発泡剤を使用すると、全てが独立気泡とはならず、どうしても連続気泡となる部分が生じてしまい気密性が非常に高い発泡成形体を得ることが難しいといった問題点があった。
このように独立気泡が得られない理由としては、樹脂の粘度が低すぎるために、分解ガスの発泡力が樹脂の溶融張力を超えてしまい、樹脂のセル壁が破れてしまうことが考えられた。そのため、特に射出成形法に適用しようとする場合においては、樹脂の温度を下げ、その粘度を高めることを目的として、樹脂を金型内に充填した後にその樹脂を冷却させる「金型解放前冷却時間」が必要となっていた。
これに対して、近年、化学発泡剤に代えて熱膨張性マイクロカプセルを使用して発泡成形体を製造する試みがなされており、例えば、特許文献2には、ラジカル架橋性エラストマーと熱可塑性樹脂とからなる架橋された熱可塑性エラストマー組成物を、熱膨張性マイクロカプセルで発泡させてなる熱可塑性エラストマー発泡体が記載されている。
また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下及び架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用い、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類又はアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
更に、特許文献4には、最大発泡温度が180℃以上、好ましくは190℃以上である熱膨張性マイクロカプセルを得ることを目的として、85重量%以上のニトリル基をもつエチレン性不飽和モノマーの単独重合体又は共重合体からなるシェルポリマーと50重量%以上のイソオクタンを有する発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。
しかしながら、このような熱膨張性マイクロカプセルを使用して発泡成形体を製造する場合であっても、射出成形に適用する場合においては、所望の発泡倍率(比重)が得られなかったり、成形物に歪みや外観不良を生じたり、所望の発泡倍率が得られても成形品の表面でも発泡し、表面のざらつきを有し、外観が悪化するという問題に直面し、満足のいく発泡成形体を得ることができなかった。
具体的には、自動車用の内装材や外装材において必要とされる、密度0.6g/ml以下で、表面粗度4μm以下という軽量化と外観品質の双方を満足する発泡成形品を得ることが出来なかった。
特開2000−178372号公報 特開平11−343362号公報 特許第2894990号公報 欧州特許出願第1149628号公報
本発明は、優れた耐熱性や高い発泡倍率を実現しつつ、均一な発泡が得られ、外観が良好な発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルを提供することを目的とする。また、本発明は、該熱膨張性マイクロカプセルを用いたマスターバッチ及び発泡成形体を提供することを目的とする。
本発明は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルの表面にシリカを有し、前記シェルを構成する重合体と、前記シリカとが水素結合しており、ゼータ電位が−50mV以下である熱膨張性マイクロカプセルである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルは重合体からなる。上記重合体は、重合性モノマーを重合させることで得られる。
上記重合性モノマーは、ニトリル系モノマーを含有することが好ましい。
上記重合性モノマーが上記ニトリル系モノマーを含有することで、上記熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性及びガスバリア性が向上し、得られる発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチは、高い成形温度でも高発泡倍率で発泡成形を行うことができる。
上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル等が挙げられる。これらのなかでは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ニトリル系モノマーの含有量は特に限定されないが、上記重合性モノマー全体100重量部に占める好ましい下限が60重量部、好ましい上限が99重量部である。上記ニトリル系モノマーの含有量が60重量部未満であると、得られる熱膨張性マイクロカプセルのガスバリア性が低下することがある。上記ニトリル系モノマーの含有量が99重量部を超えると、上記重合性モノマー全体に占める後述するカルボキシル基含有モノマーの含有量が相対的に低下して、上記熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性が低下し、得られる発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチは、高い成形温度では高発泡倍率で発泡成形を行えないことがある。
上記重合性モノマーは、アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の水素結合性官能基を含有するモノマー(以下、水素結合性官能基含有モノマーともいう)を含有することが好ましい。
このようなモノマーは、コロイダルシリカとシェルを構成する他のモノマーとの連結コモノマーとしての役割を果たす。例えば、アミド基は水素結合によりコロイダルシリカとの吸着性が高く、その結果、コロイダルシリカが強固にシェルに吸着する。また、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基も同様の役割を果たす。
上記アミド基、アミノ基及びヒドロキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の水素結合性官能基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。なかでも、N−ビニルカプロラクタムが好適に使われる。
また、上記カルボキシル基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。これらのなかでは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、得られる熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性がより向上することから、メタクリル酸が特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の水素結合性官能基を含有するモノマーの含有量は特に限定されないが、上記重合性モノマー全体100重量部に占める好ましい下限が1重量部、好ましい上限が40重量部である。上記水素結合性官能基含有モノマーの含有量が1重量部未満であると、上記熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性が低下し、得られる発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチは、高い成形温度では高発泡倍率で発泡成形を行えないことがある。上記水素結合性官能基含有モノマーの含有量が40重量部を超えると、得られる熱膨張性マイクロカプセルのガスバリア性を確保することができず、熱膨張しなくなることがある。上記水素結合性官能基含有モノマーの含有量は、上記重合性モノマー全体100重量部に占めるより好ましい下限が3重量部、より好ましい上限が30重量部である。
上記重合性モノマーは、上記ニトリル系モノマー、上記アミド基、アミノ基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種の水素結合性官能基を含有するモノマー等と共重合することのできる他のモノマー(以下、単に、他のモノマーともいう)を含有してもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができる。上記他のモノマーとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等も挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記重合性モノマーが上記他のモノマーを含有する場合、上記他のモノマーの含有量は特に限定されないが、上記重合性モノマー全体100重量部に占める好ましい上限が50重量部である。上記他のモノマーの含有量が50重量部を超えると、上記重合性モノマー全体に占める上記モノマーの含有量が相対的に低下して、上記熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性、ガスバリア性等が低下し、得られるマスターバッチは、高い成形温度では高発泡倍率で発泡成形を行えないことがある。
上記重合性モノマーは、ホモポリマーの溶解度パラメーターが9.8cal1/2/cm3/2以上であるモノマーを含有することが好ましい。これにより、コア剤として使用される炭化水素に対するバリア性が向上するとともに、シリカとの水素結合性が強くなる。
このようなモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられる。
上記重合性モノマーには、上記モノマーを重合させるため、重合開始剤を含有させる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。
具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化ジアルキル、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化ジアシル、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のパーオキシエステル、ジ−2−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
本発明では、特に高温時の「へたり」を抑制する目的で、ジ−2−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネートを比較的高濃度で使用することが好ましい。
上記重合性モノマーには、架橋剤としての役割を有するモノマーを含有していてもよい。上記架橋剤モノマーを含有することにより、シェルの強度を強化することができ、熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。
上記架橋剤モノマーとしては特に限定はされず、一般的にはラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーが好適に用いられる。具体例には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、分子量が200〜600のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでは、200℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいので、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等の2官能性架橋剤が好ましく、トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート等の3官能性架橋剤がより好ましい。
上記重合性モノマーにおける上記架橋剤モノマーの含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は3重量%である。より好ましい下限は0.3重量%、より好ましい上限は1重量%である。
上記シェルを構成する重合体の重量平均分子量の好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。重量平均分子量が10万未満であると、シェルの強度が低下することがあり、重量平均分子量が200万を超えると、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡倍率が低下することがある。
上記シェルは、更に必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を含有していてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記シェルの表面にシリカを有する。
上記シェルを構成する重合体と、上記シリカとが水素結合している。
これにより、1)発泡成形を行う際に使用されるマトリックス樹脂との分散性が改善される、2)耐熱性が向上して加熱発泡時のへたりが抑制される、という利点がある。そして、このような熱膨張性マイクロカプセルを用いて発泡成形を行うことで表面の外観に優れる成形体が得られる。
上記重合体とシリカとの水素結合は、上記水素結合性官能基含有モノマーが有する水素結合性官能基と、シリカとの間で行われていることが好ましい。これにより、シリカが強固に結合することから、シリカの脱離を防止して、耐熱性の向上やへたり抑制の効果を充分に発揮することができる。
上記シリカとしては、表面処理が行われているものを使用してもよく、例えば、ナトリウム安定化タイプ、アンモニア安定化タイプ、表面アルミナ処理タイプ等が挙げられるが、特にナトリウム安定化タイプの使用が好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、シリカを2重量%以上含有することが好ましい。
上記シリカの含有量が2重量%未満であると、耐熱性の向上や加熱発泡時のへたりの抑制の効果が薄くなる。
なお、上記シリカの含有量のより好ましい下限は3重量%、好ましい上限は8重量%である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、上記シェルにコア剤として揮発性膨張剤が内包されている。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であることが好ましい。
上記揮発性膨張剤は、200℃における蒸気圧が2〜3MPaであることが好ましい。200℃における蒸気圧が2〜3MPaの範囲内であることで、200℃以上の高温における歪み回復率を低下させることができる。
上記重量変化率の規定を満たすため、揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、イソペンタン、ネオペンタン等の低分子量炭化水素が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を添加してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルにおいて、コア剤として用いる揮発性膨張剤の含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は25重量%である。
上記シェルの厚みはコア剤の含有量によって変化するが、コア剤の含有量を減らして、シェルが厚くなり過ぎると発泡性能が低下し、コア剤の含有量を多くすると、シェルの強度が低下する。上記コア剤の含有量を10〜25重量%とした場合、熱膨張性マイクロカプセルのへたり防止と発泡性能向上とを両立させることが可能となる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、ゼータ電位(表面電位)が−50mV以下である。
これにより、射出成形等の高せん断が負荷される成形方法においても均一な発泡を実現することができ、外観に優れる発泡成形体を作製することが可能となる。
上記ゼータ電位が−50mVを超えると、シリカの脱離が多いことになり、耐熱性の向上やへたり抑制の効果が少なくなることがある。
上記ゼータ電位は、−55〜−80mVであることが好ましい。
なお、上記ゼータ電位は、例えば、25℃、pH=7の条件でレーザードップラー速度測定法により測定することができる。上記熱膨張性マイクロカプセルが帯電している場合、電場をかけると、熱膨張性マイクロカプセルは電極に向かって移動する。熱膨張性マイクロカプセルの移動速度は、熱膨張性マイクロカプセルの荷電量に比例する。そのため、熱膨張性マイクロカプセルの移動速度を測定することによって、ゼータ電位を求めることができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、熱機械分析で測定した最大変位量(Dmax)の好ましい下限が300μmである。300μm未満であると、発泡倍率が低下し、所望の発泡性能が得られない。より好ましい下限は400μmである。
なお、上記最大変位量は、所定量の熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、所定量全体の熱膨張性マイクロカプセルの径が最大となるときの値をいう。
また、発泡開始温度(Ts)の好ましい上限は180℃である。180℃を超えると特に射出成形の場合、金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック発泡成形においては、コアバック発泡過程で樹脂温度が冷えてしまい発泡倍率が上がらないことがある。好ましい下限は130℃、より好ましい上限は160℃である。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときにおける温度を意味する。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、最大発泡温度(Tmax)の好ましい下限が170℃である。170℃未満であると、耐熱性が低くなることから、高温領域や成形加工時において、熱膨張性マイクロカプセルが破裂、収縮することがある。また、マスターバッチペレット等として使用する場合、ペレット製造時に剪断により発泡していまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造することができない。より好ましい下限は210℃である。
上記熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径の好ましい下限は5μm、好ましい上限は50μmである。5μm未満であると、得られる成形体の気泡が小さすぎるため、成形体の軽量化が不充分となることがあり、50μmを超えると、得られる成形体の気泡が大きくなりすぎるため、強度等の面で問題となることがある。より好ましい下限は10μm、より好ましい上限は40μmである。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法として、例えば、シリカを含有する水性媒体を調製する工程、ニトリル系モノマー、官能基含有モノマー、その他のモノマー等と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程、及び、上記モノマーを重合させる工程を行うことにより製造することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合、最初にシリカを含有する水性媒体を調製する工程を行う。具体例には例えば、重合反応容器に、水とシリカ、分散安定剤、必要に応じて補助安定剤を加えることにより、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記シリカは、例えば、コロイダルシリカとして添加される。
上記コロイダルシリカは、分散安定剤として作用する。より詳細には、コロイダルシリカの凝集体が、懸濁後の油性物質からなる液滴の表面に付着し、液滴を安定させる。
上記コロイダルシリカの形状として、例えば、球状、鎖状等が挙げられる。これらのなかでは、コロイダルシリカが凝集体となる過程において、パッキングが容易であることから、球状が好ましい。また、コロイダルシリカとしては、表面処理の異なるナトリウム安定化タイプ、アンモニア安定化タイプ、表面アルミナ処理タイプがあるが、特にナトリウム安定化タイプの使用が好ましい。
上記コロイダルシリカは、平均粒子径の好ましい下限が5nm、好ましい上限が50nmである。平均粒子径が5nm未満であると、コロイダルシリカの凝集体が大きくならず、懸濁後の油性物質からなる液滴の安定性が低下することがあり、50nmを超えると、コロイダルシリカの凝集体が大きく成長しすぎ、補助安定剤が取り囲んで保護することができなくなってしまい、懸濁後の油性物質からなる液滴の安定性が低下することがある。
上記コロイダルシリカの添加量は、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、ビニル系モノマー100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。更に好ましい下限は2重量部、更に好ましい上限は10重量部である。また、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の量についても熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定されるが、モノマー100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記シリカ以外の分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記補助安定剤としては、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
また、上記分散安定剤と補助安定剤との組み合わせとしては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらの中では、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが好ましい。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
上記水溶性窒素含有化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好適に用いられる。
上記分散安定剤及び補助安定剤に加えて、更に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得ることができる。上記無機塩の添加量は、通常、モノマー100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。
上記分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製され、この際の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカを使用する場合は、酸性媒体で重合がおこなわれ、水性媒体を酸性にするには、必要に応じて塩酸等の酸を加えて系のpHが3〜4に調製される。ここで、シリカとモノマーあるいはモノマーの官能基との水素結合をより強固にするために、pHを2.0以下にすることも有効な手段となる。
次いで、熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法では、ニトリル系モノマー、官能基含有モノマー、その他のモノマー等と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を水性媒体中に分散させる工程を行う。この工程では、モノマー及び揮発性膨張剤を別々に水性分散媒体に添加して、水性分散媒体中で油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合し油性混合液としてから、水性分散媒体に添加する。この際、油性混合液と水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加しても良い。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記油性混合液を水性分散媒体中に所定の粒子径で乳化分散させる方法としては、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法では、最後に乾燥工程を行うことが好ましい。
上記乾燥工程では、液体成分を揮発させる目的のほか、シェル表面のシリカ付着量を調整することができる。
上記乾燥方法としては、加熱真空振動乾燥機を用いる方法等が挙げられる。
上記シリカの付着量を増加させるためには、乾燥時の振動等の設備壁面との接触度合いを少なくすることが好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂等のベースレジンとを混合したマスターバッチに熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を加えた樹脂組成物を添加し、射出成形等の成形方法を用いて成形した後、成形時の加熱により、上記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させることにより、発泡成形体を製造することができる。このようなマスターバッチもまた本発明の1つである。
上記ベースレジンに使用される熱可塑性樹脂は特に限定されず、通常の発泡成形に用いられる熱可塑性樹脂を用いることができる。上記熱可塑性樹脂として、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等が挙げられる。
これらのなかでは、融点が低く加工しやすいことから、LDPE、EVA、EMMA等が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
マスターバッチにおける上記熱膨張性マイクロカプセルの配合量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限が10重量部、好ましい上限が90重量部である。上記熱膨張性マイクロカプセルの配合量が10重量部未満であると、得られるマスターバッチを用いると、成形体の気泡が少なくなりすぎ、軽量化が不充分となることがある。上記熱膨張性マイクロカプセルの配合量が90重量部を超えると、得られるマスターバッチを用いると、成形体の気泡が多くなりすぎ、強度等の面で問題となることがある。上記熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対するより好ましい下限が20重量部、より好ましい上限が80重量部である。
上記マスターバッチを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂等のベースレジン、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、熱膨張マイクロカプセル等の発泡剤を添加した後、更に混練することにより得られる混練物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチとする方法等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂等のベースレジンや熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
また、本発明の熱膨張性マイクロカプセルやマスターバッチを用いて得られる発泡成形体もまた本発明の1つである。特に本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、高温での後加工が必要な用途にも好適に使用可能であることから、凹凸形状等の高外観品質を有する発泡シートが得られ、住宅用壁紙等の用途に好適に用いることができる。
具体的には、本発明の熱膨張性マイクロカプセル又は本発明の熱膨張性マイクロカプセルを含有するマスターバッチと、マトリックス樹脂とを混練し、成形することで発泡成形体が得られる。
上記マトリックス樹脂の種類により、得られる発泡成形体が軟質発泡体となるか、硬質発泡体となるかが決定される。即ち、上記マトリックス樹脂として軟質樹脂を用いた場合は、得られる発泡成形体は軟質発泡体となり、上記マトリックス樹脂として硬質樹脂を用いた場合は、得られる発泡成形体は硬質発泡体となる。
軟質発泡体が得られるマトリックス樹脂としては、オレフィン系、ウレタン系、あるいはスチレン系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。上記オレフィン系熱可塑性エラストマーのうち、市販品としては、例えば、「エンゲージ」シリーズ(デュポン・ダウエラストマージャパン社製)、「ミラストマー」シリーズ(三井化学社製)、「住友TPEサントプレーン」シリーズ(住友化学社製)、「サントプレーン」シリーズ(エイイーエス社製)等が挙げられる。また、スチレン系エラストマーとしては、三菱化学社製の「ラバロン」シリーズ等が挙げられる。更に、これらの樹脂を所望の加工性や硬さに合わせて混合して使用してもよい。
硬質発泡体が得られるマトリックス樹脂としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル系樹脂等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、ホモポリプロピレン樹脂「PF814」(モンテルポリオレフィンズカンパニー社製)、ランダムポリプロピレン樹脂「B230」、「J704」(グランドポリマー社製)、高密度ポリエチレン「3300F」(三井化学社製)等が挙げられる。また、これらの樹脂は混合して使用してもよい。
また、上記マトリックス樹脂は生分解性樹脂であってもよく、例えば、酢酸セルロース(P−CA)系樹脂やポリカプロラクトン(P−H、P−HB)系樹脂である「セルグリーン」シリーズ(ダイセル化学工業社製)、ポリ乳酸「LACEA」(三井化学社製)等が挙げられる。本発明においては、熱特性に応じて、生分解性樹脂1種類を単独又は2種以上混合して用いてもよく、また、上記生分解性樹脂を単独又は上記生分解性樹脂以外の他のマトリックス樹脂と併用してもよい。
本発明に用いられる熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、上記マトリックス樹脂100重量部に対して0.5重量部〜20重量部である。0.5重量部未満であると、得られる成形体の気泡が少なくなって、軽量化性能を発揮することができず、20重量部を超えると、得られる成形体の強度が得られにくくなる。
本発明の発泡成形体は、その表層に、マトリックス樹脂からなる厚み0.4〜0.8mmのスキン層を有することが好ましい。上記厚みが0.4mm未満であると、発泡成形体の強度が不足すると共に外観品質も低下するからである。また、厚みが0.8mmを超えると軽量化が困難となってくる。
また、本発明の発泡成形体は、密度が0.6g/cm以下であり、表面粗度(最大山谷高さ)が4μm以下であることが好ましい。密度が上記を満たすことにより、従来の発泡成形体よりも一段と軽量化された性能が実現出来、表面粗度が4μm以下とすることで外観品質が優れたものとすることができる。
上記発泡成形体の成形方法としては、特に限定されず、例えば、混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等が挙げられる。射出成形の場合、工法は特に限定されず、金型に樹脂材料を一部入れて発泡させるショートショート法や金型に樹脂材料をフル充填した後に金型を発泡させたいところまで開くコアバック法等が挙げられる。
本発明によれば、優れた耐熱性や高い発泡倍率を実現しつつ、均一な発泡が得られ、外観が良好な発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルを提供できる。また、本発明は、該熱膨張性マイクロカプセルを用いたマスターバッチ及び発泡成形体を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(熱膨張性マイクロカプセルA〜Hの作製)
重合反応容器に、水270重量部、塩化ナトリウム90重量部、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製、平均粒子径20nm、固形分重量20重量%、ナトリウム安定型)45重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量のモノマー、揮発性膨張剤及び重合開始剤からなる油性混合液を水溶性分散媒体に添加し、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥装置(加熱真空振動乾燥機)内に入れ、表1に示す乾燥強度(振動数)で乾燥して熱膨張性マイクロカプセルを得た。
Figure 2013213077
(実施例1〜5、比較例1〜3)
(マスターバッチペレットの作製)
粉体状及びペレット状の低密度ポリエチレン100重量部と、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド0.2重量部とをバンバリーミキサーで混練し、約140℃になったところで、表2に示す熱膨張性マイクロカプセル50重量部を添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。
(成形体の作製)
得られたマスターバッチ5重量部と、ポリプロピレン樹脂100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを電動射出成型機(日本製鋼所社製、J180AD)にて、ホッパーから供給して溶融混練した後、射出成形を行い、板状の成形体を得た。なお、上記射出成型機には、充填量を逐次検知する検知機、その信号を受け、金型の解放を制御するコンピューター及び、該コンピューターと連動して金型を開放する機構を有している。成形条件は、シリンダー温度:210℃、射出速度:60mm/secとし、型開遅延時間は0秒、金型温度は40℃の設定条件とした。
(評価)
得られた熱膨張性マイクロカプセル、及び、実施例1〜4、比較例1〜2で得られた成形体について、下記性能を評価した。結果を表1、2に示した。
(1)熱膨張性マイクロカプセルの評価
(1−1)シリカ含有量
得られた熱膨張性マイクロカプセル20mgを正確に測定し、薬包紙に入れた後、予め希硝酸を入れたフラスコに投入し、燃焼させることで希硝酸に吸着させた。得られた熱膨張性マイクロカプセルの希硝酸溶液に更に希硝酸を加え、50mlとし、ICP装置(Varian 710−ES)に注入することで、シリカの含有量を測定した。
(1−2)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(1−3)発泡開始温度、最大発泡温度、最大変位量
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
(1−4)ゼータ電位
得られた熱膨張性マイクロカプセルをイオン交換水(屈折率:1.333、誘電率:78.5、粘度:0.89cp)で1000倍に希釈した。その後、ゼータ電位測定装置.(ゼータサイザー ナノ ZS、Malvern製)を用い、測定温度を25℃、pHを7に調整し、ゼータ電位を測定した。
(2)成形体の評価
(2−1)発泡倍率
得られた成形体について、発泡前後の板厚を計測し、発泡後の成形体の板厚を発泡前の成形体の板厚で除した値を算出、発泡倍率とした。
(2−2)気泡径及び気泡状態の測定
得られた成形体断面の気泡状態をSEM(日本電子データム株式会社 JSM−6510A、倍率100倍)を用いて観察し、気泡の形状、均一性及び、気泡径(セル径)を評価した。(気泡径(セル径)はn=10のサイズを測定し、その範囲を記載)
(2−3)密度の測定
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
(2−4)外観
得られた成形体の表面状態を最大山高さとして表面粗さ形状測定機サーフコム130A/480A(株式会社東京精密製)を用いて測定した。
(2−5)シルバーストリーク
得られた成形品の表面を目視観察し、シルバーストリークの有無を評価した。
Figure 2013213077
本発明によれば、優れた耐熱性や高い発泡倍率を実現しつつ、均一な発泡が得られ、外観が良好な発泡成形体を作製することが可能な熱膨張性マイクロカプセルを提供できる。また、本発明は、該熱膨張性マイクロカプセルを用いたマスターバッチ及び発泡成形体を提供できる。

Claims (7)

  1. 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、
    前記シェルの表面にシリカを有し、
    前記シェルを構成する重合体と、前記シリカとが水素結合しており、
    ゼータ電位が−50mV以下である
    ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。
  2. シリカは、ナトリウム安定化型シリカであることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  3. シリカを2重量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  4. シェルを構成する重合体は、ホモポリマーの溶解度パラメーターが9.8cal1/2/cm3/2以上であるモノマーを用いて得られたものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の熱膨張性マイクロカプセルと、ベースレジンとを含有することを特徴とするマスターバッチ。
  6. ベースレジンが、低密度ポリエチレン、EMMA及びEVAから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載のマスターバッチ。
  7. 請求項1、2、3或いは4記載の熱膨張性マイクロカプセル、又は、請求項5或いは6記載のマスターバッチを用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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