JP2017071088A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1)前記発泡工程において、前記キャビティ空間を拡大する際の前記キャビティ空間の容積拡大速度が、射出充填完了時のキャビティ空間の容積を100体積%として、33体積%/sec以上、10000体積%/sec未満である。
2)前記射出充填工程において、前記金型内のキャビティ空間に射出充填された前記溶融混合物の厚みが1〜3mmであり、前記発泡工程において、発泡後に得られる前記発泡成形体の厚みが1.5〜5mmである。
3)前記射出充填工程において、前記溶融混合物の射出充填開始から射出充填完了までの時間が0.1〜3秒である。
4)前記金型の表面温度が30〜100℃である。
5)前記発泡成形体の比重が0.45超、0.85未満である。
6)前記溶融混練工程において、前記樹脂成分100重量部に対して、1〜10重量部の前記発泡成分を用いる。
7)前記熱膨張性微小球の最大膨張温度が170〜250℃である。
本発明の発泡成形体の製造方法は、射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、発泡成分と樹脂成分とを、加熱シリンダー内で溶融混練して溶融混合物を作製する溶融混練工程と、前記溶融混合物を金型内のキャビティ空間に射出充填する射出充填工程と、前記溶融混合物の射出充填完了後に前記金型を開くことにより前記キャビティ空間を拡大して前記溶融混合物を発泡させる発泡工程とを含む、製造方法である。以下に詳細に説明する。
可塑化装置としては、例えば、加熱シリンダーと、この加熱シリンダーの内部に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリューとから構成されるものが挙げられる。加熱シリンダーは、発泡成分と樹脂成分とを加熱するためのヒーターを備えており、加熱シリンダーに備わるヒーターの数については、特に限定されないが、溶融混合物の温度をより精密に制御するという観点からは、複数個以上であることが好ましい。
金型装置としては、例えば、固定型と可動型とから構成されるものが挙げられる。これらの金型の型合面にはキャビティ空間が形成されている。
射出成形機は、可塑化装置および金型装置以外に、溶融混合物を所定量計量するための計量室、溶融混合物を蓄積するための射出プランジャユニット、シリンダー内部発泡を防止するためのシャットオフ装置などを備えていてもよい。
溶融混練工程は、発泡成分と樹脂成分とを、加熱シリンダー内で溶融混練して溶融混合物を作製する工程である。発泡成分は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する膨張剤とから構成される熱膨張性微小球を必須に含む成分である。発泡成分、熱膨張性微小球および樹脂成分の詳細に関しては後述する。
射出充填工程は、上記溶融混練工程で作製した溶融混合物を金型内のキャビティ空間に射出充填する工程である。射出充填工程では、溶融混合物を固定型に形成されたスプルーより射出して、キャビティ空間を溶融混合物で充填する。キャビティ空間に射出する溶融混合物の体積は、キャビティ空間に対して、好ましくは90〜110%、さらに好ましくは95〜105%、特に好ましくは98〜102%である。キャビティ空間に射出する溶融混合物の体積が、キャビティ空間の容積に対して90%未満の場合は、キャビティ内で発泡成分(熱膨張性微小球)が膨張することにより、発泡成形体表面の外観が悪化することがある。また、キャビティ空間に射出する溶融混合物の体積が、キャビティ空間の容積に対して110%超の場合は、キャビティ空間から溶融樹脂が漏れることで成形品にバリが生じることがある。
射出圧力は、固定型と可動型との型締圧力より低いことが望ましく、好ましくは20〜250MPa、より好ましくは35〜200MPa、特に好ましくは50〜150MPaである。
発泡工程は、溶融混合物の射出充填完了後に金型を開くことによりキャビティ空間を拡大して溶融混合物を発泡させる工程である。なお、本発明において金型を開くとは、可動型又は可動型に内設された可動コアを、固定型に対して離隔させる方向に移動させることを意味し、具体的には、射出成形機が横型射出成形機の場合は水平方向かつ固定型に対して離隔させる方向に、射出成形機が竪型射出成形機の場合は垂直方向かつ固定型に対して離隔させる方向に、可動型又は可動型に内設された可動コアを、移動させる動作を意味する。発泡工程では、金型を開くことに伴うキャビティ内の減圧によって発泡成分の発泡が進行し、軽量な発泡成形体が得られる。
型開遅延時間を0〜2秒とするための具体的方法としては、例えば、溶融混合物の充填が完了したことを検知する検知手段、検知手段からの情報に従って金型の開放を制御する制御手段、及び、制御手段からの信号により金型を開放する金型開放手段を有する装置を用いる方法が挙げられる。
上記検知手段としては、例えば、射出充填工程において、射出成形機のスクリューの位置により、溶融混合物の充填が完了したことを検知する手段、金型内の所定の位置に圧力センサーを設置し、その位置に溶融混合物が充填されたことを信号として検知する手段等が挙げられる。
金型を開く方法としては、型開速度が上記範囲内であれば、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
次に、可動型3を固定型2に対して離隔させる方向に移動させることにより、金型内のキャビティ空間を拡大して溶融混合物を発泡させて発泡成形体6を作製する(図1(c)〜(d))。
本発明の製造方法において、金型の表面温度は特に限定されず、使用する樹脂成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃、特に好ましくは50〜70℃である。金型の表面温度を上記範囲とすることにより、射出充填された溶融混合物の表面に適度な厚みのスキン層を形成させつつ、溶融混合物内部において発泡成分に必須に含まれる熱膨張性微小球を充分に膨張させることが可能となり、剛性および軽量性に優れるとともに、良好な外観を有する発泡成形体とすることができる。
本発明に用いる金型装置としては、蒸気式、加圧熱水式、オイル式、電磁誘導加熱式等の公知の加熱方法を用いる金型装置を用いることができる。
発泡成分は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する膨張剤とから構成される熱膨張性微小球を必須に含む。本発明の製造方法では、発泡工程において、発泡成分に必須に含まれる熱膨張性微小球が膨張することにより、樹脂成分からなるマトリックス中に熱膨張性微小球の膨張体であるプラスチックバルーンが三次元的に均一に分散配置した独立気泡構造を有する発泡成形体が得られる。熱膨張性微小球が膨張しても、発泡成形体の剛性の低下あるいは外観の悪化を引き起こす原因となる連続気泡構造が形成されることはないため、本発明の製造方法では、剛性および軽量性に優れるとともに、良好な外観を有する発泡成形体を製造することができる。なお、発泡成分が化学発泡剤や物理発泡剤など熱膨張性微小球以外の発泡成分をさらに含む場合は、得られる発泡成形体が連続気泡構造となることにより曲げ弾性率などの剛性が著しく低下したり、発泡成形体表面の外観が著しく損なわれたりすることがある。そのため、通常は、本発明の製造方法において、熱膨張性微小球以外の発泡成分を使用することは好ましくないが、本発明の効果を損なわない範囲で上記化学発泡剤や物理発泡剤など熱膨張性微小球以外の発泡成分を使用することも可能である。
物理発泡剤としては、たとえば、ブタン、ペンタン、ジクロロメタン、水、窒素ガス、炭酸ガス、空気等を挙げることができる。
熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する膨張剤とから構成される。熱膨張性微小球は、外殻を構成する熱可塑性樹脂および内包される膨張剤の組み合わせにより、様々な温度で膨張させることができ、それらの組み合わせは樹脂成分の融点又は軟化点、成形温度等を考慮して適宜選択することができる。
水性分散媒中に添加する分散安定剤については、特に限定はないが、たとえば、コロイダルシリカ、コロイダル炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、アルミナゾル等が挙げられる。その他に、水性分散媒中に必要に応じて添加してもよい分散安定補助剤として、ジエタノールアミンと脂肪酸ジカルボン酸の縮合生成物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリペプチド、ポリビニルアルコール等の高分子タイプの分散安定補助剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の陽イオン界面活性剤;アルキル硫酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等の両イオン性界面活性剤等が挙げられる。また、水性分散媒中には分散安定剤と併用して、スケール防止剤等の水溶性化合物を添加してもよい。
また、熱膨張性微小球は商業的にも入手可能であり、熱膨張性微小球の代表的な市販品として、松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェアーの各品番の熱膨張性微小球を挙げることができる。
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、均一な気泡径を有する発泡成形体を得るという点から、好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)および(2)で算出される。
熱膨張性微小球の熱膨張特性を示す指標として、膨張開始温度(Ts)および最大膨張温度(Tmax)がある。なお、本発明において、膨張開始温度とは、その温度以上に加熱することで熱膨張性微小球が膨張する温度のことを、最大膨張温度とは、熱膨張性微小球の膨張が最大となる温度のことを指し、それぞれ実施例に示す方法で測定されるものと定義される。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax)は、特に限定はないが、好ましくは170〜250℃、より好ましくは、180〜240℃、特に好ましくは190〜230℃である。熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax)が上記範囲内にあると、成形温度の観点から、樹脂成分として汎用射出グレードのポリプロピレン樹脂、TPO、TPV、TPS、またはABS樹脂を用いて発泡成形体を製造する場合に好適であり、そのようにして得られた発泡成形体は特に剛性および軽量性に優れたものとなるため好ましい。
造粒物に用いるワックスとしては、たとえば、脂肪酸、パラフィン系ワックス等を挙げることができる。ワックスの重量割合は、好ましくは造粒物全体の5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。ワックスの重量割合が5重量%よりも少ないと、造粒物を形成できない。また、ワックスの重量割合が70重量%よりも多いと、樹脂成分の物性への影響が懸念される。
樹脂成分は、発泡成形体を構築する基礎となる成分であり、発泡成形体の物性にも大きく影響を与える成分である。本発明の製造方法で使用する樹脂成分としては、特に限定されず、一般に用いられている熱可塑性樹脂や、熱可塑性エラストマーを使用することができ、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、TPO、TPV、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン系樹脂共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のポリビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、TPEE等のポリエステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、AS樹脂、ASA樹脂、ABS樹脂、TPS等のスチレン系樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、TPEA等のポリアミド系樹脂;ポリ乳酸等の生分解性樹脂;フッ素系樹脂;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;液晶ポリマー等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種または2種以上を併用してもよい。
発泡成形体表面の凹凸が抑制され、外観が優れるという点から、ポリプロピレン樹脂、TPO、TPV、TPS、ABS樹脂が好ましい。
本発明の製造方法で得られる発泡成形体は、独立気泡を有する発泡成形体であり、剛性および軽量性に優れるとともに、良好な外観を有する。
発泡成形体の比重は、好ましくは0.85未満、より好ましくは0.83未満、特に好ましくは0.81未満、最も好ましくは0.75未満である。該比重が0.85以上であると、発泡成形体の軽量性が優れない。該比重の下限値については、特に限定されないが、発泡成形体の剛性および外観とのバランスを重視するという観点から、好ましくは0.45超、より好ましくは0.5超、特に好ましくは0.55超、最も好ましくは0.6超である。
また、発泡成形体を自動車内外装用部品に用いるという観点からは、該比重は0.6超、0.75未満であることが好ましい。該比重を前記範囲内とすることにより、自動車内外装用部品で特に重視される剛性および外観の美しさに優れた発泡成形体が得られやすい。なお、該比重は、JIS K7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した値である。
発泡成形体の厚みの薄い場合や、発泡成形体の剛性が必要である場合は、粒子径の小さな熱膨張性微小球を選択し、発泡成分に占める熱膨張性微小球の重量割合を多くすることが好ましい。
以下で用いる熱膨張性微小球、実施例および比較例で製造した発泡成形体について、次に示す要領で物性の評価を行った。熱膨張性微小球を単に微小球ということがあり、発泡成形体を単に成形体ということがある。
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製 HEROS&RODOS)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで乾式測定法により測定し、D50値を平均粒子径とした。
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
熱膨張性微小球1.0gを直径80mm、深さ15mmのステンレス製蒸発皿に入れ、その重量(W1)を測定した。アセトン30ml加え均一に分散させ、30分間室温で放置した後に、120℃で2時間加熱し乾燥後の重量(W2)を測定した。膨張剤の内包率は、下記の式により計算される。
内包率(重量%)=(W1−W2)(g)/1.0(g)×100−(含水率)(重量%)
(式中、含水率は、上記方法で測定される。)
熱膨張性微小球の膨張開始温度(Ts)および最大膨張温度(Tmax)は、DMA(DMA Q800型、TA instruments社製)を用いて測定される。熱膨張性微小球をアルミカップに入れ、その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態で20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量(D)を測定し、正方向への変位開始温度を膨張開始温度(Ts)とし、最大変位量(Dmax)を示したときの温度を最大膨張温度(Tmax)とした。
微小球およびこれを熱膨張させた中空微粒子の真比重は、以下の測定方法で測定した。
真比重は環境温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下においてイソプロピルアルコールを用いた液浸法(アルキメデス法)により測定した。
具体的には、容量100mlのメスフラスコを空にし、乾燥後、メスフラスコ重量(WB1)を秤量した。秤量したメスフラスコにイソプロピルアルコールをメニスカスまで正確に満たした後、イソプロピルアルコール100mlの充満されたメスフラスコの重量(WB2)を秤量した。
d={(WS2−WS1)×(WB2−WB1)/100}/{(WB2−WB1)−(WS3−WS2)}
上記で、粒子として微小球または中空微粒子を用いて、それぞれの真比重を計算した。
アルミ箔で縦12cm、横13cm、高さ9cmの底面の平らな箱を作成し、その中に微小球1.0gを均一になるように入れ、ギア式オーブン中に入れ、所定温度で1分間加熱膨張した後、微小球の真比重を測定した。加熱後の微小球の真比重(d)で加熱前の微小球の真比重(d0)を割ることにより膨張倍率(E)を算出した。最大膨張倍率(Emax)は、最大膨張時の膨張倍率に相当する。
得られた成形体の比重をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により、電子比重計(MDS−3000、アルファーミラージュ株式会社製)を用いて測定を行った。
成形体の軽量性は、以下の評価基準に基づいて判定した。
○:成形体の比重が0.85未満
×:成形体の比重が0.85以上
得られた成形体の曲げ弾性率をJIS K−7171に準拠した方法により、引張圧縮試験機(テクノグラフ TG−2KN、ミネビア株式会社製)を用いて測定を行った。
成形体の剛性は、以下の評価基準に基づいて判定した。
○:成形体の剛性が400MPa以上1500MPa未満
×:成形体の剛性が400MPa未満、1500MPa以上
電子顕微鏡(SEM)装置を用いて、得られた成形体断面の気泡状態の確認を行った。30倍で撮影したSEM写真から、単位面積あたりに占める独立気泡の割合を算出し、以下の評価基準に基づいて判定した。
◎:均一独立(独立気泡率80%以上)
○:ほぼ均一独立(独立気泡率50%以上80%未満)
×:不均一(独立気泡率50%未満)
成形体の表面状態について、以下の評価基準に基づいて判定した。
○:良好(表面に凹凸が無く、かつ、シルバーストリークが発生していない)
△:やや不良(表面に凹凸が有るか、または、シルバーストリークが発生している)
×:不良(表面に凹凸が有り、かつ、シルバーストリークが発生している)
得られた成形体の断面を100倍で撮影したSEM写真より、ASTM・D3576−77に準じた方法で算出した。
(熱膨張性微小球の製造)
以下の実施例および比較例で使用した、熱膨張性微小球を製造した。
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム150g、シリカ有効成分20重量%であるコロイダルシリカ分散液70g、ポリビニルピロリドン1.0gおよびエチレンジアミン四酢酸・4Na塩の0.5gを加えた後、得られた混合物のpHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル150g、メタクリロニトリル50g、メタクリル酸100g、1,9−ノナンジオールジアクリレート1.0g、イソペンタン90g、および有効成分70%のジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート含有液8gを混合して油性混合物を調製した。
水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合液をホモミキサー(特殊機化工業社製、TKホモミキサー)により分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合した。重合後に得られた重合液を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球1を得た。熱膨張性微小球1の物性を表1に示す。なお、表1においては、表2に示す略号が使用されている。
(マスターバッチの製造)
容量0.5L加圧ニーダーを用いて、マスターバッチに用いる樹脂成分としての低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカル日本株式会社製 LDPE樹脂、DNDV−0405R、融点108℃、密度0.914g/cm3)120gを溶融混練し、その温度が115℃に到達したときに、熱膨張性微小球1を180g配合して均一に混合し予備混合物とした。得られた予備混合物をシリンダー口径40mmの二軸押出機に供給して混練温度115℃で押出して、熱膨張性微小球1の重量割合が60重量%のマスターバッチを得た。
熱膨張性微小球1の製造で用いた各種成分および量を、表1に示すものに変更する以外は熱膨張性微小球1の製造と同様にして熱膨張性微小球2〜4をそれぞれ得た。得られた原料微小球の物性を表1に示す。
熱膨張性微小球とマスターバッチに用いる樹脂成分の配合量を、表1に示すものに変更する以外は製造例1と同様にして各熱膨張性微小球を用いたマスターバッチをそれぞれ得た。
製造例1で得られたマスターバッチ17重量部と、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロピレン株式会社製、ノバテックPP BC3F、密度0.90g/cm3)100重量部とを混合し、得られた混合ペレットを射出成形機(日本製鋼所株式会社製、J85AD−110H、型締力85トン)のホッパーに供給して溶融混練し、射出成形を行い、板状の成形体を得た。なお、成形条件は、成形温度:210℃、射出速度:30mm/sec、金型の表面温度:100℃、型開遅延時間:0秒、型開速度:73mm/secに設定し、他の条件については、表3に示す。
得られた成形体を評価した結果、比重0.63、曲げ弾性率820MPa、成形体断面の気泡状態は独立気泡であり、平均気泡径65μm、成形体の表面状態は良好である成形体が得られた。
実施例1で使用したマスターバッチと成形条件を、表3および4に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
熱膨張性微小球を用いたマスターバッチに代えて無機化学発泡剤(永和化成工業株式会社製、ポリスレン)を使用し、無機化学発泡剤を5重量部とポリプロピレン樹脂100重量部とを混合し、成形条件を表4に示すものに変更する以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
2 固定型
3 可動型
4 キャビティ空間
5 溶融混合物
6 発泡成形体
Claims (8)
- 射出成形により発泡成形体を製造する方法であって、
発泡成分と樹脂成分とを、加熱シリンダー内で溶融混練して溶融混合物を作製する溶融混練工程と、
前記溶融混合物を金型内のキャビティ空間に射出充填する射出充填工程と、
前記溶融混合物の射出充填完了後に前記金型を開くことにより前記キャビティ空間を拡大して前記溶融混合物を発泡させる発泡工程とを有し、
前記発泡成分が、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する膨張剤とから構成される熱膨張性微小球を必須に含み、
前記溶融混合物の射出充填完了から、前記金型を開き始めるまでの時間が0〜2秒であり、
前記発泡工程において、前記キャビティ空間を拡大する際の型開速度が1mm/sec以上、100mm/sec未満である、
発泡成形体の製造方法。 - 前記発泡工程において、前記キャビティ空間を拡大する際の前記キャビティ空間の容積拡大速度が、射出充填完了時のキャビティ空間の容積を100体積%として、33体積%/sec以上、10000体積%/sec未満である、請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記射出充填工程において、前記金型内のキャビティ空間に射出充填された前記溶融混合物の厚みが1〜3mmであり、前記発泡工程において、発泡後に得られる前記発泡成形体の厚みが1.5〜5mmである、請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記射出充填工程において、前記溶融混合物の射出充填開始から射出充填完了までの時間が0.1〜3秒である、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記金型の表面温度が30〜100℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記発泡成形体の比重が0.45超、0.85未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記溶融混練工程において、前記樹脂成分100重量部に対して、1〜10重量部の前記発泡成分を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記熱膨張性微小球の最大膨張温度が170〜250℃である、請求項1〜7のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
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