JP2019172789A - 改質キサンタンガムの製造方法及び改質キサンタンガム - Google Patents
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しかしながら、このような処理を行ったキサンタンガムを、塩又はイオンを含む水あるいは水性溶媒に添加することで、当該対象の粘度上昇が抑えられてしまう現象がみられる。
さらに、粉末状のキサンタンガムを水等の液体に添加すると、いわゆる「ダマ」が発生する場合がある。
項1. メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程
を含む、改質キサンタンガムの製造方法。
項2. さらに、該練処理物を押出し処理する工程を含む、項1記載の製造方法。
項3. さらに、乾燥工程を含む、項1又は2記載の製造方法。
項4. 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
項5. メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程
を含む製造方法により得られた改質キサンタンガム。
項6. メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程;及び
該混練処理物を押出し処理する工程
を含む製造方法により得られた改質キサンタンガム。
項7. 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、項5又は6記載の改質キサンタンガム。
項8. メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む、キサンタンガムの粘度付与能の強化方法。
項9. 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、項8記載の強化方法。
項10. キサンタンガム100質量部に対して、ヘキサメタリン酸ナトリウム7〜37.5質量部を含む、改質キサンタンガム。
項11. STW(疑似水道水)に溶解した時の粘度(STW−Vis)とDIW(脱イオン水)に溶解した時の粘度(DIW−Vis)の比率(STW−Vis/DIW−Vis)が、0.5〜2.0である、改質キサンタンガムであって、
ここで、
STW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをSTW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表し、
DIW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをDIW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表す、
改質キサンタンガム。
本発明は、改質キサンタンガムの製造方法に関する。
本発明の改質キサンタンガムの製造方法においては、メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む。
本発明で改質前の原料として用いるキサンタンガムは、キサントモナス属菌(Xanthmonas campestris)が菌体外に生産する多糖類である。その構造は、β-(1,4)-D-グルカンを主鎖骨格とし、主鎖中のグルコース1分子おきにα-D-マンノース、β-D-グルクロン酸、β-D-マンノースからなる側鎖が結合したものであり、主鎖に結合したマンノースはC6位がアセチル化され、末端のマンノースはピルビン酸とアセタール結合している。キサンタンガムは、上記構造を有する酸性多糖類であれば、限定はされず、商業的に入手することもできる。かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標] P-180」等が挙げられる。
本発明で用いられるメタリン酸及びその塩は、特に限定はされず、トリメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸、及びそれらの塩が例示される。
ここで、塩とは、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)との塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)との塩等が好ましい例として挙げられる。メタリン酸及びその塩は、1種又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
本発明においては、改質キサンタンガムを得るために、キサンタンガムをメタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下にて、混練処理する。
混練温度としては、特に限定されないが、好ましくは、20〜140℃であり、より好ましくは、30〜130℃であり、さらに好ましくは35℃〜110℃である。
ここで、混練とは、水分を含む状態で混合と練りを同時又は交互に行うことをいう。
本発明においては、限定はされないが、混練物に対して、さらに押出し処理を行うことも好ましい。
キサンタンガムをエクストルーダーにより処理することによって、混練と押出しを同時又は連続的に行うことができる。さらに、場合により、圧縮処理や加熱処理も同時に行うことができる。
バレルは通常複数あり、その中をスクリューが貫通している。スクリューエレメントには、台形スクリューエレメント、台形カットスクリューエレメント、台形リバースカット、ボールスクリューエレメント、ニーディングパドル等のタイプがあり、任意に組み合わせることができる。バレル内にキサンタンガムを供給し、加水しながら、処理を行うことが好ましい。キサンタンガムは、スクリューによりバレル内を移動し、バレル内でニーディングパドル等のスクリューエレメントにより剪断、混合等の処理がなされ、ダイから押し出される。ここで、バレル及びダイは独立して温度調節ができることが好ましい。
乾燥は、乾燥機等を使用して乾燥することができる。乾燥方法としては、自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、真空又は減圧下での凍結乾燥、ドラム乾燥等を挙げることができる。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは、10〜120℃であり、熱風乾燥の場合は好ましくは、45〜95℃である。乾燥する工程は、好ましくは、60℃前後の温度で、10時間〜72時間、より好ましくは、20時間〜48時間かけて行う。
本発明の改質キサンタンガムは、粉体又は顆粒のような粉末の状態で提供され得る。粉末の状態で提供される場合には、典型的には、上記乾燥物を粉砕することによって得られる。粉砕方法は従来公知の方法に従えばよいが、例えば、乳鉢、石臼(マイコロイダー、マスコロイダー)、ボールミル、コーヒーミル、パワーミル、ピンミル、気流式粉砕機(ジェットミル)、せん断摩擦式粉砕機、カッター式粉砕機、衝撃式粉砕機(ハンマーミル、ボールミル)、ロール式粉砕機、ホモジナイザー、超音波破砕機等の乾式破砕機を使用する方法、液体窒素を利用した凍結粉砕機を使用する方法等が挙げられる。本発明の改質キサンタンガムはまた、顆粒の状態で提供され得る。顆粒の状態で提供される場合には、上記押出し成形物を公知の方法により顆粒化することができる。
改質キサンタンガムを粉砕して得られる粉末は、使用する態様に応じて、適切な大きさを選択すればよく特に限定されない。例えば、平均粒子径として、20〜500μm程度の範囲、好ましくは50〜300μm程度の範囲が挙げられる。このような粉末を得る方法は特に限定はされないが、例えば、粉砕後の改質キサンタンガムを篩にかけて、特定サイズを選択することで得られ得る。例えば、粉砕後に、50メッシュ〜150メッシュの篩で処理すること等である。一例として、60メッシュの篩を通過し、100メッシュの篩上に残る粉末を得ることもできる。
本発明の改質キサンタンガムは、メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む製造方法により得られた改質キサンタンガムであり得る。本発明の改質キサンタンガムはまた、メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程;及び該混練処理物を押出し処理する工程を含む製造方法により得られた改質キサンタンガムであり得る。
ここで、
STW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをSTW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表し、
DIW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをDIW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表す。
STWは擬似水道水であり、塩化ナトリウム0.1質量%、塩化カルシウム・2水和物0.0147質量%含む水である。また、DIWは脱イオン水である。すなわち、STWは、DIWに塩化ナトリウム0.1質量%、塩化カルシウム・2水和物0.0147質量%が加えられた水である。
ここで、限定はされないが、本発明において、STW−Visは、好ましくは、1500〜4500mPa・s、より好ましくは2000〜4000mPa・sであり、DIW−Visは、好ましくは、1500〜4500mPa・s、より好ましくは、2000〜4000mPa・sである。
本発明はまた、メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む、キサンタンガムの粘度付与能の強化方法に関する。本発明のキサンタンガムの粘度付与能の強化方法においては、さらに、該混練処理物を押出し処理する工程を含むこともできる。このようなキサンタンガムの粘度付与能強化方法においては、原料の詳細及び粘度付与能強化の為のキサンタンガムの処理条件は、上記[改質キサンタンガムの製造方法]に準じる。
本発明はまた、メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む、キサンタンガムの分散性向上方法に関する。本発明のキサンタンガムの分散性向上方法においては、さらに、該混練処理物を押出し処理する工程を含むこともできる。このようなキサンタンガムの分散性向上方法においては、原料の詳細及び粘度付与能強化の為のキサンタンガムの処理条件は、上記[改質キサンタンガムの製造方法]に準じる。
本発明の改質キサンタンガムは、増粘化剤として用いられる。すなわち、経口組成物(医薬品又は医薬部外品を含む)や飲食品に混合し、粘度のある液状物を調製する場合の増粘剤として有用に利用できる。
より詳細には、限定はされないが、本発明の改質キサンタンガムをSTWに溶解した時の粘度は、好ましくは、1500〜4500mPa・s、より好ましくは2000〜4000mPa・sであり、DIWに溶解した時の粘度は、好ましくは、1500〜4500mPa・s、より好ましくは、2000〜4000mPa・sである。
本発明の改質キサンタンガムは、使用に際して、あるいは、使用する前に予め、任意に別の増粘多糖類と併用することが可能である。本発明の改質キサンタンガムと併用することができる増粘多糖類としては、例えば、カラギナン、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム)、グルコマンナン、ジェランガム(脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランラム)、寒天、アルギン酸、アルギン酸塩類、ペクチン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、大豆多糖類、アラビアガム、ガティガム、トラガントガム、カラヤガム、カシアガム、ラムザンガム、ウェランガム、マクロホモプシスガム、カードラン、プルラン、α化澱粉、α化加工澱粉、スクシノグリカン等が挙げられる。
キサンタンガム(サンサポート[登録商標] P-180、三栄源エフ・エフ・アイ社製)を、2軸エクストルーダーのホッパーに原料フィード10g/分にて供給した。さらに、ヘキサメタリン酸ナトリウムを5質量%含む水(20℃)を20g/分加水しながら、エクストルーダー処理を行った。
各バレルの温度設定は、ホッパーに近いバレルを70℃、混練部を含む吐出ノズル側のバレルを90℃とした。スクリューの回転速度を150rpmに調整し、混練時間は60秒とした。吐出ノズルから得られた加熱溶融混練物を回収して、60℃にて20時間乾燥させた。乾燥後、小型高速粉砕機(Wonder Blender WB-1、大阪ケミカル株式会社製)にて粉砕し、60メッシュパス、100メッシュオンの粉砕物(150〜250μm)を回収した。
ヘキサメタリン酸ナトリウムを8質量%含む水(20℃)を20g/分加水しながら、エクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて改質キサンタンガムの粉砕物を得た。
混練部を含む吐出ノズル側のバレルを35℃にしてエクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて改質キサンタンガムの粉砕物を得た。
混練部を含む吐出ノズル側のバレルを50℃にしてエクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて改質キサンタンガムの粉砕物を得た。
混練部を含む吐出ノズル側のバレルを110℃にしてエクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて改質キサンタンガムの粉砕物を得た。
混練部を含む吐出ノズル側のバレルを130℃にしてエクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて改質キサンタンガムの粉砕物を得た。
実施例1で原料とした無処理のキサンタンガムをそのまま使用した。
イオン交換水(20℃)を20g/分加水しながら、エクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にてキサンタンガムの粉砕物を得た。
クエン酸三ナトリウムを5質量%含む水(20℃)を20g/分加水しながら、エクストルーダー処理を行った以外は、実施例1と同様の操作にて粉砕物を得た。
比較例2の粉砕物100質量部に対し、ヘキサメタリン酸ナトリウム10質量部を粉体混合した混合物を得た。
得られた実施例及び比較例の粉末について、粘度測定試験を行った。具体的には、100mlのビーカーに溶媒を100g入れ、1秒間に4回転しつつ、実施例又は比較例で得られた粉末0.6g及びデキストリン1.4gを10秒で添加し、続けて30秒間手撹拌した。得られた混合物を30分間静置し、粘度をB型粘度計(12rpm)にて測定した。
STW(疑似水道水)に溶解した時の粘度(STW−Vis)とDIW(脱イオン水)に溶解した時の粘度(DIW−Vis)は、以下の表1に示す通りである。なお、実施例1の改質キサンタンガムでは、一般に市販されている緑茶飲料でも3130mPa・sであった。前出の通り、STWは、擬似水道水(塩化ナトリウム 0.1%、塩化カルシウム・2水和物 0.0147%の溶液)、DIWは、脱イオン水を意味する。
実施例1の粉末、比較例1の粉末、及び何も処理を行なっていないキサンタンガムを用いて、分散性を評価した。具体的には、100mlのビーカーに溶媒を100gを入れ、1秒間に4回転しつつ、実施例又は比較例で得られた粉末0.6g及びデキストリン1.4gを一括で添加し、続けて30秒間手撹拌した。得られた混合物をシャーレに移し、ダマの有無と状態を確認する。結果を図1に示す。お茶は、一般に市販されている緑茶飲料を使用した。
結果を図1に示す。
Claims (11)
- メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程
を含む、改質キサンタンガムの製造方法。 - さらに、該練処理物を押出し処理する工程を含む、請求項1記載の製造方法。
- さらに、乾燥工程を含む、請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程
を含む製造方法により得られた改質キサンタンガム。 - メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程;及び
該混練処理物を押出し処理する工程
を含む製造方法により得られた改質キサンタンガム。 - 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、請求項5又は6記載の改質キサンタンガム。
- メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の存在下において、キサンタンガムを混練処理する工程を含む、キサンタンガムの粘度付与能の強化方法。
- 前記メタリン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が、ヘキサメタリン酸塩である、請求項8記載の強化方法。
- キサンタンガム100質量部に対して、ヘキサメタリン酸ナトリウム7~37.5質量部を含む、改質キサンタンガム。
- STW(疑似水道水)に溶解した時の粘度(STW−Vis)とDIW(脱イオン水)に溶解した時の粘度(DIW−Vis)の比率(STW−Vis/DIW−Vis)が、0.5〜2.0である、改質キサンタンガムであって、
ここで、
STW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをSTW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表し、
DIW−Visは、該改質キサンタンガム0.6gをDIW100g及びデキストリン1.4gを含む液に添加して得られた混合物を20℃にてB型粘度計(12rpm)で測定した値を表す、
改質キサンタンガム。
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