JP7430049B2 - メチルセルロースを含有する食品 - Google Patents

メチルセルロースを含有する食品 Download PDF

Info

Publication number
JP7430049B2
JP7430049B2 JP2019188772A JP2019188772A JP7430049B2 JP 7430049 B2 JP7430049 B2 JP 7430049B2 JP 2019188772 A JP2019188772 A JP 2019188772A JP 2019188772 A JP2019188772 A JP 2019188772A JP 7430049 B2 JP7430049 B2 JP 7430049B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
methylcellulose
food
mass
fermented cellulose
gel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019188772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020062010A (ja
Inventor
章 勝嶋
博誉 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Publication of JP2020062010A publication Critical patent/JP2020062010A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7430049B2 publication Critical patent/JP7430049B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)

Description

本発明は、メチルセルロースを含有する食品に関する。
食品を一定の形状に保持させたり、粘度を高めるためのゲル化剤は、pHの変化を利用するものなどを除き、ほとんどが、温度を下げることによりゲル化が促進される。一方、メチルセルロースは、通常のゲル化剤とは異なり、加熱するとゲル化を促進し、冷却するとゲル強度が低下するか又は液状化するという特性を有する。かかる特性を利用して、温度を下げることによりゲル化するゲル化剤との併用により、摂食・嚥下が困難または低下した人が温かい状態でも冷たい状態でも良好に摂食・嚥下できるように食品の物性を調整することが試みられている(特許文献1)。
しかし、メチルセルロースを単独で用いてゲル状の食品を調製しようとすると、メチルセルロースが有する特有の風味により、添加する食品の味に悪影響を与えることがあった。また、液状状態においては粘度が高くなるため、飲用後に口残り感がある等、食感に悪影響を与えることがあった。
特開2014-236700
本発明は、メチルセルロースの風味により、添加する食品の味、食感等に悪影響を与えることなく、加熱によりゲル化し、冷却によりゲル化強度が低下するという特性を食品に与えることを課題とする。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、メチルセルロースに、発酵セルロースを組み合わせ、食品に添加することにより、メチルセルロースの配合量を低減できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。従って、典型的な実施形態において、本発明は、以下の項を提供する:
項1.メチルセルロース及び発酵セルロースを含有することを特徴とする食品。
項2.メチルセルロースの含有量が0.1~2質量%である、項1に記載の食品。
項3.メチルセルロース100質量部に対する発酵セルロースの配合割合が、0.5~400質量部である、項1又は2に記載の食品。
項4.25℃以下かつ常圧において非ゲル状であり、50℃以上においてゲル状である項1~3のいずれか一項に記載の食品。
項5.容器詰食品である、項1~4のいずれか一項に記載の食品。
項6.メチルセルロースを含有する食品のゲル化能増強方法であって、前記食品に発酵セルロースを配合する、方法。
項7.メチルセルロースの含有量が0.1~2質量%である、項6に記載の方法。
項8.メチルセルロース100質量部に対する発酵セルロースの配合割合が、0.5~400質量部である、項6又は7に記載の方法。
項9.前記食品が、25℃以下かつ常圧において非ゲル状であり、50℃以上においてゲル状である項6~8のいずれか一項に記載の方法。
項10.前記食品が容器詰食品である、項6~9のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、メチルセルロースの配合量を低減でき、そのためメチルセルロースの風味により、添加する食品の味、食感等に悪影響を与えることなく、加熱によりゲル化し、冷却によりゲル化強度が低下するという特性を食品に与えることができる。
メチルセルロース及び発酵セルロースを含有する食品
本発明は、メチルセルロース及び発酵セルロースを含有する食品を提供する。
本発明にかかる食品としては、特に限定されないが、例えば、常温においては飲料であるが、温めるとゼリーとなる、ドリンク及びゼリー食品(果物風味のゼリー、コーヒーゼリー、ココアゼリー、野菜風味のゼリー、コンソメ風味のゼリー等)等が挙げられる。
本発明において「ゲル」とは、食品分野において通常使用される意味に解釈され、具体的には、ゾル(コロイド溶液)が流動性を失って、一定の形を保つようになったものを意味する。「ゲル状」とは、上記のように流動性を失って、一定の形を保つようになった状態を示す。「ゲル状物」とは、上記のように流動性を失って、一定の形を保つようになった状態の物質を示す。本発明において「非ゲル状」とは、「ゲル状」とは反対に、流動性を有する状態を意味する。「非ゲル状」には、常温、常圧の水等のように粘度の低い状態だけでなく、とんかつソース(濃厚ソース)、ケチャップ、マヨネーズ、ジャム、水飴等のように粘度の高い状態も含まれる。本明細書において、「液状」との用語も、「非ゲル状」と同様の意味にて使用される。また、非ゲル状からゲル状に状態が変化することを本明細書において「凝固する」と表現することもある。本明細書において、常温とは20℃を示す。本明細書において、常圧とは0.1MPaを示す。
本発明の食品に配合するメチルセルロースとは、植物パルプ等から得られるセルロースをメチルエーテル化して、その水溶性を高めたものを示す。メチルセルロースとしては、例えば、2%水溶液を調製し、20℃でB型回転粘度計で測定した場合に、粘度が3~10000mPa・sであるようなものが好ましい。上記粘度測定においては、回転数60rpmにて、粘度域に応じた適切なローターNo.1~4を用いて測定することができる。
食品添加用に市販されているメチルセルロースとしては、例えば、メトローズ(登録商標)MCE-15、メトローズ(登録商標)MCE-25、メトローズ(登録商標)MCE-100、メトローズ(登録商標)MCE-400、メトローズ(登録商標)MCE-1500、メトローズ(登録商標)MCE-4000等が挙げられる。
本発明の食品におけるメチルセルロースの含有量の上限としては、所望の性質が得られる限り特に限定されないが、例えば、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。本発明の食品におけるメチルセルロースの含有量の下限も、所望の性質が得られる限り特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。本発明の食品におけるメチルセルロースの含有量としては、特に限定されないが例えば、0.1~2質量%が好ましく、0.2~1質量%がより好ましく、0.3~0.5質量%がさらに好ましい。温めた際に十分なゲル状物を得やすくする観点から、メチルセルロースの含有量が上記下限の値より大きいことが好ましい。食品の風味や食感が悪くなることを抑制する観点から、メチルセルロースの含有量が上記上限の値より小さいことが好ましい。
メチルセルロースの水溶液は常温、常圧で液状であり、加熱すると粘度が徐々に低下するが、ある温度を境にゲル化し、ゲル化温度より高温の状態ではゲル状態が持続する。また、当該ゲルを冷却すると、ある温度以下で再度液状になる。このようにメチルセルロースの水溶液は加熱によりゲル状となり、冷却すると液状になり、さらにこれらが可逆的であるという性質を有する。本発明は、かかる性質を有するメチルセルロースと、後述する発酵セルロースとを組み合わせて用いることを特徴とする。
(発酵セルロース)
発酵セルロースは、セルロース生産菌(例えば、アセトバクター属、シュードモナス属、アクロバクテリウム属等に属する細菌)が産生するセルロースである。発酵セルロースは、植物由来の一般的なセルロース繊維の繊維径に比べて非常に微細な繊維径を有する。一方で、その繊維長は長く、純粋な結晶領域のみを取得して得られる結晶セルロースとは大きく異なる。
本発明では、発酵セルロースとして、他の高分子物質と複合化した発酵セルロース複合体を用いることが好ましい。当該複合体は、発酵セルロースと他の高分子物質とから実質的になり、好ましくは発酵セルロース繊維の表面に他の高分子物質が付着している状態の複合体である。このように、発酵セルロース繊維の表面に他の高分子物質が付着することで、発酵セルロース複合体を水相に添加した場合に、発酵セルロース繊維がほぐれやすくなるため、水中油型乳化外用剤組成物の乳化安定性をより一層向上させることができる。
発酵セルロースを複合化させる方法は特に制限されず、常法に従って実施することができる。例えば、発酵セルロースを含有する液体と他の高分子物質の溶液とを混合し、その後、イソプロピルアルコール等を用いたアルコール沈殿や、スプレードライ等によって発酵セルロース複合体を取得する方法、発酵セルロースのゲルを他の高分子物質の溶液に浸漬させる方法、又は特開平09-121787号公報に開示されている方法、具体的には、発酵セルロース産生微生物の培養において、用いる培地中に他の高分子物質を添加する方法等を用いて、発酵セルロースの複合化が可能である。なお、所望により、発酵セルロース複合体を乾燥させて、乾燥粉末を得ることもできる。
このような複合化に使用される、他の高分子物質は、水に溶解する多糖類であれば、特に限定されない。例えば、ガラクトマンナン(例えば、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、タマリンドシードガム、ペクチン、トラガントゴム、カラヤガム、カラギーナン、寒天、アルギン酸、アルギン酸塩、ジェランガム、カードラン、プルラン、サイリウムシードガム、グルコマンナン、キチン、キトサン、デキストリン、澱粉等が挙げられる。好ましい高分子物質は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、キサンタンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である。
かかる発酵セルロース複合体の乾燥粉末は商業上入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンアーティスト[登録商標]H-PN」、「サンアーティスト[登録商標]PN」、「サンアーティスト[登録商標]H-PG」、及び「サンアーティスト[登録商標]PG」等が挙げられる。
前記製剤中、「サンアーティスト[登録商標]H-PN」及び「サンアーティスト[登録商標]PN」は、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びキサンタンガムの発酵セルロース複合体を含有する製剤であり、「サンアーティスト[登録商標]H-PG」及び「サンアーティスト[登録商標]PG」は、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びグァーガムの発酵セルロース複合体を含有する製剤である。
本発明の食品における発酵セルロースの含有量の上限としては、所望の性質が得られる限り特に限定されないが、例えば、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。本発明の食品における発酵セルロースの含有量の下限も、所望の性質が得られる限り特に限定されないが、例えば、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。本発明の食品における発酵セルロースの含有量としては、特に限定されないが例えば、0.01~0.5質量%が好ましく、0.02~0.2質量%がより好ましく、0.05~0.1質量%がさらに好ましい。発酵セルロースの含有量を上記範囲とすることにより、メチルセルロースのゲル化能を向上することができ、また、メチルセルロースによる液状物の粘度上昇を抑制することができるため好ましい。
本発明において、メチルセルロースに対する発酵セルロースの配合割合は特に限定されないが、メチルセルロース100質料部に対し、発酵セルロースの配合割合は、0.5~400質量部が好ましく、1~200質量部がより好ましく、5~100質量部がさらに好ましい。
本発明にかかる食品には、メチルセルロース及び発酵セルロース以外の成分として、本発明の効果が得られる範囲において各種素材を配合してもよい。当該素材としては、例えば、果汁、果肉、糖質、甘味料、乳化剤、増粘多糖類、ビタミン類、乳、乳製品、油脂、酸味料、香料、でん粉、デキストリン、グリセリン、卵、色素、その他調味料等を挙げることができる。より具体的には、果汁及び/又は果肉の原料となる果物の種類は特に制限されず、あらゆる果物を挙げることができる。例えば、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ミカン等の柑橘系果物、イチゴ,ブルーベリー,木イチゴ等のベリー類、バナナ、パインアップル、ピーチ、グレープ、マスカット、アップル、なし、メロン、キウイフルーツ、グァバ、パッションフルーツ、マンゴー、チェリー、すいか等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
当該食品素材としては、例えば、ショ糖、グルコース、フルクトース、パラチノース、キシロース、水あめ及び麦芽糖等の糖質;
ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、及び還元水飴等の糖アルコール;
アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムカリウム、及びステビア等の高甘味度甘味料;
ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;
キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、ウェランガム等の増粘多糖類;
ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、及びビタミンE等のビタミン類;
生乳、牛乳、脱脂乳、及び加工乳等の乳;
発酵乳、濃縮乳、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、チーズ、及びバター等の乳製品;
パーム油、ヤシ油等の油脂;
クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の酸味料;
塩、しょうゆ、味噌、ソース等のその他調味料
等を挙げることができる。香料成分としては、例えば日本国特許庁編集の「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料」(平成12年1月14日発行)に記載されている天然香料及び合成香料などを挙げることができる。具体的には、シトラス系果実(オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ・スダチ等)の香りを有するシトラス系香料(88~135頁)、シトラス系果実以外の果実(アップル、グレープ、イチゴ、バナナ、ピーチ、メロン、アンズ、ウメ、サクランボ、ベリー類等)の香りを有するフルーツ系香料(136~257頁)、乳製品の香りを有するミルク系香料(ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、ヨーグルトフレーバー等)(258~347頁)、バニラビーンズの香りを有するバニラ系香料(348~366頁)、緑茶、烏龍茶、紅茶などの香りを有する茶系香料(367~426頁)、ココアやチョコレートの香りを有するココア・チョコレート香料(427~446頁)、コーヒーの香りを有するコーヒー香料(447~475頁)、ペパーミントやスペアミントなどの香りを有するミント系香料(476~495頁)、香辛料の香りを有するスパイス系香料(496~580頁)、アーモンドなどのナッツ類の香りを有するナッツ系香料(581~608頁)、洋酒(例えばワイン、ウイスキー、ブランデー、ラム酒、ジン、リキュール等)の香りを有する洋酒系香料(759~825頁)、花の香りを有するフラワー系香料(826~836頁)、野菜(例えばオニオン、ガーリック、ネギ、人参、ゴボウ、椎茸、松茸、三つ葉等)の香りを有する野菜系香料(837~907頁)などを例示することができる。好ましくはシトラス系香料、フルーツ系香料、ミルク系香料、ココア・チョコレート系香料、ミント系香料、野菜系香料を挙げることができる。
本発明の食品のpH(25℃)は特に限定されないが、例えば、2~9が好ましく、2.5~8がより好ましい。
本発明の効果が得られる範囲において、本発明の食品は、その他食品素材として、メチルセルロース及び発酵セルロース以外のゲル化剤を含んでいてもよい。ゲル化剤としては、例えば、寒天、ゼラチン、カラギナン、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、アルギン酸、ペクチン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、ウェランガム等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのゲル化剤を用いる場合、本発明の食品中の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.001~0.1質量%が好ましく、0.01~0.05質量%がより好ましい。
本発明にかかる食品は、加熱によりゲル化し、冷却によりゲル化強度が低下するという特性を有する。好ましい実施形態において、本発明の食品は、25℃以下かつ常圧において非ゲル状であり、50℃以上においてゲル状である。
本発明の食品としては、容器詰食品が挙げられる。本発明において、容器の素材としては、特に限定されないが、プラスチック、ガラス、陶器、金属、紙等が挙げられる。容器の容量としては特に限定されないが、例えば、1~2000mlが好ましく、5~1000mlがより好ましい。
本発明の食品は、水にメチルセルロース、発酵セルロース及び任意選択で上記その他の食品素材を添加し、混合することにより製造することができる。上記原料を添加する順序は特にされず、水にメチルセルロースを先に添加し、発酵セルロースを後に添加しても、水に発酵セルロースを先に添加し、メチルセルロースを後に添加しても、これらを同時に添加してもよい。その他の食品素材を添加する場合、当該その他の食品素材についても、これらの食品素材の特性などに応じて、適当な段階で添加することができる。また、これらの原料を添加、混合する際の温度としては、特に限定されず、5~80℃が好ましく、10~50℃がより好ましい。また、メチルセルロースを水に溶解させる際の好ましい条件としては、例えば、50~80℃の水にメチルセルロースを添加混合し、撹拌しながら20℃以下に冷却して溶解させることが好ましい。また、発酵セルロースを水中に均質に分散させる際の好ましい条件としては、ホモゲナイザーを用いた均質化(例えば、20~80℃の水に発酵セルロースを添加混合し、高圧ホモゲナイザー(例えば、5~20MPa、典型的には15MPa)にて均質化させること)が好ましい。これらの工程において、加熱、冷却時間も特に限定されず、メチルセルロース、発酵セルロース、ならびに任意選択で用いられるその他の食品を溶解及び/又は分散させるよう適宜設定できる。かかる工程において、圧力は特に限定されず、減圧下、常圧、加圧下のいずれでもよい。
ゲル化能増強方法
別の実施形態において、本発明は、メチルセルロースを含有する食品のゲル化能増強方法であって、前記食品に発酵セルロースを配合する、方法を提供する。
本発明において、ゲル化能増強とは、メチルセルロースを含有する食品の加熱時のゲル化能を増強すること、典型的には50℃以上でのゲル化能を増強することを意味する。本発明において、「ゲル化能」とは、本願発明の属する技術分野における通常の意味に解釈されるが、例えば、非ゲル状からゲル状となることができる性能及びゲル状食品の場合、メチルセルロースの配合量がより少ない領域であっても、ゲル状を呈することができる性能を示す。
当該実施形態において用いるメチルセルロースの種類、使用量;発酵セルロースの種類、使用量;使用し得るその他の成分等については「メチルセルロース及び発酵セルロースを含有する食品」の項で前述した条件を適宜、採用できる。
実施例1
<製法>
下記(1)~(5)に記載の工程により、表1に記載の組成の容器詰食品を調製した。
(1) 水に、(b)~(g)の原料を各々添加し、80℃10分間撹拌混合する
(2) 80℃の(1)を撹拌しながら、(a)を添加し、撹拌混合し、重量補正する
(3) (b)又は(c)を添加した組成物は、ホモゲナイザーを用いて15MPaにて均質化する
(4) 撹拌しながら、20℃以下まで冷却する
(5) 200ml容量の金属缶に190g充填し、85℃30分間殺菌する
表中の数値は質量部を示す。
(a) メトローズ MCE-400:メチルセルロース、信越化学工業(株)
(b) サンアーティスト(登録商標) PG:発酵セルロース(20質量%)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グァーガム及びデキストリン、三栄源エフ・エフ・アイ(株)
(c) サンアーティスト(登録商標) PN:発酵セルロース(18.3質量%)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム及びデキストリン、三栄源エフ・エフ・アイ(株)
(d) ビストップ(登録商標) D-3000:キサンタンガム、三栄源エフ・エフ・アイ(株)
(e) ビストップ(登録商標) D-20:グァーガム、三栄源エフ・エフ・アイ(株)
(f) セロゲンF930A:カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬(株)
(g) ビストップ(登録商標) D-171:ローカストビーンガム、三栄源エフ・エフ・アイ(株)
<評価方法>
ゲル化の程度の評価は、目視評価及びテクスチャーアナライザーでのゲル強度測定により行った。
・目視:調製した容器詰食品20gを60ml容量のプラスティックカップに入れ、電子レンジ(500W)にて20~30秒加熱して、食品温度を約60℃に調整した後、スプーンを用いて食品の状態を観察し、固体(ゲル化している状態)を○、一部ゲル化している状態を△、液体(ゲル化していない状態)を×と評価した。
・ゲル強度:調製した容器詰食品を60ml容量のプラスティックカップに満充填し、フィルム密閉した後、これを55℃のウォーターバスに30分間保温した。その後、密閉フィルムを剥がした試料について、テクスチャーアナライザー(TA-XT plus Stable Micro Systems社)を用い、感圧軸円柱プランジャー(Φ11.3mm)の進入速度1.0mm/秒にてゲル強度を測定した。
さらに、5℃での各試験区の粘度をB型回転粘度計(TVB-10型粘度計 東機産業(株))を用い、粘度域に応じた適切なローターNo.1~4を用い、60rpmで測定した。
<結果>
結果を下記表2に示す
表2に示すように、メチルセルロース単独単品より、発酵セルロースを併用することで、大きくゲル化力は向上した。一方、メチルセルロースに発酵セルロースを併用せずに、他の各種増粘多糖類と併用しても、大きな変化はなかった。サンアーティスト(登録商標)の構成素材のうち、発酵セルロース以外の成分であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、グァーガム、キサンタンガムではゲル力向上効果が無かったため、発酵セルロースにメチルセルロースのゲル化力向上効果があると考えられる。
さらに、試験区1-2、1-3及び1-4の品温5℃における風味及び食感についてよく訓練されたパネラー3名により、官能評価を行った。評価基準は以下の通り:
<風味>
○:わずかにメトローズ由来の風味がするが、問題ないレベル
△:メトローズ由来の風味がする
×:メトローズ由来の風味が非常に強い
<食感>
○:粘度は感じるがさらりとしており、後口に残らない
△:粘度があり後口に残るが、問題ないレベル
×:非常にもったりとし後口に残る
結果を下記表3に示す。風味及び食感 共にパネラー3名全てが同じ評価結果を示した。
上記試験結果から分かるようにメトローズ(メチルセルロース)単品の場合、1質量部用いることによりゲル状物を得ることができる(試験区1-2)。しかし、その場合、メトローズの量が多いため、最終試作品の風味の悪化や飲料として飲む際に口の中に嫌な粘度が残った(同試験区1-2)。これに対し、メチルセルロースと発酵セルロースとを併用することでゲル化力を向上することができるため、少量のメチルセルロースでもゲル状物を得ることができると共に、風味及び食感の悪化を抑制することができた(試験区1-3及び1-4)。
実施例2
<製法>
実施例1と同様の工程により、表4に記載の組成の容器詰食品を調製した。
上記表4中の数値は質量部を示す。
<評価方法>
各試験区について、実施例1に記載の方法で、目視評価によるゲル化の程度の評価、及び粘度の測定を行った。結果を表5に示す。
さらに、試験区2-2、2-3及び2-6の品温5℃における風味及び食感についてよく訓練されたパネラー3名により、官能評価を行った。評価基準は実施例1に同じ。
結果を下記表6に示す。風味及び食感 共にパネラー3名全てが同じ評価結果を示した。
上記試験結果から分かるようにメトローズ(メチルセルロース)単品の場合、1質量部用いることによりゲル状物を得ることができる(試験区2-2)。しかし、その場合、メトローズの量が多いため、最終試作品の風味の悪化や飲料として飲む際に口の中に嫌な粘度が残った(同試験区2-2)。これに対し、メチルセルロースと発酵セルロースとを併用することでゲル化力を向上することができるため、少量のメチルセルロースでもゲル状物を得ることができると共に、風味及び食感の悪化を抑制することができた(試験区2-3及び2-6)。
さらに試験区2-2、2-3及び2-6について、回転速度100rpmでの粘度も測定した。結果を下記表7に示す。
上記のとおり、試験区2-2は、ニュートン粘性を示したことから、飲み込む動作など液体に大きな動きが加わる場合においても、その粘度が変わらないため、もったりとした後口に繋がるものと考えられた。それに対し、試験区2-3及び2-6は、シュードプラスチック粘性を示したことから、飲み込む際の粘度が低下し、後口の切れの良さに繋がるものと考えられた。
実施例3 チョコレートゼリー&チョコレート飲料
<製法>
下記(1)~(5)に記載の工程により、表8に記載の組成の容器詰食品を調製した。下記工程(1)~(5)において数字1~11は表8の左列に当該数値が付与された各成分を示す。
(1)水に4、7、8、9の粉体混合物を添加し、80℃10分間撹拌溶解する
(2)1、2、3、5、10を添加混合し、重量補正する
(3)75℃にて6を添加し、撹拌混合後、ホモゲナイザーにて均質化(15Mpa)する
(4)撹拌しながら20℃以下まで冷却し、11を添加する。
(5)200ml容量の金属缶に190g充填し、125℃30分間レトルト殺菌する
上記表8中の数値は質量部を示す。
・メトローズ MCE-400 (メチルセルロース、信越化学工業(株))
・サンアーティスト(登録商標)PN (発酵セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム及びデキストリン、三栄源エフ・エフ・アイ(株))
・ホモゲン(登録商標)NO.897(F) (グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル、三栄源エフ・エフ・アイ(株))
・スマートテイスト(登録商標) (デキストリン、三栄源エフ・エフ・アイ(株))
<評価方法>
各試験区の飲料のpH及びBrixを測定した。各試験区の飲料を実施例1に記載の方法で、目視評価によるゲル化の程度の評価、及び粘度の測定を行った。結果を表9に示す。
上記表9に示すように、試験区3-1は、加熱してもゲル化はしなかった。これに対し、試作品3-2及び3―3は、加熱するとゲル化した。しかし、試験区3-2は、飲料(5℃)での粘度が高く、飲み難さを感じるものであった。これに対し、試作品3-3では飲料(5℃)での粘度が比較的低く飲み易い物性であった。
実施例4 フォームミルク
<製法>
下記表10に記載の原料を室温にて撹拌機により混合することにより、乳飲料を調製した。調製した乳飲料をエスプレッソマシンのミルクフォーム機能を用いて、フォームミルクを作成した。
上記表10中の数値は質量部を示す。
・メトローズ MCE-400 (メチルセルロース、信越化学工業(株))
・サンアーティスト(登録商標)PG (発酵セルロース(20質量%)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グァーガム及びデキストリン、三栄源エフ・エフ・アイ(株))
(メトローズMCE-400 3%水溶液の調製)
70℃の水(97質量部)にメトローズMCE-400(3質量部)を撹拌しながら添加し、撹拌継続しながら20℃以下まで冷却して、メトローズの水溶液を調製した。
(サンアーティスト(登録商標)PG 2%水溶液の調製)
水(98質量部)にサンアーティストPG(2質量部)を添加し、室温にて10分間撹拌した後、ホモゲナイザーを用いて15MPaにて均質化することにより、サンアーティストの水溶液を調製した。
<評価方法>
フォームミルク作成前の乳飲料(室温(約25℃))について、実施例1に記載の方法に基づき、加熱し、目視評価によるゲル化の程度を評価した。また、上記フォームミルク作成前の乳飲料について、試験区4-1と比較した食感を官能評価した。
また、フォームミルクについて、泡の状態を観察すると共に、試験区4-1と比較した食感を官能評価した。結果を表11に示す。
表11に示すように、メチルセルロース及び発酵セルロースを加えることにより、高温で泡膜がゲル状のため安定性の高い泡ができ、かつ後口の食感も抑制されたフォームミルクを得ることができた(試験区4-3)。

Claims (9)

  1. メチルセルロース及び発酵セルロースを含有し、メチルセルロースの含有量が0.1~2質量%であることを特徴とする食品。
  2. メチルセルロース100質量部に対する発酵セルロースの配合割合が、0.5~400質量部である、請求項1に記載の食品。
  3. 25℃以下かつ常圧において非ゲル状であり、50℃以上においてゲル状である請求項1又は2に記載の食品。
  4. 容器詰食品である、請求項1~のいずれか一項に記載の食品。
  5. メチルセルロースを含有する食品のゲル化能増強方法であって、前記食品に発酵セルロースを配合する、方法。
  6. メチルセルロースの含有量が0.1~2質量%である、請求項に記載の方法。
  7. メチルセルロース100質量部に対する発酵セルロースの配合割合が、0.5~400質量部である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記食品が、25℃以下かつ常圧において非ゲル状であり、50℃以上においてゲル状である請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記食品が容器詰食品である、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
JP2019188772A 2018-10-15 2019-10-15 メチルセルロースを含有する食品 Active JP7430049B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018194676 2018-10-15
JP2018194676 2018-10-15

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020062010A JP2020062010A (ja) 2020-04-23
JP7430049B2 true JP7430049B2 (ja) 2024-02-09

Family

ID=70386380

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019188772A Active JP7430049B2 (ja) 2018-10-15 2019-10-15 メチルセルロースを含有する食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7430049B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005218361A (ja) 2004-02-05 2005-08-18 Sanei Gen Ffi Inc 食品の品質改良法および品質改良された食品
JP2009118755A (ja) 2007-11-13 2009-06-04 Sanei Gen Ffi Inc 溶存酸素増加抑制方法
WO2011010368A1 (ja) 2009-07-21 2011-01-27 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 飲料の気泡保持能強化方法
JP2014236700A (ja) 2013-06-07 2014-12-18 伊那食品工業株式会社 食品、その製造方法、及び摂食・嚥下補助剤
JP2017212951A (ja) 2016-06-01 2017-12-07 信越化学工業株式会社 ゲル化組成物及びこれを含む食品

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005218361A (ja) 2004-02-05 2005-08-18 Sanei Gen Ffi Inc 食品の品質改良法および品質改良された食品
JP2009118755A (ja) 2007-11-13 2009-06-04 Sanei Gen Ffi Inc 溶存酸素増加抑制方法
WO2011010368A1 (ja) 2009-07-21 2011-01-27 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 飲料の気泡保持能強化方法
JP2014236700A (ja) 2013-06-07 2014-12-18 伊那食品工業株式会社 食品、その製造方法、及び摂食・嚥下補助剤
JP2017212951A (ja) 2016-06-01 2017-12-07 信越化学工業株式会社 ゲル化組成物及びこれを含む食品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020062010A (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7045189B2 (ja) ウェランガム含有組成物
JP3182557B2 (ja) ネイティブジェランガムを含有する分散安定剤、及びその応用
JP5435441B2 (ja) 咀嚼・嚥下困難者用ゲル化剤
JP4294606B2 (ja) 乳化香料組成物
JP3351343B2 (ja) 酸性蛋白食品及びその製造法
JP3400777B2 (ja) 低カロリー乳含有酸性飲料
JP5145364B2 (ja) ホイップクリームの製造方法
JP2003125715A (ja) ドリンクゼリー
JP2016093111A (ja) 柑橘果皮加工品およびその製造方法
JP4675852B2 (ja) 液状組成物用増粘化剤
JP2008237051A (ja) 分散安定剤及びその応用
CN105916383B (zh) 冷冻饮料
JP7430049B2 (ja) メチルセルロースを含有する食品
JP2008029279A (ja) オカラ成分含有飲料
JP2009067886A (ja) 高ゲル強度ジェランガムの新規用途
JP2005323530A (ja) 酸性乳飲料
JP7007090B2 (ja) リモネン含有炭酸飲料
JP2005176749A (ja) ドリンクゼリー用ゲル化剤及びドリンクゼリー
JP5015102B2 (ja) ナタデココ加工品およびその製造方法
JP2011000052A (ja) 即席デザート調製用液状ベース
CN109195447A (zh) 具有通过摇动而形成的泡沫的即饮型饮料
JP2007074945A (ja) 吸い口付き密封容器入りゼリー状食品及びその製法
JP2009291163A (ja) ネイティブジェランガム含有飲料
WO2021241686A1 (ja) タンパク質含有酸性飲料
JP2012065610A (ja) 加温販売用容器詰めゼリー入り飲料及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230704

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7430049

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150