JP2019171858A - 円環状樹脂成形体および複合部材 - Google Patents

円環状樹脂成形体および複合部材 Download PDF

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英利 西川
Hidetoshi Nishikawa
英利 西川
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Abstract

【課題】ショートショットの発生が抑制され、成形精度に優れた円環状樹脂成形体および該円環状樹脂成形体を含む複合部材を提供することを目的とする。【解決手段】内側樹脂部材2は、内径円筒部3と、外径円筒部4と、内径円筒部3と外径円筒部4との間に設けられた円板部5と、円板部5に放射状に設けられた複数のリブ6とを備え、内側樹脂部材2は、樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体であり、複数のリブ6は、円周方向に均等に、かつ、内径円筒部3から外径円筒部4にかけて延設され、複数のリブ6の少なくとも1つの径方向略中央にゲート痕8を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、円環状樹脂成形体および該円環状樹脂成形体を含む複合部材に関する。
従来、産業機械や自動車などにおいて、軽量化や低コスト化を図るために樹脂製プーリや樹脂製ギヤといった円環状の複合部材が用いられている。例えば、樹脂製プーリは、エンジン補機類を駆動する駆動ベルトの案内などに用いられ、転がり軸受の外周に合成樹脂を一体成形したものが知られている。このような樹脂製プーリは、射出成形金型内に転がり軸受を配置し、該転がり軸受の外輪外周部に形成されたキャビティ内に溶融樹脂を充填することで製造される。
樹脂製プーリや樹脂製ギヤといった円環状の複合部材は、外周面の形状精度が重要であり、外周部を構成する円環状の樹脂成形体には高い成形精度が要求される。該成形体の成形精度を高める手段として、射出成形時のゲートの位置を工夫した技術などが知られている。
例えば、特許文献1には、軸受と、軸受の外周に一体形成された樹脂部本体とからなる樹脂製プーリが開示されている。この樹脂部本体は、円板状の基部と、基部の内周部および外周部に沿って基部の略厚さ方向に張り出し形成された円筒状の内径部および外径部と、基部の内周部から外周部へと放射状に延びるとともに基部の略厚さ方向に突出する多数のリブとを有している。特許文献1の技術では、射出成形時において、複数のピンゲートの各々を、隣接するリブ間に内径側円筒部の一方の端面の周方向に沿って略等間隔で配置することで、成形精度の向上を図っている。
特開平8−4883号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、小径の円環状樹脂成形体の場合には、成形精度がある程度維持されるものの、例えば外径が60mmを超えるといった比較的大径の円環状樹脂成形体の場合には、ゲート位置が樹脂成形体の内径側にあると、外径側にまで溶融樹脂が流れにくい。樹脂成形体の外径側まで溶融樹脂が円滑に流れていかないと、ショートショットが生じ、成形精度の悪化や真円度の悪化につながるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ショートショットの発生が抑制され、成形精度に優れた円環状樹脂成形体および該円環状樹脂成形体を含む複合部材を提供することを目的とする。
本発明の円環状樹脂成形体は、内径円筒部と、外径円筒部と、該内径円筒部および該外径円筒部の間に設けられた円板部と、該円板部に放射状に設けられた複数のリブとを備える円環状樹脂成形体であって、上記円環状樹脂成形体は、樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体であり、上記複数のリブは、円周方向に均等に、かつ、上記内径円筒部から上記外径円筒部にかけて延設され、該複数のリブの少なくとも1つの径方向略中央にゲート痕を有することを特徴とする。
上記ゲート痕を有するリブは、径方向略中央に、周方向幅が該リブの他の部分よりも大きく形成された膨出部を有しており、該膨出部の軸方向端面に上記ゲート痕が形成されていることを特徴とする。
上記ゲート痕を有するリブは、軸方向断面において略V字状に形成され、該リブの軸方向端面は、径方向中央に向けて傾斜した一対の傾斜面を有していることを特徴とする。
上記複数のリブは、上記ゲート痕を有するリブAと、上記ゲート痕を有さないリブBとから構成され、上記リブAと上記リブBと周方向で交互に配置されていることを特徴とする。
本発明の複合部材は、円環状金属部材と、該円環状金属部材の外周に一体成形された本発明の円環状樹脂成形体とを備え、上記円環状金属部材の外周面に凸部および凹部の少なくとも一方が周方向に沿って形成され、上記円環状樹脂成形体の内径円筒部の内周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする。
本発明の複合部材は、円環状樹脂部材と、該円環状樹脂部材の内周に一体成形された本発明の円環状樹脂成形体とを備え、上記円環状樹脂部材の内周面に凸部および凹部の少なくとも一方が周方向に沿って形成され、上記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする。
上記円環状樹脂部材の内周面に上記凸部が形成され、上記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が上記凸部に係合しており、上記凸部は、上記複合部材の軸方向における上記凸部の側面の少なくともいずれか一方に、径方向外側に向かって上記凸部の軸方向長さが大きくなる傾斜面を有することを特徴とする。
本発明の複合部材は、円環状金属部材と、円環状樹脂部材と、該円環状金属部材の外周で、かつ、該円環状樹脂部材の内周に一体成形された本発明の円環状樹脂成形体とを備え、上記円環状金属部材の外周面に凸部および凹部の少なくとも一方が形成され、上記円環状樹脂成形体の内径円筒部の内周面が、該凸部または該凹部に係合し、上記円環状樹脂部材の内周面に凸部および凹部の少なくとも一方が形成され、上記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする。
本発明の円環状樹脂成形体は、円板部に放射状に設けられた複数のリブを備え、複数のリブは、円周方向に均等に、かつ、内径円筒部から外径円筒部にかけて延設され、該複数のリブの少なくとも1つの径方向略中央にゲート痕を有するので、射出成形時には、キャビティ内の隅々にまで溶融樹脂が円滑に流れ込むことができる。その結果、成形体の内径円筒部にショートショットが生じることが回避され、かつ、成形体の外径円筒部にショートショットが生じることが回避され、成形精度に優れた円環状樹脂成形体が得られる。
射出成形においてリブ上にゲートを設ける場合、例えば、ゲート痕とリブの幅が同じであると、成形金型から成形体を取り出す際にリブの一部が折れるなどして所望の形状とならないことが懸念される。この点、上記円環状樹脂成形体では、ゲート痕を有するリブは、径方向略中央に周方向幅が大きい膨出部を有しており、該膨出部の軸方向端面にゲート痕が形成されるので、成形体を取り出す際にもリブの一部が折れるなどの不具合が生じることなく、所望の形状の円環状樹脂成形体が得られる。
上記ゲート痕を有するリブは、軸方向断面において略V字状に形成され、該リブの軸方向端面は、径方向中央に向けて傾斜した一対の傾斜面を有しているので、ゲート痕はリブの窪んだ箇所に形成され、目立ちにくく、各種動作に干渉することがない。
上記複数のリブは、ゲート痕を有するリブAと、ゲート痕を有さないリブBとから構成され、リブAとリブBと周方向で交互に配置されているので、溶融樹脂の接合部であるウェルド部がゲート痕を有さないリブBに形成されるため、ウェルド部による強度低下を抑制できる。
本発明の複合部材は、本発明の円環状樹脂成形体と、円環状金属部材または円環状樹脂部材とが一体成形されたものであり、該円環状金属部材または該円環状樹脂部材に形成された凸部および凹部の少なくともいずれかに円環状樹脂成形体の円筒部が係合するので、各部材が確実に一体化された複合部材が得られる。具体的には、成形金型のキャビティ内に円環状金属部材または円環状樹脂部材を装着して、溶融樹脂をキャビティ内に流し込む際に、上記凸部または上記凹部の周囲に溶融樹脂が流れ込むことで、例えば、各部材を抱え込む形となり、各部材が円環状樹脂成形体から外れることを防止できる。
特に、本発明の複合部材が、円環状樹脂成形体と円環状樹脂部材とが一体成形されたものであり、円環状樹脂部材の内周面に凸部が形成され、円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が上記凸部に係合しており、該凸部は、複合部材の軸方向における凸部の側面の少なくともいずれか一方に、径方向外側に向かって凸部の軸方向長さが大きくなる傾斜面を有するので、この傾斜面に沿って樹脂が充填されることで射出成形時に空気が押し出されやすくなり、ボイド(巣)の発生を抑制できる。
本発明の複合部材は、本発明の円環状樹脂成形体と、円環状金属部材と、円環状樹脂部材とが一体成形されたものであり、該円環状金属部材および該円環状樹脂部材にそれぞれ形成された凸部および凹部の少なくともいずれかに円環状樹脂成形体の円筒部が係合するので、各部材が確実に一体化された複合部材が得られる。また、3部材からなる構成とすることで、例えば、強度が重要となる円環状金属部品と、耐摩耗性、摺動性が重要となる円環状樹脂部材とが、円環状樹脂成形体を介して一体化され、内側に円環状金属部材、外側に円環状樹脂部材を、円環状樹脂成形体で繋ぎ止めることで、特殊な特性に対応した複合部材が得られる。
本発明の複合部材の一例を示す平面図である。 図1の複合部材の底面図である。 図1の複合部材のA−A線断面図である。 図1の複合部材のB−B線断面図である。 図1の複合部材の成形金型のゲート周辺の拡大断面図である。 他の形態の複合部材のゲート周辺の拡大断面図である。 本発明の複合部材の他の例を示す軸方向断面図である。 図7の複合部材の成形金型のゲート周辺の拡大断面図である。
本発明の複合部材の一例を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本発明の複合部材の平面図であり、図2はその底面図であり、図3および図4は各線で切断した軸方向断面図である。
図1に示すように、複合部材1は、軸受部を構成する金属部材11と、他部材等と連動する外側樹脂部材21と、本発明の円環状樹脂成形体である内側樹脂部材2とを備えた3部材からなっている。内側樹脂部材2は、所定の樹脂組成物の射出成形体であり、金属部材11の外周および外側樹脂部材21の内周にインサート成形される。複合部材1の外径は、例えば80〜120mmである。
内側樹脂部材2は、金属部材11の外周に固定される内径円筒部3と、外側樹脂部材21の内周に固定される外径円筒部4と、内径円筒部3および外径円筒部4の間に設けられた円板部5と、円板部5の両面に放射状に設けられた複数のリブ6、6’とを有する(図1、図2参照)。各リブは、内径円筒部3と外径円筒部4を連結するように径方向に沿って設けられ、それぞれが円周方向に等間隔に(均等に)配置されている。内側樹脂部材2の外径は、例えば60〜100mmである。円環状の樹脂成形体において、外径が60mmを超えると、溶融樹脂の流動距離の差などから、ショートショットなどの不具合が生じやすいが、本発明は、外径60mmをこえる比較的大径の樹脂成形体であっても不具合なく製造できる。
図1に示すように、リブ6は、射出成形時のゲート痕8を有するリブ6aと、ゲート痕を有さないリブ6bとから構成される。リブ6aは、内径円筒部3と外径円筒部4との中間部分に、周方向幅が該リブの他の部分よりも大きく形成された膨出部7を有している。膨出部7は、略円形状に形成されており、その膨出部7の軸方向端面の略中央にゲート痕8が形成される。すなわち、リブの径方向略中央に射出成形時のゲートが位置することになるので、ゲートから内径円筒部までの距離と外径円筒部までの距離とが略同一となり、溶融樹脂の流動パランスに優れる。その結果、例えば、ゲートを内径円筒部に設ける場合に比べて、樹脂の移動距離が短く、ショートショットの発生を抑制できる。
リブ6aにおいて、膨出部7以外の部分の周方向幅T1は、例えば1〜4mmであり、膨出部7の最大周方向幅T2は後述するゲート孔のサイズにもよるが、例えば3〜7mmである。各周方向幅は、T1<T2の関係を満たす範囲であれば適宜設定でき、好ましくは、周方向幅T2が周方向幅T1の2〜3倍である。なお、リブ6bの周方向幅は、例えば周方向幅T1と同一に設定される。
図1に示すように、内側樹脂部材2においてリブ6aとリブ6bは周方向に交互に配置される。このようにゲート痕8を有するリブ6aを1つおきに配置することで、ウェルド部が、隣接する各リブ6aからの周方向上の距離が等しくなるリブ6bに形成されるため、ウェルド部での強度低下を抑制できる。そのため、リブにウェルド部が形成されるように、複数のリブ6は、隣接するリブ6a間のリブ6bの数が奇数(図1では1つ)となるよう設けることが好ましい。
図2は、複合部材1を図1とは反対側から見た図である。内側樹脂部材2は、軸方向一端側から射出成形されることから、反対面のリブ6’にはゲート痕が形成されていない。内側樹脂部材2において、片方の面に設けられたリブ6(図1)と、反対面に設けられたリブ6’(図2)は同じ数であり、各面のリブは軸方向でそれぞれ重なる位置に設けられる。ここで、リブ6a’は図1のリブ6aに対応し、リブ6b’は図1のリブ6bに対応している。図1と同様に、リブ6a’の径方向略中央には、周方向幅が該リブの他の部分よりも大きく形成された膨出部7’が形成されているが、反対面において膨出部7’は必ずしも形成されていなくてもよい。
片方の面におけるリブの数は、特に限定されず、図1および図2では12本のリブがそれぞれ設けられている。なお、各面におけるリブの数は同じでも、互いに異なっていてもよい。また、片方の面にのみリブが設けられた構成としてもよい。
図3には、図1のA−A線断面図を示す。図3に示すように、複合部材1の断面形状は軸方向中心線Xに対しゲート痕の有無を除いて対称となっている。リブ6a、6a’は、軸方向端面が略V字状に形成される。具体的には、リブ6aは、ゲート痕8が形成された膨出部7において軸方向長さが最も小さくなり、膨出部7から内径円筒部3または外径円筒部4に向けて軸方向長さが長くなるように形成される。この場合、リブ6aの軸方向端面は、径方向中央に向けて傾斜した一対の傾斜面と膨出部7の平面とから構成される。ゲート痕は有しないが、リブ6a’も同様に形成されている。
図3の軸方向断面図において、金属部材11の外周面には内側樹脂部材2に向かって突出した凸部12が形成されている。また、外側樹脂部材21の内周面には内側樹脂部材2に向かって突出した凸部22が形成されている。射出成形時には、各凸部を覆うように溶融樹脂が流れ込むため、内径円筒部3が金属部材11を抱え込む形となり、また、外径円筒部4が外側樹脂部材21を抱え込む形となる。これにより、各部材と内側樹脂部材2とが安定して固定され、外れることが防止できる。このように凸部12、22は内側樹脂部材との係合部として機能する。
凸部12および凸部22は、それぞれ周方向に沿って全周にまたは一部に形成される。図3および図4に示す形態では、凸部12および凸部22はそれぞれ全周にわたり形成されている。各凸部の形状は、内側樹脂部材に対し係合部として機能する形状であれば、特に限定されない。図3において、凸部12は、断面形状が略矩形状であり、凸部22は、両側面(軸方向両端面)に軸方向にそれぞれ張り出したアンダーカット部22aを有しており、断面形状が略十字状である。このアンダーカット形状により、外側樹脂部材21が内側樹脂部材2に対して径方向へ抜けにくくなっている。
また、凸部12および凸部22が周方向に沿って一部に形成される構成では、例えば、凸部12が金属部材11の周方向に沿って等間隔に複数形成され、凸部22が外側樹脂部材21の周方向に沿って等間隔に複数形成される。この場合、これら凸部は、複合部材1の周方向で同じ位置に形成されることが好ましい。また、各凸部の周方向における位置は、特に限定されないが、ゲート位置との関係から設定するとよい。具体的には、少なくともゲート痕を有するリブの周方向位置に凸部を設けることが好ましい。この場合、さらに、ゲート痕を有さないリブの周方向位置にも凸部を設けてもよい。こうすることで、キャビティ内の凸部周囲の隙間に溶融樹脂が流れ込みやすくなる。
なお、図3では、係合部を、金属部材11の外周面および外側樹脂部材21の内周面から内側樹脂部材2に向かってそれぞれ突出した凸部としたが、凸部に代えて凹部としてもよく、また、凸部と凹部を組み合わせてもよい。例えば、金属部材11の凹部は、金属部材11の外周面から径方向内側に窪んで形成される。
図4には、図1のB−B線断面図を示す。図4は、リブが設けられていない円板部での軸方向断面図である。図4の断面図において、各凸部の形状は、図3と同様である。ここで、円板部5の軸方向長さをL1、ゲート痕8の位置における両面のリブを含む軸方向長さをL2とすると、L2はL1の2〜5倍であることが好ましく、3〜4倍であることがより好ましい。L2をL1の2〜5倍の範囲とすることで、リブの軸方向端面から充填された溶融樹脂が円板部にスムーズに誘導される。
なお、複合部材1の外側樹脂部材21の外周面の形状は任意の形状とでき、例えば、他部材等と係合や連結して連動するような形状(フラット、凹凸、歯車等)とできる。
金属部材としては、金属製の転がり軸受やすべり軸受が採用され、材質には溶製金属が用いられる。溶製金属材質としては、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であることが好ましい。鉄としては一般構造用炭素鋼(SS400など)、軟鋼(SPCC、SPCEなど)、ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)などが挙げられ、これら鉄に亜鉛、ニッケル、銅などのめっきを施してもよい。アルミニウムとしてはA1100、A1050、アルミニウム合金としてはA2017、A5052(アルマイト処理品も含む)、銅としてはC1100、銅合金としてはC2700、C2801などがそれぞれ挙げられる。
内側樹脂部材や外側樹脂部材に用いる合成樹脂は、射出成形可能なものであればよく、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの各樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。
また、本発明で使用できるPA樹脂としては、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド6−6(PA66)樹脂、ポリアミド6−10(PA610)樹脂、ポリアミド6−12(PA612)樹脂、ポリアミド4−6(PA46)樹脂などが挙げられる。各ポリアミド樹脂における数字はアミド結合間の炭素数を表している。
本発明の複合部材において、内側樹脂部材に用いる合成樹脂、外側樹脂部材に用いる合成樹脂はそれぞれの要求特性に応じて選択するとよい。例えば、プーリや歯車として利用する場合には、外側樹脂部材としては、機械特性、寸法安定性、耐熱性に優れた合成樹脂を用いることが好ましく、例えば、PEEK樹脂、PPS樹脂、PA46樹脂などが挙げられる。一方、内側樹脂部材としては、射出成形の取り扱い性に優れ、安価な合成樹脂を用いることが好ましく、例えば、PA66樹脂などが挙げられる。
以上より、各種特性や樹脂部材全体のコストに優れることから、外側樹脂部材にPA46樹脂を用い、内側樹脂部材にPA66樹脂を用いることが特に好ましい。
各合成樹脂には、繊維状補強材やその他の添加剤をそれぞれ配合することができる。繊維状補強材としては、ガラス繊維や炭素繊維などを用いる。ガラス繊維は、SiO、B、Al、CaO、MgO、NaO、KO、Feなどを主成分とする無機ガラスから紡糸して得られる。一般に、無アルカリガラス(Eガラス)、含アルカリガラス(Cガラス、Aガラス)などを使用できる。また、炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系(PAN系)、ピッチ系、レーヨン系、リグニン−ポバール系混合物など原料の種類によらないで使用できる。
また、他の添加剤としては、例えば、固体潤滑剤、粒子状充填材(無機充填材)、酸化防止剤、帯電防止剤、離型材、着色剤などを配合できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラファイト、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、ウェラストナイト、エラストマーなどを配合できる。
内側樹脂部材または外側樹脂部材をそれぞれ構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダーなどにて混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、各ペレットを得ることができる。なお、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。得られたペレットを用い、射出成形によって本発明の複合部材が製造される。
図1の複合部材のインサート成形について図5を用いて説明する。インサート成形金型は第1型板31と第2型板32とで構成される。この成形用金型に予め製造した金属部材11および外側樹脂部材21が装着される。なお、外側樹脂部材21は、外側樹脂部材用のペレットを用いた射出成形によって得られる。
第1型板31と第2型板32が衝合することで、内側樹脂部材のキャビティ35が形成される。なお、図5は一部断面図を示しているが、キャビティ35は内側樹脂部材の形状に沿って、円環状に形成される。図5に示すように、キャビティ35の軸方向一端側にスプルー33が設けられ、スプルー33と連通するゲート34が、リブの軸方向端面を形成するキャビティ面35aに設けられる。
ゲート34から溶融樹脂が注入されると、 この溶融樹脂はキャビティ面35aと対向するキャビティ面35bに衝突して径方向に拡がり、内径円筒部を形成するキャビティや外径円筒部を形成するキャビティへ導かれる。そして、円板部を形成するキャビティ(図示省略)を通って、隣接するリブのキャビティ(図示省略)へと導かれ、他のゲートから注入された溶融樹脂と合流する。樹脂が充填された後、保圧を経て、一定時間冷却して樹脂が固化される。その後、型開きすることで円環状樹脂成形体が得られる。
図5の形態では、ゲート34に対向するキャビティ面35bが略V字状に形成されているため、内径円筒部用キャビティや外径円筒部用キャビティへ溶融樹脂をスムーズに誘導できる。その結果、キャビティ全体に溶融樹脂を均一に充填できるため、成形精度がより安定し、強度の均一化を図ることができる。
図5において、ゲート34の孔径Φは、例えば0.5〜2mmである。上述したように、ゲート34は膨出部の略中央に設けられる。孔径Φと、膨出部7の周方向幅T2(図1参照)との関係は、周方向幅T2が孔径Φの2〜3倍であることが好ましい。このように、ゲート34周囲のキャビティの肉厚が確保されるため、成形体を取り出す際にもリブの一部が折れるなどの不具合が生じることがない。
本発明の複合部材は、図1〜図4に示した構成に限らない。例えば、インサート成形時における溶融樹脂の充填がよりスムーズとなるように、複合部材の断面形状が軸方向中心線に対し非対称となるようにしてもよい。非対称の複合部材の製造におけるゲート周辺の拡大断面図を図6に示す。
図6に示すように、ゲート51が設けられたリブの軸方向端面を形成するキャビティ面52aと、対向するキャビティ面52bとが非対称となるように、キャビティ52を形成してもよい。具体的には、キャビティ面52bを断面V字状とし、キャビティ面52bを構成する傾斜面の衝合面に対する傾斜角度が、キャビティ面52aを構成する傾斜面の傾斜角度よりも大きくする。この構成とすることで、ゲート51から注入された溶融樹脂がキャビティ全体によりスムーズに拡がることができる。また、金属部材41の凸部42のゲート側の軸方向端面を傾斜させた誘導面42aとしてもよい。ゲート側の内径円筒部は、溶融樹脂が充填されにくいため、このような誘導面42aを設けることで、溶融樹脂を円滑に充填できる。
ここで、比較的大径の円環状の樹脂成形体を射出成形する際には、エアー残りに起因して、成形体の中にボイドが生じる場合がある。特に、他部材との連結部分(係合部を含む)の形状が複雑形状の場合、例えば、複数の凹凸からなるギヤ形状などの場合、その連結部分にエアー残りが発生しやすい。例えば、図5の形態で言うと、外側樹脂部材21の凸部22の周辺部分に比較的空気が溜まりやすいといえる。
本発明の複合部材の他の例である図7の複合部材は、ボイドの発生を抑制するのに好適な構成をしている。図7は、複合部材1’の軸方向断面図であり、図3の複合部材1の軸方向断面図に相当する図である。図7に示すように、複合部材1’は、複合部材1に対して、内側樹脂部材2と外側樹脂部材21との連結部分の構造が異なっている。具体的には、外側樹脂部材21の凸部22は、両側面(軸方向両側の端面)に、径方向外側に向かって凸部の軸方向長さが大きくなる傾斜面22bを有している。この凸部22には、軸方向に張り出したアンダーカット部が形成されていない。なお、内側樹脂部材2は、傾斜面22bに沿った形状となる。傾斜面22bは、図7のように凸部22の軸方向両側の端面に形成されていてもよく、また、一方の軸方向端面に形成されていてもよい。後者の場合、エアー残りがより発生しやすいと考えられるゲート痕8と反対側の軸方向端面に傾斜面を設けることが好ましい。
複合部材1’の製造におけるゲート周辺の拡大断面図を図8に示す。図8に示すように、凸部62は両側面に成形体内部の空気を抜くことが可能な傾斜面62bを有するので、射出成形金型のキャビティ72全体に溶融樹脂が良好に流れ込むとともに、成形体内部の空気が押し出されやすくなる。その結果、成形体にボイドが生じるという不具合の発生を抑制できる。この場合、溶融樹脂の射出方向と同軸方向である成形体の軸方向に張り出したアンダーカット部が無いため、溶融樹脂が回り込む必要がなく空気が残ることを好適に抑制できる。成形体内部の空気の残存量を削減することで、製品強度を向上させることができる。また、各寸法の安定化が図れる。
なお、複合部材1’において内側樹脂部材と外側樹脂部材との固定力を向上させるための構成を付与してもよい。例えば、複合部材の周方向に張り出したアンダーカット部を有する突起を凸部に設けてもよい。
本発明の複合部材は、3部材に限らず、少なくとも2以上の部材からなっていればよい。例えば、金属部材と内側樹脂部材の2部材からなっていてもよく、内側樹脂部材と外側樹脂部材の2部材からなっていてもよい。
上記では、本発明の複合部材は、任意の円環状部品として利用できる。例えば、自動車のエンジン補機類を駆動する駆動ベルトを案内するプーリとして利用できる。その場合、樹脂部材からなる外周面に駆動ベルトが装着される。また、電動パワーステアリング装置の減速ギヤ機構などに用いられるギヤとしても利用できる。該ギヤは、例えば、外周面にギヤ歯が形成された外側樹脂部材と、芯管を構成する金属部材と、これらの部材と一体成形された内側樹脂部材とを有する構成とすることができる。
本発明の内側樹脂部材は、ショートショットの発生が抑制され、成形精度に優れるので、形状精度が求められる円環状の部材として広く使用できる。本発明の複合部材は、主に、樹脂製プーリや樹脂製ギヤとして利用でき、特に外径が比較的大径のものに好適に利用できる。
1、1’ 複合部材
2 内側樹脂部材(円環状樹脂成形体)
3 内径円筒部
4 外径円筒部
5 円板部
6 リブ
7 膨出部
8 ゲート痕
11 金属部材(円環状金属部材)
12 凸部
21 外側樹脂部材(円環状樹脂部材)
22 凸部
22a アンダーカット部
22b 傾斜面

Claims (8)

  1. 内径円筒部と、外径円筒部と、該内径円筒部および該外径円筒部の間に設けられた円板部と、該円板部に放射状に設けられた複数のリブとを備える円環状樹脂成形体であって、
    前記円環状樹脂成形体は、樹脂組成物を射出成形してなる射出成形体であり、
    前記複数のリブは、円周方向に均等に、かつ、前記内径円筒部から前記外径円筒部にかけて延設され、
    該複数のリブの少なくとも1つの径方向略中央にゲート痕を有することを特徴とする円環状樹脂成形体。
  2. 前記ゲート痕を有するリブは、径方向略中央に、周方向幅が該リブの他の部分よりも大きく形成された膨出部を有しており、該膨出部の軸方向端面に前記ゲート痕が形成されていることを特徴とする請求項1記載の円環状樹脂成形体。
  3. 前記ゲート痕を有するリブは、軸方向断面において略V字状に形成され、該リブの軸方向端面は、径方向中央に向けて傾斜した一対の傾斜面を有していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の円環状樹脂成形体。
  4. 前記複数のリブは、前記ゲート痕を有するリブAと、前記ゲート痕を有さないリブBとから構成され、前記リブAと前記リブBと周方向で交互に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の円環状樹脂成形体。
  5. 円環状金属部材と、該円環状金属部材の外周に一体成形された請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の円環状樹脂成形体とを備え、
    前記円環状金属部材の外周面に凸部および凹部の少なくとも一方が周方向に沿って形成され、前記円環状樹脂成形体の内径円筒部の内周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする複合部材。
  6. 円環状樹脂部材と、該円環状樹脂部材の内周に一体成形された請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の円環状樹脂成形体とを備え、
    前記円環状樹脂部材の内周面に凸部および凹部の少なくとも一方が周方向に沿って形成され、前記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする複合部材。
  7. 前記円環状樹脂部材の内周面に前記凸部が形成され、前記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が前記凸部に係合しており、
    前記凸部は、前記複合部材の軸方向における前記凸部の側面の少なくともいずれか一方に、径方向外側に向かって前記凸部の軸方向長さが大きくなる傾斜面を有することを特徴とする請求項6記載の複合部材。
  8. 円環状金属部材と、円環状樹脂部材と、該円環状金属部材の外周で、かつ、該円環状樹脂部材の内周に一体成形された請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の円環状樹脂成形体とを備え、
    前記円環状金属部材の外周面に凸部および凹部の少なくとも一方が形成され、前記円環状樹脂成形体の内径円筒部の内周面が、該凸部または該凹部に係合し、
    前記円環状樹脂部材の内周面に凸部および凹部の少なくとも一方が形成され、前記円環状樹脂成形体の外径円筒部の外周面が、該凸部または該凹部に係合していることを特徴とする複合部材。
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