以下、本発明の一実施形態に係る缶体100、缶体100の製造方法及び印刷装置1の構成を、図1乃至図8を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る缶体100の構成を模式的に示す側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る缶体100に印刷を施す印刷装置1の構成を模式的に示す説明図である。図3及び図4は、印刷装置1に用いられる第1版胴23Aの構成をそれぞれ示す展開平面図及び断面図であり、図5及び図6は印刷装置1に用いられる第2版胴23Bの構成をそれぞれ示す展開平面図及び断面図である。また、図7及び図8は、印刷装置1を用いた缶体100の製造方法の一例を平面視及び断面視でそれぞれ示す流れ図である。
先ず、缶体100の構成について図1を用いて示す。なお、本実施形態においては、容器として金属材料で形成された缶体100を用いて説明するが、容器であれば缶体100に限定されず、樹脂材料により形成されたカップ等の他の容器であってもよい。即ち、容器は、外面に印刷が施される容器であれば、適宜設定可能である。
図1に示すように、缶体100は、例えば、円筒状の胴部110と、胴部110の一端部に胴部110と一体に成形された底部120と、を備え、胴部110の他端に蓋体が装着される開口部110aを有する。
缶体100は、例えば、アルミニウム合金や表面処理鋼板等の金属板を絞りしごき成形により有底円筒状に成形することで構成される。
胴部110は、外面に印刷による装飾が施されている。具体的には、胴部110は、外面側に印刷された第1印刷層130と、胴部110の外面及び第1印刷層130の間に印刷された第2印刷層140と、を備えている。
第1印刷層130は、第2印刷層140の外面に重ねて印刷される。第1印刷層130は、第1印刷部131を含み、好ましくは、さらに第2印刷部132を含む。第1印刷層130は、印刷領域の一部に印刷が成されない部位を有する。即ち、第1印刷層130の印刷領域は、印刷装置1の後述するブランケット21が胴部110と対向する領域であり、当該領域内にインクが塗布される範囲とインクが塗布されない領域を含む。第1印刷層130は、同じインク、即ち同色のインクにより第1印刷部131及び第2印刷部132が構成される。
第1印刷部131は、網点面積率が80%以上の網点(第1網点)及びベタ(第1ベタ)の少なくとも一方からなる。第1印刷部131は、第1印刷層130の印刷領域の一部を構成する。
ここで、網点とは、印刷領域内に複数の点が印刷されることで構成された、所謂網点印刷を意味し、このため、網点の印刷領域には、隣り合う点間に間隙を有する。また、網点の網点面積率とは、複数の点が印刷された領域において、印刷領域に対する複数の点の総面積であり、総面積をA(mm2)、複数の点の総面積をA1(mm2)としたときに、網点面積率A0(%)はA0=A1/A×100により求められる。また、ここで、ベタとは、領域全てにインクが印刷された、換言すると印刷領域がインクで塗りつぶされたものであり、所謂ベタ印刷やベタ刷りを意味する。
本実施形態において、図1に黒塗りで示すように、第1印刷部131は、三角形状のベタを3つ有する構成を用いて説明する。
第2印刷部132は、第1印刷部131の第1網点よりも網点面積率が低い網点、好ましくは網点面積率が10%以下の網点から構成される。本実施形態において、図1に示すように、第2印刷部132は、円形状の複数の点を有する構成を用いて説明する。
第2印刷層140は、網点面積率が80%以上の網点(第2網点)及びベタ(第2ベタ)の少なくとも一方からなる。第2印刷層140は、第1印刷層130の印刷領域と略同一かそれ以上であって、且つ、第1印刷部131の印刷領域よりも大きい領域に構成される。より好ましくは、第2印刷層140の印刷領域は、第1印刷層130の印刷領域の90%〜110%に設定される。第2印刷層140は、好ましくは、網点面積率が80%以上の網点及びベタの一方により構成される。
第2印刷層140は、第1印刷層130と異なるインク、即ち第1印刷層130と異なる色のインクにより構成される。
また、第2印刷層140は、好ましくは、第1印刷層130よりも低い明度を有する。換言すると、第2印刷層140に用いられるインクは、第1印刷層130に用いられるインクよりも低い明度に設定される。例えば、第2印刷層140に用いられるインクは、黒色、灰色等の無彩色や、明度が低い(濃い)緑色、紺色、赤色等であり、好ましくは黒色である。
本実施形態において、図1に斜線で示すように、第2印刷層140は、胴部110の周方向で全領域に渡って設けられたベタを用いた構成を用いて説明する。
次に、缶体100の胴部110に第1印刷層130及び第2印刷層140を含む印刷を行う印刷装置1について、図2乃至図6を用いて説明する。
印刷装置1は、複数種の液体状のインク、換言すると異色の液体状のインクを、胴部110に印刷されていない缶体100Aの胴部110に所定のデザインを印刷し、缶体100を製造する多色印刷装置である。図2に示すように、印刷装置1は、印刷装置本体11と、缶体供給装置12と、を備えている。なお、本実施形態に用いられる液体状のインクとしては、比較的粘性が高く、流動性を有するオフセット印刷用のインク等が好適に使用できる。
印刷装置本体11は、複数のブランケット21と、複数のブランケット21を所定の搬送経路に沿って移動させるブランケット搬送装置22と、複数の版胴23と、複数の版胴23にそれぞれ設けられた複数のインク供給装置24と、を備えている。
ブランケット21は、表面に複数の版胴23から液体状のインキが順次転写される。ブランケット21は、缶体100Aの胴部110が当接して回転することで、胴部110に印刷する。ブランケット21は、例えば、矩形状に形成される。ブランケット21は、例えば、ゴム材料により形成されたゴムブランケットである。
ブランケット搬送装置22は、円柱状に構成される。ブランケット搬送装置22は、一方向に回転駆動する駆動機構を有する。ブランケット搬送装置22は、外周面に複数のブランケット21が等間隔に配置される。ブランケット搬送装置22は、円形状の搬送経路で複数のブランケット21を搬送させる。
具体的には、ブランケット搬送装置22は、複数のブランケット21を、一次側の版胴23から二次側の版胴23に連続的に接触させるとともに、二次側の版胴23に接触させた後に、胴部110に接触させ、その後再び一次側の版胴23に接触させる搬送経路で複数のブランケット21を搬送する。ここで、一次側とは、ブランケット21の搬送経路の搬送方向において、缶体100Aの胴部110に印刷した後の搬送経路の一部を一次側とし、胴部110に印刷する搬送経路の一部を二次側として説明する。
版胴23は、ブランケット21にインクを転写する円柱状の凸版である。版胴23は、ブランケット搬送装置22の搬送経路上に複数が配置される。版胴23には、それぞれ、一方向に版胴23を回転駆動する駆動機構が設けられる。
複数の版胴23は、搬送経路上に一次側から二次側に向かってインク供給装置24で供給されるインクの明度が漸次低くなるように配置される。複数の版胴23は、それぞれ、インクが供給される凸部31を有する。
また、複数の版胴23は、その一部に、第1印刷層130をブランケット21に転写する第1版胴23Aと、第2印刷層140をブランケット21に転写する第2版胴23Bを含む。
ここで、複数の版胴23の配置は、第1版胴23A及び第2版胴23Bが並んで配置される必要はなく、本実施形態では、一次側から二次側に向かって二番目の版胴23を第1版胴23Aとし、一次側から二次側に向かって最後の版胴23を第2版胴23Bとして説明する。また、第1版胴23Aの凸部31を第1凸部31Aとし、第2版胴23Bの凸部31を第2凸部31Bとして以下説明する。
第1版胴23Aの第1凸部31Aは、第1印刷部131と同形状に形成された第1凸群32と、第2印刷部132と同形状に形成された第2凸群33と、を含む。本実施形態においては、第1凸群32は、平面視で三角形状の3つの突起、換言すると、3つの三角柱状の突起により構成される。また、第2凸群33は、平面視で円形状の複数の突起、換言すると、複数の円柱状の突起により構成される。なお、本実施形態において、第1凸部31Aは、凸群32、33を含む説明をしたが、これは、第1印刷部131、第2印刷部132の形状により設定されることから、第1凸部31Aは、凸群の組み合わせではなく、単数の突起で構成されていてもよいことは明らかである。
第2版胴23Bの第2凸部31Bは、第1版胴23Aの第1凸部31Aが設けられた領域と略同じ領域を有する矩形状の単数の突起である。なお、本実施形態においては、第2印刷層140が第2ベタである構成であることから、第2凸部31Bが単数の矩形状の突起である構成を説明したが、これは、第2印刷層140の形状により設定されることから、例えば、第2印刷層140が第2網点で構成される場合には、第2凸部31Bは、複数の円柱状の突起からなる凸群であっても良い。
即ち、第2凸部31Bは、一つの第2凸部31Bの印刷領域が第1凸部31Aの第1印刷部131を印刷する突起(第1凸群32)が印刷する領域よりも大きく構成され、且つ、第1印刷層130(第1凸部31A)の印刷領域と略同一又はそれ以上の大きさに構成されていれば、単数の突起であっても、複数の突起から構成される凸群であっても、これらの組み合わせであっても良い。
なお、第1凸部31A及び第2凸部31Bは、それぞれ、第1印刷層130の第1網点又は第1ベタ、並びに、第2印刷層140の第2網点又は第2ベタの形状のインクをブランケット21に転写し、ブランケット21によって胴部110に印刷できればよい。即ち、版胴23における凸部31の形状と、ブランケット21を介して胴部110に印刷されるインクの印刷形状は、その転写及び印刷過程において、インクがブランケット21に転写されたとき、及び、ブランケット21から胴部110に印刷されたときに、印刷形状は、それぞれインクの性質に応じて凸部31の形状から若干形状が広がる。このため、各網点の網点面積率は、胴部110に印刷された第1印刷層130、第2印刷層140、及び、凸部31の形状のいずれで管理してもよいが、好ましくは、印刷時のばらつきを考慮し、凸部31の形状で網点面積率を管理することが好ましい。
このように構成された複数の版胴23は、ブランケット21上に複数のインクを各版胴23の凸部31により転写する。また、第1版胴23A及び第2版胴23Bは、ブランケット21上に、第1印刷層130及び第2印刷層140の順でインクを転写する。
インク供給装置24は、例えば、複数のローラ24aと、パレットやタンク等のインク供給部24bと、を含む。また、インク供給装置24は、複数のローラ24aをそれぞれ一方向に回転駆動する駆動機構を有する。インク供給装置24は、インク供給部24bに供給されたインクをインク供給部24bに隣接する一次側のローラ24aから中間位置のローラ24aを介して版胴23に隣接する二次側のローラ24aに供給し、当該二次側のローラ24aから版胴23の凸部31にインクを供給する。なお、二次側のローラ24aから凸部31に供給されなかったインクは、中間位置のローラ24aに戻され、再び二次側のローラ24aに供給される。
缶体供給装置12は、複数の缶体100Aを円形状の搬送経路に沿って一方向に移動させてブランケット21と当接させるとともに、ブランケット21と当接したときに、缶体100Aを回転させる。例えば、缶体供給装置12は、缶体100、100Aを回転可能に保持するマンドレルを複数有し、このマンドレルを缶体100、100Aの搬送方向に搬送するとともに、ブランケット21と対向する範囲においてマンドレルを回転させることで、マンドレルが保持した缶体100Aをブランケット21に当接した状態で回転させる。また、缶体供給装置12は、印刷した缶体100を収集する収集部と、缶体供給装置12に未印刷の缶体100Aを供給する供給手段を備える。
次に、このように構成された印刷装置1を用いた缶体100の製造方法を、図7及び図8を用いて説明する。なお、第1版胴23A及び第2版胴23Bによるインクの転写を以下説明し、他の版胴23によるインクの転写については、説明を省略する。
先ず、各インク供給装置24のインク供給部24bに所定数の缶体100Aに印刷できるインクを供給する。なお、インクの供給は、所定数より若干少ない数の缶体100Aを印刷する毎に、所定量のインクを供給する。
次に、印刷装置1は、ブランケット21をブランケット搬送装置22により一次側から搬送経路に沿って移動する(ステップST1)。ブランケット搬送装置22によりブランケット21が第1版胴23Aに移動すると、印刷装置1は、第1版胴23Aの第1凸部31Aによってブランケット21上に、第1印刷層130を転写する(ステップST2)。
次いで、ブランケット搬送装置22によりブランケット21が第2版胴23Bに移動すると、印刷装置1は、第2版胴23Bの第2凸部31Bによって、ブランケット21の第1印刷層130上に第2印刷層140を転写する(ステップST3)。
このとき、第1版胴23Aで転写されたインクは、乾燥しておらず液体状を維持しており、この液体状のインクにより構成される第1印刷層130上に液体状のインクにより構成される第2印刷層140が転写される。
これにより、図8のステップST3に示すように、第2印刷層140のうち、第1印刷部131が転写された領域に転写されるインク量は、第2印刷部132が転写された領域及び第1印刷層130のうちインクが転写されていない領域に転写されるインク量よりも少なくなる。
具体的に説明すると、液体状のインクの特性として、網点面積率が80%以上といったように高い網点又はベタにより構成される液体状のインク上には、他の液体状のインクが十分に乗らない(密着しない)特性がある。また、液体状のインクの特性として、他の液体状のインクにより印刷された部位間、例えば網点の隣り合う点の間に十分に間隙を有する場合、又は、液体状のインクが転写されていない場合には、胴部110の表面に液体状のインクが十分に乗る(密着する)特性がある。ここで、十分な間隙とは、例えば、第1印刷層130の網点が網点面積率が80%よりも低い場合が挙げられるが、用いるインクの特性により異なる。
このような液体状のインクの特性から、第2印刷層140は、インクが密集して設けられる第1印刷部131上に転写されるインク量が、第2印刷部132上に転写されるインク量よりも少なくなる。
次いで、ブランケット搬送装置22によりブランケット21を、缶体供給装置12で供給された缶体100Aと対向する位置まで移動する(ステップST4)。さらにブランケット21をブランケット搬送装置22により移動し、そして、缶体供給装置12により缶体100Aを移動するとともに回転させることで、ブランケット21上の第1印刷層130及び第2印刷層140を胴部110に印刷する(ステップST5)。このとき、図8のステップST5に示すように、胴部110の外面に第2印刷層140が印刷され、第2印刷層140上に第1印刷層130が印刷される。このような工程が繰り返し行われることで、印刷が施された缶体100が製造される。
このように構成された缶体100、印刷装置1及び缶体100の製造方法によれば、ブランケット21に転写した第1印刷層130の第1印刷部131上に、第1印刷部131よりも印刷領域の大きい第2印刷層140を転写することで、第1印刷部131上に転写されるインク量を第1印刷層130の第1印刷部131以外の領域上に転写されるインク量よりも少なくすることができる。
即ち、第1印刷層130の第1印刷部131上に重ねて塗布された第2印刷層140のインク量は、第1印刷層130の第1印刷部131以外の領域上、本実施形態においては第2印刷部132上に重ねて塗布された第2印刷層140のインク量よりも少なくなる。結果、第1印刷部131上の第2印刷層140の色が第2印刷部132上の第2印刷層140の色よりも薄くなり、第2印刷層140を第1印刷層130の印刷領域に設けたとしても、第1印刷部131が設けられた領域と第2印刷部132が設けられた領域で、明度を異ならせることができる。
そして、ブランケット21上の第1印刷層130及び第2印刷層140を缶体100Aの胴部110に転写した場合、第2印刷層140の外面側に第1印刷層130が重ねられて配置されるが、第1印刷層130の明度が第2印刷層140の明度よりも高いため、第1印刷層130の第1印刷部131や第2印刷部132では、第2印刷層140の色が透けて見えることとなる。この際、第1印刷部131に積層される第2印刷層140のインク量が、第2印刷部132に積層される第2印刷層140のインク量よりも少ないため、相対的に第1印刷部131が設けられた領域の色調が、第2印刷部132が設けられた領域の色調よりも明るくなる。
これにより、缶体100の第1印刷部131が設けられた領域と、第2印刷部132が設けられた領域で、色彩に変化を設けることができるとともに、デザインとデザインとの間にインクが塗布されない領域を作ることがないことから、装飾性を向上することができる。また、第1印刷部131が設けられた領域の第2印刷層140を他の領域の第2印刷層140よりもインク量を少なくすることができるため、例えば、胴部110の表面に金属光沢や白色や他色の色彩等の下地を設けた場合に、胴部110の下地が透過することから、胴部110の下地を装飾性に生かすこともできる。
また、印刷装置1及び缶体100の製造方法によれば、異なる液体状のインクを用いる場合であっても、インクを缶体100に塗布し、乾燥させ、さらにインクを缶体100に塗布するといったように、印刷工程及び乾燥工程を繰り返し行う必要がない。このため、印刷装置1及び缶体100の製造方法は、製造工程を増加させることないことから、缶体100の装飾性を向上させたとしても、高い生産性を有する。
また、第1印刷層130の印刷領域のうち第1印刷部131が印刷される印刷領域を、第2印刷層140の印刷領域よりも小さくすることで、第2版胴23Bの第2凸部31Bに残存するインク量を極力少なくすることができる。また、印刷装置1は、明度が低いインクを用いる第2版胴23Bを、第1版胴23Aよりも二次側に配置する。
このようなことから、缶体100に印刷後のブランケット21に再度第1版胴23Aでインクを転写するときに、ブランケット21に残存する第2版胴23Bで印刷されたインクが第1版胴23Aの第1凸部31Aに逆に転写されることを極力防止できる。
また、第2印刷層140の印刷領域は、第1印刷層130の印刷領域の90%〜110%に設定されている。このため、ブランケット21に残存する第2版胴23Bで転写されたインクが第1版胴23Aの第1凸部31Aに逆に転写されたとしても、第1印刷層を構成するインクの量は、第2印刷層を構成するインクの量と大差がないことから、第2印刷層を構成するインクが第1印刷層を構成するインクに混ざったとしても、第1印刷層を構成するインクが十分にあるため、第1印刷層を構成するインクが第2印刷層を構成するインクにより過度に変色することを防止できる。
加えて、缶体100の製造方法において、定期的にインク供給装置24にインクを供給する構成とすることで、第1凸部31Aに第2版胴23Bから転写されたインクが転写され、第1版胴23Aに供給するインク供給装置24に戻されたとしても、中間位置のローラ24aから二次側のローラ24aに供給することで、第1版胴23Aに供給するインク供給装置24のインクに他のインクが一定以上混じることを防止できる。
上述したように本実施形態に係る缶体100、缶体100の製造方法及び印刷装置1によれば、複数の液体状のインクを重ねて印刷しても、高い生産性を有するとともに、優れた装飾性を有する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。上述した例では、第1印刷層130は、ベタにより構成される第1印刷部131及び網点により構成される第2印刷部132を含む構成を説明したがこれに限定されない。第1印刷層130は、第2印刷部132を有さず、第1印刷部131だけ設けられる構成であってもよく、また、第1網点及び第1ベタにより構成される第1印刷部131であってもよい。即ち、第1印刷層130が第2印刷層140よりも領域が小さい第1印刷部131を含み、ブランケット21に転写される第2印刷層140のインク量が、第1印刷層130の第1印刷部131とそれ以外の領域で異なる構成であればよい。
また、上述した例は、第1印刷層130及び第2印刷層140は、一つの第1版胴23A及び一つの第2版胴23Bでそれぞれブランケット21にインクが転写される構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第1印刷層130を二つ以上の版胴23で異なるインクを用いてブランケット21にそれぞれ転写し、その上に一つの版胴23Bで第2印刷層140を転写する構成であってもよく、また、第1印刷層130及び第2印刷層140をそれぞれ複数の版胴23で異なるインクを用いてそれぞれ転写する構成であってもよい。
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。