JP2019170760A - 便座 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供する。【解決手段】嵌合部を有する底板と、底板の上に設けられる側壁部と、側壁部によって支持される着座部と、を有する上板と、底板と側壁部とを接合し、外部に露出する露出面を有する接合部材と、を備え、嵌合部は、側壁部と対向する位置に設けられ、下方に向かって凹む凹状であり、側壁部は、側壁基部と、側壁基部の下端から下方に延び、嵌合部に嵌合する第1垂下部と、側壁基部の下端に第1垂下部と離間して設けられ、第1垂下部との間に凹部を設けるとともに、底板と重ならない位置に配置された第2垂下部と、を有し、嵌合部の第2垂下部と反対側を向く側面は、下方に向かうに従って第2垂下部と離間することを特徴とする便座である。【選択図】図1

Description

本発明の態様は、一般的に、便座に関する。
便座は、例えば、臀部が接触する上板と、便器側に設けられる底板と、を接合することで構成される。特許文献1では、樹脂製部品同士の間に形成された通路に、接合用樹脂を充填することで、これらの樹脂製部品を接合する技術が開示されている。
便座では、清掃性を向上させるために、上板と底板との接合部に継目、段差、及び隙間などが生じることを抑制することが求められている。樹脂を充填する製造方法では、他の製造方法と比べて、研削や研磨などの後工程を少なくし、清掃性の高い便座を比較的容易に製造することができる。
一方で、樹脂を充填する製造方法では、充填する樹脂が、上板や底板の外面に漏れ出さないようにする必要がある。上板や底板の外面に樹脂が漏れ出てしまうと、不良品となったり、漏れ出た樹脂を除去するための工程が必要となったりし、便座の生産性の低下を招いてしまう。
例えば、樹脂の注入口の周囲に突起を設け、注入口の周囲において金型との接触圧力を高めることにより、樹脂漏れを抑制することも考えられる。しかしながら、このような突起をそのまま残してしまうと、便座の清掃性を低下させてしまう。一方で、突起を除去するための工程などを追加してしまうと、生産性の低下を招いてしまう。また、突起を潰し込んだとしても、突起根元の変形によって新たな凹凸を発生させてしまう。
このため、便座では、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得られるようにすることが望まれる。
特許第3733778号公報
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供することを目的とする。
第1の発明は、凹状の嵌合部を有する底板と、前記底板の上に設けられる側壁部と、前記側壁部によって支持される着座部と、を有する上板と、前記底板と前記側壁部とを接合し、外部に露出する露出面を有する接合部材と、を備え、前記嵌合部は、前記側壁部と対向する位置に設けられ、下方に向かって凹む凹状であり、前記側壁部は、前記着座部を支持する側壁基部と、前記側壁基部の下端から下方に延び、前記底板の上に重なり、前記嵌合部に嵌合する第1垂下部と、前記側壁基部の下端に前記第1垂下部と離間して設けられ、前記第1垂下部との間に上方に向かって凹む凹部を設けるとともに、前記底板と上下方向において重ならない位置に配置された第2垂下部と、を有し、前記接合部材は、前記凹部内に設けられ、前記第2垂下部と前記底板との間に前記露出面を配置し、前記嵌合部の前記第2垂下部と反対側を向く側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部と離間することを特徴とする便座である。
この便座によれば、嵌合部の第2垂下部と反対側を向く側面を、下方に向かうに従って第2垂下部と離間するように傾斜又は湾曲させることにより、底板及び第2垂下部に金型を押し当てて、底板側から接合部材となる樹脂を凹部に注入して便座を製造する際に、金型の押し当てにともなう力を、嵌合部の側面から底板の第2垂下部と対向する部分の下端部に伝達することができる。底板の第2垂下部と対向する部分の下端部は、樹脂を注入するための注入口の一部となる。このように、金型の押し当てにともなう力を、底板の注入口の一部となる部分に伝達することにより、突起などを設けることなく、注入口の周囲における金型との接触圧力(シール圧)を高めることができる。これにより、突起などを設けなくても、注入する樹脂が注入口から漏れ出てしまうことを適切に抑制することができる。漏れた樹脂や突起などを除去するための工程を追加する必要がなく、生産性の低下を抑制することができる。従って、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記嵌合部の前記側面の少なくとも一部に対して直交する仮想線は、前記露出面を通ることを特徴とする便座である。
この便座によれば、樹脂を注入するための注入口の一部となる底板の第2垂下部と対向する部分の下端部に、金型の押し当てにともなう力を、より適切に伝達することができる。従って、注入口の周囲における金型との接触圧力をより高め、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記底板は、前記第2垂下部と対向する対向面と、前記対向面の下端部から前記第2垂下部に向かって延びる突出部と、を有することを特徴とする便座である。
この便座によれば、樹脂の注入にともなう圧力を突出部を介して底板の第2垂下部と対向する部分の下端部に伝達することができる。これにより、注入口の周囲における金型との接触圧力をより高め、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
第4の発明は、第3の発明において、前記突出部は、前記第2垂下部と対向する側面を有し、前記突出部の前記側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部に近づくことを特徴とする便座である。
この便座によれば、樹脂の注入にともなう圧力を突出部を介して底板の第2垂下部と対向する部分の下端部により適切に伝達し、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
第5の発明は、第4の発明において、前記突出部は、上方を向く上面を有し、前記突出部の前記上面と前記底板の底面との成す角度は、前記突出部の前記側面と前記底板の前記底面との成す角度よりも小さいことを特徴とする便座である。
この便座によれば、樹脂の注入にともなう圧力を突出部を介して底板の第2垂下部と対向する部分の下端部により適切に伝達し、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
本発明の態様によれば、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供することができる。
実施形態に係る便座を備えたトイレ装置を表す斜視図である。 実施形態に係る便座を表す分解斜視図である。 実施形態に係る便座の一部を表す斜視断面図である。 図3の断面の一部を拡大した断面図である。 図3の断面の一部を拡大した断面図である。 実施形態に係る便座の製造工程を表す断面図である。 図7(a)及び図7(b)は、実施形態にかかる内周支持部及び内周側壁部の変形例を表す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る便座を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置2は、便座装置4と、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」という)6と、を備える。
便座装置4は、便器6の上に取り付けられる。便座装置4は、便器6に対して一体的に取り付けてもよいし、便器6に対して着脱可能に取り付けてもよい。便座装置4は、便座10と、便蓋12と、本体部14と、を有する。
ここで、本願明細書においては、便座10に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座10に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋12に背を向けて便座10に座った使用者からみて左右方向を、それぞれ「左側方」及び「右側方」とし、前後方向を、それぞれ「前方」及び「後方」とする。図1には、上方UW、下方DW、左側方LW、右側方RW、前方FW、及び後方BWの一例が表されている。
便器6は、下方に向けて窪んだボウル部6aを有する。便器6は、ボウル部6aにおいて使用者の尿や便などの排泄物を受ける。便座装置4の本体部14は、便器6のボウル部6aよりも後方の上部に設けられる。本体部14は、便座10及び便蓋12を開閉可能に軸支している。
便座10は、開口部10aを有する。便座10は、ボウル部6aの外縁を囲むように便器6の上に設けられ、開口部10aを介してボウル部6aが露呈される。これにより、使用者は、便座10に座った状態でボウル部6aに排泄を行うことができる。この例では、貫通孔状の開口部10aが形成された、いわゆるO型の便座10を示している。便座10は、O型に限ることなく、U字型などでもよい。便座10の内部には、着座部(使用者の臀部が接する部分)を温めるヒータ等が適宜設けられる。
図2は、実施形態に係る便座を表す分解斜視図である。
図3は、実施形態に係る便座の一部を表す斜視断面図である。
図2及び図3に表したように、便座10は、底板100と、上板200と、接合部材310、320と、を備える。上板200は、底板100の上に設けられる。底板100と上板200は、接合部材310及び接合部材320によって接合されている。
以下で、便座10のより具体的な構造について説明する。なお、ここでは、「上方」や「下方」などの方向は、便座10の底板100が水平面上に載置された状態(便器6の上に載置され、使用者が着座可能な状態)を基準にしている。
図2に表したように、底板100及び上板200は、それぞれ、開口部100a及び開口部200aを有する。底板100及び上板200を上方から見た形状は、便座10を上方から見た形状と実質的に同じである。すなわち、底板100及び上板200を上方から見た形状は、環状又はU字状である。底板100の開口部100a及び上板200の開口部200aによって、便座10の開口部10aが形成される。
底板100は、内周支持部110、外周支持部120、及び底板基部130を有する。底板基部130は、厚みが略一様であり、例えば、前部が水平方向に沿って設けられ、後部が上方に向かって傾斜している。底板基部130には、便器6の上面と接する支持足131が適宜設けられる。内周支持部110は、底板基部130に対して、便座10の内周側に設けられている。外周支持部120は、底板基部130に対して、便座10の外周側に設けられている。
上板200は、内周側壁部210、外周側壁部220、及び着座部230を有する。着座部230は、便座10に着座した使用者の臀部を下方から支持する。着座部230は、内周側壁部210及び外周側壁部220によって下方から支持されている。内周側壁部210は、着座部230に対して、便座10の内周側に設けられている。外周側壁部220は、着座部230に対して、便座10の外周側に設けられている。
図3に表したように、内周側壁部210は、底板100の内周支持部110の上に設けられている。外周側壁部220は、底板100の外周支持部120の上に設けられている。内周側壁部210の下端は、接合部材310によって内周支持部110と接合され、外周側壁部220の下端は、接合部材320によって外周支持部120と接合されている。
底板基部130と着座部230は、鉛直方向において離間している。また、内周側壁部210と外周側壁部220は、水平方向において離間している。これにより、便座10には、底板100及び上板200によって囲まれた内部空間Sが形成されている。
なお、便座10がU字状である場合などは、内周支持部110と外周支持部120が底板基部130の周りで連なり、内周側壁部210と外周側壁部220が着座部230の周りで連なっていても良い。この場合、接合部材310と接合部材320は、底板基部130の周りで連続し、一体に設けられていても良い。
図4及び図5は、図3の断面の一部を拡大した断面図である。
図4は、内周支持部110の一部及び内周側壁部210の一部を表している。図5は、外周支持部120の一部及び外周側壁部220の一部を表している。
ここで、本願明細書においては、内部空間Sから水平方向に沿って上板200に向かう方向を「外側」とし、上板200から水平方向に沿って内部空間Sに向かう方向を「内側」とする。図4では、内周側壁部210を基準として内側IW及び外側OWを表し、図5では、外周側壁部220を基準として内側IW及び外側OWを表している。
図4に表したように、底板100の内周支持部110は、凹状の嵌合部112を有する。嵌合部112は、内周側壁部210と対向する位置に設けられ、下方に向かって凹む凹状である。
内周側壁部210は、第1垂下部211と、第2垂下部212と、側壁基部214と、を有する。側壁基部214は、着座部230を支持する。第1垂下部211は、側壁基部214の下端から下方に延び、底板100の内周支持部110の上に重なり、嵌合部112に嵌合する。
第2垂下部212は、側壁基部214の下端に第1垂下部211と離間して設けられ、第1垂下部211との間に上方に向かって凹む凹部216を設けるとともに、底板100と上下方向において重ならない位置に配置される。
接合部材310は、凹部216内に設けられる。接合部材310は、外部に露出する露出面310aを有する。接合部材310は、第2垂下部212と底板100との間に露出面310aを配置する。露出面310aは、第2垂下部212の下端と略面一である。また、露出面310aは、底板100の底面100bと略面一である。これにより、底板100と上板200との接合部分に隙間や段差などが生じることを抑制し、便座10の清掃性を向上させることができる。ここで、「略面一」とは、例えば、隣接する2つの部材間に生じる高さの差が、0.3mm以下であることをいう。
第1垂下部211は、内側に設けられ、第2垂下部212は、第1垂下部211よりも外側に設けられる。第2垂下部212は、凹部216と反対側を向く側面212aを有する。側面212aは、換言すれば、外側を向く側面である。第2垂下部212の側面212aは、側壁基部214の外側を向く側面214aと連続する。すなわち、側壁基部214と第2垂下部212との間には、段差などが設けられていない。これにより、段差などによって清掃性が低下したり、段差などが使用者のお尻や足などに当たって使用者に違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
第1垂下部211と凹部216と第2垂下部212とが並ぶ内周側壁部210の厚さ方向において、第2垂下部212の幅は、側壁基部214から下方に向かうに従って減少する。換言すれば、第2垂下部212は、下方に向かうに従って薄くなる。ここで、「下方に向かうに従って減少する」とは、下方に向かって連続的に減少するものに限ることなく、段階的に減少するものなども含むものとする。すなわち、実質的に幅が変化しない部分を含んでいてもよい。以下、「下方に向かうに従って」の表現は、同様に、実質的に変化しない部分を含んでいてもよいものとする。
第2垂下部212の側面212aは、側壁基部214から下方に向かうに従って凹部216側に向かう。これにより、上記のように、第2垂下部212の厚さ方向の幅が、側壁基部214から下方に向かうに従って減少する。
第2垂下部212の側面212aの下端部は、例えば、凸曲面状に湾曲することにより、凹部216側に向かう。換言すれば、第2垂下部212の下端部には、いわゆるR面取りが施されている。第2垂下部212の側面212aの下端部は、例えば、直線状に傾斜することによって凹部216側に向かってもよい。換言すれば、第2垂下部212の下端部には、いわゆるC面取りを施してもよい。但し、側面212aの下端部を凸曲面状に湾曲させることにより、直線状に傾斜させる場合と比べて、角などが生じることを抑制することができる。例えば、使用者のお尻や足などが、側面212aの角などに当たって使用者に違和感を与えてしまうことを抑制することができる。
第2垂下部212の側面212aの下端212bは、第2垂下部212の厚さ方向の中央C1よりも凹部216側に位置する。第2垂下部212の厚さ方向の中央C1は、より詳しくは、例えば、第2垂下部212の湾曲又は傾斜していない部分の厚さ方向の中央である。あるいは、中央C1は、第2垂下部212の厚さ方向の幅の平均の中央である。
また、第2垂下部212の下端の厚さ方向の幅W1は、露出面310aの厚さ方向の幅W2よりも小さい。露出面310aの厚さ方向の幅W2は、例えば、1mm程度(例えば0.5mm以上3mm以下)である。例えば、第2垂下部212の下端が、湾曲又は傾斜した部分において露出面310aと連続的となる場合、第2垂下部212の下端の厚さ方向の幅W1は、限りなく0に近くなる。例えば、第2垂下部212の湾曲又は傾斜していない部分の厚さ方向の幅は、1mm以上2mm以下である。これにより、第2垂下部212が過度に厚くなることを適切に抑制しつつ、接合部材310となる樹脂を充填する際の圧力を第2垂下部212において適切に受けることができる。
嵌合部112の第2垂下部212と反対側を向く側面112aは、下方に向かうに従って第2垂下部212と離間する。側面112aは、例えば、直線状に傾斜することにより、下方に向かうに従って第2垂下部212と離間する。側面112aは、例えば、凸曲面状又は凹曲面状に湾曲することにより、下方に向かうに従って第2垂下部212と離間してもよい。
第1垂下部211の形状は、嵌合部112の形状に対応する。第1垂下部211の形状は、嵌合部112の形状と実質的に同じである。これにより、第1垂下部211は、嵌合部112に嵌合する。第1垂下部211は、嵌合部112と嵌合することにより、例えば、接合部材310となる樹脂を充填する際に、樹脂が内部空間S内に流れ込んでしまうことを抑制する。
嵌合部112の側面112aの少なくとも一部に対して直交する仮想線VLは、露出面310aを通る。
底板100の内周支持部110は、第2垂下部212と対向する対向面114と、対向面114の下端部から第2垂下部212に向かって延びる突出部116と、を有する。突出部116は、上方を向く上面116aを有する。突出部116の上面116aの少なくとも一部は、底板100の底面100bと略平行である。ここで、「略平行」とは、例えば、上面116aと底面100bとの角度の差が、±2°以下の状態である。
突出部116は、第2垂下部212と対向する側面116bを有する。突出部116の側面116bは、下方に向かうに従って第2垂下部212に近づく。側面116bは、例えば、直線状に傾斜することにより、下方に向かうに従って第2垂下部212に近づく。側面116bは、例えば、凸曲面状又は凹曲面状に湾曲することにより、下方に向かうに従って第2垂下部212に近付けてもよい。
また、突出部116の上面116aと底板100の底面100bとの成す角度は、突出部116の側面116bと底板100の底面100bとの成す角度よりも小さい。上面116aは、底面100bと略平行な面に限ることなく、例えば、側面116bよりも緩い傾斜を有する面などでもよい。なお、突出部116の形状は、上記の形状に限定されるものではない。突出部116は、例えば、略水平面状の上面116aと、略垂直面状の側面116bと、を有する略矩形状の形状などでもよい。あるいは、突出部116は、例えば、対向面114から連続的に下降傾斜する側面116bのみを有する形状などでもよい。
図5に表したように、底板100の外周支持部120は、嵌合部122を有する。外周側壁部220は、第1垂下部221と、第2垂下部222と、側壁基部224と、凹部226と、を有する。接合部材320は、凹部226内に設けられ、露出面320aを有する。外周支持部120及び外周側壁部220の構成は、上下方向を軸に対称である点を除いて、内周支持部110及び内周側壁部210の構成と実質的に同じである。従って、外周支持部120及び外周側壁部220についての詳細な説明は省略する。
底板100、上板200、接合部材310、及び接合部材320は、例えば、ポリプロピレン、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)、またはPBT(Polybutylene Terephthalate)、またはポリカーボネート系複合材料などを含む。
図6は、実施形態に係る便座の製造工程を表す断面図である。図6では、内周支持部110の一部及び内周側壁部210の一部を表している。
上述した通り、外周支持部120及び外周側壁部220の接合部材320近傍の構造は、例えば、内周支持部110及び内周側壁部210の接合部材310近傍の構造と、それぞれ実質的に同様である。このため、ここでは内周支持部110の一部及び内周側壁部210の一部を例に挙げて、便座10の製造工程を説明する。
まず、着座部230を下にして上板200を金型M1の上に載置する。この際、上板200を金型M1に嵌め込むようにし、上板200の外側の面を金型M1で押さえるようにする。この後、上板200の上に底板100を配する。このとき、図6に表したように、内周側壁部210の第1垂下部211が内周支持部110の嵌合部112に嵌合し、突出部116と第2垂下部212との間に注入口となる隙間が出来るように、内周支持部110を内周側壁部210の上に配する。
この状態で、金型M2により底板100を下方に向かって押圧する。金型M2には、接合部材310となる樹脂を注入するためのゲートGが設けられている。このゲートGが、突出部116と第2垂下部212との隙間に位置するように、金型M2を底板100及び上板200の上に配する。
この状態で、突出部116と第2垂下部212との間の隙間から凹部216内に、加熱した樹脂をゲートGから注入する。加熱された樹脂が隙間に注入されると、底板100及び上板200の樹脂と接する面が熱によって溶融し、樹脂と混ざり合う。その後、樹脂が冷えて硬化し、接合部材310となることで、底板100と上板200が接合される。底板100と上板200の接合後は、第2垂下部212の先端の面取りや、樹脂のバリ取りなどが適宜行われても良い。以上により、実施形態に係る便座10が作製される。
以上、説明したように、本実施形態にかかる便座10では、底板100及び第2垂下部212、222に金型M2を押し当てて、底板100側から接合部材310、320となる樹脂を凹部216、226に注入して便座10を製造する際に、第2垂下部212、222の幅を、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少させることにより、第2垂下部212、222と金型M2との接触面積を小さくし、注入口の一部となる第2垂下部212、222の下端部と金型M2との接触圧力を高めることができる。これにより、突起などを設けなくても、注入する樹脂が注入口から漏れ出てしまうことを適切に抑制することができる。漏れた樹脂や突起などを除去するための工程を追加する必要がなく、生産性の低下を抑制することができる。従って、樹脂を充填して上板200と底板100とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座10を提供することができる。
なお、例えば、ゲートGの近傍などにおいては、加熱された樹脂を注入した際に、底板100及び上板200と樹脂との溶融する量が多くなってしまう可能性がある。この場合、ゲートGの近傍などにおいては、第2垂下部212、222の幅が、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少しているか否かを確認し難くなってしまう可能性がある。このため、便座10は、必ずしもその全周において、第2垂下部212、222の幅が、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少する関係になっていなくてもよい。便座10は、周方向の少なくとも一部において、第2垂下部212、222の幅が、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少する関係になっていない部分を有してもよい。
また、便座10では、第2垂下部212、222の凹部216、226と反対側を向く側面212a、222aが、側壁基部214、224から下方に向かうに従って凹部216、226側に向かう。これにより、金型M2の押し当てにともなう圧力が第2垂下部212、222に加わった際に、第2垂下部212、222の下端部を底板100側に向けて撓ませることができる。すなわち、注入口を狭める側に、第2垂下部212、222の下端部を撓ませることができる。更に樹脂の注入圧力によって第2垂下部212、222の下端部が外側に戻ろうとする力で、下端部が強く金型M2に押し当てられることにより大きな接触圧力が発生する。これにより、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、第2垂下部212、222の凹部216、226と反対側を向く側面212a、222aの下端212b、222bが、第2垂下部212、222の厚さ方向の中央C1よりも凹部216、226側に位置する。これにより、第2垂下部212、222と金型M2との接触面積をより小さくし、注入口の一部となる第2垂下部212、222の下端部と金型M2との接触圧力をより高めることができる。また、金型M2の押し当てにともなう圧力が第2垂下部212、222に加わった際に、第2垂下部212、222の下端部をより確実に底板100側に向けて撓ませることができる。更に樹脂の注入圧力によって下端部が外側に戻ろうとする力で、第2垂下部212、222の下端部が強く金型M2に押し当てられることにより大きな接触圧力が発生する。これにより、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、第2垂下部212、222の下端の厚さ方向の幅W1は、露出面310a、320aの厚さ方向の幅W2よりも小さい。これにより、第2垂下部212、222と金型M2との接触面積をより小さくし、注入口の一部となる第2垂下部212、222の下端部と金型M2との接触圧力をより高めることができる。これにより、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、嵌合部112、122の第2垂下部212、222と反対側を向く側面112a、122aを、下方に向かうに従って第2垂下部212、222と離間するように傾斜又は湾曲させることにより、底板100及び第2垂下部212、222に金型M2を押し当てて、底板100側から接合部材310、320となる樹脂を凹部216、226に注入して便座10を製造する際に、金型M2の押し当てにともなう力を、嵌合部112、122の側面112a、122aから底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部に伝達することができる。この例では、第2垂下部212、222と対向する突出部116、126の下端部に、力を伝達することができる。底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部は、樹脂を注入するための注入口の一部となる。このように、金型M2の押し当てにともなう力を、底板100の注入口の一部となる部分に伝達することにより、突起などを設けることなく、注入口の周囲における金型M2との接触圧力を高めることができる。これにより、突起などを設けなくても、注入する樹脂が注入口から漏れ出てしまうことを適切に抑制することができる。漏れた樹脂や突起などを除去するための工程を追加する必要がなく、生産性の低下を抑制することができる。従って、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供することができる。
なお、便座10は、必ずしも全周において上記の関係になっていなくてもよい。便座10は、周方向の少なくとも一部において、側面112a、122aが、下方に向かうに従って第2垂下部212、222と離間する関係になっていない部分を有していてもよい。
また、便座10では、嵌合部112、122の側面112a、122aの少なくとも一部に対して直交する仮想線VLが、露出面310a、320aを通る。これにより、樹脂を注入するための注入口の一部となる底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部(突出部116、126の下端部)に、金型M2の押し当てにともなう力を、より適切に伝達することができる。従って、注入口の周囲における金型M2との接触圧力をより高め、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、底板100が、第2垂下部212、222と対向する対向面114、124と、対向面114、124の下端部から第2垂下部212、222に向かって延びる突出部116、126と、を有する。これにより、樹脂の注入にともなう圧力を突出部116、126を介して底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部に伝達することができる。これにより、注入口の周囲における金型M2との接触圧力をより高め、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、突出部116、126が、第2垂下部212、222と対向する側面116b、126bを有し、突出部116、126の側面116b、126bが、下方に向かうに従って第2垂下部212、222に近づく。これにより、樹脂の注入にともなう圧力を突出部116、126を介して底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部により適切に伝達し、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
また、便座10では、突出部116、126の上面116a、126aと底板100の底面100bとの成す角度が、突出部116、126の側面116b、126bと底板100の底面100bとの成す角度よりも小さい。これにより、樹脂の注入にともなう圧力を突出部116、126を介して底板100の第2垂下部212、222と対向する部分の下端部により適切に伝達し、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
図7(a)及び図7(b)は、実施形態にかかる内周支持部及び内周側壁部の変形例を表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。また、以下の変形例においても、外周支持部120及び外周側壁部220の構成は、上下方向を軸に対称である点を除いて、内周支持部110及び内周側壁部210の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
上記実施形態では、第2垂下部212の側面212aを、側壁基部214から下方に向かうに従って凹部216側に向かわせることにより、第2垂下部212、222の幅を、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少させている。
これに限ることなく、例えば、図7(a)に表したように、第2垂下部212の側面212aを、側壁基部214から下方に向かうに従って凹部216側に向かわせるとともに、第2垂下部212の接合部材310との接合部212cを、側壁基部214から下方に向かうに従って底板100から離間させることにより、第2垂下部212、222の幅を、側壁基部214、224から下方に向かうに従って減少させてもよい。
この際、接合部212cは、図7(a)に表したように、傾斜させることによって、下方に向かうに従って底板100から離間させてもよいし、凸曲面状又は凹曲面状に湾曲させることによって、下方に向かうに従って底板100から離間させてもよい。また、側面212a及び接合部212cを傾斜又は湾曲させる場合にも、図7(a)に表したように、第2垂下部212の側面212aの下端212bは、第2垂下部212の厚さ方向の中央C1よりも凹部216側に位置することが好ましい。
図7(b)に表したように、この例では、第2垂下部212と接合部材310との接合部212cが、側壁基部214から下方に向かうに従って底板100側に向かう。接合部212cは、例えば、図7(b)に表したように凹状に湾曲させてもよいし、傾斜させてもよい。この場合、同じ高さの位置における接合部212cの傾斜角度又は曲率は、側面212aの傾斜角度又は曲率よりも小さい。
このように、第2垂下部212と接合部材310との接合部212cを、側壁基部214から下方に向かうに従って底板100側に向かわせることにより、例えば、金型M2の押し当てにともなう圧力が第2垂下部212に加わった際に、第2垂下部212の下端部をより底板100側に向けて撓ませることができる。更に樹脂の注入圧力によって第2垂下部212の下端部が外側に戻ろうとする力で、下端部が強く金型M2に押し当てられることにより大きな接触圧力が発生する。これにより、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
なお、前述のように、接合部212cは、接合部材310と互いに溶融するため、その界面が判別し難い可能性がある。この場合には、例えば、接合部材310の材料の成分よりも、第2垂下部212の材料の成分の方が高くなる部分を、第2垂下部212の界面(接合部212c)とすればよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便座10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
2 トイレ装置、 4 便座装置、 6 便器、 10 便座、 12 便蓋、 14 本体部、 100 底板、 110 内周支持部、 112 嵌合部、 114 対向面、 116 突出部、 120 外周支持部、 122 嵌合部、 130 底板基部、 131 支持足、 200 上板、 210 内周側壁部、 211 第1垂下部、 212 第2垂下部、 214 側壁基部、 216 凹部、 220 外周側壁部、 221 第1垂下部、 222 第2垂下部、 224 側壁基部、 226 凹部、 230 着座部、 310 接合部材、 320 接合部材
第1の発明は、凹状の嵌合部を有する底板と、前記底板の上に設けられる側壁部と、前記側壁部によって支持される着座部と、を有する上板と、前記底板と前記側壁部とを接合し、外部に露出する露出面を有する接合部材と、を備え、前記嵌合部は、前記側壁部と対向する位置に設けられ、下方に向かって凹む凹状であり、前記側壁部は、前記着座部を支持する側壁基部と、前記側壁基部の下端から下方に延び、前記底板の上に重なり、前記嵌合部に嵌合する第1垂下部と、前記側壁基部の下端に前記第1垂下部と離間して設けられ、前記第1垂下部との間に上方に向かって凹む凹部を設けるとともに、前記底板と上下方向において重ならない位置に配置された第2垂下部と、を有し、前記接合部材は、前記凹部内に設けられ、前記第2垂下部と前記底板との間に前記露出面を配置し、前記嵌合部の前記第2垂下部と反対側を向く側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部と離間し、前記嵌合部の前記側面の少なくとも一部に対して直交する仮想線は、前記露出面を通ることを特徴とする便座である。
この便座によれば、嵌合部の第2垂下部と反対側を向く側面を、下方に向かうに従って第2垂下部と離間するように傾斜又は湾曲させることにより、底板及び第2垂下部に金型を押し当てて、底板側から接合部材となる樹脂を凹部に注入して便座を製造する際に、金型の押し当てにともなう力を、嵌合部の側面から底板の第2垂下部と対向する部分の下端部に伝達することができる。底板の第2垂下部と対向する部分の下端部は、樹脂を注入するための注入口の一部となる。このように、金型の押し当てにともなう力を、底板の注入口の一部となる部分に伝達することにより、突起などを設けることなく、注入口の周囲における金型との接触圧力(シール圧)を高めることができる。これにより、突起などを設けなくても、注入する樹脂が注入口から漏れ出てしまうことを適切に抑制することができる。漏れた樹脂や突起などを除去するための工程を追加する必要がなく、生産性の低下を抑制することができる。従って、樹脂を充填して上板と底板とを接合する場合に、樹脂漏れを適切に抑制しつつ、高い清掃性と生産性とを得ることができる便座を提供することができる。また、前記嵌合部の前記側面の少なくとも一部に対して直交する仮想線が、前記露出面を通ることにより、樹脂を注入するための注入口の一部となる底板の第2垂下部と対向する部分の下端部に、金型の押し当てにともなう力を、より適切に伝達することができる。従って、注入口の周囲における金型との接触圧力をより高め、樹脂漏れをより確実に抑制することができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記底板は、前記第2垂下部と対向する対向面と、前記対向面の下端部から前記第2垂下部に向かって延びる突出部と、を有することを特徴とする便座である。
第3の発明は、第2の発明において、前記突出部は、前記第2垂下部と対向する側面を有し、前記突出部の前記側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部に近づくことを特徴とする便座である。
第4の発明は、第3の発明において、前記突出部は、上方を向く上面を有し、前記突出部の前記上面と前記底板の底面との成す角度は、前記突出部の前記側面と前記底板の前記底面との成す角度よりも小さいことを特徴とする便座である。

Claims (5)

  1. 凹状の嵌合部を有する底板と、
    前記底板の上に設けられる側壁部と、前記側壁部によって支持される着座部と、を有する上板と、
    前記底板と前記側壁部とを接合し、外部に露出する露出面を有する接合部材と、
    を備え、
    前記嵌合部は、前記側壁部と対向する位置に設けられ、下方に向かって凹む凹状であり、
    前記側壁部は、
    前記着座部を支持する側壁基部と、
    前記側壁基部の下端から下方に延び、前記底板の上に重なり、前記嵌合部に嵌合する第1垂下部と、
    前記側壁基部の下端に前記第1垂下部と離間して設けられ、前記第1垂下部との間に上方に向かって凹む凹部を設けるとともに、前記底板と上下方向において重ならない位置に配置された第2垂下部と、
    を有し、
    前記接合部材は、前記凹部内に設けられ、前記第2垂下部と前記底板との間に前記露出面を配置し、
    前記嵌合部の前記第2垂下部と反対側を向く側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部と離間することを特徴とする便座。
  2. 前記嵌合部の前記側面の少なくとも一部に対して直交する仮想線は、前記露出面を通ることを特徴とする請求項1記載の便座。
  3. 前記底板は、前記第2垂下部と対向する対向面と、前記対向面の下端部から前記第2垂下部に向かって延びる突出部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の便座。
  4. 前記突出部は、前記第2垂下部と対向する側面を有し、
    前記突出部の前記側面は、下方に向かうに従って前記第2垂下部に近づくことを特徴とする請求項3記載の便座。
  5. 前記突出部は、上方を向く上面を有し、
    前記突出部の前記上面と前記底板の底面との成す角度は、前記突出部の前記側面と前記底板の前記底面との成す角度よりも小さいことを特徴とする請求項4記載の便座。
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