JP2019166761A - モーター制御方法およびモーター制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動対象物を移動させるモーターの駆動力を駆動負荷に応じて制御する。【解決手段】初期動作時に該当する場合に移動対象物を移動させる時には、予め用意された第1速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御し、移動対象物を移動させる。第1速度プロファイルの加速領域において、モーターに掛かる第1トルクを求める。モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいて予め設定された目標加速トルクと、第1トルクとの差分の第1差分トルクを求める。モーターに働くイナーシャと、第1差分トルクとに基づいて加速領域において増加可能な第1余力加速度を求める。第1速度プロファイルを第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成する。前記初期動作時に該当しない場合に移動対象物を移動させる時には、第2速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御し、移動対象物を移動させる。【選択図】図2
Description
本発明は、移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御方法およびモーター制御装置に関する。
従来、印刷装置の印刷ヘッドが搭載されたキャリッジの移動の速度制御のためのモーターの制御や、ロール状のシート(印刷媒体)の搬送のための速度制御およびテンション制御のためのモーターの制御等のように、移動対象物を移動させるために種々のモーターの制御が行なわれている。
例えば、特許文献1には、印刷ヘッドが搭載されたキャリッジを往復動させて印刷媒体に印刷を行なうプリンター(印刷装置)において、環境温度に応じて選択された加減速テーブル(「速度プロファイル」とも呼ぶ)に従ってキャリッジを移動させるモーターの制御方法が開示されている。
また、特許文献2には、ロール状のシートを搬送する搬送部から搬送されるシートを巻取軸で巻き取らせるモーターの出力トルクを制御して、搬送されるシートのテンションを目標テンションに近づける制御を実行しつつ、シートの搬送速度を制御して、シートの搬送を制御する方法が開示されている。具体的には、目標テンションを第1目標値に設定した状態で搬送部にシートの搬送を目標速度まで加速させた後に、目標テンションを第1目標値より小さい第2目標値に設定した状態で搬送部にシートを一定速度(目標速度)で搬送させている例が開示されている。
例えば、特許文献1のモーターの制御における速度プロファイルでは、モーターの駆動負荷が最も大きい状態(ワースト駆動負荷)でも、キャリッジ(移動対象物)の移動動作が可能となるような小さな加速度に設定されて、ワースト駆動負荷に対応する出力トルクでモーターが動作するように制御される。このため、キャリッジの速度が定速状態に到達するまでに時間を要し、また、減速して停止するまでに時間を要する。
キャリッジを駆動するためのモーターの駆動負荷は、キャリッジの摺動部の摩擦係数や潤滑剤の粘性係数等の装置の個体差によって決まり、ワースト駆動負荷の条件は、装置の稼動回数が多くなった耐久性末期における低温環境下のときと考えられる。
従って、ワースト駆動負荷の条件以外の稼動環境においては、加速度が過剰に制限された速度プロファイルに従ってモーターを駆動することになるため、スループットが損なわれているという問題がある。
なお、特許文献1の構成では、環境温度に応じた速度プロファイルの選択により、環境温度に応じた性能を発揮させて動作させることは可能である。しかしながら、装置の個体差や稼動回数で変化する負荷についてはワーストケースを想定して、環境温度に応じた複数の速度プロファイルをあらかじめ設定していることが推定される。すなわち、装置の個体差や稼動回数で変化する負荷についてのマージンをとって環境温度に応じた複数の速度プロファイルがあらかじめ設定されていると言える。このため、装置の動作環境に応じたスループットの点で不十分であると言える。
特許文献2においても、同様に、シートの速度制御において設定される加速度は、ワースト駆動負荷でも、シートの搬送が可能となるような小さな加速度に設定されて、ワースト駆動負荷に対応する出力トルクでモーターが動作するように制御される。このため、ワースト駆動負荷の条件以外の稼動環境においては、加速度が過剰に制限された状態でモーターを駆動することになり、スループットが損なわれる、という問題がある。
なお、上記スループットの問題は、特許文献1のキャリッジを駆動するためのモーターや特許文献2のシートを搬送するためのモーターだけでなく、移動対象物を移動させる駆動力を生成するモーターの制御に共通する問題である。
本発明の一形態によれば、移動対象物の移動の速度が速度プロファイルに従うように、前記移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御方法が提供される。前記速度プロファイルは、前記移動対象物の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められている。モーター制御方法は;初期動作時に該当する場合において、前記移動対象物を移動させる時には;あらかじめ用意された第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ;前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの加速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを求め;前記モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標加速トルクと、前記第1トルクとの差分である第1差分トルクを求め;前記移動対象物が移動する際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第1差分トルクとに基づいて、前記加速領域において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度を求め;前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成する。前記初期動作時に該当しない場合において、前記移動対象物を移動させる時には;前記第2速度プロファイルに従って前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させる。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての印刷装置10の概略構成を示す説明図である。印刷装置10は、印刷媒体Pに対して印刷ヘッドの複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷媒体P上にドットを形成し、画像等を印刷する。印刷装置10は、ヘッドユニット30と、キャリッジモーター40と、搬送モーター50と、駆動ベルト61と、フレキシブルケーブル62と、プラテン63と、リニアエンコーダー64と、制御部20と、を備えている。
図1は、本発明の第1実施形態としての印刷装置10の概略構成を示す説明図である。印刷装置10は、印刷媒体Pに対して印刷ヘッドの複数のノズルからインクを吐出することにより、印刷媒体P上にドットを形成し、画像等を印刷する。印刷装置10は、ヘッドユニット30と、キャリッジモーター40と、搬送モーター50と、駆動ベルト61と、フレキシブルケーブル62と、プラテン63と、リニアエンコーダー64と、制御部20と、を備えている。
ヘッドユニット30は、フレキシブルケーブル62を介して制御部20と電気的に接続されている。ヘッドユニット30は、図示しないキャリッジガイドに主走査方向Xに往復移動可能に取り付けられている。ヘッドユニット30は、駆動ベルト61を介して伝達されるキャリッジモーター40の動力により主走査方向Xに沿って往復移動する。
ヘッドユニット30は、キャリッジ31と、4つのインクカートリッジ32と、印刷ヘッド33と、を備えている。キャリッジ31には、インク色ごとの4つのインクカートリッジ32が装着されている。印刷ヘッド33には、印刷媒体Pに対向する面にインクを吐出する複数のノズルが設けられている。インクカートリッジ32から印刷ヘッド33に供給されたインクは、上記ノズルから液滴状に吐出される。
リニアエンコーダー64は、キャリッジ31(ヘッドユニット30)の移動方向に沿って配置されたリニアスケールと、キャリッジ31に取り付けられた光センサーと、エンコード回路と、から構成されている。リニアエンコーダー64は、リニアスケールに形成された目盛を光センサーで読み取ることによりキャリッジ31(ヘッドユニット30)の位置を検出する位置検出部である。リニアエンコーダー64によって検出されたキャリッジ31の位置の変化から、後述するように、キャリッジ31の移動速度を検出することができる。
搬送モーター50は、制御部20からの制御信号に応じて駆動する。搬送モーター50の動力がプラテン63に伝達することにより、印刷媒体Pが副走査方向Yに搬送される。
制御部20は、CPU、メモリーおよび入出力インターフェイスを備える装置である。本実施形態では、制御部20は、コンピューターにより構成されている。制御部20は、メモリーに予め格納されている制御プログラムを実行することにより、印刷媒体Pの搬送制御や、キャリッジ31(ヘッドユニット30)の移動制御、印刷ヘッド33からのインクの吐出制御等の印刷装置10の各部の制御を実行して、印刷媒体Pへの印刷を制御する。本実施形態では、以下で説明するように、キャリッジ31(ヘッドユニット30)の移動制御に特徴を有している。
図2は、ヘッドユニット30の移動制御のための制御部20の機能ブロックであるキャリッジモーター制御部210を機能的に示すブロック図である。キャリッジモーター制御部210は、ヘッドユニット30の移動を制御するためにキャリッジモーター40の動作を、速度プロファイルに従ってフィードバック(Feed Back,FB)制御するFB制御部220と、速度プロファイルを生成するプロファイル生成部230と、を備える。速度プロファイルには、後述するように、キャリッジ31の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められている。
FB制御部220は、上記FB制御のために、速度検出部221と、2つの速度プロファイル222,223と、速度偏差検出部224と、駆動量制御部225と、PWM部226と、を備える。速度検出部221は、リニアエンコーダー64で検出されるキャリッジ31の位置の変化からキャリッジ31の移動速度を検出する。速度偏差検出部224は、第1速度プロファイル222または第2速度プロファイル223との偏差を検出する。駆動量制御部225は、検出された偏差が小さくなるように、キャリッジモーター40の駆動量を設定する。PWM部226は、設定された駆動量の大きさに応じて、モーター駆動部41が出力するパルス状の電圧のパルス幅のデュ−ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変化させる。
FB制御部220は、キャリッジモーター40の移動速度を速度プロファイルに従ってフィードバック制御することにより、キャリッジモーター40の駆動力を制御し、ヘッドユニット30が速度プロファイルに従って移動するように制御する。
なお、第1速度プロファイル222は、キャリッジモーター40に掛かる負荷として想定される最も大きな負荷(想定ワースト負荷)においてもキャリッジ31を移動させることができるように、加速領域における加速度、定速領域における速度、減速領域における加速度が設定されている。第1速度プロファイル222は、例えば、以下に示すあらかじめ定めたモーター駆動開始条件に該当する場合に、FB制御部220によってキャリッジモーター40の制御が実行される時に用いられる。
(モーター駆動開始条件)
・印刷装置10の起動時やリセット動作時のキャリッジ31の最初の移動動作実行時(初期動作時)
・一定期間以上動作させていなかったキャリッジ31の最初の移動動作実行時
(モーター駆動開始条件)
・印刷装置10の起動時やリセット動作時のキャリッジ31の最初の移動動作実行時(初期動作時)
・一定期間以上動作させていなかったキャリッジ31の最初の移動動作実行時
また、第2速度プロファイル223は、プロファイル生成部230において、第1速度プロファイル222によるキャリッジ31の移動動作を実行した際に検出されるキャリッジモーター40に掛かるモータートルクに基づいて、第1速度プロファイルを修正することにより生成されるプロファイルである。第2速度プロファイル223は、第1速度プロファイル222に基づいて第2速度プロファイル223が生成された後、かつ、上記モーター駆動開始条件に該当しない場合に、FB制御部220によってキャリッジモーター40の制御が実行される時に用いられる。
プロファイル生成部230は、トルク検出部231と、差分トルク検出部232と、余力加速度検出部233と、第2速度プロファイル生成部234と、を備え、以下で説明するように、上記した第2速度プロファイル223を生成する。
図3は、プロファイル生成部230における第2速度プロファイル223の生成の手順を示すフローチャートである。この第2速度プロファイル生成処理は、FB制御部220(図2)がキャリッジモーター40の移動速度を第1速度プロファイル222に従うようにフィードバック制御するのに並行して、プロファイル生成部230によって実行される。
また、図4は、第1速度プロファイル222および生成される第2速度プロファイル223の一例を示す説明図である。なお、図4は、上段で第1速度プロファイル222および第2速度プロファイル223を示し、下段でキャリッジモーター40に掛かるモータートルクを示している。上段の第1速度プロファイル222および第2速度プロファイル223は、プロファイルの特性を分かりやすくするために、横軸を時間、縦軸を速度とするグラフで示されている。下段のモータートルクも、同様に、横軸を時間、縦軸をモータートルクとするグラフで示されている。
まず、図3のステップS10では、トルク検出部231(図2)によって、加速時(加速領域)においてキャリッジモーター40に掛かるモータートルクである第1トルクが求められる。キャリッジモーター40に掛かるモータートルクTmは、下式(1)に従って計算により求めることができる。
Tm=Kt・Vps×[ton/(ton+toff)]/Rm ・・・式(1)
Ktはトルク定数、Vpsは電源電圧、Rmはモーター抵抗(電機子抵抗)である。tonはPWMによるパルス状の電圧のパルス幅がHレベルの時間(ON時間)、toffはLレベルの時間(OFF時間)、(ton+toff)はパルス周期である。また、Vps×[ton/(ton+toff)]はPWMによるモーター印加電圧である。
Tm=Kt・Vps×[ton/(ton+toff)]/Rm ・・・式(1)
Ktはトルク定数、Vpsは電源電圧、Rmはモーター抵抗(電機子抵抗)である。tonはPWMによるパルス状の電圧のパルス幅がHレベルの時間(ON時間)、toffはLレベルの時間(OFF時間)、(ton+toff)はパルス周期である。また、Vps×[ton/(ton+toff)]はPWMによるモーター印加電圧である。
なお、式(1)に従って求められるモータートルクTm(図4の現状負荷トルクに対応)は、FB制御の制御量に応じて変動する可能性がある。但し、図4の現状負荷トルクは、図を分かりやすくするために、上記変動を省略して示している。そこで、加速時(加速領域)において求められるモータートルクのうち、最大値、あるいは平均値を第1トルクとして用いることが好ましい。本例では、平均値を用いるものとする。
図3のステップS20では、差分トルク検出部232(図2)によって、図4に示すように、目標加速トルクと第1トルクとの差分である第1差分トルクが求められる。目標加速トルクとしては、キャリッジモーター40に加速時において許容される最大限界トルク、あるいは、最大限界トルクから一定量減少させて、一定量の余裕(マージン)を持たせたトルクが用いられる。本例では、最大限界トルクが用いられるものとする。なお、最大限界トルクは、キャリッジモーター40として用いられるモーターの性能や、キャリッジモーター40によって駆動される駆動機構の性能等から算出される。
図3のステップS30では、余力加速度検出部233(図2)によって、第1差分トルクとキャリッジモーター40に働くイナーシャとに基づいて、加速時(加速領域)において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度が求められる。第1余力加速度Am1は、下式(2)に従って計算により求めることができる。
Am1=ΔTm1/I ・・・式(2)
ΔTm1は第1差分トルク、Iはキャリッジモーター40に働くイナーシャである。
Am1=ΔTm1/I ・・・式(2)
ΔTm1は第1差分トルク、Iはキャリッジモーター40に働くイナーシャである。
なお、図4に示した第1速度プロファイル222においては、キャリッジモーター40に掛かる負荷トルクが想定ワースト負荷トルクであるとして、加速時(加速領域)において目標加速トルクに相当するトルクでキャリッジモーター40を駆動するように、加速度が設定されている。また、減速時(減速領域)の加速度は、加速時の加速度を利用して設定されている。ただし減速時(減速領域)の加速度は加速時の加速度を利用して設定することに限定されず、例えば減速時の加速度を利用して設定するようにしてもよい。
これに対して、実際にキャリッジモーター40に掛かっている負荷である現状負荷トルクは、図4に示すように、第1差分トルクΔTm1分だけ目標加速トルクよりも低くなっている。この場合、図4に示した変更トルクのように、第1差分トルクΔTm1に対応する分だけキャリッジモーター40にかかる負荷トルクを大きくすることが可能であり、図4に示した第2速度プロファイル223のように、式(2)で求められる第1余力加速度Am1分だけ、加速時の加速度および減速時の加速度(減速度)を大きくすることが可能である。
そこで、図3のステップS40では、第2速度プロファイル生成部234(図2)によって、第1余力加速度に基づいて第1速度プロファイル222を修正して第2速度プロファイル223を生成する。具体的には、図4に示すように、第1速度プロファイル222で設定されている加速時の加速度および減速時の加速度(減速度)が第1余力加速度Am1分だけ大きくなるように、第1速度プロファイル222を修正して、第2速度プロファイル223を生成する。
以上のようにして生成された第2速度プロファイル223は、上記したように、第1速度プロファイル222に基づいて第2速度プロファイル223が生成された後、かつ、モーター駆動開始条件に該当しない場合において、キャリッジ31の移動動作を実行する際のFB制御に用いられる。
上記のようにして生成された第2速度プロファイル223を用いてFB制御を行なった場合、加速時において、目標加速トルクまで増加させたトルクでキャリッジモーター40を駆動することができ、加速時の加速度でキャリッジ31を移動させることができる。また、加速時の加速度を利用した減速時の加速度(減速度)でキャリッジ31を移動させることができる。これにより、キャリッジ31の移動の加速時間および減速時間を短縮することができる。
また、現状のキャリッジモーター40に掛かるモータートルクを、第1速度プロファイル222に従ってキャリッジモーター40を駆動したモーター印加電圧から求めるので、装置毎の個体差のバラつきを吸収して、第2速度プロファイル223を生成することができる。
なお、使用環境の変化や装置の稼動回数が増加すると、現状の負荷トルクは想定ワースト負荷トルクに近づいてくるので、これに応じて生成される第2速度プロファイル223も想定ワースト負荷トルクに対応する第1速度プロファイル222に近づくことになる。
以上説明したように、上記した第1実施形態によれば、装置毎の個体差や稼動回数、環境変化によるバラつきを吸収しつつ、現時点の動作環境に応じたスループット性能を発揮させることができる。
B.第2実施形態:
図5は、第2実施形態における第2速度プロファイルの生成の手順を示すフローチャートである。なお、第2実施形態は、第2速度プロファイル生成処理を除いて、第1実施形態と同じである。この第2速度プロファイル生成処理も、FB制御部220(図2)における第1速度プロファイル222に従ったフィードバック制御に並行して、プロファイル生成部230において実行される。
図5は、第2実施形態における第2速度プロファイルの生成の手順を示すフローチャートである。なお、第2実施形態は、第2速度プロファイル生成処理を除いて、第1実施形態と同じである。この第2速度プロファイル生成処理も、FB制御部220(図2)における第1速度プロファイル222に従ったフィードバック制御に並行して、プロファイル生成部230において実行される。
また、図6は、第1速度プロファイル222および生成される第2速度プロファイル223の一例を示す説明図である。なお、図6も第1実施形態における第1速度プロファイル222および生成される第2速度プロファイル223の一例(図4)と同様に、上段で、第1速度プロファイル222および第2速度プロファイル223を示し、下段でキャリッジモーター40に掛かるモータートルクを示している。
まず、図5のステップS10Bでは、図3のステップS10と同様に、トルク検出部231(図2)によって、加速時(加速領域)におけるキャリッジモーター40のモータートルクである第1トルクが求められるのに加えて、減速時(減速領域)におけるキャリッジモーター40のモータートルクである第2トルクが求められる。なお、第2トルクも第1トルクと同様に、上記した式(1)で示されるモータートルクの式に従って求めることができる。また、減速時において求められるモータートルクのうち、絶対値の最大値、あるいは平均値を第2トルクとして用いることが好ましい。本例では、平均値を用いるものとする。
図5のステップS20Bでは、図3のステップS20と同様に、差分トルク検出部232(図2)によって、第1差分トルクΔTm1が求められるのに加えて、図6に示すように、目標減速トルクと、第2トルクとの差分である第2差分トルクΔTm2が求められる。目標減速トルクとしては、目標加速トルクと同様に、キャリッジモーター40に減速時において許容される最大限界トルク(絶対値)、あるいは、最大限界トルクから一定量減少(絶対値)させて、一定量の余裕(マージン)を持たせたトルクが用いられる。本例では、最大限界トルクが用いられるものとする。なお、減速時の最大限界トルクも、加速時の最大限界トルクと同様に、キャリッジモーター40として用いられるモーターの性能や、キャリッジモーター40によって駆動される駆動機構の性能等から算出される。
図5のステップS30Bでは、図3のステップS30と同様に、余力加速度検出部233(図2)によって、第1余力加速度が求められるのに加えて、第2差分トルクとキャリッジモーター40に働くイナーシャとに基づいて、減速時(減速領域)において増加可能な加速度の余力である第2余力加速度が求められる。第2余力加速度Am2も、式(2)に従って求められる第1余力加速度Am1と同様に、下式(3)に従って計算により求めることができる。
Am2=ΔTm2/I ・・・式(3)
ΔTm2は第2差分トルク、Iはキャリッジモーター40に働くイナーシャである。
Am2=ΔTm2/I ・・・式(3)
ΔTm2は第2差分トルク、Iはキャリッジモーター40に働くイナーシャである。
なお、図6に示した第1速度プロファイル222は、図4に示した第1速度プロファイル222と同様であり、想定ワースト負荷トルクに対応するように、加速時(加速領域)の加速度が設定されたものであり、加速時の加速度をそのまま利用して減速時(減速領域)の加速度が設定されたものである。ただし加速時(加速領域)の加速度は加速時の加速度を利用して設定することに限定されず、例えば減速時の加速度を利用して設定するようにしてもよい。
実際にキャリッジモーター40に掛かっている現状負荷トルクは、加速時(加速領域)において、図4および図6に示すように、第1差分トルクΔTm1分だけ目標加速トルクよりも低くなるのと同様に、減速時(減速領域)において、図6に示すように、第2差分トルクΔTm2分だけ目標減速トルクよりも絶対値が低くなっている。この場合、図4および図6に示した変更トルクのように、加速時において第1差分トルクΔTm1に対応する分だけキャリッジモーター40にかかる負荷トルクを大きくできるのと同様に、図6に示した変更トルクのように、減速時において第2差分トルクΔTm2に対応する分だけキャリッジモーター40にかかる負荷トルクの絶対値を大きくすることが可能である。そして、図4および図6に示した第2速度プロファイル223のように、加速時において、式(2)で求められる第1余力加速度Am1分だけ、加速時の加速度を大きくできるのと同様に、図6に示した第2速度プロファイル223のように、減速時において、式(3)で求められる第2余力加速度Am2分だけ、減速時の加速度(減速度)を大きくすることが可能である。
そこで、図5のステップS40Bでは、図3のステップS40と同様に、第2速度プロファイル生成部234(図2)によって、第1余力加速度に基づいて第1速度プロファイル222を修正するのに加えて、第2余力加速度に基づいて第1速度プロファイル222を修正して、第2速度プロファイル223を生成する。具体的には、図6に示すように、第1速度プロファイル222で設定されている加速時の加速度が第1余力加速度Am1分だけ大きく、かつ、減速時の加速度(減速度)が第2余力加速度Am2分だけ大きくなるように、第1速度プロファイル222を修正して、第2速度プロファイル223を生成する。
上記のようにして生成された第2速度プロファイル223を用いてFB制御を行なった場合にも、加速時において、目標加速トルクまで増加させたトルクでキャリッジモーター40を駆動することができ、加速時の加速度でキャリッジ31を移動させることができる。また、減速時において、目標減速トルクまで絶対値を増加させたトルクでキャリッジモーター40を駆動することができ、減速時の加速度(減速度)でキャリッジ31を移動させることができる。これにより、キャリッジ31の移動の加速時間および減速時間を短縮することができる。
また、現状のキャリッジモーター40に掛かるモータートルクを、第1速度プロファイル222に従ってキャリッジモーター40を駆動したモーター印加電圧から求めるので、装置毎の個体差のバラつきを吸収して、第2速度プロファイル223を生成することができる。
以上説明したように、上記した第2実施形態においても、装置毎の個体差や稼動回数、環境変化によるバラつきを吸収しつつ、現時点の動作環境に応じたスループット性能を発揮させることができる。
なお、図5に示したフローチャートでは、ステップS10BからS30Bにおいて、それぞれ、加速時と減速時の両方に関する処理を行なうこととして説明したが、図3に示したステップS10〜S30の加速時の処理の後に、減速時の処理を行なうようにしてもよい。
C.他の実施形態:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態では、生成される第2速度プロファイルの定速領域の速度を第1速度プロファイルの定速領域の速度と同じとして説明したが、第1余力加速度に対してあらかじめ設定されている速度に変更するようにしてもよい。このようにすれば、加速領域の加速度および定速領域の速度に設定された速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってキャリッジモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物としてのキャリッジ(ヘッドユニット)を移動させることができる。
(2)上記実施形態では、加速時の加速度および減速時の減速度を一定とした速度プロファイルを例として説明しているが、これに限定されるものではない。S字状に変化する特性、2次元関数や3次元関数等で表される特性など、種々の特性を利用するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、第1速度プロファイルについては、1つのプロファイルがあらかじめ設定されているものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、キャリッジ31(ヘッドユニット30)や、キャリッジモーター40等の駆動に伴う駆動負荷が発生する箇所周辺に、温度センサー(例えば、サーミスタ)を設けて、環境温度を測定し、測定した環境温度と印刷装置10の稼動回数に応じて想定されるワースト負荷用に設定された加速度の速度プロファイルを用いるようにしてもよい。このようにすれば、モーター駆動開始条件に該当し、第1速度プロファイルが用いられてフィードバック制御が行なわれる際においても、環境温度と印刷装置10の稼動回数に応じたスループットで移動対象物としてのキャリッジ31(ヘッドユニット30)を移動させることができる。
(4)上記実施形態では、モーター印加電圧からキャリッジモーター40のモータートルクを求めるものとして説明したが、トルク検出器を用いてキャリッジモーター40のモータートルクを直接測定してもよい。また、電流検出器を用いてキャリッジモーター40に供給される電流を測定し、測定された電流からモータートルクを求めるようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、モーター駆動開始条件として、初期動作時、および、一定期間以上動作させていなかったキャリッジ31(ヘッドユニット30)の最初の移動動作実行時が挙げられており、これに該当する場合において、第1速度プロファイル222に従ってキャリッジ31(ヘッドユニット30)の移動を制御するものとして説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、少なくとも、初期動作時において第1速度プロファイル222に従ってキャリッジ31(ヘッドユニット30)の移動が制御されればよい。また、初期動作時、および、一定期間以上動作させていなかったキャリッジ31(ヘッドユニット30)の最初の移動動作実行時のみに限定されるものではなく、第1速度プロファイル222を用いたほうが好ましいと考えられる種々の場合も、モーター駆動開始条件に該当するものとして、第1速度プロファイル222に従ってキャリッジ31の移動を制御するものとしてもよい。
(6)上記実施形態では、第1トルクを求め、目標加速トルクと第1トルクとの差分である第1差分トルクを求め、キャリッジモーター40に働くイナーシャと、第1差分トルクとに基づいて第1余力加速度を求めることとしているが、第1差分トルクを求めずに、第1トルクと目標加速トルクとイナーシャとに基づいて第1余力加速度を求めるようにしてもよい。また、上記第2実施形態では、第2トルクを求め、目標減速トルクと第2トルクとの差分である第2差分トルクを求め、キャリッジモーター40に働くイナーシャと、第2差分トルクとに基づいて第2余力加速度を求めることとしているが、第2差分トルクを求めずに、第2トルクと目標減速トルクとイナーシャとに基づいて第2余力加速度を求めるようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、印刷装置10のキャリッジ31(ヘッドユニット30)を移動させるキャリッジモーター40を例に説明したが、これに限定されるものではない。従来技術で説明したように、ロール状のシートを搬送する搬送部から搬送されるシートを巻取軸で巻き取らせるモーターの制御にも、適用可能である。すなわち、移動対象物を移動させる駆動力を生成する種々のモーターの制御に適用可能である。この場合においても、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
D.他の形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、本発明は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本発明の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、本発明の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、本発明は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本発明の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、本発明の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、移動対象物の移動の速度が速度プロファイルに従うように、前記移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御方法が提供される。前記速度プロファイルは、前記移動対象物の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められている。モーター制御方法は;初期動作時に該当する場合において、前記移動対象物を移動させる時には;あらかじめ用意された第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ;前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの加速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを求め;前記モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標加速トルクと、前記第1トルクとの差分である第1差分トルクを求め;前記移動対象物が移動する際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第1差分トルクとに基づいて、前記加速領域において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度を求め;前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成する。前記初期動作時に該当しない場合において、前記移動対象物を移動させる時には;前記第2速度プロファイルに従って前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させる。
この形態のモーター制御方法によれば、移動対象物を移動させるための速度プロファイルを、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度の速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、移動対象物を移動させるための速度プロファイルを、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度の速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
(2)上記形態のモーター制御方法では、前記初期動作時に該当する場合においてさらに;前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの減速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第2トルクを求め;前記モーターに許容される減速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標減速トルクと、前記第2トルクとの差分である第2差分トルクを求め;前記移動対象物を移動させる際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第2差分トルクとに基づいて、前記減速領域において増加可能な減速時の加速度の余力である第2余力加速度を求め;前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度および前記第2余力加速度に基づいて修正した前記第2速度プロファイルを生成するようにしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度および減速領域の加速度に設定された速度プロファイル、あるいは、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度、定速領域の速度および減速領域の加速度に設定された速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度および減速領域の加速度に設定された速度プロファイル、あるいは、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度、定速領域の速度および減速領域の加速度に設定された速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
(3)上記形態のモーター制御方法において;前記第1余力加速度を求めるとともに、前記定速領域における速度を前記第1余力加速度に対してあらかじめ設定されている速度に変更し;前記第2速度プロファイルの生成は、さらに、変更した前記定速領域における速度に基づいて修正することにより行なわれるようにしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度および定速領域の速度に設定された速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度および定速領域の速度に設定された速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
(4)上記形態のモーター制御方法において、前記第1トルクは、前記第1速度プロファイルに応じて前記モーターに印加されるモーター印加電圧から求まるトルクであるとしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、モーター印加電圧から、モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを容易に求めることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、モーター印加電圧から、モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを容易に求めることができる。
(5)上記形態のモーター制御方法において、前記第2速度プロファイルに従った前記モーターの駆動力の制御が最後に実行されてから、あらかじめ定めた期間以上経過した後に、前記移動対象物を移動させる時には;前記第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ;前記第2速度プロファイルの生成を実行するようにしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、第2速度プロファイルに従ったモーターの駆動力の制御が最後に実行されてから、あらかじめ定めた期間以上経過した後に、移動対象物を移動させる時のように、動作環境の変化の可能性が想定され、第2速度プロファイルの生成を行なったほうが好ましい場合に、第1速度プロファイルに従って、モーターの駆動力を制御して、移動対象物を移動させて、第2速度プロファイルの生成を実行することができる。
この形態のモーター制御方法によれば、第2速度プロファイルに従ったモーターの駆動力の制御が最後に実行されてから、あらかじめ定めた期間以上経過した後に、移動対象物を移動させる時のように、動作環境の変化の可能性が想定され、第2速度プロファイルの生成を行なったほうが好ましい場合に、第1速度プロファイルに従って、モーターの駆動力を制御して、移動対象物を移動させて、第2速度プロファイルの生成を実行することができる。
(6)上記形態のモーター制御方法において、前記第1速度プロファイルは、想定されるワースト駆動負荷の条件において前記モーターを駆動して前記移動対象物を移動させることができるように設定された速度プロファイルであるとしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、モーター駆動開始条件に該当する時には、ワースト駆動負荷の条件においてもモーターを駆動して移動対象物を移動させることができるように設定された第1速度プロファイルに従って、モーターの駆動力を制御して、移動対象物を移動させることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、モーター駆動開始条件に該当する時には、ワースト駆動負荷の条件においてもモーターを駆動して移動対象物を移動させることができるように設定された第1速度プロファイルに従って、モーターの駆動力を制御して、移動対象物を移動させることができる。
(7)上記形態のモーター制御方法において、前記移動対象物は、印刷ヘッドが搭載されたキャリッジを移動させて印刷媒体に印刷を行なう印刷装置のキャリッジであるとしてもよい。
この形態のモーター制御方法によれば、印刷装置のキャリッジを現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動させることができる。
この形態のモーター制御方法によれば、印刷装置のキャリッジを現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動させることができる。
(8)本発明の他の形態によれば、移動対象物の移動の速度が速度プロファイルに従うように、前記移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御装置が提供される。前記速度プロファイルは、前記移動対象物の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められている。モーター制御装置は;初期動作時に該当する場合において、前記移動対象物を移動させる時には;あらかじめ用意された第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ;前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの加速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを求め;前記モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標加速トルクと、前記第1トルクとの差分である第1差分トルクを求め;前記移動対象物が移動する際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第1差分トルクとに基づいて、前記加速領域において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度を求め;前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成する。前記初期動作時に該当しない場合において、前記移動対象物を移動させる時には;前記第2速度プロファイルに従って前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させる。
この形態のモーター制御装置によれば、移動対象物を移動させるための速度プロファイルを、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度の速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
この形態のモーター制御装置によれば、移動対象物を移動させるための速度プロファイルを、現時点においてモーターに掛かる駆動負荷の状態に合った加速領域の加速度の速度プロファイルに変更し、変更した速度プロファイルに従ってモーターの駆動力を制御することができる。これにより、現時点の動作環境に応じた十分なスループットで移動対象物を移動させることができる。
本発明は、モーター制御方法やモーター制御装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、モーター駆動方法やモーター駆動装置、印刷装置のキャリッジの移動のためのモーター制御方法やモーター制御装置、ロール状のシート(印刷媒体)の搬送のためのモーターの制御方法やモーターの制御装置、上記モーター制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
10…印刷装置、20…制御部、30…ヘッドユニット、31…キャリッジ、32…インクカートリッジ、33…印刷ヘッド、40…キャリッジモーター、41…モーター駆動部、50…搬送モーター、61…駆動ベルト、62…フレキシブルケーブル、63…プラテン、64…リニアエンコーダー、210…キャリッジモーター制御部、220…FB制御部、221…速度検出部、222…第1速度プロファイル、223…第2速度プロファイル、224…速度偏差検出部、225…駆動量制御部、226…PWM部、230…プロファイル生成部、231…トルク検出部、232…差分トルク検出部、233…余力加速度検出部、234…第2速度プロファイル生成部
Claims (8)
- 移動対象物の移動の速度が速度プロファイルに従うように、前記移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御方法であって、
前記速度プロファイルは、前記移動対象物の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められており、
初期動作時に該当する場合において、前記移動対象物を移動させる時には、
あらかじめ用意された第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ、
前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの加速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを求め、
前記モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標加速トルクと、前記第1トルクとの差分である第1差分トルクを求め、
前記移動対象物が移動する際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第1差分トルクとに基づいて、前記加速領域において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度を求め、
前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成し、
前記初期動作時に該当しない場合において、前記移動対象物を移動させる時には、
前記第2速度プロファイルに従って前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させる、
ことを特徴とするモーター制御方法。 - 請求項1に記載のモーター制御方法であって、前記初期動作時に該当する場合においてさらに、
前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの減速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第2トルクを求め、
前記モーターに許容される減速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標減速トルクと、前記第2トルクとの差分である第2差分トルクを求め、
前記移動対象物を移動させる際に前記モーターに働くイナーシャと、前記第2差分トルクとに基づいて、前記減速領域において増加可能な減速時の加速度の余力である第2余力加速度を求め、
前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度および前記第2余力加速度に基づいて修正した前記第2速度プロファイルを生成する、
ことを特徴とするモーター制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載のモーター制御方法であって、
前記第1余力加速度を求めるとともに、前記定速領域における速度を前記第1余力加速度に対してあらかじめ設定されている速度に変更し、
前記第2速度プロファイルの生成は、さらに、変更した前記定速領域における速度に基づいて修正することにより行なわれる、
ことを特徴とするモーター制御方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のモーター制御方法であって、
前記第1トルクは、前記第1速度プロファイルに応じて前記モーターに印加されるモーター印加電圧から求まるトルクである、モーター制御方法。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のモーター制御方法であって、
前記第2速度プロファイルに従った前記モーターの駆動力の制御が最後に実行されてから、あらかじめ定めた期間以上経過した後に、前記移動対象物を移動させる時には、
前記第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ、
前記第2速度プロファイルの生成を実行する、モーター制御方法。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のモーター制御方法であって、
前記第1速度プロファイルは、想定されるワースト駆動負荷の条件において前記モーターを駆動して前記移動対象物を移動させることができるように設定された速度プロファイルである、モーター制御方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のモーター制御方法であって、
前記移動対象物は、印刷ヘッドが搭載されたキャリッジを移動させて印刷媒体に印刷を行なう印刷装置のキャリッジである、モーター制御方法。 - 移動対象物の移動の速度が速度プロファイルに従うように、前記移動対象物を移動させるモーターの駆動力を制御するモーター制御装置であって、
前記速度プロファイルは、前記移動対象物の移動の仕方が加速領域と定速領域と減速領域とで定められており、
初期動作時に該当する場合において、前記移動対象物を移動させる時には、
あらかじめ用意された第1速度プロファイルに従って、前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させ、
前記移動対象物を移動させる動作に基づいて、前記第1速度プロファイルの加速領域に従うように前記移動対象物が移動する際に、前記モーターに掛かるモータートルクである第1トルクを求め、
前記モーターに許容される加速時の最大限界トルクに基づいてあらかじめ設定された目標加速トルクと、前記第1トルクと前記目標加速トルクとの差分である第1差分トルクと、前記移動対象物が移動する際に前記モーターに働くイナーシャと、に基づいて、前記加速領域において増加可能な加速度の余力である第1余力加速度を求め、
前記第1速度プロファイルを前記第1余力加速度に基づいて修正した第2速度プロファイルを生成し、
前記初期動作時に該当しない場合において、前記移動対象物を移動させる時には、
前記第2速度プロファイルに従って前記モーターの駆動力を制御して、前記移動対象物を移動させる、
ことを特徴とするモーター制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018057641A JP2019166761A (ja) | 2018-03-26 | 2018-03-26 | モーター制御方法およびモーター制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018057641A JP2019166761A (ja) | 2018-03-26 | 2018-03-26 | モーター制御方法およびモーター制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019166761A true JP2019166761A (ja) | 2019-10-03 |
Family
ID=68105960
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018057641A Pending JP2019166761A (ja) | 2018-03-26 | 2018-03-26 | モーター制御方法およびモーター制御装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2019166761A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102247043B1 (ko) * | 2019-12-03 | 2021-04-30 | 세메스 주식회사 | 대상물 이송 장치 및 그 제어 방법 |
KR20210119350A (ko) * | 2019-10-31 | 2021-10-05 | 세메스 주식회사 | 대상물 이송 장치 및 그 제어 방법 |
-
2018
- 2018-03-26 JP JP2018057641A patent/JP2019166761A/ja active Pending
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