JP2019166720A - 樹脂モールド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モールド金型にモールド樹脂を搬送する際に、モールド樹脂の微粉等が飛散してしまうことの防止が可能な樹脂モールド装置を提供する。【解決手段】本発明に係る樹脂モールド装置1は、フィルムFとモールド樹脂Rとが供給されてモールド成形をするモールド金型202と、前記フィルムFに前記モールド樹脂Rを投下するディスペンサ312と、前記フィルムFと前記モールド樹脂Rとを所定保持位置において保持して前記モールド金型202に搬送するローダ212と、前記ローダ212による所定保持位置と前記ディスペンサ312との間において、前記フィルムFに投下された前記モールド樹脂Rを加熱する加熱部314と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂モールドする樹脂モールド装置に関する。
樹脂モールドによって半導体装置等の電子装置を製造する方法として、基材に多数個の電子部品が搭載されたワークを一括して樹脂モールドし、成形品を個片にダイシングして個々の電子装置とする方法が知られている。そのような樹脂モールド方式の一つに圧縮成形方式がある。
圧縮成形方式は、概略として、上型と下型を備えて構成されるモールド金型に設けられるモールド領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該モールド領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂モールドする方法である。このとき、上型にキャビティを設けたモールド金型を用いる場合、ワーク上には粘度の高い樹脂を中心位置に一括して供給して成形することが一般的に行われている。この場合、ワーク上に供給された樹脂をキャビティ内に充填するためにはモールド樹脂をキャビティの端まで流動させる必要があるため、フローマークが発生してしまう場合がある。
一方、下型にキャビティを設けたモールド金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面をフィルムで覆って均等な厚みでモールド樹脂を供給し、上型に保持したワークを溶融したモールド樹脂に浸漬させて樹脂モールドすることが一般的に行われている。例えば、特許文献1(特開2010−247429号公報)、特許文献2(特開2004−148621号公報)、特許文献3(特開2017−024398号公報)等に記載の装置が開示されている。
特開2010−247429号公報 特開2004−148621号公報
上記の特許文献等に例示される従来の圧縮成形方式の樹脂モールド装置のように、モールド金型の下型にキャビティを有する構成の場合には、フィルム(リリースフィルム)上にモールド樹脂を供給して、フィルムごと搬送する工程が実施される。しかし、モールド樹脂として顆粒状もしくは粉末状のものを用いる場合、フィルム上に供給したモールド樹脂の微粉等が搬送途中における振動等に起因して飛散し、樹脂モールド装置の汚損や動作不良の原因になり得るという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、モールド金型にモールド樹脂を搬送する際に、モールド樹脂の微粉等が飛散してしまうことの防止が可能な樹脂モールド装置を提供することを目的とする。
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
本発明に係る樹脂モールド装置は、フィルムとモールド樹脂とが供給されてモールド成形をするモールド金型と、前記フィルムに前記モールド樹脂を投下するディスペンサと、前記フィルムと前記モールド樹脂とを所定保持位置において保持して前記モールド金型に搬送するローダと、前記ローダによる所定保持位置と前記ディスペンサとの間において、前記フィルムに投下された前記モールド樹脂を加熱する加熱部と、を備えることを要件とする。
これによれば、フィルム上のモールド樹脂を加熱して、投下領域の表面に位置する当該モールド樹脂を加熱溶融させて一体化させることができる。したがって、搬送時の振動等によってモールド樹脂の微粉等が装置内に飛散しないようにすることができる。
また、前記フィルムと前記モールド樹脂とを載置させ、前記加熱部の下を通過するように移動可能に構成されたテーブルをさらに備えることが好ましい。これによれば、フィルムとモールド樹脂とを保持した搬送具を載置させた状態の樹脂投下テーブルを移動させながら、当該モールド樹脂を加熱することが可能となる。
また、前記加熱部は、前記フィルムと前記モールド樹脂とを載置させたテーブルの上を通過するように移動可能に構成されていることが好ましい。これによれば、フィルムとモールド樹脂とを保持した搬送具を載置させた状態の樹脂投下テーブルに対して、加熱部を移動させながら、当該モールド樹脂を加熱することが可能となる。
また、前記加熱部は、前記フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向の幅が、同方向における前記フィルムの幅よりも長く構成されていることが好ましい。これによれば、フィルム上のモールド樹脂を移動させながら、投下領域の全体(全面)に渡って加熱溶融させることが可能となる。
また、前記加熱部は、前記フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向の幅が、同方向に並べて載置させた二つの前記フィルムの全体の幅よりも長く構成されていることが好ましい。これによれば、搬送具によって保持された二つのフィルム上に投下された状態のモールド樹脂に対しても、二つの投下領域の全体(全面)に渡ってモールド樹脂を加熱溶融させることが可能となる。
また、前記加熱部は、前記フィルムの大きさと同等以上の大きさに構成されていることが好ましい。これによれば、フィルム上のモールド樹脂の投下領域の全体(全面)を同時に加熱溶融させることが可能となる。
なお、本実施形態に係る樹脂モールド装置は、特に、前記モールド樹脂が顆粒状もしくは粉末状の樹脂である場合に、好適に適用し得る。
本発明によれば、搬送具に保持されたフィルム上に投下されたモールド樹脂を、テーブル上に載置させた状態で加熱溶融させて、投下領域の表面位置のモールド樹脂を一体化させることができる。これにより、搬送時の振動等が発生しても、モールド樹脂の微粉等が塵埃として装置内に飛散しないようにすることができる。したがって、塵埃に起因する樹脂モールド装置の汚損や動作不良の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置の例を示す平面図である。 図1に示す樹脂モールド装置のディスペンスユニットの平面図である。 図2のIII−III位置の左側面図である。 図2のIV−IV位置の正面図である。 図2のV−V位置の左側面図である。 図5に示す樹脂モールド装置の加熱部の拡大図である。 モールド樹脂を加熱溶融させた状態の模式図である。 図1に示す樹脂モールド装置の搬送具の平面図である。 本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置の動作説明図である。 図9に続く動作説明図である。 図10に続く動作説明図である。 図11に続く動作説明図である。 図12に続く動作説明図である。 図13に続く動作説明図である。 図14に続く動作説明図である。 図15に続く動作説明図である。 図16に続く動作説明図である。 図17に続く動作説明図である。 図18に続く動作説明図である。 図19に続く動作説明図である。 図20に続く動作説明図である。 図21に続く動作説明図である。 図22に続く動作説明図である。 図23に続く動作説明図である。 図24に続く動作説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置1の例を示す概略図(平面図)である。また、図2〜図8は、樹脂モールド装置1の各構成の詳細を示す概略図である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂モールド装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る樹脂モールド装置1は、上型204及び下型206を備えるモールド金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂モールド成形を行う装置である。以下、樹脂モールド装置1として、上型204でワークWを保持し、下型206に設けられたキャビティ208(金型面206aを一部含む)をフィルム(リリースフィルム)Fで覆ってモールド樹脂Rを供給し、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、溶融したモールド樹脂RにワークWを浸漬させて樹脂モールドする圧縮成形装置を主たる例として説明する。なお、キャビティ208は、下型206上面において所定形状に凹んだキャビティ凹部209によって形状が規定され、フィルムFを介してモールド樹脂Rが供給されることで圧縮成形が可能となる。
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(短冊形状の短冊ワーク)が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。なお、後述するように、基材Waとして、特に、正方形状、円形状のものを使用する場合に対応可能な装置変形例も考えられる。
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂モールド後に成形品から基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
一方、モールド樹脂Rの例として、顆粒状の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。この熱硬化性樹脂には、所定の温度で加熱し続けることで、一旦溶融状態となった後に硬化剤の反応が進行して硬化して固化状態となる特性がある。なお、上記の状態に限定されるものではなく、顆粒状よりも粒度の小さい粉末状であってもよい。
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。このフィルムFとしては、例えば短冊形状のワークWに対応した短冊形状の短冊フィルムを用いることができる。
続いて、本実施形態に係る樹脂モールド装置1の概要について説明する。図1に示すように、樹脂モールド装置1は、ワークWの供給と、樹脂モールド後の成形品Wpの収納とを主に行うワーク処理ユニット100A、ワークWを樹脂モールドして成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100B、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給と、樹脂モールド後の使用済みフィルムFdの収納(廃棄)とを主に行うディスペンスユニット100Cを主要構成として備えている。なお、本実施形態においては、一つの下型に二つのキャビティを設けると共に二つのワークWを配置して一括して樹脂モールドを行い、同時に二つの成形品Wpを得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置を例に挙げて説明する。
本実施形態においては、ワーク処理ユニット100A、プレスユニット100B、及びディスペンスユニット100Cのようなユニットが連結されて組み立てられている。一例として、ワーク処理ユニット100A、プレスユニット100B、及びディスペンスユニット100Cが、左右方向において、左からその順に並設されている。なお、各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール(不図示)が直線状に設けられており、ワークW等を搬送する第1ローダ(第1搬送部)210、及びフィルムF等を搬送する第2ローダ(第2搬送部)212が、任意のガイドレールに沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。なお、これらのローダ210、212は、例えばモールド金型202に対するワークW等の搬入動作だけでなくモールド金型202からの成形品Wpの搬出動作も行うため、オフローダとしても機能する。
したがって、ユニットの構成を変えることにより、樹脂モールド装置1の構成態様を変更することができる。例えば、図1に示す構成は、プレスユニット100Bを一台設置した例であるが、プレスユニット100Bを複数台設置する構成としてもよい(不図示)。また、他のユニットを設置することも可能である。例えば、ディスペンスユニット100Cとは異なるモールド樹脂Rを供給するユニットや、金型内でワークWと組み立てる部材を供給するユニットを設置することも可能である(不図示)。
以下、本実施形態に係る樹脂モールド装置1において特徴的なディスペンスユニット100Cの構成及び動作について詳しく説明する。
前述の通り、ディスペンスユニット100Cは、フィルムF及びモールド樹脂Rの供給等を行うユニットである。本実施形態においては、フィルムF及びモールド樹脂Rをモールド金型202へ搬送する際に、これらを保持して搬送するための治具として搬送具400が用いられる。すなわち、この搬送具400を冶具として用いることで、モールド樹脂Rを保持してフィルムFと共に搬送することが行われることになる。また、搬送具400は、フィルムFをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている(詳細は後述)。
ディスペンスユニット100Cは、先ず、フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態の搬送具400が載置され適宜のクリーニングが行われる準備テーブル302を備えている。例えば、モールド金型202から搬出された搬送具400は、モールド樹脂Rが付着し動作不良の原因となり得る。そこで、後述する貫通孔を含めて表面をブラシや吸引機構(いずれも不図示)でクリーニングすることで動作不良を防止できる。
次に、搬送具400を保持して、これを複数の所定位置(テーブル)間で搬送する搬送具ピックアップ304を備えている。なお、搬送具400を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。例えば、搬送具400の外周部分に凹凸部を設け、搬送具ピックアップ304の下面から下に向けて立設させた保持爪に凹凸部を引っ掛けて保持し搬送する構成を採用することができる。
ここで、搬送具ピックアップ304は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。これにより、準備テーブル302上に載置された搬送具400を保持して、後述のフィルムテーブル308及び樹脂投下テーブル310へ搬送することが可能となる。
次に、ディスペンスユニット100Cは、準備テーブル302の後方となる位置において、長尺状のフィルムFがロール状に巻かれたフィルムロール306と、フィルムロール306の上方(本実施形態においては斜め上方)に配設されて、フィルムロール306から繰出されたフィルムFが所定長さの短冊状に切断されて保持されるフィルムテーブル(第1テーブル)308とを備えている。
一例として、フィルムテーブル308、及びフィルムロール306は、上下方向において、上からその順に階層状に並設されている構成(前後左右方向のオフセットを含む)を備えている。これにより、各構成が平面的に並設される従来装置と比較して、装置の設置面積を低減することが可能となる。
本実施形態においては、フィルムロール306として、二つのフィルムロール306A、306Bが左右方向に並べて配設されている。これにより、フィルムテーブル308上に、同時に、二つの同形のフィルムFを供給することが可能となる。ここで、フィルムロール306A、306Bは、その中心軸307aで支持して設置してもよく、フィルムロール306A、306Bの外形よりも小さい間隔で複数設けたローラー307bで下方から支持して設置してもよい。この場合、フィルムロール306A、306Bをローラー307bで下方から支持する構成とすることで、2つ並べられたフィルムロール306A、306Bを中心軸307aの抜き差しを不要として簡易に取替えをすることができる。また、フィルムロール306のフィルムテーブル308への送り出しには、端部を挟み込んで引き出す構成やフィルムテーブル308の手前に設けた駆動式のローラーで送り出す構成としてもよい。
一方、フィルムテーブル308は、長尺状のフィルムFを切断する機構として、公知の切断機構(例えば、固定刃カッター、熱溶融カッター、等)を有している(不図示)。また、二つのフィルムFを保持する機構として、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。このフィルムテーブル308では、ここで切断されたフィルムFと搬送具400とが組み合わされる。
ここで、本実施形態に係る搬送具400は、図8に示すように、上面と下面とが平行となる平面に形成された概略平板状の形状を有すると共に、中央部分にフィルムFを保持する搬入フィルム保持部を二列有している(図中、400A、400B)。また、各搬入フィルム保持部400A、400Bには、各フィルムFに対応する位置(各フィルムFを保持する位置)において、各フィルムFが上面から見て露出するように貫通孔に形成された樹脂投入孔400a、400bが配設されている。この樹脂投入孔400a、400bは、前述したキャビティ凹部209の形状に対応して形成されることで、樹脂投入孔400a、400b内にモールド樹脂Rが投下され保持したときに、適宜な状態でモールド樹脂Rを準備することができることになる。
さらに、樹脂投入孔400a、400bの周囲には、吸引力を発生させてフィルムを保持する複数の第1吸引孔400cが配設されている。なお、第1吸引孔400cは、後述の第3保持部212Aに設けられる第2吸引孔212bや、後述の搬送具ピックアップ304に設けられる第3吸引孔(不図示)を介して(連通して)、吸引装置(不図示)にて発生する吸引力が伝達される構成となっている。上記の構成によれば、搬送具ピックアップ304によりフィルムテーブル308上に搬送された搬送具400の下面に二つのフィルムFを左右方向に並べて吸引させた状態で保持させることが可能となる。なお、フィルムFの外周を保持爪で挟み込んで保持する構成としてもよい。
次に、フィルムテーブル308に対して側方(一例として、右方)に配設されると共に前後左右方向に移動可能に構成されて、搬送具ピックアップ304により搬送された搬送具400(下面に二つのフィルムFが保持された状態)が載置される樹脂投下テーブル(第2テーブル)310を備えている。なお樹脂投下テーブル310は、載置された搬送具400を保持する機構として、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(不図示)。
さらに、フィルムテーブル308に対して上記の樹脂投下テーブル310を間に挟む配置で側方(一例として、右方)で、樹脂投下テーブル310よりも高い位置にディスペンサ312を備えている。このディスペンサ312は、樹脂投下テーブル310に載置された搬送具400における樹脂投入孔400a、400bにモールド樹脂Rを投入して、露出するフィルムF上(樹脂投入孔400a、400bの内側)に当該モールド樹脂Rを搭載(投下)する。このディスペンサ312は、例えば、モールド樹脂Rを貯留するホッパ312aと、投下される樹脂の重量を計量する重量計312bと、計量されたモールド樹脂Rが振動フィーダ(不図示)で送り出されるトラフ312cと、トラフ312cから送り出され投下されるモールド樹脂Rの投下位置を規制するノズル312dとを備えて構成される。
ここで、本実施形態に係る樹脂投下テーブル310は、前後及び左右方向に移動可能に構成されている(図2中、三箇所の位置で図示している)。左右方向の移動により、フィルムFが保持された状態で樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400をディスペンサ312の下方へ進退移動することが可能となる。これにより、ディスペンサ312とフィルムテーブル308との中間の位置とディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置との間で搬送具400を移動することが可能となる。また、前後方向の移動により、モールド樹脂Rを搭載したフィルムFが保持された状態の搬送具400を所定位置(後述の第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置)へ搬送することが可能となる。なお、変形例として、樹脂投下テーブル310が左右移動する構成に代えて、ディスペンサ312によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる。また、樹脂投下テーブル310が前後移動する構成に代えて、第3保持部212A(後述)によって当該移動範囲の移動を置き換える構成とすることも考えられる(いずれも不図示)。
また、樹脂投下テーブル310を前後及び左右方向の所定経路で移動させながら、二つのノズル312dからモールド樹脂Rを樹脂投入孔400a、400bに送出することによって、樹脂投入孔400a、400b内に露出するフィルムF上にモールド樹脂Rを所定厚さで偏りなく敷き詰めることが可能となる。これにより、フィルムF上のモールド樹脂Rの偏りに起因する不良品発生の防止が可能となる。
ここで、本実施形態に係るディスペンサ312は、搬送具400における二列の樹脂投入孔400a、400bにそれぞれモールド樹脂を投入する二つのノズル312dを有している。一例として、右側の樹脂投入孔400aに対応する位置に一方のノズル312dが配設されると共に、左側の樹脂投入孔400bに対応する位置に他方のノズル312dが配設されている。換言すれば、二つのノズル312dのそれぞれの中心間距離と、樹脂投入孔400a、400bのそれぞれの中心間距離とが同一になるように構成される。これにより、同時にそれぞれの樹脂投入孔400a、400bの同一対応位置を通過させながらモールド樹脂Rを投入することが可能となり、移動距離及び移動時間が最短となる一経路で、二つのフィルムF上にモールド樹脂Rを敷き詰めることが可能となる。したがって、工程時間の大幅な短縮が可能となる。なお、変形例として、一つのノズルを有して、所定の一経路で二つのフィルムF上に順番にモールド樹脂Rを敷き詰める構成としてもよい(不図示)。
上記のように、搬送具400に保持されたフィルムF上へモールド樹脂Rの投下が行われる。その後、樹脂投下テーブル310に載置された状態の搬送具400は、後述の第3保持部212Aによる保持が行われる所定保持位置へ搬送される。さらに、その位置から、第3保持部212Aによってモールド金型202の所定位置へ搬送される。
ここで、モールド樹脂Rとして、顆粒状、粉末状等の樹脂を用いた場合には、樹脂投下テーブル310や第3保持部212Aに保持されて搬送される際の空気の流動や振動等によって、塵埃(樹脂の微細粉末等)が発生し得る。そのため、樹脂モールド装置1の汚損や動作不良が生じる原因となっていた。なお、この塵埃(微細粉末)は、当該顆粒状、粉末状のモールド樹脂の製造工程において、原材料となる棒状、線状、ブロック状等の樹脂を粉砕加工したり分断加工すること等に起因して生じたり、輸送時や貯留時に粒同士が擦れることで生じるものである。このため、ディスペンサ312から搬送具400に投入する場合には、モールド樹脂Rの塵埃(微細粉末)は樹脂モールド装置1内において必然的に生じるものである。
上記の問題に対し、本実施形態においては、フィルムFに投下されたモールド樹脂Rを加熱する加熱部(樹脂ヒータ)314を備える構成としている。図6に示すように、樹脂ヒータ314は、モールド樹脂Rが搭載されたフィルムFが保持された状態の搬送具400の上面側(片面側)から加熱することによって、当該モールド樹脂Rを加熱する作用をなすものである。
樹脂ヒータ314の構成例として、樹脂投下テーブル310と対向する下部位置に、公知の加熱機構314a(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が配設されている。これにより、搬送具400によってフィルムF上に搭載された状態で保持されたモールド樹脂Rを加熱することが可能となる。ここで、モールド樹脂Rを加熱する温度設定としては所定の範囲内とすることが好ましい。すなわち、モールド樹脂Rを加熱しすぎると硬化が進んでしまうためにモールド工程(加熱加圧時)の成形品質に悪影響があり、モールド樹脂Rの加熱が十分でないと硬化は進まない反面、塵埃の飛散防止という目的を十分に達成できなくなるおそれがある。したがって、一例としては、モールド樹脂Rがエポキシ樹脂のときには、モールド金型での成形温度よりも低い温度で加熱される構成とするのが好ましく、また、モールド樹脂Rの硬化剤の反応が始まる温度の近傍とするのが好ましい。例えば、エポキシ樹脂であれば、その表面温度が70[℃]から110[℃]までの範囲になるように設定することが好ましい。また、この表面温度を80[℃]から100[℃]までに設定することがより好ましい。換言すれば、加熱機構314aから所定の距離が離れたモールド樹脂Rの表面が位置する高さにおける温度が前述の温度以上となるように樹脂ヒータ314を設定することが好ましい。ただし、加熱機構314aの設定温度はモールド樹脂Rの組成や粒度分布、モールド樹脂Rの供給されている厚み、モールド樹脂Rを移動させる速度などにより影響を受けるため、前述の範囲内に必ずしも設定する必要はない。
上記の構成によれば、図7の模式図に示すように、フィルムF上のモールド樹脂Rを加熱して、表面に位置する粉末状等の樹脂をBステージ化することで半硬化(セミキュア)状態として、一体化させることができる。この場合、例えば樹脂のうち表層の粉末状の樹脂のみを加熱溶融させて一体化させることができる。したがって、搬送時の振動等が発生しても、塵埃(樹脂の微細粉末等)が装置内に飛散しないようにすることができる。
ここで、樹脂ヒータ314は、第2ローダ212(第3保持部212A)による所定保持位置とディスペンサ312との間の位置に配設されている。一例として、樹脂投下テーブル310は、フィルムFとモールド樹脂Rとを載置させた搬送具400を載置させた状態で、樹脂ヒータ314の下を通過するように移動可能に構成されている。なお、変形例として、樹脂ヒータ314が、フィルムFとモールド樹脂Rとを載置させた樹脂投下テーブル310の上を通過するように移動可能に構成してもよい(不図示)。
これによれば、モールド樹脂Rがディスペンサ312からフィルムF上に搭載された直後の時点で加熱することが可能となる。そのため、塵埃(樹脂の微細粉末等)の発生し得る状態のままでの搬送距離を最小化することができ、塵埃の飛散防止に一層の効果が得られる。この場合、ディスペンスユニット100Cの内部での塵埃の飛散を防止し、しかもディスペンスユニット100Cから取り出した後の塵埃の飛散も防止することもできる。
ここで、樹脂ヒータ314は、フィルムFが相対的に移動する方向と直交する方向の幅が、同方向(フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向)におけるフィルムFの幅よりも長く構成されている構成が好適である。さらに、同方向(フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向)に並べて載置させた二つのフィルムFの全体の幅よりも長く構成されている構成がより好適である。なお、「フィルムFが相対的に移動する方向」とは、本実施形態の場合、「樹脂投下テーブル310が、ディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置から、第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置まで移動する方向」と一致する。
これによれば、樹脂投下テーブル310によってフィルムF上のモールド樹脂Rを移動させながら、搭載領域の全体(全面)に渡ってモールド樹脂Rを加熱溶融させることが可能となる。さらに、二つのフィルムFの全体の幅よりも長い構成とする場合には、搬送具400によって保持された二つのフィルムF上に搭載された状態のモールド樹脂Rに対しても、二つの搭載領域の全体(全面)に渡ってモールド樹脂Rを加熱溶融させることが可能となる。
なお、変形例として、樹脂ヒータ314は、フィルムの大きさと同等以上の大きさに構成してもよい(不図示)。これによれば、フィルムF上のモールド樹脂Rの搭載領域の全体(全面)を同時に加熱溶融させることが可能となる。
次に、樹脂ヒータ314の前後の位置において、樹脂投入孔400a、400b内においてフィルムF上に投下し供給したモールド樹脂Rの外観を計測する供給樹脂計測器315を備えてもよい。この供給樹脂計測器315は、カメラ(単眼カメラや複眼カメラ)を樹脂投下テーブル310の移動経路の上方に備えることで、これらの出力値や撮像画像を用いて、投下されたモールド樹脂Rの厚みや形状を記録するのに利用することができる。これにより、例えば、成形品Wpの成形厚みとの実際の情報とを紐付けてデータを保存することで、これらを作業者が比較し、モールド樹脂Rの投下条件を選定できるようにすることもできる。これにより、モールド樹脂Rの供給に関するトレーサビリティを確保して、成形品質を維持することができる。
次に、ディスペンスユニット100Cの各機構と協働する第2ローダ212は第3保持部212Aを備えている。この第3保持部212Aは、その下面において、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400を受け取り、下型206の所定保持位置へ搬送すると共に、フィルムF及びモールド樹脂Rの保持が解放された搬送具400を前述の準備テーブル302上へ搬送する。なお、第3保持部212Aは、当該搬送具400を保持する搬送具保持部212aとして、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している。さらに、所定位置で保持する搬送具400の第1吸引孔400cに連通する位置に配設されて、吸引装置(不図示)による吸引力を発生(伝達)させる第2吸引孔212bを有している。これにより、搬送具400の下面に二つのフィルムF(それぞれモールド樹脂Rが搭載された状態)を左右方向に並べて吸着させた状態を維持しながら、下型206の所定保持位置(キャビティ208が配設された位置)へ搬送することが可能となる。なお、搬送具400の下面で二つのフィルムFの外周を挟持して保持する保持爪を有する第3保持部212Aとしてもよい。
ここで、本実施形態に係る第3保持部212Aを備えた第2ローダ212は、前後、左右及び上下方向に移動可能に構成されている。左右方向の移動により、搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)をディスペンスユニット100Cからプレスユニット100Bへ搬送する動作が可能となる。また、前後方向の移動により、搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)をモールド金型202の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送する動作が可能となる。
さらに、上下方向の移動(前後、もしくは左右方向の移動を組合わせる場合もある)により、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400(モールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFが保持された状態)を保持する動作が可能となる。この場合、下型206の所定保持位置(キャビティ208が配設された位置)で搬送具400を保持しながらモールド樹脂Rがそれぞれ搭載された二つのフィルムFの保持を解放して、二つのキャビティ208A、208B(金型面206aを一部含む)にそれぞれ(一対一で)載置する動作も可能となる。さらに、フィルムF及びモールド樹脂Rの保持が解放された状態の搬送具400を前述の準備テーブル302上へ載置する動作も可能となる。なお、変形例として、第3保持部212Aの移動範囲の一部を、他の機構(樹脂投下テーブル310、下型206、等)の移動によって置き換える構成とすることも考えられる(不図示)。
次に、第2ローダ212は、その樹脂モールドされた成形品Wpがモールド金型202(ここでは、上型204)から取出された後に下型206に残留するフィルム(使用済みフィルム)Fdを保持して、所定位置(例えば、フィルムディスポーザ等)へ搬送する第4保持部212Bを備えている。なお第4保持部212Bは、使用済みフィルムFdを保持する搬出フィルム保持部として、公知の保持機構(例えば、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)を有している(図中、符号212c、212d)。
また、本実施形態に係る第4保持部212Bは、上記の搬出フィルム保持部212c、212dが、モールド金型202(下型206)の二つのキャビティ208A、208Bに対応する位置に、左右方向に二列並設された構成となっている。つまり、フィルムFをその長手方向を平行させて並べて保持可能となっている。これにより、樹脂モールド後にモールド金型202(下型206)によって左右方向に並べて保持された二つの使用済みフィルムFdを、同時に、左右方向に並べて保持し、搬送することが可能となる。
ここで、本実施形態においては、第4保持部212Bと、上記の第3保持部212Aとが、第2ローダ212として一体に構成されている。一例として、第2ローダ212は、前方側に搬送具保持部212aを有する第3保持部212Aが配設され、後方側に左右二列の搬出フィルム保持部212c、212dを有する第4保持部212Bが配設されている。したがって、第3保持部212A及び第4保持部212Bは、第2ローダ212として一体で前後、左右及び上下方向に移動可能な構成となっている。これにより、装置構成の簡素化及び小型化が可能となるばかりでなく、モールド樹脂Rが搭載されたフィルムF、使用済みフィルムFd共に、二つずつ同時に搬送する構成が実現できるため、工程時間の短縮も可能となる。
なお、上記の樹脂モールド装置1の変形例として、一つの下型に一つのキャビティを設けると共に一つのワークWを配置して樹脂モールドを行い、一つの成形品を得る圧縮成形方式の樹脂モールド装置のように構成してもよい(不図示)。この場合、フィルムFとしては、上述した短冊フィルムとしてのフィルムFよりも幅の広い幅広フィルムを用いる構成とすることができる。この幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅の広い正方形や長方形の枚葉形式のフィルムFを用いるのが簡易である。ただし、幅広フィルムとしては、短冊フィルムよりも幅が広ければ丸形に切り抜いた枚葉形式のフィルムFを用いてもよい。
続いて、本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置1を用いて樹脂モールドを行う動作について、ディスペンスユニット100Cの動作を中心に、図9〜図25を参照しながら説明する。
先ず、搬送具ピックアップ304によって、準備テーブル302上でクリーニングされた搬送具400(フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態)が保持されて、図9に示すように、フィルムテーブル308上へ搬送される。この場合、搬送具400は搬送具ピックアップ304の保持爪で保持した状態で搬送できる。一方、二つのフィルムロール306A、306Bから繰出された二つのフィルムFがそれぞれ所定長さの短冊状に切断されてフィルムテーブル308上に保持される。
次に、図10に示すように、搬送具ピックアップ304を下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面がフィルムテーブル308上の二つのフィルムFに当接される。
次に、図11に示すように、搬送具ピックアップ304を介して搬送具400の第1吸引孔400cに吸引力を発生させて、搬送具400の下面に二つのフィルムFを吸着して保持させた状態で、搬送具ピックアップ304を上方に移動(上昇)させる。
次に、図12に示すように、搬送具ピックアップ304を側方(右方)に移動させることにより、搬送具ピックアップ304によって保持された搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)が、樹脂投下テーブル310上へ搬送される。
次に、図13に示すように、搬送具ピックアップ304を下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面の二つのフィルムFが樹脂投下テーブル310上に当接される。その状態で、搬送具ピックアップ304の保持機構による搬送具400の保持を解放(停止)させて、搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)を樹脂投下テーブル310上に載置させる。これにより、搬送具ピックアップ304が、下面側にフィルムFが保持された状態の搬送具400を保持し、フィルムテーブル308から樹脂投下テーブル310に搬送する一連の動作が完了する。
次に、樹脂投下テーブル310を側方(右方)に移動させることにより、図14に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400(二つのフィルムFを保持している状態)が、ディスペンサ312のノズル312dの直下となる位置へ搬送される。
次に、図15に示すように、二つのノズル312dを用いて、搬送具400における二列の樹脂投入孔400a、400bの内側にモールド樹脂Rが同時に投入される。また、二つのノズル312dからモールド樹脂Rを投下する際に、搬送具400を搭載した樹脂投下テーブル310を任意のパターンに沿って移動させる。これにより、各樹脂投入孔400a、400b内において対応するパターン(前述の任意のパターンを180度回転させたパターン)にモールド樹脂Rが供給されることになる。ここで、樹脂投下テーブル310を隙間のないパターンに沿って移動させることで、二つのフィルムF上にそれぞれモールド樹脂Rが所定厚さで偏りなく敷き詰められる。このように所定の厚さで偏りなくモールド樹脂Rを敷き詰めた状態でフィルムF上に供給することで、モールド樹脂Rを均等に加熱することができる。
次に、樹脂投下テーブル310を前方に移動させることにより、図5や図16に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400が、樹脂ヒータ314の直下となる位置を通過しながら搬送される(図7参照)。このとき、搬送具400に保持された状態のフィルムF上のモールド樹脂Rの加熱が行われる(図8参照)。これにより、フィルムF上に投下されたモールド樹脂Rのうち表面に位置する粉末状等のモールド樹脂Rを加熱溶融させて一体化させることができる。したがって、搬送時の振動等が発生しても、表面の粉末が塵埃(樹脂の微細粉末等)として装置内に飛散しないようにすることができる。本実施形態においては、特に、モールド樹脂Rがディスペンサ312からフィルムF上に搭載された直後の時点での加熱が可能となるため、塵埃の飛散防止に一層の効果が得られる。
次に、樹脂投下テーブル310をさらに前方に移動させることにより、図17に示すように、樹脂投下テーブル310上に載置された搬送具400が、所定位置(第3保持部212Aによって搬送具400の保持が行われる位置)へ搬送される。
次に、図17に示す状態から、第3保持部212Aを下方に移動(下降)させることにより、第3保持部212Aの下面が樹脂投下テーブル310上の搬送具400に当接される。次いで、第3保持部は、搬送具400を保持爪で保持する。また、第3保持部212Aを介して搬送具400の第1吸引孔400cに吸引力を発生させて、搬送具400の下面に二つのフィルムFを吸着させる。この状態を維持させつつ、第3保持部212Aにより搬送具400を保持し、図18に示すように、搬送具ピックアップ304を上方に移動(上昇)させる。
次に、第2ローダ212を移動させることにより、図19に示すように、第3保持部212Aに保持された搬送具400が、モールド金型202の外部から内部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間へ)搬送される。このように、第2ローダ212に保持された搬送具400は装置内において通常は直線的な動作を組み合わせた動作により搬送されていくことになる。この場合、第2ローダ212は方向転換する際に停止する必要があるため、搬送具400に振動が加えられる可能性がある。しかしながら、モールド樹脂Rのうち表面に位置する粉末状等のモールド樹脂Rが一体化しているため、表面の粉末が塵埃(樹脂の微細粉末等)として装置内に飛散することを防止できる。
一方、搬送具400がモールド金型202に搬送されるのに先行して、第1ローダ210の第1保持部210Aに保持された二つのワークWが上型204に搬入される。この際には、まず、第1ローダ210がモールド金型の内側に向けて後進(進入)し、第2保持部210Bで先に樹脂モールドが行われ成形された成形品Wpを上型204から受け取る(不図示)。次いで、第1ローダ210がモールド金型の内側で前進し、保持部210Aに保持された二つのワークWが上型204に受け渡される。これにより、図19に示すように、第1保持部210Aによって搬入された二つのワークWが上型204に保持された状態となっており、搬送具400の搬送前にワークWが十分に加熱されることになる。
また、搬送具400がモールド金型202に搬送されるのに先行して、第2ローダ212の第4保持部212Bで使用済みフィルムFdを保持して下型206から搬出される。この際には、まず、第2ローダ212がモールド金型の内側に向けて後進(進入)し、先に樹脂モールドする際に使用され下型206に保持された使用済みフィルムFdを第4保持部212Bで吸着し受け取る(不図示)。これにより、モールド金型202に対して搬送具400が搬入可能となる。
次に、図20に示すように、第3保持部212Aを下方に移動(下降)させることにより、搬送具400の下面の二つのフィルムF(モールド樹脂Rが搭載された状態)が下型206上に当接される。このとき、各フィルムF(モールド樹脂Rが搭載された部分)がキャビティ208A、208B内に収まるように載置される。
次に、第3保持部212Aを介して発生させていた搬送具400の第1吸引孔400cからの吸引力を停止させて、搬送具400から二つのフィルムF(モールド樹脂Rが搭載された状態)の保持が解放される。このとき、各フィルムFの外縁部分は、それぞれキャビティ208A、208B外の金型面206aにおいて、吸引路230bの一端の部分に掛かるように載置される。ここで、吸引路230bからフィルムFを吸引し、キャビティ208の外側の金型面206aにフィルムFを吸着させて保持する。次に、吸引路230aからフィルムFを吸引することで、図21に示すように、キャビティ208の内面(キャビティ凹部209の金型面)に金型面206aにフィルムFを吸着させて保持する。これにより、モールド樹脂RがフィルムFを介してキャビティ208内(キャビティ凹部209上)に供給される。ここでも、第2ローダ212が上下方向に移動することでフィルムFを金型に供給する動作において搬送具400に振動が加えられる可能性がある。しかしながら、前述の搬送時と同様に表面の粉末が塵埃(樹脂の微細粉末等)として装置内に飛散するのを防止できる。
次に、第3保持部212Aを移動させることにより、図22に示すように、搬送具400が取出される。この際に、第3保持部212Aに保持された搬送具400(フィルムF及びモールド樹脂Rを保持していない状態)が、モールド金型202の内部から外部へ(すなわち、型開きした状態の上型204と下型206との間から外部へ)取出され、準備テーブル302上へ搬送される。ここで、搬送具400はクリーニングされ再使用が可能となる。
次に、図23に示すように、モールド金型202の型閉じが行われ、上型204と下型206とで二つのワークWがクランプされる。
次に、図24に示すように、各キャビティ208A、208Bのキャビティ駒226A、226Bを相対的に上昇させることにより、二つのワークWに対してモールド樹脂Rが加熱加圧されることで熱硬化されて同時に樹脂モールド(圧縮成形)が行われる。これにより、二つの成形品Wpが形成される。
次に、図25に示すように、モールド金型202の型開きが行われる。このとき、成形品Wpと使用済みフィルムFdとが分離されて、上型204に二つの成形品Wpが保持され、且つ、下型206に二つの使用済みフィルムFdが保持された状態となる。この状態で、上述したように成形品Wp及び使用済みフィルムFdのそれぞれが取出されて、搬送されることで、一組のモールド動作が完了する。
以上、説明した通り、本発明に係る樹脂モールド装置によれば、搬送具に保持されたフィルム上に搭載されたモールド樹脂を、テーブル上に載置させた状態で加熱溶融させ、当該モールド樹脂の表面部分を一体化させることができる。これにより、搬送時の振動等が発生しても、塵埃(モールド樹脂の微細粉末等)が装置内に飛散しないようにすることができる。したがって、塵埃に起因する樹脂モールド装置の汚損や動作不良の発生を防止することができる。
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、下型にキャビティを備える圧縮成形方式の樹脂モールド装置を例に挙げて説明したが、上型および下型にキャビティを備える構成等への応用も可能である。
また、以上では、樹脂モールド装置における各ユニットについて特徴を説明したが、共通するワークに対して加工や処理を行うユニットであり、いずれかのユニットで行っている構成や動作について他のユニットで同様にしても差し支えない。また、本願では、これらのユニットの機能はユニット単位でも個別の効果を有するものであり、単体のユニットとしての発明を包含しているものである。例えば、ディスペンスユニットでは、フィルムと搬送具とを組み合わせてモールド樹脂を供給したものを準備することができる。このため、ディスペンスユニットとプレスユニットとを別に用意し利用しても同様の効果が得られる場合もある。
また、以上では、搬送具400は二つの樹脂投入孔400a、400bが設けられた構成例について説明したが、一つの樹脂投入孔が形成された搬送具400を用いる構成でもよく、二つ以上を一時に使用してもよい。また、本発明によれば、フィルムF上に投下されたモールド樹脂Rの微粉等の飛散を防止するだけでなく、搬送具400に付着したモールド樹脂Rの微粉等の飛散も防止することができる。
1 樹脂モールド装置
100A ワーク処理ユニット
100B プレスユニット
100C ディスペンスユニット
202 モールド金型
210 第1ローダ(第1搬送部)
212 第2ローダ(第2搬送部)
302 準備テーブル
304 搬送具ピックアップ
306、306A、306B フィルムロール
308 フィルムテーブル(第1テーブル)
310 樹脂投下テーブル(第2テーブル)
312 ディスペンサ
314 樹脂ヒータ(加熱部)
400 搬送具
F フィルム
R モールド樹脂
W ワーク

Claims (7)

  1. フィルムとモールド樹脂とが供給されてモールド成形をするモールド金型と、
    前記フィルムに前記モールド樹脂を投下するディスペンサと、
    前記フィルムと前記モールド樹脂とを所定保持位置において保持して前記モールド金型に搬送するローダと、
    前記ローダによる所定保持位置と前記ディスペンサとの間において、前記フィルムに投下された前記モールド樹脂を加熱する加熱部と、を備えること
    を特徴とする樹脂モールド装置。
  2. 前記フィルムと前記モールド樹脂とを載置させ、前記加熱部の下を通過するように移動可能に構成されたテーブルをさらに備えること
    を特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
  3. 前記加熱部は、前記フィルムと前記モールド樹脂とを載置させたテーブルの上を通過するように移動可能に構成されていること
    を特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
  4. 前記加熱部は、前記フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向の幅が、同方向における前記フィルムの幅よりも長く構成されていること
    を特徴とする請求項2または請求項3記載の樹脂モールド装置。
  5. 前記加熱部は、前記フィルムが相対的に移動する方向と直交する方向の幅が、同方向に並べて載置させた二つの前記フィルムの全体の幅よりも長く構成されていること
    を特徴とする請求項4記載の樹脂モールド装置。
  6. 前記加熱部は、前記フィルムの大きさと同等以上の大きさに構成されていること
    を特徴とする請求項1記載の樹脂モールド装置。
  7. 前記モールド樹脂は、顆粒状もしくは粉末状の樹脂であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂モールド装置。
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