以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのインクジェットプリンタについて説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの斜視図である。
図において、10はインクジェットプリンタ、Frは該インクジェットプリンタ10の本体、すなわち、装置本体を支持するフレームであり、該フレームFrは、インクジェットプリンタ10を前側(図において手前側)から見たときの左端から右端にかけて延在させて配設された受け板PB、該受け板PBの左端から立ち上げて形成された第1の主支持部としてのサイドプレートPL1、受け板PBの右端から立ち上げて形成された第2の主支持部としてのサイドプレートPR1、前記サイドプレートPL1より所定の距離だけ右方において受け板PBから立ち上げて形成された第1の副支持部としての枠体PL2、及び前記サイドプレートPR1より所定の距離だけ左方において受け板PBから立ち上げて形成された第2の副支持部としての枠体PR2を備える。
前記サイドプレートPL1、PR1間にレール15が延在させて配設(架設)され、該レール15に沿ってキャリッジ17が主走査方向に移動自在に配設される。該キャリッジ17に、一つ又は複数の、本実施の形態においては、複数の後述される記録ヘッドHdi(i=1、2、…)(図1)が、複数のノズルが開口する面、すなわち、後述されるノズル面Saを下方に向けて搭載される。
また、前記サイドプレートPR1に駆動側のプーリ18が、サイドプレートPL1に従動側のプーリ19が、それぞれ回転自在に配設され、プーリ18、19間に無端ベルト21が走行自在に張設され、該無端ベルト21の所定の箇所に前記キャリッジ17が取り付けられる。そして、前記プーリ18に、キャリッジ移動用の駆動部としてのキャリッジモータ22が連結される。
したがって、該キャリッジモータ22を駆動し、無端ベルト21を走行させることによってキャリッジ17を左右方向に移動させ、キャリッジ17の移動に伴って各記録ヘッドHdiを左右方向に移動させることができる。また、このとき、記録ヘッドHdi(の各ノズル)からインクを吐出させ、副走査方向、すなわち、キャリッジ17の移動方向に対して直交する方向に搬送される記録媒体Pに付着させることによって、記録媒体Pに文字、イメージ等の画像を形成し、印刷を行うことができる。なお、記録媒体Pとしては、用紙のほかに、塩化ビニル、PET等の樹脂製のフィルム等を使用することができる。
前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させてリニアスケール23が配設され、該リニアスケール23の目盛りが、キャリッジ17に配設された後述されるエンコーダ35(図6)によって読み取られ、該エンコーダ35のセンサ出力に基づいて、キャリッジ17の位置が検出される。また、キャリッジ17の位置の変化及び時間に基づいてキャリッジ17の移動速度を算出することができる。
そして、前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させて、プレート状の形状を有するプラテン25が配設される。該プラテン25は、前記受け板PB上における枠体PL2、PR2間に配設され、プラテン25上を搬送される記録媒体Pを支持する。
また、前記プラテン25の下方に、記録媒体Pを負圧によってプラテン25に引き寄せるための図示されない空気吸引装置が配設される。該空気吸引装置は吸引用のファンを備え、該ファンによって空気が吸引されることにより、記録媒体Pがプラテン25によって平坦に支持される。
そして、前記プラテン25より後方に、第1の媒体案内部としての図示されないリヤペーパガイドが配設される。該リヤペーパガイドは、図示されない繰出しロールから繰り出された記録媒体Pを前記プラテン25に案内する。そのために、記録媒体Pの搬送方向における前記リヤペーパガイドとプラテン25との間に、搬送部材としての搬送ローラ対30が回転自在に配設される。
該搬送ローラ対30は、プラテン25に隣接させて、キャリッジ17の主走査方向における複数箇所に回転自在に配設された第1のローラとしての搬送ローラ31、及び該搬送ローラ31より上方において回転自在に配設され、記録媒体Pを搬送ローラ31に押し付ける第2のローラとしてのピンチローラ32から成る。後述される搬送用の駆動部としての搬送モータ34(図6)を駆動し、搬送ローラ31を回転させると、ピンチローラ32が連れ回りで回転させられる。
これにより、記録媒体Pは、搬送ローラ31とピンチローラ32とによって挟まれた状態で前記繰出しロールから繰り出され、前記リヤペーパガイドに沿って搬送され、プラテン25上に送られる。そして、記録媒体Pと記録ヘッドHdiのノズル面Saとが対向させられ、記録ヘッドHdiからインクが吐出され、記録媒体Pに付着させられる。
この場合、前記搬送モータ34を駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータ34を停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインクを吐出することによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。1走査が終了すると、前記搬送モータ34を再び駆動して記録媒体Pを所定の距離搬送した後、搬送モータ34を停止させ、その状態でキャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiからインクを吐出することによって、1走査が行われ、1ライン分の画像が形成される。この動作を繰り返すことによって、記録媒体Pに画像が形成され、印刷が行われる。
なお、本実施の形態においては、シングルパス方式によって印刷が行われるようになっているが、マルチパス方式によって印刷を行う場合は、前記記録媒体Pを搬送する距離が記録ヘッドHdiの図示されないノズル列より短くされ、複数の走査を行うことによって1ライン分の画像が形成される。
また、前記プラテン25より前方に、印刷が行われた後の記録媒体Pを媒体排出口Eqに案内するための第2の媒体案内部としてのフロントペーパガイド33が配設される。該フロントペーパガイド33は、前記プラテン25から水平方向に排出された記録媒体Pを下方に向けて案内するために、湾曲した形状を有する。
したがって、図示されない媒体導入口から供給された記録媒体Pは、リヤペーパガイドによって案内されてプラテン25に送られ、プラテン25上において、記録ヘッドHdiから吐出されたインクが付着させられて印刷が行われ、印刷が行われた後、フロントペーパガイド33によって媒体排出口Eqに案内され、図示されない巻取装置に送られて巻き取られる。
ところで、印刷が行われた記録媒体Pにはインクが付着しており、インクが付着した記録媒体Pを、インクが乾かないうちにインクジェットプリンタ10から排出し、その後、巻取装置によって巻き取ると、記録媒体Pがインクで汚れてしまう。
そこで、記録媒体P上のインクを乾燥させ、記録媒体Pに定着させるために、前記リヤペーパガイド、プラテン25及びフロントペーパガイド33の裏面に加熱体としての図示されないヒータが配設され、該ヒータによって、リヤペーパガイド、プラテン25及びフロントペーパガイド33上を搬送される記録媒体Pが加熱されるようになっている。
なお、本実施の形態においては、前記レール15がサイドプレートPL1、PR1間に配設され、プラテン25が枠体PL2、PR2間に配設されるので、キャリッジ17がプラテン25上を移動させられる間は各記録ヘッドHdiによる印刷が行われ、キャリッジ17がサイドプレートPL1と枠体PL2との間に置かれるとき、及びサイドプレートPR1と枠体PR2との間に置かれるときは、各記録ヘッドHdiによる印刷が行われない。そこで、本実施の形態においては、サイドプレートPR1と枠体PR2との間が、キャリッジ17の位置の原点合わせを行うためのホームポジションにされ、サイドプレートPL1と枠体PL2との間が、キャリッジ17をプラテン25上から退避させるとともに折り返すための、かつ、各記録ヘッドHdiのメンテナンスを行うための退避ポジションにされる。
ところで、前記記録ヘッドHdiは、画像データに従ってインクを吐出して画像を形成するので、画像データによっては、インクが吐出されないノズルがある。インク滴が吐出されないノズル内でインクの粘度が高くなってノズルが詰まったり、ノズルにごみ等が付着したりすると、ノズルからインクを円滑に吐出させることができなくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、前記退避ポジションに、第1のメンテナンス装置としてのキャップユニット43が配設されるようになっている。該キャップユニット43は、インクジェットプリンタ10が長時間使用されない場合に、記録ヘッドHdiのノズル面Saをキャップで覆い、ノズル内のインクの粘度が高くなってノズルが詰まったり、ノズルにごみ等が付着したりするのを防止する。
また、本実施の形態においては、定期的に、又は所定のタイミングで、退避ポジションに置かれた記録ヘッドHdiを駆動し、ノズルから所定のインク滴分のインクを吐出させることによって、ノズル内のインクの粘度が高くなるのが防止される。
そして、前記退避ポジションにおけるキャップユニット43と枠体PL2との間に、ノズルからインクが吐出されたときにインクを受け、廃棄するための、第2のメンテナンス装置としてのスピットユニット45が配設される。
また、前記記録ヘッドHdiによって印刷が行われている間、すなわち、記録ヘッドHdiによる記録中に記録ヘッドHdiの周辺に浮遊するインクミストのインクがノズル面Saに付着し、固化すると、ノズルからインクが円滑に吐出されなくなるだけでなく、前記キャップユニット43によってノズル面Saがキャップで覆われたときにキャップと記録ヘッドHdiとの間に隙間が生じ、キャップ内を密閉することができなくなってしまう。その場合、ノズル内のインクの粘度が高くなり、固化すると、インクの吐出不良が発生してしまう。
そこで、キャリッジ17の主走査方向における所定の箇所、本実施の形態においては、前記ホームポジションに、枠体PR2と隣接させて、第3のメンテナンス装置としてのバキュームユニット44がノズル面Saと対向させて配設される。バキュームユニット44は、記録ヘッドHdiがホームポジションに置かれたときに、負圧によって、ノズル面Saに付着したインクミストのインクを空気と共に吸引し、除去する。したがって、バキュームユニット44を動作させることによってノズル面Saを良好な状態に維持することができるので、画像を形成する際に記録ヘッドHdiからインクを円滑に吐出させることができる。
また、前記ホームポジションにおけるバキュームユニット44とサイドプレートPR1との間に、第4のメンテナンス装置としてのワイプユニット41が配設され、前記バキュームユニット44によってノズル面Saのインクが吸引された後に、ワイプユニット41によってノズル面Saが定期的に掃除、すなわち、ワイプされ、バキュームユニット44においてインクが吸引された後のノズル面Saにわずかに残留したインク、ノズル面Saに固着した異物等が払拭される。
なお、前記バキュームユニット44はプラテン25とワイプユニット41との間に配設されるので、記録ヘッドHdiは、キャリッジ17の移動に伴ってプラテン25上からバキュームユニット44の上方に移動し、続いて、ワイプユニット41の上方に移動することになる。したがって、キャリッジ17を移動させるためのキャリッジモータ22の制御を簡素化することができる。
次に、前記バキュームユニット44及びワイプユニット41について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるバキュームユニット及びワイプユニットの斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるバキュームユニットの概念図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるワイプユニットの概念図、図5は本発明の第1の実施の形態における押付部の配設状態を示す断面図である。なお、図1においては、便宜上、ワイパ58が押付部60の一部分を覆うように示されているが、実際は、ワイパ58は押付部60の全体を覆うように幅方向に延在させられる。また、図5においては、便宜上、キャリッジ17内に4個の記録ヘッドHd1〜Hd4が配設される。
図において、41はワイプユニット、44は該ワイプユニット41に隣接させて配設されたバキュームユニットである。
まず、バキュームユニット44について説明する。
バキュームユニット44は、外装体としてのバキュームハウジング46、上縁が開口させられた箱状の形状を有し、前記バキュームハウジング46に対して上下方向に移動自在に配設された複数の、本実施の形態においては、2個のトレイ47、該トレイ47を支持し、トレイ47と共にバキュームハウジング46に対して上下方向に移動自在に配設された昇降ベース50、前記トレイ47内に収容され、各記録ヘッドHdiと対向させて上下方向に移動自在に配設された吸引装置61、前記昇降ベース50及び吸引装置61を上下方向に移動させる昇降用の駆動部としての昇降モータ70、前記昇降ベース50より下方において、前記吸引装置61と連通させて配設され、駆動されて負圧を発生させる駆動部としての、かつ、負圧発生装置としての吸引ポンプPs等を備える。前記吸引装置61は、前記バキュームハウジング46内において、上方に設定された吸引位置及び下方に設定された退避位置に置かれ、吸引位置において、記録ヘッドHdiのノズル面Saに付着したインクを空気と共に吸引する。
また、前記昇降モータ70を駆動することによって発生させられた回転運動を昇降ベース50の直進運動に変換するために、図示されない運動方向変換機構が配設される。
本実施の形態において、運動方向変換機構は、昇降ベース50の下面に対して鉛直方向に延在させて配設された第1のボールねじ軸、及び昇降ベース50の下面に対して平行に延在させて配設された第2のボールねじ軸から成り、第1、第2のボールねじ軸の各ねじが互いに螺合させられる。そして、昇降ベース50に取り付けられた図示されないボールナットと前記第1のボールねじ軸とが螺合させられ、前記昇降モータ70と前記第2のボールねじ軸とが連結される。したがって、昇降モータ70を正方向に駆動し、第2のボールねじ軸を回転させると、第1のボールねじ軸が回転させられ、昇降ベース50が上方に移動させられ、前記昇降モータ70を逆方向に駆動し、第2のボールねじ軸を回転させると、第1のボールねじ軸が回転させられ、昇降ベース50が下方に移動させられる。
なお、運動方向変換機構として、昇降モータ70と連結され、前記昇降ベース50の下面にカム面を当接させるようにしたカムを配設することができる。
前記吸引装置61は、箱状の形状を有するケースCe、及び該ケースCe内を貫通するように形成された吸引流路64を備える。前記ケースCeの上端には、記録ヘッドHdiのノズル面Saと対向させて、吸引面としての偏平なバキューム面Sbが形成され、前記ケースCeの下端には、前記吸引ポンプPsと対向させて排出面Scが形成される。
前記バキューム面Sbは、前記ノズル面Saより広い面積を有し、キャリッジ17が移動させられて記録ヘッドHdiがバキュームユニット44上に置かれたときに、ノズル面Saと対向させられる。すなわち、記録ヘッドHdiの上方から吸引装置61を見ると、ノズル面Saはバキューム面Sbの周縁内に置かれる。
そして、前記バキューム面Sbに、ノズル列と平行に、すなわち、副走査方向に延在させて、吸引開口としてのバキュームスリット63が形成される。該バキュームスリット63は、記録ヘッドHdiのノズル面Saの長手方向の長さより長く形成される。
また、前記排出面Scに、円形の形状を有する排出口h1が形成され、該排出口h1は、トレイ47及び昇降ベース50を貫通して延在させられたパイプp1と連通させられる。
そして、前記吸引流路64は、前記バキュームスリット63を上端に備え、上下方向に延在させて形成された第1の流路部f1、前記排出口h1を下端に備え、上下方向に延在させて形成された第2の流路部f2、及び第1、第2の流路部f1、f2間に形成された圧力調整室Rmを備える。該圧力調整室Rmは、第1、第2の流路部f1、f2の流路断面より大きい流路断面を有し、吸引ポンプPsが駆動され、バキュームスリット63を介して空気が吸引されたときに空気の圧力を調整し、バキュームスリット63の長手方向において空気の圧力に差が生じるのを抑制する。
前記圧力調整室Rmの上端部には、第1の流路部f1にかけて徐々に断面積が小さくなるようにテーパ部tp1が、前記圧力調整室Rmの下端部には、第2の流路部f2にかけて徐々に断面積が小さくなるようにテーパ部tp2が形成される。
前記吸引ポンプPsは、吸引流路64を介して記録ヘッドHdiの周辺の空気及びノズル面Saに付着したインクを吸引し、吐出口h2から排出する。
本実施の形態においては、キャリッジ17に、複数の記録ヘッドHdiが2列に、かつ、千鳥状に配列され、トレイ47が千鳥状に配設されるので、キャリッジ17は、各記録ヘッドHdiが2個ずつ順に、トレイ47の上方において吸引装置61と対向するように移動させられる。
前記キャリッジ17が主走査方向における後述されるバキューム開始位置に置かれると、昇降モータ70が駆動され、昇降ベース50が上方に移動させられ、吸引装置61が吸引位置に置かれ、続いて、キャリッジ17がホームポジションに置かれると、吸引装置61のバキューム面Sbとノズル面Saとの間に所定の隙間が形成される。
そして、吸引装置61のバキューム面Sbとノズル面Saとの間に所定の隙間が形成された状態で吸引ポンプPsを駆動すると、ノズル面Saに負圧が及ぼされ、ノズル面Saに付着したインクが吸引装置61によって吸引される。
また、このとき、記録ヘッドHdiの周囲の空気が、バキューム面Sbとノズル面Saとの隙間を流れ、吸引流路64内に吸引される。
この間、キャリッジ17を主走査方向に、記録ヘッドHdiによる記録時の移動速度より低い所定の移動速度で移動させると、バキュームスリット63は、記録ヘッドHdiのノズル列の列方向に対して直交する方向に、記録ヘッドHdiと相対的に移動させられる。しかも、前述されたように、前記バキュームスリット63がノズル面Saの長手方向の長さより長く形成されるので、ノズル面Saの全域にわたって負圧が及ぼされ、ノズル面Saに付着したインクを確実に吸引することができる。なお、前記所定の移動速度が記録ヘッドHdiによる記録時の移動速度より低く設定されない場合には、ノズル面Saに付着したインクを確実に吸引することができない。
また、本実施の形態においては、キャリッジ17が移動させられている間、バキューム面Sbとノズル面Saとが平行な状態に維持されるとともに、バキューム面Sbの面積がノズル面Saの面積より大きくされているので、吸引ポンプPsが駆動されるのに伴って、ノズル面Saとバキューム面Sbとの隙間を空気が安定して流れ、その空気が吸引流路64内に吸引される。
したがって、ノズル面Saに付着したインクを安定させて吸引することができる。
なお、バキューム面Sbの面積がノズル面Saの面積より狭い場合、吸引ポンプPsが駆動されるのに伴って、空気が下方からノズル面Saに向けて流れ、ノズル面Saに当たり、状況によっては渦を形成して吸引流路64内に吸引される。その場合、ノズル面Saとバキューム面Sbとの間で予期せぬ空気の流れが生じやすくなり、ノズル面Saに付着したインクを安定させて吸引することができなくなる。
次に、ワイプユニット41について説明する。
ワイプユニット41は、前記受け板PB(図2)に取り付けられた基台51、該基台51の両縁に配設された一対のレール52、該レール52間に架設され、レール52によって移動自在に支持された移動台54、該移動台54をレール52に沿って移動させる移動用の駆動部としての移動用モータ55、前記移動台54上に配設され、副走査方向に移動自在に配設されたワイパ摺動装置56等を備える。
前記移動用モータ55の出力軸sh1に取り付けられたギヤgr2と、ギヤgr3とが噛合させられ、該ギヤgr3と図示されないピニオンが噛合させられ、該ピニオンと前記各レール52間に延在させられたラックRkとが噛合させられる。
前記移動用モータ55を駆動することによって出力軸sh1を回転させると、ピニオンがラックRkと噛合しながら回転させられ、移動台54がレール52に沿って移動させられ、移動台54の移動に伴って前記ワイパ摺動装置56が副走査方向に移動させられる。記録ヘッドHdiは、ワイパ摺動装置56に対して相対的に図4の矢印方向に移動させられる。
ワイパ摺動装置56は、キャリッジ17が主走査方向に移動させられ、記録ヘッドHdiによって記録媒体Pに画像が形成されている間、インクジェットプリンタ10の装置本体における後方の位置において静止させられ、キャリッジ17が前記ホームポジションに移動させられ、停止させられると、装置本体の前方の位置に移動させられ、続いて、後方の位置に移動させられる。このとき、前記バキュームユニット44によって吸引が行われた後のノズル面Saが、不織布のシート等から成るワイパ58によってワイプされる。前記ワイパ摺動装置56は、ワイパ58によるノズル面Saのワイプが終了した後、後方の位置において静止させられ、このとき、インクの予備吐出、すなわち、スピットが行われ、記録ヘッドHdiのノズルから所定の数のインク滴のインクidが吐出され、吐出されたインクidをワイパ58が受ける。
そのために、前記ワイパ摺動装置56は、前記移動台54上に立設させられ、上面が開放されたワイパハウジングHs、該ワイパハウジングHs内に配設され、ワイパ58を搬送自在に支持(保持)し、間欠的に搬送するためのワイパ搬送ユニットu1、及び前記ワイパハウジングHsに隣接させて配設され、間欠的に駆動されてワイパ58を間欠的に搬送する、ステッピングモータから成るワイパ搬送用の駆動部としてのワイパモータ57を備える。
前記ワイパ搬送ユニットu1は、回転自在に配設され、回転に伴ってワイパ58を繰り出す繰出部Ar1、ワイパ58の搬送方向(矢印A方向)における繰出部Ar1より下流側に配設され、所定の力でワイパ58を局部的にノズル面Saに押し付ける押付部60、ワイパ58の搬送方向における押付部60より下流側に回転自在に配設され、ワイパ58にテンションを付与する張力付与部材としてのテンションローラR1、ワイパ58の搬送方向におけるテンションローラR1より下流側に回転自在に配設され、ワイパ58を水平に支持(保持)するための第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3、ワイパ58の搬送方向における前記第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3より下流側に回転自在に配設され、回転に伴ってワイパ58を巻き取るための巻取部Ar2等を備える。なお、前記押付部60は、ワイパハウジングHsの後方の縁部に隣接させて、第1のワイパ支持ローラR2は、押付部60より前方において押付部60と隣接させて、第2のワイパ支持ローラR3は、ワイパハウジングHsの前方の縁部に隣接させて配設される。
前記ワイパ58における、押付部60によってノズル面Saに押し付けられる部分に払拭部位Pt1が形成され、キャリッジ17がワイプユニット41の上方で停止させられた状態で、ワイパ摺動装置56を記録ヘッドHdiに対して相対的に移動させると、払拭部位Pt1が、ノズル面Saと平行な面に沿って移動させられ、記録ヘッドHdiのノズル面Saをワイプする。
なお、前記押付部60の先端は、ワイパ58を傷付けることがないように弧状の形状を有する。
また、ワイパ58にはワイプ液が浸透させられる。したがって、ノズル面Saにわずかに残留したインク、強固に付着した異物等を確実に除去することができるだけでなく、ワイパ58がノズル面Saをワイプするのに伴ってノズル面Saに傷が付くのを防止することができる。
前記押付部60は、逆「U」字状の形状を有するブロックから成り、上端に、半円形状に湾曲させて形成された押付面60Sを備える。該押付面60Sは半円形状に湾曲させて形成されるので、ワイパ58をノズル面Saに押し付けるときにワイパ58に過度な圧力が加わることがなく、ワイパ58の払拭部位Pt1は、押付面60Sの形状にならって湾曲させられる。したがって、ワイパ58が損傷することがなく、ワイパ58の耐久性を向上させることができる。
前記押付部60によってワイパ58をノズル面Saに押し付けるために、ワイパハウジングHs内における押付部60の下方に、付勢部材としての図示されないスプリングが配設され、該スプリングによって、押付部60が、図5において矢印で示されるように、所定の付勢力でノズル面Saに向けて付勢される。
移動用モータ55が駆動され、ワイパ摺動装置56が移動させられると、払拭部位Pt1がキャリッジ17の下面17S及びノズル面Saに当接させられ、これにより、押付部60は、前記スプリングの付勢力に抗して、押付面60Sがノズル面Saから離れる方向に移動させられる。そして、ワイパ摺動装置56が更に移動させられると、押付部60は、払拭部位Pt1がキャリッジ17の下面17S及びノズル面Saに押し付けられた状態で移動させられ、払拭部位Pt1によってノズル面Saがワイプされる。
この場合、押付部60の押付面60Sがノズル面Saに対して接離可能に移動させられるので、ワイパ摺動装置56が移動させられている間にワイパ58に過度な力が加わっても、ワイパ58をノズル面Saから退避させることができる。したがって、ノズル面Saに傷が付くのを防止することができるので、記録ヘッドHdiの耐久性を向上させることができる。
なお、押付部60をゴム等の弾性材料で形成し、押付部60自体を伸縮させることによって、押付面60Sをノズル面Saに対して接離可能に移動させることができる。
また、本実施の形態においては、図5に示されるように、キャリッジ17のワイパ58と対向する下面17Sと、各記録ヘッドHdiのノズル面Saとがほぼ同一平面上に置かれるので、キャリッジ17の下面17S及びノズル面Saをワイパ58によって同時にワイプすることができる。したがって、キャリッジ17及び記録ヘッドHdiのメンテナンスを効率的に行うことができる。
さらに、押付部60が、図1及び5に示されるように、記録ヘッドHdiごとにワイパ58の幅方向において互いに所定の間隔を置いて配設され、長さはノズル面Saの幅より短いが、各記録ヘッドHdiのノズル面Saとほぼ同一平面上に置かれるので、押付部60によってワイパ58を各ノズル面Saに十分に押し付けることができる。したがって、ワイパ58によってノズル面Saを十分にワイプすることができる。
また、キャリッジ17の下面17Sとノズル面Saとの間に段差が形成されないので、キャリッジ17の移動に伴ってノズル面Saの近傍で乱流が発生するのを抑制することができる。したがって、記録ヘッドHdiから吐出されたインクの飛翔軌跡に乱れが発生するのを抑制することができるので、画像品位を向上させることができる。
ところで、ノズル面Saをワイプした後のワイパ58には汚れが付着しているので、汚れが付着したままでノズル面Saを再びワイプすると、ノズル面Saを傷付けてしまう。
そこで、本実施の形態においては、ワイパ58によってノズル面Saがワイプされると、ワイパ58の使用された部分が所定の搬送量搬送され、ワイパ58の未使用の部分によって新たな払拭部位Pt1が形成されるようになっている。
そのために、前記ワイパモータ57の出力軸sh2にギヤg4が取り付けられ、該ギヤg4と前記巻取部Ar2とが図示されないギヤトレーンを介して連結される。また、前記繰出部Ar1に、繰出し用の回転体としてのローラrsに未使用のワイパ58をロール状に巻くことによって形成された供給ロールRL1がセットされる。なお、該供給ロールRL1においてワイパ58にワイプ液が浸透させられている。
したがって、前記ワイパモータ57を駆動すると、巻取部Ar2が回転させられ、ワイパ58が所定の搬送量搬送され、これに伴って、ノズル面Saをワイプすることによって汚れが付着した使用済みのワイパ58が、第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3を経て巻取部Ar2に送られ、巻取り用の回転体としてのローラreに巻き取られて使用済ロールRL2となる。そして、ローラreに巻き取られた分だけ、未使用のワイパ58が繰出部Ar1から繰り出される。
なお、前記繰出部Ar1には、供給ロールRL1を所定の力で矢印Y方向に押すテンション付与部材としての押圧部材65が配設され、該押圧部材65は、ワイパ58がローラreに巻き取られるときに、供給ロールRL1の回転を抑制し、ワイパ58にテンションを付与する。
ところで、前記ワイパ58における前記第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3間の部分は、図4に示されるように、ワイパハウジングHsの上面において、記録ヘッドHdiと対向させて、かつ、ノズル面Saと平行に延在させられる。そこで、本実施の形態においては、第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3間の部分が、スピットが行われる際に記録ヘッドHdiのノズルから吐出された所定の数のインク滴のインクidを受けるインク受け部Pt2にされる。
そのために、前記第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3は同じ高さの位置に配設され、第1、第2のワイパ支持ローラR2、R3間に延在させられるワイパ58とノズル面Saとの距離が一定にされる。
この場合、前記払拭部位Pt1がインク受け部Pt2よりノズル面Saに近い位置に置かれ、キャリッジ17の下面17Sとノズル面Saとがほぼ同一平面上に置かれ、キャリッジ17の下面17S及びノズル面Saとインク受け部Pt2とが互いに平行に対向させられるので、ワイパ摺動装置56を移動させるだけで、払拭部位Pt1によってノズル面Saをワイプすることができるだけでなく、ノズルから吐出されたインクidをインク受け部Pt2によって受けることができる。すなわち、ワイプユニット41をスピットユニットとしても機能させることができる。
したがって、払拭部位Pt1において使用されたワイパ58によってインク受け部Pt2を形成することができるので、ワイパ58を無用に消費することがない。
しかも、払拭部位Pt1によってノズル面Saをワイプした後、記録ヘッドHdiを駆動してノズルからインクidを吐出させることができるので、メニスカスを整えることができる。したがって、記録ヘッドHdiのメンテナンスを効率的に行うことができ、記録ヘッドHdiからインクを円滑に吐出させることができる。
なお、本実施の形態においては、図1に示されるように、ワイパハウジングHs内において、インク受け部Pt2の下方にカバーCv1が配設される。該カバーCv1は、記録ヘッドHdiが図4における破線で示される位置に置かれたときに、ノズルから吐出され、インク受け部Pt2によって受けることができなかったインクidがワイパハウジングHsの底面に落下するのを防止する。
また、本実施の形態においては、図4に示されるように、前記繰出部Ar1より上方にカバーCv2が配設され、該カバーCv2は、記録ヘッドHdiのノズルから落下したインクが供給ロールRL1に付着するのを防止する。したがって、記録ヘッドHdiが図4における実線で示される位置に置かれたときに、記録ヘッドHdiのノズルからインクが落下して供給ロールRL1に付着し、供給ロールRL1に巻かれたワイパ58が汚れてしまうことがない。
次に、前記インクジェットプリンタ10の制御装置について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
図において、80はインクジェットプリンタ10の全体の制御を行う制御部、81は第1の記憶装置としてのROM、82は第2の記憶装置としてのRAM、83は第3の記憶装置としての設定値メモリである。
前記制御部80は、演算装置としてのCPUを備え、ROM81に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。ROM81には前記プログラムのほかに各種の初期値等が記録され、RAM82には各種のデータが一時的に記録される。また、RAM82は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとしても機能する。そして、前記設定値メモリ83には、制御部80が各種の処理を行う際に使用される設定値、例えば、バキュームユニット44(図1)において、ノズル面Saに付着したインクの吸引を開始するためのキャリッジ17におけるバキューム開始位置、吸引装置61を上方に移動させたときの吸引位置、バキュームユニット44の上方でキャリッジ17を移動させるときのキャリッジ17の移動速度、ワイプユニット41(図2)の位置、ワイプユニット41によってノズル面Saがワイプされる回数を表すワイプ回数、ワイプを開始する条件であるワイプ開始条件、ワイプ前及びワイプ後のワイパ58の搬送量等が記録される。なお、ワイパ58の搬送量は、あらかじめ測定されたワイプユニット41の各部品間の各距離に基づいて算出される。
また、前記制御部80は、ヘッド駆動処理部Pr1、搬送処理部Pr2、キャリッジ駆動処理部Pr3、昇降処理部Pr4、吸引ポンプ駆動処理部Pr5、ワイパ払拭処理部Pr6、ワイパ搬送処理部Pr7等を備える。
前記ヘッド駆動処理部Pr1は前記記録ヘッドHdiに画像データを送り、記録ヘッドHdiは、画像データに基づいて、所定のタイミングでインクを吐出して画像を形成する。
前記搬送処理部Pr2は、前記搬送モータ34を駆動し、搬送ローラ対30(図2)を回転させ、記録媒体Pを搬送する。
前記キャリッジ駆動処理部Pr3は、PWM制御によって前記キャリッジモータ22を駆動し、キャリッジ17を移動させる。そのために、キャリッジ駆動処理部Pr3は、ROM81からキャリッジ17の目標位置及び目標速度を読み出し、前記エンコーダ35のセンサ出力を受け、キャリッジ17の位置を検出し、制御値としてのPWM制御信号を発生させてキャリッジモータ22に送る。該キャリッジモータ22は、PWM制御信号を受けて、PWM制御信号のデューティに比例して回転速度を変化させ、キャリッジ17を加速したり減速したりして目標速度で目標位置に移動させる。
前記昇降処理部Pr4は、前記昇降モータ70を駆動し、吸引装置61を上下方向に移動させる。そのために、バキュームハウジング46における前記吸引位置に、トレイ47と対向させて昇降用の検出部としてのトレイセンサ36が配設され、昇降処理部Pr4は、トレイセンサ36のセンサ出力を受け、トレイ47の位置を検出する。
前記吸引ポンプ駆動処理部Pr5は、吸引ポンプPsを駆動する。該吸引ポンプPsが駆動されると、吸引流路64(図3)を介して記録ヘッドHdiの周辺の空気、及び記録ヘッドHdiのノズル面Saに付着したインクが吸引される。
前記ワイパ払拭処理部Pr6は、前記移動用モータ55を駆動することによって、移動台54をレール52に沿って移動させ、前記ワイパ摺動装置56を副走査方向に移動させる。これにより、払拭部位Pt1がノズル面Saに沿って移動させられ、ノズル面Saがワイプされる。
前記ワイパ搬送処理部Pr7は、前記ワイパモータ57を駆動し、前記払拭部位Pt1によってノズル面Saをワイプするために、ワイパ58を繰出部Ar1から繰り出したり、ノズル面Saをワイプした後のワイパ58を所定の搬送量搬送し、巻取部Ar2側に送ったりする。
次に、バキュームユニット44及びワイプユニット41の動作について説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態におけるバキュームユニット及びワイプユニットの動作を示すフローチャートである。
まず、キャリッジ駆動処理部Pr3(図6)は、キャリッジモータ22を駆動し、エンコーダ35から送られたセンサ出力を読み込み、キャリッジ17の位置を検出しながらキャリッジ17をホームポジションに向けて移動させ、記録ヘッドHdiをバキューム開始位置に置く。該バキューム開始位置は、主走査方向において、記録ヘッドHdiのノズル面Saが吸引装置61のケースCeと対向する位置、又はケースCeと対向する位置よりわずかにプラテン25側の位置に設定される。
続いて、昇降処理部Pr4は、昇降モータ70を駆動し、吸引装置61を上方に移動させ、吸引位置に置く。該吸引位置は、インクジェットプリンタ10の高さ方向においてノズル面Saとバキューム面Sbとの間がインクを吸引するのに最適な距離になるように設定される。
そして、吸引ポンプ駆動処理部Pr5は、吸引ポンプPsを駆動し、吸引を開始する。
吸引ポンプPsを駆動している間、キャリッジ駆動処理部Pr3は、キャリッジモータ22を駆動し、バキュームユニット44の上方でキャリッジ17を記録時より低い所定の移動速度でワイプユニット41側に移動させる。
このようにして、ノズル面Saの全域にわたってノズル面Saに付着したインクが吸引されると、昇降処理部Pr4は、昇降モータ70を駆動し、吸引装置61を下方に移動させ、退避位置に置く。そして、吸引ポンプ駆動処理部Pr5は、吸引ポンプPsを停止させ、吸引を終了する。本実施の形態においては、キャリッジ17が、ノズル面Saのプラテン25側の端部からワイプユニット41側の端部まで移動すると吸引が終了するようになっているが、キャリッジ17がノズル面Saのワイプユニット41側の端部まで移動した後、プラテン25側に移動させ、吸引を繰り返すようにすることができる。
そして、キャリッジ駆動処理部Pr3は、キャリッジモータ22を駆動し、キャリッジ17を移動させ、記録ヘッドHdiをワイプユニット41の上方に置く。このとき、キャリッジ駆動処理部Pr3は、各押付部60の上方に、対応する記録ヘッドHdiのノズル面Saが配置されるようにキャリッジ17を移動させる。
続いて、ワイパ搬送処理部Pr7は、ワイパモータ57を駆動し、ワイパ58を、払拭部位Pt1を形成するための第1の搬送量搬送する。これにより、未使用のワイパ58が、繰出部Ar1から繰り出され、所定の搬送量搬送され、ワイパ58の未使用の部分によって押付部60が覆われ、新たな払拭部位Pt1が形成される。
そして、ワイパ払拭処理部Pr6は、移動用モータ55を駆動することによって前記ワイパ摺動装置56を往復移動させ、ワイパ58によってノズル面Saをワイプする。そして、ワイパ搬送処理部Pr7は、ワイパ摺動装置56の往路と復路との切替え時にワイパモータ57を駆動し、ワイパ58を、払拭部位Pt1を形成するための第2の搬送量搬送する。
そして、ノズル面Saのワイプが終了すると、ワイパ払拭処理部Pr6は、移動用モータ55を駆動し、ワイパ摺動装置56を後方の位置に置き、停止させる。続いて、ヘッド駆動処理部Pr1は、記録ヘッドHdiを駆動し、スピットを行い、ノズルから所定の数のインク滴のインクidをインク受け部Pt2に吐出する。
その後、キャリッジ駆動処理部Pr3は、キャリッジモータ22を駆動し、キャリッジ17をワイプユニット41の外側へ移動させ、ワイパ払拭処理部Pr6は、移動用モータ55を駆動し、ワイパ摺動装置56を前方の位置に置く。
本実施の形態において、ノズル面Saに付着したインクの吸引、すなわち、バキュームユニット44による吸引、及びワイパ58によるノズル面Saのワイプ、すなわち、ワイプユニット41によるワイプは、キャリッジ17を主走査方向に所定の回数、例えば、100〔回〕往復させる等、記録ヘッドHdiによる記録が行われるごとに行われる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 キャリッジ駆動処理部Pr3は記録ヘッドHdiをバキューム開始位置に置く。
ステップS2 昇降処理部Pr4は吸引装置61を上方に移動させ、吸引位置に置く。
ステップS3 吸引ポンプ駆動処理部Pr5は吸引ポンプPsを駆動し、吸引を開始する。
ステップS4 キャリッジ駆動処理部Pr3はバキュームユニット44の上方でキャリッジ17を移動させる。
ステップS5 キャリッジ駆動処理部Pr3は記録ヘッドHdiをワイプユニット41の上方に置く。
ステップS6 ワイパ搬送処理部Pr7はワイパ58を第1の搬送量搬送する。
ステップS7 ワイパ払拭処理部Pr6はワイパ摺動装置56を往復移動させ、ワイパ搬送処理部Pr7は往路と復路との切替え時にワイパ58を第2の搬送量搬送する。
ステップS8 ヘッド駆動処理部Pr1は記録ヘッドHdiのノズルから所定の数のインク滴のインクidを吐出させ、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、バキュームユニット44が、キャリッジ17の主走査方向における所定の箇所にノズル面Saと対向させて配設され、負圧によってインクを空気と共に吸引し、ノズル面Saに付着したインクを除去するので、バキュームユニット44と隣接させて配設されたワイプユニット41によってノズル面Saをワイプしたときに、インク中に分散させられた顔料によってノズル面Saが擦られることがなく、ノズル面Saを傷付けることがない。
したがって、ノズル面Saに形成された膜の撥液性能を維持することができるので、ノズル面Saに付着したインクが濡れ広がってノズルのメニスカスに影響を及ぼすことがなく、インクの吐出不良が発生するのを防止することができる。
また、本実施の形態においては、ノズル面Saがワイプされた後、直ちにスピットが行われるので、記録ヘッドHdiのメンテナンスを効率的に行うことができる。さらに、本実施の形態においては、バキュームユニット44に隣接させてワイプユニット41が配設されるので、バキュームユニット44による吸引だけが行われ、ワイプユニット41によるワイプが行われない場合でも、直ちにスピットを行うことができる。したがって、キャリッジ17の移動量を少なくすることができ、記録ヘッドHdiのメンテナンスを一層効率的に行うことができる。
本実施の形態においては、記録ヘッドHdiによる記録が所定の回数行われるごとに、バキュームユニット44による吸引及びワイプユニット41によるワイプが行われるようになっているが、記録ヘッドHdiによる記録が行われるごとに、吸引だけを行ったり、吸引及びワイプを行ったりすることができる。その場合、例えば、吸引だけを所定の回数行った後、吸引及びワイプを所定の回数行うことができる。ワイプの回数を少なくすることによって、ノズル面Saが損傷するのを抑制することができる。
ところで、本実施の形態においては、吸引装置61と吸引ポンプPsとがパイプp1によって接続されているので、吸引装置61から排出されたインク及び空気が吸引ポンプPsに送られることになる。その場合、インクの量が多いと、吸引ポンプPsを円滑に駆動することができず、ノズル面Saに付着したインクを円滑に吸引することができない。
そこで、吸引装置61から排出されたインク及び空気を分離させることができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるバキュームユニットの概念図、図9は本発明の第2の実施の形態におけるバキュームユニットの要部を示す図である。
この場合、吸引装置61は、箱状の形状を有するケースCe、及び該ケースCe内を貫通するように形成された吸引流路64を備える。また、前記ケースCeの上端には、記録ヘッドHdiのノズル面Saと対向させて、吸引面としての偏平なバキューム面Sbが形成され、前記ケースCeの下端には、駆動部としての、かつ、負圧発生装置としての吸引ポンプPsと対向させて排出面Scが形成される。
そして、前記バキューム面Sbに吸引開口としてのバキュームスリット63が形成され、前記排出面Scに、円形の形状を有する排出口h1が形成される。
前記吸引流路64は、前記バキュームスリット63を上端に備えた第1の流路部f1、前記排出口h1を下端に備えた第2の流路部f2、及び第1、第2の流路部f1、f2間に形成された圧力調整室Rmを備える。
本実施の形態において、運動方向変換機構は、昇降ベース50(図1)の下面に対して鉛直方向に延在させて配設された第1のボールねじ軸75、及び昇降ベース50の下面に対して平行に延在させて配設された第2のボールねじ軸76から成り、第1、第2のボールねじ軸75、76の各ねじが互いに螺合させられる。そして、昇降ベース50に取り付けられたボールナットと第1のボールねじ軸75とが螺合させられ、昇降用の駆動部としての昇降モータ70と第2のボールねじ軸76とが連結される。したがって、昇降モータ70を正方向に駆動し、第2のボールねじ軸76を回転させると、第1のボールねじ軸75が回転させられ、昇降ベース50が上方に移動させられ、前記昇降モータ70を逆方向に駆動し、第2のボールねじ軸76を回転させると、第1のボールねじ軸75が回転させられ、昇降ベース50が下方に移動させられる。
前記吸引ポンプPsは、吸引流路64を介して記録ヘッドHdiの周辺の空気、及びノズル面Saに付着したインクを吸引し、吐出口h2から排出する。
前記吸引装置61の排出口h1と吸引ポンプPsとの間のインク及び空気の経路には、吸引装置61によって吸引されたインクと空気とを分離させる分離装置85が配設されるとともに、該分離装置85より吸引ポンプPs側に弁装置86が配設され、吸引装置61と分離装置85とがパイプp2によって、分離装置85と弁装置86とがパイプp3によって、弁装置86と吸引ポンプPsとがパイプp4によって接続される。
前記分離装置85内は、分離壁87及びフィルタ88によって、吸入側室AR1と排気側室AR2とに区画される。吸引装置61から排出され、吸入側室AR1に送られたインク及び空気は、フィルタ88によってそれぞれ分離させられ、空気だけが排気側室AR2に送られる。
そして、吸入側室AR1に残留したインクは、パイプp5を介して廃液回収部としての廃液ボトル89に送られ、回収される。
前記弁装置86は、昇降モータ70が駆動され、吸引装置61が上方に移動させられて吸引位置に置かれると、吸引装置61側のパイプp3と吸引ポンプPs側のパイプp4とを接続し、吸引装置61が下方に移動させられて退避位置に置かれると、前記パイプp3とパイプp4とを分離させる。
そのために、吸引ポンプPs及びパイプp4は、第3のメンテナンス装置としてのバキュームユニット44の外装体としてのバキュームハウジング46(図1)に固定され、分離装置85、弁装置86及びパイプp2、p3は吸引装置61と共に上下方向に移動させられ、吸引装置61が吸引位置に置かれると、図9の破線で示されるように、弁装置86とパイプp4とが接続され、吸引装置61が退避位置に置かれると、図9の実線で示されるように、弁装置86とパイプp4とが分離させられる。
したがって、吸引装置61が吸引位置に置かれると、吸引ポンプPsによって、ノズル面Saに付着したインク及び記録ヘッドHdiの周辺の空気がバキュームスリット63を介して吸引され、分離装置85においてインクと空気とが分離させられ、インクは廃液ボトル89に送られ、空気は吐出口h2から吐出される。また、吸引装置61が退避位置に置かれると、吸引ポンプPsが駆動されていても、ノズル面Saに付着したインク及び記録ヘッドHdiの周辺の空気は吸引されず、パイプp4の開口h3から吸引された空気が吐出口h2から吐出される。
前記各実施の形態においては、インクジェットプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。