JP2019163358A - ポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる積層体及び二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
耐ブロッキング性は、フィルム成形時や二次加工時等において必須の性能であり、これらの性能向上のため、通常アンチブロッキング剤が好適な配合剤として用いられているが、このアンチブロッキング剤の分散性が、白斑に大きく影響している。アンチブロッキング剤の分散性が悪いと、白斑による外観不良が発生し、商品としての価値が低下することから、白斑が少ないものが必須となっている。アンチブロッキング剤としては、二酸化ケイ素、例えば、合成シリカ等が、比較的柔らかく、フィルム同士のこすれによってもフィルム表面が傷付き難いことから、よく用いられている。
上記特許文献1には、特定性状のポリプロピレン樹脂粒子に、特定性状の合成シリカを含有するポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。しかしながら、細孔容積が0.7ml/g以下で比較的硬い合成シリカを使用しており、これを結晶性の高いプロピレン系重合体に配合し、表層に用いて二軸延伸フィルムとした場合には、延伸工程で発生するプロピレン系重合体とアンチブロッキング剤との界面剥離により、アンチブロッキング剤を支持することが難しくなるため、ロール等との摩擦から脱落が発生し、成形機や製品汚染するため、満足いくものではなかった。
また、特許文献2には、特定性状のポリプロピレン樹脂粒子に、沈降法で合成された二酸化ケイ素粉末を配合し、溶融押出して得られた延伸フィルムが開示されている。しかしながら、沈降法以外では、分散性と脱落性のバランスが十分満足させるものを得られてはいなかった。
さらに、特許文献3には、平均粒径、比表面積、細孔容積及び吸油量のそれぞれの値が特定範囲の球状合成シリカとプロピレン系重合体とを含む樹脂組成物から得られるポリプロピレン系フィルムが記載されているが、透明性、耐ブロッキング性、分散性、外観、成形性などが不十分であった。
さらに、特許文献4では、特定のプロピレン系樹脂組成物を配合することにより、アンチブロッキング剤の脱落防止が開示されている。
しかしながら、必ずしも特許文献4の範囲でなくとも、アンチブロッキング剤の脱落性は改善出来るものであり、本願とは異なる。
特許文献5では、有機微粒子と酸変性ポリオレフィン樹脂を配合し、透明性、耐ブロッキング性、外観、耐脱落性に優れた延伸ポリプロピレン系フィルムが開示されている。
該文献の様に酸変性ポリオレフィン樹脂を配合し、有機微粒子との親和性を向上させることで脱落性を改善することも有効であるが、必ずしも特許文献5の範囲でなくとも、アンチブロッキング剤の脱落性は改善出来るものであり、本願とは異なる。
特許文献6では、オレフィン重合体に対し特定の無機粒子アンチブロッキング剤を配合したマスターバッチの製造方法が開示されているが、本特許文献の実施例に具体的に記載のポレフィン重合体の範囲外において実施した場合、本特許文献で到底想定されていない効果が発現することを本願発明は見出したものであり、本願とは異なる。
そこで本発明の目的は、前記二軸延伸ポリプロピレンフィルムに要求される高度な性能に対応すべく、耐ブロッキング性やアンチブロッキング剤の分散性に優れ、白斑が少ない二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関し、さらに詳しくは、本願発明に使用するアンチブロッキング剤は分散性に優れることから、凝集や分散不良に起因して発生する白斑が極めて少なく、製袋時のヒートシール工程におけるシールバーへの融着がない二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂組成物、それからなる積層体及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関する。
さらに、上記特定のアンチブロッキング剤は分散性に優れるため、比較的粒子径が大きいポリプロピレン粒子と混合しても、白斑が極めて少ない。
一般的に、ポリプロピレン粒子に対しアンチブロッキング剤粒子を配合する場合、分散性を向上させるには、混合するポリプロピレン粒子径を出来うる限り小さくし、分級し難くすることが肝要である。
それが難しい場合においては、アンチブロッキング剤の細孔容積を小さくすることや、アンチブロッキング剤表面への親水化処理や疎水化処理、又は酸変性樹脂等を配合し、分散性を得る手法等が用いられる。しかしながら、本願発明に使用するアンチブロッキング剤は分散性に優れるため、ポリプロピレン粒子が比較的大きい場合であっても、良好な分散性を維持しながらアンチブロッキング剤の高濃度配合が可能であり、白斑も少ない。
また、耐熱性の観点では、印刷時にかかる熱や製袋時のヒートシールバーへの融着性の点でフィルム全体の耐熱性が高いことが必要である。
特に、ヒートシールバーへの融着については、ヒートシールバーへ触れる面の融点が高いことが好ましく、製袋工程においてヒートシールを施した場合、ヒートシールバーに触れる面に対して、ポリプロピレン系樹脂の融点がシールバーの設定温度より低いと、フィルムが溶融し貼り付くことで、製袋適性が著しく低下する。
そこで、本発明の範囲においてフィルムの樹脂組成を調整することで、低結晶成分量を極限まで抑えて低融点化を防ぎながら耐熱性を維持し、且つ、耐ブロッキング性と分散性に優れ、白斑やアンチブロッキング剤の脱落等による汚れを低減した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを完成するに至った。
これらの知見に基づき、本願発明のポリプロピレン系樹脂組成物及び、それからなる積層体及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムが提供され、本発明を完成するに至った。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜20g/10分であり、融点が120〜140℃であるプロピレン−エチレン−ランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体であるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、融点が150℃以上であるプロピレン系重合体(a)及びプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)が、融点が110〜140℃であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)及びアンチブロッキング剤を配合してなる組成物であり、アンチブロッキング剤が、レーザー回折法による平均粒径が1.0〜5.0μm、BET法による比表面積が1〜300m2/g及び細孔容積が0.7〜1.0ml/gの定形球状シリカ(c)であり、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるアンチブロッキング剤の含有量が、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、0.01〜1重量部であり、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)における樹脂成分の割合が、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が1〜15重量部であり、プロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)における樹脂成分の割合が、樹脂成分100重量部に対して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が50〜100重量部であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物(A)である。
プロピレン系重合体(a)は、融点が150℃以上である、プロピレン単独重合体又はプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体(以下、本明細書においては単に、「プロピレン−α−オレフィン共重合体」と称することがある。)である。プロピレン系重合体(a)は、融点が155℃以上であることが好ましく、157℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。特に好ましいプロピレン系重合体(a)は、融点が160℃以上であるプロピレン単独重合体である。プロピレン系重合体(a)の融点が150℃以上であると、耐熱性の点で好ましく、その結果、本発明において好適な用途に用いられるフィルムを製袋する際に、ヒートシールバーへの融着がなく製袋適性が大幅に向上する。
また一方、プロピレン系重合体(a)の融点の上限については、特に制限されないが、製造可能なものとして通常、170℃以下である。プロピレン系重合体(a)の融点は、主として、原料として用いられるプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの種類、共重合比率、MFR等により、適宜制御することができる。なお、本明細書でいう「融点」とは、JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)、すなわち示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度である。
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)は、融点が110〜140℃であるプロピレン−α−オレフィン共重合体である。融点が140℃以下であると、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)の結晶性が低下し、アンチブロッキング剤粒子周囲に存在する樹脂成分の結晶性も低下することから、ボイドが発生しにくくなりアンチブロッキング剤の脱落が抑制される。他方、融点が110℃以上であるとプロピレン−α−オレフィン共重合体の製造が容易となる。プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)の融点は、120〜140℃であることが好ましく、125〜140℃であることがさらに好ましい。
また、融解熱は、80kJ/kg以下であることが好ましく、より好ましくは70kJ/kg以下である。融解熱が80kJ/kg以下であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)は、前述のとおり、結晶性が低下することで良好な耐脱落性を維持することができる。ここで、融点及び融解熱量は、JIS K7122(1987)に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定する値である。
なお、MFRは、ISO 1133:1997に準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。単位はg/10分である。
プロピレン系重合体(a)及びプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)のMFRは、重合温度や重合圧力の条件を変えるか、又は、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法により、容易に調整される。
チーグラー・ナッタ系触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分に有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。
メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)であれば、メタロセン化合物を用いたカミンスキー型触媒を使用することができる。
さらに、本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)としては、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体であり、それらを任意の比率で混合した混合物であっても構わない。
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)における樹脂成分の割合は、アンチブロッキング剤の脱落性の観点から樹脂成分100重量部に対して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が50〜100重量部であり、好ましくは80〜100重量部、より好ましくは90〜100重量部であり、さらに好ましくは95〜100重量部、特に好ましくは100重量部である。ここで、50重量部以下の割合で用いることができるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)以外の樹脂成分としては、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)よりも高融点であるポリプロピレン系樹脂、すなわち融点が140℃を超えて150℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体及びプロピレン系重合体(a)から選ばれる少なくとも1種である。
本発明で用いられるアンチブロッキング剤は、レーザー回折法による平均粒径が1.0〜5.0μm、BET法による比表面積が1〜300m2/g及び細孔容積が0.7〜1.0ml/gの定形球状シリカ(c)である。
本発明で用いられる定形球状シリカ(c)は、定形球状の二酸化ケイ素である。定形球状であると、不定形のものに比べ細孔容積が小さく、比表面積も小さくなることから、分散性に優れ、2次凝集が抑制される。その結果、均一な粗さを持つ表面状態を形成するために、耐ブロッキング性の向上、及び凝集による白斑の発生を抑制することができる。
本発明で用いられる定形球状シリカ(c)は、平均粒径が1.0〜5.0μmであり、好ましくは1.0〜4.0μm、より好ましくは1.5〜3.5μmである。1.0μm以上であるとブロッキング防止効果が優れ、5.0μm以下であると透明性が優れる。
尚、平均粒径はレーザー回折法(ISO 13320/JIS Z 8825−1に準拠)で測定した値である。
また、定形球状シリカ(c)は、BET法による比表面積が1〜300m2/g、好ましくは10〜250m2/gである。
また、本発明で用いられる定形球状シリカ(c)は、細孔容積が0.7ml/g〜1.0ml/gであり、好ましくは0.7〜0.9ml/gである。
さらに、定形球状シリカ(c)の比表面積が300m2/g以下であると、シリカが硬く、崩壊しにくい構造となることで2次凝集しにくくなる。その結果として白斑数が減少し、外観が向上する。
同様に、細孔容積が1.0ml/g以下であると、シリカが硬く崩壊しにくくなるため、パウダー状のプロピレン系重合体(a)との混合時に、凝集しにくく、白斑が減少する。さらに、細孔容積が1.0ml/g以下で、且つ、0.7ml/g以上の範囲内であると、シリカ粒子崩壊による2次凝集が低減されることから、白斑数が増えにくく、外観の点で好ましい。ここで、細孔容積の測定方法は、水銀圧入法又はN2吸着法によるものである。
また、表面処理剤で表面処理された定形球状シリカ(c)を用いることによって、定形球状シリカ(c)のポリプロピレン系樹脂中への分散性を改良することができ、透明性及び耐ブロッキング性が良好な二軸延伸フィルムを得ることができる。
(1−1)シリコーンオイル又は変性シリコーンオイルの溶液(トルエン、キシレン、石油エーテル、イソプロピルアルコール、揮発性シリコーンオイル等に溶解)を攪拌しながら定形球状シリカを加えて表面処理剤を含浸した後、溶媒を除去し、加熱焼付処理する。
(1−2)定形球状シリカをミキサーやブレンダーを用いて、攪拌しながらシリコーンオイル又は変性シリコーンオイルやそれらの溶液をスプレーし、加熱焼付処理する。
(2−1)シランカップリング剤の水、有機溶媒等の溶液を調製し、この溶液を攪拌しながら定形球状シリカを加えて表面処理剤を含浸した後、ろ過、圧搾、遠心分離等により溶媒を除去し、乾燥する。
(2−2)定形球状シリカをミキサーやブレンダーを用いて、攪拌しながらシランカップリング剤やその水、有機溶媒等の溶液をスプレーし、乾燥する。
その他、脂肪酸金属塩やワックス等をシリカ表面にコーティングする方法もある。
シリコーンオイル及び/又は変性シリコーンオイルを使用する場合の加熱焼付処理は、ジメチルシリコーンオイルの場合で通常、200〜350℃の温度で5〜30分程度、メチルハイドロジェンシリコーンオイルの場合で通常、120〜150℃の温度で1〜2時間程度の条件で行うことができる。
本発明で用いられるアンチブロッキング剤は、該当する製品を選択して使用することができる。定形球状シリカ(c)に該当する製品は、例えば水澤化学工業(株)から入手出来、具体的な市販の製品としては、商品名:ミズパールシリーズを挙げることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、通常、ポリプロピレン系樹脂に用いられる添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤、安定剤、無機充填剤等を挙げることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(A)の調製方法としては、プロピレン系重合体(a)のパウダー又はペレットに、直接、所定量のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)及び定形球状シリカ(c)を加える方法では、アンチブロッキング剤粒子周囲に存在する樹脂成分の結晶性を下げ、アンチブロッキング剤の脱落を抑えることは出来ない。
本発明の効果を発現させるべく、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を調製するには、後述のプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)、すなわちプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)のパウダー又はペレットに、定形球状シリカ(c)、さらに必要に応じて用いる添加剤の各所定量を配合してなる組成物(マスターバッチ)を予め調製しておき、該マスターバッチを、プロピレン系重合体(a)のパウダー又はペレットに加える方法が必要である。
混合には、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)、スクリューブレンダー、リボンブレンダーなどの公知の方法が適用できる。溶融混練は、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサーなどを用い、プロピレン系重合体(a)の融点以上の温度で溶融混練する方法であれば、特に限定されない。
溶融混練方法は、単軸押出機、二軸押出機のどちらでも容易に実施できるが、定形球状シリカ(c)の分散をより効果的に行うには、二軸押出機が好適である。
混合には、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)、スクリューブレンダー、リボンブレンダーなどの公知の方法が適用できる。溶融混練は、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサーなどを用い、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)の融点以上の温度で溶融混練する方法であれば、特に限定されない。
溶融混練方法は、単軸押出機、二軸押出機のどちらでも容易に実施できるが、定形球状シリカ(c)の分散をより効果的に行うには、二軸押出機が好適である。
混合には、タンブラーミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)、スクリューブレンダー、リボンブレンダーなどの公知の方法が適用できる。混合した後に行う溶融混練は、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサーなどを用い、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)の融点以上の温度で溶融混練する方法であれば、特に限定されない。
メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた溶融押出機における溶融混練方法は、単軸押出機、二軸押出機のどちらでも容易に実施できるが、定形球状シリカ(c)の分散をより効果的に行うには、二軸押出機が好適である。
本発明の積層体は、少なくとも層(1)と層(2)の異なる2層からなる積層体であって、前記層(1)が本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなり、前記層(2)が前記プロピレン系重合体(a)を含み、且つ、プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、前記定形球状シリカ(c)の含有量が0.01重量部未満、好ましくは0重量部のものである。
層(1)は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる層である。後述するように、製膜して得られた本発明の積層体から得られる二軸延伸ポリプロピレン系フィルムは、食品包装フィルムとして有用であるが、この際、層(1)は、非印刷面として用いられることが好ましい。層(1)に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、実施例において示すような、耐ブロッキング性、分散性に優れ、白斑及び脱落性に対しても、良好なフィルムを得ることができる。
層(2)は、前記のプロピレン系重合体(a)を含む層である。製膜して得られた本発明の積層体から得られる二軸延伸ポリプロピレン系フィルムを食品包装フィルムとするときには、少なくとも3層からなる積層体とすることが好ましく、この場合、前記層(2)は、コア層となる。以下、「コア層」という表現を用いる場合には、少なくとも3層からなる積層体を想定した説明である。
コア層には、通常、アンチブロッキング剤を配合しないか、使用したとしても少量とすることが好ましく、本発明の積層体では、層(2)において、プロピレン系重合体(a)100重量部に対し、前記アンチブロッキング剤の含有量が0.01重量部未満とする。なお、層(2)に用いる樹脂組成物において、前記アンチブロッキング剤の含有量の下限は0である。
層(2)は、プロピレン系重合体(a)を含む層であれば、特に制限されないが、層(1)と積層した場合の密着性が良好であればよいため、プロピレン系重合体(a)は、層(2)に含まれる成分全体を100重量%として、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。本発明の積層体においては、層(1)と層(2)とで同種のプロピレン系重合体(a)を使用しても、異なったものを使用してもよい。ただし、層(1)と層(2)とのそれぞれにおいて使用されるプロピレン系重合体(a)の融点、MFR、結晶化度などの物性が近いもの同士を組み合わせて使用することが、積層体としたときの層間の密着性の観点から好ましい。
層(2)において、帯電防止剤は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上で8重量部以下である。0.1重量部以上であることにより、層(2)における帯電防止効果が良好となり、上限は、層(1)と層(2)の密着性の観点から、通常、10重量部である。
本発明の積層体には、層(1)と層(2)以外に、ラミネート層、アンカーコート層、シーラント層、印刷層などの他の層を有していてもよい。特に、本発明の積層体を食品包装フィルムなどに用いる場合には、層(2)を挟んで層(1)と逆側において、印刷層を積層することが、食品包装フィルムなどに用いるためには好ましい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前述した、製膜して得られた本発明の積層体からなるものである。従って、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、2層以上からなる多層フィルムである。前述の本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる層である層(1)を非印刷面とし、非印刷面と接する層は、層(2)のプロピレン系重合体(a)を含む層、具体的には前述のコア層であることが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、同時又は逐次二軸延伸法やインフレーション法により製造することができる。中でも、以下に示す逐次二軸延伸法が好ましい。
前記した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、Tダイで溶融成形を行い、原反シートを作製し、その後、ロール周速差を利用して縦延伸を行う。具体的には、通常90〜150℃、好ましくは100〜140℃の温度で、回転数の異なる二本のロール間に原反シートを通過させ、ロールの回転方向(縦方向)に通常3〜7倍、好ましくは4〜6倍延伸する。次いで、縦方向延伸フィルムをテンターオーブンの中で通常6〜12倍、好ましくは7〜10倍に延伸する。
本発明の二軸延伸フィルムは、食品包装、繊維包装、雑貨包装等の包装用途に広く用いられる。用途は表面に印刷されるような食品包装フィルムの印刷を施さない反対側の面に使用することが好ましい。食品包装フィルムの印刷を施さない反対側の面の場合、生産時に生じる脱落性、及び二次加工工程や最終製品で生じるブロッキング性、透明性や外観等、製品価値を付与することが求められ、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、これらの特性に優れるため、好適に使用することができる。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを食品包装フィルムとして用いる場合には、前述した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる層(1)を、印刷を施さない反対側(非印刷面)の層として用いることが製品価値を向上させ、高品質維持等の性能を付与することが可能であるために好ましい。
実施例、比較例の物性の測定は、下記の方法で行なった。
1.MFR:
タカラサーミスタ社製メルトインデクサ L244を用い、ISO 1133:1997に準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。単位はg/10分である。
2.融点:
JIS K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)で測定した。単位は℃である。
具体的には、ティー・エイ・インスツルメント社製商品名Q2000型示差熱走査熱量計(DSC)を用い、試料5.0mgを採り、一旦200℃まで温度を上昇させて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際の、吸熱ピークトップ温度を融点とした。尚、複数のピークが観察される場合は、最も高温のピーク温度を融点とした。
3.GPC(Q値)
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比[Mw/Mn(以下Q値という。)]が2.5〜5.5であることが好ましい。
Q値は、分子量分布の広がりを表す指標であり、この値が大きいほど、分子量分布が広いことを意味する。したがって、成形性の観点からQ値は、好ましくは2.5以上、より好ましくは2.6以上、さらに好ましくは2.7以上である。一方、低分子量成分の量に起因するクリーン性の観点から、Q値は、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.2以下である。
Q値は、触媒の活性点の均一性が影響する物性値であり、単一のメタロセン錯体を含む触媒は、比較的活性点が均一であることから、単一のメタロセン錯体を含む触媒を使って得られるプロピレン系重合体は、Q値が2〜2.5程度であることが多い。
GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
4.コモノマー組成
13C−NMR法によりコモノマー含有量を測定した。すなわち、日本電子(株)製GSX−400 FT−NMRを用いて測定温度130℃、積算回数6000回で測定を行った。得られたピークはJ.Appl.Polym.Sci.80,2001,1880−1890.に従いコモノマー(エチレン、1−ブテン)含有量を計算した。
1.平均粒径;レーザー回折粒度分布測定装置を用いて測定した。
2.BET比表面積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した。
3.細孔容積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した。
4.吸油量;JIS K5101に準じて測定した。
1.シールバーへの融着評価
シールバーへの融着評価については、下記である。
・装置:テスター産業社製「TP−701−B HEAT SEAL TESTER」
・シール温度:155℃
・シール圧力:2kg/cm2(0.20MPa)
・シール時間:1sec
・シールバー:1cm×20cm
実施例、比較例に記載のフィルムを2枚重ねてシールバーへ挿入し、前述の条件でシールをした際の、シールバーへ融着するか否かにつき評価し、○以上を良好とした。
◎: シールバーへの融着が全く見られない。
○: シールバーへの融着がほとんど見られない
×: シールバーへ融着する。
2.へイズ:
日本電色社製濁度計(NDH2000)を用い、ASTM D−1003に準拠して測定した。ヘイズの値が小さいほど透明性に優れるものと評価した。
ASTM D−1893に記載の方法に準拠して測定した。フィルムを30cm(幅)×20cm(長)のサイズに調整し、これらのフィルムのコロナ処理面、非処理面で重ね、15kg/cm2(1.47MPa)の荷重下で40℃のギアオーブン(タバイエスペック社製/タバイギアオーブン:GPH−100)内で7日間放置したのち、2cm(幅)×15cm(長)、重なり面積10cm2にカットした試験片を、引張試験機(東洋精機製作所社製/C型ショッパー抗張力試験機)を用いて、引張り速度500mm/分の剥離強度を測定した。剥離強度の値が小さいほど、耐ブロッキング性に優れるものと評価した。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムのサンプルに、コロナ放電処理を両面に施し、得られたフィルムを20cm(幅)×20cm(長)のサイズに調整し、20枚重ねた後ガラス板で挟み、50℃雰囲気に調整したギアオーブン(タバイエスペック社製/タバイギアオーブン:GPH−100)内に50kgの荷重を掛けた状態で5日間静置した。
得られたフィルムの両端を持ち、手で3回ほぐした時のフィルム剥離状態を官能評価にて、次の5段階で耐ブロッキング性を評価し、○以上を良好とした。
耐ブロッキング性良好:◎→○→△→×→××:耐ブロッキング性不良
◎ :手でほぐさなくてもすでにフィルム同士が剥離状態にある。
○ :手でほぐした後、フィルムが剥離状態になる。
△ :手でほぐした後、フィルムの50%以上が剥離状態である。
× :手でほぐした後、フィルムの50%以上が板状に密着状態である。
××:手でほぐした後、フィルムは板状に密着しており、剥離状態の部分なし。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの巻き取り行程において、回転しない様に固定されたガイドロールに黒色台紙を貼り付けたのち、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを台紙表面に滑らせる形で5分間保持した。その後、黒色台紙に付着したアンチブロッキング剤の白色粉部の白色加減を目視にて、5段階で脱落性を評価し、○以上を良好とした。
脱落性良好:◎→○→△→×→××:脱落性不良
◎ :ほとんど白色部なし。
○ :一部白色部有り。
△ :全体に薄く白色部有り。
× :全体にはっきり白色部有り。
××:全体に濃く白色部有り。
フィルム表面を東京精密社製表面粗さ計(SURFCOM1500DX)にて測定した。本発明では、JIS B 0651(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」に準拠して測定した。測定器の測定条件は、触針先端曲率半径:5μm、カットオフ波長:0.05mm、カットオフ種別:2CR(位相補償)、測定速度:0.3mm、測定方向:フィルムのMD方向、測定範囲:2mm2である。測定方向であるMD方向とは、押出成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向と平行な方向をいう。
尚、十点平均粗さ値は、JIS B 0601(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」で定義される。十点平均粗さ値が1.0〜2.3の範囲であると、脱落性、耐ブロッキング性のバランスが良好であると評価した。
十点平均粗さ値と同様に測定を行なった。最大高さは、JIS B0601(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」で定義される。値が小さいほど、耐傷付き性、脱落性が良好と評価した。
フィルム表面を東京精密社製表面粗さ計(SURFCOM1500DX)にて測定した。本発明では、JIS B 0651(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」に準拠して測定した。測定器の測定条件は、触針先端曲率半径:5μm、カットオフ波長:0.05mm、カットオフ種別:2CR(位相補償)、測定速度:0.3mm、測定方向:フィルムのMD方向、測定範囲:2mm2である。測定方向であるMD方向とは、押出成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向と平行な方向をいう。
尚、中心面平均値は、JIS B 0601(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」で定義される。中心面平均値が0.01〜0.03の範囲であると、脱落性、耐ブロッキング性のバランスが良好であると評価した。
9.表面突起:
十点平均粗さ値と同様の条件でフィルム表面を測定し、0.1μm以上突起について2mm2当たりの個数を測定した。表面突起0.1μm以上の値が200個以上であった場合に、耐ブロッキング性が良好と評価した。
10枚のフィルムを目視評価した。フィルムにおいて任意に30cm×21cmの枠を作り、枠内の白斑数をカウントした。白斑数が少ないほど、外観に優れるものと評価した。
[1] ポリプロピレン系樹脂
表1に記載の各種ポリプロピレン系樹脂を使用した。
[2] アンチブロッキング剤
定形球状シリカ(c)として、下記のものを使用し、その特性を表2〜3に示す。
1.水澤化学工業(株)製、(c)−1(平均粒径 3.0μm、BET比表面積 146m2/g、細孔容積 0.7ml/g、吸油量 131ml/100g)
2.水澤化学工業(株)製、(c)−2(平均粒径 3.0μm、BET比表面積 150m2/g、細孔容積 0.8ml/g、吸油量 152ml/100g)
3.水澤化学工業(株)製、(c)−3(平均粒径 3.0μm、BET比表面積 154m2/g、細孔容積 0.9ml/g、吸油量 196ml/100g)
不定形シリカ(d)として、下記のものを使用し、その特性を表3に示す。
1.富士シリシア化学株式会社製、「サイリシア550」(平均粒子径 3.7μm、BET比表面積 500m2/g、かさ密度 0.31g/cm3、細孔容積 0.8ml/g、吸油量 140ml/100g)
ポリプロピレン系樹脂組成物(A)を得る方法として、まずプロピレン系重合体(a)については、チーグラー触媒を使用して得られた、表1に記載のプロピレン系重合体(a)すなわちプロピレン単独重合体のパウダー粒子100重量部に対して、酸化防止剤としてBASF社製イルガノックス(登録商標:Irganox)1010とBASF社製イルガフォス(登録商標Irgafox)168をそれぞれ0.05重量部、中和剤としてカルシウムステアレート0.05重量部を配合しヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、30mmφの2軸押出機(池貝社製PCM30)を用いて樹脂温度230℃で溶融押出して造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物(a)を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物(a)中のプロピレン系重合体(a)は、結晶化度を示すアイソタクチックインデックス(II)が98%のポリプロピレン(PP)の単独重合体であり、MFR(ISO 1133:1997に準拠したMFR(測定温度230℃、2.16kg荷重(21.18N)))が3g/10分、融点が165℃であった。
次に、プロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)については、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1すなわちプロピレン―エチレン―1−ブテンランダム共重合体のパウダー粒子100重量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製イルガノックス(登録商標:Irganox)1010とBASF社製イルガフォス(登録商標Irgafox)168をそれぞれ0.05重量部、中和剤としてカルシウムステアレート0.05重量部、二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−1を1.8重量部配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合した後、30mmφの2軸押出機(池貝社製PCM30)を用いて樹脂温度230℃で溶融押出して造粒した、ペレットであるプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−1を得た。
その後、ポリプロピレン系樹脂組成物(a)中のプロピレン系重合体(a)100重量部に対し、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1が10重量部となる割合になるようにプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−1を配合し、オートブレンダー(商品名、(株)タマキ製自動重量計量着色混合機)で混合して、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)−1を得た。
[実施例2]
二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−2を用い、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1すなわちプロピレン―エチレン―1−ブテンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−2とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−2を得た。
[実施例3]
二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を用い、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1すなわちプロピレン―エチレン―1−ブテンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−3とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−3を得た。
[実施例4]
二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を用い、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−2すなわちプロピレン―エチレン―1−ブテンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−4とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−4を得た。
[実施例5]
二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を用い、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−3すなわちプロピレン―エチレンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−5とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−5を得た。
[実施例6]
二酸化ケイ素として表2に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を用い、表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−4すなわちプロピレン―エチレンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−6とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−6を得た。
二酸化ケイ素として表3に示した平均粒径3.7μmの不定形シリカを、プロピレン系重合体(a)のパウダー粒子100重量部に対して1.8重量部配合したアンチブロッキング剤マスターバッチ(以下、MBと略称。)MB(a)−1を作成し、その後ポリプロピレン系樹脂組成物(a)中のプロピレン系重合体(a)100重量部に対し、MB(a)−1中のプロピレン系重合体(a)が10重量部となる割合になるようにMB(a)−1を配合した以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−7を得た。
[比較例2]
二酸化ケイ素として表3に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を、プロピレン系重合体(a)のパウダー粒子100重量部に対して1.8重量部配合したMB(a)−2を作成し、その後ポリプロピレン系樹脂組成物(a)中のプロピレン系重合体(a)100重量部に対し、MB(a)−2中のプロピレン系重合体(a)が10重量部となる割合になるようにMB(a)−2を配合した以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−8を得た。
[比較例3]
ポリプロピレン系樹脂組成物(a)の替わりとして融点が126℃である表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1すなわちプロピレン―エチレン―1−ブテンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたポリプロピレン系樹脂組成物(b)−1と、実施例3の方法と同様にして得たプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)−3とを配合した以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−9を得た。
[比較例4]
二酸化ケイ素として表3に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を用い、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1の替わりとして融点が146℃である表1に記載のプロピレン−α−オレフィン共重合体(b’)すなわちプロピレン―エチレンランダム共重合体のパウダー粒子を用いたMB(B)−9とした以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−10を得た。
[比較例5]
予め調製したプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)をプロピレン系重合体(a)に配合する替わりに、プロピレン系重合体(a)のパウダー粒子100重量部に対して、二酸化ケイ素として表3に示した平均粒径3.0μmの定形球状シリカ(c)−3を0.18重量部、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1のパウダー粒子を10重量部、酸化防止剤としてBASF社製イルガノックス(登録商標:Irganox)1010とBASF社製イルガフォス(登録商標Irgafox)168をそれぞれ0.05重量部、及び中和剤としてカルシウムステアレートを0.05重量部、直接配合した以外は、実施例1の方法と同様にポリプロピレン系樹脂組成物(A)−11を得た。
該シートを、ロール温度120℃に調整した縦延伸機を用いて縦方向5倍、炉内温度160℃に調整した横延伸機を用いて横方向10倍に延伸し、厚み20μm(表面層は1.5μm)の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。この時、片面の濡れ試薬による濡れ指数が40dyne/cmになるように、コロナ放電処理を施した。
得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの物性を表2に示した。
これに対し、比較例1〜5のフィルムは、各種物性バランスに優れるフィルムが得られなかった。
すなわち、比較例1は、本願発明の範囲を外れたアンチブロッキング剤であり、分散性が悪かった。
比較例2のアンチブロッキング剤は、実施例3のものと同様であるが、プロピレン系重合体(a)に対し、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)を配合していないことから、脱落性が悪化している。
比較例3は、定形球状のアンチブロッキング剤を用い、プロピレン系重合体(a)を使用せず、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)同士で配合したものであるが、脱落性や分散性は良好であるものの、ベースとなるポリプロピレンの融点が低く、耐熱性が低下していることから、シールバーへの融着性が悪化している。
比較例4は、定形球状のアンチブロッキング剤を用い、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)の融点が請求項範囲より高いため、アンチブロッキング剤周囲に存在する樹脂成分の結晶性を低く出来ていないことから、脱落性が悪化している。
比較例5は、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、直接定形球状シリカ(c)を0.18重量部と、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)−1を10重量部配合したものであるが、事前にプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)を用いてマスターバッチ化し、配合した方法ではないため、アンチブロッキング剤周囲に存在する樹脂成分の結晶性を低く出来ていないことから、脱落性が悪化している。
Claims (5)
- 融点が150℃以上であるプロピレン系重合体(a)及びプロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)が、融点が110〜140℃であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(b)及びアンチブロッキング剤を配合してなる組成物であり、アンチブロッキング剤が、レーザー回折法による平均粒径が1.0〜5.0μm、BET法による比表面積が1〜300m2/g及び細孔容積が0.7〜1.0ml/gの定形球状シリカ(c)であり、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)におけるアンチブロッキング剤の含有量が、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、0.01〜1重量部であり、ポリプロピレン系樹脂組成物(A)における樹脂成分の割合が、プロピレン系重合体(a)100重量部に対して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が1〜15重量部であり、プロピレン−α−オレフィン樹脂組成物(B)における樹脂成分の割合が、樹脂成分100重量部に対して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が50〜100重量部であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物(A)。
- 前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(b)が、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜20g/10分であり、融点が120〜140℃であるプロピレン−エチレン−ランダム共重合体又はプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 少なくとも層(1)と層(2)の異なる2層からなる積層体であって、前記層(1)が請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなり、前記層(2)が前記プロピレン系重合体(a)を含み、且つ、前記定形球状シリカ(c)の含有量がプロピレン系重合体(a)100重量部に対して、0.01重量部未満である積層体。
- 請求項3に記載の積層体からなる二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 請求項4に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる食品包装フィルム。
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