JP2019161476A - 光信号送信器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光送信器は、その動作状態や環境温度の変化によって内部温度が不均一に分布し、刻々と変化し得る。装置外の環境や運用状態によっては外部からの振動も装置内の部品間の接続光ファイバや光学部品に加わる。光送信器における2つの信号光アーム間の相対位相にゆらぎを持っていると、光ファイバを伝送した後の偏波ダイバシティ構成において、2つの偏波が混在したPDM信号の位相感応増幅動作に直接悪影響を与える。【解決手段】本発明は、安定したPDM信号を出力する新規な光送信器の構成を提供する。新規な光送信器は、ループ型構成の位相共役光生成器の中に含まれる単一の二次非線形光学素子を使って位相共役光を生成する。2つ偏波成分の間で、励起光に対する主信号光およびその位相共役光の相対位相が安定し、位相状態が安定した偏波多重信号−位相共役光対を含むPDM信号を生成し送信できる。【選択図】図7

Description

本発明は、光通信システムや光計測システムで用いられる光送信器およびそれを用いた光伝送システムに関する。
従来の光伝送システムでは、光ファイバを伝搬して減衰した信号を再生するために、光信号を電気信号に変換し、ディジタル信号を識別後に光信号を再生する識別再生光中継器が用いられた。識別再生光中継器では、光−電気変換する電子部品の応答速度制限や、消費電力増大の問題があった。そこで、希土類元素を添加した光ファイバに励起光を入射して信号光を光のままで増幅するファイバレーザ増幅器や、半導体レーザ増幅器が登場した。これらレーザ増幅器は、劣化した信号光波形を整形する機能を有していなかった。逆に、不可避的かつランダムに発生する自然放出光が信号成分と全く無関係に混入され、増幅前後で信号光のS/Nが少なくとも3dB低下する。S/N低下は、ディジタル信号伝送時における伝送符号誤り率を上昇させ、伝送品質を低下させていた。
レーザ増幅器の限界を打開する手段として、位相感応光増幅器(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。PSAは、伝送ファイバの分散の影響による劣化した信号光波形や位相信号を整形する機能を有する。信号とは無関係の直交位相をもった自然放出光を抑圧でき、信号と同相の自然放出光も最小限で済む。このために原理的に増幅前後で信号光のS/Nを劣化させず同一に保つことができる。
図1は、従来技術のPSAの基本的な構成を示す図である。PSA100は、光パラメトリック増幅を用いた位相感応光増幅部101と励起光源102と励起光位相制御部103と、第1光分岐部104−1及び第2の光分岐部104−2とを備える。図1に示されるように、PSA100に入力された信号光110は、光分岐部104−1で2分岐されて、一方は位相感応光増幅部101に入射し、他方は励起光源102に入射する。励起光源102から出射した励起光111は、励起光位相制御部103を介して位相が調整され、位相感応光増幅部101に入射する。位相感応光増幅部101は、入力した信号光110および励起光111に基づいて出力信号光112を出力する。
位相感応光増幅部101は、信号光110の位相および励起光111の位相が一致すると信号光110を増幅し、両者の位相が90度ずれた直交位相関係になると信号光110を減衰する特性を有する。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光111―信号光110間の位相を一致させると、信号光110と直交位相の自然放出光が発生せず、また同相の成分に関しても信号光のもつ雑音以上に過剰な自然放出光を発生しない。このため、S/N比を劣化させずに信号光110を増幅できる。
信号光110および励起光111の位相同期を達成するために、励起光位相制御部103は、第1の光分岐部104−1で分岐された信号光110の位相と同期するように励起光111の位相を制御する。励起光位相制御部103は、第2の光分岐部104−2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号光112の増幅利得が最大となるように励起光111の位相を制御する。
上述のパラメトリック増幅を行う非線形光学媒質には、周期分極反転LiNbO(PPLN)導波路に代表される二次非線形光学材料および石英ガラスファイバに代表される三次非線形光学材料がある。
図2は、PPLN導波路を用いた従来技術のPSAの構成を示す図である(非特許文献1参照)。図2に示したPSA200は、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(EDFA)201と、第1の二次非線形光学素子202および第2の二次非線形光学素子204と、第1の光分岐部203−1および第2の光分岐部203−2と、位相変調器205と、光ファイバ伸長器206と、偏波保持ファイバ207と、光検出器208と、位相同期ループ(PLL)回路209と、を備える。第1の二次非線形光学素子202は、第1の空間光学系211と、第1のPPLN導波路212と、第2の空間光学系213と、第1のダイクロイックミラー214と、を備える。第2の二次非線形光学素子204も、同様の構成を持ち詳細な説明を省略する。
図2のPSA200に入射した信号光250は、光分岐部203−1によって分岐されて、一方は第2の二次非線形光学素子204に入射する。分岐光の他方は励起基本波光251として位相変調器205及び光ファイバ伸長器206を介して、位相制御されてEDFA201に入射する。EDFA201は、入射した励起基本波光251を十分に増幅し、第1の二次非線形光学素子202に入射する。第1の二次非線形光学素子202は、EDFA201により、微弱な励起基本波光251から非線形光学効果を得るのに十分なパワーを得ることができる。第1の二次非線形光学素子202では、入射した励起基本波光251から第2高調波(以下、SH光)252が発生する。発生したSH光252は、偏波保持ファイバ207を介して第2の二次非線形光学素子204に入射する。第2の二次非線形光学素子204では、入射した信号光250およびSH光252によって縮退パラメトリック増幅を行うことで、位相感応光増幅を行い、出力信号光253を出力する。
PSAにおいては、励起光と位相の合った信号光のみを増幅するために、上述のように信号光の位相と励起光の位相とが一致するか、または、πラジアンだけずれている必要がある。すなわち二次の非線形光学効果を用いる場合は、SH光に相当する波長である励起光の位相φ2ωsと、信号光の位相φωsとが以下の式(1)の関係を満たすことが必要となる。ここで、nは整数とする。
Δφ=1/2(φ2ωs−φωs)=nπ 式(1)
図3は、従来技術の二次非線形光学効果を利用したPSAにおける、入力信号光‐励起光間の位相差Δφと利得との関係を示す図である。横軸の位相差Δφが−π、0、またはπのときに、縦軸の利得(dB)が最大となっていることがわかる。
信号光250と励起基本波光251との間の位相同期のために、まず位相変調器205で微弱なパイロット信号により励起基本波光251に位相変調を施し、出力信号光253の一部を分岐して検出器208で検波する。このパイロット信号成分は、図3に示した位相差Δφが最小となって、位相同期が取れている状態で最小となる。したがって、パイロット信号が最小、つまり増幅出力信号が最大となるようにPLL回路209を用いて、光ファイバ伸長器206にフィードバックを行う。励起基本波光251の位相を光ファイバ伸長器206によって制御して、信号光250と励起基本波光251との間の位相同期を達成できる。
光通信の高速・大容量化の要請の中で、以下述べるように、対応する変調方式や多重化方式の点でPSAの適用範囲が広がっている。図3に示したように、PPLN導波路を用いた従来のPSAは、直交する位相成分を減衰させる特性を有しているため、通常の強度変調や二値の位相変調を用いる強度変調・直接検波(IMDD:Intensity Modulation-Direct Detection)、2値位相変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)、差動位相偏移変調(DPSK:Differential Phase Shift Keying)等の変調信号の増幅に適用できる。しかし、さらに多値の変調フォーマットであるQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8PSK等の変調信号の増幅はできなかった。
多値の変調フォーマットにおいて信号光からキャリア抽出するためには、変調信号の多値度が上がるほど、より多くの非線形過程を用いる必要がある。そのような場合、信号光からキャリア抽出によって生成した基本波光のS/Nを保つことが難しい。また、非線形過程を複数回用いたキャリア抽出方法の構成では、複数の信号を波長多重したWDM(Wavelength Division Multiplexing)信号を一括して増幅することができなかった。
そこで非特許文献2および非特許文献3は、信号光およびその位相共役光の対を用いた非縮退のパラメトリック増幅に基づく構成をとることで、QPSK等の変調信号を位相感応光増幅できる構成を開示している。非特許文献2は三次の非線形光学材料の石英ガラスファイバを用いた方法を、非特許文献3は二次の非線形光学材料のPPLNを用いた方法を開示している。
図4は、信号光として主信号光およびその位相共役光からなる対を用いた、従来技術の非縮退パラメトリック増幅によるPSA400の構成を示した図である。図4のPSA400は、光送信器401および位相感応増幅器420から構成されている。
光送信器401は、波長多重化した信号光405を発生するために、互いに異なる波長のCW光を出力する信号光源402(例えば16個のLD1〜16)と、各LDに対応する変調器403と、アレイ導波路グレーティング404(Array Waveguide Gratings:AWG)とを備えている。また、励起光の生成のために、局部発振光源(LO)407と、光分岐408と、EDFA409と、BPF410と、SH光発生(Second Harmonic Generation:SHG)用の二次非線形光学素子411と、差周波光発生(Difference Frequency Generation:DFG)用の二次非線形光学素子406とを備えている。
位相感応光増幅器420は、励起光の生成のために、位相変調器(PM)431と、EDFA432と、BPF433と、SHG用の二次非線形光学素子434とを備える。さらに光パラメトリック増幅および位相制御のために、固定遅延線424と、PZT圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器425と、光パラメトリック増幅(Optical Parametric Amplification:OPA)用の二次非線形光学素子426と、光分岐427と、BPF4283と、光検出器429と、PLL回路430とを備えている。
光送信器401は、複数の信号光源402(LD1〜LD16)の各々に変調器403でデータ信号を重畳した後に、AWG404を用いて波長多重を行う。信号光源402とは別の局部発振光源407から出力される基本波励起光440から、SHG用の二次非線形光学素子411によってSH光441を発生させる。その後、DFG用の二次非線形光学素子406を用いてSH励起光441と主信号光群405との差周波光を発生させる。ここで発生した差周波光は、主信号光405の位相共役光(アイドラ光)である。光送信器401からは、主信号光群421およびアイドラ光群423の対からなる信号光群442と、基本波励起光の一部443を出力している。尚、主信号光群421およびアイドラ光群423に対して、基本波励起光の周波数(波長)は点線422に示した位置にある。
光送信器401から出力された基本波励起光443は、位相感応増幅器420において、位相変調器431によって位相制御され、EDFA432に入射する。EDFA432は、位相変調器431から出力された基本波励起光を増幅する。バンドパスフィルタ433は、EDFA432によって発生したノイズ光を除去し、基本波励起光のみを透過させる。SHG用の二次非線形光学素子434は、バンドパスフィルタ433から出力された基本波励起光からSH光を発生させ、このSH光を励起光444として二次非線形光学素子426に入射させる。
固定遅延線424は、信号光群442と励起光443との遅延時間調整のため、光送信器401から出力された信号光群442を所定の時間だけ遅延させる。固定遅延線424を通過した信号光群は、光ファイバ伸縮器425によって位相制御されて、OPA用の二次非線形光学素子426に入射する。二次非線形光学素子426は、パラメトリック増幅効果により、信号光群およびアイドラ光群を増幅する。
光分岐427は、増幅された信号光群の一部を分岐させる。バンドパスフィルタ428は、信号光群の中から任意の1波長のみを通過させて光検出器429に入射させる。光検出器429は、入射した光を電気信号に変換する。PLL回路430は、光検出器429で検出される電気信号が最大となるように光ファイバ伸縮器425にフィードバックを行う。光ファイバ伸縮器425は、PLL回路430の制御出力に応じて、信号光群442が伝搬する光ファイバを伸縮させる。信号光群442の位相を制御することで、主信号光群421およびアイドラ光群442と、励起光443との間の位相同期を達成できる。
近年のデジタルコヒーレント光通信システムにおいては、偏波多重分離(PDM: Polarization Division Multiplexing)技術による偏波多重信号も用いられる。PPLN導波路等の非線形光学媒質は一般に偏波依存性を持つため、従来技術のPSAでは偏波多重信号の増幅を行うことができなかった。これに対し、非特許文献4および非特許文献5は、次に図5で説明する2つの非線形光学媒質を用いた偏波ダイバシティ構成によって、偏波多重信号に対して位相感応光増幅する構成を開示している。
図5は、従来技術の偏波多重信号光を伝送する光伝送システムの概要を示す図である。光伝送システム500は、光送信器501と、光ファイバ伝送路503と、偏波ダイバシティ構成520を持つ光増幅装置からなる。偏波ダイバシティ構成520では、光ファイバ510を伝送された偏波多重信号は、偏波ビームスプリッタ(PBS)521で分離される。分離した2つの偏波成分に対してそれぞれ非線形光学素子からなる位相感応光増幅器522、523で光増幅を行った後、PBS524で再度合波する。後述するように、偏波多重信号光を伝送する光伝送システムの送信信号であるPDM信号は、直交する偏波間で独立に、別々の異なるデータによって変調される。また、送信器とPSAが近接していた図4の構成と異なり、図5の光伝送システムでは光送信器501および偏波ダイバシティ構成520が離れている。このため、励起光はPDM信号とともに伝送される。
T. Umeki, O. Tadanaga, A. Takada and M. Asobe, "Phase sensitive degenerate parametric amplification using directly-bonded PPLN ridge waveguides," Optics Express, 2011年, Vol.19, No.7, p.6326-6332 M. Asobe, T. Umeki, H. Takenouchi, and Y. Miyamoto,"In-line phase-sensitive amplifier for QPSK signal using multiple QPM LiNbO3 waveguide,"In Proceedings of the OptoElectronics and Communications Conference, OECC, 2013年, PDP paper PD2-3 T. Umeki, O. Tadanaga, M.Asobe, Y. Miyamoto and H. Takenouchi., "First demonstration of high-order QAM signal amplification in PPLN-based phase sensitive amplifier," Optics Express, 2014年2月, Vol.22, No.3, p.2473-2482 T.Umeki,et al.,"PDM Signal Amplification Using PPLN-BasedPolarization-Independent Phase-Sensitive Amplifier",JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,2015年,Vol.33,No. 7,pp.1326-1332 Masashi Abe, et al.,"PDM-QPSK WDM Signal Amplification Using PPLN-Based Polarization-Independent In-Line Phase-Sensitive Amplifier," Proceeding of European Conference on Optical Communication (ECOC) Dusseldorf 2016年, paper W.4.P1.SC2.11
しかしながら、従来技術の偏波多重信号光を伝送する光伝送システムでは、以下に述べるような光送信器における偏波状態の不安定性に起因する問題があった。主信号光およびその位相共役光からなる対を用い、非縮退のパラメトリック増幅によるPSAを利用するためは、異なる波長のすべての対について直交する偏波成分のそれぞれにおいて位相同期条件が満たされる必要がある。図5に示したような従来技術の光伝送システムの光送信器501における偏波多重信号光の生成方法では、偏波ダイバシティ構成520の位相感応光増幅器において増幅動作が不安定となる問題があった。
再び図5を参照して光送信器の構成および動作を概観する。光送信器501は、異なる主信号光−位相共役光の対を生成する2つの信号アーム(ルート)から構成される。光送信器501の信号光光源502からのCW光は、光変調器により2つの直交する偏波(TE偏光およびTM偏光)に対して異なるデータ信号で変調を加える。偏波多重信号光530は、PBS504を用いて2つの偏波成分に分離される。分離された一方の偏波(TE偏光)の偏波多重信号光531を偏波回転子508で90°回転させ、それぞれの信号アームでTM偏光の状態に揃える。その後、それぞれ非線形光学素子からなる位相感応光増幅器506、507で主信号光に対する位相共役光を生成する。TM偏光へ回転させ位相共役光を生成した偏波を偏波回転子509で元のTE偏光532に戻した上で、PBS505により合波して、偏波多重化された直交した信号-位相共役光対すなわちPDM信号533が出力される。
光送信器501からのPDM信号533は、伝送路である光ファイバ510中でその偏波が回転する。偏波回転を受けたPDM信号534が偏波ダイバシティ構成520に入力されると、初段のPBS521の2つの偏波軸に対して射影された光電界成分に分岐される。つまり、元の2つの直交する偏波成分がそれぞれ混ざった状態で非線形光学素子522、523に入射される。
図6は、従来技術のPDM光の光伝送システムにおける偏波の状態を概念的に説明する図である。図6の(a)は、光送信器501の出力のA点におけるPDM信号553の直交する2つの偏波を示している。横軸をs偏光(偏光)状態とすれば縦軸はp偏光(偏光)状態を示す。図6の(b)は、光ファイバ510を伝送後のB点でのPDM信号534の偏波状態を示し、光送信器501の出力点AのPDM信号533に対して、光ファイバの全体で累積的に生じる偏波回転が加えられている。図6の(c)は、初段のPBS521によって偏波分離された後のC1点およびC2点での信号光536、535の各偏波軸の電界成分を示している。B点でのPDM信号534の各偏波成分は、PBS521の2つの軸へ射影した成分が混ざった状態で分離される。
独立して位相感応光増幅を行う位相感応光増幅器522、523では、それぞれ、図2に示したような位相同期の構成により出力の一部をモニタし、その出力が最大となるように励起光および信号光群の間の相対位相を調整するフィードバックを掛ける。偏波ダイバシティ構成520では、図6の(c)のように2つの直交する偏波成分がそれぞれ混ざった状態で入射される。2つの直交する偏波成分に対して、各位相感応光増幅器で同時に位相感応光増幅条件が安定して満たされないと、光増幅後のPDM信号を安定化できない。
図6の(c)のように2つの偏波の成分が混ざっている状態自体は、偏波ダイバシティ構成520において問題ではない。しかしながら、B点で受信されるPDM信号534の偏波状態が揺らいでいると、位相感応光増器の出力のPDM信号537も不安定化する。ここで、光伝送路上で生じる偏波状態のゆらぎも対象としない。問題となるのは、光送信器501内でPDM信号を生成する際に生じる、2つの直交する偏波成分の位相の揺らぎである。
光送信器501は、通常、光源、光半導体素子、光学部品、およびこれらを相互に接続する偏波保持ファイバなどから構成される。さらに、これらの要素部品を制御するための制御回路、装置内外のインタフェース回路、電源などを含んだモジュール構成が採られる。このような装置内では、光送信器の動作状態や環境温度の変化によって、内部温度が不均一に分布し、その分布も刻々と変化し得る。また装置外の環境や運用状態によっては、外部からの振動が装置内の部品間の接続光ファイバや光学部品に加わることもある。図5で説明したように光送信器501内では、別々の差周波光発生器(DFG用二次非線形光学素子)506、507によって2つの信号アーム上で信号光群がそれぞれ生成され、PBS505により偏波多重されている。2つの信号アームは、それぞれ独立して温度変化や振動などにより動作状態に影響を受け得る。したがって、2つの信号アームによって信号光、位相共役光およびパイロット光の位相も異なる態様で変動し得る。さらに、2つの差周波光発生器506、507へ供給される励起光の位相も、異なる態様で変動し得る。偏波多重光を生成する2つのアーム間で位相条件が別個に変動することで、2つの偏波間の相対位相も、周期的にまたは不定期に、刻々と変動し揺らぎが生じる。このように、光送信器501における2つの信号光アーム間の相対位相にゆらぎを持っていれば、PDM信号533自体が不安定となる。光ファイバ510を伝送した後のPDM信号534は、偏波ダイバシティ構成において位相感応光増幅動作の安定性に直接影響を与えることになる。
図6の(c)を参照すれば、偏波ダイバシティ構成では、2つの偏波成分が混在した形態でPBSにより分離され、混在した2つの偏波成分がそれぞれの位相感応光増幅器に入力される。したがって、PDM信号が形成される光送信器において2つの偏波間で信号光群の相対位相が異なっていれば、1つの位相感応光増幅器内で図3および式(1)で示した位相感応光増幅のための位相条件を満たすことはできない。偏波多重された後では光ファイバによって受ける位相変化は、2つの偏波間で同一の変化を受けることから相対位相の変化は小さい。一方、光送信器501内において発生する2つの偏波間の相対位相の変動・ゆらぎはより直接的なものであって、光送信器501と偏波ダイバシティ構成520との間でリアルタイムに影響する。
このように光送信器から出力されるPDM信号の質の揺らぎが、偏波ダイバシティ構成520の位相感応光増器522、523からの出力を不安定化する問題が生じていた。図5に示したような従来技術の構成による光送信器501で、偏波多重された主信号―位相共役光の対からなるPDM信号を安定して生成するのは難しかった。したがって、偏波ダイバシティ構成を安定動作させる、位相状態が安定した偏波多重信号-位相共役光対を含む信号光を生成できる光送信器の構成が求められていた。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものでその目的とするところは、直交する偏波間における位相の変動を抑えたPDM信号を生成する光送信器を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、信号光およびその位相共役光を生成する光送信器であって、偏波多重変調された信号光を入力し、第1の偏波成分の信号光および前記第1の偏波成分に直交する第2の偏波成分の信号光を偏波分離して2つの出力ポートに出力する偏波分離器と、前記2つの出力ポートの一方から他方へ至る経路の中に、前記偏波分離器と、前記第1の偏波成分の前記信号光の偏波を90°回転させる偏波回転子と、偏波回転された前記信号光の位相共役光および前記第2の偏波成分の前記信号光の位相共役光を生成する第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子とを有する、ループ型の位相共役光生成器と、前記偏波回転された信号光の前記位相共役光を生成する第1の励起光を前記第1の光導波路の前記半端回転子のある側の一端へ、前記第2の偏波成分の前記位相共役光を生成する第2の励起光を前記第1の光導波路の他端へ供給する励起光生成器と、前記位相共役光を生成した後の前記第1の励起光および前記第2の励起光の合成光レベルに応じて、前記第1の励起光の経路または前記第2の励起光の経路の一方の光路長を変化させるよう構成された位相調整器とを備えたことを特徴とする光送信器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1の光送信器であって、前記励起光生成器は、基本波光から第二高調波光(SH光)を生成し、前記SH光を分岐して、前記第1の励起光である第1のSH励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、前記位相調整器は、前記第1のSH励起光の経路、または、前記第2のSH励起光の経路の一方の光路長を変化させることを特徴とする。この光送信器は、第1の実施形態の光送信器に対応する。
請求項3に記載の発明は、請求項1の光送信器であって、前記励起光生成器は、基本波光を分岐して、前記分岐した基本波光に基づいて、前記第1の励起光である第1の第二高調波(SH)励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、前記位相調整器は、前記分岐された基本波光のいずれかの経路の光路長を変化させることを特徴とする。この光送信器は、第2の実施形態の光送信器に対応する。
請求項4に記載の発明は、パイロット光を含む信号光およびその位相共役光を生成する光送信器であって、パイロット光および偏波多重変調された信号光を、第1の偏波成分の信号光および前記第1の偏波成分に直交する第2の偏波成分の信号光に偏波分離して2つの出力ポートに出力する偏波分離器と、前記2つの出力ポートの一方から他方へ至る経路の中に、前記偏波分離器と、前記第1の偏波成分の前記信号光の偏波を90°回転させる偏波回転子と、偏波回転された前記信号光の位相共役光および前記第2の偏波成分の前記信号光の位相共役光を生成し、偏波分離された前記パイロット光に対し正反対の2つの伝搬方向の各々で縮退パラメトリック増幅を行う第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子とを有する、ループ型の位相共役光生成器と、前記偏波回転された信号光の前記位相共役光を生成する第1の励起光を前記第1の光導波路の前記半端回転子のある側の一端へ、前記第2の偏波成分の前記位相共役光を生成する第2の励起光を前記第1の光導波路の他端へ供給する励起光生成器と、前記2つの伝搬方向の第1の方向で縮退パラメトリック増幅された前記パイロット光のレベルに応じて前記パイロット光の経路の光路長を変化させ、前記2つの伝搬方向の第2の方向で縮退パラメトリック増幅された前記パイロット光のレベルに応じて前記パイロット光の経路の光路長を変化させるよう構成された位相調整器とを備えたことを特徴とする光送信器である。この光送信器は、第3の実施形態の光送信器に対応する。
請求項5に記載の発明は、請求項4の光送信器であって、前記励起光生成器は、基本波光から第二高調波光(SH光)を生成し、前記SH光を分岐して、前記第1の励起光である第1のSH励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、前記パイロット光は、前記基本波光の一部に基づくことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2、3または5いずれかの光送信器であって、前記励起光生成器は、前記基本波光から前記SH光を生成する第2の光導波路を備えた1以上の第2の二次非線形光学素子を含み、前記第1のSH励起光および前記第2のSH励起光を生成することを特徴とする。
上述の光送信器では、好ましくは、連続波光(CW光)を出力する複数の光源と、前記複数の光源の各々からの前記CW光の両偏波に変調を施す外部変調器とを含み、偏波多重変調された信号光を生成する信号光発生器をさらに備えることができる。
上述の光送信器では、好ましくは、前記二次非線形光学素子に含まれる光導波路は直接接合リッジ導波路であって、前記直接接合リッジ導波路は、LiNbO、KNbO、LiTaO、LiNb(x)Ta(1−x)(0≦x≦1)、またはKTiOPOのいずれかの材料、または、これらの材料のいずれかにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えた材料から構成することができる。
以上説明したように本発明により、直交する偏波間における位相の変動を抑えたPDM信号を生成する光送信器を提供する。
図1は、従来技術のPSAの基本的な構成を示す図である。 図2は、PPLN導波路を用いた従来技術のPSAの構成を示す図である。 図3は、PSA入力信号光‐励起光間の位相差と利得の関係の図である。 図4は、信号光対を用いた従来技術の非縮退型PSA構成を示す図である。 図5は、従来技術の偏波多重信号の光伝送システムを示す図である。 図6は、PDM光伝送システムの各部の偏波状態を説明する図である。 図7は、第1の実施形態の光送信器の構成を示す図である。 図8は、第2の実施形態の光送信器の構成を示す図である。 図9は、第3の実施形態の光送信器の構成を示す図である。
本発明は、安定したPDM信号を出力する新規な光送信器の構成を提供する。新規な光送信器は、ループ型構成の位相共役光生成器の中に含まれる単一の二次非線形光学素子を使って位相共役光を生成する。2つ偏波成分の間で、基本波励起光に対する主信号光およびその位相共役光の相対位相が安定し、位相状態が安定した偏波多重信号−位相共役光対を含む信号光を生成できる。以下、図面を参照しながら本発明の各実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図7は、本発明の第1の実施形態の光送信器の構成を示す図である。本実施形態の光送信器では、主信号光とその位相共役光との対からなる偏波多重された信号光群を生成するための構成例を提示する。偏波多重された信号光群の直交する2つの偏波成分のいずれにおいても、安定に位相感応増幅を実現できる。
まず主な構成要素を列挙すれば、光送信器700は、主信号を750生成するために、複数の信号光源701(LD1〜16)と、各信号光源に対応する変調器702と、アレイ導波路グレーティング(AWG)703とを備える。これらの要素は、偏波多重変調された信号光を生成する信号光発生器を構成する。また主信号光およびその位相共役光の対から成るPDM出力755を生成するための主な構成として、DFG用の二次非線形光学素子706、サーキュレータ704、偏光ビームスプリッタ(PBS)705および偏波回転子707を備える。二次非線形光学素子706、PBS705、偏波回転子707の3つの要素はループを構成し、二次非線形光学素子706は2つの偏波成分に対してそれぞれ位相共役光を生成する。したがって二次非線形光学素子を含むこのループ型構成は、後述するように、位相共役光生成器として動作する。
基本波励起光を生成するために、局部発振光源(LO)708と、EDFA709と、BPF710と、SHG用の二次非線形光学素子711と、光分岐712と、アイソレータ713、714とを備える。これらの要素は、励起光生成器を構成する。また、励起光と信号光との間の位相同期のために、PZT圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器720、光分岐715、716、717、光検出器718および位相同期ループ(PLL)回路719を備えている。これらの要素によって形成される位相同期ループ回路は、第二高調波(SH)励起光の位相調整機構(位相調整器)を構成する。
LO708から出力された連続波光(CW光)は、基本波励起光として用いられる。EDFA709は、LO708からの基本波光760を増幅する。BPF710は、EDFA709によって発生したノイズ光を排除し、増幅された基本波光のみを透過させる。
SHG用の二次非線形光学素子711は、内部にPPLN導波路と、出力側のダイクロイックミラーとを含む。BPF710を透過した基本波光が二次非線形光学素子711に入射すると、PPLN導波路により基本波光の半分の波長のSH光を発生する。出力側のダイクロイックミラーによって、基本波光とSH光とが分離される。二次非線形光学素子711から分離されたSH光は、光分岐712によりさらに2分岐される。分岐されたSH光は、それぞれアイソレータ713、714および光分岐715、716を通過した後に、第1のSH光761および第2のSH光763として、DFG用の二次非線形光学素子706にそれぞれ入射する。
複数の信号光源701(例えば16個のLD)の各々は、LO708とは波長が異なる連続波光(CW光)を出力する。各信号光源に対応する外部変調器702を用いて信号光源の出力光に対してQPSK変調を施す。外部変調器702からの変調光は、AWG703により合波された後、TE/TEとして示したように偏波多重化された主信号光群750が出力される。2つの直交する偏波成分を含んだ主信号光群750は、サーキュレータ704を通過し、PBS705によってそれぞれの偏波成分に分離される。
本発明の光送信器700では、偏波多重化された信号光群をPBS705によって2つの偏波成分に分離した後、各偏波成分を単一のDFG用の二次非線形光学素子706の両側から入射する構成をとっている。すなわち、分離された2つの偏波成分に対するそれぞれの差周波光(位相共役光)発生の動作が、共通の単一の二次非線形光学素子706によって成される点で、従来技術の光送信器の構成と相違している。図5に示した従来技術の光送信器500では、二次非線形光学素子をそれぞれ含む2つの信号アーム上(ルート)で、別々に差周波光発生動作が行われていた。これに対し本発明の光送信器700では、PBS705で偏波を分離した後、共通の単一の二次非線形光学素子706を含むループ内で差周波光すなわち位相共役光を発生し、その後、発生した位相共役光とともに再び同じPBS705によって偏波合成される。
偏光ビームスプリッタ(PBS)705は、偏波分離器として機能する。通常は、1つの入力ポートと2つの出力ポートを持っており、入力ポートへの偏波多重光を、2つの異なる偏波成分に分離する。入力ポート―出力ポートを逆方向に動作させれば、偏波合成が可能となるので、偏波合成器としても動作する。PBSとしては、例えば、誘電体多層膜をコートしたプリズム型や導波路構造型などのタイプがある。本発明の光送信器では、PBS705はまず2つの偏波成分に偏波分離を行って、位相共役光が生成された後で、再び、位相共役光を含む信号光の2つの偏波成分に対して偏波合成を行う。
光送信器700では、2つの偏波に対する各位相共役光の生成は、ループ型構成の光路内の単一の構成要素によって実施される。したがって、伝搬方向の差異を除けば、2つの偏波成分に対して光路を完全に等しくできる。2つの偏波成分間の相対位相に揺らぎを引き起こすような、様々な環境変動や外部作用が光路に対して生じたとしても、それは2つの偏波成分に対して同時に同等に加わることになる。このため、2つの信号アームで偏波分離していた従来技術の場合に生じる位相の変動を無視できるレベルに抑えることができる。また、光路をループ型構成として二次非線形光学素子706を双方向に用いることで、従来技術のように偏波成分毎にそれぞれ二次非線形光学素子を備える必要が無く、部品点数を抑えられる。次に、ループ型構成の各位相共役光生成器としての位相共役光発生の動作について、偏波成分毎にさらに詳細に説明する。
信号光群750の内のTE偏波成分は、PBS705により分離されると、図7の点線矢印のTE偏波信号光753で示したように、ループ内へ右回りに導入される。TE偏波信号光は偏波回転子707を用いて、偏光方向を90°回転されてTM偏波となる。TM偏波信号光756は二次非線形光学素子706の図面右側から左方向に二次非線形光学素子706へ入射される。偏波回転子707はλ/2波長板のように直線偏光を90°回転させる光学素子を用いても良いし、偏波保持ファイバを物理的に90°回転させて接続するような機構でも良い。
DFG用の二次非線形光学素子706は、入出力の両側にそれぞれダイクロイックミラー721、722と、PPLN導波路723とを含む。二次非線形光学素子706の右側より入射したTM偏波信号光756と、二次非線形光学素子711から出力され二次非線形光学素子711の右側から入射したSH励起光763とは、ダイクロイックミラー722により合波され、PPLN導波路723に入射する。PPLN導波路723において、右回りのTM偏波信号光756とSH励起光763との差周波光が発生する。この差周波光は、PBS705でTE偏波信号光753として分離されその後偏波回転して、ループ内を右回りに二次非線形光学素子706を伝搬するTM偏波信号光756に対する位相共役光となる。二次非線形光学素子706左側のダイクロイックミラー721を用いて、TM偏波信号光およびその位相共役光との対からなる信号光群と、SH励起光とを分離し、TM偏波信号光群755を出力する。その後、TM偏波信号光群755は、PBS705で再び偏波合成され、サーキュレータ704を通じて光送信器700の出力ポートへPDM信号755として伝搬していく。上述のように、PBS705で分離される前のTM偏波成分が、最終的なPDM信号ではTE偏波成分として出力される。
上述のTE偏波成分と同様に、信号光群750の内のTM偏波成分はPBS705により分離されると、図7の実線矢印のTM偏波信号光751で示したように、ループ内へ左回りに導入される。TM偏波信号光751は図面左側から右方向に二次非線形光学素子706へ入射される。二次非線形光学素子706の左側より入射したTM偏波信号光と、二次非線形光学素子711から出力され二次非線形光学素子711の左側から入射したSH励起光761とは、ダイクロイックミラー721により合波され、PPLN導波路723に入射する。PPLN導波路723において、左回りのTM偏波信号光757とSH励起光761との差周波光が発生する。この差周波光は、PBS705でTM偏波信号光751として分離されてループ内を左回りに入力され、二次非線形光学素子706を伝搬するTM偏波信号光757に対する位相共役光となる。二次非線形光学素子706右側のダイクロイックミラー722を用いて、TM偏波信号光757およびその位相共役光との対からなる信号光群と、SH励起光761とを分離し、TM偏波信号光群を出力する。このTM偏波信号光群は、偏波回転子707によって偏波回転されて、TE偏波信号光群752となる。その後、TE偏波信号光群752は、PBS705で再び偏波合成され、サーキュレータ704を通じて光送信器700の出力ポートへPDM信号755として伝搬していく。
上述のように本発明の光送信器700では、位相共役光を生成するための光路をループ型構成として、共通の単一の二次非線形光学素子706を双方向に用いている。光信号の伝搬方向が逆の2つの偏波成分に対して独立に光感応増幅を行い、その後2つの偏波成分を再度PBSで合波することで、偏波多重された主信号光およびその位相共役光の対からなる信号光群が生成される。この信号光群を、偏波多重された送信器のPDM出力755として光ファイバに送出する。
図7のループ型構成の位相共役光生成器を持つ光送信器では、SH励起光はSHG用の二次非線形光学素子711で生成され、分岐された後に、DFG用の二次非線形光学素子706の両端のポートへSH励起光761、763として入力される。各SH励起光は、PPLN導波路723において対応する偏波成分の位相共役光を生成した後、入力された側とは反対側のポートへと出力される。出力されたSH励起光762、764は、光分岐715、716を用いることでその出力の一部を分岐される。2つの分岐されたSH励起光762、764を光分岐717によって合波した後に、光検出器718により電気信号に変換し、HG励起光の合成光の光強度変化を検出する。検出された電気信号は、PLL回路719に供給され、ファイバ伸縮器720へ、検出された電気信号が最大となるようにフィードバックを行う。したがって、光分岐717、光検出器718、PLL回路719、ファイバ伸縮器720を含むフィードバック経路は、位相調整機能を構成する。二次非線形光学素子711で生成されたSH光は、分岐されて双方向で位相共役光を生成した後に、再度合波されたSH励起光の干渉が最大になるように、一方のSH励起光の光路上にある光ファイバ伸縮器720へフィードバックされる。
したがって本発明は、信号光およびその位相共役光を生成する光送信器700であって、偏波多重変調された信号光750を入力し、第1の偏波成分の信号光753および前記第1の偏波成分に直交する第2の偏波成分の信号光751を偏波分離して2つの出力ポートに出力する偏波分離器705と、前記2つの出力ポートの一方から他方へ至る経路の中に、前記偏波分離器と、前記第1の偏波成分の前記信号光の偏波を90°回転させる偏波回転子707と、偏波回転された前記信号光の位相共役光および前記第2の偏波成分の前記信号光の位相共役光を生成する第1の光導波路723を備えた第1の二次非線形光学素子706とを有する、ループ型の位相共役光生成器と、前記偏波回転された信号光の前記位相共役光を生成する第1の励起光763を前記第1の光導波路の前記半端回転子のある側の一端へ、前記第2の偏波成分の前記位相共役光を生成する第2の励起光761を前記第1の光導波路の他端へ供給する励起光生成器とと、前記位相共役光を生成した後の前記第1の励起光および前記第2の励起光の合成光765レベルに応じて、前記第1の励起光の経路または前記第2の励起光の経路の一方の光路長を変化させるよう構成された位相調整器とを備えたものとして実施できる。
本実施形態では、前記励起光生成器は、基本波光760から第二高調波光(SH光)を生成し、前記SH光を分岐して、第1の励起光である第1のSH励起光761および第2の励起光である第2のSH励起光763を生成し、前記位相調整器は、前記第1のSH励起光の経路、または、前記第2のSH励起光の経路の一方の光路長を変化させる。
このように光ファイバ伸縮器720にフィードバックを行い、2つのSH励起光間で位相調整を行うことで、光送信器内の温度変動、不均一や外部からの振動による、2つのSH励起光の相対位相のドリフトが補償される。TE偏波成分およびTM偏波成分のそれぞれの位相共役光の生成ために使用される2つのSH励起光間の相対位相を、常に同期する状態に保つことができる。主信号光および二次非線形光学素子706で発生するその位相共役光の基準位相、すなわちTE偏波信号群752、TM偏波信号群755の基準位相は、対応するSH励起光761、763の位相によって決定される。
偏波ダイバシティ構成を含め、非縮退型の位相感応増幅を行う場合、位相感応増幅器で用いるSH励起光の位相を、主信号光およびその位相共役光の基準位相に合わせる必要がある。したがってその前提条件として、光送信器側で偏波多重された信号光の位相共役光を生成する場合も、2つの偏波間においてこの基準位相が同期している必要がある。上述の図7に示したループ型の位相共役光生成器の構成によって、位相共役生成に使用するSH励起光の位相を2つの偏波間で同期させておくことで、両偏波で同時に位相感応増幅のための条件を満たすことができる。図7のループ型の位相共役光生成器の構成をとることで、2つの直交した偏波間で基準位相を同期した状態でPDM信号755を送信できる。図5に示した光ファイバを伝送後の中継器においても、偏波ダイバシティ構成520の位相感応光増幅器522、523を安定に動作させることができる。
本実施形態の光送信器700では、二次非線形光学素子706、711内の非線形光学媒質として、擬似位相整合が可能なPPLN導波路を用いている。以下に、本実施形態で用いたPPLN導波路の作製方法を例示する。まず、Znを添加したLiNbO上に周期が約17μmの周期的な電極を形成した。次に、電界印加法により上述の電極パターンに応じた分極反転グレーティングをZn:LiNbO中に形成した。さらに、この周期分極反転構造を有するZn:LiNbO基板をクラッドとなるLiTaO基板上に直接接合し、500℃で熱処理を行うことによって両基板を強固に接合した。
次に、コア層を研磨により5μm程度まで薄膜化し、ドライエッチングプロセスを用いて、長さは50mmのリッジ型の光導波路を形成した。この光導波路はペルチェ素子により温度調節が可能である。このようにして形成されたPPLN導波路を有する二次非線形光学素子を、1.5μm帯の偏波保持ファイバで光の入出力が可能なモジュールの構成とした。本実施形態では、Znを添加したLiNbOを用いたが、それ以外の非線形材料である、KNbO、LiTaO、LiNbTa1−x(0≦x≦1)もしくはKTiOPO、または、それらにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として含有している材料を用いても良い。
以上に説明した通り、本実施形態で示した光送信器では、ループ型構成の位相共役光生成器によって、2つの偏波間の相対位相を安定化した状態で主信号光およびその位相共役光の対から成る信号光群を偏波多重した光波を送信することができる。2つの偏波間の相対位相と、信号光およびその位相共役光の基準位相が安定化されているため、中継器においても偏波ダイバシティ構成の位相感応光増幅器を安定に動作させられる。
本実施形態の光送信器では、16QAMの信号を用いる例として説明したが、変調フォーマットは、IMDD、BPSK、QPSK、64QAM、256QAMなどのより多値度の高いQAMなど任意のフォーマットも利用できる。いずれのフォーマットに対しても、本実施形態で説明したループ型構成の位相共役光生成器とまったく同じ構成で偏波多重変調された信号光を生成することが可能である。本実施形態の光送信器によって、送信するPDM信号の位相状態が安定し、中継器の偏波ダイバシティ構成側においても安定に位相感応光増幅器を動作させる。多値の変調フォーマットの変調信号も送信できる。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態の光送信器は、位相共役光を生成する2つの偏波間で相対位相を安定化するために、2つのSH励起光の合成を検出し、一方のSH励起光に対して直接フィードバックを加える構成であった。次の第2の実施形態では、SH励起光の位相を安定化する代わりに基本波励起光の位相を安定化させる光送信器の構成を示す。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る送信器の構成を示すブロック図である。光送信器800は、図7に示した第1の実施形態の光送信器700の構成と類似しているので、同様の構成については繰り返しになる説明は省略し、相違点に絞って説明する。第1の実施形態との大きな相違点は、2つのSH励起光の生成のために基本波励起光をまず分岐して、別個のSHG用の二次非線形光学素子811、812を用いる点である。すなわち、基本波励起光を生成局部発振光源(LO)808からの基本波励起光860を光分岐821でまず2つに分岐する。分岐された基本波励起光から、EDFA809a、BPF810aおよびSHG用の二次非線形光学素子811、ならびに、EDFA809b、BPF810bおよびSHG用の二次非線形光学素子812の2つの経路を経て、2つのSH励起光861、863が得られる。これらの要素は、励起光生成器を構成する。
偏波多重化された主信号光850を生成するための、複数の光源801からAWG803までの構成は第1の実施形態と同じであるまた、本発明の光送信器に特有のループ型の位相共役光生成器の構成も第1の実施形態と同じである。すなわち位相共役光を生成するための光路をループ型構成として、共通の単一の二次非線形光学素子806を双方向に用いている。光信号の伝搬方向が逆の2つの偏波成分に対して独立に光感応増幅を行い、その後2つの偏波成分を再度PBS805で合波することで、偏波多重された主信号光群およびその位相共役光群からなる対、PDM信号855が生成される。
図8のループ型構成の位相共役光生成器を持つ光送信器では、SH励起光はSHG用の二次非線形光学素子811、812で生成され、DFG用の二次非線形光学素子806の両端のポートへSH励起光861、863として入力される。各SH励起光は、PPLN導波路において対応する偏波成分の位相共役光を生成した後、入力されたのとは反対側のポートへと出力される。出力されたSH励起光862、864は、光分岐815、816を用いることでその出力の一部を分岐される。
2つの分岐されたSH励起光862、864を光分岐817によって合波した後、光検出器818により電気信号に変換し、光強度の変化を検出する。光検出器818により電気信号に変換し、光強度の変化を検出する。
検出電気信号は、PLL回路819に供給され、分岐した基本波励起光の一方の経路に備えたファイバ伸縮器820へ、検出電気信号が最大となるようにフィードバックを行う。したがって、光分岐817、光検出器818、PLL回路819、ファイバ伸縮器820を含むフィードバック経路は、位相調整機能を構成する。二次非線形光学素子811、812で生成され、二次非線形光学素子806により双方向で位相共役光を生成した後に、再度合波されたSH励起光の干渉が最大になるように、一方の基本波励起光の光路の光ファイバ伸縮器820へフィードバックされる。
したがって、本実施形態では、前記励起光生成器は、基本波光860を分岐して、分岐した基本波光に基づいて、第1の励起光である第1の第二高調波(SH)励起光861および第2の励起光である第2のSH励起光863を生成し、前記位相調整器は、前記分岐された基本波光のいずれかの経路の光路長を変化させる。
このように光ファイバ伸縮器820にフィードバックを行い、2つのSH励起光間で位相調整を行うことで、光送信器内の温度変動、不均一や外部からの振動による、2つのSH励起光の相対位相のドリフトが補償される。これによって、TE偏波成分およびTM偏波成分のそれぞれの位相共役光の生成ために使用される2つのSH励起光の相対位相を、常に同期する状態に保つことができる。上述の図8に示したループ型の位相共役光生成器の構成により、位相共役生成に使用するSH励起光の位相を2つの偏波間で同期させておくことで、両偏波で同時に位相感応増幅のための条件を満たすことができる。図7のループ型の位相共役光生成器の構成をとることで、PDM信号855が光ファイバを伝送された後、中継器において図5の偏波ダイバシティ構成520の位相感応光増幅器522、523を安定に動作させることができる。
[第3の実施形態]
上述の2つの実施形態の光送信器は、主信号およびその位相共役光の対からなる信号光群をPDM信号として送出する構成であった。本実施形態では、上述のPDM信号にさらにパイロット信号を重畳して信号群と同時に送信するための構成例を示す。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る送信器の構成を示すブロック図である。図9の光送信器900は、図7の第1の実施形態の光送信器700と概ね同一の構成を持っているが、次の2点で相違する。第1に、パイロット信号をPDM信号に含めるために、光分岐915、925および偏波コントローラ924を備えている。第2に、第1および第2の実施形態とは異なり、位相調整のためにSH励起光に代えてパイロット光を検出するとともに、2つの偏波成分に対して別個に独立した2つの位相調整機構を備える。以下、第1の実施形態の構成との相違点に絞って説明する。
複数の信号光源901(LD1〜LD16)は、局部発振光源908とは波長が異なる連続波光(CW光)を出力し、対応する外部変調器902を用いて信号光源からのそれぞれの出力光に対してQPSK変調を施す。各変調光がAWG903により合波される。これらの要素は、信号光発生器を構成する。光分岐915で分岐された基本波励起光961は、偏波コントローラ924により45°偏波を傾けたパイロット光971を出力する。AWG903からの主信号光群およびパイロット光971は、光分岐925によって合波され、偏波多重化された主信号群950が得られる。ここで、主信号群950を周波数(波長)軸上で見れば、主信号群966とパイロット光967から成る。
本発明の光送信器に特有のループ型の位相共役光生成器の構成は第1の実施形態と同じである。位相共役光を生成するために、光路をループ型構成として、共通の単一の二次非線形光学素子906を双方向に用いている。伝搬方向が逆の2つの偏波成分に対して独立に光感応増幅を行い、その後2つの偏波成分を再度PBS905で合波することで、偏波多重された主信号光群968およびその位相共役光群970の対およびパイロット光969を含む、PDM信号955が生成される。
上述の2つの実施形態と同様に、光送信器900では、2つの偏波に対する各位相共役光の生成は、伝搬方向が相互に逆なことを除いて、ループ型構成の光路内の単一の構成要素によって実施される。したがって、2つの偏波成分に対して光路および構成要素を完全に等しくできる。2つの偏波成分間の相対位相に揺らぎを引き起こすような、様々な環境変動や外部作用が光路に対して生じたとしても、それは2つの偏波成分に対して同時に同等に加わる。このため、2つの信号アームで偏波分離していた従来技術の場合に生じる位相の変動を、無視できる程度に抑えられる。また、光路をループ型構成として単一の二次非線形光学素子706を双方向に用いることで、部品点数を抑えることもできる。
DFG用の二次非線形光学素子906の動作は、第1および第2の実施形態の場合と同じだが、TM偏波信号光751およびTE偏波信号光753は、パイロット光を含んでいる。SHG用の二次非線形光学素子911からのSH励起光962、963の周波数は、パイロット光の周波数の2倍となっているので、パイロット光は二次非線形光学素子906によって縮退位相感応光増幅により増幅される。TE偏波信号光953については、二次非線形光学素子906の左側のダイクロイックミラーを用いて、信号光および位相共役光の対からなる信号光群ならびにパイロット光と、SH励起光とを分離し、信号光群およびパイロット光のTM偏波信号光955を出力する。また、TM偏波信号光951については、二次非線形光学素子906の右側のダイクロイックミラーを用いて、信号光および位相共役光の対からなる信号光群ならびにパイロット光と、SH励起光とを分離し、偏波変換後、信号光群およびパイロット光のTE偏波信号光952を出力する。
2つの偏波のそれぞれについてDFG用の二次非線形光学素子906の出力側には、位相共役光が生成された各々の偏波成分のその出力の一部を分岐する光分岐916、920が備えられている。すなわち、ループに左回りに入力されたTM偏波信号光951については、光分岐916によって信号光の一部が分岐され、さらにBPF926によってパイロット光のみが抽出され、光検出器917によってパイロット光の光強度の変化を検出する。検出されたパイロット光の電気信号は、PLL回路918に与えられ、パイロット光の出力が最大となるようにファイバ伸縮器919へフィードバックが行われる。同様に、ループに右回りに入力されたTE偏波信号光953については、光分岐920によって信号光の一部が分岐され、さらにBPF927によってパイロット光のみが抽出され、光検出器921によってパイロット光の光強度の変化を検出する。検出されたパイロット光の電気信号は、PLL回路922に与えられ、パイロット光の出力が最大となるようにファイバ伸縮器923へフィードバックが行われる。
本実施形態の光送信器900では、二次非線形光学素子906内の光導波路における信号光群の伝搬方向に対応した、2つの位相調整機構が独立して動作する。フィードバック動作により調整をする制御対象に着目すれば、第1の実施形態ではSH励起光の位相が、第2の実施形態では基本波励起光の位相がファイバ伸縮器によって制御・調整されていた。これに対し、本実施形態の光送信器では、各々主信号および位相共役光の対からなる信号群ならびにパイロット光に対して、2つの偏波成分毎にフィードバック動作が行われる。これらの2つ位相調整機構によって、励起光と信号光の位相調整と同時に、2つの偏波間の相対位相の変動、位相ドリフトを光ファイバ伸縮器により補償する。
図9に示した構成では、光分岐916、BPF926、光検出器917、PLL回路918、ファイバ伸縮器919を含むフィードバック経路が、左回りのTM偏波信号光951に対する第1の位相調整機構を構成する。また、光分岐920、BPF927、光検出器917、PLL回路922、ファイバ伸縮器923を含むフィードバック経路が、右回りのTE偏波信号光953に対する第2の位相調整機構を構成する。いずれのフィードバック動作においても、検出される対象はパイロット光のレベルである。したがって、TE偏波成分とTM偏波成分との間で、2つのパイロット光の位相が常に同期している状態を保つことができる。主信号光および二次非線形光学素子906で発生する位相共役光の基準位相は、SH励起光の位相で決定される。
図5に示した偏波ダイバシティ構成520を含め、非縮退型の位相感応増幅を行う場合は、位相感応増幅器で用いられるSH励起光の位相をこの信号光および位相共役光の基準位相に合わせる必要がある。この前提条件として、光送信器501側で偏波多重された信号光およびその位相共役光を生成する場合には、2つの偏波間でもこの基準位相が同期している必要がある。本実施形態の光送信器900において、上述のように2つの偏波間で2つのパイロット光の位相が常に同期している状態を保つことは、すなわち2つの偏波間でのSH励起光位相が同期することを意味している。左回りのTM偏波信号光951に対するSH励起光926を一定の状態で、第1の位相調整機構が動作すれば、TM偏波信号光951について、SH励起光926の位相と基準位相が同期することになる。同様に、右回りのTE偏波信号光953に対するSH励起光922を一定の状態で、第2の位相調整機構が動作すれば、TE偏波信号光953について、SH励起光922の位相と基準位相が同期する。したがって、2つの位相調整機構によって、2つの偏波において同時に位相感応増幅をする条件を満たすことになる。図9の光送信器900の構成をとることで、2つの直交した偏波間の基準位相を同期した状態で偏波多重信号を送信できるため、中継器で偏波ダイバシティされた位相感応光増幅器を安定動作させることができる。
本実施形態のループ型構成の位相共役光生成器によって、偏波間の相対位相を安定化した状態で主信号光およびその位相共役光の対から成る信号群を偏波多重した光波を送信することができる。2つの偏波間の相対位相と、信号光およびその位相共役光の基準位相が安定化されているため、中継器においても偏波ダイバシティ構成の位相感応光増幅器を安定に動作させられる。
本実施形態の光送信器では、QPSKの信号を用いる例として説明したが、変調フォーマットは、IMDD、BPSK、QPSK、64QAM、256QAMなどのより多値度の高いQAMなど任意のフォーマットも利用できる。いずれのフォーマットに対しても、本実施形態で説明したループ型構成の位相共役光生成器とまったく同じ構成で偏波多重変調された信号光を生成することが可能である。本実施形態の光送信器によって、位相状態が安定し偏波ダイバシティ構成を安定動作させる、多値の変調フォーマットの変調信号を送信できる。
また、上述の各実施例の光送信器における位相共役光生成器では、単一のDFG用の二次非線形光学素子として、TM偏波信号光に対して位相共役光を生成する例を示した。しかしながら、TE偏波信号光に対して位相共役光を生成可能な二次非線形光学素子であれば、ループ内における偏波回転子の位置を、図7〜図9に示したような二次非線形光学素子の右側の位置から左側へ変更すれば良い。上述の実施形態と同様に動作できることに留意されたい。
また、上述の各実施例の光送信器では、励起光の発生のために、SHG用の二次非線形光学素子を用いているが、所定のSH励起光を供給できれば、必ずしも図7〜図9の構成だけには限定されない。ただし、位相共役光の生成のためにDFG用の二次非線形光学素子を用いるので、SH励起光の生成のためにSHG用の二次非線形光学素子を使用するのが合理的である。
以上詳細に述べたように、本発明によって、直交する偏波間における位相の変動を抑えたPDM信号を生成する光送信器を提供することができる。光送信器側において、PDM送信信号の質を安定化することで、偏波ダイバシティ構成における位相感応光増幅器を安定に動作させることができる。
本発明は、一般的に通信システムに利用することができる。特に、光通信システムの光送信器に利用することができる。
100、200 PSA
201、409、432、709、809a809b、909 EDFA
202、204、406、411、436、434、706、806、811、812、906、911 二次非線形光学素子
203−1、203−2、408、427、712、715、716、717、815、816、817、915、916、920、925 光分岐
206、425、720、820、919、923 PZT
209、430、719、819、918、922 PLL回路
401、501、700、800、900 光送信器
402、701、801、901 信号光源
403、702、802、902 変調器
404、703、803、903 AWG
407、708、808、908 局部発振光源(LO)
410、428、433、710、810a、810b、910、926、927 BPF
420 位相感応増幅器
504、505、521、524、705、805、905 PBS
704、804、904 サーキュレータ
508、509、707、807、907 偏波回転子
521 偏波ダイバシティ構成
713、714、813、814、813、914 アイソレータ
924 偏波コントローラ

Claims (8)

  1. 信号光およびその位相共役光を生成する光送信器であって、
    偏波多重変調された信号光を入力し、第1の偏波成分の信号光および前記第1の偏波成分に直交する第2の偏波成分の信号光を偏波分離して2つの出力ポートに出力する偏波分離器と、
    前記2つの出力ポートの一方から他方へ至る経路の中に、
    前記偏波分離器と、
    前記第1の偏波成分の前記信号光の偏波を90°回転させる偏波回転子と、
    偏波回転された前記信号光の位相共役光および前記第2の偏波成分の前記信号光の位相共役光を生成する第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子とを有する、ループ型の位相共役光生成器と、
    前記偏波回転された信号光の前記位相共役光を生成する第1の励起光を前記第1の光導波路の前記半端回転子のある側の一端へ、前記第2の偏波成分の前記位相共役光を生成する第2の励起光を前記第1の光導波路の他端へ供給する励起光生成器と、
    前記位相共役光を生成した後の前記第1の励起光および前記第2の励起光の合成光レベルに応じて、前記第1の励起光の経路または前記第2の励起光の経路の一方の光路長を変化させるよう構成された位相調整器と
    を備えたことを特徴とする光送信器。
  2. 前記励起光生成器は、基本波光から第二高調波光(SH光)を生成し、前記SH光を分岐して、前記第1の励起光である第1のSH励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、
    前記位相調整器は、前記第1のSH励起光の経路、または、前記第2のSH励起光の経路の一方の光路長を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
  3. 前記励起光生成器は、基本波光を分岐して、前記分岐した基本波光に基づいて、前記第1の励起光である第1の第二高調波(SH)励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、
    前記位相調整器は、前記分岐された基本波光のいずれかの経路の光路長を変化させることを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
  4. パイロット光を含む信号光およびその位相共役光を生成する光送信器であって、
    パイロット光および偏波多重変調された信号光を、第1の偏波成分の信号光および前記第1の偏波成分に直交する第2の偏波成分の信号光に偏波分離して2つの出力ポートに出力する偏波分離器と、
    前記2つの出力ポートの一方から他方へ至る経路の中に、
    前記偏波分離器と、
    前記第1の偏波成分の前記信号光の偏波を90°回転させる偏波回転子と、
    偏波回転された前記信号光の位相共役光および前記第2の偏波成分の前記信号光の位相共役光を生成し、偏波分離された前記パイロット光に対し正反対の2つの伝搬方向の各々で縮退パラメトリック増幅を行う第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子とを有する、ループ型の位相共役光生成器と、
    前記偏波回転された信号光の前記位相共役光を生成する第1の励起光を前記第1の光導波路の前記半端回転子のある側の一端へ、前記第2の偏波成分の前記位相共役光を生成する第2の励起光を前記第1の光導波路の他端へ供給する励起光生成器と、
    前記2つの伝搬方向の第1の方向で縮退パラメトリック増幅された前記パイロット光のレベルに応じて前記パイロット光の経路の光路長を変化させ、前記2つの伝搬方向の第2の方向で縮退パラメトリック増幅された前記パイロット光のレベルに応じて前記パイロット光の経路の光路長を変化させるよう構成された位相調整器と
    を備えたことを特徴とする光送信器。
  5. 前記励起光生成器は、基本波光から第二高調波光(SH光)を生成し、前記SH光を分岐して、前記第1の励起光である第1のSH励起光および前記第2の励起光である第2のSH励起光を生成し、
    前記パイロット光は、前記基本波光の一部に基づくことを特徴とする請求項4に記載の光送信器。
  6. 前記励起光生成器は、前記基本波光から前記SH光を生成する第2の光導波路を備えた1以上の第2の二次非線形光学素子を含み、前記第1のSH励起光および前記第2のSH励起光を生成することを特徴とする請求項2、3または5いずれかに記載の光送信器。
  7. 連続波光(CW光)を出力する複数の光源と、
    前記複数の光源の各々からの前記CW光の両偏波に変調を施す外部変調器と
    を含み、偏波多重変調された信号光を生成する信号光発生器をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の光送信器。
  8. 前記二次非線形光学素子に含まれる光導波路は直接接合リッジ導波路であって、
    前記直接接合リッジ導波路は、LiNbO、KNbO、LiTaO、LiNb(x)Ta(1−x)(0≦x≦1)、またはKTiOPOのいずれかの材料、または、
    これらの材料のいずれかにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えた材料から構成されることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の光送信器。
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