JP6110546B1 - 位相感応光増幅器 - Google Patents

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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Abstract

【課題】送信器から主信号光群と共にパイロットトーンを同送することなしに、送信器の励起光と位相同期した励起光を生成する。【解決手段】位相感応光増幅器は、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群(403)の一部を分岐させる分波器(50)と、光増幅器(52)と、光増幅器(52)の出力光を入力とし、主信号光と位相共役光との和周波光を発生させるための光導波路を備えた二次非線形光学素子(54)と、和周波光を局発光源(55)に光注入同期するサーキュレータ(56)と、光増幅器(58)と、光増幅器(58)の出力光を励起光として、主信号光群(403)のパラメトリック増幅を行うための光導波路を備えた二次非線形光学素子(59)とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、光通信システムや光計測システムにおいて用いられる位相感応光増幅器に関するものである。
従来の光伝送システムでは、光ファイバを伝搬することにより減衰した光信号を再生するために、光信号を電気信号に変換し、ディジタル信号を識別した後に光信号を再生する識別再生光中継器が用いられていた。しかしながら、この識別再生光中継器では、光信号を電気信号に変換する電子部品の応答速度に制限があることや、伝送する信号のスピードが速くなると、消費電力が大きくなるなどの問題があった。
この問題を解決する光増幅手段として、エルビウムやプラセオジム等の希土類元素を添加した光ファイバに励起光を入射して信号光を増幅するファイバレーザ増幅器や、半導体レーザ増幅器がある。このようなファイバレーザ増幅器や半導体レーザ増幅器は、信号光を光のままで増幅することができるため、識別再生光中継器で問題になっていた電気的な処理速度の制限が存在しない。加えて、機器の構成も比較的単純になるという利点を有する。
しかしながら、これらのレーザ増幅器は、劣化した信号光波形を整形する機能を有していない。また、これらのレーザ増幅器においては、不可避的かつランダムに発生する自然放出光が信号成分とは全く無関係に混入するので、信号光のS/N(Signal to Noise ratio)が増幅前後で少なくとも3dB低下する。波形整形機能の欠如やS/Nの低下は、ディジタル信号伝送時における伝送符号誤り率の上昇につながり、伝送品質を低下させる要因になっている。
このような従来のレーザ増幅器の限界を打開する手段として、位相感応光増幅器(Phase Sensitive Amplifier:PSA)が検討されている。PSAは、伝送ファイバの分散の影響による劣化した信号光波形や位相信号を整形する機能を有する。また、PSAは、信号とは無関係の直交位相をもった自然放出光を抑圧することができ、同相の自然放出光も最小限で済むために、増幅前後で信号光のS/Nを劣化させず同一に保つことが原理的に可能である。
図9は、従来のPSAの基本的な構成を示すブロック図である。図9に示されるように、PSA100は、光パラメトリック増幅を用いた位相感応光増幅部101と、励起光源102と、励起光位相制御部103と、第1及び第2の光分岐部104−1及び104−2とを備える。図9に示されるように、PSA100に入力された信号光110は、光分岐部104−1で2分岐されて、一方は位相感応光増幅部101に入射し、他方は励起光源102に入射する。励起光源102から出射した励起光111は、励起光位相制御部103を介して位相が調整されて、位相感応光増幅部101に入射する。位相感応増幅部101は、入力した信号光110及び励起光111に基づいて出力信号光112を出力する。
位相感応光増幅部101は、入射した信号光110の位相と励起光111の位相とが一致すると信号光110を増幅し、両者の位相が90度ずれた直交位相関係になると、信号光110を減衰させる特性を有している。この特性を利用して増幅利得が最大となるように励起光111と信号光110間の位相を一致させると、信号光110と直交位相の自然放出光が発生せず、また同相の成分に関しても信号光110のもつ雑音以上に過剰な自然放出光が発生しない。そのため、S/Nを劣化させずに信号光110を増幅することが可能になる。
このような信号光110と励起光111との位相同期を達成するために、励起光位相制御部103は、第1の光分岐部104−1で分岐された信号光110の位相と同期するように励起光111の位相を制御する。加えて、励起光位相制御部103は、第2の光分岐部104−2で分岐された出力信号光112の一部を狭帯域の検出器で検波し、出力信号光112の増幅利得が最大となるように励起光111の位相を制御する。その結果、位相感応光増幅部101では、上記の原理に基づいてS/Nの劣化のない光増幅が実現される。
なお、励起光位相制御部103は、励起光源102の出力側で励起光111の位相を制御する構成の他に、励起光源102の位相を直接制御する構成としてもよい。また、信号光110を発生する光源が位相感応光増幅部101の近くに配置されている場合は、信号光用光源の一部を分岐して励起光として用いることもできる。
しかしながら、上述した従来技術では、以下に述べるような問題点がある。上述のパラメトリック増幅を行う非線形光学媒質としては、周期分極反転LiNbO3(Period-ically Poled Lithium Niobate:PPLN)導波路に代表される二次非線形光学材料を用いる方法と、石英ガラスファイバに代表される三次非線形光学材料を用いる方法とが知られている。
図10は、非特許文献1等に開示されているPPLN導波路を用いた従来のPSAの構成を示すブロック図である。図10に示されるPSA200は、エルビウム添加ファイバレーザ増幅器(Erbium-Doped Fiber Amplifier:EDFA)201と、第1及び第2の二次非線形光学素子202及び204と、第1及び第2の光分岐部203−1及び203−2と、位相変調器205と、PZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器206と、偏波保持ファイバ207と、光検出器208と、位相同期ループ(Phase Locked Loop:PLL)回路209とを備える。
第1の二次非線形光学素子202は、第1の空間光学系211と、第1のPPLN導波路212と、第2の空間光学系213と、第1のダイクロイックミラー214とを備える。第2の二次非線形光学素子204は、第3の空間光学系215と、第2のPPLN導波路216と、第4の空間光学系217と、第2のダイクロイックミラー218と、第3のダイクロイックミラー219とを備える。
第1の空間光学系211は、第1の二次非線形素子202の入力ポートから入力された光を第1のPPLN導波路212に結合する。第2の空間光学系213は、第1のPPLN導波路212から出力された光を第1のダイクロイックミラー214を介して第1の二次非線形光学素子202の出力ポートに結合する。
第3の空間光学系215は、第2の二次非線形光学素子204の入力ポートから入力された光を第2のダイクロイックミラー218を介して第2のPPLN導波路216に結合する。第4の空間光学系217は、第2のPPLN導波路216から出力された光を第3のダイクロイックミラー219を介して第2の二次非線形光学素子204の出力ポートに結合する。
図10に示される例では、PSA200に入射した信号光250は、光分岐部203−1によって分岐されて、一方の光は第2の二次非線形光学素子204に入射する。光分岐部203−1によって分岐された他方の光は、励起基本波光251として、位相変調器205及び光ファイバ伸縮器206によって位相制御されてEDFA201に入射する。光通信に用いられる微弱なレーザ光から非線形光学効果を得るのに十分なパワーを得るために、EDFA201は、入射した励起基本波光251を増幅し、増幅した励起基本波光251を第1の二次非線形光学素子202に入射させる。
第1の二次非線形光学素子202では、入射した励起基本波光251から第二高調波光(以下、SH光)252が発生する。当該発生したSH光252は、偏波保持ファイバ207を介して第2の二次非線形光学素子204に入射する。第2の二次非線形光学素子204では、入射した信号光250とSH光252とで縮退パラメトリック増幅を行うことで位相感応増幅を行い、出力信号光253を出力する。
PSAにおいては、信号と位相の合った光のみを増幅するために、上述のように信号光と励起光の位相が一致、もしくは位相がπラジアンだけずれている必要がある。すなわち、二次の非線形光学効果を用いる場合は、SH光に相当する波長の光である励起光の位相φ2ωsと信号光の位相φωsとが以下の式(1)の関係を満たすことが必要となる。
Δφ=1/2(φ2ωs−φωs)=nπ (ただし、nは整数) ・・・(1)
図11は、従来の二次非線形光学効果を利用したPSAにおける、入力信号光と励起光間の位相差Δφと、利得(dB)との関係を示すグラフである。図11によれば、入力信号光と励起光間の位相差Δφが−π、0、またはπのときに、利得が最大となっていることが分かる。
位相変調器205は、微弱なパイロット信号に応じて位相変調を励起基本波光251に施す。第2の光分岐部203−2は、増幅された出力信号光253の一部を分岐させて光検出器208に入射させる。光検出器208は、入射した信号光を電気信号に変換する。パイロット信号成分は、図11に示される位相差Δφが最小の状態、すなわち位相同期が取れている状態で最小となる。
そこで、パイロット信号が最小、つまり光検出器208で検出される増幅出力信号が最大となるように位相同期ループ回路(PLL)209を用いて、光ファイバ伸縮器206にフィードバックを行う。光ファイバ伸縮器206は、励起基本波光251が伝搬する光ファイバを、位相同期ループ回路209の出力に応じて伸縮させる。こうして、励起基本波光251の位相を制御して、信号光250と励起基本波光251の位相同期を達成することができる。
上記のPPLN導波路を非線形媒質として用い、信号光250とSH光252を第2の二次非線形光学素子204に入射させて縮退パラメトリック増幅を行う構成においては、一旦SH光252を発生させてからパラメトリック増幅を行う際に、例えばダイクロイックミラー214の特性を用いて励起基本波光の成分を取り除くことにより、SH光252と信号光250のみを第2の二次非線形光学素子204のようなパラメトリック増幅媒質に入射させることができる。そのため、EDFA201が発生する自然放出光の混入による雑音が防げるので、低雑音な光増幅が可能になる。
上述のように、PPLN導波路を非線形光学媒質として用い、SH光252を用いて非線形媒質を励起する構成とすることで、EDFA201が発生する雑音の影響を受けることなく低雑音な位相感応増幅を行うことができ、また直交位相成分を減衰させる特性を活かして、位相雑音を低減させることができる。
しかしながら、図11に示すように、PPLN導波路を用いた従来のPSAは、直交する位相成分を減衰させる特性を有しているため、通常の強度変調や二値の位相変調を用いるIMDD(Intensity Modulation Direct Detection)、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、DPSK(Differential Phase Shift Keying)等の変調信号の増幅に適用できるものの、さらに多値の変調フォーマットであるQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や8PSK等の変調信号を増幅することができないという課題がある。
一方で、非特許文献2及び非特許文献3等に開示されているように、QPSK等の変調信号を位相感応増幅し、位相再生増幅が可能な構成をとり得ることが知られている。非特許文献2と非特許文献3には、それぞれ、三次の非線形光学材料である石英ガラスファイバを用いた方法と、二次の非線形光学材料であるPPLNを用いた方法とが示されている。
しかしながら、これらの非線形過程を複数回使った信号からのキャリア抽出方法では、変調信号の多値度が上がるほど、より多くの非線形過程を用いなくてはならず、信号からのキャリア抽出によって生成した基本波光のS/Nを保つことが難しいという課題があった。また、これらの非線形過程を複数回使った信号からのキャリア抽出方法を用いる構成では、複数の信号を波長多重したWDM(Wavelength Division Multiplexing)信号を一括して増幅することができないという課題もあった。
これに対し、非特許文献4に開示されているように、信号光として主信号光とその位相共役光との対を用いた、非縮退のパラメトリック増幅によって、高次の多値変調フォーマットであるQAM(Quadrature Amplitude Modulation)の変調信号やマルチキャリア信号に対する位相感応光増幅が可能となることが示されている。
図12に、信号光として主信号光とその位相共役光との対を用いた、非縮退のパラメトリック増幅によるPSAの構成例を示す。図12に示した構成では、複数の信号光源10−1〜10−5からの出力光に対し外部変調器11−1〜11−5を用いてデータを重畳した後に、合波器12によって波長多重を行う。信号光源10−1〜10−5とは別の局発光源13から出力される基本波光から、二次非線形光学素子17により第二高調波光を発生させて励起光とする。その後、二次非線形光学素子18により励起光と波長多重された主信号光との差周波光を発生させて、この差周波光を主信号光に対する位相共役光とする。
送信器1からは、図13(A)に示すように、主信号光と位相共役光との複数対からなる信号光群302と、基本波光300の一部の2つを別々に出力する。なお、図13(A)〜図13(C)の縦軸は光強度、横軸は波長である。その後、PSA2の二次非線形光学素子23により基本波光300から励起光303を生成し(図13(B))、二次非線形光学素子24において励起光303と信号光群302との間のパラメトリック増幅過程を用いて位相感応光増幅を行う(図13(C))。図12、図13(C)における304は増幅された信号光群である。
しかしながら、図12に示した構成では、局発光源が近くにある場合は問題ないが、PSA2を中継器内の増幅器として使用するためには、基本波光もしくは励起光に位相同期した局発光が必要になるという課題があった。
中継器内の局発光を基本波光の位相に同期させる方法としては、波長軸上で主信号光と位相共役光の対の中心にパイロットトーンを送るという方法が考えられる。この方法は、図12の構成で送信器1から別々に出力させていた信号光群と基本波光とを合波した後に送信器1から送り出すという最も簡便な構成で実現できる。この場合の構成を図14に示す。
図14の構成では、二次非線形光学素子18から出力された信号光群と二次非線形光学素子17から取り出した基本波光とを合波器19で合波する。これにより、送信器1aからは信号光群と基本波光(パイロットトーン307)とが合波された光305が出力される(図15(A))。図13(A)〜図13(C)と同様に、図15(A)〜図15(C)の縦軸は光強度、横軸は波長である。
送信器1aから出力された光305の一部をPSA2a内の分波器28で分岐させ、フィルタ29を通すことにより、信号光群と同送されたパイロットトーン307を取り出す。そして、このパイロットトーン307をサーキュレータ31を通して中継器内局発光源30に入力する光注入同期を行うことで、パイロットトーン307と位相同期した局発光である基本波光306を生成することができる。
上記と同様に、PSA2aの二次非線形光学素子23により基本波光306から励起光303を生成して(図15(B))、二次非線形光学素子24において励起光303と信号光群との間のパラメトリック増幅過程を用いて信号光群の位相感応光増幅を行う(図15(C))。
しかしながら、図14に示した構成では、波長軸上で主信号光と位相共役光の対の中心にパイロットトーンが存在するため、この中心波長に信号光を配置することができず、波長多重信号を密に詰めることができないという課題がある。また、波長多重信号を別の経路にルーティングした際に、パイロットトーンも常に波長多重信号と同送する必要があり、光ネットワークを構築する際に柔軟性を損なう要因となりうるという課題もあった。つまり、中継光増幅器内において、パイロットトーンを必要とせずに、信号光群もしくはその一部のみを用いて、基本波もしくは励起光と位相同期した局発光を生成可能な手段が必要であった。
また、別の問題として、局発光に要求される線幅の問題もある。PSAは、励起光と信号光の位相を一致させることで動作するため、位相揺らぎがそのまま増幅器の特性に影響を及ぼす。そのため、局発光には非常に狭い線幅が要求される。図14に示した構成では、送信器1aで生成する基本波光として狭い線幅の光を用い、パイロットトーンとして信号光群と同送すればよいように思える。
しかしながら、送信器1aと同様の狭い線幅の局発光を中継器内で生成するためには、光注入同期用の局発光源30についても線幅に対して高い精度が要求される。つまり、狭い線幅のパイロットトーンを注入同期することで、狭い線幅の基本波光を中継器内で生成するためには、注入同期前の局発光自体の線幅についても、パイロットトーンと同程度かそれ以下の線幅が要求される。このため、中継器毎(PSA毎)に全て狭線幅の局発光源を用いなければならず、中継器のコストが高くなってしまうという課題があった。また、狭線幅の光源を用いることは中継器の長期信頼性に対しても制限を与えるといった課題もあった。
T.Umeki,et al.,"Phase sensitive degenerate parametric amplification using directly-bonded PPLN ridge waveguides",Optics Express,2011年,Vol.19,No. 7,pp.6326-6332 J.Kakande,et al.,"First demonstration of all-optical QPSK signal regeneration in a novel multi-format phase sensitive amplifier",Post Deadline paper,ECOC 2010,2010年 M.Asobe,et al.,"In-line phase-sensitive amplifier for QPSK signal using multiple QPM LiNbO3 waveguide",In Proceedings of the OptoElectronics Communications Conference,Post Deadline paper,2013年,PD2-3 T.Umeki,et al.,"First demonstration of high-order QAM signal amplification in PPLN-based phase sensitive amplifier",Optics Express,2014年,Vol.22,No.3,pp.2473-2482
以上のように、非特許文献1に開示された技術では、多値の変調フォーマットの変調信号を増幅することができないという課題があった。
非特許文献2及び非特許文献3に開示された技術では、変調信号の多値度が上がるほど、信号からのキャリア抽出によって生成した基本波光(励起光)のS/Nを保つことが難しく、またWDM信号を一括して増幅することができないという課題があった。
非特許文献4に開示された技術では、PSAを中継器内の増幅器として使用する場合に、中継器内で基本波光に位相同期した局発光が必要になるという課題があった。
図14に示した構成では、波長軸上で波長多重信号を密に配置することができず、また信号光とパイロットトーンの同送が必要になるために光ネットワークの構成が限定されるという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、送信器から主信号光群と共にパイロットトーンを同送することなしに、送信器の励起光と位相同期した励起光を生成することができ、伝送帯域全体に主信号光群を密に詰めて伝送することを可能とし、多値の変調フォーマットの変調信号を波長多重した波長多重信号を一括して増幅することができる位相感応光増幅器を提供することを目的とする。
本発明の位相感応光増幅器は、外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる分波器と、この分波器の出力光を増幅する第1の光増幅器と、この第1の光増幅器の出力光を入力とし、前記主信号光と前記位相共役光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、局発光を出力する局発光源と、前記第1の二次非線形光学素子から出力された和周波光を前記局発光源に光注入同期するサーキュレータと、前記サーキュレータの出力光を増幅する第2の光増幅器と、この第2の光増幅器の出力光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、この第2の二次非線形光学素子に入射する前記励起光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第2の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器は、外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる第1の分波器と、この分波器の出力光を増幅する第1の光増幅器と、この第1の光増幅器の出力光を入力とし、前記主信号光と前記位相共役光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、第1の局発光を出力する第1の局発光源と、前記和周波光と前記第1の局発光との差周波光を発生させるための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、第2の局発光を出力する第2の局発光源と、前記第2の二次非線形光学素子から出力された差周波光を前記第2の局発光源に光注入同期するサーキュレータと、前記第1の局発光の一部を分岐させる第2の分波器と、この第2の分波器によって分波された第1の局発光と前記サーキュレータから出射した第2の局発光とを合波する合波器と、この合波器の出力光を増幅する第2の光増幅器と、この第2の光増幅器の出力光に含まれる前記第1の局発光と前記第2の局発光との和周波光を発生させるための第3の光導波路を備えた第3の二次非線形光学素子と、この第3の二次非線形光学素子から出力された和周波光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第4の光導波路を備えた第4の二次非線形光学素子と、前記合波器を出射した前記第1の局発光と前記第2の局発光との合波光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第4の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器の1構成例は、さらに、前記第1の光増幅器の前段に、前記主信号光群から特定の主信号光と位相共役光の対のみを分離して前記第1の光増幅器に入力する波長分離フィルタを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器の1構成例において、外部から入力される前記主信号光群は、それぞれ送信データに応じた変調が施された複数の主信号光と、これらの主信号光と送信器内励起光との差周波光として生成された複数の位相共役光とからなるものである。
また、本発明の位相感応光増幅器は、外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる分波器と、この分波器の出力光に含まれる、連続波の主信号光とこれに対応する連続波の位相共役光とを分離する波長分離フィルタと、第1の局発光を出力する第1の局発光源と、第2の局発光を出力する第2の局発光源と、前記連続波の主信号光を前記第1の局発光源に光注入同期する第1のサーキュレータと、前記連続波の位相共役光を前記第2の局発光源に光注入同期する第2のサーキュレータと、前記第1のサーキュレータから出射した第1の局発光と前記第2のサーキュレータから出射した第2の局発光とを合波する波長合波フィルタと、この波長合波フィルタの出力光を増幅する光増幅器と、この光増幅器の出力光を入力とし、前記第1の局発光と前記第2の局発光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、この第1の二次非線形光学素子から出力された和周波光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、前記波長合波フィルタを出射した前記第1の局発光と前記第2の局発光との合波光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第2の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器の1構成例において、外部から入力される前記主信号光群は、それぞれ送信データに応じた変調が施された複数の第1の主信号光と、これら第1の主信号光と送信器内励起光との差周波光として生成された複数の第1の位相共役光と、連続波の第2の主信号光と、この第2の主信号光と前記送信器内励起光との差周波光として生成された連続波の第2の位相共役光とからなり、前記波長分離フィルタは、前記分波器の出力光から前記連続波の第2の主信号光と前記連続波の第2の位相共役光とを分離して取り出すことを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器の1構成例は、前記二次非線形光学素子内の光導波路として、直接接合リッジ導波路を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の位相感応光増幅器の1構成例において、前記直接接合リッジ導波路は、LiNbO3、KNbO3、LiTaO3、LiNb(x)Ta(1-x)3(0≦x≦1)、またはKTiOPO4のいずれかの材料から構成されるか、これらの材料のいずれかにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えた材料から構成されることを特徴とするものである。
本発明によれば、位相感応光増幅器に、分波器と第1、第2の光増幅器と第1、第2の二次非線形光学素子と局発光源とサーキュレータと位相調整機構とを設け、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群を使って和周波光を生成し、この和周波光を局発光源に光注入同期して、位相感応増幅のための励起光を生成することにより、送信器から主信号光群と共にパイロットトーンを同送することなしに、位相感応光増幅器内において送信器の励起光と位相同期した励起光を生成することができるので、伝送帯域全体に主信号光群を密に詰めて伝送することが可能となり、またパイロットトーンの同送により光ネットワークの構成が限定されることを回避することができる。また、本発明では、多値の変調フォーマットの変調信号を増幅することができ、また複数の変調信号を波長多重した波長多重信号を一括して増幅することができる。
また、本発明では、位相感応光増幅器に、第1、第2の分波器と第1、第2の光増幅器と第1〜第4の二次非線形光学素子と第1、第2の局発光源とサーキュレータと合波器と位相調整機構とを設け、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群を使って和周波光を生成し、この和周波光と第1の局発光との差周波光を生成し、この差周波光を第2の局発光源に光注入同期し、光注入同期した第2の局発光と第1の局発光との和周波光を生成して位相感応増幅のための励起光とすることにより、信号波長と同じ波長帯の第1、第2の局発光源および第1、第2の光増幅器を用いて、送信器の励起光と位相同期した励起光を生成することができる。その結果、本発明では、信頼性の高い信号波長帯の部品を用いることができる。
また、本発明では、位相感応光増幅器に、分波器と波長分離フィルタと第1、第2の局発光源と第1、第2のサーキュレータと波長合波フィルタと光増幅器と第1、第2の二次非線形光学素子と位相調整機構とを設け、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群のうち1対の主信号光と位相共役光を連続波とし、連続波の主信号光を第1の局発光源に光注入同期し、連続波の位相共役光を第2の局発光源に光注入同期し、光注入同期した第1の局発光と光注入同期した第2の局発光との和周波光を生成して位相感応増幅のための励起光とすることにより、16QAM、32QAM,64QAM、128QAMといった強度方向にも多値度化した信号に対しても高い強度変動の無い励起光を生成することができ、マルチキャリア信号を一括で位相感応光増幅可能な位相感応光増幅器を実現することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器における主信号光、位相共役光、主信号光群、励起光および増幅された主信号光群のスペクトルを示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器における主信号光、位相共役光、主信号光群、励起光および増幅された主信号光群のスペクトルを示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器における主信号光、位相共役光、主信号光群、第1の局発光、シード光、第2の局発光、励起光および増幅された主信号光群のスペクトルを示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態に係る送信器と位相感応光増幅器における主信号光、位相共役光、主信号光群、第1の局発光、第2の局発光、励起光および増幅された主信号光群のスペクトルを示す図である。 従来の位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 従来の二次非線形光学効果を利用した位相感応光増幅器の構成を示すブロック図である。 従来の二次非線形光学効果を利用した位相感応光増幅器における、入力信号光と励起光間の位相差と、利得との関係を示すグラフである。 従来の位相感応光増幅器の別の構成を示すブロック図である。 図12の位相感応光増幅器における信号光群、基本波光、励起光および増幅された信号光群のスペクトルを示す図である。 従来の位相感応光増幅器の別の構成を示すブロック図である。 図14の位相感応光増幅器における信号光群、パイロットトーン、基本波光、励起光および増幅された信号光群のスペクトルを示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の例示的な実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る送信器とPSAの構成を示すブロック図である。本実施の形態は、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群のうち1対の主信号光と位相共役光を選んで和周波光を生成し、この和周波光を波長0.78μmの局発光源に光注入同期することにより、励起光を生成する例である。本実施の形態に係る光増幅装置であるPSAは、各信号キャリアがQPSK変調された波長多重信号群に対し、パイロットトーンなどの付加的な信号無しに、信号光と位相同期した局発光を生成し、波長多重(WDM)信号等の複数の搬送キャリアを有するマルチキャリア信号を一括で位相感応光増幅可能な中継光増幅器構成を提供する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るPSAの構成を示すブロック図である。図1には、多値変調を施した波長多重信号に対するPSAを、中継光増幅器として適用するための構成が示されている。
図1の送信器4は、複数の信号光源40−1〜40−5と、複数の外部変調器41−1〜41−5と、波長多重合波器42と、局発光源43と、EDFA44と、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)45と、第二高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)用の二次非線形光学素子46と、差周波発生(Difference Frequency Generation:DFG)用の二次非線形光学素子47とを備えている。
送信器4と光ファイバ6を介して接続される中継器内に設けられる本実施の形態のPSA5は、分波器50と、波長分離フィルタ51と、EDFA52と、BPF53と、和周波発生(Sum Frequency Generation:SFG)用の二次非線形光学素子54と、局発光源55と、サーキュレータ56と、PZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器57と、半導体光増幅器58と、光パラメトリック増幅(Optical Parametric Amplification:OPA)用の二次非線形光学素子59と、分波器60と、光検出器61と、位相同期ループ(PLL)回路62とを備えている。これらのうち、光ファイバ伸縮器57と分波器60と光検出器61と位相同期ループ回路62とは、位相調整機構を構成している。
送信器4において、複数の信号光源40−1〜40−5は、互いに波長が異なる複数の連続波光(CW光)を出力する。複数の外部変調器41−1〜41−5は、それぞれ信号光源40−1〜40−5の出力光に対して送信データに応じたQPSK変調を施す。波長多重合波器42は、外部変調器41−1〜41−5の出力光を合波することで波長多重を行う。こうして、主信号光400が生成される。
一方、局発光源43は、基本波光401を出力する。EDFA44は、局発光源43から出力された基本波光401を増幅する。BPF45は、EDFA44によって発生したノイズ光を排除し、基本波光401のみを透過させる。
二次非線形光学素子46は、PPLN導波路460と、出力側のダイクロイックミラー461とを含む。BPF45を透過した基本波光401が二次非線形光学素子46に入射すると、PPLN導波路460により基本波光401の半分の波長の第二高調波光が発生し、ダイクロイックミラー461により基本波光401と第二高調波光とが分離される。この第二高調波光が励起光402として二次非線形光学素子47に入射する。
二次非線形光学素子47は、入力側のダイクロイックミラー470と、PPLN導波路471と、出力側のダイクロイックミラー472とを含む。波長多重合波器42から出力された波長多重された主信号光400と二次非線形光学素子46から出力された励起光402とは、ダイクロイックミラー470により合波され、PPLN導波路471に入射する。これにより、主信号光400と励起光402との差周波光がPPLN導波路471において発生する。この差周波光が主信号光400に対する位相共役光となる。ダイクロイックミラー472は、主信号光400と位相共役光との複数対からなる主信号光群403と、励起光402とを分離し、主信号光群403を送信器4の出力として光ファイバ6に送出する。
図2(A)に主信号光群403のスペクトルを示す。なお、図2(A)〜図2(C)の縦軸は光強度、横軸は波長である。図2(A)の404は主信号光400に対する位相共役光である。このように、本実施の形態では、送信器4から、基本波光、励起光あるいはパイロットトーンといった付加的な信号を同送することなく、主信号光と位相共役光のみを送出する。
送信器4から送出された主信号光群403は、光ファイバ6を伝搬して中継器内のPSA5に入射する。PSA5の分波器50は、主信号光群403の一部を分岐させて波長分離フィルタ51に入射させる。波長分離フィルタ51は、主信号光群403から特定の主信号光と位相共役光の対のみを分離して出力する。
EDFA52は、波長分離フィルタ51の出力光を1W程度の光パワーまで増幅する。BPF53は、EDFA52によって発生したノイズ光を排除し、波長分離フィルタ51によって分離された主信号光と位相共役光の対のみを透過させる。
二次非線形光学素子54は、PPLN導波路540と、出力側のダイクロイックミラー541とを含む。BPF53を透過した主信号光と位相共役光の対が二次非線形光学素子54に入射すると、PPLN導波路540により主信号光と位相共役光との和周波光407が発生し、ダイクロイックミラー541により和周波光407と、主信号光および位相共役光とが分離され、分離された和周波光407がサーキュレータ56に入射する。
局発光源55は、中継器内局発光を出力する。二次非線形光学素子54から出力された和周波光407をサーキュレータ56を通して局発光源55に入力する光注入同期を行うことで、和周波光407と位相同期した局発光である中継器内励起光408を生成することができる。こうして、送信器4内で差周波光発生に用いた励起光402と同じ位相を持つ中継器内励起光408を中継器内のPSA5で再生することができる(図2(B))。図2(B)における405は波長分離フィルタ51によって分離された主信号光、406は主信号光405の位相共役光である。
送信器4内において、励起光402は基本波光401の第二高調波発生により得られるため、基本波光401の位相ΦLOと励起光402の位相Φpumpとの間には、式(2)のような関係が成り立つ。
Φpump=2ΦLO ・・・(2)
また、送信器4内において、位相共役光404は励起光402と主信号光400との間の差周波発生により得られるため、主信号光400の位相Φsignalと位相共役光404の位相Φidlerと基本波光401の位相ΦLOとの間には、式(3)のような関係が成り立つ。
Φidler=2ΦLO−Φsignal ・・・(3)
PSA5内において、主信号光405と位相共役光406との和周波数を取ることで、和周波光407の位相Φsfgは式(4)のように表すことができる。
Φsfg=Φsignal+Φidler
=Φsignal+2ΦLO−Φsignal=2ΦLO=Φpump
・・・(4)
式(4)により、励起光402と同じ位相を持つ和周波光407をPSA5で再生できることが分かる。
また、主信号光405と位相共役光406との和周波数を取ることで、QPSK変調もキャンセルすることができる。ここでは、説明を簡単にするために、基本波光401の位相を0とする。このとき、QPSKの4シンボルの内、主信号光405の位相が0の場合、位相共役光406の位相は−0=0であるため、和周波光407の位相も0となる。
同様に、主信号光405の位相がπ/4の場合、位相共役光406の位相は−π/4であるため、和周波光407の位相は0となる。また、主信号光405の位相がπの場合、位相共役光406の位相は−πであるため、和周波光407の位相は0となる。また、主信号光405の位相が3π/4の場合、位相共役光406の位相は−3π/4であるため、和周波光407の位相は0となる。このように、和周波光407には、位相変調信号は重畳されず、連続波光(CW光)となる。
本実施の形態では、送信器4の基本波401の波長(信号波長)のおよそ半分の波長を有する中継器内局発光を出力する中継器内局発光源55を用いる。つまり、基本波光401の波長が1.56μmの場合、波長0.78μmの中継器内局発光を出力する中継器内局発光源55を用いる。光注入同期は、多少の波長誤差があっても位相の引き込みが可能であるため、多少の波長差は許容されるが、本実施の形態では上記のような局発光源55を用いた。数十μWから数百μWの和周波光で光注入同期が可能であり、主信号光群403から分波した微弱な主信号光405と位相共役光406の対から生成した和周波光407でも光注入同期による位相同期が達成可能であった。
半導体光増幅器58は、サーキュレータ56から出射した中継器内励起光408を1W程度まで増幅する。二次非線形光学素子59は、入力側のダイクロイックミラー590と、PPLN導波路591と、出力側のダイクロイックミラー592とを含む。送信器4から送信された主信号光群403と半導体光増幅器58によって増幅された中継器内励起光408とは、ダイクロイックミラー590により合波され、PPLN導波路591に入射する。PPLN導波路591は、パラメトリック増幅効果により、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群403を一括して位相感応光増幅する(図2(C))。図1、図2(C)における409は増幅された主信号光群、410は主信号光、411は主信号光の位相共役光である。
本実施の形態では、それぞれの二次非線形光学素子46,47,54,59内の非線形光学媒質として、擬似位相整合が可能なPPLN導波路460,471,540,591を用いている。
PPLN導波路460,471,540,591の作製方法を以下に例示する。まず、Znを添加したLiNbO3上に周期が17μmの空間的な位相変調を施した周期的な電極を形成した。次に、電界印加法により上記の電極パターンに応じた分極反転グレーティングをZn:LiNbO3中に形成した。次に、この周期分極反転構造を有するZカットZn:LiNbO3基板をクラッドとなるLiTaO3上に直接接合を行い、500℃で熱処理を行うことにより両基板を強固に接合した。
次に、コア層を研磨により5μm程度まで薄膜化し、ドライエッチングプロセスを用いてリッジ型の光導波路を形成した。導波路の長さは、約50mmである。この導波路はペルチェ素子により温度調節が可能で、1.55μm帯の偏波保持ファイバで光の入出力が可能なモジュールとした。以上のようにして、PPLN導波路460,471,540,591を作製した。
次に、PSA5の分波器60は、増幅された主信号光群409の一部を分岐させて光検出器61に入射させる。光検出器61は、入射した主信号光群409を電気信号に変換する。位相同期ループ回路62は、光検出器61で検出される信号が最大となるように、光ファイバ伸縮器57に駆動信号をフィードバックする。光ファイバ伸縮器57は、中継器内励起光408が伝搬する光ファイバを、位相同期ループ回路62から出力された駆動信号に応じて伸縮させる。
このようにして、常に位相感応光増幅が行われるように光ファイバ伸縮器57にフィードバックを行い、温度や振動による、中継器内励起光408と主信号光群403との間の相対位相のドリフトを光ファイバ伸縮器57により補償することにより、二次非線形光学素子59のPPLN導波路591内において中継器内励起光408の位相と主信号光群403の位相とを同期させることができるので、PSA5の出力の安定化を実現することができる。
以上、本実施の形態に示した構成では、送信器4内の基本波光もしくは励起光を主信号光群403と同送することなしに、PSA5内において送信器4の励起光402と位相同期した中継器内励起光408を生成することができる。その理由は、主信号光と位相共役光の間の位相関係に含まれる励起光位相を一回の二次非線形素子を使って取り出すことができるためである。これにより、本実施の形態では、送信器4から主信号光群403と共にパイロットトーンを同送する必要がなくなるため、伝送帯域全体に主信号光群を密に詰めて伝送することが可能となり、またパイロットトーンの同送により光ネットワークの構成が限定されることを回避することができる。
また、本実施の形態では、信号の変調フォーマットとしてQPSKを用いる例で説明したが、8PSKや16PSKといった、位相方向に多値度を上げた変調フォーマットに対しても、より高次の非線形過程や複数の非線形過程を組み合わせたような複雑な構成は必要なく、本実施の形態で説明した構成とまったく同じ構成で励起光を生成することが可能である。したがって、本実施の形態によれば、多値の変調フォーマットの変調信号を増幅することができ、また複数の変調信号を波長多重したWDM信号を一括して増幅することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の全てを使って和周波光を生成し、この和周波光から励起光を生成する例である。第1の実施の形態では、WDM信号等の、複数の搬送キャリアを有するマルチキャリア信号の内、特定の1対の主信号光と位相共役光を用いた構成であった。このような第1の実施の形態の構成は、PSAに到達した主信号光と位相共役光との対の光パワーが十分に強い場合は問題ないが、長距離の光ファイバ伝送後では光パワーを十分確保できない場合も考えられる。そこで、光パワーが十分でない場合においても、送信器の励起光と位相同期した局発光を生成し、マルチキャリア信号を一括で位相感応光増幅可能な中継光増幅器構成を提供する。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る送信器とPSAの構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。送信器4の構成は第1の実施の形態で説明したとおりである。
本実施の形態のPSA5aは、分波器50と、EDFA52と、BPF53と、和周波発生用の二次非線形光学素子54と、局発光源55と、サーキュレータ56と、光ファイバ伸縮器57と、半導体光増幅器58と、光パラメトリック増幅用の二次非線形光学素子59と、分波器60と、光検出器61と、位相同期ループ回路62とを備える。光ファイバ伸縮器57と分波器60と光検出器61と位相同期ループ回路62とは、位相調整機構を構成している。
送信器4の動作は第1の実施の形態で説明したとおりであり、送信器4からは主信号光群403が出力される。図4(A)に主信号光群403のスペクトルを示す。図2(A)〜図2(C)と同様に、図4(A)〜図4(C)の縦軸は光強度、横軸は波長である。このように、本実施の形態では、送信器4から、基本波光、励起光あるいはパイロットトーンといった付加的な信号を同送することなく、主信号光400と位相共役光404のみを送出する。
PSA5aの分波器50は、主信号光群403の一部を分岐させてEDFA52に入射させる。ここで一部とは、全ての主信号光と位相共役光の対の光パワーの一部を意味する。もちろん全てではなく、特定の主信号光と位相共役光の複数対の光パワーの一部でもよい。本実施の形態では、分波器50で分波した主信号光群を波長分離フィルタで抜きだすことなく、主信号光と位相共役光の全ての対を用いる。
EDFA52は、分波器50の出力光を1W程度の光パワーまで増幅する。BPF53は、EDFA52によって発生したノイズ光を排除し、分波器50によって分波された主信号光群のみを透過させる。
BPF53を透過した主信号光群が二次非線形光学素子54に入射すると、PPLN導波路540により主信号光と位相共役光との和周波光407が発生し、和周波光407がサーキュレータ56に入射する。第1の実施の形態と同様に、和周波光407をサーキュレータ56を通して局発光源55に光注入同期することで、和周波光407と位相同期した局発光である中継器内励起光408を生成することができる(図4(B))。
本実施の形態において、和周波光は、各々の主信号光とその位相共役光との間で対毎に生成されるが、全ての和周波光の周波数が一致し、かつ全ての和周波光の位相Φsfgが励起光の位相Φpumpとなる。したがって、同位相での重ねあわせにより、第1の実施の形態のように1対の主信号光と位相共役光を用いる場合よりも高強度の和周波光407を生成することができる。
通常の光ファイバ伝送では、送信器4の出力パワー(または光ファイバ6への入力パワー)は0〜−10dBm/ch程度であるが、ここでは−10dBm/chで主信号光群が光ファイバ6に入射した場合を考えてみる。100km程度の光ファイバ伝送では20dB程度の損失を受けるため、PSA5aへの入力パワーは、−30dBm/chほどとなる。
PSA5aにおいては、パラメトリック増幅媒質(PPLN導波路591)よりも前段の光損失は増幅器全体としての雑音指数(NF)を直接劣化させるため、二次非線形光学素子59の前段に位置する分波器50の損失は小さい方がよい。そのため、キャリア再生のために分波器50で分波する光のパワーとしては、1%未満が望ましい。
したがって、第1の実施の形態のように1対の主信号光と位相共役光を用いる場合、キャリア再生に用いるための光パワーは−50dBm程度となってしまう。このように光パワーが極度に小さいと、和周波発生を用いるキャリア再生の効率が低くなり、PSAを駆動するための励起光408のS/Nが劣化してしまうという問題がある。
これに対して、本実施の形態では、マルチキャリア信号の全ての主信号光と位相共役光との対を用いることができる。例えば、100波多重のWDM信号を用いる場合では、1%の分波であっても、キャリア再生に用いるための光パワーを−30dBmまで高めることができる。−30dBm程度の光パワーがあれば、通常市販されているEDFA等で容易に増幅可能であり、中継器内励起光408のS/Nの劣化も大幅に緩和することができる。
このように、本実施の形態では、送信器4内で差周波発生に用いた励起光402と同じ位相を持つ中継器内励起光408を高感度にPSA5a内で再生することができ、位相同期したS/Nの高い中継器内励起光408を用いて位相感応増幅が実現できる(図4(C))。その他の構成は第1の実施の形態で説明したとおりである。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群のうち1対の主信号光と位相共役光を選んで和周波光を生成し、この和周波光と第1の局発光との差周波光を生成し、この差周波光を波長1.56μm帯の第2の局発光源に光注入同期し、光注入同期した第2の局発光と第1の局発光との和周波光を生成することにより、励起光を生成する例である。
第1、第2の実施の形態では、中継器内局発光源55、サーキュレータ56、半導体光増幅器58等の、信号波長のおよそ半分の波長で動作する光部品を用いる必要があった。具体的には、信号波長が1.56μm帯の場合、局発光の光部品としては0.78μm帯で動作する光部品が必要となる。しかしながら、0.78μm帯は通常の伝送システムでは用いられていないため、光部品の信頼性や価格、入手の容易性を考えると、これらの光部品を信号波長と同じ1.56μm帯で構成できることが望ましい。特に、信頼性確保の難しい局発光源や半導体光増幅器は、信頼性の高い1.56μm帯の部品を用いることが望ましい。
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る送信器とPSAの構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。送信器4の構成は第1の実施の形態で説明したとおりである。
本実施の形態のPSA5bは、分波器50と、波長分離フィルタ51と、EDFA52と、BPF53と、和周波発生用の二次非線形光学素子54と、光パラメトリック増幅用の二次非線形光学素子59と、分波器60と、光検出器61と、位相同期ループ回路62と、局発光源63と、分波器64と、差周波発生用の二次非線形光学素子65と、BPF66と、局発光源67と、サーキュレータ68と、合波器69と、PZT圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器70と、EDFA71と、BPF72と、和周波発生用の二次非線形光学素子73とを備えている。これらのうち、分波器60と光検出器61と位相同期ループ回路62と光ファイバ伸縮器70とは、位相調整機構を構成している。
送信器4の動作は第1の実施の形態で説明したとおりであり、送信器4からは主信号光群403が出力される。図6(A)に主信号光群403のスペクトルを示す。図2(A)〜図2(C)と同様に、図6(A)〜図6(E)の縦軸は光強度、横軸は波長である。このように、送信器4からは、基本波光、励起光あるいはパイロットトーンといった付加的な信号を同送することなく、主信号光400と位相共役光404のみを送出する。
PSA5b内の分波器50と波長分離フィルタ51とEDFA52とBPF53と二次非線形光学素子54の動作は第1の実施の形態で説明したとおりであり、送信器4の励起光402と位相同期した和周波光407を生成することができる(図6(B))。図6(B)における405は波長分離フィルタ51によって分離された主信号光、406は主信号光405の位相共役光である。
局発光源63は、第1の局発光412を出力する。二次非線形光学素子65は、入力側のダイクロイックミラー650と、PPLN導波路651とを含む。二次非線形光学素子54から出力された和周波光407と局発光源63から出力された第1の局発光412とは、ダイクロイックミラー650により合波され、PPLN導波路651に入射する。これにより、和周波光407と第1の局発光412との差周波光がPPLN導波路651において発生する。この差周波光がシード光413となる(図6(C))。
シード光413の位相Φseedは、励起光402と位相同期した和周波光407の位相Φpumpと、第1の局発光412の位相ΦLO1とを用いて、式(5)のように表すことができる。
Φseed=Φpump−ΦLO1 ・・・(5)
BPF66は、二次非線形光学素子65の出力から和周波光407と第1の局発光412とを排除し、シード光413のみを透過させる。局発光源67は、第2の局発光414を出力する。BPF66から出力されたシード光413をサーキュレータ68を通して局発光源67に光注入同期することで、第2の局発光414をシード光413と位相同期させる。
分波器64は、局発光源63から出力された第1の局発光412の一部を分岐させる。合波器69は、分波器64によって分波された第1の局発光412とサーキュレータ68から出射した第2の局発光414とを合波する。EDFA71は、第1の局発光412と第2の局発光414との合波光を1W程度まで増幅する。BPF72は、EDFA71によって発生したノイズ光を排除し、第1の局発光412と第2の局発光414との合波光のみを透過させる。
二次非線形光学素子73は、PPLN導波路730と、出力側のダイクロイックミラー731とを含む。BPF72を透過した光が二次非線形光学素子73に入射すると、PPLN導波路730により第1の局発光412と第2の局発光414との和周波光が発生し、ダイクロイックミラー731により和周波光と、第1の局発光412および第2の局発光414とが分離され、分離された和周波光が二次非線形光学素子59に入射する。この和周波光が位相感応増幅のための中継器内励起光415となる(図6(D))。
このとき、励起光415の位相Φsfgは式(6)のように表すことができる。
Φsfg=ΦLO1+ΦLO2=ΦLO1+Φpump−ΦLO1=Φpump
・・・(6)
式(6)によれば、送信器4内で差周波光発生に用いた励起光402と同じ位相を持つ中継器内励起光415を中継器内のPSA5bで再生できることが分かる。
第1の実施の形態と同様に、送信器4から送信された主信号光群403と二次非線形光学素子73から出射した中継器内励起光415とは、二次非線形光学素子59のダイクロイックミラー590により合波され、PPLN導波路591に入射する。PPLN導波路591は、パラメトリック増幅効果により、主信号光群403を一括して位相感応光増幅する(図6(E))。図5、図6(E)における409は増幅された主信号光群である。
第1の実施の形態と同様に、PSA5bの分波器60は、増幅された主信号光群409の一部を分岐させて光検出器61に入射させる。位相同期ループ回路62は、光検出器61で検出される信号が最大となるように、光ファイバ伸縮器70に駆動信号をフィードバックする。光ファイバ伸縮器70は、第1の局発光412と第2の局発光414との合波光が伝搬する光ファイバを、位相同期ループ回路62から出力された駆動信号に応じて伸縮させる。
以上のように、本実施の形態では、信号波長と同じ波長帯の局発光源63,66およびEDFA71を用いて、送信器4の励起光402と同じ位相を持つ中継器内励起光415を中継器内のPSA5bで再生することができる。その結果、本実施の形態では、信頼性の高い信号波長帯の部品を用いることができる。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、特定の1対の主信号光と位相共役光とを用いて中継器内励起光415を再生したが、これに限るものではなく、第2の実施の形態のように複数対の主信号光と位相共役光とを用いて中継器内励起光415を再生するようにしてもよい。この場合は、第2の実施の形態と同様に、図5に示した構成から波長分離フィルタ51を削除して、分波器50の分波出力をEDFA52に入力すればよい。
なお、本実施の形態の例では、第1の局発光412と第2の局発光414とは同じ信号波長1.56μm帯に属するが、波長が異なり、第2の局発光414の方が第1の局発光412よりも波長が長い。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群のうち1対の主信号光と位相共役光をCW光とし、CWの主信号光を第1の局発光に光注入同期し、CWの位相共役光を第2の局発光に光注入同期し、光注入同期した第1の局発光と光注入同期した第2の局発光との和周波光を生成することにより、励起光を生成する例である。
第1〜第3の実施の形態では、信号の変調方式として、QPSK、8PSK、16PSKといった、位相方向に多値度を上げた変調フォーマットを使用していた。さらに強度方向にも多値度化した、16QAM、32QAM,64QAM、128QAMといった信号に対しても、動作可能であるが、和周波光生成によるキャリア再生時に強度変動が残留し、注入同期により強度変動は緩和するものの、微小な強度変動が励起光に重畳してしまうという問題があった。
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る送信器とPSAの構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態の送信器4cは、複数の信号光源40−1〜40−5と、複数の外部変調器41−1,41−2,41−4,41−5と、波長多重合波器42と、局発光源43と、EDFA44と、BPF45と、第二高調波発生用の二次非線形光学素子46と、差周波発生用の二次非線形光学素子47とを備えている。
本実施の形態のPSA5cは、分波器50と、光パラメトリック増幅用の二次非線形光学素子59と、分波器60と、光検出器61と、位相同期ループ回路62と、波長分離フィルタ74と、局発光源75,76と、サーキュレータ77,78と、波長合波フィルタ79と、PZT圧電素子を用いた光ファイバ伸縮器80と、BPF82と、和周波発生用の二次非線形光学素子83とを備えている。これらのうち、分波器60と光検出器61と位相同期ループ回路62と光ファイバ伸縮器80とは、位相調整機構を構成している。
本実施の形態では、送信器4cにおける多波長の光源もしくは複数キャリアの内の1波に変調をかけない連続波光(CW光)を用いる。図7の例では、複数の信号光源40−1〜40−5は、互いに波長が異なる複数の光を出力する。外部変調器41−1,41−2,41−4,41−5は、それぞれ信号光源40−1,40−2,40−4,40−5の出力光に対して送信データに応じたQPSK変調を施す。
一方、信号光源40−3については変調を施すことなく、信号光源40−3からのCW光が波長多重合波器42に入力される。波長多重合波器42は、外部変調器41−1,41−2,41−4,41−5および信号光源40−3の出力光を合波することで波長多重を行う。こうして、主信号光416が生成される。
局発光源43とEDFA44とBPF45と二次非線形光学素子46の動作は、第1の実施の形態で説明したとおりである。波長多重合波器42から出力された波長多重された主信号光416と二次非線形光学素子46から出力された励起光402とは、二次非線形光学素子47のダイクロイックミラー470により合波され、PPLN導波路471に入射する。これにより、主信号光416と励起光402との差周波光がPPLN導波路471において発生する。この差周波光が主信号光416に対する位相共役光となる。ダイクロイックミラー472は、主信号光416と位相共役光との複数対からなる主信号光群417と、励起光402とを分離し、主信号光群417を送信器4cの出力として光ファイバ6に送出する。
図8(A)に主信号光群417のスペクトルを示す。図2(A)〜図2(C)と同様に、図8(A)〜図8(C)の縦軸は光強度、横軸は波長である。図8(A)の418は主信号光416に対する位相共役光である。このように、1波の信号光にCW光(図8(A)の419)を用いることで、差周波発生によりCW光の位相共役光(図8(A)の420)が生成される。これにより、1対のCWの主信号光と位相共役光の対をマルチキャリア信号の内の任意の位置に生成することができる。
PSAでは、CWの主信号光と位相共役光の対の全てもしくは一部を分波し、第1、第3の実施の形態で示した構成を用いれば、強度方向にも多値度化した信号に対しても位相感応増幅が実現できる。しかしながら、第2の実施の形態でも述べたように1対の主信号光と位相共役光では、光パワーが弱い場合があるため、本実施の形態では別の形態を示す。
本実施の形態のPSA5cの分波器50は、主信号光群417の一部を分岐させて波長分離フィルタ74に入射させる。波長分離フィルタ74は、主信号光群417からCWの主信号光419とCWの位相共役光420とを分離し、CWの主信号光419をサーキュレータ77に入射させると共に、CWの位相共役光420をサーキュレータ78に入射させる。
局発光源75は第1の局発光を出力し、局発光源76は第2の局発光を出力する。波長分離フィルタ74から出力されたCWの主信号光419をサーキュレータ77を通して局発光源75に光注入同期することで、第1の局発光をCWの主信号光419と位相同期させる。同様に、波長分離フィルタ74から出力されたCWの位相共役光420をサーキュレータ78を通して局発光源76に光注入同期することで、第2の局発光をCWの位相共役光420と位相同期させる。
波長合波フィルタ79は、サーキュレータ77から出射した第1の局発光とサーキュレータ78から出射した第2の局発光とを合波する。EDFA81は、第1の局発光と第2の局発光との合波光を1W程度まで増幅する。BPF82は、EDFA81によって発生したノイズ光を排除し、第1の局発光と第2の局発光との合波光のみを透過させる。
二次非線形光学素子83は、PPLN導波路830と、出力側のダイクロイックミラー831とを含む。BPF82を透過した光が二次非線形光学素子83に入射すると、PPLN導波路830により第1の局発光と第2の局発光との和周波光が発生し、ダイクロイックミラー831により和周波光と、第1の局発光および第2の局発光とが分離され、分離された和周波光が二次非線形光学素子59に入射する。この和周波光が位相感応増幅のための中継器内励起光421となる(図8(B))。図8(B)における422は第1の局発光、423は第2の局発光である。
第1の実施の形態と同様に、送信器4cから送信された主信号光群417と二次非線形光学素子83から出射した中継器内励起光421とは、二次非線形光学素子59のダイクロイックミラー590により合波され、PPLN導波路591に入射する。PPLN導波路591は、パラメトリック増幅効果により、主信号光群417を一括して位相感応光増幅する(図8(C))。図7、図8(C)における409は増幅された主信号光群である。
第1の実施の形態と同様に、PSA5cの分波器60は、増幅された主信号光群409の一部を分岐させて光検出器61に入射させる。位相同期ループ回路62は、光検出器61で検出される信号が最大となるように、光ファイバ伸縮器80に駆動信号をフィードバックする。光ファイバ伸縮器80は、第1の局発光と第2の局発光との合波光が伝搬する光ファイバを、位相同期ループ回路62から出力された駆動信号に応じて伸縮させる。
本実施の形態で示した構成により、16QAM、32QAM,64QAM、128QAMといった強度方向にも多値度化した信号に対しても高い強度変動の無い中継器内励起光421を生成することができ、マルチキャリア信号を一括で位相感応光増幅可能なPSAを実現することができる。
なお、波長分離したCWの主信号光とCWの位相共役光は、合波までの間は光路が異なるため、独立の位相変動が生じる。このため、波長分離フィルタ74と波長合波フィルタ79までの間は、空間光学系や光導波路回路を用いて位相変動の少ない光路とすることがより望ましい。
また、波長分離フィルタ74から波長合波フィルタ79までの間を光ファイバで接続する場合は、CWの主信号光が伝搬する光路とCWの位相共役光が伝搬する光路の差を小さくし、光路内にファイバ伸縮器などの位相調整機構を設け、波長合波フィルタ79の出力の一部をモニタして、位相調整機構へフィードバックを行い、光ファイバの環境温度や音響振動等により位相変動を打ち消す構成としてもよい。
本実施の形態の例では、第1の局発光と第2の局発光とは同じ信号波長1.56μm帯に属するが、波長が異なり、第1の局発光の方が第2の局発光よりも波長が長い。
第1〜第4の実施の形態で用いた二次非線形光学素子46,47,54,59,65,73,83を構成するリッジ導波路の材料は一例にすぎない。すなわち、リッジ導波路は、LiNbO3、KNbO3、LiTaO3、LiNb(x)Ta(1-x)3(0≦x≦1)、またはKTiOPO4のいずれかを用いて構成してもよく、これらにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えてもよい。
本発明は、光信号を増幅する技術に適用することができる。
4,4c…送信器、5,5a,5b,5c…位相感応光増幅器、6…光ファイバ、40−1〜40−5…信号光源、41−1〜41−5…外部変調器、42…波長多重合波器、43,55,63,67,75,76…局発光源、44,52,71…エルビウム添加ファイバレーザ増幅器、45,53,66,72,82…バンドパスフィルタ、46,47,54,59,65,73,83…二次非線形光学素子、50,60,64…分波器、51…波長分離フィルタ、56,68,77,78…サーキュレータ、57,70,80…光ファイバ伸縮器、58…半導体光増幅器、61…光検出器、62…位相同期ループ回路、69…合波器、74…波長分離フィルタ、79…波長合波フィルタ、460,471,540,591,651,730,830…PPLN導波路、461,470,472,541,590,591、650,731,831…ダイクロイックミラー。

Claims (8)

  1. 外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる分波器と、
    この分波器の出力光を増幅する第1の光増幅器と、
    この第1の光増幅器の出力光を入力とし、前記主信号光と前記位相共役光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、
    局発光を出力する局発光源と、
    前記第1の二次非線形光学素子から出力された和周波光を前記局発光源に光注入同期するサーキュレータと、
    前記サーキュレータの出力光を増幅する第2の光増幅器と、
    この第2の光増幅器の出力光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、
    この第2の二次非線形光学素子に入射する前記励起光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第2の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とする位相感応光増幅器。
  2. 外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる第1の分波器と、
    この分波器の出力光を増幅する第1の光増幅器と、
    この第1の光増幅器の出力光を入力とし、前記主信号光と前記位相共役光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、
    第1の局発光を出力する第1の局発光源と、
    前記和周波光と前記第1の局発光との差周波光を発生させるための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、
    第2の局発光を出力する第2の局発光源と、
    前記第2の二次非線形光学素子から出力された差周波光を前記第2の局発光源に光注入同期するサーキュレータと、
    前記第1の局発光の一部を分岐させる第2の分波器と、
    この第2の分波器によって分波された第1の局発光と前記サーキュレータから出射した第2の局発光とを合波する合波器と、
    この合波器の出力光を増幅する第2の光増幅器と、
    この第2の光増幅器の出力光に含まれる前記第1の局発光と前記第2の局発光との和周波光を発生させるための第3の光導波路を備えた第3の二次非線形光学素子と、
    この第3の二次非線形光学素子から出力された和周波光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第4の光導波路を備えた第4の二次非線形光学素子と、
    前記合波器を出射した前記第1の局発光と前記第2の局発光との合波光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第4の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とする位相感応光増幅器。
  3. 請求項1または2記載の位相感応光増幅器において、
    さらに、前記第1の光増幅器の前段に、前記主信号光群から特定の主信号光と位相共役光の対のみを分離して前記第1の光増幅器に入力する波長分離フィルタを備えることを特徴とする位相感応光増幅器。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位相感応光増幅器において、
    外部から入力される前記主信号光群は、それぞれ送信データに応じた変調が施された複数の主信号光と、これらの主信号光と送信器内励起光との差周波光として生成された複数の位相共役光とからなることを特徴とする位相感応光増幅器。
  5. 外部から入力された主信号光と位相共役光との複数対からなる主信号光群の一部を分岐させる分波器と、
    この分波器の出力光に含まれる、連続波の主信号光とこれに対応する連続波の位相共役光とを分離する波長分離フィルタと、
    第1の局発光を出力する第1の局発光源と、
    第2の局発光を出力する第2の局発光源と、
    前記連続波の主信号光を前記第1の局発光源に光注入同期する第1のサーキュレータと、
    前記連続波の位相共役光を前記第2の局発光源に光注入同期する第2のサーキュレータと、
    前記第1のサーキュレータから出射した第1の局発光と前記第2のサーキュレータから出射した第2の局発光とを合波する波長合波フィルタと、
    この波長合波フィルタの出力光を増幅する光増幅器と、
    この光増幅器の出力光を入力とし、前記第1の局発光と前記第2の局発光との和周波光を発生させるための第1の光導波路を備えた第1の二次非線形光学素子と、
    この第1の二次非線形光学素子から出力された和周波光を励起光として、外部から入力された前記主信号光群のパラメトリック増幅を行うための第2の光導波路を備えた第2の二次非線形光学素子と、
    前記波長合波フィルタを出射した前記第1の局発光と前記第2の局発光との合波光の位相を制御することにより、前記主信号光群の位相と前記励起光の位相とを前記第2の光導波路内において同期させる位相調整機構とを備えることを特徴とする位相感応光増幅器。
  6. 請求項5記載の位相感応光増幅器において、
    外部から入力される前記主信号光群は、それぞれ送信データに応じた変調が施された複数の第1の主信号光と、これら第1の主信号光と送信器内励起光との差周波光として生成された複数の第1の位相共役光と、連続波の第2の主信号光と、この第2の主信号光と前記送信器内励起光との差周波光として生成された連続波の第2の位相共役光とからなり、
    前記波長分離フィルタは、前記分波器の出力光から前記連続波の第2の主信号光と前記連続波の第2の位相共役光とを分離して取り出すことを特徴とする位相感応光増幅器。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の位相感応光増幅器において、
    前記二次非線形光学素子内の光導波路として、直接接合リッジ導波路を用いることを特徴とする位相感応光増幅器。
  8. 請求項7記載の位相感応光増幅器において、
    前記直接接合リッジ導波路は、LiNbO3、KNbO3、LiTaO3、LiNb(x)Ta(1-x)3(0≦x≦1)、またはKTiOPO4のいずれかの材料から構成されるか、これらの材料のいずれかにMg、Zn、Sc、Inからなる群から選ばれた少なくとも一種を添加物として加えた材料から構成されることを特徴とする位相感応光増幅器。
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