JP2019157430A - 支持ユニット、及びロープ耐震ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を削減して構成を簡略化したロープ耐震ユニットを提供する。【解決手段】ロープ耐震ユニット1は、建築枠体100の対角位置に対向配置された2つの仕口部103a,103cに夫々配置される支持ユニット10A,10Bと、各支持ユニットにより両端部を支持されることにより建築枠体の対角線Aに沿って張設されるブレース材として機能するロープRとを備える。少なくとも一方の支持ユニット10Aは、仕口部に固定されるベース部材11と、ベース部材により対角線と直交する回転軸を中心として回転自在に支持された回転支持部材33と、回転支持部材に取り付けられてロープの一端を固定するロープ支持部材41とを備える。ロープ支持部材は、対角線と直交する回転軸を中心として自在に回転すると共に、対角線方向へ自在に出没するように、回転支持部材によって直接に支持される。【選択図】図1

Description

本発明は、建築物を耐震補強するブレース材(筋交い材)として機能するロープを支持するための支持ユニット、及びブレース材として上記ロープを用いたロープ耐震ユニットに関する。
木造建築物や軽量鉄骨造の建築物を補強するために、建築物の柱間や梁間に対角線に沿ってブレース材を設置することが一般的に行われている。ブレース材を設置することによって、建築物の水平方向の揺れに対する強度を高めることができる。ブレース材には木製や金属製等、湾曲や屈曲しない硬質の材料を用いることが多いが、近年では、自在に湾曲や屈曲させることが可能であって充分な引っ張り強度を有した線状の材料(線材)が用いられている。
特許文献1には、線材から成るブレース材としてワイヤロープを用いた建築構造体の補強部材が記載されている。この補強部材は、矩形状の建築構造体の対角部分に取り付けられる1組の連結取付部材と、各連結取付部材に対してボルトにより建築構造体の対角線と直交する軸線を中心として回転自在に夫々支持される羽子板部材と、軸方向の一端部が一方の羽子板部材に接続されるターンバックルと、長手方向の一端部がターンバックルの軸方向の他端部に固定され、長手方向の他端部が他方の羽子板部材に固定されるワイヤロープとを備えている。
特許文献1において、羽子板部材はボルトにより対角線と直交する軸線を中心として回転自在に支持されており、ワイヤロープの張設角度が対角線の角度に合わせて変更可能に構成されている。
また、ワイヤロープを建築物等に設置する際には、ワイヤロープに対して所定の初期張力を与えて緊張させる必要がある。ワイヤロープの張力を調整する部品としてはターンバックルを用いることが一般的であり、特許文献1に記載の補強部材にもターンバックルが用いられている。
特開2000−154593公報
特許文献1に記載されているように、構造材に対してブレース材としてのワイヤロープの張設角度を変更できるように構成すると共に、ワイヤロープの張力調整手段としてターンバックルを備える構成とすると、補強部材の部品点数が増大するという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減して構成を簡略化した支持ユニット、及びロープ耐震ユニットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、少なくとも4個の仕口部を有した建築枠体の対角位置に対向配置された2つの前記仕口部に夫々固定されて、前記建築枠体の対角線に沿って張設されるロープの両端部を支持する支持ユニットであって、少なくとも一方の前記支持ユニットは、一つの前記仕口部に固定されるベース部材と、前記ベース部材により前記対角線と交差する回転軸を中心として回転自在に支持された回転支持部材と、前記回転支持部材に取り付けられて前記ロープの一端を固定するロープ支持部材と、を備え、前記ロープ支持部材は、前記回転支持部材により前記対角線方向へ出没自在に構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、ロープ支持部材が回転支持部材により対角線方向に出没自在に構成されているので、部品点数を削減でき、構成を簡略化できる。
(a)は本発明の一実施形態に係るロープ耐震ユニットが取り付けられた建築枠体の一例を示す正面図であり、(b)は建築枠体を示す正面図である。 本発明の第一の実施形態に係る支持ユニットを示す斜視図である。 本発明の第一の実施形態に係る支持ユニットを示す分解斜視図である。 取付板を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は取付孔の選定例を示す正面図である。 (a)、(b)は、支持ユニットに対するロープの固定方法を説明する一部断面図である。 本発明の第二の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す一部断面図である。 本発明の第三の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す斜視図である。 本発明の第四の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す斜視図である。 (a)、(b)は、本発明の第五の実施形態に係るロープ耐震ユニットが取り付けられた建築枠体の一例を示す一部断面正面図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一の実施形態〕
<建築枠体>
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るロープ耐震ユニットが取り付けられた建築枠体の一例を示す正面図であり、(b)は建築枠体を示す正面図である。
図示する建築枠体100は矩形状であり、4個の枠材101(101a〜101d)を直交(交差)させることにより形成されている。建築枠体100は、互いに直交する2つの枠材の組によって形成される4つの角隅部に夫々仕口部(接合部)103(103a〜103d)を有している。
建築枠体100は、例えば図示しない金具、ネジ等により連結された木材から構成されており、建築物の一部を構成する。建築枠体100は、例えば地盤面に対して起立した柱等からなる2つの垂直材(枠材101a、101c)と、地盤面と水平な土台や梁等からなる2つの水平材(枠材101b、101d)により形成される架構である。
<ロープ耐震ユニット>
建築枠体100には、本発明の実施形態に係るロープ耐震ユニット1が取り付けられる。ロープ耐震ユニット1は、建築枠体100の対角位置に(対角線A方向に)対向して配置された2つの仕口部103a、103cに夫々配置される支持ユニット10(10A、10B)と、各支持ユニット10A、10Bにより両端部を支持されることにより建築枠体100の対角線Aに沿って張設されるロープRと、を備えている。ロープ耐震ユニット1は、建築物の耐震補強手段であり、建築枠体100の対角線Aに沿って(対角線A方向に)張設されるロープRがブレース材として機能する。なお、ロープRはブレース材として機能することができる程度に、概ね建築枠体100の対角線Aに沿って張設されていればよい。
以下、矩形状の建築枠体100にロープ耐震ユニット1を取り付ける例により本発明を説明するが、本発明の適用範囲は矩形状の建築枠体100に限定されるものではなく、複数の枠材101が交差(直交に限らない)する部位の全てに適用可能である。また、以下の説明では、柱等の垂直材、及び土台や梁等の水平材により建築枠体100が構成される例を示すが、垂直材や水平材以外によりフレーム状の建築枠体が構成される全ての部位、例えば屋根を構成する枠材及びこの枠材により形成される建築枠体にも本発明を適用可能である。
<支持ユニット>
図2は、本発明の第一の実施形態に係る支持ユニットを示す斜視図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係る支持ユニットを示す分解斜視図である。
図1(a)に示すように、ロープ耐震ユニット1は2つの支持ユニット10(10A、10B)を備えている。2つの支持ユニット10A、10Bのうちの少なくとも一方の支持ユニット10Aは、1つの仕口部103に固定されるベース部材11と、ベース部材11により建築枠体100の対角線A(図1(b)参照)と直交(交差)する軸線B(図2参照)を中心として回転自在に支持された回転支持部材33と、回転支持部材33に対して着脱自在に取り付けられて、ロープRの一端を固定するロープ支持部材41とを備えている。
ロープ耐震ユニット1を構成する他方の支持ユニット10Bは、ロープ支持部材41を省略した構成とすることができる(図1(a)、図5参照)。
<ベース部材>
図2、図3に示すように、ベース部材11は、建築枠体100の仕口部103(建築枠体100の角隅部の内側面)に夫々固定される概略矩形状、且つ互いの板面が直交するように配置された一組の取付板13、13と、両取付板13、13の幅方向の各端縁間を夫々接続一体化すると共に、回転支持部材33をその軸線Bを中心として図中矢印C方向に正逆回転自在に支持する対向配置された一組の支持板21、21と、を備える。本例において支持板21、21は取付板13、13に対して、支持板21、21の板面が取付板13、13の板面に直交するように配置されている。
<取付板>
図4は、取付板を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は取付孔の選定例を示す正面図である。以下、取付板13に関しては、枠材101へ取り付けたときに枠材101の長手方向(又は軸方向)に沿う方向を長手方向とし、枠材101の幅方向(又は短手方向)に沿う方向を幅方向として説明する。
各取付板13には、取付板13を枠材101に対して固定するための、複数の取付孔15(4つの大径孔15a〜15d)、及び複数の取付孔17(4つの小径孔17a〜17d)が貫通形成されている。取付孔のうち大径孔15a〜15dは、取付板13の幅方向の中央部に、その長手方向に沿って等間隔で配置されている。取付孔のうち小径孔17a〜17dは、取付板13の中心点Oを対称の中心として点対称に配置されている。小径孔17a、17bは長手方向一端部に位置する大径孔15aに隣接して配置されており、小径孔17c、17dは、長手方向他端部に位置する大径孔15dに隣接して配置されている。
取付板13、13は、建築枠体100を構成する枠材101に対して、留め具19(図1(a)、図4(b)参照)を用いて固定される。本例における留め具19には、引き抜き方向に対して所定の耐力を持つコーススレッドや木ネジ等の固定ネジが用いられる。取付板13、13は、取付孔15、17を介して留め具19を枠材101に打ち込む(ねじ込む)ことにより枠材101に対して固定される。
図4(b)に示すように、1つの枠材101aの表裏両面に(背中合わせとなる位置に)取付板13A、13Bを取り付ける場合は、両取付板13A、13Bを枠材101aに固定する留め具19が互いに重ならない(干渉しない、或いは、互いの締結力に影響を与えない)位置となるように、留め具19を打ち込む取付孔15、17を選定する。
例えば、枠材101aの一面(表面、図中左側面)に固定される取付板13Aでは、長手方向の一端部に位置する大径孔15aと、これと一つ間を空けた位置にある大径孔15cと、長手方向の他端部に位置する小径孔17c、17dに留め具19を打ち込む。また、枠材101aの反対面(裏面、図中右側面)に固定される取付板13Bでは、長手方向の他端部に位置する大径孔15dと、これと一つ間を空けた大径孔15bと、長手方向の一端部に位置する小径孔17a、17bに留め具19を打ち込む。このようにすることで表裏の位置関係にある留め具19同士が干渉せず、枠材101aの表裏両面において取付板13A、13Bの固定に必要な固定力を確保することができる。
図2、図3に示すように、2つの取付板13、13はベース部材11内で離間して配置されているため、ベース部材11を建築枠体100の仕口部103に取り付けたときに、2つの取付板13、13は建築枠体100の交差部105(図1(a)参照)には接触しないように取り付けられる。
<支持板>
図2、図3に示すように、支持板21は、概略扇形(或いはアーチ形)の平板であり、支持板21の周方向(図中矢印D方向)の各端部21a、21bが取付板13、13の幅方向の各端縁13a、13bと連接されている。支持板21は、ベース部材11を建築枠体100の仕口部103に取り付けたときに、建築枠体100の交差部105とは接触しないように建築枠体100の交差部105と近接する部位が扇状に切り欠かれた形状を有している。
対向する2つの支持板21、21の面内には、回転支持部材33を回転自在に支持する軸孔(軸支部)23、23が貫通形成されている。
<回転支持部材>
図2、図3に示すように、本例に示す回転支持部材33は、中実の円柱体(丸棒)により構成されている。回転支持部材33の軸線B方向の両端には、回転支持部材33よりも大径のフランジ部材37、37が固定されている。フランジ部材37、37は、ネジ39、39により、回転支持部材33の軸方向両端面に締結されている。
回転支持部材33の軸方向長は、ベース部材11の支持板21、21間の外寸E(支持板21、21の非対向面間の間隔)と略同等かこれよりもやや大きい長さに設定されている。回転支持部材33の外径は、回転支持部材33の軸孔23、23に挿通可能な大きさであり、軸孔23、23と略同等の大きさに設定されている。回転支持部材33は、幅方向両端部において支持板21、21の軸孔23、23によって回転自在に支持される。また、回転支持部材33は、その軸線が支持板21、21の板面と直交するように、2つの支持板21、21によって支持される。なお、回転支持部材33の少なくとも軸方向両端部が円柱状に形成されていれば、回転支持部材33の軸方向の中間部は角柱状であってもよい。
回転支持部材33の軸方向の中間部適所には、ロープ支持部材41を回転支持部材33の軸線B方向と直交(交差)する方向(図3中矢印F方向)に出没自在に支持するネジ穴35が貫通形成されている。ネジ穴35は、回転支持部材33の軸方向中央部から軸方向の一端寄りに偏心した位置に形成されている。
フランジ部材37、37は、軸孔23、23内を通過不能な形状及び大きさを有する板状の部材である。本例においてフランジ部材37、37は、軸孔23、23よりも大径の円板状の部材である。フランジ部材37、37は、支持板21、21の夫々の外側面(支持板21、21の非対向面)に添設された状態で、回転支持部材33の軸方向両端に締結される。即ち、フランジ部材37、37は、2つの支持板21、21を間に挟んだ状態で、回転支持部材33の軸方向両端に固定される。フランジ部材37、37は、回転支持部材33が軸孔23、23から脱落すること、及び、回転支持部材33が必要以上に軸線B方向へ進退することを阻止する。なお、2つのフランジ部材37、37の一方は、回転支持部材33に対して予め溶接等により固定されていてもよい。
<ロープ支持部材>
ロープ支持部材41は、ロープの一端を固定するロープ固定部43と、ロープ固定部43から突出する雄ネジ部45とを備える。本例に示すロープ支持部材41は所謂アイボルトであり、環状のアイ部がロープ固定部43を構成する。
雄ネジ部45は、回転支持部材33のネジ穴35に螺着する。雄ネジ部45の軸方向長は、ロープRに対して初期張力を与えるに足りる長さに設定されている。回転支持部材33に対するロープ支持部材41の取付位置はネジ穴35の形成位置に等しく、回転支持部材33の軸方向中央部から軸方向の一端寄りに偏心した位置に設定されている。
ロープ支持部材41は、回転支持部材33の回転支持部材33により、回転支持部材33の軸線Bと直交する方向に出没自在に構成されている。即ち、ロープ支持部材41は、ネジ穴35内における雄ネジ部45の回転に伴って、雄ネジ部45の軸線に沿って矢印F方向に進退する。
ここで、ロープ支持部材41は、回転支持部材33の軸線Bを中心として回転支持部材33と一体に図2中矢印C方向へ正逆自在に回転する。即ち、ロープ支持部材41は、回転支持部材33と一体に回転して雄ネジ部45の軸線Fが建築枠体100の対角線方向に伸びたとき、ロープ支持部材41は建築枠体100の対角線方向に出没する。
<ロープ>
図1(a)に示すように、ロープRは、支持ユニット10A、10Bによって張設されたときに、建築枠体100内でブレース材(筋交い材)として機能する。ロープRには金属製のワイヤや合成繊維等の人造繊維を用いることができる。ブレース材として機能させる線状の部材としてロープを用いる場合、ロープは湾曲又は屈曲させて適宜束ねてコンパクト化できるので、その運搬が容易になる。特に人造繊維を用いたロープは軽量であり、自在に折り畳むことができるので、現場への搬入が容易となり、作業スペースが限定的な箇所においても施工が可能となる。
ロープRを構成する人造繊維としては、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、炭素繊維、ガラス繊維、及びポリエステル繊維の少なくとも一つを用いることができる。
<使用方法>
ロープ耐震ユニット1の使用方法について説明する。
まず、図1に示すように、建築枠体100の対角方向に位置する少なくとも2つの仕口部103、103にベース部材11、11を夫々取り付ける。即ち、ベース部材11の取付板13、13を、互いに直交する2つの枠材101、101の角隅部の内側面に密着させて、何れかの取付孔15、17(図2等参照)から留め具19(本例では固定ネジ)を枠材101、101に打ち込むことにより、ベース部材11を仕口部103に固定する。
次に、ベース部材11に回転支持部材33を取り付ける。即ち、回転支持部材33の軸方向一端にフランジ部材37を固定した状態で、回転支持部材33の軸方向他端部を一方の支持板21の軸孔23から挿入して他方の支持板21の軸孔23に係止させる。軸孔23から露出した回転支持部材33の軸方向他端にフランジ部材37を固定して、回転支持部材33を2つの支持板21、21の軸孔23、23によって、図2中矢印C方向に回転自在に支持させる。
なお、建築枠体100の対角線A方向に位置する2つのベース部材11、11に夫々取り付けられる回転支持部材33、33の互いのネジ穴35、35の位置が枠材101の幅方向に重ならないように配置する。即ち、一方の回転支持部材33は、そのネジ穴35が枠材101の幅方向の一端寄り(例えば図1の紙面の奥側)となるようにし、他方の回転支持部材33は、そのネジ穴35が枠材101の幅方向の他端寄り(例えば図1の紙面の手前側)となるようにする。
続いて、ロープRの長手方向の一端部を一方の支持ユニット10Bの回転支持部材33に固定する。ロープRが人造繊維等、自在に折り畳める柔軟性を有する場合、回転支持部材33に対するロープRの固定には、結び目(ノット或いはロープワーク)を利用することができる。
図5(a)、(b)は、支持ユニットに対するロープの固定方法を説明する一部断面図である。支持ユニット10に対してロープRを結びつけて固定する場合は、地震の発生に伴ってロープRが緊張と弛緩を繰り返すような場合にも、自然には解けにくい結び方を利用するのが好適である。例えば、図5(b)に示すように、回転支持部材33に対するロープRの固定には、もやい結びや二重八の字結び等を利用することができる。ロープRの固定には、ロープ同士をかしめて固定する固定金具を用いてもよい。
図5(a)に示すように、ロープRの長手方向の他端部もロープRの一端部と同様に、結び目を作るか、固定金具によりロープ支持部材41のロープ固定部43に固定する。
最後に、ロープ支持部材41の雄ネジ部45を回転支持部材33のネジ穴35に螺着して、ロープRに対して所定の初期張力を与える。ここで、ロープ支持部材41の雄ネジ部45をネジ穴35に螺着する際には、予め雄ネジ部45のねじ込み方向とは反対の方向にロープRを捻っておき、初期張力を満たした段階でロープRが極力捻れないようにしておくことが望ましい。
<効果>
以上、本実施形態によれば、ロープRを回転支持部材33及びロープ支持部材41によって、回転支持部材33の軸線Bを中心として揺動可能に支持するので、枠材101、101に対する建築枠体100の対角線Aの角度に応じてロープRの張設方向を自在に調整できる。
本実施形態においては、回転支持部材33がロープ支持部材41を出没自在に支持するので、当該部分がロープRの張力調整手段として機能する。従来の構成に比べてターンバックル(張力調整手段)を省略することができるので、部品点数を削減できる。
張力調整手段としてのロープ支持部材41は、ロープ耐震ユニット1において1つあれば足りる。従って、一方の支持ユニット10AはロープRの長手方向の一端部をロープ支持部材41によって支持し、他方の支持ユニット10BはロープRの長手方向の他端部を回転支持部材33によって支持する構成とできる。この場合、支持ユニット10Aの回転支持部材33のネジ穴35の位置と、他方の支持ユニット10Bのネジ穴35の位置を枠材101の幅方向に重ならないように配置することで、支持ユニット10Bのネジ穴35とロープRの長手方向の他端部とが干渉せず、ネジ穴35によってロープが損傷するという事態を回避できる。
回転支持部材33のネジ穴35が回転支持部材33の軸方向の中心から一方に偏った位置に形成されているので、建築枠体100に複数(例えば2本)のロープRを配置する場合であっても、ロープRの位置を枠材101の幅方向にずらすことができ、ロープ同士の干渉によるロープの損傷を防止できる。なお、建築枠体100に2本のロープRを配置する使用例としては、建築枠体100内に配置した1組のロープ耐震ユニット1に2本のロープRを固定する場合や、建築枠体100内に配置した2組のロープ耐震ユニット1に夫々ロープRを固定して建築枠体100内にX字状にロープRを配置する場合等が考えられる。回転支持部材33の軸方向に複数のネジ穴35を形成して、枠材101の幅方向に3本以上のロープRを配置できるようにしてもよい。
上記実施形態においては、回転支持部材33を中実棒状としたが中空筒状としてもよい。この場合、回転支持部材33を軽量化及び低コスト化できる。また、回転支持部材33の軸方向中間部における横断面形状は円形状の他、多角形状としてもよい。また、回転支持部材33は、軸方向に一様の横断面形状を有していても、横断面形状が軸方向に変化する形状であってもよい。
本例においては、中実棒状の回転支持部材33の軸方向両端部を、対向配置された支持板21、21によって直接支持するので、ロープRの張設方向における強度を確保できる。
回転支持部材33に形成したネジ穴35は、ロープRに対する初期張力の設定に必要な長さを確保できれば、必ずしも回転支持部材33を貫通してなくてもよい。
〔第二の実施形態〕
図6は、本発明の第二の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す一部断面図である。本実施形態に係る支持ユニットにおいて回転支持部材は、ネジ山を有さない貫通した孔を備え、該孔によってロープ支持部材を出没自在に支持する点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略すると共に、主として第一の実施形態との相違点について説明する。
回転支持部材33の軸方向の一端寄り(軸方向の中央部から一端に偏った位置)には、軸線Bに対して直交する方向に挿通孔51が貫通形成されている。挿通孔51には、ロープ支持部材41の雄ネジ部45が挿通され、挿通孔51から突出する雄ネジ部45の先端部45aには、ナットNaが締結される。
本実施形態に係るロープ耐震ユニットの使用方法は以下の通りである。
図1に示すように、2つの支持ユニット10A、10Bを対角線A方向に位置する2つの仕口部103a、103cに夫々固定した後、ロープRの長手方向の両端部を支持ユニット10A、10Bに固定する。即ち、ロープRの長手方向の一方の端部を、図5(b)に示すように、支持ユニット10Bの回転支持部材33に対してもやい結び等を利用して結びつけて固定する。ロープRの長手方向の他方の端部は、図6に示すように、もやい結び等を利用して支持ユニット10Aのロープ支持部材41のロープ固定部43に結びつけて固定する。
図6に示すように、ロープ支持部材41の雄ネジ部45を回転支持部材33の挿通孔51内に挿通し、挿通孔51から突出した雄ネジ部45の先端部45aにナットNaを螺着して、ロープRに張力が加わった場合にロープ支持部材41が回転支持部材33から脱落しないようにする。また、雄ネジ部45に対するナットNaの位置を調整して、回転支持部材33に対する雄ネジ部45の軸線F方向における位置を、ロープRに必要な初期張力を与えることができる位置に設定する。
以上のように本実施形態によれば、ロープRに対して初期張力を与えるときにロープ支持部材41が回転しないので、ロープRが捻れないという効果がある。なお、図6に示すように、雄ネジ部45のロープ固定部43側(基端部45b)に任意でナットNbを螺着してもよい。ナットNbを螺着することにより、回転支持部材33に対してロープ支持部材41を雄ネジ部45の軸方向に固定でき、地震の発生に伴ってロープRが緊張と弛緩を繰り返すような場合にも、ロープ支持部材41が回転支持部材33に対してがたつくことを防止できる。
〔第三の実施形態〕
図7は、本発明の第三の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す斜視図である。本実施形態に係る支持ユニットにおいては、第一の実施形態における取付板13と支持板21とを同一平面状に配置した点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
支持ユニット10(10A)において、仕口部103に固定されるベース部材11は、対向配置される2つのベースプレート61、61を備える。ベースプレート61、61は、直交(又は交差)する2本の枠材101a、101bの内側に面した側面(内側面107)とは異なる側面(外側面108)に固定される。
ベースプレート61は、概略扇形状の支持板部63と、支持板部63の周方向(図中矢印D方向)両端部から延在すると共に枠材101a、101bの外側面108、108に夫々固定される取付片65、65とを備える。取付片65、65には取付孔(不図示)が貫通形成されており、ベースプレート61はネジや釘等の留め具19を利用して、枠材101a、101bの外側面108、108に両枠材101a、101b間に跨がって固定される。
本例においては、取付片65、65が支持板部63と同一平面上に位置するため、留め具19を建築枠体100の対角線と直交する方向に打ち込むことができる。従って、ロープRが負担する張力は、留め具19に対してそのせん断方向に働くため、建築枠体100に対するベース部材11の固定力が向上する。
〔第四の実施形態〕
図8は、本発明の第四の実施形態に係るロープ耐震ユニットの支持ユニットを示す斜視図である。以下、上記実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
支持ユニット10(10A)の支持板21、21は、夫々周方向(矢印D方向)の両端部から周方向に延在する取付片65、65を有する。本例において、支持板21、21の対向面間の間隔(支持板21、21間の内寸)は、枠材101の幅方向長と同等であり、取付片65、65は、枠材101の外側面108に添設される。即ち、取付片65、65は枠材101を幅方向に挟むように配置される。
本例によれば、取付片65が建築枠体100の外側面108に添設されるため、枠材101の幅方向におけるベース部材11の位置決めが容易となる。枠材101に対して取付板13と取付片65の双方を留め具19により固定することができるので、建築枠体100に対するベース部材11の固定力を向上させることができる。
〔第五の実施形態〕
図9(a)、(b)は、本発明の第五の実施形態に係るロープ耐震ユニットが取り付けられた建築枠体の一例を示す一部断面正面図である。
1つのロープ耐震ユニット1を構成する2個の支持ユニット10A、10Bのうち、一方の支持ユニット10Aの回転支持部材33に形成するネジ穴35を右ネジ(正ネジ)とし、他方の支持ユニット10Bの回転支持部材33に形成するネジ穴35を左ネジ(逆ネジ)としてもよい。
この場合、両支持ユニット10A、10Bの回転支持部材33、33には、夫々ロープ支持部材41、41の雄ネジ部45、45を夫々螺着し、ロープRの長手方向の両端部を夫々ロープ固定部43、43に結びつける。このようにすることで、2つのロープ支持部材41、41をロープRの軸線を中心として同一方向に回転させることで、ロープRを所望の緊張状態で張設することができる。
即ち、図9(a)に示すように2つのロープ支持部材41、41をロープRの軸線を中心として第一の方向G1に回転させることでロープを緊張させ、図9(b)に示すように2つのロープ支持部材41、41をロープRの軸線を中心として第二の方向G2に回転させることでロープを弛緩させることができる。
従って、本実施形態によれば、ロープRのねじれを防止しつつ、ロープRを適切な張力に調整できる。
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様に係る支持ユニット10(10A、10B)は、少なくとも4個の仕口部103a〜103dを有した建築枠体100の対角位置に対向配置された2つの仕口部に夫々固定されて、建築枠体の対角線Aに沿って張設されるロープRの両端部を支持する。
上記支持ユニットのうち、少なくとも一方の支持ユニット10Aは、一つの仕口部に固定されるベース部材11と、ベース部材により対角線と交差(直交)する回転軸Bを中心として回転自在に支持された回転支持部材33と、回転支持部材に取り付けられてロープの一端を固定するロープ支持部材41と、を備え、ロープ支持部材は、回転支持部材により対角線方向へ出没自在に構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、ロープを回転支持部材とロープ支持部材とによって、回転支持部材の軸線Bを中心として揺動可能に支持するので、建築枠体を構成する枠材101、101に対する対角線の角度に応じてロープの張設方向を自在に調整できる。
また、ロープ支持部材は、対角線方向に自在に出没するように回転支持部材によって直接支持されるので、支持ユニットの部品点数を削減でき、支持ユニットの構成を簡略化できる。
<第二の実施態様>
本態様に係る支持ユニット10において、ロープ支持部材41は、ロープRの一端を固定するロープ固定部43と、ロープ固定部の適所から突出する雄ネジ部45とを有しており、回転支持部材33は、雄ネジ部と螺着すると共に対角線A方向へ伸びるネジ穴35を有していることを特徴とする。
ロープ支持部材が建築枠体100の対角線方向に自在に出没するように、ロープ支持部材を回転支持部材によって直接支持する方法は幾つかある。例えば本態様のように、回転支持部材にネジ穴を形成し、ネジ穴に螺着する雄ネジ部をロープ支持部材に備えれば、ロープ支持部材は回転しながら回転支持部材から出没する。また、ロープ支持部材が回転支持部材から出没する量を調整することができる。
本態様によれば、支持ユニットの部品点数を削減でき、支持ユニットの構成を簡略化できる。
<第三の実施態様>
本態様に係る支持ユニット10において、ロープ支持部材41は、ロープの一端を固定するロープ固定部43と、ロープ固定部の適所から突出する雄ネジ部45と、雄ネジ部に螺着するナットNaとを有しており、回転支持部材33は、対角線A方向へ貫通形成されて雄ネジ部が挿通される挿通孔51を有していることを特徴とする。
ロープ支持部材が建築枠体100の対角線方向に自在に出没するように、ロープ支持部材を回転支持部材によって直接支持する方法は幾つかある。例えば本態様のように、回転支持部材に挿通孔を貫通形成し、挿通孔に挿通される雄ネジ部をロープ支持部材に備えれば、ロープ支持部材を回転支持部材から出没させることができると共に、雄ネジ部にナットを締結することによって出没量を調整することができる。
本態様によれば、支持ユニットの部品点数を削減でき、支持ユニットの構成を簡略化できる。
<第四の実施態様>
本態様に係る支持ユニット10において、回転支持部材33に対するロープ支持部材41の取付位置(回転支持部材におけるネジ穴35又は挿通孔51の形成位置)は、回転支持部材の軸方向一端寄りに設定されていることを特徴とする。
支持ユニット10(10A、10B)は、建築枠体100の対角位置に対向配置された2つの仕口部に夫々固定されて、建築枠体の対角線Aに沿って張設されるロープRの各端部を支持する。ロープRはブレース材として機能する。
建築枠体100に一本のロープRを設置する場合は、ロープの長手方向の一端部を支持ユニット10Aのロープ支持部材に固定し、ロープの長手方向の他端部を支持ユニット10Bの回転支持部材に固定することで、設置手順の簡略化と部品点数の削減を図る(ロープ支持部材を省略する)ことができる。ここで、支持ユニット10A、10Bとの間で構成部品を共通化するために、支持ユニット10Bの回転支持部材にロープ支持部材を取り付けるネジ穴35や挿通孔51が形成されている場合、ロープがネジ穴や挿通孔と干渉するとロープが損傷する虞がある。本態様によれば、回転支持部材のネジ穴又は挿通孔の位置を、支持ユニット10A、10Bとの間で建築枠体を構成する枠材101の幅方向にずらして配置することができ、ロープの損傷を防止できる。
また、建築枠体100に複数(例えば2本)のロープRを配置する場合には、ロープRの取付位置を枠材101の幅方向にずらすことができ、ロープ同士の干渉によるロープの損傷を防止できる。
<第五の実施態様>
本態様に係る支持ユニット10において、回転支持部材33は中実棒状であることを特徴とする。
回転支持部材を中実棒状とすることにより、回転支持部材にネジ穴35又は挿通孔51を形成しても、ロープRの張力に耐える強度を確保できる。
<第六の実施態様>
本態様に係るロープ耐震ユニット1は、少なくとも4個の仕口部103a〜103dを有した建築枠体100の対角位置に対向配置された2つの仕口部に夫々配置される支持ユニット10A、10Bと、各支持ユニットにより両端部を支持されることにより建築枠体の対角線Aに沿って張設されるロープRと、を備えている。
本態様は、ロープ耐震ユニットを構成する2つの支持ユニットのうち、少なくとも一方の支持ユニット10Aは、第一乃至第五の実施態様の何れかに記載の支持ユニットであることを特徴とする。即ち、少なくとも一方の支持ユニットは、一つの仕口部に固定されるベース部材11と、ベース部材により対角線と交差(直交)する回転軸Bを中心として回転自在に支持された回転支持部材33と、回転支持部材に取り付けられてロープの一端を固定するロープ支持部材41と、を備え、ロープ支持部材は、回転支持部材により対角線方向へ出没自在に構成されていることを特徴とする。
本態様は、第一乃至第五の実施態様と同様の効果を奏する。
R…ロープ、Na、Nb…ナット、1…ロープ耐震ユニット、10、10A、10B…支持ユニット、11…ベース部材、13、13A、13B…取付板、13a、13b…端縁、15…取付孔、15a〜15d…大径孔、17…取付孔、17a〜17d…小径孔、19…留め具、21…支持板、21a、21b…端部、23…軸孔、33…回転支持部材、35…ネジ穴、37…フランジ部材、39…ネジ、41…ロープ支持部材、43…ロープ固定部、45…雄ネジ部、45a…先端部、45b…基端部、51…挿通孔、61…ベースプレート、63…支持板部、65…取付片、100…建築枠体、101、101a〜101d…枠材、103、103a〜103d…仕口部、105…交差部、107…内側面、108…外側面

Claims (6)

  1. 少なくとも4個の仕口部を有した建築枠体の対角位置に対向配置された2つの前記仕口部に夫々固定されて、前記建築枠体の対角線に沿って張設されるロープの各端部を支持する支持ユニットであって、
    少なくとも一方の前記支持ユニットは、一つの前記仕口部に固定されるベース部材と、前記ベース部材により前記対角線と交差する回転軸を中心として回転自在に支持された回転支持部材と、前記回転支持部材に取り付けられて前記ロープの一端を固定するロープ支持部材と、を備え、
    前記ロープ支持部材は、前記回転支持部材により前記対角線方向へ出没自在に構成されていることを特徴とする支持ユニット。
  2. 前記ロープ支持部材は、前記ロープの一端を固定するロープ固定部と、前記ロープ固定部の適所から突出する雄ネジ部とを有しており、
    前記回転支持部材は、前記雄ネジ部と螺着すると共に前記対角線方向へ伸びるネジ穴を有していることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
  3. 前記ロープ支持部材は、前記ロープの一端を固定するロープ固定部と、前記ロープ固定部の適所から突出する雄ネジ部と、前記雄ネジ部に螺着するナットとを有しており、
    前記回転支持部材は、前記対角線方向へ貫通形成されて前記雄ネジ部が挿通される挿通孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の支持ユニット。
  4. 前記回転支持部材に対する前記ロープ支持部材の取付位置は、前記回転支持部材の軸方向一端寄りに設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の支持ユニット。
  5. 前記回転支持部材は中実棒状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の支持ユニット。
  6. 少なくとも4個の仕口部を有した建築枠体の対角位置に対向配置された2つの前記仕口部に夫々配置される支持ユニットと、
    前記各支持ユニットにより両端部を支持されることにより前記建築枠体の対角線に沿って張設されるロープと、を備えたロープ耐震ユニットであって、
    少なくとも一方の前記支持ユニットは請求項1乃至5の何れか一項に記載の支持ユニットであることを特徴とするロープ耐震ユニット。
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