JP2019156915A - セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低粘度でハンドリングが良好であるセルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明における、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物は、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物を混合することによって得られ、当該混合が、媒体攪拌型分散機、高圧式分散機または回転式分散機を用いて行われることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法に関する。
従来、ポリビニルアルコール系樹脂は、その水溶性、接着性を利用して種々の分野、例えば接着剤、フィルム、シートなどの成型物の他、分散剤、繊維用糊剤等の用途の分野に広く用いられている。そして、近年その接着強度、フィルム強度、紙加工時のバリヤー性等の改良のため、比較的重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂が多用される傾向にある。
かかる用途においてポリビニルアルコール系樹脂は、水溶液として用いられることが多いが、重合度が高くなるにつれてポリビニルアルコール系樹脂の粘度は非常に高くなり、例えば、平均重合度3000、平均ケン化度99モル%のポリビニルアルコール系樹脂4重量%の水溶液の場合、粘度(B型粘度計にて測定)は、約100cps(20℃)程度に達し、その取り扱いや塗工操作等に障害が起こり易い。
一方、近年、直径が1〜100nm程度の天然繊維または合成繊維は一般に、ナノファイバーと呼ばれており、ナノファイバーの一つであるセルロースナノファイバーは、ポリビニルアルコール系樹脂との複合化など、様々な用途への展開が期待されている。
セルロースナノファイバーを得る方法としては、セルロース繊維を水中でN−オキシル化合物等の存在下で酸化し、不純物を除去し、分散力を加える方法が知られている(特許文献1)。通常、セルロースナノファイバーは水分散液の状態で製造され、水分散液の状態で他材料との複合化に供されており、耐熱水性、耐熱性の優れたPVA系重合体組成物、フィルム、繊維等の製造方法が知られている(特許文献2)。
特開2008−001728号公報 特開2010−242063号公報
しかしながら、前述の方法では、当該水分散液は粘度が高く取扱いが困難である場合がある。例えば、ポリビニルアルコール系重合物とセルロースナノファイバー分散液を混合した分散液を塗工する場合、粘度が高すぎてフィルム化が困難である、また、基材に均一に塗布することができないという問題があった。
そこで、本発明は、低粘度でハンドリング良好である、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は以下を提供する。
(1)セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を混合して得られる組成物の製造方法であって、前記混合が、媒体攪拌型分散機、高圧式分散機または回転式分散機を用いて行われることを特徴とする、セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法。
(2)前記混合が、高圧式分散機を用いた、10MPa〜400MPaの操作圧力による処理であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記セルロースナノファイバーが、ポリビニルアルコール系重合体に対して、1〜50質量%含有していることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーであることを特徴とする、(1)乃至(3)に記載の方法。
本発明によれば、低粘度でハンドリング良好である、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法を提供することができる。さらには、前記組成物から作製したフィルムは、フィルム内の相構造が均一となるため、欠陥の発生が減少する。
以下に本発明について詳細に説明する。
<セルロースナノファイバー>
本発明において、セルロースナノファイバー(以下、CNFということがある。)は、セルロース系原料であるパルプなどがナノメートルレベルまで微細化されたもので、繊維幅が3〜500nm程度の微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。セルロースナノファイバーは、パルプに機械的な力を加えて微細化することで得られ、あるいは、カルボキシル化したセルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)、カルボキシメチル化したセルロース、リン酸エステル基を導入したセルロースのようなアニオン変性セルロース、カチオン化したセルロースなどの変性セルロースを解繊することによって得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。
酸化セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
<セルロース原料>
セルロースナノファイバーの原料であるセルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
セルロース原料の数平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30〜60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10〜30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度に調整することが好ましい。
<化学変性>
[カルボキシメチル化]
本発明において、変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反
応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
なお、本明細書において、変性CNFの調製に用いる変性セルロースの一種である「カルボキシメチル化したセルロース」は、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものをいう。したがって、後述する水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースとは区別される。「カルボキシメチル化したセルロース」の水分散液を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができる。一方、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースの水分散液を観察しても、繊維状の物質は観察されない。また、「カルボキシメチル化したセルロース」はX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるが、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースではセルロースI型結晶はみられない。
[カルボキシル化]
本発明において、変性セルロースとしてカルボキシル化(酸化)したセルロースを用いる場合、カルボキシル化セルロース(酸化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシル化(酸化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、カルボキシル化の際には、アニオン変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6〜2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
カルボキシル化(酸化)方法の一例として、セルロース原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO−)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度が好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化剤の使用量としては、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
セルロースの酸化は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱容易性や、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1〜30質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化および分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
酸化セルロースのカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
[エステル化]
化学変性セルロースとして、エステル化したセルロースを使用できる。当該セルロースは、前述のセルロース系原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法により得られる。
リン酸系化合物Aとしては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。これらの中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用できる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩がより好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
リン酸エステル化セルロースの製造方法の一例として以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1〜10質量%のセルロース系原料の分散液に、リン酸系化合物Aを撹拌しながら添加してセルロースにリン酸基を導入する。セルロース系原料を100質量部とした際に、リン酸系化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましい。リン酸系化合物Aの割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えると収率向上の効果は頭打ちとなるのでコスト面から好ましくない。
この際、セルロース原料、リン酸系化合物Aの他に、これ以外の化合物Bの粉末や水溶液を混合してもよい。化合物Bは特に限定されないが、塩基性を示す窒素含有化合物が好ましい。ここでの「塩基性」は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃〜赤色を呈すること、または水溶液のpHが7より大きいことと定義される。本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられるが、特に限定されない。この中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。化合物Bの添加量はセルロース原料の固形分100質量部に対して、2〜1000質量部が好ましく、100〜700質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1〜600分程度であり、30〜480分がより好ましい。エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率が良好となる。得られたリン酸エステル化セルロース懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
リン酸エステル化されたセルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001〜0.40であることが好ましい。セルロースにリン酸基置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、リン酸基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たリン酸エステル化されたセルロース系原料は煮沸した後、冷水で洗浄することで洗浄されることが好ましい。
[カチオン化]
化学変性セルロースとして、前記セルロースをさらにカチオン化したセルロースを使用することができる。当該カチオン変性されたセルロースは、前記セルロース原料に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライトまたはそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を、水または炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって得ることができる。
グルコース単位当たりのカチオン置換度は0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.50より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たカチオン変性されたセルロース系原料は洗浄されることが好ましい。当該カチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水または炭素数1〜4のアルコールの組成比率によって調整できる。
<セルロース系原料の解繊>
本発明において、セルロース系原料を解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、上記のCNFに予備処理を施すことも可能である。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
分散処理においては通常、溶媒に変性セルロースを分散する。溶媒は、変性セルロースを分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。セルロース系原料が親水性であることから、溶媒は水であることが好ましい。
分散体中の酸化セルロースの固形分濃度は、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊処理又は分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
<ポリビニルアルコール系重合体>
ポリビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル系モノマーを重合し、得られるビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができる。ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルが好ましい。
本発明において使用されるポリビニルアルコール系重合体(以下、ポリビニルアルコールをPVAということがある)は、とくに制限されないが、けん化度70〜100モル%、好適には80〜99.8モル%、重合度300〜3000、好適には500〜2000のPVA系重合体が好適に使用される。
PVA系重合体のけん化度は、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化されている単位の割合を示し、JIS K6726試験法に準じて測定される。
重合度(Po)は、JIS K6726試験法に準じて測定される値であり、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
Po = ([η]×103/8.29)(1/0.62)
本発明において使用されるポリビニルアルコール系重合体は、適宜変性されていてもよく、カルボキシル変性ポリビニルアルコール系重合体、シラノール変性ポリビニルアルコール系重合体、カチオン変性ポリビニルアルコール系重合体、末端アルキル変性ポリビニルアルコール系重合体などを用いることができる。
本発明における組成物の製造方法では、その目的、用途に応じ、各種添加剤、たとえば可塑剤、界面活性剤、架橋剤を配合することができる。ここで、可塑剤としては、多価アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、エチレングリコール、グリセリンおよびジグリセリンが好ましい。
<組成物>
本発明における組成物における溶媒は、水、水溶性有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒であることが好ましい。化学変性パルプおよびCNFの分散性を考慮すると、液体媒体としては水、または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
水溶性有機溶媒とは、水に溶解する有機溶媒である。その例として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、グリセリン、アセトン、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、およびこれらの組合せが挙げられる。中でもメタノール、エタノール、2−プロパノール等の炭素数が1〜4の低級アルコールが好ましく、安全性および入手容易性の観点から、メタノール、エタノールがより好ましく、エタノールがさらに好ましい。前記混合溶媒中の水溶性有機溶媒の量は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、発明の効果を損なわない程度で、当該液体媒体は非水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
<セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系重合体の混合方法>
セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系重合体の混合方法には、両者を強力に混合することが好ましく、セルロースナノファイバーの粘性を発揮する繊維同士のネットワーク構造がPVAによって阻害される程、セルロースナノファイバーとPVAが均一分散された状態にするためのせん断力を有する装置を組み合わせて使用することが必要である。
<混合に用いる装置>
本発明において、セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系重合体の混合に用いる装置としては、媒体攪拌型分散機、高圧式分散機、回転式分散機が挙げられる
<回転式分散機>
回転式分散機による混合は、攪拌手段となる1又は2以上の回転体を有する回転式分散機を用い、前記回転体の翼先端部の周速(以下「周速」という)が15m/s以上で処理する方法である。周速は15m/s以上であり、20m/s以上がより好ましく、22m/s以上が特に好ましい。周速の上限は特に存在しないが、経済性や分散機の機械強度から100m/s以下が好ましい。
処理時間は前記周速、処理槽の容量、1回の処理量等との関連において適宜設定することができる。例えば、回転体の周速が20m/s、処理槽の容量が1Lで、固形分濃度1質量%の水分散液500gを使用したとき、処理時間は1〜120分程度である。
回転式分散機は、回転する回転体近傍に生じるせん断力、衝撃力、キャビテーションにより、微細化するものである。回転体は、各種形状の攪拌羽根、槽自体が回転するもの等の公知のものである。
回転式分散機は、回転体と固定部の間の空隙に処理対象となる酸化セルロース繊維を通過させて分散させるタイプのもの、一定方向に回転する内側回転体と内側回転体の外側を逆に回転する外側回転体とを有し、内側回転体と外側回転体の間の空隙に処理対象となる酸化セルロース繊維を通過させて分散させるタイプのものが好ましい。回転式分散機としては例えば、エム・テクニック社のクレアミックス、大平洋機工(株)のマイルダー、プライミクス(株)のTKロボミックス、大平洋機工(株)製の櫛歯型高速回転式分散機(キャビトロン)、大平洋機工(株)の高速回転式分散機(シャープフローミル)、プライミクス(株)製の薄膜旋回型高速回転式分散機(フィルミックス等を挙げることができる。
このように回転させながら狭い空隙を通すことにより、高いせん断速度(単位s−1)を発生させることができるため、単に回転させた場合と比べて(即ち、家庭用のジューサーミキサーのように、上記空隙が大きくせん断速度が低い機械的手段を使用した場合と比べて)微細化処理が効果的に行える。上記空隙の大きさは5mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。
なお、回転式分散機で1回処理したものを再度処理することもでき、本発明では、1回処理することを1パス、1回処理した後、2回目の処理することを2パス、同様にして3回処理することを3パスと称する。パス回数は生産性の観点から1〜20パスが好ましく、1〜10パスがより好ましい。
<高圧式分散機>
高圧式分散機を用いた混合としては、高圧ホモジナイザー(インベンシスシステム(株))、ナノマイザー(吉田機械興業(株))、マイクロフルイダイザー(MFIC Corp.)、アルティマイザーシステム((株)スギノマシン)、音レス高圧乳化分散装置((株)美粒)が使用できる。これらの装置は、吸入した処理対象(酸化セルロース繊維の水分散液)を高圧で微細な流路内に通したとき、流路内で生じる高いせん断力や流路の工夫により生じる流体と壁面との衝突や、流体同士の衝突による衝撃力や、微細な流路から吐出されるときに生じるキャヒ゛テーション等により、微細化処理するものである。
操作する圧力としては10〜400MPaが好ましく、30〜350MPaがより好ましく、100〜300MPaが更に好ましい。高圧式分散機処理は1〜100回繰り返して処理することができる。ここでいう処理(1回以上の処理)は、高圧式分散機で1回処理したものを再度処理することを意味し、本発明では、1回処理することを1パス、1回処理した後、2回目の処理することを2パス、同様にして3回処理することを3パスと称する。パス回数は生産性の観点から1〜20パスが好ましく、1〜5パスがより好ましい。また、処理の方法としては、原料槽から送液された高圧分散機から吐出された分散液を直接原料槽に返すことにより、循環処理を行う方法もある。
<媒体撹拌型分散機>
媒体撹拌型分散機を用いた混合としては、媒体攪拌型の分散機(メディアミル)を適用することもできる。メディアミルは、ミル内に充填したメディアを攪拌等により、流動させて処理液の分散を行う方法であり、例えば、次の各処理方法を適用できる。
処理方法としては、
(i)メディアが充填されたミル内に処理液を注入した後、所定の時間処理し、処理液を抜き出すバッチ処理方法、
(ii)メディアが充填されたミル内を攪拌機で攪拌した状態で、別の槽内にある被処理液をポンプ等により連続的にミル内へ供給し、分散された処理液をもとの槽内に戻す循環方式方法、
(iii)処理液の全てを別の槽で受けるパス方式等による分散処理方法が挙げられる。分散処理時の分散速度は、メディアの粒径や充填率、メディアミルの攪拌周速、供給速度等によって調節することができる。
メディアミルとしては、ビーズミル、サンドミル、ボールミル等が挙げられ、具体的には、ビスコミル(アイメックス(株)社製)、タワーミル、DCPスーパーフロー、コスモ(日本アイリッヒ(株)社製)、スターミル(アシザワ・ファインテック(株)社製)、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業(株)社製)、ピコミル(浅田鉄工(株)社製)、SCミル、MSCミル、アトライタ(三井鉱山(株)社製)等の公知のメディアミルが挙げられる。
メディアの材質としては、スチール、クロム合金等の高硬度金属、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア等の高硬度セラミックス、ガラス、超高分子量ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250、23℃ 60rpmにおけるB型粘度は2230mPa・sであった。
<製造例2>
超高圧ホモジナイザーで処理する際に酸化パルプの濃度を1.5%に調整する以外は、製造例1と同様にしてセルロースナノファイバー水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250、23℃ 60rpmにおけるB型粘度は4500mPa・sであった。
<測定>
実施例において、各パラメーターは以下のようにして測定した。
(カルボキシル基量の測定)
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕。
(平均繊維径、アスペクト比の測定)
アニオン変性CNFの平均繊維径及び平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、ランダムに選んだ200本の繊維について解析した。また、アスペクト比は下記の式により算出した:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
<実施例1>
製造例1で製造したセルロースナノファイバーと、PVA系重合体(クラレ社製、PVA−105)の10質量%溶液を両者の固形分比率が1:1になるように水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で1回処理して、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む水性分散液を得た。12時間静置後の水性分散液の23℃ 60rpmにおけるB型粘度は28.3mPa・sであった。
<実施例2>
製造例2で製造したセルロースナノファイバーと、PVA系重合体(クラレ社製、PVA−105)の10質量%溶液を両者の固形分比率が1:1になるように水で1.5%(w/v)に調整する以外は実施例1と同様にして、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む水性分散液を得た。12時間静置後の水性分散液の23℃ 60rpmにおけるB型粘度は435.8mPa・sであった。
<比較例1>
製造例1で製造したセルロースナノファイバーと、PVA系重合体(クラレ社製、PVA−105)の10質量%溶液を、両者の固形分比率が1:1になるように水で1.0%(w/v)に調整し、羽型攪拌機(スリーワンモーター)で周速3m/sで10分処理して、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む水性分散液を得た。12時間静置後の水性分散液の23℃ 60rpmにおけるB型粘度は348.9mPa・sであった。
<比較例2>
製造例2で製造したセルロースナノファイバーと、PVA系重合体(クラレ社製、PVA−105)の10質量%溶液を、両者の固形分比率が1:1になるように水で1.5%(w/v)に調整する以外は実施例1と同様にして、セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む水性分散液を得た。12時間静置後の水性分散液の23℃ 60rpmにおけるB型粘度は1330mPa・sであった。
[フィルムの作製と欠点の評価方法]
径9cmのプラスチックシャーレに、製造例1〜2、比較例1〜2で調製した0.5質量%の水性分散液を60g投入し、室温で風乾することで厚さ30μmのCNFとPVAの複合フィルムを得た。これらのフィルムの異物状の欠点を目視で観察して評価した。
〇:異物状の欠点が認められない
×:異物状の欠点がわずかに認められる
Figure 2019156915
表1の結果から、実施例1ないし2のセルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を含む組成物は、比較例1、2に対し、同濃度で比較したときに低粘度でハンドリングが良好であることがわかった。

Claims (4)

  1. セルロースナノファイバー及びポリビニルアルコール系重合体を混合して得られる組成物の製造方法であって、前記混合が、媒体攪拌型分散機、高圧式分散機または回転式分散機を用いて行われることを特徴とする、セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系重合体を含む組成物の製造方法。
  2. 前記混合が、高圧式分散機を用いた、10MPa〜400MPaの操作圧力による処理であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルロースナノファイバーが、ポリビニルアルコール系重合体に対して、1〜50質量%含有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記セルロースナノファイバーが、アニオン変性セルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項1乃至3に記載の方法。
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